Burning Chrome クローム襲撃 | 保坂昇寿
HDR(ハイ・ダイナミック・レンジ)技法を駆使した作品で知られる写真家・保坂昇寿の初写真集。渋谷や新宿といった東京の繁華街を舞台に、強い光と深い影、複雑な色調を重ね合わせながら、人々の動きが残像のように浮かび上がる独特の風景をとらえている。現実の都市が持つ雑踏のエネルギーと、どこか近未来的で非現実的な気配が交差し、保坂が見つめる東京の姿が鮮烈に立ち現れる一冊。
Mein Sylt | Bleicke Bleicken
ドイツで最も愛される保養地ジルト島の風景と生活を、数十年にわたり記録し続けた写真家ブライケ・ブライケンの作品集。広大な砂丘や海、移ろう空の表情を主要なモチーフとし、ローライフレックスを使った実験的な接写によって、島の動植物にも新たな視点を向けている。1950〜60年代に撮影された未発表のカラー写真を収録し、当時の素朴な空気や、島に漂う静かな時間が鮮やかに蘇る。
North Shore 1970-1980 | 佐藤秀明
日本におけるサーフ・フォトグラファーの草分けとして知られる佐藤秀明が、1970年代から80年代にかけてオアフ島ノースショアで過ごした日々を写し取った作品集。サーフィンが大きく発展し始めた時代に、島の海岸線を拠点に暮らしながら、サーファーたちの熱気、地元の人々との交流、穏やかに移り変わる海の表情を淡々と記録している。生活の合間に南太平洋や南半球を旅し、海に寄り添う人々の姿を追い続けた佐藤の視線は、ハワイの豊かな自然と、コミュニティの素朴な空気をやわらかく捉えている。
やさしいパリ | ブラッサイ
ハンガリー出身の写真家ブラッサイが捉えた1930年代のパリを収めた写真集『PARIS TENDRESSE』(1990年刊)の日本語版。第二次世界大戦前のパリを、夜の街角、石畳、カフェ、路地に漂う人々の姿とともに写し出している。作家パトリック・モディアノによる散文が添えられ、失われてゆく街の記憶をたぐり寄せるような文章が写真に寄り添う構成。
MIKIO WATANABE maniere noire 1981-1998 渡辺幹夫マニエール・ノワール
銅版画家・渡邊幹夫による作品集。1981年から1998年にかけて制作されたマニエール・ノワール技法による作品142点を収録。濃淡の階調が特徴的なこの銅版画技法を駆使し、主に裸婦をモチーフに、繊細かつ重厚なイメージを描き出している。静かさと緊張感を併せ持つ表現が印象的。
2014 ni-ou-ichi-yon | 市川信也
精神科医として働きながら写真家としても活動する市川信也が、村上春樹『1Q84』に着想を得て制作したシリーズ〈2O14 [ni-oi-ichi-yon]〉を収めた作品集。2024年にコミュニケーションギャラリーふげん社での展示にあわせて刊行され、すべり台やブランコなど、公園の遊具を夜間に撮影したイメージが中心となっている。人工の光に照らされた遊具は、日中とは異なる輪郭を帯び、物語の余韻を感じさせる静けさと不穏さが共存する。
伊東豊雄 建築 新しいリアル
2006年から2007年にかけて東京オペラシティアートギャラリーほか各地で開催された展覧会の図録。建築家・伊東豊雄による代表作「せんだいメディアテーク」から、当時最新の「台中メトロポリタン・オペラハウス・コンペティション応募案」まで、9つのプロジェクトを収録している。写真、スケッチ、図面など豊富な資料を通して、伊東豊雄の建築思想と表現の展開を示している。
Frank Gehry: Recent Project
建築家フランク・ゲーリーの近作を紹介する作品集。デンマーク・ゾンダーボーのクンストハーレ、ワシントンのアイゼンハワー記念碑、パリのフォンダシオン ルイ・ヴィトン、アルルのリュマ財団、アブダビ・グッゲンハイム美術館、ニューヨークのブルックリン・アトランティック・ヤード計画、マイアミビーチのニュー・ワールド・シンフォニーなど、世界各地で手がけた代表的プロジェクトを収録。英語、日本語表記。
森雅美写真集 Graceful Flower 雅花
写真家・森雅美による花の写真集。母であり歌人でもある雨宮雅子の短歌とともに構成されており、1枚ごとの写真に添えられた短歌が、花の儚さや美しさに新たな感情の層を加えている。視覚と詩情が響き合うことで、瞬間に宿る命の輝きがより深く浮かび上がる。写真と短歌、親子の表現が静かに交差する作品集。
メイプルソープと美神たち
アメリカの写真家、ロバート・メイプルソープによる女性たちを被写体にとらえた作品集。リサ・ライオン、オノ・ヨーコ、シンディ・ローパー、パティ・スミスなどが名を連ね、力強く佇む女性たちのポートレートをモノクロで収録。英語、日本語表記。
展覧会「小玉良行・小林一毅」
12月6日(土)〜12月22日(月)の期間、絵描き・かたがみデザイナー・小玉良行とグラフィックデザイナー・小林一毅の二人展「小玉良行・小林一毅」を開催します。また、会期中、12月7日と21日は終日両名が在廊し、ライブドロ […]
6+ アントワープ・ファッション
2009年に東京オペラシティアートギャラリーで開催された展覧会の図録。ダーク・ビッケンバーグ、アン・ドゥムルメステール、ワルター・ヴァン・ベイレンドンク、ドリス・ヴァン・ノッテン、ダーク・ヴァン・セーヌ、マリナ・イェー、そしてマルタン・マルジェラを加えた、国際的に注目を集めるアントワープ(ベルギー)のデザイナーたち。本書は豊富な写真資料と考察のテキストとともに、アントワープ・ファッションについて網羅した一冊。
The Velvet Underground: Deluxe Edition
アメリカのロックバンド、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのドキュメント集。400部限定の限定版。ライブの未公開写真、直筆の楽譜、アンディ・ウォーホルによるジャケットやポスターのデザイン、アンダーグラウンド紙の切り抜きなど、ポップカルチャーを体現したロックバンドの活動を包括的にまとめた1冊。豊富な図版とともに解説を収録。同バンドのドラマーであるモーリン・タッカーの個人アーカイブから発掘された2曲を収めた7インチレコードとCDRが付属。
DAM | Carsten Meier
写真家カーステン・マイヤーが2010年以降に撮影してきたダム建築をまとめた作品集。アメリカとヨーロッパ各地に点在する巨大構造物を、常に一点透視の構図で大判カメラを用いて記録している。周囲の地形に埋め込まれるように築かれたダムは、純粋に機能を追求した人工物でありながら、しばしば山脈のような造形美を帯び、人間が自然を制御しようとする意志とその危うさを同時に映し出す存在となっている。フーバーダムをはじめ、『007 ゴールデンアイ』に登場するコントラダムや、『ダム・バスターズ』で知られるエーダーダムなど、映画で印象的に扱われた構造物も収録。
Poultry Suite | Jean Pagliuso
『Vogue』や『Rolling Stone』をはじめ、多くの誌面を飾ってきたファッション写真家ジーン・パリウソが、“鶏”を撮影したシリーズをまとめた作品集。幼少期に父とともにバンタム・コーチンを育てていた記憶へのオマージュとして制作され、セブライト、スパングルド・ハンブルクなど20種以上の鶏を独自のまなざしで捉えている。ファッション写真で培った造形感覚を生かしながら、一羽ごとの個性や美しさが柔らかく浮かび上がらせ、動物の持つ人間的な魅力を探る内容となっている。
Eileen Gray, Designer and Architect
アイルランド出身のデザイナー/建築家、アイリーン・グレイの仕事を総合的に紹介する作品集。家具や照明、ラグから建築、インテリアまで、多彩な分野を横断して活動したグレイのキャリアを、図版と新旧の写真、設計図を交えて丁寧に辿る内容となっている。代表作として知られる住宅「E 1027」をはじめ、社会的な視点を取り入れたインテリアや、組み立て式のキャンピング・テントなど、実験的かつ実用的なプロジェクトも収録。イルマ・ボームによる装丁がグレイの美学をいっそう際立たせる、美しく読み応えのある一冊。
Joe Colombo: Inventing the Future
2006年にヴィトラ・デザイン・ミュージアムで開催された展覧会にあわせて刊行された図録。イタリアのプロダクトデザイナー、ジョエ・コロンボの仕事を網羅した初の本格的作品集である。代表的な家具の初期オリジナルや試作品をはじめ、手描きのスケッチや図面、プロダクト、インテリアを豊富に収録。1960年代を象徴する未来的で鮮烈なデザインは、高い機能性と大胆なフォルムを兼ね備え、現在に至るまで人々に強い影響を与えている。図版と解説を通じてその独創的世界を伝えている。
Saul Leiter: Retrospective
カラー写真の先駆者として再評価が進む、ソール・ライターの活動をまとめた回顧展カタログ。初期のモノクロ作品から、90年代以降に評価が高まったカラー作品、ファッション写真、さらには絵画やスケッチブックまで、表現の広がりを一望できる構成となっている。1946年にニューヨークへ移ったライターは、街を歩きながら被写体を探す一方、抽象への関心も強く、1950年代にはMoMAで紹介されながらも、当時は“低い芸術”と見なされていたカラー写真の評価を得られず、ファッション写真の分野で活動を続けた経緯を持つ。本書には、その後再発見された色彩豊かな作品が数多く収録され、ライターの視覚的感性の魅力を味わえる内容となっている。
Story Lines | Robert Frank
「アメリカ人(The Americans)」で写真史に大きな変革をもたらしたロバート・フランクの表現を、多面的にたどる展覧会図録。2004〜2005年にテート・モダンで開催された同名展にあわせて刊行され、1949年から2003年までの作品を年代順に収録している。ポラロイド、コンタクトシート、近年のデジタル作品に加え、映画作品やアーティストブックなども紹介し、写真と映像を横断しながら展開してきた実験的な試みを幅広く紹介している。
アイヌの文様 | 四辻一郎
アイヌの伝統的な文様を衣服と生活道具の両面から紹介する写真資料集。ルウンペと呼ばれる着物、マンタリと呼ばれる前掛けのほか、ござやお盆など日常の道具に施された意匠を取り上げている。刺繍や織りによって表現される曲線や渦巻き、幾何学的な構成。これらの文様には防御や祈願の意味が込められ、生活と共に受け継がれてきた。豊富なカラー・モノクロ写真とあわせて、各文様の来歴や意味を解説するテキストを収録している。
イメージの翼 2 | 細谷巖
アートディレクター、グラフィックデザイナーとして活躍し、ADC会長やライトパブリシテイ社長を務めた細谷巖の仕事をまとめた作品集第2弾。キューピーマヨネーズ、キャノン、サントリーなど広く知られる代表的な広告デザインを収録している。視覚的な明快さと洗練を兼ね備えた制作の数々は、日本の広告デザイン史における重要な位置を占めるもの。ポール・ランドによるインタビューも掲載され、国際的な文脈から細谷の活動を照らし出している。
Spirale: Eine Kunstlerzeitschrift | Annemarie Bucher
1953年から1964年にかけて発行されたスイスの美術雑誌『Spirale』全9号を紹介する資料集。ハンス・アルプ、ワシリー・カンディンスキー、パウル・クレー、ヨゼフ・アルバースといった錚々たる芸術家がクレジットされ、戦後ヨーロッパの前衛美術の動向を示す内容となっている。誌面の図版やテキストを通じて、美術とデザインの交流がどのように展開されたかを探ることができる構成。1950〜60年代の美術雑誌文化の広がりを一望することができる一冊。
Pages: Editorial Design | Marius Sala
雑誌、書籍、新聞、カタログなど、多様な印刷メディアのエディトリアルデザインを扱うビジュアル資料集。誌面構成、余白の扱い、書体選び、コンセプトを伝えるための表現手法など、実践的な視点から編集デザインの要点を整理している。300ページを超える豊富なカラー図版によって、多様なレイアウト事例を視覚的に参照でき、デザインの思考とプロセスを読み解く手がかりを与えてくれる構成。
リバティ アーカイブ・ブック
リバティプリントで知られるロンドンのリバティ社によるデザイン資料集。1875年の創業以来、現在に至るまでに制作された多彩なテキスタイルやプリントを豊富な図版で紹介している。デザイナーやプリンターの創意、背後にある芸術運動の影響、流行や社会との関わりをひも解く構成。リバティが築いてきた美しいパターンは単なる装飾を超えて文化の記録でもあり、本書ではファッションとデザイン史におけるリバティの位置づけを丁寧に探っている。
VISIONARY: Gardens and Landscapes
気候変動と持続可能性という現代的な課題に向き合いながら、新しい庭園表現を切り拓く世界の事例を紹介する一冊。写真家クレア・タカスとランドスケープアーキテクトのジャコモ・グッツォンが、アメリカ、ヨーロッパ、アジア、オーストラリア、ニュージーランドなど、世界各地の80以上の庭園とランドスケープを取材し、植栽の考え方や環境へのアプローチを丁寧に紹介している。多様な気候や地形に応じたデザインの工夫、在来植物の活用、自然環境を回復させるための試みなど、未来に向けたランドスケープの姿を具体的に提案する構成。
The Japanese Garden | Sophie Walker
ガーデンデザイナー、ソフィー・ウォーカーが日本庭園の歴史と思想を読み解いた大判資料集。神社の神域や皇室ゆかりの庭園から、枯山水や現代の禅のデザインまで、約800年にわたる日本庭園の変遷を100の事例とともに紹介している。造形の特徴、自然観、空間の使い方などを丁寧に掘り下げ、写真とエッセイを通して日本庭園が培ってきた美意識を伝える内容。国内外の建築家やアーティストによる寄稿も収録し、日本庭園の本質と国際的な影響を読み解いている。
Hockney’s Alphabet
デイヴィッド・ホックニーが描いたアルファベット26文字のイラストに、27名の著名作家が文章を寄せた、エイズとともに生きる人々を支援するためのチャリティ企画書籍。ホックニーによる鮮やかなフルページのカラー図版を各文字に添え、ダグラス・アダムス、ジュリアン・バーンズ、カズオ・イシグロ、サスーン・ヒーニー、スーザン・ソンタグ、ジョン・アップダイクなど、多彩な作家たちがそれぞれの視点から短い随想を寄稿している。言葉とイメージが軽やかに呼応し、アルファベットという最も基本的な記号が、作家ごとのユーモアや詩情を通して新たな表情を見せる構成。
IL MERLO HA PERSO IL BECCO | Bruno Munari
ブルーノ・ムナーリが1940年に着想したプロジェクトをもとに制作された絵本『Il Merlo Ha Perso Il Becco(黒つぐみはくちばしをなくした)』の復刻版。透明なプラスチックシートにシルクスクリーン印刷を施し、ページをめくるにつれてパーツが現れたり重なったりする仕掛けが楽しめる構成。ムナーリが追求した「見ること」の実験精神が凝縮され、絵本でありながら玩具のような感覚で手を動かして味わえる造本。歌の流れを視覚化するユーモラスなアイデアを通し、デザインと遊びの関係を軽やかに表現している
Jan Tschichold: Posters of the Avantgarde
20世紀を代表するタイポグラファー、ヤン・チヒョルトの仕事を紹介するポスターコレクション集。自身が手がけたポスター作品に加え、ヘルベルト・バイヤーやマックス・ビルなど、彼が収集していた前衛的デザインのポスターも掲載している。カラー図版と解説を通じて、モダンタイポグラフィの革新的な試みを多角的に検証できる構成となっており、デザイン史におけるチヒョルトの影響と、アヴァンギャルドの視覚表現を明らかにしている。
丹下健三 伝統と創造 瀬戸内から世界へ
建築家・丹下健三の生誕100年を記念した初の大規模回顧展公式カタログ。約380点に及ぶ展示図版を中心に、写真家ホンマタカシによる丹下建築撮り下ろし、著名建築家や文化人による寄稿、図面・模型写真など、多彩な資料を収録している。1946年の出発点から、伝統の再解釈、丹下チームの活動、瀬戸内建築の展開までを章ごとに紹介し、戦後日本の建築を牽引した丹下の思考と歩みを立体的に捉える構成。さらに卒業制作パースや香川県庁舎図面、復元模型といった貴重なアーカイブに加え、「私の丹下体験」と題した37名の証言も収められ、丹下建築が与えてきた影響の広がりを読み取ることができる。
TORSO | 金子親一
静物表現に卓越した写真家・金子親一による作品集。パイプや柱、椅子脚を思わせる造形が、真っ白な空間の中で静かに姿を現す。直線やカーブ、円がつくり出すフォルムは、視覚の奥に広がる静謐で深い世界を写し出している。装丁は永井裕明が手がけ、造本装丁コンクールにおいて「経済産業大臣賞」を受賞した、美しい造本も魅力の一冊。
Adad Hannah: The Diversions
カナダのアーティスト、アダド・ハンナの活動を総合的にたどるモノグラフ。歴史的名場面や美術史上の図像を再構成しながら、私たちと歴史の関係、アートと制度、アートとコミュニティのつながり、さらに現代における身体表現の役割といったテーマを探ってきたハンナ。本書は、多数の参加者やセット、背景、映像を組み合わせた新作インスタレーションの発表に合わせて編集されたもので、キュレーターや批評家、アーティスト、ジャーナリストらによる寄稿を通して、過去10年の制作を多角的に振り返る内容となっている。
Adad Hannah
写真・映像・インスタレーション・パフォーマンスの手法を組み合わせ、「静止画」を生成する独自の実践を展開するカナダのアーティスト、アダド・ハンナによる作品集。2019年にカナダを巡回した展覧会にあわせて刊行されたもの。〈Mirroring the Museum〉〈Reflections of Artworks and Lives Captured〉など、ハンナの代表作を収録し、反復や複製、引用、映像的な鏡像性を多角的に考察する内容。
Donald Judd | David Raskin
アメリカの美術家ドナルド・ジャッドを取り上げた作品集。20近いアーカイブ資料をもとに、ミニマリズムの重要な提唱者として知られるジャッドの全貌をたどっている。美術評論家デイビッド・ラスキンが執筆を担当し、ジャッドの原則や美学を論じながら、作品がもつ二面性に迫る考察を展開。驚くほど儚い印象を与えながらも、同時に徹底して物理的であり続ける理由を明らかにし、ミニマリズム芸術の本質を提示している。
デザインの解剖2 フジフィルム・写ルンです | 佐藤卓
グラフィックデザイナーの佐藤卓が、「フジフィルム・写ルンです」をデザインの視点から解説。ネーミングの変化、製品デザイン、ロゴタイプ、フィルム、リサイクルの観点など、1986年から2002年までの16年のさまざまな変化を探る。
デザインの解剖3 タカラ・リカちゃん | 佐藤卓
グラフィックデザイナー、佐藤卓が2001年より取り組んでいるプロジェクト「デザインの解剖3 タカラ・リカちゃん」。シリーズ第3回として、タカラの代表的な着せ替え人形「リカちゃん」を取り上げる。リカちゃんの「カワイイ」はどのように設計され、形作られてきたのか、ネーミングやロゴタイプ、顔や髪、可動部品に至るまで、すべての要素を解説し、日常に溢れるキャラクターのデザインを細部にわたり検証する。日本における着せ替え人形の歴史も紹介し、キャラクターデザインの秘密を紐解いていく。
野の花 | 坂村岳志
花人の坂村岳志による作品集。西麻布の「さかむら」から南青山の「山口信博デザイン事務所」までの散歩道で、一年間採取した草花を山口信博所有のうつわのみ見立ての花器として用いて生け続けた記録。都会に生きる自然の声を聞き、花のことばを器へと訳すようにうつわを選び、生ける。それは特別な儀式ではなく、日々の暮らしの中で花と向き合う日本的な営みを、もう一度現代の生活へと呼び戻す。
Savoir & Faire 土
エルメス財団による自然素材にまつわる知識や技術の共有を試みるプログラム、「スキル・アカデミー」による1冊。フランスのActes Sud社より刊行されているシリーズ「Savoir & Faire」の一部を翻訳、新たなコンテンツを加えたもの。農業や建築、陶磁器、コンテンポラリーアートなど、『土』に焦点を当て様々な視点から、生活とは切り離せない『土』の可能性を探る。
TARA: Homage to a Bathroom Fitting and an Archetype
ドイツの水栓専門メーカー、ドンブラハト社とジーガーデザインとの協働のもとに生み出された水栓金具「TARA」。優美なラインと明快なフォルムを兼ね揃え、定番のデザインとして長年にわたり愛されてきたTARAの象徴的なフォルムを、ニューヨークのフォトグラファー、ジェシー・フローマンがモノクロ写真で捉え、現代におけるデザインのクラシックとして描き出している。また、著名な建築家、デザイナー、コミュニケーション学者、評論家たちがTARAのデザイン理論や芸術における立場や視点について考察を交わしている。
Jarmund/Vigsnaes Arkitekter
ノルウェーの建築家グループ、Jarmund / Vigsnæs Arkitekter(JVA)の活動を紹介するモノグラフ。1996年にオスロでエイナル・ヤルムンドとホーコン・ヴィグスネースによって設立され、2004年にアレッサンドラ・コスベルグが加わった。公共建築や集合住宅、山小屋から都市計画、インテリアに至るまで幅広い分野に取り組み、プロジェクトごとに独立したコンセプトを立てる設計アプローチで知られる。インタビュー記事に加え、図面や写真など豊富な図版を通じて、これまで手がけた40のプロジェクトを収録し、事務所の思想や設計プロセスを紹介している。
和家具 | 小泉和子
江戸時代から昭和初期にかけて民家の暮らしの一部として用いられた和家具をまとめた資料集。書棚、箪笥、長持、箱階段、屏風、鏡台、火鉢など、名品の造形美と機能性を詳細に紹介し、生活文化としての意義を明らかにする。洋風化や近代化により失われつつある家具文化を記録・再評価することを目的とし、実物資料を通して日本の暮らしの豊かさと歴史的背景を伝える一冊。
和箪笥集成 | 木内武男ほか
日本の伝統家具を象徴する和箪笥を網羅的に収録した写真資料集。船箪笥、衣装箪笥、薬箪笥、階段箪笥など、現存する多様な箪笥をカラー・モノクロの図版で紹介している。各箪笥には品名、産地、サイズ、推定製作年代を明記し、巻末には解説も収録。職人の技と地域性が凝縮された日本の家具文化に迫る一冊。
Julius Shulman: Modernism Rediscovered
アメリカの建築写真家ジュリアス・シュルマンによる作品集。膨大なアーカイブから厳選されたミッドセンチュリー期の建築写真を収録し、そのうち約200点は未公開作品を含んでいる。ケース・スタディ・ハウスをはじめとするカリフォルニア・モダニズムの豊かな実例を通じ、光と構図によって建築の美質を引き出すシュルマンの視点を伝える一冊。
Alvar Aalto
フィンランドの建築家アルヴァ・アールトの代表作を紹介するコンパクトサイズの写真資料集。モダニズム期の《ヴィープリの図書館》(1927–35)や《パイミオのサナトリウム》(1928)から、素材を自在に扱い有機的な造形へと向かった《マイレア邸》(1938)まで、その変遷を写真と図面で辿ることができる。