Paris | Chris Rhodes
JIL SANDERの2022年夏のクリエイションを表現した写真集。クリエイティブディレクター、ルーシー・メイヤーとルーク・メイヤー夫妻の依頼により、これまで多くのプロジェクトを手がけてきた写真家のクリス・ローズが撮影。コレクションの大切な創造の源である都市を背景に、すべての都市の象徴であり、都会のシンボルとして自由への願いが込められたパリの街をブランドの美学の視点で捉えている。
Rodin / Arp | Raphael Bouvier
近代彫刻の流れを形づくったオーギュスト・ロダンと、抽象彫刻の革新者ジャン(ハンス)・アルプの作品を並置し、その親和性と差異を読み解く一冊。代表作を中心に両者の作品を対話的に配置し、形の変遷や素材へのアプローチを比較しながら、彫刻表現が具象から抽象へと進む過程を視覚的に示している。実験精神に満ちた二人の創造の軌跡を通じ、彫刻の可能性を再考させる内容となっている。
Mirage No.6 Univer Parallele | Henrik Purienne、Frank Rocholl
写真家ヘンリック・プリエンヌとグラフィックデザイナー、フランク・ロッコルトが手がけるファッション&カルチャー誌『Mirage』第6号。1960〜70年代の写真美学やヘドニズム文化を源泉とし、建築、アート、デザインに潜む“時代を超える美”を再構築する編集方針が一貫している。本号では“並行宇宙”というテーマのもと、夏、自由、若さ、反抗といった象徴的なモチーフを収録。写真家とミューズの親密な距離感が生むドキュメンタリー的な雰囲気が特徴で、視覚文化としてのファッション誌の新たな可能性を示している。
The Art of Richard Diebenkorn ハードカバー版
戦後アメリカ美術を代表する画家リチャード・ディーベンコーンの活動を網羅的に紹介する作品集。初期の抽象表現から具象への展開、さらに代表作である「オーシャンパーク」シリーズまで幅広く収録している。画家の内面や制作姿勢に踏み込みながら、その表現の核を丁寧に読み解く論考も充実。ディーベンコーン特有の抑制された色彩感覚や空間構成がどのように深化していったのかを、多角的に理解できる構成となっている。
Truth Study Center | Walfgang Tillmans
ドイツの写真家、ウォルフガング・ティルマンスによる作品集。タイトル〈Truth Study Center〉は「普遍的な真理を求めながら、それを見つけることはできない」という人間の矛盾を、皮肉と洞察をもって示している。ポートレート、抽象的イメージ、風景、静物、天体写真など、異なるジャンルの写真が意図的に交錯しながらも、互いに関わりを持たずに並置されている。理性と感覚、科学と信仰のあいだを行き来する多様な視点を通して、現代社会における「真実」のあり方を問いかけている。
Aiko T. | Michel Comte
スイスの写真家、ミッシェル・コントの作品集。〈Aiko T〉という名の日本人芸者を被写体とし、1990年のホテルの一室で行われたコントとの密度の高いコラボレーションを収めた一冊。衣装をまとった静かな佇まいからヌードへと移ろう過程を写し取った、官能的な空気に満ちた1冊。写真家とモデルの緊張と信頼が交錯する瞬間が凝縮された、稀少なフォトブック。500部限定刊行。
フルクサス展 芸術から日常へ
2004年から2005年にかけてうらわ美術館で開催された展覧会の図録。1960〜70年代に世界で展開した前衛芸術運動フルクサスを、豊富なカラー図版と資料とともに紹介。オノ・ヨーコ、靉嘔、塩見允枝子、久保田成子、ハイレッド・センターなど国内外の主要作家の作品を収録し、音や映像、出版物、パフォーマンスなど、様々な角度から多角的に解説している。1958〜78年の活動を俯瞰できる折込の「フルクサス・イベントマップ」や年譜、アーティストマップや座談会の再録なども含まれ、資料性も高い内容。
Park Seo-Bo
韓国現代美術を代表する作家、パク・ソボ(朴栖甫)の作品集。2016年に香港・ペロタンで開催された展覧会にあわせて刊行されたもので、単色画(ダンセクファ)を牽引した重要作家としての歩みを、代表シリーズ「描法(Ecriture)」を中心に紹介する。初期に関心を寄せたアンフォルメルからの変遷をたどりつつ、展示風景や詳細な作品図版を通して制作過程の物質性と瞑想的な思考が読み取れる構成となっている。
移住 migration | 露口啓二
写真家・露口啓二が2017年から続けるシリーズをまとめた作品集。強制移住や歴史的移住の痕跡を手がかりに、北海道のアイヌの地、足尾銅山跡と谷中村、福島の帰還困難区域、東京の皇居周辺など、日本各地の風景を静かに捉えている。写真に寄り添う年表や史料は文脈を示しつつも、写真との間に生まれるわずかなズレが思考の余白を生み出す。歴史の層を丁寧に読み解き、移住がもたらした不可視の影響を見つめ直している。
Damien Hirst: Requiem II | ダミアン・ハースト
現代美術家ダミアン・ハーストの作品集。2009年にウクライナ・キエフのピンチューク・アートセンターで開催された展覧会にあわせて刊行されたもの。2006年から2008年に制作された、闇の中から浮かび上がるように描かれた頭蓋骨をモチーフとする絵画40点以上を収録。絵画というメディアを通じ、ロマンティックな美と死の冷酷な現実を重ね合わせ、「死」という普遍的かつ哲学的な主題を描き出している。
川内倫子 M/E 球体の上 無限の連なり
2022年から2023年にかけて開催された写真家・川内倫子の展覧会図録。代表作「M/E」を中心に、この10年間の活動を総覧する内容で、「4%」「One surface」「An interlinking」「光と影」「あめつち」などのシリーズを収録。アイスランドの火山や流氷、北海道の雪景、そして日常の断片を柔らかな光のもとにとらえ、自然と生命、人と地球のつながりを見つめる。タイトル〈M/E〉は“Mother Earth”と“Me”を重ねた言葉であり、母なる大地と私を結ぶ感覚を象徴する。写真に加え、映像作品や対談も収録し、川内の世界観の核心に迫る一冊。
アラスカ物語 | 川上澄生
版画家・川上澄生が大正7年、23歳のときにアラスカで鮭缶詰工場の作業員として過ごした約5か月の経験をもとに綴った、自伝的な日記と版画作品による一冊。北国の大自然、異国の暮らしで出会った人々の姿を、詩情あふれる文章と温かみのある木版画で描き出す。色彩豊かな版画は、アラスカの風土がもつ生命力をのびやかに伝え、15篇のエピソードと交互に配置された構成。限定300部発行。製本は洋画家の古賀亀雄、製函は加藤三吉が手がけている。
デイヴィッド・ホックニー展
2023年に東京都現代美術館で開催された展覧会の公式図録。20世紀を代表する芸術家デイヴィッド・ホックニーの代表作から当時の新作までを網羅し、絵画、ドローイング、版画、舞台芸術、写真、そして近年のiPad作品まで、多彩な実践を127点のカラー図版で紹介。ロサンゼルス時代の初期作、故郷ヨークシャーの自然を描いた大画面のシリーズに加え、パンデミック下にノルマンディーで制作された全長約90メートルの大作「ノルマンディーの12か月」を収録。制作の背景や思考に触れる論考、ホックニーへのインタビューも掲載し、視覚の再発見を掲げるその創造原理を掘り下げている。
Light Lines: The Architectural Photographs of Helene Binet
ロンドンを拠点に、40年にわたり歴史的建造物から現代建築までを撮影してきた写真家エレーヌ・ビネの作品集。ニコラス・ホークスモアのバロック建築や、ル・コルビュジエ、ダニエル・リベスキンド、ザハ・ハディド、ペーター・ツムトアらの建築を、アナログ技法のみを用いて記録した作品群を収録。光が触れる角度や影の深度、素材の質感を細やかに捉えることで、建築が持つ静謐なリズムと内なる緊張を可視化している。
与えられた形象 辰野登恵子 柴田敏雄 Given Forms
2012年に国立新美術館で開催された展覧会の公式図録。抽象絵画を探究した辰野登恵子と、土木構造物や地形を独自の視点でとらえる写真表現で知られる柴田敏雄という、異なるメディアで活動する二人の作家にフォーカスしたもの。学生時代の初期作から代表作、開催当時の新作までを精選して収録し、東京藝術大学油画科の同級生として交流を深めた両者による対談も収録。外界に見出される偶然的なフォルムへの眼差しを出発点に、独自の抽象性と造形性へと昇華していった二人の歩みをたどり、写真と絵画を超えて交差する造形思考の軌跡を伝えている。
シンプルなかたち = Simple Forms 美はどこからくるのか
2015年に森美術館で開催された展覧会の図録。19〜20世紀のヨーロッパで再評価された「シンプルなかたち」の美学を軸に、先史時代の石器から現代アートまで約130点を収録する。数学・機械工学・生物学・考古学などの学知が交差する中で育まれた造形理念は、工業デザインや建築、モダンアートにも深い影響を与えた。一方、自然界やプリミティブアート、民俗芸術、日本の工芸や禅画にも、同質の美学が通底している。こうした時代も地域も異なる造形を九つのセクションで横断し、かたちが持つ普遍的な力と美の根源を探究している。
THE RADICALS 部首 A Nation’s Ideogrammic Anthems | Christopher Mosdell
英国出身の詩人・作詞家・作曲家、クリス・モズデルの作品集。漢字の基礎を成す「部首(radicals)」を起点に、日本という国の精神的・文化的構造を読み解く一冊。木、火、王、糸といった象徴的な部首から、文学者、武士、皇族、神々など、日本の歴史を形づくってきた人物や観念へと詩的に接続し、イデオグラム(表意文字)が内包する文化的記憶を掘り下げていく。
Season Pass | Peter Sutherland
ニューヨークを拠点に、広告写真から映像、ドキュメンタリー、個人制作まで幅広く手がけるピーター・サザーランドの作品集。ノースフェイス、アディダス、シュプリーム、ナイキといったブランドの撮影経験を持ちながら、本作ではよりパーソナルな視点で捉えた日常の断片を収録。都市の風景、偶然の重なり、友人や旅先の光景などのイメージは、アメリカの生活感や都市の粗さを素直に映し出している。
The Kings | 平野太呂
写真家・平野太呂によるアメリカを舞台にしたシリーズの第3作目。テネシー州メンフィスで、エルビス・プレスリーの命日に開催される「エルビス・ウィーク」を撮影した一冊。街じゅうにエルビスの楽曲が流れ、老若男女の“エルビス・トリビュートアーティスト”たちが集う特別な3日間を記録する。完璧にポーズを決める人々、身体にタトゥーを刻む女性、熱気に包まれたナイトイベントなど、メンフィスに溢れる「キングス」を平野が独自の距離感で捉えている。
牛腸茂雄 1946-1938
2004年に開催された巡回展の公式カタログ。日本の写真史において重要な位置を占める牛腸茂雄(1946–1983)の創作を、初期から晩年まで全5章で紹介している。『日々』とその周辺をはじめ、『SELF AND OTHERS』『見慣れた街の中で』『幼年の「時間」』『扉をあけると』など主要シリーズを網羅。豊富な図版とあわせて解説を収録し、人間味あふれる視線の軌跡を総覧できる内容となっている。
イサム・ノグチ 発見の道
2021年に東京都美術館で開催された展覧会「イサム・ノグチ 発見の道」の公式図録。香川県牟礼のイサム・ノグチ庭園美術館で撮影された写真をはじめ、彫刻、庭園、舞台装置、照明作品「あかり」など多彩な実践を豊富な図版で紹介する。ブランクーシとの出会いを契機に、自然と抽象のあいだを往還する造形理念を育んだノグチの歩みを、初期から晩年までの代表作と資料から多角的に検証。磯崎新、安藤忠雄、松岡正剛らによる論考も収録している。
BEIJING HUTONG 101 PHOTOS | 徐勇
急速な再開発によって姿を消しつつある北京の「胡同(フートン)」を記録した写真集。胡同とは、四合院住宅が連なり、細い路地が迷路のように走る北京固有の生活空間のこと。元・明・清代に形成され、庶民の暮らしが息づく場として長く親しまれてきたが、近年の都市化で多くが失われつつある。本書は、そうした胡同の風景を101枚の写真で構成。住民の営みがにじむ路地の表情、素朴な建物の佇まい、四合院の構造や細部、そして時間の層を含んだ街並みを丹念に写し取っている。
A Book of Things | Jasper Morrison
プロダクトデザイナー、ジャスパー・モリソンが手がけてきた家具や日用品、キッチンツール、家電、公共プロダクトまで、多岐にわたるデザインをまとめた作品集。各プロジェクトには制作の背景やスケッチ、協働したメーカーや職人との関係性が添えられ、いかにして「スーパーノーマル」と称される独自の造形思想が形成されてきたかを丁寧に追っている。過度な装飾を排し、使い手の生活に静かに馴染む形を探り続けてきたモリソンの姿勢をうかがい知ることができる一冊。
Weegee
アメリカの写真家ウィージーの作品集。1930〜40年代のニューヨークを舞台に、事件現場、事故、群衆、夜の街といった都市の“裏側”を鋭い眼差しでとらえた112点を収録する。パトカーより先に到着したとも言われる即応性と、強烈なフラッシュを用いた撮影は、当時のニューヨークを残酷さと滑稽さが交錯する生々しい光景として浮かび上がらせる。報道写真の域を超えて、都市の暴力性と人間の本性を直視する視覚記録。
ロバート・フランク ムーヴィング・アウト | 横浜美術館
1994年から1996年にかけて開催された巡回展にあわせて刊行された公式カタログ。アメリカを代表する写真家ロバート・フランクの初期から1990年代前半までの作品を、年代順に多数収録する。ストリートに生きる人々や風景を、演出を排した視点で捉え、時代の空気をありのままに写し出した写真群が並ぶ。巻末には展覧会歴、年譜、出品リストなども収録された資料性の高い一冊。
世界のグラフィックデザイン 2 ポスター・歴史編
シリーズ「世界のグラフィックデザイン」第2巻として、多色石版ポスター黎明期から第二次世界大戦終結までの流れを体系的に整理した一冊。ロートレック、ミュシャなど欧州の巨匠から、ヤン・チヒョルトやマックス・ビルらモダニズムの旗手、さらには三越の広告に至るまで、視覚文化を形作った多様な作品に加え、勝見勝、山本明、針生一郎、岡田隆彦による論考も収録。
世界のグラフィックデザイン 7 環境のグラフィック
シリーズ「世界のグラフィックデザイン」第7巻は〈環境のグラフィック〉をテーマに、建築やインダストリアルデザインと密接に結びつくグラフィック表現を特集。サイン計画や展示空間、都市景観のデザインなど、環境と視覚情報の関係を探る約300点の事例を掲載する。編集は粟津潔、磯崎新、福田繁雄。グラフィックが空間や社会とどのように呼応しうるか、その可能性を多角的に示している。装丁は細谷巖。
ベン・シャーン クロスメディア・アーティスト
20世紀アメリカを代表する画家ベン・シャーンの企画展にあわせて刊行された図録。社会派リアリズムの画家として知られる一方で、写真やグラフィックアートなど多様な表現を横断したシャーンの活動を包括的に紹介。絵画の背景にある写真資料や制作プロセス、さらに和田誠やロジャー・パルバースらによるインタビューを収録し、作品が生まれた時代状況や思想の核心に触れることができる。
器と時 | 祥見知生
ギャラリーうつわ祥見 KAMAKURA を主宰するギャラリスト・祥見知生が、「器の時間」という独自の視点から器の本質に迫った作品集。陶芸家たちが日常で使い続ける自作の器や、人の手に包まれながら長い年月を経た器を中心に取り上げ、その佇まいや質感を静謐な写真で丁寧に写し取っている。2012年の高知県美術館「TABERU 日々のうつわ」展で紹介された作品を軸に、小野哲平、村木雄児、尾形アツシ、村田森、石田誠、村上躍など、多くの作家が自身の生活で愛用する器の姿も収録。
Archaeology of the Future 田根剛建築作品集 未来の記憶
2018年に東京オペラシティアートギャラリーとTOTOギャラリー・間で開催された展覧会にあわせて刊行された建築家・田根剛の作品集。フランスを拠点に活動する田根剛が手がけた代表的な17のプロジェクトを紹介し、エストニア国立博物館、新国立競技場案〈古墳スタジアム〉、〈A House for Oiso〉、〈10 kyoto〉などを図版とテキストで解説している。
バウハウス・デッサウ展
2008〜2009年に開催された「バウハウス・デッサウ展」の図録。芸術と工芸、デザイン、建築の統合を掲げ、20世紀の造形史に決定的な影響を与えたバウハウスの中でも、創設者ヴァルター・グロピウスの理念が最も実践されたとされる“デッサウ期(1925–1932)”に焦点を当てたもの。学生作品や工房プロダクト、絵画、写真、建築資料など多彩な図版を通じ、その教育思想と制作現場の実態を立体的に紹介。合理化・工業化へ舵を切り、ワシリーチェアや照明器具など後世に残る機能美の源流が形づくられた時期を多角的に辿る。
建築はどこにあるの? 7つのインスタレーション
2010年に東京国立近代美術館で開催された展覧会カタログ。アトリエ・ワン、中村竜治、中山英之、鈴木了二、内藤廣、菊地宏、伊東豊雄の7組が参加し、建築という概念をインスタレーションとして再構成した試みを紹介。多面体で構成された空間や、生成と消滅を繰り返す場、スケール感が揺らぐ広場、模型の「一日」を見せる映像空間など、多彩なアプローチで“空間”の在り方を可視化している。作家へのQ&Aを収め、意図や制作背景を読み解きながら、建築がどこに、どのように立ち上がるのかを探る。
グラフィック・デザインのモダニズム
2000年に開催された「グラフィック・デザインのモダニズム」展の図録。1920〜1930年代の「機械時代」に焦点を当て、未来派、ダダ、構成主義、デ・ステイル、バウハウスなどの前衛芸術運動を通して、斬新な造形世界を振り返る。ジョン・ハートフィールド、エル・リシツキーら時代を代表するアーティストの作品を多数収録し、ポスターや書籍デザイン、写真コラージュなど多彩な媒体におけるモダニズムの展開を紹介。詳細な解説も付され、資料性の高い内容となっている。
アイデア別冊 コンテンポラリー・イラストレーション
グラフィックデザイン誌『アイデア』別冊・コンテンポラリー・イラストレーション特集号。アメリカン・イラストレーション美術館主催のイラストレーターズ協会25周年記念展に選出された作品を、書籍、広告、エディトリアル、公共の4部門にまとめて収録し、当時のイラストレーション表現の広がりと勢いを伝える。さらに特集「日本の9人のイラストレーター」では、安野光雅、河村要助、柳原良平、湯村輝彦ら、1980年代の日本のイラストレーションを牽引した作家たちを紹介。
アイデア別冊 第61回ニューヨークADC傑作展
グラフィックデザイン誌『アイデア』別冊 第61回ニューヨークADC傑作展。「アート&イラストレーション部門」「写真部門」「雑誌広告部門」をはじめ、受賞作品の幅広い表現を誌面上で紹介し、当時のクリエイティブシーンを俯瞰する。そのほか、ADC展のこれまでの歩みや展示会場探しなどの「ADC展裏ばなし」を掲載。
日本の玩具 | 堀内令鶴
日本各地に息づく郷土玩具を、親しみやすいイラストでまとめた資料集。張子、土人形、木地玩具など、土地ごとの風土や暮らしと結びついた玩具を、全50枚の図版としてシートに貼り込んで収録している。単純化された造形の面白さ、素朴でユーモラスな表情、地域ごとに異なる色彩感覚など、手仕事の魅力が伝わる構成。民藝的視点から郷土玩具の多様性を辿ることができる一冊。限定500部刊行。
土門拳 愛蔵版 古寺巡礼
昭和を代表する写真家・土門拳が生涯のテーマとして取り組んだ「古寺巡礼」シリーズをまとめた愛蔵版。昭和15年から約40年にわたり撮影した全国の古寺や仏像から、179点の名作をカラー・モノクロで収録する。法隆寺、薬師寺、唐招提寺、東大寺、室生寺、平等院鳳凰堂など、土門が深く愛した寺院建築と仏像彫刻が、力強い眼差しと緊張感あふれる構図で写し取られている。
ルイーズ・ブルジョワ展 地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ
2024年から2025年にかけて森美術館で開催された、ルイーズ・ブルジョワの国内最大規模となる回顧展の図録。インスタレーション、彫刻、ドローイング、絵画など約100点を収録し、70年に及ぶ活動の核心に迫る内容となっている。100点を超える作品群を通して、ブルジョワの芸術が放つ深い人間性と影響力を再考する機会を与えてくれる一冊。
Picturesque | 福田美蘭
現代美術家・福田美蘭が1992年から1998年にかけて制作した作品を収録する作品集。名画の引用や複製画、金モールの額縁、ステンドグラス風のスプレー文字、日用品の大根や醤油など、多様なモチーフを自在に取り込み、絵画の歴史と現代の視覚文化を往還する独自の手法が展開されている。各作品には福田自身の解説が添えられ、モチーフの選択や制作の背景、作品に込めた問いが丁寧に語られている。
Sigmar Polke: Miracle of Siegen, The Lens Paintings
ドイツを代表する現代美術家、ジグマー・ポルケが取り組んだ「レンチキュラー・ピクチャーズ(レンズ絵画)」シリーズを収めた作品集。2007年、ルーベンス賞受賞に合わせて開催されたジーゲンでの展覧会をもとに編集され、光の屈折によって像が揺らぎ、複数のイメージが立ち現れる特異な視覚効果を持つ作品群を紹介。波状のレンズ状表面が、下層の絵画を歪ませたり、見る位置によって異なる表情を生み出すことで、絵画と知覚の境界そのものを問い直す。
養老天命反転地 荒川修作+マドリン・ギンズ 建築的実験
岐阜県養老町に開園した「養老天命反転地」の写真資料集。美術家・荒川修作と詩人マドリン・ギンズが構想した〈生死の境界を問い直す〉実験的プロジェクトを実空間として実現したテーマパークの全貌を、豊富な写真と図版、建築模型やプランとともに紹介する。起伏の激しい地形、知覚の揺らぎを誘う色彩、身体感覚を反転させる構造物など、〈天命反転〉の思想を具体化したランドスケープを多角的に解説している。荒川+ギンズ自身によるテキストをはじめ、建築・哲学・詩・身体論の専門家による寄稿も収録され、理念と空間の関係性を深く探る。
フランスのユーモアとエスプリ サヴィニャック ポスター展
1979年に西武美術館で開催された展覧会「フランスのユーモアとエスプリ―サヴィニャック ポスター」の公式図録。大判カラー図版34点を収録し、親しみやすく洒脱な作風で知られるレイモン・サヴィニャックの魅力を伝える内容となっている。アラン・ヴェイユ「サヴィニャックのポスター」、亀倉雄策「サヴィニャックはフランスの文化である」、坂根進「い・き・さ・つ」といった論考も掲載。表紙デザインは田中一光が手がけている。
TRUCK WORKS 2: 97 SORTS OF FURNITURE
大阪を拠点とする家具ブランドTRUCKによるビジュアルブック第2弾。97種類の家具を収録し、カタログとしても楽しめる一冊。シンプルでありながら温もりを帯びたデザインは、使い込むほどに生活へ溶け込み、心地よい空間を育む。ページをめくるごとに現れるのは、定番の魅力を備えたロングセラーの家具、そしてTRUCKが提案する暮らしのかたち。時代に左右されない自由で穏やかなライフスタイルを提案している。