イッタラ展 フィンランドガラスのきらめき
2022年から2024年にかけて開催された巡回展の図録。2021年にフィンランド・デザイン・ミュージアムで開催された展覧会を再構成し、日本との関わりに焦点を当てた章を新たに加えている。創業から140年を迎えたイッタラの歩みを軸に、デザイナーの創意、自然からの着想、陶磁器とガラスの融合など、多様な観点からその魅力を紹介。北欧デザインの理念とクラフトマンシップの精神を伝える一冊となっている。
建築家の椅子 111脚
77人の建築家が手がけた111脚の椅子を紹介する作品集。アントニオ・ガウディ、オットー・ワグナー、エル・リシツキー、フィン・ユール、アルネ・ヤコブセンなど、近代から現代に至る名建築家たちが生み出した椅子を一堂に収録している。素材や構造、造形上の特徴を詳細に解説し、建築思想とデザインの関係を読み解く内容。巻末には年表を付し、椅子のデザイン史を通して建築家たちの創造の軌跡を辿ることができる。
Offecct + Lucy Kurrein
スウェーデンのインテリアブランド〈Offecct〉と、ロンドンを拠点に活動するデザイナー、ルーシー・カレインのコラボレーションを紹介する作品集。カレインのスタジオを訪れ、家具デザインが生まれるプロセスや発想の源を探る内容となっている。完成したプロダクトに加え、模型、スケッチ、スタジオ風景、日常の中で見つけたフリーマーケットの品や街のディテールを通して、イメージとアイデアの連なりを丁寧に追う。素材と感性が交わるデザインの思考過程を映し出している。
CAFE SAMIROU | 柚木沙弥郎
染色作家・柚木沙弥郎による絵本。柚木自身が蒐集した小物や異国の玩具、オブジェなどを題材に構成され、布や色彩の感覚をそのまま絵として展開している。造形の遊び心と温かみのある筆致によって生み出される世界には、懐かしさと安らぎが漂う。民藝や日常の美へのまなざしを背景に、素材と造形の関係を独自の視点で表現。
道教の美術 Taoism Art
2009年に大阪市立美術館で開催された展覧会の図録。中国で生まれた宗教・道教の美術をテーマに、中国および日本に伝わる絵画、書、彫刻、工芸作品を幅広く収録している。神仙思想、風水、星宿、易学など古代中国の思想を背景に、不老長寿を理想とする道の世界観を多角的に紹介。さらに仏教や民間信仰との融合を経て、東アジアの文化や芸術の根幹を形づくった道教美術の広がりをわかりやすく示している。
もうひとつの江戸絵画 大津絵 小絲源太郎コレクション
2018年に笠間日動美術館で開催された展覧会の図録。洋画家・小絲源太郎が長年にわたり蒐集した滋賀県大津市の民俗絵画〈大津絵〉を紹介している。初期から中期にかけての全盛期の作品を中心に、古筆大津絵や北大路魯山人旧蔵の作品など、多彩な図版と解説を収録。民衆の信仰や風刺を反映した素朴で力強い筆致を通して、江戸絵画のもう一つの系譜を辿る内容となっている。
自選富本憲吉作品集
陶芸家・富本憲吉による自選作品集。作陶50年を記念して刊行され、近年京都で制作された茶碗や磁器など68点をカラーおよびモノクロ図版で収録している。端正な造形と洗練された文様の調和により、日本陶芸に新たな美意識をもたらした富本の到達点を示す内容。伝統的技法を基盤としながら、現代的な感覚と個性を融合させた作品の数々を通して、創作の深化と静謐な美の世界を映し出している。装丁は原弘によるもの。
富本憲吉模様集成
陶芸家・富本憲吉による模様と図案を集成した作品集。大正から昭和にかけて活動し、バーナード・リーチとの交流でも知られる富本が手がけた、動植物をモチーフとしたデッサンや器の装飾図案をカラーとモノクロで収録している。精緻な構図と柔らかな筆致によって生み出される意匠の数々は、近代陶芸の装飾美を象徴するもの。伝統と創造を往還しながら、日本の文様表現に新たな感性をもたらした富本の芸術を浮かび上がらせている。
あるカタチの内側にある、もうひとつのカタチ 柴田文江のプロダクトデザイン
プロダクトデザイナー・柴田文江による作品集。子供用携帯電話〈キッズケータイ〉、〈体にフィットするソファ〉、カプセルホテル、マルチペンなど、日常に寄り添うプロダクトを多数収録している。造形の美しさだけでなく、使う人の感情や行為に寄り添う「もうひとつのカタチ」を探る柴田の思考と実践を、写真とテキストを通して紹介。デザインに込められた思想と、人とモノとの関係を見つめ直す視点を提示している。
志村ふくみ 母衣への回帰
2016年に京都国立近代美術館で開催された巡回展の図録。染織家であり随筆家、人間国宝として知られる志村ふくみの60年にわたる創作を総覧している。母の残した糸で織り上げた〈母衣曼荼羅〉をはじめ、自然の色や光を紡ぎ出すように制作された着物の数々を、作家自身の言葉とともに紹介。染織を通して生命や精神の循環を見つめ続けた志村の思想と美意識を、作品とテキストの両面から浮かび上がらせている。
骨董夜話 | 白洲正子、土門拳 他
白洲正子、青柳瑞穂、坂東三津五郎、細川護貞、土門拳、平山郁夫、谷川徹三の7名による骨董談義を収めた一冊。骨董を愛するそれぞれの眼と哲学をもとに、手に入れたいきさつや逸話、自慢の品にまつわる思いを綴ったエッセイを収録している。あわせて各人のコレクションをカラー図版で紹介し、審美眼の深さと時代を超えて受け継がれる美意識を浮かび上がらせる。骨董に宿る魅力と人生観を伝えている。
堀尾幹雄コレクション 濱田庄司 手仕事の軌跡
2000年に大阪市立東洋陶磁美術館で開催された展覧会の図録。20世紀日本を代表する陶芸家・濱田庄司の作品を、堀尾幹雄コレクションを中心に紹介している。皿や急須、茶碗など約200点をカラーで収録し、日常の器に宿る温もりと造形の確かさを伝える構成。民藝運動の理念を体現しながら、伝統と創造のあいだで手仕事の可能性を探り続けた濱田の歩みを明らかにしている。
マリメッコ展 デザイン、ファブリック、ライフスタイル
巡回展「マリメッコ展 デザイン、ファブリック、ライフスタイル」の公式図録。フィンランドを代表するデザインブランド〈マリメッコ〉の60年にわたる歩みを、ファブリック、ヴィンテージドレス、スケッチなどの豊富な資料とともに紹介している。自然や伝統的モチーフに着想を得ながら、大胆でカラフル、抽象的なパターンを生み出したデザイナーたちの創造の軌跡を辿る構成。デザインと暮らしの関係を再発見させる一冊となっている。
INAX Booklet 現代・見立て百景
INAXギャラリーでの展覧会にあわせて刊行されたブックレット。砂を海に、石を島に見立てる枯山水の庭に象徴されるように、自然や宇宙を縮景として表現する日本独自の美意識〈見立て〉をテーマとしている。庭園、盆景、いけばな、建築、絵画など多様な分野を横断しながら、その思想的背景と造形の展開を紹介。限られた空間の中に無限の世界を映し出す「見立て」の感性を通して、日本美術における象徴と想像の力を浮かび上がらせている。
INAX Booklet 鹿鳴館の夢 建築家コンドルと絵師暁英
INAXギャラリーでの展覧会にあわせて刊行されたブックレット。鹿鳴館を設計し、日本の近代建築の礎を築いた建築家ジョサイア・コンドルに焦点を当てている。コンドルは河鍋暁斎の門人として「暁英」を名乗り、日本画を学んだ異色の経歴を持つ。本書では、建築家としての理知と絵師としての感性という二つの側面からその人物像を再考。日本文化への深い理解と敬愛を背景に、明治期の建築と美術の交錯を探る内容となっている。監修は鈴木博之と藤森照信。
INAX Booklet 遊牧民の建築術 ゲルのコスモロジー
INAXギャラリーでの展覧会にあわせて刊行されたブックレット。モンゴル語で「家」を意味する移動式住居〈ゲル〉を中心に、遊牧民の暮らしと建築文化を紹介している。風土に適応し、自然と共生するために培われた知恵や構造を読み解きながら、遊牧や漁労に生きる人々の建築術を比較。世界各地に見られる天幕文化との関連を通して、可変性と持続性を備えた建築の原点を探る。人と自然、住まいと環境の関係を見つめ直す視点を提示している。
INAX Booklet 病院建築のルネッサンス 聖路加国際病院のこころみ
INAXギャラリーでの展覧会にあわせて刊行されたブックレット。東京・築地の聖路加国際病院を題材に、医療と建築の関係を再考する内容となっている。1933年に建てられた旧病院の荘厳な様式と、その理念を継承し1992年に新築された現代病院を比較しながら、「全室個室制」や快適性・衛生面への配慮など、患者の人間的な尊厳に基づく設計思想を紹介。アール・デコを想起させる装飾や礼拝堂の意匠など、歴史的建築としての魅力にも触れつつ、単なる医療施設ではなく「癒しと人間性の空間」としての病院建築の理想を提示している。
INAX Booklet マジョリカ・タイル イベリアのきらめき
INAXギャラリーでの展覧会にあわせて刊行されたブックレット。鮮やかな色彩と緻密な文様で知られる“マジョリカ・タイル”。イスラムの影響をうけ16~17世紀に最盛期を迎えたマジョリカ・タイルの装飾技法の変遷をたどりながら、スペイン陶芸の美とガウディ建築との関係、さらにはイスラム・スペインの空間表現、日本における受容の歴史まで幅広く紹介。スペインを中心としたイベリア半島で花開いたこの装飾タイルの歴史と魅力を多角的な視点から丁寧に紐解く一冊。
Alexander Calder: Multum in Parvo
アメリカの彫刻家、アレクサンダー・カルダーの約30年にわたる創作を通じて、「スケール」と「サイズ」の関係に焦点を当てた作品集。タイトル〈Multum in Parvo〉(小さき中に多くを)の名が示すように、親指ほどの大きさから高さ約76センチまでの小型彫刻40点以上を収録し、カルダーの大型モビールと同様の構造と動きを精巧なスケールで再現している。建築家サンティアゴ&ガブリエル・カラトラバによる展示空間でのインスタレーション写真やアーカイブ資料、建築スケッチに加え、批評家ジェド・パールとポール・ゴールドバーガーによる論考、カール・シャピロとジョン・アップダイクの詩も併録。カルダー芸術の本質を多面的に掘り下げている。
Beatriz Milhazes
ブラジルを代表する画家、ベアトリス・ミルハーゼスの多彩な創作活動を網羅したモノグラフ。1980年代後半に独自開発した転写技法を駆使し、カーニバルや伝統工芸、バロックからポップまで、多様なモチーフを鮮やかな色彩とリズミカルな構成で融合させた彼女の作品世界を約300点の作品とともに紹介。2020年までの最新作を含む豊富な図版に加え、編集者ハンス・ヴェルナー・ホルツヴァルトとの対話を通じて制作プロセスや思想的背景に迫るとともに、美術史家デイヴィッド・エボニーの論考やモチーフ辞典、詳細なアーティスト・バイオグラフィーも収録。
Cy Twombly: The Natural World
20世紀を代表する現代美術家、サイ・トゥオンブリーによる作品集。シカゴ美術館で開催された同名展覧会にあわせて刊行され、2000年から2007年にかけて制作された絵画、紙作品、写真、彫刻など30点以上を収録している。庭園や風景を主題に、自然の生成と詩的感情が交錯する表現を展開。日本の伝統美術や古典詩、ヨーロッパ文学など多様な影響を受けながら、自然と人の精神世界を結びつけるトゥオンブリーの晩年の創作を照らし出している。
Hilma af Klint: Paintings for the Future
スウェーデンの芸術家、ヒルマ・アフ・クリントによる作品集。生前は発表を控え、没後長く封印されていた1000点を超える絵画から厳選した作品をカラーで収録している。カンディンスキーやモンドリアン、マレーヴィチに先駆けて抽象的な表現に到達したことで、抽象芸術の起源を再考させる存在として注目される。幾何学的形態や鮮烈な色彩、精神的象徴を通して、目に見えない世界への探究を描き出している。
Gerhard Richter: Abstraction
2018年にドイツ・ポツダムのバルベリーニ美術館で開催された展覧会にあわせて刊行された、ゲルハルト・リヒターの抽象表現に焦点を当てた作品集。世界各地のコレクションから選ばれた80点以上の作品を通して、1960年代以降に展開された多様な抽象技法の変遷をたどる。グレーの単色作品や《インペインティング》《カラーチャート》シリーズ、スクレーパーによる絵具の重なりなど、意図と偶然のあいだに生まれる絵画の可能性を探る試みが貫かれている。美術史的考察とともに制作プロセスや思想にも踏み込み、リヒターが問い続けてきた「絵画とは何か」をあらためて見つめ直している。
Annette Kelm
ドイツの現代美術家、アネット・ケルムの作品集。ドイツ、オランダ、スイスでの初個展開催を記念して刊行され、2001年から刊行当時までの80点以上の作品を収録。日常の物や人物、風景を鋭く鮮明に捉え、周囲との関係性をほぼ断ち切る独特の視覚世界を展開することで知られるケルム。インテリアデザインや映画、エキゾチシズム、グローバル貿易といった多様な文化的・歴史的文脈を内包した作品群を通じて、直接的でありながら謎めいた視点を余すところなく紹介する。
Louise Bourgeois: Has the Day Invaded the Night or Has the Night Invaded the Day?
20世紀を代表するアーティスト、ルイーズ・ブルジョワの約70年に及ぶ創作活動を総覧する作品集。2023年から2024年にかけてオーストラリア・ニューサウスウェールズ州立美術館で開催された展覧会にあわせて刊行されたもの。昼と夜、秩序と混沌、意識と無意識といった相反する概念をテーマに、人間の感情の複雑な構造を探るブルジョワの芸術を多角的に紹介。水彩画、ドローイング、テキスタイル、ブロンズ彫刻など120点以上を収録し、作品を貫く「絶え間ない危機」や自己との対話の軌跡を浮かび上がらせている。豊富な図版に加え、キュレーターや研究者による論考も掲載し、ブルジョワの創作の源泉を深く読み解く内容となっている。
Bird Watching | Paula McCartney
アメリカのアーティスト、ポーラ・マッカートニーによる作品集。手書きの観察記録とともに多様な小鳥を収めた写真は、一見すると鳥類観察家のフィールドノートのように見える。しかし注意深く見ると、枝にとまる小鳥たちはクラフトショップで購入された装飾用の人工物であり、針金や塗料で巧みに固定されていることが明らかになる。記録と虚構の境界を曖昧にしながら、「自然らしさ」や「本物らしさ」に対する私たちの欲望と支配の感覚を批評的に映し出す。美しい自然写真の形式を借りて、観察と演出のあいだに潜む心理を問う、幻想的で鋭いコンセプト・フォトブック。
Libraries | Candida Hofer
ドイツの写真家、カンディダ・へーファーによる作品集。世界各地の図書館を撮影し、中世バロック様式からモダン建築まで多様な空間をカラーで収録。整然と並ぶ書架や装飾的な天井、差し込む自然光など、静寂の中に漂う知の気配を精緻な構図でとらえた作品が並ぶ。人の不在を通して空間そのものの記憶を映し出すへーファー独自の視点が際立ち、建築と文化の関係を静かに提示している。
Man Ray: Sculptures et Objets
パリを拠点に活動したアーティスト、マン・レイによるオブジェ作品に焦点を当てたカタログ・レゾネ。長い創作活動のなかで制作された彫刻的オブジェを、作家自身の撮影によるモノクロ写真で多数収録。シュルレアリスムの精神を体現するような、機知とユーモア、詩的な不条理に満ちた造形の数々を体系的に紹介。写真家、画家、映像作家として多彩な活動を展開したマン・レイの立体表現の領域を明らかにしている。
Cut with the Kitchen Knife: Weimar Photomontages of Hannah Hoch
美術史家のモード・ラヴィンが、ダダ運動を代表するアーティスト、ハンナ・ヘッヒのフォトモンタージュ作品を分析した研究書。コラージュやスクラップブックを中心に、ヘッヒが新聞や雑誌の断片を用いて構築した独自の視覚言語を読み解く。政治的風刺とジェンダーへの問題意識が交錯する作品群を通して、男性中心の美術史の中で新たな表現領域を切り拓いたヘッヒの創作を照らし出している。
増補 磯江毅 写実考 1974-2007
日本の画家・磯江毅による作品集。写実絵画の可能性を徹底して追求し、現代リアリズムの旗手として国内外で高い評価を得た磯江の1974年から2007年までのペインティングやドローイングを収録している。対象を凝視し、絵具と光によって生命の質感を写し取る独自の手法が特徴で、静謐さと緊張感を併せもつ画面が展開される。装丁は中垣信夫と井川祥子が担当し、作品の世界観に呼応する端正な造本が印象的。現代写実の到達点を示している。増補版。
Rodrigo Valenzuela: Journeyman | Matthew Schum
写真、映像、インスタレーションを横断しながら、ドキュメンタリーとフィクションという相反する要素を行き来する表現で知られるチリ出身のアーティスト、ロドリゴ・ヴァレンスエラの作品をまとめた作品集。労働や移民、社会的階層といったテーマを背景に、構築と再現、現実と虚構のあいだに生まれる緊張を視覚化。映像的な構成と緻密な構造物の中に、人間の営みと記憶の断片をとどめようとするヴァレンスエラの創作の軌跡を示している。
Dunkelkammern der Fotografie | Hans Danuser
スイスの写真家、ハンス・ダヌーザーの作品集。1970年代末に写真を芸術的なメディアとして新しく捉え直し、その後のアナログ写真の発展に大きな影響を与え、1980年には当時のヨーロッパやアメリカの産業社会における研究機関や権力の中枢といった“タブー”の領域をテーマにした写真シリーズ「IN VIVO(イン・ヴィーヴォ)」に取り組み始めた。本書は過去35年間におけるダヌーザーの活動をまとめたもので、彼のこれまで作品を広い視点から紹介している。
Walking Memories 1959-69 | Jim Dine
アメリカのアーティスト、ジム・ダインの初期活動を紹介する作品集。1999年から2000年にかけてソロモン・R・グッゲンハイム美術館などで開催された展覧会にあわせて刊行されたもの。1960年代の代表的な制作を中心に、工具、バスローブ、ハート、パレット、インテリアといった象徴的モチーフを用いたミクストメディア作品、絵画、彫刻を収録。日常的な対象を個人的記憶や感情と結びつけ、ポップアート以降の表現に新たな詩的領域を切り開いたダインの創作を明らかにしている。
視覚のカイソウ | 岡崎乾二郎
造形作家・岡崎乾二郎の作品集。2019年に豊田市美術館で開催された大規模個展にあわせて刊行されたもので、絵画、彫刻、建築、ブロックタイルなど多岐にわたる表現を初期から最新作まで約300点収録している。松浦寿夫ら4名による論考を収録し、造形の構造や思想的背景を多角的に探究。400ページを超える構成の中で、岡崎の制作を貫く視覚的・思想的実践の広がりを明らかにしている。
NAGA | 津田直
写真家・津田直による作品集。ミャンマー北部ザガイン管区の山岳地帯に暮らすナガ族の人々とその風土を撮影した作品を収録。緑深い山々の風景や、鮮やかな民族衣装をまとった人々の姿を通して、自然と共に生きる営みの力強さを静かに見つめる。個と集団、過去と現在が交錯する土地の記憶を辿りながら、人間と自然の関係、そして私たちが共有する生命の根源を照らし出している。
Hyungsik Kim: Studio Practice
韓国の写真家、キム・ヒョンシクによる作品集。2013年から2014年にかけて撮影されたシリーズ〈Studio Practice〉を収録。スタジオという人工的な空間のなかで、被写体と光、構図の関係を精緻に探る実験的な試みが展開される。見開き右ページに1点ずつ配した大型図版による、白を基調としたシンプルなレイアウトが特徴で、静謐な構成の中に被写体の存在感と写真という行為そのものへの問いを提示している。
Benjamin Armstrong: Holding a Thread
オーストラリアを拠点に活動するアーティスト、ベンジャミン・アームストロングの作品集。ワックス、木、ガラス、インク、顔料など多様な素材を組み合わせ、優雅さと不穏さが共存する独特の造形世界を築いている。流動するかたちや有機的なフォルムは、生命と変化、記憶と感覚のあわいを暗示し、見る者の内面に静かな緊張を呼び起こす。素材の物質性と感情の深層が交差する、アームストロングの表現を提示している。
Xavier Veilhan
フランス・パリを拠点に活動するアーティスト、グザヴィエ・ヴェイヤンの作品をまとめたモノグラフ。建築、彫刻、インスタレーションなど、多様なスケールで展開される代表作を豊富なカラー図版で収録している。幾何学的な造形と光沢のある素材を用い、現代社会における人とテクノロジー、空間との関係を探るヴェイヤンの創作を体系的に紹介。造形の美と構築的思考が交差する、現代アートの動向を示している。
Elisabeth Wild: Fantaslas
オーストリア出身のアーティスト、エリザベス・ワイルドによる色彩豊かでダイナミックなコラージュ作品を多数収録した作品集。光沢紙の雑誌から切り抜かれた商業的なイメージを素材に、ユーモアと不穏さが共存し、きらめくような神秘性とともに次元や時間を超えたような不思議な世界を創り出している。ワイルドの独創性とその芸術の意義を多角的な視点で語られた寄稿も収録。
オラファー・エリアソン展 相互に繋がりあう瞬間が協和する周期
2023年から2024年にかけて麻布台ヒルズギャラリーで開催された展覧会のカタログ。現代アーティスト、オラファー・エリアソンが麻布台ヒルズの開業にあわせて制作したパブリックアートを中心に、水彩、ドローイング、立体、インスタレーションなど多様な作品を紹介している。自然現象の観察や環境への関心を基盤に、光や水、空気の変化を通して知覚と感情の関係を探るエリアソンの創作を包括的に収録。人と環境、時間の流れが響き合う瞬間を提示している。
Light Scape | 清水行雄
写真家・清水行雄による作品集。アメリカ、中国、台湾、モロッコ、アフリカ、スペインなど、世界各地で撮影されたモノクロ写真を収録している。海や岩山、寺院、馬、クラシックカー、葉巻をくゆらす男といった被写体が、自然光のもとで生まれる光と影の強いコントラストによって浮かび上がる。人と風景が織りなす瞬間の美しさを静謐なトーンでとらえ、異なる土地の日常の中に通底する普遍的な生命のリズムを映し出している。
驚異の部屋 京都大学ヴァージョン
2013年から2014年にかけて東京大学総合研究博物館と京都大学総合博物館の共同で開催された展覧会のカタログ。京都大学総合博物館が所蔵する貴重な学術標本コレクションを中心に構成され、動物の剥製や骨格標本、模型など約50点を精緻な写真で紹介している。学術資料としての正確さと、被写体がもつ造形的な美しさの両面に焦点を当て、自然史と美術表現のあいだに横たわる領域を探る視点となっている。
Goshka Macuga: Intellectual Co-operation
2018年にドイツ・ニュルンベルクのノイエス・ミュージアムで開催された展覧会のカタログ。ロンドンを拠点に活動するアーティスト、ゴーシュカ・マクーガの作品と展示風景を収録している。フォトコラージュ、彫刻、映像、パフォーマンスなど多様なメディアを横断しながら、歴史的資料とフィクションを組み合わせて再構築する独自の手法が特徴。国際的な知的交流というテーマを背景に、記憶と物語、権力と文化の関係を問い直すインスタレーションの数々を提示している。
Beauty Lies in the Eye
スイス出身の写真家、カトリーヌ・セレソールによる作品集。夫ニコラとともにニューヨークに滞在し、1980年代のアンダーグラウンド・ミュージック・シーンを間近で記録したもの。ソニック・ユース、ビースティ・ボーイズ、クリスチャン・マークレーら、当時のパンク、ニューウェーブ、アヴァンギャルドな音楽を牽引したアーティストたちの姿をモノクロームで収めている。荒々しくも親密な視線が交錯する写真の数々は、熱気と創造力に満ちた時代の鼓動を静かに伝えている。