工芸青花 11号
青花の会が刊行する『工芸青花』第11号。巻頭では、山茶碗を愛する6名がそれぞれの視点から魅力を語る特集を掲載。石のような質感、ざらつきの味わい、茶道具としての扱いなど、多面的に山茶碗の世界を掘り下げている。そのほか、金沢百枝による欧州タイル紀行、大谷哲也の器を論じる「『生活工芸』以後の器」、川瀬敏郎の「籠にいける」、杉村理による随筆「骨董と私」など多彩な企画を収録。限定1200部。望月通陽の型染絵付属。
工芸青花 13号
青花の会が刊行する『工芸青花』第13号。巻頭特集では、スイスに残るロマネスク建築「ミュスタイアのザンクト・ヨハン修道院」を軸に、修道院の歴史や空間に宿る造形美を取り上げる。さらに、川瀬敏郎が京都・杉本家住宅でいけた花の姿を紹介する企画、柳宗悦の思想と民藝の「美」を考察する論考など、多方面から工芸と美意識を探る内容が揃う。限定1100部。望月通陽の型染絵付属。
工芸青花 16号
青花の会が刊行する『工芸青花』第16号。特集は、麻布十番の骨董と現代工芸の店「さる山」の閉店前の姿を撮影した「『さる山』の店と仕事」。店主・猿山修の仕事ぶりや店に宿る空気を多角的に伝える内容となっている。このほか、川瀬敏郎による花の造形を「侘び」の視点から読み解く企画、古代ユーラシアの造形に迫る「ロシアとスキタイ」、望月通陽とプロジェクト「as it is」を紹介する章など、多彩な寄稿を収録。限定1000部。望月通陽の型染絵付。
日本染織総華 紅型・藍型 | 浦野理一
染織研究家・浦野理一が、沖縄の伝統染織「紅型」「藍型」を総覧的にまとめた資料集。鮮やかな色彩と緻密な文様が特徴の紅型、澄んだ藍の濃淡で表現される藍型を豊富な図版で紹介し、風土や歴史との関わり、模様の成り立ち、染色技法の特徴までを丁寧に解説している。沖縄の染織文化が育んできた独自の美意識と、その背景にある技術の深さを読み解く構成で、研究資料としても意匠の参考としても役立つ内容となっている。
日本染織総華 小紋 | 浦野理一
染織研究家・浦野理一が、日本の伝統染織「小紋」を体系的にまとめた資料集。江戸から明治、さらに現代に至る多彩な小紋を豊富な図版で紹介し、その文様の特異性や階層性、技法の移り変わりを丁寧に解説している。細密なパターンに宿る美意識や、地域ごとの特徴、時代背景との関わりを多角的に読み解く構成で、小紋が育んできた日本の装い文化の奥行きを示している。染織史の研究資料としても、意匠の参考としても充実した一冊。
domus 1970–1979 | TASCHEN
ミラノの建築家ジオ・ポンティによって1928年に創刊された建築・デザイン誌『domus』の1970年代の誌面を再構成したアーカイブ集。個性の表出やポストモダンの萌芽、エネルギー危機に直面した設計思想の転換など、建築・デザ […]
日本の古地図 | 南波松太郎、室賀信夫、海野一隆
彩色豊かな世界図や日本全図、道中図、地方図、国図、町図など、多様な古地図を収録した資料集。インドを中心に描かれた仏教式世界地図や、豊臣秀吉が所持した扇面図をはじめ、重要文化財に指定された作品も多数含まれている。精緻な筆致と鮮やかな色彩は、地理的情報を伝えるだけでなく、当時の人々の世界観や信仰をも映し出すものとなっている。歴史的背景とともに、近世から近代にかけての日本と世界の認識の変遷を照らし出している。
Modern Forms: A Subjective Atlas of 20th-Century Architecture | Nicolas Grospierre
ポーランドを拠点に活動する写真家ニコラス・グロスピエールによる建築写真集。1920〜1989年に世界各地で建てられた近代建築を、造形の特徴ごとに整理して紹介している。セントルイスのゲートウェイ・アーチやキエフの科学研究開発協会、リトアニアの温泉病院、トリポリに残るオスカー・ニーマイヤー設計の未完の展示会場など、よく知られた建築から見過ごされがちな構造物まで幅広く収録。巻末には建物の所在地・建設年・設計者・用途が一覧でまとめられ、20世紀建築の多様な思想と社会背景を読み解いている。
フランス絵本の世界 鹿島茂コレクション
仏文学者であり古書収集家として知られる鹿島茂が長年集めてきたコレクションから、フランスの子どもの本を精選して紹介する展覧会図録。19世紀の暮らしを描いたクラシック絵本から、20世紀モダニズムのデザイン、人気シリーズ『ぞうのババール』まで幅広く網羅。さらに、漫画(バンド・デシネ)やアニメーションへつながる初期の表現も取り上げ、フランス絵本文化の源流と発展を丁寧にたどっている。
柳宗悦の民藝と巨匠たち展 柳宗悦の心と眼 富本・リーチ・河井・濱田・芹沢・棟方・黒田
近代日本を代表する芸術運動「民藝」を創始した思想家・柳宗悦の仕事と、その理念に共鳴した工芸・美術家たちの表現を紹介する展覧会図録。日本各地での調査・蒐集、優れた工芸家との協働、さらに戦後に深めた宗教思想まで、柳の美意識の広がりを工芸作品と膨大な著述からの言葉とともに辿る構成。今日に受け継がれる「民藝」の価値をあらためて照らし出す内容となっている。
人間国宝 濱田庄司展
川崎市市民ミュージアム開館20周年を記念して開催された展覧会に合わせて刊行されたもの。日本の陶芸家であり人間国宝として知られる濱田庄司の創作を紹介している。『層雲』の挿絵や初期の陶工時代の仕事、文様の展開、流掛・流描の技法、沖縄との関わり、赤絵の表現など、作品と資料を通じてその歩みを丁寧に辿る構成。濱田の多彩な経験と探究心が、現代にまで受け継がれる益子焼の変容をどのように導いたのか、その軌跡を辿る。
The Kinfolk Home: Interiors for Slow Living | Nathan Williams
ライフスタイル誌『Kinfolk』によるインテリアブック。世界各地の40軒の住まいを、美しい写真と丁寧なインタビューを通して紹介する。森の中の小屋、都市のアパートメント、多世代が暮らす家など、異なる環境や文化の中で育まれた“スローリビング”の思想を探る内容。単なるインテリア紹介にとどまらず、住まいにまつわるエッセイや回想、レシピも収録し、「家」が人と人、人と場所を結びつける場であることを静かに伝えている。
The Kinfolk Entrepreneur: Ideas for Meaningful Work | Nathan Williams
ライフスタイル誌「KINFOLK」が手がけたビジュアルブック。出版、建築、ファッション、デザインなど多様な分野で活躍する40名以上のクリエイティブな起業家に取材し、仕事の哲学や働き方、生き方のバランスをどう築いているのかを、美しい写真とともに紹介している。世界各地のアトリエやワークスペースを訪ねながら、成功と失敗の受け止め方、モチベーションの保ち方、自分らしい働き方を模索する姿を描き出し、創造的に働くためのヒントを探る。
Hockney’s Pictures ハードカバー版 | デイヴィッド・ホックニー
画家デイヴィッド・ホックニーの半世紀にわたる画業を俯瞰する作品集。1960年代から2000年代にかけて制作された作品をカラーで多数収録している。風景や人物を主題としたペインティングやドローイングに加え、写真コラージュなど多様な技法を取り入れた作品を網羅。代表作から近年の試みまでを一望できる構成となっている。
アジアにめざめたら:アートが変わる、世界が変わる 1960-1990年代
2018〜2019年に東京・韓国・シンガポールで開催された展覧会の公式カタログ。1960〜1990年代のアジア各地で起きた、近代美術から現代美術への大きな転換期を広い視野でとらえ、政治・社会状況の変化とともに形づくられた多様な表現を紹介している。映像、写真、パフォーマンス、立体、インスタレーションなど、国や地域を越えて交錯する作品群を3章構成で解説。急速に多様化したアジア美術の流れを俯瞰し、その背景にある思想や文化的変容を読み解く資料として価値をもつ内容となっている。
Porto Vado | Carlo Valsecchi
イタリアの写真家カルロ・ヴァルセッキによる作品集。リグーリア州ヴァード・リグレにある港湾施設を題材に、巨大な倉庫や石油関連のインフラ、海上の構造物をスケール感豊かに撮影している。無機質な建造物と地中海の空や海とが対比され、工業化された風景に潜む美を際立たせる構成。建築写真や風景写真の枠を超えて、産業と自然が交錯する場を探る一冊。
パウル・クレーの文字絵 アジア・オリエントと音楽へのまなざし
パウル・クレーの芸術思想における核心を探る評論集。第一次世界大戦と戦後の混乱期に描かれた〈文字絵〉を中心に取り上げ、クレーがそこに込めた意味や表現の可能性を考察している。画家としての歩みを辿りながら、アジアやオリエント、音楽への関心といった多様な要素との結びつきを示し、作品解釈の新たな視座を提示。多数の図版を収録し、テキストとあわせてクレーの造形思想を紹介している。
Tina Modotti | Margaret Hooks
20世紀中頃に活動したアメリカの写真家、ティナ・モドッティの作品集。モドッティは、メキシコの社会や労働者、女性たちを写した力強い写真で知られ、モダニズム写真を語るうえで欠かせない存在として再評価が進んでいる。本書には、彼女が各地を巡りながら記録した壁画や人々の姿などを収録し、その鋭い観察眼と社会へのまなざしが伝わる構成となっている。
ロトチェンコ+ステパーノワ ロシア構成主義のまなざし | アレクサンドル・ロトチェンコ、ワルワーラ・ステパーノワ
2010年に開催された「ロトチェンコ+ステパーノワ ロシア構成主義のまなざし」展の図録。生活と芸術の両面で協働し、ロシア構成主義を推し進めたアレクサンドル・ロトチェンコと、その妻で同じく芸術家のワルワーラ・ステパーノワによる絵画、写真、ドローイング、舞台美術など多彩な作品を収録する。20世紀初頭の前衛美術を代表する二人の活動を辿り、創作の軌跡と時代背景を浮き彫りにする。装丁は服部一成と山下ともこ。
デザイン学 思索のコンステレーション | 向井周太郎
インダストリアルデザイナー向井周太郎によるデザイン哲学の書。アブダクション、バウハウス、コスモロジーなど、デザインに関わる重要な概念を星座のように配置し、その根源とプロセスを探求している。「デザインは特定の専門分野ではない専門分野」であると捉え、生命原理との結びつきから思索を広げることで、具体的な世界を多角的に見渡す視点を提示。40年以上にわたる実践と思考の結晶として、デザインをめぐる新たな地平を示している。
山名文夫展 永遠の女性像・よそおいの美学 | 目黒美術館
1998年から1999年にかけて開催された展覧会「山名文夫展 永遠の女性像・よそおいの美学」にあわせて刊行された図録。グラフィックデザイナー、挿絵画家、詩人として多彩な才能を発揮した山名文夫の仕事を、豊富な図版とともに紹介している。ポスターや資生堂の化粧品パッケージ、ロゴデザイン、原画や習作まで、幅広い作品群を収録。
アタゴオル絵本 青猫島コスモス紀 | ますむらひろし
漫画家ますむらひろしによる絵本で、人と猫が言葉を交わす幻想的な世界を舞台に、主人公の猫ヒデヨシの冒険を描いている。繊細な線描によるイラストレーションが物語に豊かな表情を与え、装丁を手がけた羽良多平吉の独創的なデザインが平面性を超えた空間を生み出している。絵と本の造形が一体となり、読者を異世界へと誘う構成となっている。
イーハトーヴ波 ますむらひろし画文集
宮沢賢治の世界を独自の感性で描き続けてきた漫画家・ますむらひろしによる画文集。「アタゴオル」「ラビット・タウン」「アンダルシア」「イーハトーヴ」など6章で構成され、詩情豊かなイラストレーションと軽やかな文章が響き合いながら、賢治作品に通じる幻想的な風景を描き出す。装丁は羽良多平吉+EDix。
a girl like you 君になりたい。 | 佐内正史
写真家・佐内正史によるポートレート作品集。カルチャー誌『relax』で2000年から2004年にかけて連載された「a girl like you〜君になりたい」と、『relax for girls #3』の撮影をもとに構成されている。誌面には使用されなかった未公開カットのみで編集されている点が特徴。蒼井優、宮崎あおい、石原さとみ、長澤まさみ、麻生久美子、沢尻エリカら、40名に及ぶ俳優やモデルのポートレートを収録し、時代の空気と若い表現者たちの姿を映し出している。
SOUND AND VISION | 角田純
アートディレクターとしての経験を背景に、絵画へと活動領域を広げてきた角田純の作品集。書、絵画、ドローイングなど多様な技法を用いて「文字」を造形的に再解釈し、言語の意味から解き放たれた形やリズムとして表現している。アラビア文字やグラフィティなど、世界各地の文字文化を取り込むことで、絵画とタイポグラフィの境界を軽やかに横断。線と余白の関係性を探りながら、文字そのものの可能性を拡張する角田純の表現姿勢を紹介する一冊。
花森安治のデザイン 『暮しの手帖』創刊から30年間の手仕事
生活雑誌『暮しの手帖』の創刊者として知られる花森安治の生誕100年を記念して刊行されたデザイン集。『暮しの手帖』の表紙原画全点をはじめ、書籍装釘原画、手書き文字、新聞広告版下など、約300点に及ぶ多彩な資料を収録している。編集者でありグラフィックデザイナーでもあった花森の独創的な仕事を総覧し、その時代を超える表現力と、生活に根ざした美意識を浮かび上がらせる内容となっている。
Dries Van Noten 1-50
ベルギーのデザイナー、ドリス・ヴァン・ノッテンが1991〜2004年に発表した最初の50コレクションをまとめた改訂版アーカイブ。初版(2004)を全面的に見直し、新しい写真とテキストを加えて再構成したもの。世界各地の個性的な会場で行われたショーの記録や1000点超の図版を通して、ブランド初期に確立された色彩感覚、テキスタイル、素材の組み合わせといった美学が一望できる。ティム・ブランクス、スザンナ・フランケルらによる寄稿がデザインの背景や思想を補足し、ドリスの創作の軌跡を明らかにしている。
Dries Van Noten 51-100
ベルギーのデザイナー、ドリス・ヴァン・ノッテンが2005〜2017年に発表したコレクションをまとめた作品集。〈アントワープ・シックス〉のオリジナルメンバーとして独自の世界観を築いてきた彼の、51回目から100回目のショーまでを体系的に収録している。卓越したクラフトマンシップ、複雑でエキゾチックなテキスタイル、絵画的なプリント、異素材を重ね合わせる巧みな構成など、ドリス特有の美学が各シーズンのヴィジュアルを通して鮮明に伝わる。数千枚のショー写真から厳選された図版に加え、各コレクションの開催地やテーマをまとめたIDキットも掲載され、制作の軌跡を一望できる構成。
P.LACE.S: Looking Through Flemish Lace
アントワープで受け継がれてきたフランドル地方のレース文化を紹介する資料集。16世紀以降、王侯貴族に愛され、各国経済にも影響を与えたレースの歴史的役割を読み解きながら、ヨーロッパやアメリカの主要美術館に所蔵される貴重なレース作品、絵画、文書資料を収録している。さらに、イリス・ヴァン・ヘルペン、ディオール、プラダ、ロエベなど現代のファッション作品も並置し、伝統技術が21世紀の表現へどのようにつながっているかを解説。美術史、ファッション、工芸が交差するレース文化の広がりを紐解いている。
The Politics of Flowers | Terri Weifenbach
19世紀にパレスチナの野生の花を集めて作られた押し花帳『Pressed Flowers from the Holy Land』との出会いを契機に制作された、テリ・ワイフェンバックの作品集。ワイフェンバックはこれらの繊細な押し花を白黒写真として再現し、過去の痕跡を現代に呼び覚まし、自然や記憶、個人的喪失の重みを映し出す。命の儚さを静かに語りかけるとともに、単なる植物写真を超え、生命や時間、歴史との対話を深く感じさせる、詩的で思索的な写真集。250部限定刊行。
In Your Dreams | Terri Weifenbach
写真家テリ・ワイフェンバックによる代表的な作品集。庭や林、草花など身近な自然を、柔らかな光と鮮やかな色彩で夢のようにとらえた一冊。ぼやける輪郭や淡いトーンが、現実と幻想のあわいを静かに浮かび上がらせる。ロバート・アダムスによる序文を収録し、ワイフェンバック独自の詩的な視線を堪能できる内容となっている。
WHITE LAND | 高橋ヨーコ
旧ソ連や東欧をはじめ、世界各地の生活文化をフィールドワークのように撮影してきた写真家・高橋ヨーコによる作品集。モスクワ、根室、カザフスタン、ミンスクなど、シベリアから日本の端まで、約24年にわたり歩き続けた土地の“極寒の風景”をまとめた一冊。気温が氷点下40度近くまで下がる街で、高橋がカメラを携え記録した静かな白い世界が、淡々としたまなざしで綴られている。限定1000部刊行。
クゥィノルト 上田義彦写真集
写真家・上田義彦が、アメリカ先住民により“バージンの森”と呼ばれたクゥィノルトの原生林を、大判カメラで撮影した作品集。鬱蒼としたシダや苔、落葉や朽ちた木々、そこに宿る生命の気配を、むせ返るように濃密な空気ごと写し取っている。森の深奥に潜む静けさと混沌が交錯する風景が繊細に描き出され、自然との圧倒的な対峙を体験するような内容となっている。装丁は葛西薫によるもの。
Giorgio Morandi | Maria Cristina Bandera Viani ほか
イタリアの画家ジョルジョ・モランディの作品集。2012年にスイスで開催された展覧会に合わせて刊行されたもので、油彩、水彩、ドローイング、版画など多彩な作品を収録している。瓶や箱といった最小限のモチーフを組み合わせ、静物画というジャンルの中に独自の静けさと緊張感を生み出したモランディ。その柔らかな色調と簡素な構図は、日常の物のかたちから空間の奥行きや“見ること”の本質を探るものでもある。本書では静物のほか、風景や花の作品、初期の自画像も紹介し、シンプルな題材から豊かな世界を引き出した画家の表現を様々な角度から辿っている。
Paul Klee: The Angels
20世紀を代表する画家パウル・クレーが1910年から1940年にかけて描いた「天使」シリーズに焦点を当てた作品集。2012〜2013年の巡回展にあわせて刊行されたもの。忘れっぽく、泣き、悩み、時にユーモラスでもある天使たちは超越的存在でありながら、人間的な弱さや揺らぎを抱えた姿で描かれている。晩年の約80点を中心に収録し、死への恐れや病による身体の脆さとともに、クレー特有のユーモアや軽やかさがにじむ。
花椿ト仲條 | 仲條正義
アートディレクター・仲條正義が40年にわたり手がけてきた資生堂の企業文化誌『花椿』を総覧する資料集。1950年代から2000年代初頭まで、12カ月刊480冊に及ぶ膨大な誌面を編纂し、その造本・タイポグラフィ・レイアウトから仲條のデザイン哲学を読み解くことができる。広告やグラフィックの枠を超えて、企業文化としての美意識やセンスを社会へ浸透させた『花椿』の軌跡は、日本の編集デザイン史における重要な到達点を示している。
資生堂宣伝史 歴史/現代/花椿抄 全三冊揃
1979年までの資生堂の宣伝活動を網羅的にまとめた資料集。広告の歩みをたどる「歴史」、同時代の取り組みを示す「現代」、企業文化誌『花椿』に焦点を当てた「花椿抄」の三冊で構成されている。CI(コーポレート・アイデンティティ)、パッケージデザイン、広告グラフィック、テレビCMなど、多岐にわたる表現を収録。化粧品産業のみならず、日本の広告デザイン史を考察するうえで欠かせない資料となっている。
Ink Music: The Lyrics of Chris Mosdell
Y.M.O.やエリック・クラプトン、サラ・ブライトマンなど、国内外数多くのアーティストの楽曲の作詞を手がけてきたイギリス出身の作詞家、クリス・モズデルの歌詞集。 Y.M.O.の『ソリッド・ステート・サバイバー』『ビハインド・ザ・マスク』『ナイス・エイジ』、シーナ&ザ・ロケッツの『スティフ・リップス』『ラジオ・ジャンク』、イミテーションの『ドゥ・ザ・ウルフ』『マッスル・アンド・ヒート』など、モズデルが手がけた歌詞の数々を収録。
Photographic Objects
写真家、トーマス・ルフの作品と彼に続く若い世代のアーティストたちの作品との重要な概念的つながりを体系的にたどる作品集。「写真の本質」をめぐる議論を背景に、写真が他のすべてのメディアと何によって異なるのかを明らかにする新たな視点を提示する。トーマス・ルフをはじめ、ウェイド・ガイトン、セス・プライス、ケリー・ウォーカー、スピロス・ハジジャンノスの作品を豊富な図版で紹介し、現代写真の実践と理論を結びつける概念的枠組みを提供。写真表現の可能性と現代美術の最前線を理解する上で不可欠な資料となっている。
Eames House | Marilyn Neuhart
建築家・デザイナーとして20世紀のモダンデザインを牽引したチャールズ&レイ・イームズ夫妻の自邸「イームズ・ハウス」に焦点を当てた資料集。住居兼スタジオとして設計されたこの住宅は、当時の住宅建築の常識を超えた革新的な構造とデザインを示し、現代建築の先駆的事例とされる。家具やインテリアのデザインと同様に、透明感と軽やかさ、風景との一体性を兼ね備え、今日においても知的で機能的な建築の理想を体現している。住宅の設計過程や夫妻の生活の軌跡を丁寧に辿ることで、建築思想の全貌と時代を超えた現代性を読み解いていく。
Herman Miller: A Way of Living | Amy Auscherman、Sam Grawe、Leon Ransmeier
アメリカン・モダンデザインを代表する家具メーカー、ハーマン・ミラー社の軌跡をたどる大判資料集。旧装版。社内アーカイブから選ばれた2000点以上の写真を収録し、革新的な歴史を10のチャプターに分けて包括的に紹介している。イームズ夫妻やジョージ・ネルソンらデザイナーの仕事をはじめ、オフィス家具の進化や企業理念の展開まで、20世紀デザイン史に刻まれた同社の存在を多角的に捉える構成となっている。英語表記。
Knoll Design | Eric Larrabee, Massimo Vignelli
アメリカのインテリアデザインカンパニー「Knoll(ノル)」の製品をまとめた作品集。ミース・ファン・デル・ローエ、エーロ・サーリネン、ハリー・ベルトイアら著名デザイナーと共同開発した家具をはじめ、広告デザインや企業のビジュアル展開を多数のカラー図版で紹介する。モダンデザイン史におけるKnollの役割と美学を辿ることができる内容。英語表記。
Elizabeth Peyton
アメリカの画家エリザベス・ペイトンによる作品集。本人が編集を手がけ、約10年にわたる活動を振り返る構成となっている。友人や歴史上の人物、ミュージシャンなどを描いたドローイングや絵画が中心で、親密で繊細なまなざしが息づくポートレートを多数収録。華やかさと脆さが同居する人物像は、同時代のカルチャーとも深く結びつき、ペイトン独自の感情の温度や美意識を伝えている。