Robert Indiana Prints: A Catalogue Raisonne 1951-1991
アメリカを代表する現代美術家、ロバート・インディアナによる版画作品のカタログ・レゾネ。1951年から1991年までに制作されたカラー、モノクロあわせて153点の版画を収録し、制作年、技法、エディションなどの詳細なデータとともに紹介。代表作〈LOVE〉の多様なヴァリエーションをはじめ、言語や数字、記号を用いたインディアナ独自の視覚語彙が一望できる。
Stahltreppen Steel Stairs
鋼製階段の構造とデザインを豊富な実例から読み解く資料集。住宅、学校、公共施設、店舗などに設置された100点以上の階段を取り上げ、写真と詳細な構造図によってその成り立ちを紹介している。直線階段、曲線階段、らせん階段という構成原理ごとに章立てされ、鋼材ならではの軽やかさや緊張感が、どのようなディテールによって支えられているのかを解説。図面は主に1:50、1:5といった実務的なスケールで収録され、形状や寸法感覚を直感的に把握できる点も特徴。
構造デザインの現場 | 多田脩二 ほか
構造デザインの最前線を、8組の構造家が自らのプロジェクトを通して解き明かす一冊。初期のイメージから構造システムの選択、部材断面の検証、ディテールの決定に至るまで、思考と試行のプロセスを21作品の豊富な図面・写真とともに丁寧に解説。木造、RC、鉄骨、ハイブリッド構造など多様な事例を通して、構造家という仕事の現在地と、その創造性の核心に迫っている。
Hillside Terrace 1969-2019 | 槇文彦、北川フラム
代官山の象徴的建築群「ヒルサイドテラス」50周年記念事業の一環として刊行された写真資料集。建築家・槇文彦と施主・朝倉家が半世紀にわたり紡いできたまちづくりの歩みを、多彩な証言と豊富な写真で読み解く。第一期竣工から50年、多様な商業・文化活動、まちづくり、そしてそれらを支えてきた人々に焦点を当て、代官山という街にどのような核をつくり上げたのかを探る。安藤忠雄、粟津潔、槇文彦らによる寄稿を収録。
Patrick Procktor
イギリスの画家パトリック・プロクターの作品集。1950年代以降のロンドンで活動し、鮮やかな色彩と繊細な水彩表現で知られるプロクターの画業を紹介している。代表的な油彩や水彩、ドローイングを収録。人物や風景を洗練された構成で描き出すプロクターの独自の感性を示す内容となっている。1990年代までの活動を総覧し、その芸術的軌跡を照らし出している。
Robert Mapplethorpe 1970-1983
写真家ロバート・メイプルソープの初期から成熟期にあたる1970年から1983年までの仕事をまとめた作品集。肖像、セルフポートレート、静物、身体表現など、後年の評価を決定づける主題が形づくられていく過程をたどることができる。厳格な構図とライティングによって被写体に彫刻的な緊張感を与え、欲望やアイデンティティ、身体の在り方を静かに浮かび上がらせている。
A Room for the Night | Alex Yudzon
ニューヨークを拠点に活動するビジュアルアーティスト、アレックス・ユドゾンによる作品集。ホテルの客室に備え付けられた家具だけを用い、机や椅子を積み重ねたり、ベッドを傾けたりと、即興的なインスタレーションを制作し撮影したもの。均質で匿名的なはずのホテル空間は、不安定な構造によって幻想的な場へと変容し、物理法則や感情の均衡が揺さぶられる。
Two Garlands | Francesco Clemente
イタリア出身の画家フランチェスコ・クレメンテによるドローイング作品集。1986年にニューヨークで開催された展示に際して発行されたもの。同一の人物像を繰り返し描きながら、色彩や円環的なモチーフ、配置の変化によってイメージは少しずつ姿を変え、見る者の意識を内省的な領域へと導く。トランスアヴァンギャルド以降のクレメンテの表現を凝縮した、詩的な一冊。
Cell | 松江泰治
写真家・松江泰治による作品集。広範囲を撮影したネガから、わずかに写り込んだ「人」の部分だけを切り出し、45cm角に拡大する手法によって構成。屋上での日光浴、草原に集う人々、ウエディングフォトの撮影風景、道路上で車を動かそうとする場面など、意図されず写り込んだ日常の断片が、鮮烈な色彩とトリミングによって新たな意味を帯びる。人間という最小単位=「cell」に焦点を当て、写真を見る行為そのものの楽しさをあらためて伝えている。
ULRICH MEISTER
スイスのアーティスト、ウルリッヒ・マイスターによる作品集。1997年にバルセロナのミース・ファン・デル・ローエ記念館で開催された展示に際して発行されたもの。線描、絵画、写真、広告の切り抜きなど多様なメディアを横断し、日常にあるささやかな物を題材にした作品を収録している。
内藤礼 信の感情
2014年に東京都庭園美術館で開催された、現代美術家・内藤礼の展覧会図録。木彫による「ひと」や、白い画面に色彩と光が生まれる絵画シリーズ「color beginning」をはじめ、当時の新作を中心に収録。時間の積層や人の気配を宿す旧朝香宮邸と、ホワイトキューブの展示空間に作品が配置され、空間そのものが鑑賞体験の一部として静かに立ち現れる。内藤の思考が、作品と場の関係を通して丁寧に示され、鑑賞者と作品とのあいだに生まれる、目には見えない往復の感覚をそっと掬い上げている。
other mementos | 幸本紗奈
東京を拠点に活動する写真家・幸本紗奈による初の作品集。瓶の上の青りんご、和室にぼんやりと映る鏡の像など、23点のフィルム写真を収録し、個人的な記憶の断片にそっと触れるような感覚を呼び起こす。曖昧で名づけがたい美しさをたたえた写真は、鑑賞者それぞれの記憶や感覚を静かに引き寄せている。装丁はコラージュ・アーティスト、村橋貴博によるもの。
Weavings of Nomads in Iran: Warp-faced Bands and Related Textiles
イランの遊牧民が受け継いできた手織り帯に焦点を当てた本格的な研究書。荷物を家畜に固定するための帯は、遊牧生活に欠かせない実用品であると同時に、部族の記憶や装飾感覚を宿す重要な造形でもあった。特にカシュガイ族の織物を中心に、構造や技法、バックルや留め具の種類、年代判定の手法、19〜20世紀におけるデザインと構成の変化を詳細に検証している。帯に刻まれたモチーフを通して、遊牧民社会のつながりと造形思想を読み解いている。
マッキントッシュとグラスゴー・スタイル
2000年にサントリーミュージアムほかで開催された展覧会「マッキントッシュとグラスゴー・スタイル」展の図録。20世紀モダニズムの先駆者、建築家のチャールズ・レニー・マッキントッシュと、スコットランドのグラスゴー美術学校出身の仲間たち、ザ・フォーなどのデザイナーたちによる作品を多数収録。多岐にわたる才能で活躍したマッキントッシュとともにグラスゴー・スタイルを確立したデザイナーたちの業績をたどる一冊。
MVRDV式 まつだい雪国農耕文化村センター
彰国社から創刊された雑誌『建築文化』の別冊。オランダのロッテルダムを拠点とする建築事務所「MVRDV」が手がけた代表作「まつだい雪国農耕文化村センター」を多角的に紹介する。空間が生まれるまでのプロセス、スケッチや模型資料など豊富な図版を解説とともに収録。
黒い直方体と交錯するパッサージュ | 遠藤克彦
2022年に大阪・中之島に開館した「大阪中之島美術館」。設計者の選定をプロポーザルではなくコンペで開催し、選ばれたのが当時スタッフ5名という遠藤克彦建築研究所だった。本書は学芸員、行政担当、コンペ審査員、構造家、建築家ら異なる立場である9名の証言をまとめたドキュメントであり、公共建築、そして建築家の新しいあり方を問い直す一冊となっている。
状態の構築 | 五十嵐淳
建築家・五十嵐淳の活動を総覧する作品集。札幌を拠点に、地域性と素材感を重視した建築を数多く手がけてきた五十嵐のデビュー作から代表作、刊行当時の最新作まで、全30のプロジェクトを収録している。未完の計画やコンペ案も掲載され、構想段階から完成に至る思考の軌跡をたどることができる。巻頭にはスケッチや図面を交えたテキストが収録され、空間を生み出すプロセスと「建築の状態」を探る五十嵐の理念を紹介。
Ed Aninnk: Designer
オランダ出身のデザイナー、エド・アニックの作品集。空間設計、インスタレーション、プロダクトデザイン、展示の様子ほか、作品図版とともに解説。多岐にわたる分野で活躍する、その仕事を探る。 英語表記。
Pia Ferm: Bread and Butter
スウェーデンのアーティスト、ピア・フェルムによる作品集。大理石彫刻とタペストリーという異なるメディウムを横断しながら、彫刻と絵画の境界を探る実践を包括的に紹介。スケッチや水彩画を起点に制作されるタペストリーは、手織りのウールによって描線の痕跡を残しつつ、抽象的な図像として展開され、絵画的な広がりを感じさせる。一方、大理石作品には素材の重さと静けさが宿り、柔らかな感覚との緊張関係を生み出している。
西村陽平展 彫刻を聞き、土を語らせる
2012年に愛知県陶磁資料館で開催された「西村陽平展 彫刻を聞き、土を語らせる」のカタログ。造形作家・西村陽平が、土、石、アルミ、本など多様な素材を焼成することで、物質の変容とその視覚的な再構成に取り組んだ作品を紹介する。豊富なカラー図版に加え、作家の制作姿勢やテーマに迫る解説も収録されている。
ロニ・ホーン 水の中にあなたを見るとき、あなたの中に水を感じる?
2021年から2022年にかけてポーラ美術館で開催された展覧会の図録。アメリカのアーティスト、ロニ・ホーンの近年の代表作であるガラスの彫刻作品を中心に、約40年にわたる創作活動を網羅している。透明な物質に光や空間を取り込み、見る者の感覚や知覚を揺さぶる作品は、自然やアイデンティティとの関わりを探求。豊富な図版とテキストを通じて、ホーンの芸術世界の広がりを紹介している。
Photographs from the Collection of Georgia O’Keefe
“近代写真の父”と称されるアメリカの写真家、アルフレッド・スティーグリッツによる作品集。1993年に開催された展覧会にあわせて刊行された一冊で、彼のパートナーでもある画家ジョージア・オキーフを被写体としたシリーズを中心に構成されている。ヌードや黒衣をまとった姿、薄雲にかすむ月など、静謐で詩的なモノクローム写真が収められており、二人の芸術的関係性が繊細に浮かび上がる。
魅惑のコスチューム バレエ・リュス展
2014年に国立新美術館で開催された展示の図録。1909年にパリで鮮烈なデビューを果たし、20世紀初頭の芸術界に大きな衝撃を与えた伝説のバレエ団、バレエ・リュスの衣装と舞台美術に焦点を当てている。主宰セルゲイ・ディアギレフのもと、ニジンスキーやストラヴィンスキーをはじめ、ピカソ、マティス、シャネルら前衛芸術家が参加し、バレエを越えた総合芸術として展開した軌跡を紹介。
舞台芸術の世界 ディアギレフのロシアバレエと舞台デザイン
2007年に開催された展示の図録。1909年にパリで旗揚げされた伝説のロシアバレエ団、バレエ・リュスが、欧米の舞台芸術やその後のロシア・アヴァンギャルドやアール・デコに与えた影響、総合芸術としての活動を紹介。舞台衣装のための素描約140点、サンクトペテルブルクに保存されている舞台衣装10点、舞台の再演フィルムなどを収録。
実存 1968-69 状況劇場 | 西村多美子
写真家・西村多美子が、1968〜69年にかけて唐十郎率いるアングラ劇団「状況劇場」を撮影した作品集。唐十郎、麿赤児、四谷シモンらが舞台上で見せた、肉体をむき出しにした表現の瞬間を、モノクロ写真とテキストで記録。高度成長の陰で社会が揺れ動いていた60年代末、変革への衝動を孕んだ舞台の熱気や緊張感が、ざらついた銀粒子の質感とともに生々しく伝わってくる。
Sarah Moon: Now and Then
フランスの写真家、サラ・ムーンによる回顧的作品集。ドイツ・ハンブルク現代美術館で開催された展覧会にあわせて刊行されたもので、ディオールやシャネル、コム デ ギャルソンなどを撮影したファッションフォトから、ポラロイドによる詩的な写真、短編映画の静止画まで、多彩な作品を収録している。柔らかな光と淡い色彩、ぼかしを活かした独特の表現によって、夢や神話、記憶の奥に潜むイメージを可視化。時間や現実の境界を曖昧にしながら、女性像と幻想世界を描き出している。
WALD | Michael Lange
ドイツの写真家、ミヒャエル・ランゲが、3年間にわたり広大な落葉樹林や針葉樹林を歩き続けて撮影した作品をまとめた写真集。人の手が入らない藪や茂み、夕暮れや薄明の時間帯に立ち現れる森の姿をとらえ、子ども時代の記憶と自然の冷静な観察が交差する瞬間を写し出している。ランゲが追いかけたのは、森の静寂をどのようにイメージとして表現できるかという問い。細やかな光の変化、影の揺らぎ、色のグラデーションが重なり、濃密な空気感と集中した静けさが画面に宿る。
Perfect Day | Txema Salvans
スペインの写真家チェマ・サルバンスが、休暇を楽しむ人々をあえて工業地帯や駐車場など“思いがけない場所”で撮影したシリーズ。クレーンや工場が迫る風景の中で、日光浴をしたりプールでくつろぐ人々の姿は、どこかユーモラスでありながら、都市環境の圧力に抗い、ささやかな休暇を求める人間のしたたかな適応力を映し出している。周到に構成された光景の奥には、階級や国のアイデンティティ、公共空間のあり方といった問いが潜み、日常の小さな自由を肯定している。
Haunts | JH Engstrom
スウェーデンのフォトグラファー、JH・エングストロームの作品集。アーティストブックプロジェクト『Trying to Dance』に続く三部作の第二作で、彼が抱き続ける「存在」への疑念や問いが、前作よりもいっそう深く追究されている。視線は公共空間やストリートへと向かい、終わりなく続く“いま”の時間の中に身を置く感覚が、全体のイメージを貫いている。「今」と記憶がぶつかる瞬間をとらえようとする姿勢は、感情と客観性を切り離すことなく受け止めようとするもので、その重なりが写真に独特の緊張と親密さを与えている。
Gerhard Richter: Large Abstracts
ドイツを代表する現代美術家、ゲルハルト・リヒターによる抽象絵画に焦点を当てた作品集。1986年から2006年に制作された大判の抽象作品を中心に、リヒターの絵画を貫く「原理・境界・可能性」というテーマに迫る。初期より多様な様式を行き来してきた彼の制作姿勢を踏まえつつ、ここでは形式的な発展史をたどるのではなく、一定の絵画的プロセスによって生み出された均質な作品群として抽象絵画を捉えている。豊富なカラー図版を収録し、重層的で密度の高いリヒターの抽象絵画の魅力を深く味わうことができる一冊。
Tomas Schmit: Making Things
1960年代のフルクサス運動でパフォーマーとして活動したアーティスト、トーマス・シュミットの約40年にわたる仕事を紹介する作品集。フルクサス解散後の1966年以降、彼はパフォーマンスから距離を置き、文章とドローイングに活動の中心を移していった。本書では、その言語的な思考と視覚表現がどのように結びつき、独自の制作スタイルへと発展したかを、多数の作品資料を通して辿ることができる。
The Potemkin Village | Gregor Sailer
オーストリア出身の写真家、グレガー・ザイラーによる作品集。18世紀ロシア帝国の逸話「ポチョムキン村」に着想を得て、現代に存在する“偽の都市”をタイポロジー的視点で記録する。軍の戦闘訓練用に設計された都市空間や、極限環境での車両テストのために建てられた街など、意図的に構築された非現実的空間を撮影。現代社会に潜む虚構の風景とその政治性・象徴性に迫る。
世界の仮面と神像 | 岡本太郎、泉靖一、梅棹忠夫
1970年の大阪万博でテーマ展示プロデューサーを務めた岡本太郎が、文化人類学者・泉靖一、民族学者・梅棹忠夫らとともに組織した「世界民族資料調査団」による資料集。オセアニア、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカなど、世界各地で収集された民俗資料の中から「仮面」と「神像」に焦点を当てている。造形の背後にある各民族の自然観や信仰、素朴な様式と豊かな表現力を記録し、人間の創造力と祈りの原点を探る。
Mbuti Design: Paintings by Pygmy Women of the Ituri Forest | Georges Meurant、Robert Farris Thompson
中央アフリカ・コンゴ民主共和国のイトゥリ熱帯雨林に暮らすムブティ族の造形表現に焦点を当てた一冊。樹皮布(タパクロス)やフェイスペイント、ボディペイントなど、自然と密接に結びついた幾何学的模様の美を紹介する。資料写真や精緻なドローイングを豊富に収録し、その文化的背景や芸術性を様々な角度から解説している。
A Day in February with Light | 黒田泰蔵
陶芸家、黒田泰蔵の作品集。黒田泰蔵が最期まで制作を続けていた『円筒』『梅瓶』を、映像作家・写真家である山根晋が日の出から日没までの光の遷移を観測記録する方法で撮影する。それぞれの作品がぼんやりと浮かび上がり美しいフォルムとして輪郭を形成し、また闇に消えていく、その様子が収められている。
Johanna Diehl: Borgo Romanita Alleanza & Ufficio
ドイツの写真家ヨハンナ・ディールが、ムッソリーニ期のイタリアを軸に建築と歴史の痕跡を読み解いた三部作を収録する作品集。〈Borgo〉では全国に建設されたモデル集落を、〈Romanità〉では当時の公共建築に残された大理石や装飾意匠を、〈Alleanza〉では教会と国家の結びつきを示す空間的証拠を丹念に写し取っている。無人のまま残された室内やフレスコ画、教会建築が静謐な佇まいで現れ、政治的イデオロギーが建築に刻んだ影響と、その後に漂う空白の時間が対照的に示される構成。
Max Ernst: Dream and Revolution
シュルレアリスムの主要作家マックス・エルンストのモノグラフ。コラージュ、フロッタージュ、グラッタージュ、デカルコマニーなど独自技法を用い、夜の森や洞窟、幻想的な人物像といったロマン主義的イメージを超現実的に展開したエルンストの世界を紹介。近年では若い画家たちの再評価が進み、音楽家や作家にも影響を与えるなど、その表現は新たな広がりを見せている。
Sachlich | Christian Boltanski
フランスのアーティスト、クリスチャン・ボルタンスキーによる作品集。ナチスによる押収品や戦争の遺留物、匿名性を帯びた日用品といった被写体を通して、記憶や不在、喪失をめぐるテーマを静かに掘り下げた一冊。薄いトレーシングペーパー越しに見える写真は、記憶の曖昧さや儚さを象徴するように像をにじませる。戦争の痕跡や名もなき所有物へのまなざしは、個人史と集団の記憶が交差する領域を浮かび上がらせ、ボルタンスキーが一貫して問いかけてきた「生と死」「痕跡としての存在」を伝えている。
Visionaire 36: Power
毎号世界中のアーティストやファッションデザイナー、写真家などとコラボレーションする、アートとファッションを融合したニューヨーク発のアートマガジン「VISIONAIRE(ヴィジョネア)」、資生堂とのコラボレーション号。イネス・ヴァン・ラムズウィールド、畠山直哉、ヴォルフガング・ティルマンス、カール・ラガーフェルド、マリオ・テスティーノ、リチャード・ミズラックをはじめとするフォトグラファーの作品を収録。限定5000部発行。
Dreaming in Print: A Decade of Visionaire
ファッションとアートを融合させる実験的マガジン『Visionaire』の10年を振り返る作品集。ルイ・ヴィトンのクラッチ型、電池式のライト号、特製ケース入りのバイブル号など、毎号異なる形態で印刷物の可能性を拡張してきた独創的な制作の舞台裏を紹介する。1991年、ニューヨークのアパートで手作業から始まった小さな試みが、世界的アーティストを巻き込むプロジェクトへと発展した過程を、豊富な図版とともにたどる。ナン・ゴールディン、ニック・ナイト、ブルース・ウェーバーら写真家、トム・フォードや川久保玲といったデザイナーの寄稿も収録。
Visionaire’s Fashion 2001
ファッション&アート誌『Visionaire』による、次世代のデザイナーたちを紹介するビジュアルブック。マリオ・テスティーノ、イネズ・ヴァン・ラムスヴェルデ、ヴィヌード・マタディンら著名フォトグラファーによる印象的な写真を収録。ラフ・シモンズ、ヴェロニク・ブランキーノ、オリヴィエ・セイスケンス、ニコラ・ジェスキエール、ジェレミー・スコット、ジョセフ・ティメスター、A.F.ヴァンダーヴォルストなど、世界中の約60名の注目デザイナーを紹介し、コレクションや印象的なショーの様子を伝える。
Santiago Calatrava: Bahnhof Stadelhofen, Zurich
スペインの建築家・サンティアゴ・カラトラヴァの代表作、チューリッヒ・シュタデルホーフェン駅を中心に、その建築と都市デザインを詳細に紹介する作品集。駅舎拡張プロジェクトを通じ、歴史的都市空間に新しい都市解釈を提示し、構造と建築理念を統合した革新的なデザインを明らかにする。豊富な写真と図版で、ペデストリアン動線やガラスキャノピー、地下通路などの複合的要素を解説。建築や都市計画の視点から同駅の魅力と革新性を余すところなく伝えている。
オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリーの素晴らしき世界
フランスの老舗美容ブランド、オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリーの世界を余すところなく紹介するビジュアルブック。1803年の創業以来、香水やスキンケア、調香の技術と洗練されたデザインで人々を魅了してきたブランドの歴史を、写真やパッケージ、店舗デザイン、広告などのヴィジュアル資料とともに収録。伝統と現代感覚を融合させた独自の美意識が、香水や化粧品だけでなく、タイポグラフィーや空間デザインに至るまで立体的に表現されている。ブランドの哲学と時代を超えた美の物語を体感できる内容。
Cool: Style, Sound, and Subversion
世界の若者サブカルチャーとストリートスタイルを網羅したビジュアルブック。フラッパーやスウィング・キッズ、ゴスから現代のノームコアまで、反体制の精神から生まれたファッションムーブメントを紹介。若者たちは音楽やアートへの渇望と反抗心を原動力に独自のスタイルを創出し、やがて主流文化に影響を与えていく。著者は100年以上にわたるサブカルチャーを歴史的背景や音楽、映画、アートなどとともに詳細に解説し、オリジナルイラストやタイムライン、ジンやプレイリストも豊富に収録。各ムーブメントの魅力と文化的意義を鮮やかに伝える、ファッションやポップカルチャー愛好者必見のガイドブック。