丸石拾遺集 | 米田拓朗
写真家・米田拓朗による作品集。山梨県に多く存在する、丸い石を祀った石造物「丸石神」を探訪し、650基以上を撮影した記録の中から、とくに濃密に分布する笛吹川流域を中心に100基を紹介している。収録形式はポストカード100枚で構成され、付属のテキストでは丸石神の由来や信仰の背景を解説。さらに分布地図をまとめたシートも収められ、民間信仰としての丸石神の姿を視覚的かつ資料的に提示している。
起源 | 増浦行仁
写真家・増浦行仁による作品集。題材は「神宿る島」として知られる沖ノ島と、宗像大社を中心とした宗像一族ゆかりの古墳群である。古来より限られた人々しか立ち入ることを許されなかった沖ノ島は、島全体が宗像大社の神領とされ、自然の中に点在する社や神聖な儀式が今なお受け継がれている。本書では、島の荒々しい岩場や深い森、社殿や祭祀跡をモノクロとカラーの写真で捉え、信仰と自然が交錯する独特の風景を映し出している。
WORKSIGHT 2011-2021: Way of Work, Spaces for Work | 山下正太郎
ワークスタイル戦略情報メディア「WORKSIGHT」の成果をまとめた記録集。2011年から2021年にかけて取材した世界各国のオフィス空間を紹介しており、グローバル企業からベンチャーまで幅広い事例を収録する。マクドナルド、キックスターター、Slack、マイクロソフトなど33の事例を大判の図版と解説で提示し、働き方の変化に呼応する空間デザインの実際を探ることができる。未来のオフィス像を考えるうえでの重要な手がかりを照らし出している。
Emerging Japanese Architects
戦後日本建築の第4世代として1985年以降に登場した新進の建築家6組を紹介する作品集。北川敦志、清志・タケヤマ/AMORPHE、丹紀彦、若林浩之、WORKSHOP、原久志らが手がけた商業施設を中心とする建築をモノクロ図版で収録している。実用性と美学を兼ね備えた作品を通じて、各建築家の設計思想を読み解く内容となっている。1990年代初頭の日本建築の動向を国際的な視点から具体的に描き出している。
建築模型とその提案書展
「建築模型とその提案書展」の開催に合わせて刊行された図録。藤森照信、隈研吾をはじめ13名の建築家へのインタビューを収録し、建築模型や提案書とともに紹介している。アイデアの発案から実際の建築物へと至る過程を追いながら、建築家がどのように思考を重ね、空間を形づくっていくのかを多角的に示す内容。豊富な図版により、設計の裏側に潜む創造性や時代性を具体的に照らし出している。
青山二郎の眼 | 世田谷美術館 ほか
2006年から2007年にかけて開催された展覧会「青山二郎の眼」の図録。装丁家・美術評論家として知られる青山二郎が手掛けた装丁作品や、蒐集・鑑定の対象となった古陶磁、さらに多くの作家との交流を紹介。昭和の芸術と文化を青山の審美眼を通して辿る構成となっており、その幅広い関心と独自の価値観を明らかにしている。芸術批評と装丁、美術蒐集の交差点に位置する青山の全体像を提示している。
物には心がある。 | 田中忠三郎
民俗学者・民俗民具研究家の田中忠三郎によるエッセイ集。自ら蒐集した民具コレクションの写真とともに、消えゆく生活道具に宿る作り手の思いを語り、蒐集に魅せられた自身の人生を綴っている。「麻の腰巻き、そして女性下着の研究」「鮭皮のブーツは靴底に背ビレ」「縄文時代に行き交った、物、情報、そして恋」など多彩なテーマを収録。民具に込められた心や文化の痕跡を通して、人と物との関わりを照らし出している。
フンデルトヴァッサー建築
オーストリアの芸術家フリーデンスライヒ・フンデルトヴァッサーによる建築を紹介する作品集。直線を極力排し、自然との調和を志向した独自のスタイルは、おとぎ話のような世界観を生み出している。本書では建築家としての活動にとどまらず、思想家・芸術家としての側面に焦点を当て、宣言文やスピーチ、著作を通じて建築思想との結びつきを示している。さらに、模型や図面などの資料から構想のプロセスを可視化し、ウィーンのフンデルトヴァッサー・ハウスをはじめとする代表的プロジェクトを豊富な図版で提示している。
2G No.2 Toyo Ito Seccion 1997
スペイン発の建築雑誌『2G Magazine』第2号は、建築家・伊東豊雄を特集している。長岡リリックホール、養護老人ホーム八代市立保寿寮、八代広域消防本部庁舎など、代表的なプロジェクトを豊富な写真や図版とともに紹介。建築の造形や空間構成に加え、社会性と機能性の両立を探る試みが読み取れる内容となっている。巻末には伊東豊雄自身によるエッセイを収録し、作品の背景にある思想を直接的に提示している。
清ら布 沖縄の風を織る光を染める
沖縄本土復帰30周年を記念して開催された「清ら布展」にあわせて刊行された作品集。染色から織りにいたるまで多くの工程が手作業で行われ、受け継がれてきた染織の伝統を紹介している。布に込められた技と心を示す作品が多数収録され、鮮やかな色彩や独自の文様が沖縄の自然や風土と深く結びついていることを伝えている。写真と解説を通じて、地域に根ざした染織工芸の歩みとその精神性を具体的に映し出している。
茶裂 | 山野政雄
茶道具に用いられる裂地を体系的に紹介した資料集。袱紗、茶入仕覆、表具裂を基調に構成され、各裂地の名称や由来、文様、技法についての解説を添えている。茶の湯の精神を映す織物としての茶裂を、歴史的・美的・精神的な観点から多角的に捉え、単なる実用品を超えた価値を示している。伝統工芸と茶の湯文化の結びつきを具体的に照らし出している。
ヴァレリオ・オルジアティ
2011年から2012年にかけて東京国立近代美術館で開催された、スイスの建築家ヴァレリオ・オルジアティの展覧会にあわせて刊行された図録。世界各地での巡回展の展示風景や会場図面を収録し、さらにオルジアティが設計した建築作品をカラー図版で紹介している。巻末には本人へのインタビューを収め、思想と実作の双方を探る内容となっている。展示記録と作品資料を通して、現代建築におけるオルジアティの独自の立ち位置を浮かび上がらせている。
柳宗悦展 暮らしへの眼差し
2011年に東京、横浜、大阪、広島を巡回した「柳宗悦展 暮らしへの眼差し」にあわせて刊行された図録。民藝運動を主導した思想家・柳宗悦の人物像と活動を紹介するとともに、蒐集した多彩なコレクションを解説している。さらに、息子である柳宗理へと受け継がれた「手」と「目」に注目し、両者が館長を務めた日本民藝館の歩みを通して、民藝の理念とその継承を探る内容。民藝運動の思想と実践の広がりを具体的に浮かび上がらせている。
ジャン・ヌヴェル 最新プロジェクト Jean Nouvel Recent Project
フランスの建築家、ジャン・ヌヴェルによる近作を収めた作品集。ルーヴル・アブダビやカタール国立美術館をはじめ、ヨーロッパ、アメリカ、中東で展開した19のプロジェクトを紹介している。カラーとモノクロの図版に加え、ヌヴェル自身による詳細な解説を収録し、建築思想と実践の双方を伝えている点が特徴。さらにインタビューを通じて、プロジェクトの背景や設計過程が多角的に語られ、現代建築におけるヌヴェルの位置づけを明らかにしている。
藤本壮介最新プロジェクト Sou Fujimoto Recent Project
建築家・藤本壮介による2010年から2013年までのプロジェクトを収録した作品集。「House K」「サーペンタイン・ギャラリー・パビリオン2013」「せとの森住宅」など多彩な計画を取り上げ、図面や写真に加えインタビューも掲載している。自然との関係性を重視しつつ、空間の新たな可能性を模索してきた藤本の設計思想を多角的に提示。豊富な図版と解説を通じて、短期間におけるデザインの変遷とその背景を具体的に描き出している。
日本木造遺産 千年の建築を旅する | 藤森照信、藤塚光政
建築史家、藤森照信と建築写真家、藤塚光政が日本各地にある個性的で変わった木造建築を訪ね歩いたエッセイ集。2012年から家庭画報で2年間にわたり連載されたコラム「日本の木造遺産」を書籍化したもの。浄土寺浄土堂や平等院鳳凰堂、瑠璃光寺五重塔、厳島神社など、日本各地の23の木造建築を取り上げ、これまでにない発想と独自の視点で日本の木造建築を解き明かしていく。
INAX Booklet 型イノベーション 凸と凹
INAXギャラリーで開催された展覧会にあわせて刊行されたブックレット。プラモデル、タイル、ガラス瓶、チョコレートの型、ペットボトル、卵パックなど、日常生活に身近な品々がいかに「型」から形作られているのかを取り上げている。25種類の事例を通じて、ものづくりの現場を探りながら、型が担う創造の仕組みを提示。単なる成形技術としてではなく、生活文化やデザインに深く関わる存在としての型の可能性を具体的に照らし出している。
INAX Booklet 靴のラビリンス 苦痛と快楽
INAXギャラリーで開催された展覧会にあわせて刊行されたブックレット。人間の生活に不可欠な実用品であると同時に、身体性や美意識、権力の象徴ともなってきた「靴」をテーマに据えている。17世紀から20世紀のヨーロッパを中心に、世界各地の民族の靴や日本の靴文化までを視野に収め、その歴史的変容を紹介。文化史、人類学、美学的観点を交差させながら、靴が担ってきた多面的な役割を具体的に描き出している。
INAX Booklet パピルス・サイエンス
INAXギャラリーで開催された展覧会にあわせて刊行されたブックレット。紙の基礎的な性質を強化し、特別な機能を持たせた「特殊紙」の事例を通じて、従来の紙の概念を再構築している。科学技術の進展に加え、文化や造形の観点からも紙の機能と役割を考察し、素材としての可能性を探る内容となっている。実用性と表現性の双方に注目しながら、未来へとつながる紙の新たな価値を照らし出している。
INAX Booklet 不思議・たのしい実験室 学研のふろく30年
INAXギャラリーでの展覧会にあわせて刊行されたブックレット。1963年に始まり、戦後日本の子どもたちに共通の科学体験を与えた学研科学シリーズのふろく教材を取り上げている。30年にわたる科学教育と教材文化の変遷を、ビジュアルとともに体験的に振り返る内容となっており、望遠鏡や顕微鏡、カメラなど懐かしい教材が図鑑形式で紹介されている。
INAX Booklet キヨスク 駅の世相店
INAXギャラリーでの展覧会にあわせて刊行されたブックレット。鉄道駅の構内やホームで利用される小型売店「キヨスク」をテーマに、その成り立ちや品揃え、物流システム、商品構成、陳列方法までを網羅的に紹介している。豊富なビジュアル資料を交えながら、単なる売店としてではなく、公共交通空間の入り口として流通や情報発信の拠点となり、時代の世相を映し出す存在であることを明らかにしている。
江戸の異国万華鏡 更紗・びいどろ・阿蘭陀
2018年にMIHO MUSEUMで開催された展覧会「江戸の異国万華鏡 更紗・びいどろ・阿蘭陀」にあわせて刊行された図録。江戸時代に舶来したインド更紗、ヨーロッパ製のガラス器、陶器など、多彩な工芸品を紹介している。豊富なカラー図版とともに、交易や交流を通じて日本にもたらされた異国趣味の広がりを解説。異文化と日本文化が交錯するなかで生まれた美的感覚や生活文化の変容を具体的に浮かび上がらせている。
三代襲名記念 釜師 吉羽與兵衛展
京釜の伝統を受け継ぐ釜師・吉羽與兵衛の三代襲名を記念して、高島屋で開催された展覧会にあわせて刊行された図録。蒲団釜、四方口釜、唐金朝鮮風炉、真形釜添など21点の作品を掲載している。茶の湯の世界に欠かせない釜の造形美を通して、受け継がれてきた技術と新たな創意がどのように調和しているかを示している。
百工のデザイン
全国各地の工房を訪ね、工芸作家の仕事を記録した作品資料集。2023年にATELIER MUJI GINZAで開催された展覧会「Life in Art JAPAN CRAFT『百工のデザイン』」に出展した7組の作家を取材し、撮影している。木工、陶芸、染織など多様な素材や地域に根差した制作を取り上げ、作家の暮らしや制作環境とあわせて紹介。写真とテキストを通じて、伝統と現代を行き来するものづくりの姿勢や背景を多角的に照らし出している。
日本の近代活字 本木昌造とその周辺
日本の活版印刷史において大きな役割を果たした本木昌造と、その周辺の人々に焦点を当てた資料集。活版印刷術が普及していく黎明期の状況を紹介し、近代日本における印刷文化の基盤をたどる内容となっている。1999年に発足した「本木昌造・活字復元プロジェクト」の一環として刊行され、歴史的資料や活字見本を通じて当時の実像を再現。日本語組版の成立に至る過程を明らかにし、近代出版文化の展開を照らし出している。
秀英体研究 | 片塩二朗
片塩二朗による書体研究書『秀英体研究』。大日本印刷が独自に開発したオリジナル書体「秀英体」の歴史とデザインの変遷を総合的に記録している。築地体と並ぶ明朝体の二大潮流として和文書体に大きな影響を与えた秀英体について、明治から昭和にかけての活字見本帳をもとに初号から六号のひらがなの変化を分析。築地体の影響や改刻による変遷、戦後の新書体開発からデジタル化に至るまでの約100年をたどる。秀英舎製文堂や東京築地活版の見本帳を原寸で多数掲載し、出版物や写真を含む約500点の貴重な図版を収録している。
バーゼルへの道 | ヘルムート・シュミット
スイスのバーゼル・スクール・オブ・デザインにおける教育と実践を回想した書籍。著者のヘルムート・シュミットはドイツ出身のタイポグラファーで、日本やアジアでも活動を展開し、教育者としても高い評価を受けてきた。彼の師であるエミール・ルーダーやアーミン・ホフマンの功績を自身の視点から振り返り、学びと実践の過程を記録。自作や影響を受けた作品も紹介され、20世紀タイポグラフィの重要な潮流を浮かび上がらせている。
The Art of Graphic Design ハードカバー版 | Bradbury Thompson
アメリカを代表するグラフィックデザイナー、ブラッドベリー・トンプソンの作品をまとめたハードカバー版。実験的なアプローチをはじめ、雑誌デザイン、タイポグラフィ、ブックデザイン、オリジナル書体、記念切手に至るまで、幅広い領域での活動を収録。アメリカのグラフィックデザイン史に大きな足跡を残した革新性と造形感覚を総覧し、その業績を明らかにしている。
The Visual History of Type | Paul McNeil
15世紀半ばの活字印刷の登場から今日に至るまでに制作された様々な書体を調査した資料集。320以上の書体を年代順、かつオリジナルの活字見本や初期の印刷の形式で紹介。それぞれの書体の特徴や歴史なども解説した資料性の高い一冊。英語表記。
ハレイション | 来生えつこ、永井博
イラストレーター・永井博と作詞家・来生えつこによる共同作品。永井の鮮やかで心地よいイラストレーションに、来生の随想的な文章を添えて構成された絵本のような一冊。言葉と絵が互いに響き合い、夏の空気や郷愁を想起させる世界観を紡ぎ出す。視覚と文学のコラボレーションを通じて、1980年代的な感性とその文化的背景を映し出している。
A LONG VACATION | 大瀧詠一、永井博
ミュージシャン・大瀧詠一とイラストレーター・永井博によるビジュアルブック。大瀧のヒットアルバム『ロング・バケイション』制作のきっかけともなった一冊であり、永井の透明感あふれるイラストレーションと大瀧の言葉が重なり合い、夏の風景を絵本のように描き出している。音楽と絵の相互作用によって生まれる視覚的・聴覚的な世界観を提示し、1980年代のカルチャーを象徴する作品となっている。
Niagara Song Book | 永井博、大瀧詠一
ミュージシャン・大瀧詠一のアルバム『ナイアガラ・ソング・ブック』をビジュアル化した作品集。イラストレーター・永井博がアルバムの世界を描き出し、全楽譜と歌詞を収録している。レコードと同じ12インチサイズで制作され、音楽とイラストレーションが響き合う構成となっている。
ポスターランド 和田誠作品集 | 講談社
日本のイラストレーターでグラフィックデザイナーの和田誠によるポスター作品集。映画、コンサート、歌劇、フェスティバルなど多様な分野のために制作された137点を収録している。ユーモアと知性を併せ持つ和田誠のデザインは、シンプルな構成の中に独自の物語性を宿しているのが特徴。広告表現としての機能を超えて、ポスターを文化的記録として提示している。
アイデア No.278 アイデア vs デザイナーズ・リパブリック
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.278(2000年1月号)は、イアン・アンダーソン率いるイギリスのデザインスタジオ「デザイナーズ・リパブリック」を特集。40ページにわたり、独創的なオリジナルデザインワークをカラーで掲載。加えて、横尾忠則、都築響一による連載を収録し、付録として大竹伸朗の作品を収めている。2000年代初頭の国際的なデザイン動向を示す貴重な資料となっている。
Typographica | Rick Poynor リック・ポイナー
編集者・デザイナーでありタイポグラファーでもあったハーバート・スペンサーが創刊した雑誌『Typographica』をまとめた作品集。1949年から1967年まで刊行され、多くのデザイナーに影響を与えた同誌を、著者リック・ポイナーが一冊に編集している。ポスターやロゴデザインをはじめ、タイポグラフィに関する幅広い資料をカラーとモノクロで収録し、20世紀デザイン史における『Typographica』の役割を浮かび上がらせている。
伊藤勝一の漢字の感字
アートディレクターでタイポグラファーの伊藤勝一による作品集。感じる漢字、すなわち「感字」をテーマに、文字の形状や構造に焦点を当てたレタリングを多数収録している。それぞれの漢字が内包する意味やイメージを体現する遊び心にあふれた造形が特徴。過去に発表された約80文字を改良し、新たに140文字を加え、全体像をさらに拡充した内容となっている。
おもしろ漢字大図鑑 | 水井正
漢字の成り立ちや意味をユーモラスに紹介するビジュアルブック。文字の一部をイラストに置き換えたり、部首を手がかりに扉ページの前後で意味が反転する仕掛けを取り入れるなど、遊び心のある編集が特徴。熟語のかたちや構造を視覚的に理解できる構成で、学習教材としてだけでなく、大人も楽しめる読み物としての魅力を備えている。
レコード・コレクターズ増刊 ジャケット・デザイン・イン・ジャパン
音楽誌『レコード・コレクターズ』の連載をもとに編集された資料集。2001年5月号から2003年10月号まで2年半にわたり掲載された内容を収録している。奥村靫正、原耕一、羽良多平吉、和田誠、杉浦康平、田中一光ら25人の第一線のクリエイターが、自らの仕事やデザイン観について語る構成。名作ジャケットをカラー写真約500点とともに紹介し、日本の音楽文化とグラフィックデザインの関係性を浮かび上がらせている。
パステル・ワーク ペーター佐藤作品集
日本のイラストレーター、ペーター佐藤の作品集。ミスタードーナツのパッケージやパルコのポスターをはじめ、商業デザインの分野で広く知られる作品を多数収録している。パステルとエアブラシを駆使した独自の技法により、柔らかな質感と繊細な色彩で描かれる人物像は、子どもや女性から太宰治、モーツァルトといった著名人まで多岐にわたる。親しみやすさと気品を併せ持つ作風は、1970〜80年代の日本の広告表現を象徴するものとして位置づけられ、その魅力を提示している。
花あしび | 堀辰雄
朗文堂が刊行した堀辰雄の短編随筆集。戦後まもなく青磁社から刊行された版を限定復刻したもの。大和路を訪れた際の紀行文を中心に、「樹下」「十月」「古墳」「浄瑠璃寺の春」「死者の書」などを収録し、さらに堀多恵子による特別寄稿も加えている。造本設計や組版、校訂の過程を記した制作ノートも付属し、タイポグラフィや文字文化に力を注ぐ朗文堂ならではのこだわりが反映されている。限定700部発行。
草乱 | 山本和子
朗文堂から刊行された山本和子の歌集。タイポグラフィや文字文化に関する出版で知られる同社が手がけており、同人季刊誌『滄』に12年間にわたり発表された作品の中から473首を精選して収録している。美しい本文組と造本も魅力的な一冊。
HELLO NAGINO POSTERS | 薙野たかひろ
イラストレーター薙野たかひろが手がけた「スタジオアルタ」のシーズンポスターを収録した作品集。1983年から2003年までの20年間に制作されたもので、切り紙の技法を用いたシンプルでありながらカラフルで遊び心あふれるデザインが特徴。都市空間に彩りを与えたグラフィックの魅力を示している。
60s 日本の雑誌広告 | ピエ・ブックス
1960年代の日本における雑誌広告を収録した作品集。高度経済成長期のただ中で、人々の生活が急速に変化していく時代に生まれた広告を、デザイン性や時代性の観点から精選している。娯楽性やスピード感にあふれた表現を多数掲載し、約500点に及ぶ図版を収録。当時の流行や文化的背景を視覚的にたどることができ、雑誌広告を通して1960年代の社会の姿を照らし出している。