The Voyage of Discovery | Carly Steinbrunn
写真家、カーリー・スタインブルンによる作品集。未知の土地を調査する探査記録の体裁をとり、地理や植物、人類学、動物学といった分野を横断しながら写真を構成。収集や分類の視点、探検記や旅行記の語り口を手がかりに、写真が「記録」であると同時に「つくられたイメージ」でもあることを問いかける。すべてを説明することを避けた構成のなかで、外の世界を探し尽くした時代における内省的な旅を表現している。
東京生活 | 神山洋一
写真家、神山洋一による東京を主題とした写真集。環境や暮らしぶり、生活の水準が大きく異なる人々が集まる都市・東京を舞台に、日々の何気ない場面をすくい取っている。驚きや可笑しさ、哀しさといった感情が入り混じる都市生活の断片を通して、「生きている」という一点において人は皆等しいという視点が静かに浮かび上がる。作為を抑えた眼差しで、東京という都市のありのままの姿を捉えた一冊。
Talking Fashion | Sarajane Hoare
イギリスのファッションジャーナリスト、スタイリスト、編集者であるSarajane Hoareによる、ファッションフォトをまとめた1冊。パトリック・デマルシェリエ、マリオ・テスティーノ、ピーター・リンドバーグほか、世界的フォトグラファーの作品を多数掲載。トップモデルを被写体とした、カラー・モノクロ含む図版と併せて、リアルな回想が自身の言葉で語られる。
William Kentridge: Phaidon Contemporary Artists Series
南アフリカ・ヨハネスブルグ出身のアーティスト、ウィリアム・ケントリッジの作品集。代表的な映像作品やドローイングを中心に、アパルトヘイトの歴史や人々の記憶を主題とした表現を多角的に紹介している。木炭による描画を消しては描き足すという独自の手法を通じて、記憶の不確かさと時間の流れを可視化。政治と個人のあいだにある感情の軌跡を繊細に浮かび上がらせている。
カッサンドル 巨匠の知られざる全貌 1901-1968
1995年にサントリーミュージアム[天保山]で開催された展示の図録。20世紀を代表するグラフィックデザイナー、アドルフ・ムーロン・カッサンドルの1901年から1968年にわたる作品群を紹介する。ポスター、広告、ブックデザイン、絵画、デッサンほか、カラー・一部モノクロの作品図版とともに解説を収録。
アイデア No.124 チャールズ・ゴズリン、グラフィック・デザイン
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.124。巻頭では、アメリカのグラフィックデザイナー、チャールズ・ゴズリンを特集し、企業や美術館の仕事を通して築かれた、明快で理知的なデザインのあり方を紹介している。そのほか、ボブ・ペッパーやエーブ・ガービンといったイラストレーター、シカゴのデザイナーたち、チェコスロバキア映画ポスター、オランダの切手デザインなど、国際的な話題を幅広く収録。
アイデア No.119 ロサンゼルスの9人の新進デザイナー
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.119(1973年7月号)。巻頭特集では、当時のロサンゼルスで活動を始めた9人の新進デザイナーを取り上げ、西海岸ならではの感覚や実践を紹介している。あわせて、五十嵐威暢の仕事を論じたミツ・タカオカのテキストや、シーモワ・クワストによる日本酒ラベルや化粧品、瓶に関する考察など、多彩な記事を収録。
アイデア No.117 ノーマン・アダムズとトロンブルイユの手法で描くアメリカの古里
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.117(1973年3月号)。巻頭では、アメリカのイラストレーター、ノーマン・アダムズを特集し、トロンプルイユ(だまし絵)の手法を用いて描かれた、アメリカの原風景ともいえる作品世界を紹介している。写実性と視覚的トリックを通じて、記憶や郷愁を呼び起こす表現に焦点を当てた内容となっている。そのほか、福田繁雄による連載「アイデアのエレメント」をはじめ、オットー・トロイマン、チャールズ・ブラッグ、エド・レンフロら海外デザイナーの紹介、情報社会や数理造形をめぐる論考などを収録。
ベス単写真帖 白い風 | 植田正治
写真家、植田正治による作品集。小型軽量で一般向けに普及したカメラ「ヴェスト・ポケット・コダック(通称:ベス単)」を用いて撮影された作品を収録。性能の制約から生まれる甘さや揺らぎを積極的に取り込み、風景や人物に独特の空気感を与えている。簡素な機材と向き合うことで引き出された、植田ならではの軽やかな視線と詩情が、静かに伝わってくる1冊。
Cezanne’s Objects | Joel Meyerowitz
写真家、ジョエル・マイヤーウィッツの作品集。ポール・セザンヌのアトリエを訪れた体験を起点に、そこに残されたボトルやピッチャー、ボウルといった静物を再配置し、絵画への静かな応答として撮影している。壁一面を覆う灰色の背景に対し、対象を反復的に並べることで、セザンヌが行った空間の平坦化や視覚の構造を写真の手法で検証する試み。鮮やかな色彩を用いながらも、視線は造形と配置に集中し、写真と絵画の関係性をあらためて問い直している。
Roma, a Diary 2005 | Anders Petersen
スウェーデン出身の写真家、アンデルス・ペーターセンによる写真集。2005年にローマで滞在制作したシリーズを、同年の展覧会にあわせてまとめている。街角のオブジェやショーウィンドウのマネキン、動物、人々の親密な瞬間など、断片的な情景をモノクロで収録。冬のローマに漂う距離感や静けさの中で、都市に潜む感情や時間の層を掬い取る視線が印象に残る。ローマという街そのものを主役に据えた、陰影に富んだ一冊。
I Know How Furiously Your Heart Is Beating | Alec Soth
写真家、アレック・ソスの作品集。ウォレス・スティーヴンスの詩の一節に着想を得て、人物の内面に静かに近づこうとする試みがまとめられている。世界各地で撮影された大判カラーのポートレートは、特定の土地や文化を語るのではなく、被写体と向き合う時間そのものに重きが置かれる。屋内という親密な空間で交わされる視線や沈黙を通して、写真が外見を越えて何を捉えうるのかを問いかける構成。物語性を削ぎ落とした簡潔な方法が、見る行為の根源へと意識を向けさせている。
Hysteric No.1 Hysteric energy within 13 photographers
アパレルブランド、ヒステリック・グラマーが定期的に発行している印刷物『hysteric』第1号。「Hysteric energy within 13 photographers」と題され、与田弘志、肥田葉子、綿谷修、石田昌隆、広川泰士、秦貴美枝、グレゴリー・タケゾー・ヤマコフ、稲葉稔、達川清、蓮井幹夫、樫村鋭一、松本康男、奈良原一高ら、13名の写真家の作品を収録。個性の異なる写真家たちによるモノクローム作品が競演し、1990年代初頭の写真表現とヒステリック・グラマーの美意識が濃密に交差する。
Hysteric No.2 Self Portrait
アパレルブランド、ヒステリック・グラマーが定期的に発行している印刷物『hysteric』第2号。「Self Portrait」と題され、北村信彦、綿谷修、与田弘志、樫村鋭一、奈良原一高、松尾幹生、 合田佐和子、内藤忠行、広川泰士、植田正治、松本康男、川瀬敏郎、井上有一、達川清、成田ヒロシ、駿東宏、小林摩矢、神蔵香保、秦貴美枝らの作品を収録。ドローイング、花作品、イラストレーション、散文など自己像を多様な表現で探る構成となり、ファッションとアートが交差する実験的な内容が展開されている。
Rene Burri: Die Deutschen Photographien
スイス出身でマグナム・フォトに所属した写真家、ルネ・ブリによる写真集。1957年から1964年にかけてドイツ各地で撮影された作品から、都市の人びとや子どもたち、街路、建築、風景など88点をモノクロで収録している。戦後復興期の空気や日常の佇まいを、過度な演出を排した視線で捉えた写真が並ぶ。テキストにはドイツの作家、ハンス・マグヌス・エンツェンスベルガーの文章を収録。
Wolfgang Tillmans | Phaidon Contemporary Artists
写真家、ヴォルフガング・ティルマンスの作品集。国際的に活躍する現代美術家を紹介するアートブックシリーズ「Phaidon Contemporary Artists」の一冊として、初期から近年に至る代表作を広く収録している。クラブやプライド・パレード、私的な空間など、若者たちの身振りや空気感を鋭く捉えた写真は、90年代以降の視覚文化に新たな美意識をもたらしてきた。ピーター・ハリーによるインタビューや松井みどりによる批評を通して、写真表現の革新性と、イメージが持つ社会的・感覚的な広がりを多角的に読み解いている。
Heaven 天 | 奈良原一高
戦後日本を代表する写真家、奈良原一高による写真集。ローマのパンテオンの天井から覗く空を捉えた「Seven Heavens – Roma」、東京の都市風景を抽象的な構図へと導く「Vertical Horizon – Tokyo」、視覚の揺らぎを示す「Double Vision – Paris」の三部構成。ローマ、東京、パリを舞台に、重い病を経た自身の身体感覚と向き合いながら世界を見つめ直した、私的で思索的なシリーズ。視野の変化を通して、写真表現の可能性を静かに押し広げている。限定800部刊行。
TRANSIT: The Landscapes/The Portraits 特装版
雑誌『TRANSIT』初の写真集として刊行された特装版。2019年までに発行された全44号から写真を厳選し、「人物篇」と「風景篇」の2冊に分けて収録している。世界約80カ国で出会った人びと約1000人、風景180点を通して旅の軌跡をたどる。それぞれに世界地図やデータブックを備え、人物編では歴史や文化、風景編では自然や地球環境にまつわる基礎情報を整理している。あわせて、誌面を支えてきた写真家たちの言葉も収録。限定500部発行。
Allen Ginsberg Photographs
ビート・ジェネレーションを代表する詩人、アレン・ギンズバーグによる写真集。約40年にわたり、身近な友人や仲間たちを撮影した私的な記録がまとめられている。被写体には、ジャック・ケルアック、ウィリアム・バロウズ、ロバート・フランクをはじめ、同時代を生きた作家や芸術家たちが登場。スナップ的な写真の下には、人物や場所、その時の状況を振り返るギンズバーグ自身の手書きテキストが添えられ、作品と生活が地続きであったビート世代の空気が生々しく伝わってくる。
This Is not a House | Edgar Martins
写真家、エドガー・マーティンスの作品集。アメリカのサブプライム住宅ローン危機を背景に、全米8州・16か所に及ぶ建設現場や未完の建築を撮影したプロジェクトから構成されている。経済破綻の影響を受けた場所を丹念なリサーチのもとに選び出し、単なる記録や形式的な建築写真にとどまらない視覚表現を展開。現実と虚構が交錯する不穏なイメージを通して、建築や風景が抱え込む社会的な緊張や不在の感覚を浮かび上がらせている。
WA デザインの源流と形相
「WA, The Essence of Japanese Design」の日本語訳版。日用品、パッケージ、インテリア、照明器具など、約300点の作品を通して、現代の日本のデザインを紹介する写真資料集。モノに焦点を当て、日本におけるデザインと素材の強い結びつきを強調しながら、素材別に分類。柳宗理、倉俣史朗、深澤直人、吉岡徳仁など、日本を代表するデザイナーの作品を紹介するほか、原研哉による日本のデザインに関するエッセイも収録。
ジャン・プルーヴェ 20世紀デザインの異才
20世紀を代表する建築家ジャン・プルーヴェの仕事と思想を多角的に紹介する作品集。神奈川県立近代美術館とドイツ建築博物館による国際巡回展にあわせて刊行され、住宅・家具・道具といった幅広い領域におけるプルーヴェの実践をたどる。自らを「建設家」と称し、デザイン・構造・生産を一体と捉える姿勢を貫いたプルーヴェ。本書では「技術」「工業化」「構造的思考」といった視点からその設計理念に迫り、豊富な図面や写真、スケッチを通して、彼の造形と思想を視覚的に読み解く内容となっている。
A House is not a Home | Bruce Weber
米国の写真家ブルース・ウェーバーによる作品集。世界各地のアーティストやデザイナーを訪ね、住まいやアトリエのインテリアとエクステリアを撮影し、それらがいかに持ち主の個性を映し出しているかを探る。サイ・トゥオンブリー、ジョージア・オキーフ、ルイス・バラガンらが登場し、それぞれの空間に息づく美意識と生活の気配を豊富な写真で伝えている。
Enter the Mirror | 中藤毅彦
東京、ニューヨーク、ロンドン、パリ、アムステルダム、香港など世界の都市を荒々しいモノクロームで切り取った中藤毅彦の初写真集。雨に濡れた街路や、ニューヨークの高層ビル群、劇場のネオン、路上で交差する無数の表情。都市の日常と孤独を鮮明に描き出す。森山大道、恒松正敏によるテキストを収録。ポスター、小冊子付属。
Oceanscapes: One View, Ten Years | Renate Aller
写真家、レナーテ・アラーの作品集。ニューヨーク州ロングアイランドの同じ海辺の地点から、10年以上にわたり大西洋を撮り続けた写真が収められている。空と海、光の変化によって、波の色や表情が日々異なる姿を見せていく。ひとつの場所に向き合い続けることで、風景でありながら個人的な記憶にも近い感覚を呼び覚まし、海の広がりと時間の流れが穏やかに伝わってくる。加工を施さない写真ならではの、自然のリズムをそのまま感じられる一冊。
The Isamu Noguchi Garden Museum
20世紀を代表する彫刻家イサム・ノグチの活動を紹介する作品集。自身が設計し運営に携わったイサム・ノグチ・ガーデンミュージアムを舞台に、彫刻や庭園、舞台美術から都市空間のデザインにいたるまで幅広い創作を見渡すことができる内容となっている。テキストとデザインをノグチ自身が手がけ、美術館の魅力と理念を直接伝える構成。芸術と環境、公共空間をつなぐノグチの思想を提示している。
KABA 大友克洋アートワーク
漫画家・映画監督大友克洋による初のイラストレーション集。1971年から1989年にかけて制作された作品を豊富に収録している。代表作『AKIRA』をはじめ、『童夢』や『気分はもう戦争』のアートワークやカット集に加え、テレビCMの設定資料や関連グッズも紹介。大友の多彩な活動を網羅し、独自の世界観を視覚的に示す構成となっている。
Auf den Ersten Blick | Pierre Mendell
グラフィックデザイナー、ピエール・メンデルの作品集。1964年から2001年にかけて手がけられたポスターを中心に、文化施設や公共領域に向けた仕事をカラー図版で多数収録。簡潔で強度のある構成、明快なメッセージ性、そこに添えられる詩情やユーモアが、視覚伝達の核として一貫して貫かれている点が印象的。流行や技術的変化に左右されない姿勢はアイデアと内容に基づくデザインの持続性を雄弁に示し、視覚コミュニケーションの本質をあらためて考えさせる。
Saul Bass: A Life in Film and Design
20世紀アメリカを代表するデザイナー、ソール・バスの仕事をまとめた本格的な作品集。企業ロゴやグラフィックワークに加え、『めまい』『黄金の腕』など映画タイトルデザインの革新で知られるバスの幅広い活動を紹介している。AT&Tやユナイテッド航空といった企業アイデンティティ、妻イレイン・バスとの共同制作による映像作品までを網羅。未発表作を含む多数の図版を通して、戦後アメリカの視覚文化に大きな影響を与えた創造の軌跡がわかりやすく伝えられている。
The Graphic Language of Neville Brody ペーパーバック版 2冊セット
英国のグラフィックデザイナー、ネヴィル・ブロディの代表作をまとめた2冊セット。『THE FACE』や『Arena』を通じて知られる、実験的で力強いタイポグラフィを中心に、80〜90年代以降の仕事を収録している。コンピューター表現の広がりとともに進化してきた文字造形やレイアウトを通して、情報の見せ方そのものを更新してきた姿勢が伝わる構成。雑誌デザインから企業プロジェクトまで、ブロディの創作の特徴をわかりやすく辿ることができる。
Window-Shopping Through the Iron Curtain
写真家、デヴィッド・フリンスキーによる作品集。1986年から1990年にかけて、東欧および旧ソ連圏を巡り撮影されたショーウィンドウの写真を100点以上収録している。共産主義体制下という特殊な状況のもとで生まれた商業空間は、消費の場でありながら、イデオロギーと現実のずれを映し出す静物のようにも映る。レースのカーテンや紙の花、素朴な商品配置など、装飾性と即興性が入り混じるウィンドウは、日常の工夫と誇りを静かに物語る。
パンドラの街 東京1971-1975 | 内堀晶夫
写真家、内堀晶夫による作品集。1971年から1975年にかけて、東京の街角で出会った光景をモノクロのスナップで捉えている。若者の佇まい、地蔵と酔いつぶれた男、ゴミ箱や窓越しに覗くポスターの視線、影を落とす通勤風景など、日常の断片が鋭く切り取られる。昭和の面影を残す街並みの奥に、高度経済成長の影で生じた空虚さや人々の営みの裏側が、静かで確かな力をもって映し出される一冊。
写真・イタリア・柳沢信
戦後日本を代表する写真家のひとり、柳沢信による作品集。イタリア各地で撮影されたモノクローム作品から構成されている。35ミリ判カメラ1台とレンズ2本のみで臨み、63本分のフィルムから選び抜かれた写真が収録された。帰国後まもなく病が明らかになり、声を失うこととなった柳沢にとって、生前最後の海外撮影となった記録でもある。旅先の光と影、人々の佇まいを静かに見つめた視線が、深い余韻とともに残る一冊。
日曜流離 | 堀道生
写真家、堀道生による作品集。客待ちのタクシーロータリー、公園のベンチに集うカップル、犬を散歩する女性、花壇で眠るサラリーマンなど、日曜日の東京近郊で出会った光景をモノクロームで収めている。「週休」という時間のゆるみの中で、行き交う人々や街の気配を自由な視線で捉え、何気ない瞬間に宿る感情や距離感を静かに写し出している。
Metropolis | Robert Polidori
写真家、ロバート・ポリドリの作品集。ベイルートの爆撃跡、老朽化したニューヨークの集合住宅、荒れたままのヴェルサイユ宮殿の室内、ブラジリアのモダニズム建築、さらにはチェルノブイリやプリピャチの廃墟まで、世界各地の都市空間を記録している。建築を単なる構造物としてではなく、時間や歴史、出来事を刻み込んだ「都市の肖像」として一貫して捉えている。
Recollection | Walter Niedermayr
イタリアの写真家、ウォルター・ニーダーマイヤーによる作品集。イラン各地の風景を題材に、彼独自の視覚的アプローチで構成されている。露出を強調した白い光と、2枚の写真を並置してパノラマのような広がりを生み出す手法により、現実の風景を抽象的で時間の流れを感じさせる空間へと変換。観察と記憶のあいだを行き来するような、静謐で思索的な視点を提示している。
玩具図譜 全5巻揃 | 尾崎清次
大正・昭和期の小児科医であり、郷土玩具研究でもあった尾崎清次の著作。郷土玩具のなかでもとりわけ小児の無事成長を願うものをあつめ、スケッチとともにひとつひとつにまつわる民俗を記録したもの。『小児疾病の呪禁に関する玩具』、『結婚・妊娠・出産及食の呪禁に関する玩具』、『小児の幸福を祈りて贈る玩具』、『朝鮮玩具図譜』、『琉球玩具図譜』の全5巻セット。復刻版。
Human Space Machine: Stage Experiments at the Bauhaus
2013年から2014年にかけて開催された、バウハウスの舞台工房における実験と理念を検証する展覧会カタログ。1921年にヴァルター・グロピウスが設立したシアターワークショップを起点に、ローター・シュライヤー、オスカー・シュレンマー、モホリ=ナジ・ラースローらが人間とテクノロジーの関係を探求した軌跡を辿る。舞台工房に関連するスケッチ、写真、衣装、模型、装置などを多数収録し、バウハウスにおける総合芸術の実験的精神を明らかにしている。
民藝 MINGEI 美は暮らしのなかにある
2023年から各地を巡回している展覧会にあわせて刊行された図録。織物や陶器、照明など、日々の暮らしの中で用いられてきた手仕事の品々を、「衣・食・住」の視点から紹介している。無名の職人による民衆的工藝に美を見出した思想家、柳宗悦の理念を手がかりに、生活に根ざした造形の魅力を丁寧に読み解く構成。民藝産地を訪ねた取材では、現在も制作を続ける作り手の言葉を通して、技と思想の継承のあり方を伝える。また、過去の遺産としてではなく、現代のライフスタイルと接続しながら広がり続ける民藝の現在地を示している。
日本の鉄 | 杉村恒
写真家、杉村恒による写真を通して、日本の歴史における「鉄」を多角的に捉えた大型写真集。具足、灯籠、仏像、鉄器、鎌、城門扉、刀剣といった多様な鉄製品をカラー、モノクロで収録。「庶民」「武家」「信仰」といった視点を通じて、日本社会における鉄の受容と変遷を探るものであり、単なる素材としての鉄ではなく、歴史的・精神的文脈の中で再定位される鉄の姿を浮かび上がらせている。、歴史学者、林屋辰三郎および科学史家、吉田光邦らがテキストを寄せている。装丁は河野鷹思。
Sar: The Essence of Indian Design | Swapnaa Tamhane, Rashmi Varma
ムガール帝国からイギリス統治期、そして現代の多文化社会へと移り変わるインドの歴史を背景に、日常生活に根づいたデザインの魅力を掘り下げる一冊。陶器、布、金属器、家具、道具など、多様なオブジェクトを通してインドの美意識を読み解き、熟練した職人による技法や、自然・技術・実用性への応答から生まれた独自の造形が紹介されている。構成は年代順ではなく、ヒンディー語による抽象的なテーマごとに分類され、各オブジェクトがインド人の生活の中でどのような役割を担ってきたかを直感的に理解できる。
失楽園 | 野口賢一郎
写真家、野口健一郎による作品集。東京や京都の公園、植物園など、人工的に作られた「楽園」を舞台に撮影されたシリーズを収録。アスレチックで遊ぶ子どもたち、家族でのピクニック、写真撮影やボール遊びなど、日常のささやかな瞬間が静かに切り取られる。その視線には両親の死という個人的喪失に根ざした「迷子の眼差し」が重なり、見る者にどこか既視感や不安を呼び起こす。失われた楽園を探す行為であると同時に、喪失を経て世界と再び関わろうとする再生の過程を映し出す一冊。
Der Sonnenstich | Katinka Bock
ドイツの彫刻家カティンカ・ボックによる、写真表現に焦点を当てた初の作品集。2023年にパリのペルノ・リカール財団で開催された個展にあわせて刊行されたもので、2015年から2023年に撮影された55点の作品を収録している。家族的な空間や都市の風景、自然の断片など、日常の被写体を古いアナログカメラで静かに捉え、物体や空間の関係性を彫刻的な視点から探る。身体の部分や匿名的な人物像をクローズアップした写真には、触覚的な感覚と時間の堆積が繊細に表現され、写真というメディアを通して彫刻と感覚のあわいを照らし出している。
am pm | 高橋恭司
写真家、高橋恭司による作品集。黄昏から夜へと移ろう渋谷の街を舞台に、吸い殻や路上のゴミ、パチンコ店のネオン、行き交う人々の気配を捉えている。ブレや光の残像を生かしたイメージは、喧騒を抽象化し、都市の表層に現れる断片として立ち現れる。造本は松本弦人、編集は町口覚によるもの。