John Pawson: Themes and Projects ハードカバー版
英国出身の建築家、ジョン・ポーソンの作品集。掲載されるのは、「When Objects Work」、カルバン・クライン パリ店、ヴァシュロン・コンスタンタンの新工場、ラドクリフ近郊のマーケットミュージアム、ドイツの個人邸宅、ノヴィー・ドヴル修道院など6つの主要プロジェクト。内部と外部の連続性、秩序や儀式性の役割、素材の扱いなど、ポーソン特有の空間思想を多くの図版とともに紹介している。
Renzo Piano Building Workshop: Complete Works
現代を代表する建築家、レンゾ・ピアノを紹介するシリーズの第3巻。本巻では、彼の建築人生における画期的プロジェクトである関西国際空港の完成までを詳述。近年の主要プロジェクトを、設計から施工、完成に至るプロセスを写真や図面で丁寧に追っている。巻末では関西国際空港に焦点を当て、設計背景から構造的解決、建築空間を歩くように体験できる詳細なガイドまでを収録し、ピアノの建築思想が集約された代表作の全貌を読み解く。
Art of Engineering | Werner Sobek
建築家、ヴェルナー・ゾーベックの代表的プロジェクトやその専門的なキャリアを紹介する作品資料集。鋼、チタン、ガラス、膜構造、木材、コンクリートなど多様な素材を用い、軽量で透明感のある構造や革新的な施工手法を追求した建築作品を収録。世界各地の都市に建設された建築が設計図や詳細な写真とともに紹介され、建築家と技術者の緊密な協働により生まれる新しい建築美の可能性を示している。
James Turrell: The Other Horizon
光のアーティストとして知られるジェームズ・タレルの展覧会図録。1960年代後半に制作された「Projection Pieces」から、20年以上にわたり取り組む巨大ランドアート「Roden Crater」まで、光を彫刻のように扱うタレルの創作の発展を丁寧に紹介。光という見慣れた現象を作品化することで、知覚の働きそのものを問い直すタレルの試みを、作品とテキストの両面から深く理解できる内容となっている。
jp0205 | 松江泰治
写真家・松江泰治による、日本各地を空撮で切り取る“JP”シリーズを収録した作品集。青森県と秋田県を舞台に、街並みや建築、地形、海岸線といった、自然と人工物が入り混じる風景を高所からとらえている。明瞭で均質な光、シャープなピント、広い画面構成といった松江特有のスタイルにより、地表の細部までが精密に浮かび上がり、都市や自然の構造が過不足なく立ち現れる。日常的な景観を俯瞰することで、地形と人間の営みの関係性、そして地域の在り方を新たな視点から捉え直すことを促す一冊。
Hockney’s Pictures ペーパーバック版
画家デイヴィッド・ホックニーの約50年にわたる創作を俯瞰できる作品集。1960年代から2000年代までの代表作を中心に、風景や人物のペインティング、ドローイング、版画、写真コラージュなど、多様なメディアによる作品をカラーで収録。親しい人々を描いた繊細なスケッチ、プールサイドの陽気な日常、グランドキャニオンを捉えた大画面の迫力など、325点もの図版と自身の言葉を交えながら、その視覚的実験と表現の変遷をたどる。
生誕100年 亀倉雄策と『クリエイション』
新潟県立近代美術館で開催された展示の図録。日本を代表するグラフィックデザイナー、亀倉雄策の生誕100年を記念し、彼が編集長として手がけたデザイン誌『クリエイション』を軸に、その創造の軌跡を辿る。『クリエイション』で紹介された多彩な作家の作品を誌面の構成意図とともに読み解き、さらに原稿・ラフスケッチ・制作資料などを通して、亀倉の編集哲学とデザイン観を紹介。
フィン・ユールの世界 北欧デザインの巨匠
北欧デザイン界を代表するデンマークの建築家・デザイナー、フィン・ユールの作品を網羅した作品集。家具、椅子、インテリアデザインなど代表作を豊富な写真とともに紹介し、No.45をはじめとする名作の魅力を解説する。単なるビジュアルブックにとどまらず、ユールの創作背景やデンマークのデザイン文化、同時代のライバルとの関係など、様々な視点からその活動を検証している。
Election Eve | William Eggleston
ウィリアム・エグルストンが1976年の大統領選前夜、メンフィスからジミー・カーターの故郷プレーンズへ向かう旅の中で撮影した写真を収めた一冊。1977年にわずか5部のみ制作された二冊組の幻の写真集を、シュタイデルが一冊にまとめて復刻したもの。人気のない道路や家屋、線路、ガソリンスタンドなど、南部の日常風景が静かな緊張とともに写され、メディアによって理想化される前のプレーンズをとらえている。序文で映画監督ロイド・フォンヴィエルが述べるように、「決定が下される前の完璧な静けさ」を伝える作品群であり、エグルストン初期の重要作。
Last Summer | Philipp Keel
スイス出身のアーティスト・写真家、フィリップ・キールによる夏の終わりの気配をとらえた作品集。プールの水面やヤシの木、グラスの飲み物、果物や植物の静物などが静かに並び、軽やかな明るさの奥に、かすかな憂いと時間の余韻が漂う。さりげない日常の一瞬をすくい取るキールの視線は、控えめで静謐なトーンをまとい、過ぎ去った季節の気配や個人的な記憶をそっと呼び覚ます。『All about Me』『Simple Diary』シリーズで知られる作者の、繊細で詩的な世界観を味わえる一冊。
牛腸茂雄全集 作品編 | 赤々舎
日本の写真史において、重要な写真家のひとりに位置づけられる牛腸茂雄の作品集。全2巻構成の『牛腸茂雄全集』のうち本書は「作品編」にあたり、生前に刊行された4冊の写真集と2つの連作に収録された全作品を、カラーおよびモノクロで年代順に掲載する。繊細なまなざしと独自の距離感で日常をとらえた写真群は、没後に再評価が進み、現在では多くの写真家や批評家に影響を与えている。牛腸茂雄の創作活動の全体像を俯瞰できる決定版的な一冊。
Gerhard Ruhm
オーストリアの作曲家/ピアニスト/パフォーマー/具体詩人/美術家として知られるゲルハルト・リュームの作品集。クンストフォーラム・ウィーンでの2017年回顧展にあわせて刊行され、タイポグラフィ、ドローイング、コラージュ、具体詩、パフォーマンスに通じる視覚作品など、多面的な活動を豊富な図版で収録している。哲学的・美術史的視点からの3本のエッセイやインタビューも掲載され、視覚・言語・音を往還しながら展開されてきたリュームの先駆的アプローチを読み解いている。
Milton Glaser Posters: 427 Examples from 1965 to 2017
アメリカを代表するグラフィックデザイナー、ミルトン・グレイザーによるポスター作品集。1965年から2017年までに手がけた427点をカラーで収録し、代表作であるボブ・ディランのポスターや「I♥NY」シリーズをはじめ、音楽、演劇、社会運動など多岐にわたる仕事を網羅する。グレイザー自身によるコメントでは、作品に込められた思考プロセスや着想の源泉が語られ、半世紀におよぶ創作の軌跡とその精神を鮮やかに伝えている。
Philippe Starck ハードカバー版
フランスを代表するデザイナー、フィリップ・スタルクの活動を幅広く紹介する作品集。建築、インテリア、家具、日用品まで多岐にわたるプロジェクトを、カラー/モノクロ図版とともに収録。スタルク自身が選んだ言葉や自身のメモも盛り込まれ、独創的な発想とユーモア、実用性を融合させる彼のデザイン哲学を立体的に読み解ける構成。三本脚のレモン絞り器からファストフードショップの空間設計、さらには近年の建築プロジェクトまで、代表作を年代順に紹介し、スタルクの思考と進化の軌跡を一望できる。
ソットサス・アソシエイツ | エットレ・ソットサス
イタリアを代表する建築家・デザイナー、エットレ・ソットサスと彼が率いたソットサス・アソシエイツの活動を紹介する作品集。インダストリアルデザインやプロダクト、インテリアから建築まで幅広い領域を網羅し、さらにテキスタイルやグラフィックといった表現も含めて掲載している。カラー図版を中心に構成され、鮮やかな造形感覚と遊び心に富んだデザイン哲学を伝える。戦後デザイン史におけるソットサスの軌跡をまとめた資料性の高い一冊となっている。
おもちゃ画譜 | 川崎巨泉
郷土玩具画家として知られる川崎巨泉が手がけた版画集『おもちゃ画譜』全10巻をまとめた一冊。各地の郷土玩具をあたたかみのある筆致で描いた約600点の版画と、玩具にまつわるエッセイを収録している。素朴な造形に宿る土地の文化や風土をすくい取り、民藝的視点から日本の玩具文化を読み解く資料性の高い一冊。
Glass/Wood: Erieta Attali on Kengo Kuma
建築家・隈研吾が設計したアメリカ、コネチカット州ニューケナンの「Glass/Wood House」を、写真家エリエタ・アタリが撮影した写真集。透明感をもつガラスと温かみをもつ木材の対比を基調に、周囲の自然と一体化する建築の姿を映し出している。隈とアタリはいずれも、建築そのものよりも環境との調和を重視する点で共通しており、両者の視点が重なり合うことで、自然と建築の繊細な関係性が多角的に描き出されている。
The Art of Typewriting | Marvin Sackner、Ruth Sackner
タイプライターを使ったアートワークを体系的に紹介するビジュアルブック。19世紀後半の装飾的な図案から、タイプ文字の特性を生かした現代の実験的表現まで、550点を超える作品を収録している。あわせてタイプライターの歴史や、関連アーティストの経歴も紹介し、前時代的な機器と思われがちな道具に潜む創造性を掘り起こす一冊。文字の物質性と造形の関係を紐解き、ヴィジュアル・ポエトリーの豊かな広がりを伝えている。
Max Huber ハードカバー版
戦後イタリアで活動し、20世紀グラフィックデザインに大きな足跡を残したマックス・フーバーの包括的作品集。鮮烈な色彩とダイナミックなタイポグラフィを特徴とする代表作を、ポスター、ロゴ、書籍シリーズなど多ジャンルにわたり収録。本書は12のテーマで構成され、未発表作を含む300点以上の図版を掲載。モダニズムの理論と戦後ミラノの文化的影響を吸収し、企業広告から公共デザインまで幅広く展開したフーバーの造形世界を紹介する。国際的に評価されるその革新的思考と視覚表現をたどる一冊。
松永真のデザイン
昭和後期を代表するグラフィックデザイナー、松永真の仕事を総覧する作品集。1970年代から1992年にかけて手がけたポスター、パッケージデザイン、ロゴタイプなど、多彩な領域にわたる代表作を収録している。力強い造形と洗練された構成力が際立つ作品群は、同時代の日本デザインを象徴するものとして高く評価されてきた。序文には亀倉雄策と田中一光が寄稿しており、デザイン史における松永真の存在意義を明らかにしている。
日本の文様 花鳥 3冊セット | 北村四郎、吉田光邦、田中一光
吉田光邦、木村重信、八木一夫、田中一光らが編纂した、日本の風土を題材とする文様デザイン集。「日本系列」「中国系列」「異国系列」の3冊セット。家紋にみられるロゴ的な造形から、器物やプロダクトに刻まれた装飾パターンまでを幅広く収録している。モチーフごとに整理された図版とともに、その由来や意味を詳しく解説。花鳥を中心とした文様の美と歴史を多角的に読み解くことができる貴重な記録。
ブルーノ・ムナーリの本たち Munari Libri 1929−1999
イタリアの美術家・デザイナー・絵本作家として多彩な活動を展開したブルーノ・ムナーリが、1929年から1999年までに手がけた本の仕事を網羅した作品集。絵本や教育書をはじめ、説明書、カタログ、実験的な出版物まで、本という媒体に関わる幅広い領域を取り上げている。豊富な図版に加え、詳細なデータや本文の抜粋も収録され、ムナーリが本を通じて追求した「読む」「見る」「触れる」といった体験の多層性を伝えている。
木村政次のグラフィックデザイン
現代美術家としても活動するデザイナー木村政次の仕事をまとめた作品集。ポスターや雑誌のカバー、ロゴ、パッケージといったグラフィックデザインを中心に、多岐にわたる制作物を収録している。明快な造形感覚と大胆な色彩を特徴とし、広告や出版の分野で培われたデザイン性と、美術的な探求心が交差する内容。商業デザインとアートの双方を横断しながら築かれた活動の軌跡を紹介している。
Container Architecture
コンテナ建築の事例を集めた包括的な資料集。物流用コンテナを建築ユニットとして転用した住宅、公共施設、商業建築、未施工プロジェクトなど、世界中の多様な事例をカラー写真や図面とともに紹介。既製の規格化された箱としてのコンテナを再解釈することで、再利用性や移動性、コスト効率、柔軟性を活かした建築の可能性を示すと同時に、デザインの創造性や構造的・空間的挑戦も明らかにしている。
Lotus... State of Mind | Paul Ouwerkerk
オランダのグラフィックデザイナー、ポール・アウワークルクによる作品集。ブラジル、カリフォルニア、ヨーロッパ、東南アジアなど世界各地で撮影した建築や街並み、人々の生活風景が120点のカラー写真を収録。自身が「視覚的フィールドトリップ」と呼ぶアプローチにもとづき、写真同士の対置やリズムによって、時間や空間、文化的記憶がゆるやかに交差する体験をつくり出している。
New Scenes | Esther Tielmans
アムステルダムを拠点に活動するアーティスト、エステル・ティエレマンスの作品集。近年のインスタレーションを中心に、強度と感覚がせめぎ合う視覚文化のなかで、それらを統合しうるティエレマンス独自のアプローチを紹介。壁面・床・空中に配置されたカラフルなパネルを用いて、鑑賞者がその間を歩き回れる抽象的な風景をつくり出している。色彩の集中や感覚の揺らぎ、引力と反発といった視覚的要素を舞台装置のように配置し、絵画とインタラクションの境界を拡張している。
VIRAL | 大山エンリコイサム
2019年に中村キース・ヘリング美術館で開催された大山エンリコイサムの個展図録。作者自身によるステートメントと美術史家による論考を収録し、作品の背景や思想を多角的に解説。展覧会のインスタレーション写真や展示構成、巨大壁画や過去のキース・ヘリング作品との対話も掲載している。大山の独自モチーフ「クイックターン・ストラクチャー」による幾何学的パターンが作品全体にリズムと連鎖を生み、都市や文化の「拡散(VIRAL)」のテーマを丁寧に捉えた内容で、大山の表現世界を深く理解できる一冊。
落合陽一 ✕ 日下部民藝館 作品集 2021-2025 ヌルに帰納する物語
岐阜・飛騨高山の重要文化財「日下部家住宅」を舞台に、メディアアーティスト落合陽一が5年間にわたり展開したアートプロジェクトをまとめた記録集。柳宗悦の「民藝」思想を継承する日下部民藝館と、「デジタルネイチャー」を提唱する落合の視点が交わり、歴史と風土に宿る物語を最新のテクノロジーによって再解釈している。5年間で制作された160点以上の作品を収録し、記録写真、資料、構想プロセス、地域との協働の痕跡も網羅。
British Pavilion: Saville Expo
1992年セビリア万博に出展された「ブリティッシュ・パビリオン」の建築資料集。パビリオンの設計理念から構造、施工プロセスまでを幅広く解説している。会場における英国の文化的存在感を示すために設計されたこのパビリオンは、軽快な構造と明快な空間構成が特徴で、環境対応や展示機能を両立させた先進的建築として高く評価された。巻末には包括的な技術図面やワーキング・ディテールを収録し、設計・施工の裏側まで読み解くことができる。
Imagination Headquarters: Herron Associates
ロンドンに建設されたイマジネーション社本社ビルを取り上げた技術資料シリーズの一冊。ヘロン・アソシエイツは既存構造を活かしつつ、新旧の技術を大胆に融合し、空間的な華やかさを備えたオフィスへと刷新。その完成度は近年のロンドンで最も刺激的な建築の一つとして高く評価されている。設計思想や改修プロセス、詳細図面やワーキング・ディテールを通して、この特徴的なオフィス空間がどのように生み出されたのかを丁寧に解説。
WONDERWALL ARCHIVES 01, 02 2冊セット
インテリアデザイナー・片山正通が率いる「WONDERWALL」の仕事を収録したアーカイブブック2冊セット。UNIQLOニューヨーク旗艦店、NIKE原宿、パリの Colette、A BATHING APE、PASS THE BATON など、国内外の代表的プロジェクトを豊富な写真と図面で紹介。ブランドの世界観を空間として立ち上げる片山のデザインは、強い吸引力と高い完成度で知られ、商業空間における新たな可能性を見出してきた。大型案件から個性的なショップまで幅広く収録し、WONDERWALLの軌跡と思考を俯瞰できる充実の内容。
Derek Jarman’s Garden
イギリスの映画監督デレク・ジャーマンが晩年を過ごした庭を写した写真集。舞台はイングランド南東部ダンジネスの荒涼とした海辺で、背後には原子力発電所がそびえる不毛の地にある。流木や石、野の花を用いて自らの手で築いた庭園は、過酷な環境にあって静謐な美を放つ。本書は友人である写真家ハワード・スーリーの撮影により、その形成の過程と四季折々の姿を記録している。個人の生と自然が重なり合う場を映し出している。
The Hat Book | Rodney Smith
ニューヨークを拠点に活動したポートレート/ファッションフォトグラファー、ロドニー・スミスによる、帽子をめぐる遊び心あふれる写真集。ストローハットやキャップに加え、動物の耳がついたコスチュームや鐘のオブジェを帽子に見立てたカットなど、ウィットに富んだ発想と優雅な構図が特徴。洗練されたユーモアとクラシックな品格が同居するスミス独自の世界が広がり、帽子というモチーフを通して人物写真の新鮮な魅力を引き出している。
_etc. | 春木麻衣子
写真家・春木麻衣子による、「見る」という行為そのものを多角的に探る作品集。三次元の事象を二次元上で「みよう」とする行為を可視化した「みることの展開図」、街を行き交う人々の姿に黒いスリットが差し挟まれ、まばたきの瞬間のような視覚の断絶を写し出す「view for a moment」、アイルランドの風景と東京の天体博物館の光景がフィルム上で重なり合う「vision|noisiv」、これら三つのシリーズが寄り添うように配置されている。
Jim Dine: Painting What One
アメリカの芸術家ジム・ダインによる作品集。初期から1980年代までの代表的な作品を紹介している。工具やロープといった日用品を題材にした作品から、バスローブやハートのモチーフを象徴的に描いたシリーズまで、多様な表現が展開されている。抽象と具象のあいだを往還するその手法は、個人的な記憶や感情を造形に結びつけ、親密さと普遍性をあわせもつ造形言語を生み出している。絵画、ドローイング、立体作品を豊富な図版と解説で収録し、20世紀後半アメリカ美術における彼の独自の位置づけを示している。
No.235 Encyclopaedia of an Allotment | Anne Geene
オランダ・ロッテルダムの市街地にある庭園区画「eigen hof」235番区画(245㎡)を舞台に、その土地に“生きているもの・存在するもの”すべてを記録した、アンネ・ジーネによる観察プロジェクトの集大成。植物、昆虫、両生類、落ち葉の断片まで、区画内で見つかる無数の生命を分類し、ソルトプリント、サイアノタイプ、顕微鏡写真など多様な技法で視覚化している。科学的な厳密さを装うことなく、個人的な観察の積み重ねから生まれるユーモアと精密さが特徴で、小さな庭の中に広がる“ひとつの宇宙”を丁寧に編み上げた一冊。
種差 よみがえれ浜の記憶
2013年に青森県立美術館で開催された展覧会の図録。青森県八戸市・種差海岸の自然や文化、そこに息づく人々の記憶をテーマに、震災後の文化継承を現代アートの視点から探る。吉田初三郎、東山魁夷、リチャード・ロングらゆかりの作家の作品に加え、縄文土器や仏像といった地域資料、展示風景も収録。分冊形式で図版とテキストを構成し、名勝・種差海岸に宿る歴史と風土、そして「海とともにある暮らし」を映し出している。
SUBWAY | Bruce Davidson
マグナム・フォト所属の写真家ブルース・デビッドソンが、1980年代初頭のニューヨーク地下鉄に通い続けて撮影した代表作。落書きで覆われた車両が象徴するように、当時の地下鉄は混沌と緊張が渦巻く独特の空間だった。デビッドソンはその世界へあえて身を投じ、ホームや連絡通路、車内で交差するさまざまな人々の表情や仕草を、黒白からカラーへと移行しながら丹念にとらえている。グラフィティの色彩、雑踏のざわめき、乗客たちの距離感や親密さなど、都市の複雑な気配を生々しく写し出しつつ、そこに潜む人間的な温度を優しくすくい上げている。
Joseph Beuys: Zeichnungen/Drawings
ドイツの芸術家ヨーゼフ・ボイスによる約160点のドローイング、 水彩、コラージュを収めた作品集。1945年から1985年までの制作を網羅し、25年以上公開されてこなかった作品を含む構成で、素描家としてのボイスの歩みを一望できる。神話的な象徴や霊性への関心が織り込まれたイメージは、生成と変容、生と死の循環といった主題を静かに響かせ、彼独自の精神世界を紙の上に刻んでいる。
Rebecca Horn: The Glance of Infinity
ドイツのアーティスト、レベッカ・ホルンの約30年にわたる活動をまとめた作品集。1960年代後半から1995年までのパフォーマンス、映像作品、キネティック・スカルプチャー、インスタレーションを190点の図版で紹介する。ハノーファーのケストナー・ゲゼルシャフトでの展覧会(1997)にあわせて刊行されたもので、ヴェネツィア・ビエンナーレやミュンスター彫刻プロジェクトで発表された近作も収録。
For Every Minute You Are Angry You Lose Sixty Seconds Of Happiness | Julian Germain
イギリスの写真家ジュリアン・ジャーマンによる作品集。南海岸に暮らす老人「チャーリー」の日常を8年間にわたり記録している。穏やかな生活の断片を通して、人生の美しさや時間の積み重ねを切り取った写真を収録。タイトルの「For every minute you are angry you lose sixty seconds of happiness(1分間怒るたびに、60秒の幸せを失う)」は、アメリカの哲学者ラルフ・ワルド・エマーソンの言葉に由来する。
UNDERCOVER: Jun Takahashi featured by W.W.
ファッションデザイナー高橋盾と、そのブランド・UNDERCOVERの世界観をまとめたヴィジュアルブック。香港のクリエイター集団W.W.が企画制作に参加し、コレクション「BAD‒BEAUTIFUL」を中心に、1998〜2003年のパリコレクションの記録写真、ブランドを象徴するルック、イラストレーション、スタジオやショップの風景、英訳インタビューなどを収録している。
Grace: Thirty Years of Fashion at Vogue
伝説的スタイリスト、グレース・コディントンが『Vogue』で積み重ねてきた30年の仕事をまとめた決定版。イギリス版・アメリカ版『Vogue』で手がけた数多くのファッションストーリーを、アーヴィング・ペン、ヘルムート・ニュートン、サラ・ムーン、ピーター・リンドバーグ、アニー・リーボヴィッツなど名だたる写真家とのコラボレーションとともに振り返る一冊。再刊行版。
Uncrating the Japanese House: Junzo Yoshimura, Antonin and Noémi Raymond, and George Nakashima
建築家・吉村順三が1953年に設計し、翌年ニューヨーク近代美術館で公開された「松風荘」を中心に、日本建築とミッドセンチュリーモダニズムの交流をたどる一冊。松風荘の建設と移築の記録に加え、レイモンド夫妻が手がけた「レイモンド・ファーム」、ジョージ・ナカシマが長年にわたり構築した「ナカシマ・スタジオ」など、ペンシルベニアに残る関連建築も紹介。豊富な写真や図面、論考を通して、建築家たちの協働と異文化の往還から生まれたデザイン思想を紐解いている。