Designed by Peter Saville
イギリスのグラフィックデザイナー、ピーター・サヴィルの作品集。ジョイ・ディヴィジョンやニュー・オーダーのレコードジャケットをはじめ、ファッションやアート、広告の分野にまで広がるサヴィルのデザインを豊富な図版とともに紹介している。音楽レーベル〈ファクトリー・レコード〉の共同設立者として知られ、時代の少し先を読む鋭い審美眼と独自のスタイルで、カルチャーの潮流を先導してきたサヴィル。批評家リック・ポイナーらによる論考やロングインタビューも収録し、その創作哲学とビジュアル表現の軌跡を明らかにしている。
Factory Records: The Complete Graphic Album ハードカバー版
ジョイ・ディヴィジョン、ニュー・オーダー、ハッピー・マンデーズらを世に送り出したマンチェスターの名門レーベル、ファクトリー・レコードのグラフィックを網羅するハードカバー版作品集。ピーター・サヴィル、マーク・ファロー、8VO、バーバラ・クルーガーなど革新的なデザイナーによるジャケット、フライヤー、パッケージを多数収録している。音楽とデザインが密接に結びついた同レーベルの活動を振り返り、カルチャーとしてのファクトリー・レコードの存在を示している。序文は創設者トニー・ウィルソンによるもの。
パルコのアド・ワーク 1969-1979
1969年から1979年にかけて制作されたパルコの広告表現を集成した作品集。ポスター、新聞・雑誌広告、テレビCMなど、多様なメディアを横断した実験的なビジュアルを収録している。消費と文化がせめぎ合う70年代の都市空間において、広告がどのように新しい感性を生み出したのかを鮮やかに示す一冊。横尾忠則、榎本了壱、永井一正らによる論考が時代の熱量を浮かび上がらせている。
メンフィス ミラノ・ニューデザインのすべて
1981年に結成されたデザイン集団メンフィスの活動を総覧する作品集。バルバラ・ラディーチェが、エットレ・ソットサスを中心に、ミケーレ・デ・ルッキ、アンドレア・ブランジらメンバーのプロダクト、家具、照明、テキスタイルなど多彩な成果をまとめた一冊。大胆な色彩とパターン、反規範的な造形を特徴とするメンフィスの思想と実践を、豊富な図版とテキストで紹介する。表紙はナタリー・ドゥ・パスキエが手がけている。
Memphis: Research, Experiences, Failures and Successes of New Design
1981年、エットレ・ソットサスを中心にイタリアで結成された国際的デザイングループ、メンフィスの写真資料集。家具、照明、オブジェ、インテリアにいたるまで、色彩や装飾、素材の組み合わせが極端に誇張されたプロトタイプやプロダクトが豊富な図版で紹介されている。近代デザインの合理性を笑い飛ばしながら、大胆な実験と失敗を重ねたその軌跡は、ポストモダンの象徴として伝説化された。グループ内部からの記録としても貴重な一冊。英語表記。
Do You Know What I Mean | Juergen Teller
ドイツの写真家ユルゲン・テラーの作品集。2006年にパリのカルティエ現代美術財団での展覧会にあわせて刊行されたもの。ポートレート、風景、ファッション写真など幅広いジャンルを横断し、私的な領域と公共性のあいだを行き来する独特のスタイルを紹介している。「Ed in Japan」シリーズでは、荒木経惟を撮影したカットをはじめ、旅館でくつろぐ家族や雪国の風景など、親密で柔らかな瞬間が登場。スーパーモデルや著名人を写すときも、自身や家族を撮るときも、日常に潜む詩情やユーモアをすくい上げる視線が一貫しており、テラーの多面的な表現を読み解く手がかりとなる一冊。
Wolfgang Tillmans: View from Above
ドイツ出身の写真家ヴォルフガング・ティルマンスが、2001〜03年に各国で開催した展覧会にあわせて刊行した作品集。自然や都市の風景、静物、日食の記録といった写真に加え、暗室作業やインクジェットによる実験的な抽象作品など、主に未発表のイメージを収録している。光の揺らぎや色のにじみが画面に独特の緊張をもたらし、具象と抽象のあいだを往還するティルマンスの表現の広がりを感じさせる内容となっている。
小さきもの、沈黙の中で 新装版 | 山本昌男
写真家・山本昌男の代表作を収めた『小さきもの、沈黙の中で』の新装版。2015年刊行の内容をもとに一部を改訂し、欧米でも高い評価を受けてきた作品群をあらためてまとめている。水面に揺れる光、草木のかすかな影、生の気配が潜む静かな風景など、身近なモチーフを通して、目に見えない時間や循環を手繰り寄せるような世界が広がる構成。ゼラチンシルバープリントならではの豊かな階調が丁寧に再現され、伝統的な暗室技法と精緻な印刷が作品の深い静けさを際立たせている。自然へのまなざしと精神性を重ね合わせながら、写真表現の可能性を探究してきた山本の姿勢が一貫して感じられる一冊。
In and Out of Fashion | Viviane Sassen
オランダ出身のアーティスト、ヴィヴィアン・サッセンがファッション界で手がけた17年間の仕事をまとめた写真集。Stella McCartney、Adidas、MiuMiuのキャンペーンをはじめ、New York Times Magazine、i-D、Numéroなどの誌面を飾った作品を収録している。自然やコンクリート、岩肌や木々とともに佇む女性像は、瞑想的でありながらシュールな表現世界を生み出し、見る者を強く惹きつける。ファッション写真の既成概念を更新したサッセンの創造力を示す一冊。英語表記。
Arita / Table of Contents: Studies in Japanese Porcelain | Anniina Koivu
1616年に有田で始まった日本の磁器製造技術。現代のデザイナー16名と日本の伝統的な10の窯元が、21世紀の日常生活に根ざした陶磁器コレクションを生み出すために、ユニークなコラボレーションを展開している様子が描かれている。500点以上の図版で工芸と地域を紹介し、古き良き時代と現代の巨匠を結びつける創造の可能性を明らかにしていく。
Anni Albers
20世紀を代表するテキスタイルデザイナー、アニ・アルバースの資料集。1999年に開催された生誕100年記念展にあわせて刊行されたもので、代表的な織物作品をはじめ、リトグラフやアクセサリーなど多様な制作物を収録している。豊富な図版とともに解説を掲載し、アルバースの活動を造形的・思想的の両面から振り返る構成。バウハウスからアメリカに至る彼女の歩みを通じて、モダンデザインにおけるテキスタイルの意義を明らかにしている。
London/Wales | Robert Frank
ロバート・フランクが1951〜53年にイギリスで撮影したストリートフォトを収めた一冊。ロンドンでは霧の光に満ちた街路を歩き、金融街のシルクハットの男たちや市井の人々の姿を追いかけた。続くウェールズでは炭鉱町に足を運び、煤にまみれて働く鉱夫たちの日常をカメラに収めている。富裕層と労働者階級という対照的な現実が並置されることで、格差や労働環境といった社会のひずみが静かに浮上する構成となっている。のちに『アメリカ人』へ到達する以前の、ロマン主義からより切実なリアリズムへと向かう転換期のまなざしが刻まれた作品集。
Walker Evans
アメリカの写真家ウォーカー・エヴァンスの作品集。2017年にポンピドゥー・センターで開催された展覧会にあわせて刊行されたもの。大恐慌時代の農村生活や人々のポートレートをはじめ、アフリカの伝統美術など多岐にわたる題材を収録している。420点に及ぶ図版と解説を通じて、記録性と芸術性を併せ持つエヴァンスの表現を再検証。20世紀写真史における重要な位置づけと、その独自の視覚的アプローチを浮かび上がらせている。
Listen to this Picture | Pierre Bailly
写真家、ピエール・バイィによる作品集。1990年代に活躍したスーパーモデルや俳優、ミュージシャンら12名が、お気に入りの音楽を聴く姿を捉えたポートレートを収録。カースティン・オーウェン、キム・ゴードン、ソフィア・コッポラ、ケイト・モスらが登場し、音楽を聴く瞬間の心の動きや新たな発見を映し出す。キム・ゴードンによる序文、彼女たちが聴いていた12曲を収録したCDも付属され、写真と音楽の両面から楽しめる内容となっている。
Life of a Photograph | Sam Abell
アメリカの写真家サム・エイベルが、40年以上にわたる撮影活動を振り返りながら選んだ作品を収めた一冊。ナショナル・ジオグラフィックでの撮影を中心に、未公開のプライベートワークまで幅広く紹介している。北極からアマゾン、日本、オーストラリアまで、多様な土地で切り取られた風景や人物は、ドキュメンタリーの精度と詩的な構成力が共存し、静けさの中に豊かな奥行きを感じさせるものばかり。ポートレート、海や空の情景、野生動物、車窓からのスナップ、都市の構造物など、テーマごとの編集によって、エイベルが世界をどのように観察し、写真へと結びつけてきたかが丁寧に示されている。
Earth, Wind and Fire | Piotr Uklanski
ポーランド系アメリカ人アーティスト、ピョートル・ウクランスキの幅広い制作を紹介する写真集。ポップカルチャーから美術史まで多層的な参照を交差させながら、挑発性と詩的な感覚を共存させる独自の表現を展開してきたウクランスキ。本書では、膨大なイメージアーカイブや写真シリーズ「Joy of Photography」、行為の記録、屋外彫刻のドキュメンテーションなど、多彩なプロジェクトを一望できる。時に社会的なテーマへ踏み込み、時に視覚の遊びを通してイメージの力を問いかけるそのアプローチは、一貫して図像の読み替えと再構成を試みるもの。アーティスト自身のデザインによる構成も含め、イメージとコンセプトの往還からウクランスキの思考を読み取る視点を与えている。
No Wave: Post-Punk, Underground, New York 1976-1980
1976年から1980年のニューヨーク・アンダーグラウンドにおけるアートとパンクの衝突を視覚的に記録したもの。ジェームス・チャンスやリディア・ランチ、グレン・ブランカらNo Waveの立役者に加え、デヴィッド・バーンやデビー・ハリー、ブライアン・イーノなどシーンに関わった著名人も掲載。当時ほとんど記録されなかったシーンを、未発表を含む150点の写真と数百時間におよぶ個人インタビューとともに収録。パンク・ロック、ニュー・ウェイヴ、実験音楽、70年代から80年代のアヴァンギャルド美術運動を詳細に紹介する。日本語解説冊子付属。
Wild Dayz: Photos by Beezer
1980年代半ばのブリストルで生まれた音楽集団「ザ・ワイルド・バンチ」の活動を記録した写真集。彼らは後にマッシヴ・アタックへと発展し、クラブ・ミュージックの歴史に大きな影響を与えた存在である。パンクやニューウェーブ、レゲエ、さらに新たに台頭したヒップホップが混じり合うシーンの熱気を、同時代を共有した地元出身の写真家Beezerが撮影。
ART VIVANT 5号 特集 アイリーン・グレイ
西武美術館(現セゾン現代美術館)が発行していた美術雑誌『アール・ヴィヴァン』第5号の限定カバー版。アイルランド出身の建築家・デザイナー、アイリーン・グレイ特集。「アイリーン・グレイへの手紙」、グレイとジャン・バドヴィッチによる対談「折衷主義から懐疑」、「海岸の家 1926-1929」などを収録。コルビュジエやバウハウスの強い影響から距離を取りつつ、形式主義へ傾きがちな現代建築とは異なる繊細な作法を提示した、その静かで稀有な建築観を紐解く。表紙デザインは田中一光・広村正章、本文構成は、戸田ツトム・松田行正によるもの。
Silex: MY WAY | Michael Mischler, Robert Klanten
スイスのデザイナー集団「silex」による作品集。週末ワークショップから生まれた、ユーモラスで少しダークな創造性を、「詩」から「悪夢」まで12のテーマで自由に表現する。多様な表現方法で描かれた作品群は。即興性を引き出し独自の表現へと昇華。予測不可能なアイデアが連なり、ページをめくるごとに新しい発見に満ちた一冊となっている
サラ・ムーン展 巴里のエレガンスな視線
ロンドンやパリでモデルとして活動した後、1970年より写真家へ転向したサラ・ムーンによる作品集。1989年に東京・プランタン銀座で開催された展示の図録。絵画的な構成と幻想的な色調によって形づくられたポートレートやランドスケープ、さらに『VOGUE』のために撮影されたファッションフォトなど、1980年から1988年にかけてパリを舞台に生み出されたイメージを収録。
The Elements | Choi Yongjoon
韓国・ソウルを拠点に活動する写真家・チェ・ヨンジュンによる作品集。地図アプリケーションや衛星写真を手がかりに、都市の景観を新たな視点から捉える試みを展開している。道路や建築物が形づくる幾何学的なパターン、都市の成長とともに変化する風景を写真として記録。匿名のエンジニアや建築家による計画の積み重ねが、結果として造形的な美を生み出している点に着目している。
Gerhard Richter: Drawings 1999–2021
ドイツを代表する現代美術家ゲルハルト・リヒターの作品集。2021年にロンドンのヘイワード・ギャラリーで開催された展覧会にあわせて刊行されたもので、1999年から2021年に制作されたドローイングと水彩画を収録している。グラファイトによる繊細な線描から、鮮やかな色彩をまとった水彩、森を題材にした写真への加筆作品まで、近年の創作活動を網羅する全80点を紹介。多様な技法を横断するリヒターの探究を明らかにしている。
ゲルハルト・リヒター 2005 | WAKO WORKS OF ART
2005年に東京にあるWAKO WORKS OF ARTで開催された展覧会に際して刊行されたカタログ。ドイツを代表する現代アーティスト、ゲルハルト・リヒターによる1999年から2005年にかけて制作された抽象絵画を中心に掲載。
Mellow | Sofie Sund
ノルウェーの写真家ソフィー・スンドによる作品集。赤い下着が落ちた草原、壁に映る影、溶けた蝋燭など、日常の中にふと現れる「間(あいだ)」の瞬間を丁寧に拾い上げている。慎重に構成された静物写真は、何気ない光景に潜む繊細さや遊び心を引き寄せ、色彩や光の組み合わせ、異なる質感の重なりが小さな発見を呼び起こす。スンドは、普通と見過ごされるものに美しさを見出し、淡々としたトーンの中に軽やかなユーモアを差し込むことで、日常の豊かさを静かに表現している。
Dominique Perrault Architect
フランスを代表する建築家ドミニク・ペローの仕事を総覧する作品集。国立図書館(BnF)をはじめとする30の建築・プロジェクトを、スケッチ、設計図、模型写真、竣工写真など多様な図版とともに収録している。装飾を抑えた透明性のある造形と、空間を大きく扱うスケール感が特徴で、建築と自然、都市環境との調和を重視する姿勢が随所に見ることができる。素材や光の扱い方、敷地との関係性を読み解くことで、ペローが追求してきた建築理念の核に触れられる構成となっている。
江戸庶民の染織 | 浦野理一
染織家・浦野理一による江戸の染織資料集。庶民がどのように布をつくり、日常に取り入れていたのかを、豊富な図版と解説を通して紹介している。前半は更紗、友禅、唐草、縞・格子、絣といった意匠ごとに分類したカラー図版を収録し、後半では染織の背景や技法について丁寧に解説。本体表紙には、天保10年の縞見本を基に当時の色と布味を再現した布を使用し、資料としての精緻さと装幀の魅力を兼ね備えている。
ディック・ブルーナの世界展
1998年に開催された「ディック・ブルーナの世界展」の図録。オランダを代表する画家・ディック・ブルーナによる鉛筆画を多数紹介。ミッフィーやボリスなど、氏が生み出した人気キャラクターたちを通して、繊細で心のこめられた線の世界が間近に感じられる。
コップとて | 大沼ショージ
写真家・大沼ショージが、ガラス作家・石川昌浩の手がけるコップを撮影した作品集。透明な器に差し込む光や、わずかなゆらぎを含んだ表情を丁寧にとらえ、写真を介して工芸の魅力が静かに伝わる内容となっている。装丁にはロウ引きの紙を使った和綴じを採用し、袋綴じの部分に付属の広告シートを差し込むことで、印刷物としての仕掛けを楽しめる構成が特徴。器そのものの存在感と、写真・印刷・製本の工夫が重なり合い、日常的なコップに対するまなざしを少し変えてくれるような本となっている。
Weegee
アメリカの写真家ウィージーが1936〜1956年のニューヨークで撮影した作品を収めたモノグラフ。夜の街に潜み、事件や事故の現場へ誰よりも早く駆けつけたウィージーは、強烈なフラッシュを用いて都市の闇と熱気を即座に写し取り、タブロイド紙を通じて当時の人々へ生々しい光景を届けた。猟奇的な事件から日常の混乱まで、その写真は衝撃と魅惑の両方を帯び、娯楽性と記録性が交錯する独特の表現を築き上げている。本書では、その代表作を中心に、犯罪写真の枠を超えて評価されてきたウィージーの視点と時代背景が読み取れ、フォトジャーナリズムの歴史に刻まれた重要な仕事を包括的に収録。
日本の写真家 28 長野重一
写真家、長野重一による写真集。1949年から1998年にかけて、東京や長崎など日本各地、ドイツ、香港などで撮影された作品を収録。難民住宅の子どもたち、原爆ドームの街、紙芝居屋と子ども、アメリカ兵やディスコ、住宅街など、戦後から平成にかけての人々と時代の空気、近代化していく社会の様子をフォトジャーナリズムとして捉えた貴重な記録。
画家 西田俊英 写真家 荒木則行 気配の風景
2021年に今井美術館で開催される予定であった展示の際に準備された図録。2009年に東京で出会い、西国山地をはじめ西日本の風景を幾度も共に取材してきた日本画家・西田俊英と写真家・荒木則行による作品集。「気配」をテーマに選ばれた70点を年代順に掲載。竜神が駆け巡る湖や幻想的な夏の夕暮れの池など、日本画の繊細な筆致と写真の光と影が響き合い、互いに呼応する世界を堪能できる一冊。
Frederick Hammersley: To Paint Without Thinking
幾何学的な抽象絵画で知られるアメリカの画家フレデリック・ハマーズリーの制作過程に光を当てた作品集。端正なフォルムと色彩で構成された作品群は直感的に生み出されたようにも見えるが、実際には綿密な検討と段階的な手順を経て構築されていた。本書ではスケッチブックやノート、色見本などの資料を豊富に掲載し、ハマーズリーがどのように構図や配色を導き出していったのか、その思考のプロセスを多角的に示している。制作メモの几帳面さや、反復によって形を探る姿勢からは、知的な探求心と規則性への強い関心が読み取れる構成。
In the Road | 三好耕三
日本の写真家三好耕三による作品集。大判カメラを用いた精緻なモノクロ表現で知られる作家が、1993年から1996年にかけてアメリカの伝説的な道「ルート66」を旅しながら撮影した写真を収録している。モーテルやガソリンスタンド、廃れゆく看板や道端の風景など、ハイウェイに沿って展開する日常の断片を静謐な視線でとらえている点が特徴。ロードトリップの記録であると同時に、アメリカの文化や風景に刻まれた時間の層を浮かび上がらせ、写真による旅のドキュメントと風景史の一端を示す内容となっている。
ジャスパー・モリソンのデザイン
ロンドン出身のプロダクトデザイナー、ジャスパー・モリソンが自ら商品誕生のプロセスを語った作品集。「スーパーノーマル」というデザイン理念を掲げ、単にシンプルではないナチュラルなデザインを発信し続ける氏の仕事へのアプローチ方法、もののふさわしいあり方を知ることができる一冊。氏の作品を年代順で多数掲載するとともに、プロダクトデザイナーの深澤直人によるエッセイも併せて収録。
L’illusion du Tranquille | Francois Deladerriere
フランソワ・ドラデルリエールによる作品集。朽ちた赤い車、ネオンに照らされた階段、山中の廃墟、崩れた岩壁、無人のダンスホールなど、人の痕跡だけが残る風景を静かにとらえている。見慣れたはずの情景がわずかな違和感を帯び、現実がゆるやかにねじれるような感覚を呼び起こす構成。添えられたテキストは、馴染んだ風景が不穏な静けさへと変化する心の揺らぎを示し、写真が内面の感覚に触れる瞬間を示唆している。
Rasclose | Geoffroy Mathieu
現代写真の普及と創作を支援するLumière d’Encreによるプロジェクトシリーズ。マルセイユを拠点に活動する写真家、Geoffroy Mathieuによる作品集。2012年の2月から9月にかけてピレネー・オリエンタルの沿岸河川にて撮影。緑の中の水路、ウォータースライダー、羊の群れ、巨大な岩石など、広大な自然の中と人工物の現状の姿が収められている。フランス語表記。
家具のデザイン | ゼンバッハ、ロイトホイザー、ゲッセル
19世紀から20世紀の家具デザインを集めた写真資料集。ヨーゼフ・ホフマン、アルヴァ・アールト、ル・コルビュジエ、チャールズ・イームズら、デザイナーや建築家の作品写真、図版、テキストによる解説を収録。ドレッサーや椅子、建築と家具など、時代の移り変わりとともに変化してきたデザインを探る。
Frank Lloyd Wright
近代建築の巨匠、フランク・ロイド・ライトによる作品集。プレーリースタイル(草原様式)の住宅からニューヨークのグッゲンハイム美術館まで、自然と人間の調和を重視した多彩な作品を紹介。ユニティ・テンプル、ダーウィン D.マーティン邸、落水荘など代表作を収録し、ライト建築の革新性と美学を堪能できる一冊。
Modern Chairs | Charlotte and Peter Fiell
1885年から1992年までにデザイン・製造された、機能性と美しさを兼ね備えた椅子を紹介する作品資料集。チャールズ&レイ・イームズ、アルネ・ヤコブセン、ハンス・ウェグナー、マルセル・ブロイヤーらによる名作を解説とともに収録している。さらにモダニズムにおける椅子デザインの役割や歴史、各デザイナーの略歴なども掲載し、近代家具史を読み解いている。
PREFAB | Allison Arieff
プレハブ住宅の歴史と可能性を探る建築書。20世紀初頭からの展開をたどりつつ、ヴァルター・グロピウスやフィリップ・スタルク、黒川紀章らによる実験的事例を紹介している。アルバート・フレイの〈Aluminaire House〉やカプセル建築の系譜を踏まえ、現代の24組の建築家・デザイナーが提案する多様なプロジェクトを収録。グレッグ・リンのデジタル化されたアルミニウム住宅やイケアのプレハブ集合住宅など、革新的かつ実用的な住居の数々を取り上げ、未来の住宅像を提示している。
世界の椅子
世界各国(イタリア、フランス、スイス、北欧、アメリカ、日本など)の代表的な名作椅子を一冊にまとめたデザイン資料集。カッシーナ、トーネット、アルテック、フリッツ・ハンセン、ハーマンミラー、天童木工など主要ブランドを網羅し、ソファからダイニングチェア、スツールまで約800点を掲載。ブランド名、デザイナー、作品解説、サイズも明記、椅子の源流としてその歴史や、アートとしての椅子についての論考も収録。椅子デザイン史の理解を深化させる内容となっている。
トーネットとウィーンデザイン 1859-1930
ウィーンのデサインの歴史とともに、現存する世界最古の家具ブランド、THONET(トーネット)を創業した家具職人、ミヒャエル・トーネットの技術革新を再検証する。曲木椅子の大量生産システムが近代デザイン史に深い影響を刻んだその軌跡を辿る。「トーネットの曲木椅子」「ウィーンデザインの底流」「空間を見つめた時代」と3つの構成で図版とともに解説する。当時のデザイン運動がどのように芽吹き、デザイン思想を変容させたかを紐解いていく。
東京観音 | 荒木経惟、杉浦日向子
東京各地の観音さまや石仏を写真家の荒木経惟と漫画家、江戸風俗研究家、エッセイストの杉浦日向子が巡る写真集。殺伐とした都市の中で、ときに妖艶に、ときに慎み深く見守る姿を独自の視点で捉える。荒木家の墓や浅草・本郷の街並み、千手観音や六地蔵などの写真に加え、2人の短い対話も収録された一冊。