The Virgin Suicides | Corinne Day、Sofia Coppola
映画監督ソフィア・コッポラの長編デビュー作『ヴァージン・スーサイズ』の25周年を記念して刊行された写真集。イギリスのファッション写真家コリン・デイが撮影を担当し、制作現場で捉えたリズボン姉妹や、彼女たちが暮らす米国郊外の情景を収録する。撮影の合間に見せる何気ない表情や、コッポラが構築したセットの神秘的かつ親密な空気感が漂う一冊で、映画の世界観と現場の息づかいが交差するビジュアル記録となっている。英語表記。
BEST BEFORE | 奥山由之
写真家・映像監督の奥山由之による作品集。デビューから12年間にわたり手掛けてきたクライアントワークをまとめたもので、米津玄師、星野源、RADWIMPS、あいみょんらアーティストとのコラボレーションをはじめ、ポカリスエットやJRなどの広告写真、雑誌、エディトリアルワーク、俳優・モデルのポートレートなど400点以上の図版を収録。クライアントワークの枠を超え、写真表現の本質を探る視点となっている。
6:30 am | Robert Weingarten
ニューヨーク出身の写真家ロバート・ワインガーテンが、マリブの自宅からサンタモニカ湾を毎朝同じ時刻「6時30分」に撮影したシリーズ。1年以上にわたり、同一の視点と構図で捉え続けることで、空や海の色、光の濃淡、対岸の景観が刻々と変わる様子を丁寧に記録したもの。水彩画のように淡くにじむ色調は、自然の表情と時間の移ろいを静かに写し出し、固定された視点から見える世界がいかに豊かで多様かを雄弁に語っている。
ミンガリング・マイクの妄想レコードの世界
『架空のレコード』をリリースし続けた、ミリング・マイクの作品集。蚤の市で発見された「ミリング・マイク」のレコードは、すべてダンボールで作られており、ライナー文や溝が一本一本手書きで描かれていた。公民権運動や政治変動など、激動の時代のアメリカで家族や社会から受けたさまざまな影響を受け、その経験を『架空のレコード』として作品に昇華させる。LPジャケットの作品図版とともに解説を収録。
Ballet | George Platt Lynes
アメリカの写真家、ジョージ・プラット・ラインスの大判写真集。1930〜50年代のニューヨーク・シティ・バレエをはじめとするバレエ団やダンサーたちを被写体に、繊細かつ躍動感あふれるモノクロ写真を収録。光と影のコントラスト、身体のラインや衣装の質感、舞台の空気感までが精巧に捉えられ、単なる記録にとどまらず、写真芸術としても豊かな表現世界を味わうことができる。
Freedom From The Known | Wolfgang Tillmans
2006年にニューヨークのP.S.1コンテンポラリー・アート・センターでの大規模個展に合わせて刊行された、ヴォルフガング・ティルマンスの抽象写真に焦点を当てた初の作品集。ティルマンスの具象的・表象的作品の奥に潜んでいた抽象性に光を当て、その独自の視覚言語を新たな視点から捉え直す試みとなっている。収録された25点のうち24点は本プロジェクトのために新たに制作されたもので、多くはネガを用いず、光を直接印画紙に作用させて生み出された「カメラレス」写真によって構成されている。
フランス国立ケ・ブランリ美術館所蔵 マスク展
2015年に東京都庭園美術館で開催された展覧会の図録。フランス国立ケ・ブランリ美術館が所蔵するアフリカ、アジア、オセアニア、アメリカのマスクを紹介したもので、それぞれの地域の文化や信仰、自然観と結びついた多彩な仮面表現を伝えている。儀礼や祭祀、物語の演者としての役割を担うマスクの造形性と精神性を豊富な図版とともに示し、文化の多様性を読み解く。
Honey Hunters of Nepal | Eric Valli
フランスの写真家・映画監督エリック・ヴァリによる写真集。ヒマラヤの断崖をよじ登り、巨大なヒマラヤオオミツバチから蜜を採取する「ハニーハンター」たちの姿を記録したドキュメンタリー。命綱ひとつで崖に挑む採蜜の儀礼や、山岳民族の暮らしを迫力ある写真で捉え、過酷で神秘的な営みに迫っている。
Wespi de Meuron Romeo | Deutscher Architektur Verlag
スイスの建築家マルクス・ヴェスピ、ジェローム・ド・メウロン、ルカ・ロメオの3名による建築作品をまとめた資料集。拠点とするスイス・ティチーノ州カヴィアーノの伝統建築から着想を得ながら、土地の文脈に寄り添う住空間・仕事空間を生み出してきた彼らのプロジェクトとコンペ案を紹介する。カラー・モノクロ写真、図面、解説を通して、素材へのこだわりや時代に左右されない造形感覚を読み解くことができる一冊。
APLIX: Dominique Perrault, Architect, Andre Morin, Photographer
フランス・ナントに建つドミニク・ペロー設計のアプリックス社工場を紹介する写真集。全長300メートル超の建物は、精緻に織り込まれたスチールのファサードが特徴で、ロワール渓谷の風景に静かに溶け込むように設計されている。内部の先端的な繊維生産と呼応するハイテクな外観が、産業施設とは思えない独自の美しさをまとわせる。アンドレ・モランの写真が、この特異な建築の構造と存在感を鮮明にとらえている。
氷河日記、グレイシャーベイ | 石塚元太良
写真家・石塚元太良がアラスカの氷河地帯を旅しながら撮影したフォトエッセイ。氷河や氷山、海との境界域が見せる静謐で力強い風景を写し取り、そこに至る過程の思索や記録を織り交ぜている。単なる風景の記録ではなく、流動し続ける自然の生成と消失、人間の身体感覚や環境との関係性が浮かび上がる構成。極地の非日常的な光景を通して、自然と向き合う視点を深く考えさせる一冊。
POLAR | 石川直樹
写真家・石川直樹による北極圏の記録をまとめた作品集。果てしなく連なる氷の山脈、動物と共に暮らす人々の生活、そして地球温暖化の影響が迫る現実を写し取っている。10年にわたる断続的な旅を通して撮影された写真群は、過酷な環境の中で営まれる人間と自然の関係を浮かび上がらせる内容となっている。壮大な自然と日常の営みを対比させる構成によって、変容する極地の姿とその記憶を映し出している。
ル・コルビュジエ 建築・家具・人間・旅の全記録
20世紀モダニズムを代表する建築家ル・コルビュジエの創作と人生を総覧する資料集。初期の木造建築から宗教建築まで、多様なプロジェクトを豊富な図版とともに紹介するほか、フランス、スイス、ドイツなど世界各地に残る建築51棟を巡る「旅」の記録も収録。年表、手稿、インタビューを通じて、人間としてのコルビュジエの思考と日常に触れられる構成となっている。建築作品、家具デザイン、旅の軌跡を立体的に見渡し、彼の理念とデザイン哲学を深く理解できる一冊。巻頭には磯崎新によるインタビューを収載。
ル・コルビュジエ展 | セゾン美術館 ほか
1996年から1997年にかけて開催された「ル・コルビュジエ展」の公式図録。建築のデッサンや写真に加え、家具のプロダクトデザイン、画家としてのペインティング作品まで、多彩な創作活動を網羅的に紹介。近代建築の巨匠としての姿だけでなく、多分野にわたる表現者としての側面も伝える内容となっている。
The Art of Getting Over: Graffiti at the Millennium | Stephen Powers
グラフィティの黎明期から現在の圧倒的な広がりに至るまでの影響を検証する。アメリカ出身のグラフィティ・アーティストであり、「Go Magazine」の編集長など多岐にわたる分野で活躍するスティーブン・パワーズによって執筆されており、グラフィティの一般的な歴史に加え、草創期のアーティストや現在活躍する作家たちへの詳細なインタビュー、過去30年間の最重要作品のフルカラー図版を収録。英語表記。
Ed Fella and Geoff McFetridge: Two Lines Align
アメリカのアーティスト/デザイナー、エド・フェラとジェフ・マクフェトリッジの展覧会に合わせて刊行されたカタログ。手描きの図案やタイポグラフィ、広告と個人制作のあいだを自在に行き来する2人の仕事を豊富な図版で紹介する。プレ・コンピューター時代の表現を貫くフェラと、パーソナルなイメージを起点に独自のスタイルを築いたマクフェトリッジの軌跡を、両者をめぐる論考とともに読み解く。
デザインのデザイン Special Edition | 原研哉
グラフィックデザイナー・原研哉のデザイン思想をまとめた代表的著作『デザインのデザイン』の増補版。無印良品、長野五輪、愛知万博など、原が手がけてきたプロジェクトを振り返りながら、デザインの本質を探る思考を平易に語っている。初版刊行後、台湾・韓国・中国で相次いで翻訳され、国際的評価を得た英語版『DESIGNING DESIGN』に、改訂や新稿、カラー図版の大幅追加を施した内容を日本向けにまとめた一冊。
Eames Design イームズ・デザイン展
2001〜2002年に東京都美術館などで開催された展覧会の図録。ミッドセンチュリーを象徴するデザイナー、チャールズ&レイ・イームズ夫妻の仕事を総覧する一冊。成形合板の技術で革新をもたらした椅子をはじめ、家具、建築、映像、玩具、テキスタイルなど、夫妻が生涯にわたり手がけた多様なデザインワークを豊富な写真と資料で紹介する。優れた機能性と美しい造形を兼ね備えたイームズ作品の広がりと、20世紀アメリカのモダンデザインへの大きな影響を伝えている。
Abstract Reality | デニス・ホッパー
俳優・映画監督として知られるデニス・ホッパーの、もう一つの顔である写真表現に焦点を当てた作品集。京都や大阪、ヴェニス、ロンドンなど、世界各地の街角で37年にわたり撮影した落書きや張り紙、ペイント跡、オブジェなどを収録している。観光名所ではなく路上の断片に目を向け、それらを抽象画のように捉える視点が特徴。俳優となる以前から写真を自身の表現手段と考えていたホッパーの、直感的で鋭いまなざしを感じ取ることができる。
超発明 創造力への挑戦 | 真鍋博
イラストレーター・真鍋博が考案した129の“超発明”を、軽妙なイラストとともに紹介する一冊。「三次元鉛筆」「固型酸素」「人間郵送」「嗜好眼鏡」「虹のかけ橋」「古典的宇宙船」「複合頭脳」など、科学と空想のあいだを自由に往来する奇想が満載。実現不可能だからこそ、発想の枠を広げ、遊び心と想像力の面白さを実感させてくれる。
Paul Klee: Painting Music
スイスの画家パウル・クレーが、バウハウス期に育んだ「音楽と絵画」の関係に迫る作品集。優れたヴァイオリニストでもあった彼は、リズムや構造といった音楽的思考を抽象絵画へと応用し、独自の記号やシンボルを組み合わせながらイメージを“作曲”するように発展させていった。本書は、多数のカラー図版と日記の抜粋を通して、その方法論と創作の核心を読み解くもの。クレーが抽象表現へと向かう過程を多角的に示す、バウハウス期を理解する上でも重要な資料となっている。
HOUSE | 尾形一郎、尾形優
写真家・尾形一郎と建築家・尾形優が、20年かけて世界6か所の「家」を撮影した作品集。ナミビアの砂に飲み込まれつつある元鉱山町の住宅や、ギリシャの島に残る白い鳩小屋など、建築の造形とそこに刻まれた人の痕跡を静かに捉えている。砂漠、島、日本の遊郭跡など、異なる土地に残る家々を通して、住む者の記憶や欲望、時間の流れまでも浮かび上がらせる一冊。
10 Years of Dolce & Gabbana
イタリアを代表するブランド、ドルチェ&ガッバーナの創業10周年を記念して刊行された写真集。アーヴィング・ペン、ブルース・ウェーバー、スティーブン・マイゼルら一流フォトグラファーによる159点の写真を収録し、ブランド初期の世界観と美学を鮮やかに映し出す。デザイナーの友人や関係者によるコメントも添えられ、10年間の歩みを伝える一冊。
The Art of Vogue Photographic Covers | Harmony Books
1932年から1985年にかけて刊行された各国版『VOGUE』の表紙を収録した資料集。フランス、アメリカ、イギリスなど、国や時代による編集方針や美意識の違いが色濃く反映され、ファッション写真の変遷を俯瞰できる内容となっている。華やかなヴィジュアルは単なる雑誌の装いを超えて、アートとしての雑誌カバーの魅力を提示し、モード史やデザイン史を読み解く上でも重要な資料となっている。英語表記。
MACHOS | 吉田カツ
昭和から平成にかけて活躍したイラストレーター、吉田カツの作品集。1990年から1991年に制作された絵画を中心に収録しており、ポートレート、植物、滝、静物など、多彩なモチーフが登場する。力強い筆致と大胆な構図、そして吉田カツ独自の色彩感覚が際立つ作品が多数掲載されており、創作の厚みと幅を感じられる貴重な作品集。アートディレクターは浅葉克己。見開きに署名あり。
Where is Silas?
イギリスのファッションブランド「SILAS」の名の由来となった架空の人物、Silas Holms をめぐる世界観をまとめたアートブック。ファーガス・パーセル、ジェームズ・ジャーヴィス、ウィル・スウィーニーらロンドンのクリエイターが、写真、イラスト、3D作品、テキストなど多様な表現で参加している。ブランドの広告物やドール制作にも通じる、遊び心とストリート感覚に満ちたビジュアルを楽しめる一冊。解説冊子付属。
茂田井武美術館 記憶ノカケラ
童画家・茂田井武の画業を、時代順にたどる作品集。パリ滞在期の幻の画帳や絵物語、戦後の児童書や雑誌挿絵など、未発表作を含む約200点を4章構成で収録している。異国体験から育まれた独自の感性と、叙情的であたたかな作風の変遷を一望できる内容。幻想や郷愁、軽やかなユーモアがにじむ茂田井の世界を改めて味わえる、資料価値の高い一冊となっている。
川島小鳥写真集 明星
写真家・川島小鳥が30回以上にわたり訪れた台湾を舞台に撮影した作品集。南国の果物や街を行き交う人々、風景など、あらゆる被写体が鮮やかな輝きを放つように切り取られている。縦写真は縦に、横写真は横にそのまま綴じるというユニークな造本を採用し、リズム感のあるページ構成が特徴。旅の記憶と台湾の空気感が重なり合い、明るく瑞々しい世界を存分に伝える内容となっている。
菅井汲展
2000年に東京都現代美術館と兵庫県立近代美術館で開催された展覧会の図録。1952年に渡仏し、常に新たな絵画世界を展開し続けたことで国際的に高く評価された画家、菅井汲(すがい くみ)。本書では渡仏以前の作品から晩年にいたるまで、代表的な作品を中心に、油彩、立体、版画、資料を通して菅井の創造の全貌をたどる一冊。
波の絵・波の話 | 村上春樹、稲越功一
作家・村上春樹と写真家・稲越功一によるコラボレーション作品。パリ、オーストラリア、リオデジャネイロなど、稲越が世界各地で撮影した“波”の写真に、村上が短いテキストを寄せている。寄せては返す海のリズムと、言葉が生む余韻が重なり、静かで詩的な世界が広がる一冊。写真と言葉が響き合い、自然と人の感覚が交差する時間を味わえる。
原田裕規 ホーム・ポート | 広島市現代美術館
2024年から2025年にかけて広島市現代美術館で開催された特別展の図録。多様なメディアを用いて、社会の中で広く認知されている視覚文化を題材にしたプロジェクトで知られるアーティスト、原田裕規。本書は代表的な映像、インスタレーション、パフォーマンス作品から新展開の平面作品、初期の絵画などを展示風景とともに紹介。原田へのインタビューの記事のほか、論考のテキストも併せて収録。
ラルティーグ写真集 時のまなざし
20世紀初頭のフランスの写真家、ジャック=アンリ・ラルティーグの作品集。1995年から1996年にかけてBunkamura ザ・ミュージアム等で開催された生誕100周年記念展に際して発行されたもの。黎明期の飛行機や自動車レース、海水浴場でくつろぐ人々、流行のドレスをまとった貴婦人など、日常のひとコマを切り取った作品群を収録。
Comme des Garcons Six no.3
1988年から1991年にかけてコム・デ・ギャルソンが関係者向けに制作したビジュアルブック『Six』第3号。川久保玲のファッション哲学を、さまざまなアーティストの作品を通して視覚的に提示している。特集ではピエール・ブーシェによる作品のほか、アズディン・アライア、フランチェスコ・クレメンテ、ピーター・リンドバーグらが参加し、アートとファッションが交
Comme des Garcons Six no.6
1988年から1991年にかけてコム・デ・ギャルソンが関係者向けに制作したビジュアルブック『Six』第6号。川久保玲のファッション哲学を、さまざまなアーティストの作品を通じて視覚的に提示している。特集ではニコ・ピロスマニの作品に加え、サルバドール・ダリ、ブライアン・グリフィン、ディーノ・ブッツァーティ、ピーター・リンドバーグ、篠山紀信、ジョン・マーフィーらによる写真やアートを収録し、アートとファッションが交錯する時代を記録した貴重な誌面構成。アートディレクションは井上嗣也が手がけている。
Comme des Garcons Six no.8
1988年から1991年にかけてコム・デ・ギャルソンが関係者向けに制作したビジュアルブック『Six』第8号。川久保玲のファッション哲学を、さまざまなアーティストの作品を通して視覚的に提示している。デニス・ホッパーによるアンディ・ウォーホルのポートレートのほか、ピーター・リンドバーグ、ユルゲン・テラーらによるコム・デ・ギャルソンのルックを掲載。ファッションフォトと美術表現が交錯する誌面構成。アートディレクションは井上嗣也が手がけている。
北村道子作品集 Tribe
スタイリスト・衣裳デザイナーとして活動する北村道子の約20年の仕事をまとめた作品集。藤井保による写真とともに、衣裳やファッションの枠を超えた表現を紹介。民族性、共同体、歴史、日本人のアイデンティティといったテーマを背景に、生々しくも力強い造形が展開され、単なるスタイリングを超えた文化的・身体的な問いを投げかけている。時空を超えて響くようなイメージの連なりは、衣裳表現の可能性を再考させる貴重なドキュメントとなっている。装丁は葛西薫。
Celebrating Arne Jacobsen 100 Years
デンマークを代表する建築家・デザイナー、アルネ・ヤコブセンの生誕100周年を記念して編まれた作品資料集。10年におよぶ研究をもとに、建築から家具、プロダクトに至るまでヤコブセンの創作活動を体系的に紹介する。前半ではその生涯と思想の変遷を辿り、後半では〈SASロイヤルホテル〉や〈エッグチェア〉など代表作を詳細に分析。モダニズムの理念を北欧の感性と融合させたヤコブセンの造形哲学を総合的に検証している。
Inui Architects 乾久美子建築設計事務所の仕事
建築家・乾久美子の活動を幅広く紹介する作品集。東日本大震災で被災した岩手県・唐丹の小中学校と児童館の再建から、みずのき美術館、個人住宅、町家改修、駅前再開発まで、多様な規模と用途の建築を収録している。写真、模型、図面、スケッチを豊富に掲載し、乾が各プロジェクトで現実の条件と丁寧に向き合いながら、普遍性のある建築のかたちを探ってきた思考を読み取ることができる。自身による論考「小さな風景と建築」などのテキストも収録。装丁は菊地敦己。
If One Thing Matters, Everything Matters | Wolfgang Tillmans
2003年にテート・ブリテンでの大規模個展にあわせて刊行された、ヴォルフガング・ティルマンスの包括的な作品集。ゲイ・プライドやクラブカルチャーを撮った初期シリーズから、風景、都市、静物、抽象へと広がる多彩な表現まで、ティルマンスの視線を一望できる構成となっている。2,000点を超える図版に加え、巻末ではキュレーターのメアリー・ホーロックとのインタビューを収録。自身の作品に通底するテーマや美術史的背景、日常と自然現象への関心について語っており、作家の思考と制作プロセスに深く触れられる一冊。デザインもティルマンス自身が手がけている。
Wolfgang Tillmans: Kunsthalle Zurich
ドイツ出身の写真家ヴォルフガング・ティルマンスの展覧会にあわせて刊行された図録。ユースカルチャーのポートレートや都市の断片、新聞の切り抜きやスローガンなど、多様な素材を組み合わせるティルマンス独自の構成を反映した一冊。初期から90年代にかけての代表的なイメージが選ばれ、人物・風景・抽象的な要素がゆるやかに響き合うティルマンスの感覚が伝わる。ジャンルを横断しながら写真の可能性を押し広げたその表現の核心に触れることができる。
Wolfgang Tillmans | Julie Ault ほか
ドイツ出身の写真家ヴォルフガング・ティルマンスのアメリカ初回顧展にあわせて刊行された作品集。90年代のカルチャー誌での活動から、日常の細部をすくい取るスナップ、抽象的な光のイメージ、構造物をとらえたシリーズまで、長いキャリアの中から選ばれた代表的な図版を収めている。さらに、ポートレートの方法論、雑誌メディアとの関わり、展示におけるインスタレーションの工夫などを研究者が解説し、その思考と実践の広がりを読み解いている。
Das erste Bilderbuch: Alltaegliche Dinge fur Kleinkinder | Edward Steichen
アメリカの写真家エドワード・スタイケンが、幼い子どもが身近な物の名前を覚えられるように作った写真絵本。時計や三輪車、果物、花など、日常の物をシンプルに撮影した24点の写真で構成される。教育目的の本でありながら、構図や光の扱いにはスタイケンらしい芸術性が息づき、写真表現の新しい可能性を感じさせる一冊。解説テキストも添えられ、写真を使った児童書として特異な存在となっている。
POOL 増補改訂版 | 平野太呂
写真家・平野太呂による作品集『POOL』増補改訂版。舞台はアメリカ西海岸、使われなくなりスケーターたちの遊び場となったプールである。優美なカーブを見せるもの、草木に覆われ荒廃したもの、グラフィティに彩られたものなど、多様 […]