アイデア No.278 アイデア vs デザイナーズ・リパブリック
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.278(2000年1月号)は、イアン・アンダーソン率いるイギリスのデザインスタジオ「デザイナーズ・リパブリック」を特集。40ページにわたり、独創的なオリジナルデザインワークをカラーで掲載。加えて、横尾忠則、都築響一による連載を収録し、付録として大竹伸朗の作品を収めている。2000年代初頭の国際的なデザイン動向を示す貴重な資料となっている。
Typographica | Rick Poynor リック・ポイナー
編集者・デザイナーでありタイポグラファーでもあったハーバート・スペンサーが創刊した雑誌『Typographica』をまとめた作品集。1949年から1967年まで刊行され、多くのデザイナーに影響を与えた同誌を、著者リック・ポイナーが一冊に編集している。ポスターやロゴデザインをはじめ、タイポグラフィに関する幅広い資料をカラーとモノクロで収録し、20世紀デザイン史における『Typographica』の役割を浮かび上がらせている。
伊藤勝一の漢字の感字
アートディレクターでタイポグラファーの伊藤勝一による作品集。感じる漢字、すなわち「感字」をテーマに、文字の形状や構造に焦点を当てたレタリングを多数収録している。それぞれの漢字が内包する意味やイメージを体現する遊び心にあふれた造形が特徴。過去に発表された約80文字を改良し、新たに140文字を加え、全体像をさらに拡充した内容となっている。
おもしろ漢字大図鑑 | 水井正
漢字の成り立ちや意味をユーモラスに紹介するビジュアルブック。文字の一部をイラストに置き換えたり、部首を手がかりに扉ページの前後で意味が反転する仕掛けを取り入れるなど、遊び心のある編集が特徴。熟語のかたちや構造を視覚的に理解できる構成で、学習教材としてだけでなく、大人も楽しめる読み物としての魅力を備えている。
レコード・コレクターズ増刊 ジャケット・デザイン・イン・ジャパン
音楽誌『レコード・コレクターズ』の連載をもとに編集された資料集。2001年5月号から2003年10月号まで2年半にわたり掲載された内容を収録している。奥村靫正、原耕一、羽良多平吉、和田誠、杉浦康平、田中一光ら25人の第一線のクリエイターが、自らの仕事やデザイン観について語る構成。名作ジャケットをカラー写真約500点とともに紹介し、日本の音楽文化とグラフィックデザインの関係性を浮かび上がらせている。
パステル・ワーク ペーター佐藤作品集
日本のイラストレーター、ペーター佐藤の作品集。ミスタードーナツのパッケージやパルコのポスターをはじめ、商業デザインの分野で広く知られる作品を多数収録している。パステルとエアブラシを駆使した独自の技法により、柔らかな質感と繊細な色彩で描かれる人物像は、子どもや女性から太宰治、モーツァルトといった著名人まで多岐にわたる。親しみやすさと気品を併せ持つ作風は、1970〜80年代の日本の広告表現を象徴するものとして位置づけられ、その魅力を提示している。
花あしび | 堀辰雄
朗文堂が刊行した堀辰雄の短編随筆集。戦後まもなく青磁社から刊行された版を限定復刻したもの。大和路を訪れた際の紀行文を中心に、「樹下」「十月」「古墳」「浄瑠璃寺の春」「死者の書」などを収録し、さらに堀多恵子による特別寄稿も加えている。造本設計や組版、校訂の過程を記した制作ノートも付属し、タイポグラフィや文字文化に力を注ぐ朗文堂ならではのこだわりが反映されている。限定700部発行。
草乱 | 山本和子
朗文堂から刊行された山本和子の歌集。タイポグラフィや文字文化に関する出版で知られる同社が手がけており、同人季刊誌『滄』に12年間にわたり発表された作品の中から473首を精選して収録している。美しい本文組と造本も魅力的な一冊。
HELLO NAGINO POSTERS | 薙野たかひろ
イラストレーター薙野たかひろが手がけた「スタジオアルタ」のシーズンポスターを収録した作品集。1983年から2003年までの20年間に制作されたもので、切り紙の技法を用いたシンプルでありながらカラフルで遊び心あふれるデザインが特徴。都市空間に彩りを与えたグラフィックの魅力を示している。
60s 日本の雑誌広告 | ピエ・ブックス
1960年代の日本における雑誌広告を収録した作品集。高度経済成長期のただ中で、人々の生活が急速に変化していく時代に生まれた広告を、デザイン性や時代性の観点から精選している。娯楽性やスピード感にあふれた表現を多数掲載し、約500点に及ぶ図版を収録。当時の流行や文化的背景を視覚的にたどることができ、雑誌広告を通して1960年代の社会の姿を照らし出している。
70s 日本の雑誌広告 | ピエ・ブックス
1970年代の日本における雑誌広告を収録した作品集。化粧品、ファッション、食品、インテリアといった分野ごとに整理され、花王、サントリー、全日空などをはじめとする企業の優れたアートワークを紹介している。巻末には日本雑誌広告賞の受賞作とともに「70sクロニクル」を掲載し、当時の社会的背景や文化的潮流を振り返る構成。広告表現を通じて1970年代の時代像を浮かび上がらせている。
本へ!あるいは本をめざして | 羽原粛郎
建築写真家・二川幸夫に師事し、デザイナー、教育者、編集者として活動した羽原粛郎による著作。タイポグラフィと書物への賛歌をテーマに、文字や余白、形、紙といった要素を通じて本というメディアの本質を探っている。「知性と美」の視点から書物を見つめ直し、造本やデザインの根源にある思想を明らかにしている。
Blue, Yellow, Red: Color Anagrams
スイスのデザイナー、ハンス・クヌシェルとユルグ・ナンニによる視覚デザインの実験書。隣接する色によって色の見え方が変化する「ベツォルト効果」に焦点を当て、シアンブルー、ジンククロメート(亜鉛黄)、バーミリオン(朱色)の3色を用いた実験的な構成となっている。色の配置や組み合わせによって生じる印象の変化を示し、色彩理論と視覚心理の関係を探る資料的価値の高い内容を提示している。
101の野菜の顔 | 八木保
グラフィックデザイナーでアートディレクターの八木保による作品集。101種類の野菜や食材を用い、表情豊かな「顔」を生み出している。アスパラやトマト、とうもろこしの皮、ロマネスコブロッコリー、スパゲッティやペンネ、フェットチーネなど多様な素材が個性あふれる造形となる。サンフランシスコの野菜畑で家族とともに楽しんだ試みを起点に、地球の多様な恵みを守る意識へとつながる視点を提示している。
VIVA!!カッパン
活版印刷の魅力を伝える入門書。活字の歴史や組版の仕組み、印刷工程を豊富な図版とともに丁寧に解説している。さらに活字鋳造所や印刷所を訪ねる探訪記を漫画的な表現で紹介し、読み物としても楽しめる内容。基礎知識から実践までをカバーし、懐かしくも新しい活版文化の広がりを提示している。
Arte Affiches 1964-1971
パリ・ダゲール通りにあるARTE-Adrien Maeght印刷所で制作されたポスターを収録した資料集の第1巻。1964年から1971年にかけて印刷された作品を紹介している。アンリ・マティス、ジョアン・ミロ、ワシリー・カンディンスキー、アレクサンダー・カルダー、ジョルジュ・ブラックら20世紀美術を代表する作家による展覧会ポスターを収録し、当時の美術とグラフィックデザインの交流を映し出している。
Arte Affiches 1972-1977
パリ・ダゲール通りにあるARTE-Adrien Maeght印刷所で制作されたポスターをまとめた資料集の第2巻。1972年から1977年にかけて印刷された作品を収録している。フランシス・ベーコン、アントニ・タピエス、ジョアン・ミロ、田原桂一、アルベルト・ジャコメッティ、パウル・クレーら著名作家の展覧会ポスターが掲載され、同時代の美術とグラフィックデザインの関わりを見せている。
Japanese Modern: Graphic Design Between the Wars
1920年代から1930年代にかけて独自の展開を遂げた日本のグラフィックデザインを紹介する資料集。西洋のアール・デコを中心とする影響を受け、フランスやドイツのデザイナーの技法に加え、バウハウス、構成主義、未来主義の要素を取り入れることで、新しい表現と可能性が切り開かれた。ポスター、マッチ箱、トレードマーク、グラフ雑誌『Front』など、多様な媒体を収録し、当時のデザイン史とその特徴を明らかにしている。
福田繁雄個展資料
「日本のエッシャー」と称されるグラフィックデザイナー、福田繁雄の個展図録。動きそのものを立体化したシリーズや、鏡の中でのみ正しく映る「デコブル」「ボコブル」など、視覚トリックを駆使した独創的な作品を多数収録している。福田の作品は、遊び心と知的な仕掛けが融合し、見る者に驚きと発見をもたらす点に特徴がある。また、手塚治虫が寄稿した「福田イズムは唯一無二」と題するエッセイも掲載され、同時代の表現者からの評価も示されている。作品と思想の双方から福田繁雄の魅力を浮かび上がらせている。
花椿合本 2002年1月号-12月号 | 資生堂
資生堂が発行する企業文化誌『花椿』の2002年度版12冊をまとめた一冊。アートディレクションは仲條正義が担当し、当時の流行ファッションや最先端アートに関する情報に加え、多様なカルチャーを扱うテキストを収録している。その時代の動向を誌面に反映させながら、資生堂が築いてきた美意識と企業文化誌としての独自性を提示している。
花椿合本 2004年1月号-12月号 | 資生堂
資生堂が発行する企業文化誌『花椿』の2004年度版12冊をまとめた一冊。ファッションやアートを中心とした多彩なトピックを扱い、当時のトレンドや文化の流れを誌面から読み取ることができる。創刊から70年以上の歴史を持つ企業文化誌としての独自性とともに、資生堂が築いてきた美意識と時代性を提示している。
アイデア No.165 第3回NAAC展
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.165(1981年3月号)。巻頭特集はNAAC(日本広告技術協議会)による第3回展覧会で、レコードジャケット、ポスター、写真、パッケージデザインなど幅広い分野の作品を紹介している。さらに「フランスの愉快なイラストレーター」「木村勝のパッケージ・デザイン」「創造性豊かなケン・ホワイト・デザイン・オフィス」といった記事も収録し、1980年代初頭の広告とデザインの動向を伝えている。
アイデア No.164 ニューヨーク・タイプディレクターズ26回展
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.164(1981年1月号)。巻頭特集は「ニューヨーク・タイプ・ディレクターズ・クラブ」第26回展で、世界各国から応募されたタイポグラフィ作品の中から、ヘルマン・ツァップやハーブ・ルバリンらの入選作を掲載している。さらに「オランダのデザイナー、コワルケとスティエンストラ」「イスラエルのグラフィック・デザイナー、デイビッド・ターターコーバー」「ジャパン・スタイル展」などの記事も収録し、国際的なデザイン動向を提示している。
アイデア No.163 第22回ソサエティ・オブ・イラストレーターズ
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.163(1980年11月号)。巻頭特集は「ソサエティ・オブ・イラストレーターズ」第22回展で、世界各国から集まった応募作品の中から、エディトリアル部門、広告部門、TVフィルム部門など多彩な分野の優れたイラストレーションを掲載している。さらに「ミック・ハガティの最新作」「多才でオルガナイズにすぐれたイギリスのデザイナー、シモン・ジェニング」「フランスの工業デザイナー、アラン・カレ」などの記事も収録。
アイデア No.162 石漢瑞/香港
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.162(1980年9月号)。巻頭特集は、ウィーン生まれでニューヨーク育ち、香港を拠点に活躍するデザイナー、ヘンリー・スタイナー(石漢瑞)を取り上げ、作品とバイオグラフィを紹介している。さらに「写真家ブルース・オズボーン」「浅葉克己によるサントリーのアート・ディレクション」「清原悦志グラフィックワーク」などの記事も収録。1980年代初頭のアジアと世界を結ぶデザイン動向を映し出している。
アイデア No.160 ハワイのデザイナー、ブルース・ホッパーの仕事
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.160(1980年5月号)。巻頭では、ハワイを拠点に活動するデザイナー、ブルース・ホッパーの仕事を特集し、建築やインテリア、ロゴ、プロダクトデザインなど幅広い実践を紹介している。加えて「三宅一生のクリエーション・デザイン」や「日本の伝統パッケージ」などの記事を収録。
アイデア No.159 資生堂化粧品のデザイン史
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.159(1980年3月号)。巻頭では「資生堂化粧品のデザイン史」を特集し、資生堂宣伝部長・中村誠のインタビューを通じて化粧品パッケージや広告表現の変遷をたどっている。さらにヤン・ライリッヒによる「ポーランド誌の表紙デザイン」や、ケイトー・ヒバード・デザイン社の活動紹介、「フルーツギフトパッケージの新しい展開」など多彩な記事を収録。
アイデア No.158 ニューヨーク・タイプ・ディレクターズ・クラブ25回展
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.158(1980年1月号)。巻頭では、世界中から2万点以上の応募が寄せられるタイポグラフィの展覧会「ニューヨーク・タイプ・ディレクターズ・クラブ」第25回展を特集し、入選作を紹介している。さらに「日本のポスター展<江戸から現代まで>」や、CBSのアートディレクターとして知られるルウ・ドーフスマンへのインタビュー「日本をテーマに選んで」なども掲載。
アイデア No.157 ダーヴィッド・ヒルマンによる「ノヴァ」のエディトリアル・デザイン
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.157(1979年11月号)。巻頭は、ダーヴィッド・ヒルマンが手がけた雑誌『ノヴァ』のエディトリアル・デザインを紹介。併せて、チェコのグラフィックデザイナー、ヤン・ライリッヒの作品とバイオグラフィを特集している。そのほか、マーク・トライブによる「都市を読みとること」や「変貌するイラストレーター、横尾忠則」など、多彩なテーマを扱った記事を収録。
Un Mare di Numeri: Ll Gusto del Numero Nella Grafica Olivetti | オリベッティ社
イタリアの企業オリベッティ社によるポスターデザインを収録した作品集。プロダクトデザインの先駆けとして知られる同社の活動の中でも、数をテーマにしたグラフィック表現に焦点をあてている。ジョバンニ・ピントーリ、ジャン=ミッシェル・フォロン、エンツォ・マリら著名デザイナーが手がけたポスターを多数掲載し、企業イメージとデザインの融合を示している。
La Grafica della "O" 50 Anni di Copertine Olivetti | オリベッティ社
イタリアの企業オリベッティ社が発行した印刷物の表紙デザインをまとめた作品集。プロダクトデザインの先駆けとして知られる同社の活動を、ブランドイメージを象徴するグラフィック表現から検証している。50年にわたる表紙の変遷を通じて、企業デザインの一貫性と革新性が示されており、オリベッティが築いた視覚文化の歩みを提示している。
イサム・ノグチ庭園美術館 | 篠山紀信、佐藤卓、三宅一生
イサム・ノグチ庭園美術館の写真集。篠山紀信がノグチ本人と作品群を背景に撮影した写真に加え、10年後に再び篠山とデザイナー佐藤卓が美術館を訪問し、新たに撮り下ろした図版を収録している。2009年、三宅一生の監修による開館10周年を記念して刊行された一冊であり、彫刻と空間、そして作家の存在が交差する場を記録する構成となっている。
Anzai: Homage to Isamu Noguchi | 安斎重男
写真家・安斎重男による作品集。彫刻家イサム・ノグチの立体作品を撮影するとともに、ポートレートや制作風景、プライベートショットを多数収録している。彫刻そのものだけでなく、作家の人物像や創作の背景をあわせてとらえることで、ノグチの芸術世界の広がりを示している。写真を通じて作品とその周辺を結び付け、20世紀を代表する彫刻家の多面的な姿を浮かび上がらせている。
Cy Twombly: Fifty Years of Works on Paper
20世紀を代表する現代美術家サイ・トゥオンブリーの作品集。2003年にエルミタージュ美術館で開催された大規模な回顧展にあわせて刊行されたもので、1953年から2002年にかけて制作されたドローイング84点をカラー図版で収録している。詩的な線描や抽象的な形象は、トゥオンブリー独自の美学を示すとともに、美術史や文学との深い関わりを物語っている。50年にわたる創作の軌跡を通して、その芸術世界を照らし出している。
The Window of My Studio | Josef Sudek
チェコを代表する写真家ヨゼフ・スデックによる作品集。1940年から1954年にかけて制作された「The Window of My Studio」シリーズを収録している。自身のアトリエの窓から日々の情景をとらえ、雪の積もった庭の木、夜の街灯の光、結露した窓辺の果物などを詩的に描き出す。移り変わる時間と季節を通して、限られた視点から無限に広がる世界を提示し、写真表現の静謐な力を浮かび上がらせている。
Many are Called | Walker Evans
アメリカの写真家ウォーカー・エヴァンスによる作品集『Many Are Called』の新装復刊版。ニューヨーク市地下鉄開業100周年を記念して刊行されたもの。1938年から数年にわたり、隠しカメラで地下鉄の乗客を撮影したシリーズを収めている。気を抜いた表情の人々、新聞を読む男性、会話を楽しむ女性、車内で演奏するアコーディオン奏者など、日常の断片を静かにとらえた写真群は、都市の匿名性と人間の内面を浮かび上がらせている。
Henri Cartier-Bresson: The Decisive Moment
フランスの写真家アンリ・カルティエ=ブレッソンによる代表作『The Decisive Moment』の復刻版。写真家集団マグナムの創設者のひとりとしても知られ、「決定的瞬間」と呼ばれる独自の視点で、ストリートスナップを芸術の域に高めた一冊。ヨーロッパをはじめとする各地で撮影された写真は、20世紀を代表するドキュメンタリー表現として位置づけられている。解説ブックレット付き。
Your Lighthouse | Olafur Eliasson
デンマーク出身の芸術家、オラファー・エリアソンによる作品集。1990年から2004年に制作された138点の光と鏡を用いたインスタレーションを網羅し、索引形式で収録している。それぞれの作品に関する解説を通じて、 perception(知覚)や空間、自然現象をテーマにしたエリアソンの探究を浮かび上がらせる内容となっている。圧倒的なビジュアルと詳細なテキストで構成された、初期から中期にかけての活動を示す重要な記録。
内藤礼 地上にひとつの場所を One Place on the Earth
日本の美術家、内藤礼による初の作品集。1989年の初期作「遠さの下、光の根はたいら」から、2001年に直島で発表された「このことを」に至るまでの展覧会風景や作品群を多数のカラー図版で紹介している。静謐で繊細なインスタレーションを通じて、内藤が一貫して探求してきた「生の在りか」を読み解くことができる構成となっている。国内外での活動を網羅し、作家の歩みを提示している。
Richard Diebenkorn: Figurative Works on Paper
20世紀西海岸を代表する画家リチャード・ディーベンコーンの紙上作品をまとめた作品集。1950年代半ばから60年代後半にかけて制作された未発表を含むドローイングやペインティング、ガッシュ計42点を収録している。具象と抽象の間を往復しながら探求を続けた時期の成果であり、後年の代表作「オーシャンパーク」シリーズにも通じる造形的な試みを見せている。ジョン・バーググリュン・ギャラリーとの協働により刊行され、ディーベンコーン研究における重要な一冊。
デザート・カントス | リチャード・ミズラック
アメリカの写真家リチャード・ミズラックによる作品集。文明の進展とともに姿を変えるアリゾナの砂漠を題材に、静謐な構図と鮮やかな色彩でとらえた「デザート・カントス」シリーズを収録している。雄大な自然の美しさに加え、人為的な火災や洪水など、環境の破壊や変容を記録する視点が重ねられている点が特徴。風景写真の形式を通じて、自然と人間活動のせめぎ合いを明らかにしている。
American Surfaces | Stephen Shore
「ニュー・カラー」を代表する写真家スティーブン・ショアによる作品集。1972年から1973年にかけて、ニューヨーク、アリゾナ、オハイオなどアメリカ各地を巡り撮影した写真を収録している。日常的なモチーフを鮮やかな色彩で写し取ることで、当時のアメリカ社会の風景を新たな視点から提示。ウィリアム・エグルストンやジョエル・マイヤーウィッツと並び称されるショアの仕事は、カラー写真の表現領域を大きく広げたことを明らかにしている。