Juergen Teller: Handbags
ドイツ出身の写真家ユルゲン・テラーによる大判作品集。1990年代以降、ファッションフォトの第一線で活躍してきたテラーが、約30年にわたるキャリアの中で撮影した膨大な数のハンドバッグを集成している。被写体は単なるプロダクト写真にとどまらず、モデルや著名人との組み合わせによってユーモラスかつ挑発的な視覚表現へと展開される。ファッション写真の枠を超え、広告とアートの境界を揺さぶるテラー独自の視点を示している。
A Photographer’s Life: 1990-2005 | Annie Leibovitz
アメリカ出身の写真家アニー・リーボヴィッツによる作品集。2010年から2011年にかけて開催された巡回展にあわせて刊行されたもの。1990年から2005年までの15年間に撮影されたモノクロームを中心に、一部カラーを交えた大判作品図版を収録。著名人のポートレートだけでなく、家族やパートナーとの私的な場面も織り込み、「仕事」と「生活」の境界を取り払った構成となっている。
Olafur Eliasson: In Real Life
デンマーク出身の芸術家、オラファー・エリアソンの作品集。テート・モダンのキュレーターであるマーク・ゴッドフリーとの対話に加え、人類学、経済学、政治学、都市計画、ダンス、音楽、料理など、芸術の枠を越えて様々な分野で活躍する人々との対話を数多く収録。こうした対話の言葉とともに、エリアソンの圧倒的な没入型アート作品の写真が織り交ぜられ、エリアソンが掲げる「世界へと手を差し伸べる」という創作への姿勢が力強く表れている。英語表記。
Lifeguard Towers: Miami | Tommy Kwak
アメリカの写真家トミー・クワックによる写真集。ハリケーン後の再生の象徴として再設計された、マイアミ・ビーチに立つ30以上のライフガードタワーを撮影している。ビビッドな色彩とユニークな形状をもつタワーを、空や海、砂浜を背景に収めた写真群は、建築的かつグラフィックな魅力を際立たせる。ベッヒャー夫妻の給水塔シリーズを思わせる構成によって、都市と自然、機能と造形の交錯を映し出している。
Oliver Boberg
ドイツのアーティスト、オリバー・ボバーグの作品集。2003年から2005年にかけて世界各地で開催された展覧会にあわせて刊行されたもの。閑散とした建物の一部や薄暗い街並み、パステル調の住宅など、一見すると日常の風景の断片を思わせるモチーフを収録している。どこにでもありそうな景色でありながら、人の不在を暗示するその表現は、現実と虚構のあわいを意識させる。ボバーグ独自のミニマルな世界観を映し出している。
Neon Tigers: Photographs of Asian Megacities | Peter Bialobrzeski
ドイツの写真家ペーター・ビアロブルゼスキによる作品集。バンコク、クアラルンプール、香港、上海、ジャカルタ、シンガポール、深センの7都市を撮影し、近代的な建築やスケートパークと、古びた集合住宅や商店といった景観を並置している。急速な都市化の中で新旧の要素が混在する姿を、鮮やかな色彩と独特の視点で表現。複数の都市をひとつの仮想的な「巨大都市」として提示し、現実と幻想が交錯するアジアの都市像を映し出している。
Who is Changed and Who is Dead | Ahndraya Parlato
写真家、アンドラヤ・パルラートの作品集。母の自死と自身の出産という相反する出来事を起点に、母性や生、死をめぐる複雑な感情と構造を掘り下げている。枯れた花や覆いかぶさる布、赤い果実、子どもの姿といったモチーフを、静物、人物、風景として配置し、写真とテキストを交差させる構成。私的な体験に根差しながら、歴史や社会、ジェンダーの視点を織り込み、親であることの不安や継承される感情の行方を静かに問いかけている。
Fiat Lux | Pierre Seinturier
フランスのアーティスト、ピエール・サンチュリエの作品集。ドローイングとペインティングを自在に組み合わせ、1960年代のアメリカと現代の田園風景を交錯させた独自の表現を展開。写真や参考文献を交えつつ、近作と旧作を対比させる構成により、作品の背景や思想を読み解く手がかりを示している。物語性に満ちたイメージには謎と光が同居し、絵画的想像力と現実の風景が重なり合う。
アイデア No.384 髙田唯 形と態度
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.384(2019年1月号)は、デザイナー髙田唯を特集。「形」と「態度」の二部構成で、その仕事と姿勢を紹介する。前半ではAllright Graphics設立以降のブランディングやプロデュース的な領域に広がる仕事を取り上げ、後半では依頼者や展覧会関係者との対話を通じて髙田の思想を探る。デザインという行為に内在する誠実さと人間的まなざしを可視化し、髙田唯の思考と造形の関係を丁寧に読み解いている。
アイデア No.372 大原大次郎 曲線
デザイン誌『アイデア』第372号(2016年1月号)。巻頭特集「大原大次郎 曲線」では、タイポグラフィを基軸にグラフィック、イラストレーション、映像、ワークショップなど多様な領域を横断する大原大次郎の活動を総覧している。重力をテーマにしたモビール作品「もじゅうりょく」や、音楽ユニット・SAKEROCKのデザインワークなどを収録し、言葉と形が響き合う独自の造形思考を探る。クライアントワークと自主制作の境界を軽やかに行き来しながら、デザインを「問題解決」でも「自己表現」でもない第三の実践として紹介している。
アイデア No.376 グラフィックデザイナーと展覧会
デザイン誌『アイデア』第376号(2017年1月号)。巻頭特集「グラフィックデザイナーと展覧会」では、グラフィックデザインを〈展示〉という形式から捉え直し、その役割や可能性を探っている。半世紀以上の歴史をもつブルノ国際グラフィックデザイン・ビエンナーレを軸に、欧米や韓国での具体的な取り組みを紹介。デザイナー自身が展覧会を表現や批評の場として用いる動向を通じて、制作と発表、デザインと社会の関係を考察。あわせて日本の現状にも触れながら、展覧会という場がもつ意味をわかりやすく問い直している。
カルロ・スカルパ 宇宙を夢みた庭 ブジナーロ邸のためのプロジェクト
イタリアの建築家カルロ・スカルパが約10年にわたり取り組んだ、ルド・ブジナーロ邸「パラツェット」プロジェクトの全貌を紹介。未完のまま残された構想を含め、建築図面や模型、スケッチを通してその試みを辿る。家具、銀食器、布、ガラスなどのデザインもあわせて掲載。
シアスター・ゲイツ アフロ民藝
2024年に森美術館で開催された展示の図録。彫刻や陶芸を軸に、建築、音楽、パフォーマンスなどジャンルを横断して活動するアメリカのアーティスト、シアスター・ゲイツの実践を紹介する。アフリカ系アメリカ人としてのルーツと、日本の民藝思想や陶芸との出会いから生まれた独自の概念「アフロ民藝」を中心に構成。ブラック・アートの歴史と民藝運動を重ね合わせながら、アメリカ黒人史とゲイツ自身の歩みを辿る。展示風景をはじめ、常滑や民藝の歴史、架空の陶芸家の物語を含む年表、建築プロジェクトの記録を収録。論考やインタビューも掲載。
The Night Life of Trees 8th edition
2008年「ボローニャ・ブックフェア」でラガッツィ賞を受賞し、世界的に注目を集めた『The Night Life of Trees』。中央インドのゴンド民族を代表するアーティスト、シャーム、バーイー、ウルヴェーティの3人が、木をめぐる神話的世界を鮮やかに描き出す。インド・チェンナイ郊外の工房で、手漉き紙にシルクスクリーン印刷を施し、製本も職人が一冊ずつ手作業で仕上げた、絵本でありながら工芸品の趣を持つ作品。
季刊写真映像 3
写真評論家の吉村伸哉が中心となり1969年から1971年にかけて刊行された写真専門誌『季刊写真映像』第3号。戦後日本写真の代表的存在である篠山紀信や、ヨーロッパの前衛写真家エド・ファン・デル・エルスケン、そして実験的な表現で知られる森山大道らの作品を収録。また、評論・エッセイには、写真文化を多角的に考察した草森紳一、詩人・評論家の鈴木志郎康らがテキストを担当し、写真表現の可能性や社会、写真のリアリティを問いかける。
にっぽんのえ 4 大橋歩 vs. ペーター佐藤
小学館発行の『にっぽんのえ』シリーズ第4号。1970〜80年代を代表するイラストレーター、大橋歩とペーター佐藤を対にして紹介した一冊。表紙・裏表紙を使った両A面構成。大橋歩はファッションや暮らしを軽やかな視点で描き続けてきた存在。一方のペーター佐藤は、シャープな描線と都会的なムードを特徴に、広告や雑誌で時代の空気を映し出した。それぞれの代表作に加え、インタビューや「7つの質問」などを収録。二人の表現を並置することで、日本のイラストレーションの多様な魅力を伝えている。
ウィム・クロウエル 見果てぬ未来のデザイン
2011年にロンドンで開催された展覧会に際して編まれた、ウィム・クロウエルのカタログ。60年以上にわたるキャリアを網羅し、初期の実験的な作品から美術館ポスターや企業カタログに至るまで、多彩なデザイン活動を収録している。インタビューや解説テキストも加わり、20世紀を代表するオランダのグラフィックデザイナーとしての歩みと思想を包括的に示している。モダンデザイン史におけるクロウエルの全体像を浮かび上がらせている。
Steven Aalders: Cardinal Points
抽象絵画の可能性を現代に更新し続ける画家、スティーヴン・オールダースの回顧的作品集。2010年、ハーグ市立美術館(ヘメーンテミュージアム)で開催された個展を機に刊行され、モンドリアンやドナルド・ジャッドらの作品と並んで展示されたオールダースの仕事を包括的に紹介。画面は余白を活かした構成で、半透明の紙面に配された図版が、絵画そのものを静かに引き寄せるような印象を与える。折り込みページや細部図版、展示風景も随所に収録され、作品理解とともに本そのものの造本設計も楽しめる一冊。
Jean Tinguely: Retrospective
スイスの画家・彫刻家ジャン・ティンゲリーの仕事を回顧的に紹介する作品集。廃材を使い、音を立てて動く機械彫刻で知られるティンゲリーだが、本書ではユーモアや遊び心だけでなく、社会や技術への批評的な視点にも目を向けている。あえて壊れるようにつくられた機械は、進歩への疑問や人間のはかなさを映し出しながら、不思議な明るさを併せ持つ。美術史を深く愛しつつ、美術館という制度そのものにも挑んだ姿勢を通して、ティンゲリーの表現の広がりをわかりやすく伝えている。
The Stutter of History | Thomas Demand
現代美術家トーマス・デマンドの回顧的作品集。世界各地を巡回した展覧会にあわせて刊行され、キャリア全体を横断する代表作を通して、デマンドの制作の射程を包括的に紹介している。歴史的事件や報道写真をもとに再構築されたイメージは、私たちが大量に消費する「歴史の映像」との距離や向き合い方を静かに問いかける。本書には、作品に応答して書かれた作家アリ・スミスの短編小説や、キュレーターのダグラス・フォーグル、マーガレット・アイヴァーセンによる論考も収録。
Hiroshi Sugimoto: Time Exposed | 杉本博司
日本の現代美術家、杉本博司の作品集。各地で開催された個展にあわせて刊行され、「蝋人形/恐怖の館」「劇場」「海景」といった代表的シリーズを多数掲載している。長時間露光による写真表現や、歴史や記憶をモチーフとした視覚的探求が収められ、杉本の芸術観が浮かび上がる構成となっている。さらに本人へのインタビューも収録。
Soviet Design: From Constructivism to Modernism 1920-1980
920年代から1980年代までのソビエト連邦におけるインテリアデザインを総合的に紹介する資料集。エル・リシツキー、アレクサンドル・ロトチェンコ、コンスタンチン・メーリニコフらによる構成主義や前衛的試みから、スターリン様式、戦後モダニズムに至るまで、約70年にわたるデザインの変遷をたどる。これまで十分に検証されてこなかったソ連のインテリアデザインを、近年公開されたアーカイブ資料をもとに再検証。単調と見なされがちだったイメージを覆し、多様で独創的なスタイルの広がりを明らかにしている。300点以上の図版を収録した、この分野の決定版といえる一冊。
グリッドシステム グラフィックデザインのために | ヨゼフ・ミューラー=ブロックマン
スイスのグラフィックデザイナー、ヨゼフ・ミューラー=ブロックマンによる代表的著作『Grid systems in graphic design』(1981年)の日本語版。グリッドシステムの原理と応用を体系的に解説し、357点に及ぶ事例と図版を通して、デザイン構成の基本となる比率、秩序、調和の考え方を具体的に示している。理論書でありながら実践的な手引きとして、世界各国のデザイナーに読み継がれてきた名著。モダンデザインの基礎を学ぶための必携書として位置づけられている。
Transition | Lauren Marsolier
フランス生まれの写真家、ローレン・マルソリエによる作品集。各地で時間をかけて撮影した写真の断片を組み合わせ、現実にありそうでどこにも存在しない風景を構築したもの。写真でありながら絵画的な手法により、異なる時間や場所のイメージが静かに重ね合わされていく。一見すると穏やかな風景写真だが、人の気配はなく、建築と自然が溶け合う空間には微かな違和感が漂う。自然と人工、現実と記憶の境界を曖昧にしながら、私たちの知覚や心理に静かに問いを投げかけている。
ミヒャエル・ボレマンス マーク・マンダース ダブル・サイレンス
金沢21世紀美術館で開催された「ミヒャエル・ボレマンス マーク・マンダース ダブル・サイレンス」展の図録。ヨーロッパ美術の歴史を背景に、沈黙や内省を軸として展開された二人展を記録している。バロック絵画の伝統を引き継ぎ、人間の不安や暗部を描き出すボレマンスの絵画と、「建物としてのセルフ・ポートレイト」という構想のもと、身体の断片を通して思考をかたちにするマンダースの彫刻。異なるメディアでありながら、いずれも普遍的な心理や存在のあり方を掘り下げている。
Hotel Mermaid Club | Chris Rhodes
イギリスの写真家クリス・ローズによる初の作品集。日常のささやかな場面に目を向け、現実をやわらかくすくい取りながら、穏やかで詩的な世界観を描き出している。人物のポートレートはほとんど登場しないが、私たちが身を置く空間や、普段は意識されない身近な物の佇まいを通して、人の気配や感情が漂う。ありふれた風景の中に潜む美しさを、静かに見つめ直す一冊。
Bruno Munari: Il Disegno, Il Design
イタリアの芸術家・デザイナー、ブルーノ・ムナーリのドローイングやスケッチなどをまとめた資料集。1979年、ムナーリは自身の個人アーカイブの一部をイタリア・パルマの研究・アーカイブ機関(CSAC)に寄贈した。本書はその膨大な資料から、1930年代の抽象絵画のための初期ドローイング、出版物のためのスケッチ、さらにはゲームのオリジナル版まで、ムナーリの創作活動を横断的に紹介。バウハウスやピアジェの心理学理論など20世紀の思想や美術潮流を吸収し、独自の視覚言語として再構築したムナーリの創造性と遊び心が、500点以上の図版とともに鮮やかに浮かび上がる。論考、インタビュー、主要文献の書誌も収録。
ルーシー・リー | トニー・バークス
20世紀を代表する陶芸家、ルーシー・リーの生涯と作品を紹介する伝記的作品集。ウィーンからロンドンへと拠点を移しながら独自のスタイルを確立し、モダンで繊細なフォルムと釉薬使いで知られる彼女の仕事を、美しい図版とともに丹念にたどる。写真に加え、作家トニー・バークスによる解説や関係者の証言、三宅一生による寄稿も収録されており、その芸術性と人間像を多面的に掘り下げる構成となっている。
ルーシー・リー展
2010年に東京国立近代美術館などで開催された、20世紀を代表する陶芸家ルーシー・リーの没後初となる回顧展の図録。ウィーン出身で、戦後ロンドンを拠点に活動したリーの陶芸作品約250点を収録し、あわせてノートや手紙、写真などの貴重な資料も掲載している。繊細でモダンな造形を追求し続けた彼女の創作の軌跡と人間像を明らかにしている。
Shaker Built: The Form and Function of Shaker Architecture
19〜20世紀のアメリカで共同体生活を営んだシェーカー教徒の建築を紹介する写真集。マサチューセッツ、ニューヨーク、ケンタッキー、メインなどに残る集落や建物を訪ね、簡素で機能的な建築、インテリア、空間構成を豊かなカラー写真で記録している。渦巻き階段や円形納屋といった象徴的な建築から、日常に根ざした室内空間まで、シェーカーの思想が息づく造形を丁寧に捉えている。
How to Build Shaker Furniture
シェーカー家具の美しさと合理性を実践的に学べる実用書。家具職人である著者のトム・モーザーが、シェーカーの伝統に基づいたシンプルで機能的なデザインを現代に伝えている。椅子、机、ベンチ、キャビネットなどの代表的な家具の設計図や制作手順を、豊富な写真や実測図とともに丁寧に解説しており、木材選びや基本的な木工技術から組み立てまで、初心者にも理解しやすく構成されている。無駄をそぎ落とした美しいフォルムと素材への深い理解に裏打ちされたシェーカー家具の本質を、自らの手で体験しながら学べる貴重な指南書。
Sculptures | コムロタカヒロ
彫刻家、コムロタカヒロによる作品集。約100点に及ぶ彫刻作品をフルカラーで収録し、正面や背面のディテール、制作過程の写真もあわせて掲載している。ポップカルチャーや伝説上の生物、アメコミヒーローなど、幼少期の記憶や読書体験を起点とした、鮮やかでユーモラスな造形を紹介。作家インタビューや論考を通して制作の背景を辿り、巻末には写真家・平野太呂によるアトリエ風景も収められている。コムロタカヒロの独自の美意識と造形力を余すところなく楽しめる一冊。
FUTURO RETRO | マーリア・シュヴァルボヴァー
スロヴァキア出身の写真家、マーリア・シュヴァルボヴァーによる第2作目の作品集。共産主義時代の公共建築やブルータリズム建築を舞台に、ミニマルで静謐な世界観を展開している。抑制された表情の人物、均整の取れた構図、淡く計算された色彩が特徴で、過去の社会主義的風景と未来的な感覚が交差する12のシリーズを収録。現実と非現実のあわいに漂う空間表現は、見る者に静かな緊張感と詩的な余韻を残す。デビュー作『Swimming Pool』で注目を集めたシュヴァルボヴァーが、独自の美学をさらに深化させた代表的作品集。
Pepperminta Homo Sapiens | Pipilotti Rist
スイスを拠点に国際的に活躍するビデオアーティスト、ピピロッティ・リストの作品集。人類滅亡の直前に訪れるという、神秘的な15分間を主題にした映像作品を、チョコレートの箱を思わせる特製ボックスに収めている。2005年のヴェネツィア・ビエンナーレでの展示にあわせて刊行された、スイス連邦文化庁編集による公式出版物。箱の内部にはポスターや聖人像のイメージ、夢や楽園を想起させる図像などが収められ、視覚的な楽しさと遊び心に満ちた構成となっている。自然と都市、身体と感覚を横断するリストの詩的な表現を、オブジェとしても体感できる内容。ポスター、ポストカード、シート、リーフレット封入。
Brittle Land | Alexandra Navratil
スイスのアーティスト、アレクサンドラ・ナヴラティルによる作品集。映像作品「Resurrections」(2014)と「Silbersee」(2015)からのスチルを軸に構成され、旧アグファ=オルウォ社のフィルム工場があったドイツ・ヴォルフェン=ビッターフェルトを起点としている。写真乳剤やゼラチンの歴史、労働と搾取、環境汚染や消耗といった問題が、土地の記憶と静かに重なり合う。
Breitner: Girl in a Kimono
19世紀末のオランダの画家、ジョルジュ・ヘンドリック・ブライトナーが描いた着物の少女の作品群に焦点を当てた作品集。2016年にアムステルダム国立美術館で開催された展覧会に合わせて刊行されたもの。1893年から1896年にかけて、赤・白・青の着物をまとった少女を13点描いたシリーズを収録。さらに、習作やスケッチ、写真なども収められており、ブライトナーがどのように作品を構想し完成させたのかを辿ることができる。シリーズの歴史的価値や魅力をあらためて体感できる内容。
Waterscape | 三澤遥
アートディレクター、三澤遥による作品集。水中に生きる生き物たちの環境を再構築し、「水槽」という枠組みそのものを問い直す実験的なプロジェクト「Waterscape」を紹介。水の中の温室や浮遊する島、繊細な構造体と生き物が拮抗する空間など、全14作品を緻密で美しい写真で収録。完成に至るまでの試行錯誤や設計プロセスの解説も掲載。
My Grandfather’s Tree | Max Lamb
英国のデザイナー、マックス・ラムが、祖父の農場に立っていた一本の巨大なトネリコの木をめぐる個人的なプロジェクトを記録した作品集。ヨークシャーの農地を見下ろしていた樹齢187年の木は、安全上の理由から伐採されることとなったが、ラムはその木に「終わり」ではなく「来世」を与えることを選んだ。木は節や枝分かれ、股の部分といった自然な構造を尊重しながら切り分けられ、スツールやテーブル、椅子として使える約130本の丸太へと変えられていく。切り分けられた丸太の写真に加え、エピソードやドキュメントや作業風景、家族写真などが収録されており、家族、土地、時間、素材、そしてデザインの関係を静かに問いかける一冊となっている。
BIRDS | 吉楽洋平
写真家、吉楽洋平の作品集。骨董市で偶然見つけた古本の鳥の図鑑の中で、鳥の絵が切り抜かれているページがあることに気づいて着想を得たもの。図鑑の鳥たちを森へ還すことを思いつき、自ら切り抜いた鳥の絵を森の中で撮影した写真群が収録されている。シリーズの元となった古い小さな鳥の図鑑を想起させる造本となっており、内容と形式が呼応する形で作品世界を構築している。
真穴みかん | 広川泰士
薄皮で極甘の高品質みかん「真穴みかん」の産地、愛媛県八幡浜市・真穴地区の風景と営みを記録した作品集。写真家・広川泰士が現地で撮影した写真は、段々畑や収穫の様子、農家の日常、道具や里山の風景などを繊細に切り取り、豊かな自然と人々の生活文化を鮮やかに映し出す。みかんの成長や農作業を通して、地域に根ざした文化や自然との共生の営みを伝え、単なる果物の紹介にとどまらず、日本の農村風景の美しさと時間の流れを感じさせる。企画はグラフィックデザイナー・佐藤卓によるもの。
パイン | 鈴木成一
装丁家、鈴木成一による作品集。真っ白な背景に松の木だけを配した簡潔な構図の写真が収められている。被写体は明確でありながら、ページをめくるごとにその姿は直接的には現れず、1ページずつ綴じられた薄紙越しに、輪郭や気配としてかすかに伝わってくる。視覚的な情報を抑制した編集と造本により、見る行為そのものがゆっくりとした時間の中へと導かれていくユニークな1冊。
CEREAL Magazine vol.4
毎号世界各地の旅行先、食、ライフスタイルを紹介するイギリス発のライフスタイルマガジン『CEREAL』の第4号。本号では、アメリカ・ロサンゼルス、ポーランド・クラクフ、そしてイギリス・ニュー・フォレストへの旅を特集。そのほか、様々な種類の穀物について掘り下げた特集やロンドンの腕時計のブランド、UNIFORM WARES(ユニフォームウェアーズ)のインタビュー記事も収録。
The Gourmand Issue 5
ロンドンを拠点に刊行されるフードカルチャー誌『The Gourmand』第5号。理を起点にしながら、写真、美術、デザイン、批評といった領域を横断し、食をめぐる文化的想像力を多面的に掘り下げている。信州・諏訪の酒蔵取材をはじめ、風刺性を帯びたソーセージの視覚表現、ロサンゼルスのヴィーガン文化など、多様なトピックを収録。著名な料理人やアーティストへのインタビュー、実験的なビジュアルが随所に配され、食を単なる消費の対象としてではなく、社会や美意識を映すメディアとして捉え直す編集が貫かれている。
Bauhaus Art as Life | Kathleen James-Chakraborty
2012年にロンドンのバービカン・アート・ギャラリーで開催された展覧会にあわせて刊行された図録。1919年に創設され、ナチス政権下で閉校する1933年まで存続したデザイン教育機関・バウハウスの14年間を包括的に紹介している。ワルター・グロピウスやパウル・クレー、ヴァシリー・カンディンスキーらの教育と実践を軸に、建築、デザイン、工芸、美術の諸分野に及ぶ活動を収録。図版と解説を通じて、モダニズムの展開におけるバウハウスの意義を明らかにしている。