隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則
2020年から高知県立美術館や東京国立近代美術館を巡回した隈研吾展の図録。隈建築の中から公共性の高いものを中心に68件を選び、全点に隈自身による作品解説をつけて収録。それらを「孔」「粒子」「ななめ」「やわらかい」「時間」という隈が考える5原則によって分類し、模型や写真やモックアップとともに紹介している。
森正洋 陶磁器デザインの革新
2002年に東京国立近代美術館で開催された展覧会の公式図録。日本の陶磁器デザインに革新をもたらしたデザイナー・森正洋の代表的な仕事を紹介している。シンプルで機能的な造形に美意識を宿した醤油さしをはじめ、コーヒーセットやパーティトレイなど、約90点の主要な食器デザインをカラー図版で収録。量産と手仕事の両立を追求した森のデザイン哲学を通じて、日常の器に潜む普遍的な美と合理性を明らかにしている。
日本のガラス2000年 弥生から現代まで
サントリー創業100周年を記念して開催された展覧会「日本のガラス2000年 弥生から現代まで」の公式図録。弥生時代前期に始まる日本のガラス文化の歩みをたどり、技術と表現の発展を通してその美と機能の変遷を紹介している。古代の装飾品から近代の工芸品、現代のアートガラスやデザインプロダクトに至るまで、多彩な作品を収録。ガラスという素材を通して、日本人の創意と美意識の連続性を探る一冊となっている。
モース・コレクション
1990年に開催された展覧会「モース・コレクション」の公式図録。アメリカの動物学者エドワード・S・モースが明治期の日本滞在中に収集した食器、家具、玩具、模型など、多岐にわたる民具を紹介している。西洋人の視点で記録された日本の生活文化の貴重な資料として、当時の風俗や手仕事のあり方を伝える内容。民藝の源流をたどるうえでも重要なコレクションの全貌を明らかにしている。
INAX Booklet 万国博の日本館
INAXギャラリーでの展覧会にあわせて刊行されたブックレット。1867年のパリ万国博覧会から1967年のモントリオール万博まで、近代以降の万国博における〈日本館〉の歴史をたどっている。各時代の建築デザインや展示構成、思想的背景を分析し、日本が国際舞台でどのように自己を表現してきたかを検証。国家イメージの形成と建築・デザインの関係を多角的に読み解きながら、「日本」という概念がいかに構築・変容してきたかを明らかにしている。
INAX Booklet レヒネル・エデンの建築 1900年・ハンガリーの光と影
INAXギャラリーでの展覧会にあわせて刊行されたブックレット。ハンガリー近代建築の父と称される建築家レヒネル・エデンの作品を通して、20世紀初頭のハンガリー建築とその文化的背景を探る。民族的意匠とアール・ヌーヴォーが融合した独自の様式、美しいセラミック装飾、光を巧みに取り入れた構成など、レヒネル建築の特質を建築史・都市史の視点から紹介。さらに当時の社会思想や他国との交流にも言及し、世紀転換期の中東欧に花開いた建築文化の豊かさを照らし出している。
INAX Booklet 錺師の技 日本のデザイン
INAXギャラリーでの展覧会にあわせて刊行されたブックレット。日本建築や家具に華を添える装飾金具の造形と、その背後にある「錺(かざり)」の技に焦点を当てている。寺社の金具や指物の飾りなど、繊細な細工と象徴的な意匠を支える伝統技術を、多角的な視点から検証。名匠・森本安之助による制作風景や作品を通して、手仕事の精緻さと金属工芸の美意識を紹介する。建築史・民俗学・デザイン論の観点を交差させ、日本の装飾文化の深層を探る内容となっている。
INAX Booklet 生きものたちも建築家 巣のデザイン
INAXギャラリーでの展覧会にあわせて刊行されたブックレット。鳥が枝を編み、昆虫が土や唾液を固め、魚が砂で幾何学模様を描くように、自然界には多様で機能的な「建築」が存在する。本書では、こうした生きものたちの巣を建築やデザインの視点から読み解き、それぞれの環境や生態に適応した形や素材、構造の工夫を探る。研究者による解説と豊富な写真を通して、自然が生み出す造形の合理性と美を紹介し、人間の建築にも通じる創造の知恵を浮かび上がらせている。
INAX Booklet 耳の建築 都市のささやき
INAXギャラリーでの展覧会にあわせて刊行されたブックレット。都市空間にあふれる多様な音と、それを受け止める建築環境との関係を探る内容。建物や街並みが生み出す響き、反響、遮音や拡散の仕組みを通じて、私たちが日常の中で耳にする都市の「ささやき」に焦点を当てる。騒音として片づけられがちな音環境を建築的視点から再考し、微かな自然音や静寂の質にも目を向けることで、音のある都市の豊かさを提示している。音響と建築の交差点から、都市を“聴く”という新たな感覚を喚起する一冊。
饅頭博物誌 | 松崎寛雄
食文化研究家・松崎寛雄による、饅頭を通して日本文化を読み解く博物誌。「饅頭 このありふれた菓子」「日本の風土と饅頭」「饅頭と俳句」などの章で構成され、日常の菓子として親しまれてきた饅頭の起源、地域性、文学や風習との関わりを考察している。素材や形状の多様性を紹介しながら、日本人の暮らしや感性に根ざした菓子文化の奥行きを明らかにする一冊。限定1000部発行。
茶の博物誌 | 松下智
茶文化研究家・松下智による、アジアにおける茶の歴史と風俗を探る評論集。「お茶ものがたり」「茶壺道中記と茶の発展」「茶碗由来紀」「喫茶店由来」の4章で構成され、茶の誕生から流通、器の変遷、喫茶文化の広がりまでを多角的に考察している。民俗的な視点と豊富な史料をもとに、日常と儀礼の両面において育まれた茶文化の歩みを丹念に紐解き、人と茶との深い関わりを浮かび上がらせている。限定1000部発行。
畦地梅太郎全版画集
日本の版画家・畦地梅太郎の創作活動を総覧する作品集。1920年代から1970年代にかけて制作された版画を中心に、街角の情景や山岳の風景、素朴に生きる人々の姿など、300点を超える作品をカラーおよびモノクロで収録している。力強くも温かみのある線と独特の造形感覚によって、自然と人間の営みを豊かに描き出す。戦前から戦後にかけての日本の版画史をたどるうえでも貴重な資料となっている。
The Sound of My Left Hand | Ronan Bouroullec
フランスのデザイナー、アーティストであるロナン・ブルレックによる作品集。イタリア・Casa Mutina Milanoでの展覧会にあわせて刊行されたもので、幾何学的な線やフォルム、重なり合う色彩が織りなす作品群を収録している。展示空間の記録写真をはじめ、ドローイングやセラミックのレリーフ、ディテールのクローズアップなどを掲載。ブルレック自身とキュレーターによるテキストを通じて、素材、形態、空間の関係性を探る創作の思考を明らかにしている。
Points of View 視線の変遷 | 野又穫
画家・野又穫による、1986年から2004年までのペインティング作品をまとめた画集。現実には存在しない建造物を主題に、時間や場所の概念を超越した空想的な建築風景を描き出している。古代遺跡のようでありながら未来建築をも想起させる構造物は、静謐な色彩と緻密な構成によって、記憶と想像のあいだに広がる風景を形成する。現実と非現実の境界を問う野又の独自の視覚世界を鮮明に提示している。
小村雪岱画集
画家・版画家として知られる小村雪岱の作品を集成した復刻版画集。1942年に高見澤木版社から刊行された原本をもとに、繊細な線と抒情的な情景描写で知られる雪岱の代表作を再録している。日本の女性像、観音像、四季の風景のほか、「たけくらべ」「西遊記」「忠臣蔵」など文芸作品の挿画をカラーおよびモノクロで多数掲載。大正・昭和初期の挿絵芸術を象徴する雪岱の美意識と装幀感覚を再評価する内容となっている。解説は渡辺圭二。
Cy Twombly: A Retrospective
アメリカの画家サイ・トゥオンブリーの創作活動を包括的に辿る回顧展カタログ。50点を超える代表作のカラー図版に加え、初期のアッサンブラージュやドローイング群、さらには初公開となる晩年の作品も収録されている。詩的な文字の断片や象徴的な記号が画面を走り、個人的な記憶と古代の神話、歴史が交錯するトゥオンブリー独自の表現世界を、多角的に紹介する内容。変遷と核心に迫る資料性の高い一冊となっている。英語表記。
El Porque de las Naranjas | Ricardo Cases
スペインの写真家リカルド・カセスによる作品集。地中海沿岸のレバンテ地方を舞台に、日常の中に潜む奇妙で詩的な風景を捉えている。フランスパンの形をしたドアノブ、果物が詰まった排水口、積み重なる段ボールなど、取るに足らない光景を独自のまなざしで切り取る。ユーモアと郷愁が交錯するイメージ群は、スペインの地方都市に漂う時間の感触と、人間の営みの断片を静かに映し出している。
Hotel Petra | Robert Polidori
アメリカの写真家ロバート・ポリドリによる、レバノン・ベイルートの歴史的建築「ホテル・ペトラ」を撮影した作品集。1975年から1990年にかけて続いたレバノン内戦の痕跡を残す室内を題材に、崩れた壁や剥離した塗装、差し込む光が織りなす静謐な空間を捉えている。荒廃の中に潜む美と記憶の層を抽象絵画のように描き出し、時間と建築の関係を詩的に探る。失われゆく場所に宿る存在の余韻を照らし出している。
Synchrony and Diachrony: Photographs of the J. P. Getty Museum 1997
アメリカ・ロサンゼルスのJ・ポール・ゲティ美術館設立20周年を記念して刊行された写真集。写真家ロバート・ポリドリが1997年の開館直前に撮影した館内の様子を収録している。建築家リチャード・マイヤーによる光と構造が織りなす空間の中で、絵画や彫刻が展示室に配置されていく過程を丹念に記録。美術館という「完成へ向かう建築」をテーマに、芸術と空間が出会う瞬間を精緻に映し出している。
Memory: State Hermitage Museum, St Petersburg | Candida Hofer
ドイツの写真家カンディダ・へーファーによる、サンクトペテルブルクの歴史的建築群を撮影した作品集。ユスポフ宮殿、国立図書館、マリインスキー劇場、エルミタージュ美術館などを10日間にわたって記録し、壮麗な空間と装飾の細部を精緻に捉えている。人の姿を排した静謐な構図の中に、過去と現在が交錯する時間の層を浮かび上がらせ、都市と記憶、建築と文化の継承を静かに映し出している。
The Louvre | Candida Hofer
ドイツの写真家カンディダ・へーファーによる、ルーヴル美術館を撮影した作品集。無人の展示室を被写体とし、建築空間とそこに収められた美術作品との静かな共鳴をとらえている。壮麗な装飾や光の反射、絵画や彫刻が放つ存在感を精緻な構図で捉え、西洋美術の殿堂に漂う秩序と静寂を可視化。空間の構造美と時間の停滞を繊細に描き出し、へーファー特有の観察眼が生む建築写真の詩学を提示している。
The Blindest Man | Emily Graham
ロンドン出身のアーティスト、エミリー・グレアムによる写真作品集。1993年に匿名の作家が黄金の彫刻〈Chouette d'Or(黄金のフクロウ)〉をフランスのどこかに埋め、その手がかりを記した書物を発表した出来事を起点に構成されている。30年以上経った今も続く宝探しに魅せられた人々の姿を、写真、調査資料、手紙、地図など多様な記録とともに追う。信仰にも似た探求心と幻想が交錯する、人間の想像力と執念のドキュメントを浮かび上がらせている。
Robert Frank: New York to Nova Scotia
アメリカの写真家ロバート・フランクの軌跡をたどる作品集。1986年にヒューストン美術館で開催された回顧展の際に刊行されたカタログの復刊版で、写真家としての歩みと多彩な表現活動を総覧している。ショートフィルムのスチール写真、未発表の書簡、評論、エッセイを交えながら構成され、作家の内面と創作過程を多角的に描き出す。モノクロの図版を中心に、ニューヨークからノヴァスコシアへと至るフランクの視点の変遷を示している。
Ed Ruscha
1960年代初頭から現在に至るエド・ルシェの仕事を総覧する作品集。ポップ、コンセプチュアル、シュルレアリスムの諸相を横断する実践を、絵画・写真・版画・ブックワークにわたる代表作とともに検証する。リチャード・D・マーシャルによる批評的エッセイが、言葉とイメージ、都市景観への眼差し、反復とタイポグラフィといった主題を読み解く構成。豊富な図版を通じて、ルシェの独自の視覚言語が形成される過程を照らし出している。
Thomas Schutte
ドイツの現代美術家トーマス・シュッテの作品を紹介する展覧会図録。スイスのベルン美術館をはじめ各地を巡回した展覧会にあわせて刊行されたもので、1980年代に制作された彫刻や絵画を中心に構成されている。具象と抽象のあいだを行き来しながら、人間の存在や社会の構造をユーモラスかつ批評的に描き出す作品を、豊富なカラーおよびモノクロ図版で収録。シュッテの初期表現の軌跡を示している。
Pablo Picasso: Women, Bullfights, Old Masters
20世紀美術を象徴する芸術家、パブロ・ピカソの創作をテーマ別にたどる作品集。女性像、闘牛、オールドマスター、政治や文学、神話的主題、サーカスの人々、インテリアなど、70年にわたる活動の中で繰り返し描かれたモチーフを中心に構成されている。版画、リトグラフ、ドローイング、コラージュなど約200点を収録し、ピカソが生涯を通して追求した形と感情の変容、そして芸術への飽くなき探求を浮かび上がらせている。
HATS | 潮田登久子
写真家・潮田登久子による作品集。1992年から2004年に制作された「帽子」シリーズをまとめたもので、帽子デザイナー香山まり子の「布の彫刻」と称される作品群を被写体に撮影している。黒のストローハット、シルクオーガンジーのカクテルハット、ファーベロアの帽子など、それぞれの美しいフォルムと繊細な質感が丁寧に捉えられている。日本語、英語、中国語表記。
A Few Hermes Ideas For The Holiday Season | Gino Bud Hoiting
フランスの高級メゾン、エルメスによる、2018年ホリデーシーズンコレクションブック。オランダ・ロッテルダムを拠点に活躍するイラストレーター、Gino Bud Hoitingとのコラボレーションによって生まれた、ユニークなビジュアルブック。洗練されたエルメスの世界を、あえてシンプルで温かみのある線画とストーリーテリングによって再構築。まるで絵本をめくるような感覚で、エルメスの遊び心と芸術性、そしてイラストレーターの独自の感性が融合した一冊。
Objets Hermes | Andy Rementer
フランスのメゾン、エルメスによる2024年秋冬コレクションのルックブック。パリ・フォーブル・サントノーレ通り24番地の本店を舞台に、アーティストのアンディー・レメンターが最新コレクションをユーモラスで鮮やかなドローイングとして描き出している。日常の断片やディテールを軽やかな線と色彩で再構成し、エルメスのエスプリと職人技への敬意を感じさせる内容。ブランドの洗練と遊び心を併せもつ世界観を鮮明に映し出している。
Furthermore | Jeffrey Fraenkel
サンフランシスコのフレンケル・ギャラリー創立30周年を記念して刊行された写真作品集。アンディ・ウォーホル、ロバート・アダムス、ベッヒャー夫妻、杉本博司、アーヴィング・ペンをはじめ、作者不詳の写真も含む多様な作家による99点の作品を収録している。時代や様式を超えて選ばれたイメージ群が、写真という表現の多義性とその内に潜む詩的な力を静かに示している。ギャラリーの歩みと写真芸術の広がりを映し出している。
Mina Perhonen: Ripples | Akira Minagawa
ファッションブランド〈ミナ ペルホネン〉の創設者・皆川明によるビジュアルブック。ブランドを象徴するテキスタイルとその原画、スケッチ、制作過程の記録、手紙など多彩な資料を収録し、デザインが生まれる背景と思想を可視化している。工場での制作風景や図案の断片を通して、手仕事と創造の循環を静かに描き出す構成。ブックデザインはサイトヲヒデユキが手がけ、ブランドの詩的な世界観を繊細に映し出している。
A Magazine #15: Curated by Thom Browne | トム・ブラウン
ベルギーのファッションデザイナー、ウォルター・ヴァン・ベイレンドンクによって創刊された『A Magazine Curated By』第15号。毎号ファッションデザイナーをキュレーターとして招き、ファッションデザイナーの世界を探るファッションマガジン。今回は「THOM BROWNE」の創設者でありデザイナーのトム・ブラウンが担当。ランウェイの歩みとともに、「白と黒で描かれた死と弔い」をテーマに構成される。英語表記。
A Magazine #25: Curated by Sacai | サカイ
ベルギーのファッションデザイナー、ウォルター・ヴァン・ベイレンドンクによって創刊された『A Magazine Curated By』第25号。毎号ファッションデザイナーをキュレーターとして招き、ファッションデザイナーの世界を探るファッションマガジン。今回は「sacai」の創設者でありデザイナーの阿部千登勢が担当。東京からLAまでの「sacaiTHEpeople」と題したポートレートシリーズほか、「sacai」のコミュニティとハイ・コンセプトの領域を探求する。英語表記。
King for a Decade: Jean-Michel Basquiat
アメリカの画家ジャン=ミシェル・バスキアの軌跡をたどる資料集。短くも濃密な10年間の活動を、ペインティングやドローイングをはじめとする多彩な作品図版とともに紹介している。マイケル・ホフマンやアンディ・ウォーホルなど、彼と親交のあった人々による証言やインタビューを収録し、創作の背景や内面の葛藤を多角的に描き出す。アートとストリートが交錯した1980年代のニューヨークを生きたバスキアの精神を浮かび上がらせている。
イリヤ・カバコフ シャルル・ローゼンタールの人生と創造 2冊セット
1999年に水戸芸術館現代美術センターで開催された展覧会の図録。ウクライナ出身のアーティスト、イリヤ・カバコフが創作した架空の画家、シャルル・ローゼンタール。19世紀末から20世紀初頭に生き、若くして夭折した画家として設定された彼の画業を、図版、伝記、日記、批評文などを通じて、まるで実在したかのように丁寧に構成。個人史でありながら、絵画表現の探究と美術史の構造を内包したこのプロジェクトは、カバコフによる「代替の芸術史」の一環として、芸術とは何かを根源から問い直す試みとなっている。
A small, good things | ナカカズヒロ
ヘアスタイリスト・ナカカズヒロが、「初心に戻り、衝動のままに何かを作りたい」という思いから手がけた初の作品集。日常の中で“日本人らしさ”を感じた人々に声をかけ、モデルとして撮影を行った。スタイリングを施した演出されたポートレートから、まったく手を加えず被写体の素の姿を捉えたスナップまで、多様なアプローチで構成される。職業の枠を超えた、個人としての創作衝動が結晶化した一冊。
ZOO | Britta Jaschinski
写真家ブリッタ・ヤシンスキーによる、動物園で暮らす動物たちを捉えた作品集。ヤシンスキーのレンズは、檻の中の動物たちを「見世物」としてではなく、私たちと同じ感覚を持つ「他者」として描き出す。暗闇に浮かび上がる毛むくじゃらの手、水面下をただようアシカ、沈黙の中で立ち尽くすシマウマ。彼らの姿は断片的ながら、深い哀感と尊厳を帯び、私たちの心に静かに問いを投げかける。本書は、「人間は他の生きものを閉じ込める権利を持つのか」「動物園は保全か、娯楽か」といった根本的な倫理的問いを、写真というメディアを通して提示している。ヤシンスキーは感情を押し付けることなく、静かなまなざしで動物たちの存在を映し出す。その写真は、美しさとともに「見ること」の意味を問い直す力を秘めている。
Portraits by Avedon | 大竹伸朗
現代美術家・大竹伸朗によるドローイング集。1979年7月18日、写真家リチャード・アヴェドンの写真集『PORTRAITS』に触発され、一気に描き上げた73点の作品を収録している。被写体の表情やエネルギーを線と色彩で再構築し、写真から絵画への転換を試みた意欲的なシリーズ。衝動的な筆致と即興性に満ちたドローイングから、大竹の感性がアヴェドンのポートレートに呼応する瞬間が立ち上がっている。
Kaos Drom Idvll | Erik Harry Johannessen
「ノルウェー美術の異端児」と称される独自の表現主義者、エリク・ハリー・ヨハンネッセンの作品集。美術史家グンナル・セーレンセンがヨハンネッセンの作品世界を多角的に読み解き、彼が活動した同時代の芸術潮流や社会的背景と照らし合 […]
A Chorus of Birds Utamaro
江戸時代後期を代表する浮世絵師・喜多川歌麿による鳥類画を集めた作品集。色彩豊かな木版画に詩歌を添え、自然へのまなざしと繊細な描写力を融合させた構成となっている。蛇腹折りの装丁によって連続的に展開される図版は、絵巻のような流れの中で鳥たちの姿を生き生きと映し出す。写実と装飾のあわいに宿る美意識を通して、歌麿のもうひとつの芸術的側面を浮かび上がらせている。
Danh Vo oV hnaD ヤン・ヴォー ーォヴ・ンヤ
2020年に国立国際美術館で開催された展覧会の公式カタログ。ベトナム出身でメキシコシティを拠点に活動する現代アーティスト、ヤン・ヴォーの作品を収録している。木材の伐採や自然環境との関わり、素材の分解と再構築のプロセスを通して、創作と破壊、記憶と歴史の交錯を探る構成。制作過程の記録写真や展示風景を交えながら、ヴォーの作品に通底する「ものの生成と変容」の思想を提示している。解説冊子付属。
アセント 全3巻揃 | フィオナ・タン
インドネシア出身の映像作家フィオナ・タンによる作品〈アセント〉を収録した全3巻構成の図録。2016年にIZU PHOTO MUSEUMで開催された展覧会にあわせて刊行されたもので、「富士山」を主題に、人々の記録写真や風景写真を素材として再構成した映像作品を中心に紹介している。さまざまな時代と視点からとらえられた富士山、登山者の姿、自然との関わりを多層的に描写。映像・写真・インスタレーションの融合を通じて、記憶と風景の関係を探るフィオナ・タンの独自の表現を提示している。
Le Paris de Marelle: Hommage a Cortazar
ブエノスアイレス出身の写真家、エクトル・サンパリオーネによる、フリオ・コルタサルの小説『石蹴り遊び(Marelle)』へのオマージュ作品。 1950〜60年代のパリを舞台に、作中の登場人物たちが歩いたであろう街角を実際にたどりながら、その情景や空気感を写真のレンズを通して再構築する試み。各ページには作品中の印象的な文章とともに、それに対応する実在の場所の写真が収められ、加えて地理的・歴史的な解説も添えられている。本書は文学と写真が響き合いながら、読者を『マレル』の世界へと誘うとともに、『マレル』を愛するすべての読者のための遊びであり、あの小説に描かれたパリという都市への新たな視覚的アプローチでもある。
Thinking Aloud | Richard Wentworth
イギリスのアーティスト、リチャード・ウェントワースの作品集。人間が作り出した環境に対する鋭い観察力と、日常的な物の意味を巧みに変換する彫刻作品で広く知られるウェントワース。本書は視覚的創造性をめぐる想像力豊かな学際的プロジェクトであり、従来の狭義なテーマ分類や経験の正統的枠組みに挑戦する試みである。スケッチ、型、模型、地図、プロトタイプなど、アーティストやデザイナー、建築家、発明家らによる試作段階の「最初の思考」を、多様な領域から集められたオブジェクトと組み合わせて提示。これにより、創造行為の初期段階における視覚的思考や実践を探求している。出展作家にはベルント&ヒラ・ベッヒャー、ブラッサイ、ウォーカー・エヴァンズ、フランク・ゲーリー、ギルバート&ジョージ、ティム・ヘッド、マリエレ・ノイデッカー、ジュリアン・オピー、レイチェル・ホワイトリードといった著名な芸術家が名を連ねている。