Rene Herbst: Pioneer of Modernism
フランスの建築家・デザイナー、ルネ・エルブストの代表作を紹介する一冊。AM(フランス近代芸術家同盟)の創設メンバーとして機能性と簡潔さを追求し、生活に開かれたモダンデザインを提唱した人物として知られる。金属素材を家具に導入した先駆者で、「鉄の男」と称された1929年の「サンドウ・チェア」は量産化の可能性を大きく広げた。本書はパリ装飾美術館の所蔵品から主要作を収め、エルブストが築いた近代家具デザインの基盤を読み解く内容となっている。
ヘルマン・ツァップのデザイン哲学
ドイツのタイポグラファー、ヘルマン・ツァップの作品と論考をまとめた一冊。書体設計、カリグラフィ、ブックデザイン、グラフィックデザインなど幅広い分野における創作を網羅し、クラシカルな美とモダンな理性を融合させたツァップの仕事を多角的に紹介している。「現在と未来におけるカリグラフィの影響」「技術発展とアルファベットデザイン」など、タイポグラフィの歴史と未来を見据えた自筆論文も収録。
倉俣史朗の世界 Shiro Kuramata 1934-1991
2000年に原美術館で開催された展覧会「倉俣史朗の世界」にあわせて刊行された図録。空間デザインやプロダクトデザインの分野で国際的に評価を得た倉俣史朗の家具作品を、アートディレクター田中一光の監修により時系列で紹介。透明なアクリルやガラスを用いた斬新な造形や、日常に詩的な感覚を呼び込むデザインを収録し、カラー図版と解説を通じてその独創性と歩みをたどる構成となっている。現代デザイン史に刻まれた倉俣の軌跡を明らかにしている。
Carsten Nicolai: Parallax Symmetry
電子音楽家アルヴァ・ノトとしても知られ、1990年代初頭から視覚表現・音響・自然科学の境界領域で活動してきたカールステン・ニコライの作品集。電子音と光を素材に、ミニマルなインスタレーションや物理現象を可視化するパフォーマンスを制作し、メディア化された世界の構造を探ってきた。本書では約40点の代表的インスタレーションを収録している。
Sung Tieu: Oath Against Minimalism
ベトナム生まれでベルリンとロンドンを拠点に活動するアーティスト、ソン・ティウの作品を紹介する一冊。彫刻やサウンドを組み合わせたインスタレーションを中心に、冷戦の残滓、官僚制度やグローバル資本主義の構造、音がもたらす心理的影響といった現代社会に潜む力学を可視化する彼女の実践を掘り下げる。
Hong Kong: Front Door/Back Door | Michael Wolf
写真家マイケル・ウルフが香港の裏路地や高密度の建築群を捉えた作品集。通りに放置された物や雑然とした路地の光景を、ウルフの視点によって都市が生み出すインスタレーションのように捉えている。一見した混沌の背後にある秩序や美を浮かび上がらせるとともに、香港という都市が抱える暮らし・機能・デザイン・アイデンティティの問題を考察するテキストも収録。
Interno | Valerio Polici
イタリアの写真家ヴァレリオ・ポリチによる作品集。「Interno(内部)」というタイトルのとおり、さまざまな室内空間をさまよう視線が、言葉を介さずに静かな物語を紡いでいく。連続するイメージには、親密さと違和感、温もりと距離といった相反する感覚が入り混じり、見る者の記憶や感情と結びついていく。特定の物語を設定するのではなく、写真そのものが自由な連想を呼び起こす構成となっており、視る行為によって意味が立ち上がる“開かれた写真の語り”を探る一冊。
紙のフォルム | 尾川宏
石や木、金属など、様々な素材を用いた彫刻を多く製作した尾川宏が、紙の造形的な美しさを追求した作品集。紙を折ったり、曲げたり、組んだりすることで、ただの紙とは思えないようなフォルムを創り出し、その可能性を広げた一冊。装丁はグラフィックデザイナーの田中一光によるもの。
Structure, Space and Skin: The Work of Nicholas Grimshaw & Partners
イギリスの建築家ニコラス・グリムショーとその事務所の1980年代後半〜90年代にかけての代表的プロジェクトを紹介する資料集。ロンドンのウォータールー国際駅やベルリン証券取引所計画など、ヨーロッパを象徴する大規模建築が収録されている。構造・空間・外皮の関係性を追求したグリムショー建築の特徴を図版とともに丁寧に解説、その設計思想の展開を読み解く。
VIVIENNE WESTWOOD ヴィヴィアン・ウエストウッド自伝
パンクの象徴であり、世界的デザイナーであり、社会活動家でもあるヴィヴィアン・ウエストウッドが、自らの人生を初めて語った自伝。貧しい幼少期から、マルコム・マクラーレンとの創作と混沌の日々、セックス・ピストルズとともに駆け抜けたパンク黎明期、そして世界的ブランドを築き上げるまでの軌跡をつづる。彼女が影響を受けた人々との出会い、ニューヨークでの体験、信念として貫いてきた社会的メッセージなど、70年以上にわたる歩みを一望できる一冊
Animal Books for Jaap Zeno Anna Julian Luca | Lous Martens
グラフィックデザイナー、カレル・マルテンスの妻ルース・マルテンスが、5人の孫のために長年つくり続けてきた動物スクラップブックをまとめた作品集。雑誌や広告、パッケージから切り抜いた動物の写真・イラストを種類ごとに分類し、図鑑のような構成で並べている。本来は家族だけのために制作された私的なスクラップが一冊に集約され、愛情と手仕事の積み重ねがそのまま視覚化されたユニークな記録となっている。2017年刊の絶版書を再編集した新装版。
Dandy Lion: The Black Dandy and Street Style
キュレーター、シャントレル・P・ルイスが編んだファッション写真集。鮮やかな色彩や大胆なパターンのスーツを自在に着こなすアフリカ系男性たちのスタイルを通して、現代の「ブラック・ダンディズム」を定義している。アフリカの装いの伝統と欧州のファッション史、さらにヒップホップ以降の文化背景が交差するなかで育まれた美意識を、国内外の写真家によるポートレートとテキストで紹介。個々の装いに宿る自尊心や創造性、ジェンダーやアイデンティティへの新たな視点を示し、ブラック・ファッションの現在地を鮮やかに浮かび上がらせている。
Norman Foster: Foster Associates, Buildings and Projects: Volume 2
建築家ノーマン・フォスターとその設計事務所フォスター・アソシエイツの仕事をまとめたシリーズ第2巻。1970年代に手がけられた主要プロジェクトに焦点を当て、フォスターが初期住宅作品で示した才能を発展させ、国際的評価へと至る過程を詳しくたどる。代表作であるウィリス・フェイバー・アンド・デュマ保険会社、サインズベリーセンター、ルノー流通センターなどを、設計意図から施工過程まで豊富な資料とともに解説。
Norman Foster: Foster Associates, Buildings and Projects: Volume 3
建築家ノーマン・フォスターとその設計事務所フォスター・アソシエイツの仕事をまとめたシリーズ第3巻。1978年から1985年にかけてのプロジェクトを対象とし、未完の計画から竣工建築まで、アイデアの着想、設計過程、模型・スケッチの発展を詳細にたどる。初公開資料を含む650点以上の図版を収録。ウィットニー開発計画、ビリングスゲート再開発、香港上海銀行ビルなど主要プロジェクトを通じ、フォスターの建築思考がどのように形づくられていったかを紹介している。
藤森建築と路上観察 誰も知らない日本の建築と都市
建築史家・建築家の藤森照信がコミッショナーを務めた、第10回ヴェネチア・ビエンナーレ建築展「藤森建築と路上観察」の公式カタログ。藤森自身の建築作品とともに、赤瀬川原平らと活動した路上観察学会による都市観察の成果を収録している。作品集、論文集、対訳本の三分冊に加え、建築素材サンプルを同梱する構成。ユーモラスかつ批評的な視点で「誰も知らない日本の建築と都市」を照らし出し、展示の記録としてだけでなく、資料性の高い出版物となっている。
Picasso Posters
パブロ・ピカソが手がけたポスター作品集。全60点のポスターを大判カラー図版で収録している。展覧会ポスターから広告、舞台関連のデザインまで、ピカソが平面の中で展開した多彩な表現を楽しめる内容。ピカソの造形言語がどのようにポスターという媒体に落とし込まれたのかを視覚的にたどることができ、資料としてもコレクションとしても魅力的な一冊。
鬼大名 THE ECHOES OF KYOTO
キュレーションユニット「鬼大名」の活動を通して、この10年あまりの京都のアートシーンを振り返るアートブック。鬼頭健吾・大庭大介・名和晃平の3名によって結成され、「ホテル アンテルーム 京都」のアートディレクションを手がけた2016年以降、多様な展覧会や商業施設のプロジェクトを担ってきた。本書では、ユニットが関わった12のプロジェクトを収録し、約180名のアーティストの作品を紹介。教育と社会、若手作家とアートマーケットを結びつけながら、京都における新しいアートの動きを捉えている。
環境のグラフィックデザイン | 五十嵐威暢
グラフィックデザイナー・彫刻家として国内外で活躍した五十嵐威暢が、都市空間におけるグラフィックデザインの役割を考察した一冊。サイン計画、公共交通の案内表示、地図、ピクトグラムなど、人々の移動や行動を支える情報デザインを多角的に取り上げている。ドイツやスイスをはじめとするヨーロッパの事例を豊富に紹介し、視認性・秩序・美しさを両立させるデザインの原理を解説。環境に調和しながら機能するグラフィックがどのように計画されるべきか、当時としても先進的な視点からまとめられている。
グラフィック デザイン no.67
雑誌『グラフィックデザイン』67号。巻頭特集は柳宗理による「加賀の熨斗と水引」。そのほか「世界の新人展望 '70」、杉浦康平+松岡正剛「記号の生態圏ー絵と文字の宇宙」、「司修の近作」、「麹谷宏のアートディレクション」などを収録。表紙デザインは中垣信夫。
西川勝人 静寂の響き
2024〜2025年にDIC川村記念美術館で開催された展覧会にあわせて刊行された公式図録。ドイツを拠点に40年以上制作を続ける西川勝人は、彫刻、写真、絵画、インスタレーションなど多様な媒体を用いながら、静寂のあり方を探る独自の表現世界を築いてきた。本書では初期から最新作まで約70点を収録し、空間や形態に宿るわずかな気配や緊張を丁寧にたどりながら、西川が追い続けてきた静けさの感覚と、その造形的な展開を静かに描き出している。
Red Noise | Marco Zanta
イタリアの写真家マルコ・ザンタが、1980年代から継続して撮影してきた工業地帯の風景をまとめた作品集。巨大な工場建築や作業レーン、複雑な回路や足場、廃材の堆積など、現代の産業空間を象徴するディテールを丹念に捉えている。記録性と抽象性のあいだを行き来する構成によって、変わりゆく労働環境と、その背景にある社会の緊張や時間の痕跡を静かに描写。産業と人間の関係性を問いかけている。
New Monuments | Shane Lavalette
アメリカの写真家シェーン・ラヴァレットによる作品集。スウェーデンの出版社 Libraryman が手がける季刊プロジェクト〈Seasons Series〉第7弾として刊行され、500部限定で制作された希少本。収録されているのは、ラヴァレットが2015年にローマのアメリカン・アカデミーに滞在した際に撮影した作品群。季節の移ろいとともに変化する光や空気感が、静かな佇まいの風景や被写体に沁み込み、時間の層を穏やかに映し出している。
上田義彦 Photographs
写真家・上田義彦の20年にわたる活動をまとめた作品集。建築写真や草花、静物、ポートレートなど、1980年代から2003年までの代表的なシリーズから110点の作品を厳選し収録。広告と芸術写真の領域を横断しながら、被写体に静けさと強い存在感を与える独自のスタイルを確立した上田の軌跡を追う。時代を超えて響く写真表現の可能性を浮かび上がらせている。
Wet Dreams: Watercolors | Marlene Dumas
南アフリカ出身でアムステルダムを拠点に活動する画家マルレーネ・デュマスによる水彩作品集。雑誌写真などをもとにイメージを切り取り、ぼかしや歪みを加えることで独自の造形を展開している。女性像のステレオタイプ、セクシュアリティやポルノグラフィー、罪と暴力、生と死といった主題に迫り、作品に通底するテーマを浮かび上がらせる構成。娘ヘレナや画家ベルト・ブーガールトと共作した作品も多数収録している。
Tantra Song: Tantric Painting from Rajasthan | Franck Andre Jamme
フランスの詩人フランク・アンドレ・ジャムが収集した、インド・ラージャスターン州のタントラ絵画を紹介する作品集。寺院で匿名の修行者たちが描いた幾何学的で鮮やかな抽象画を多数収録し、渦や矢印、逆三角形といった象徴的なモチーフが精神性を帯びた独自の世界を形づくっている。一般的に知られる具象的なタントラ美術とは異なり、意識を高めるための視覚言語として発展した稀少な表現に触れられる一冊。
東西の職人図絵 復刻版 全7冊揃 | 菱川師宣、ヨースト・アマン | 株式会社竹尾
紙の専門商社・竹尾の創業90周年を記念して刊行された復刻版。江戸時代の浮世絵師・菱川師宣による『和国諸職絵つくし』と、16世紀ドイツの版画家ヨースト・アマンによる『西洋職人つくし』を収録。日本とヨーロッパ、それぞれの時代と地域で描かれた職人たちの姿を対照的に楽しむことができる。全7冊構成で、当時の生活文化や職能の多様さを知る貴重な資料。解説冊子付き。非売品。
生誕100周年 トーベ・ヤンソン展 | 朝日新聞社
2014年から2015年にかけて開催された「生誕100周年 トーベ・ヤンソン展 ムーミンと生きる」の図録。代表作「ムーミン」シリーズをはじめ、自画像や風景画といった油彩画、児童文学の挿絵、政治風刺画、舞台衣装のスケッチまで幅広く紹介している。画家、作家、イラストレーターとして多彩な顔を持つトーベ・ヤンソンの芸術活動を総覧し、その全貌を明らかにしている。
歩 芹沢銈介の創作と蒐集
型絵染の人間国宝として知られる芹沢銈介の創作と蒐集活動を紹介する作品集。前半には掛軸や屏風、着物、さらにペインティング作品まで幅広く収録し、多様な造形世界を展望できる構成となっている。後半では芹沢が世界各国から蒐集した民芸品コレクションを掲載。日常生活に息づく道具や装飾品が並び、芹沢の審美眼と蒐集の軌跡を伝える。創作と蒐集、二つの営みを通して浮かび上がるのは、生活と美を結びつける思想であり、民藝運動との共鳴を照らし出している。
TONERICO:INC. 作品集 1巻
2002年に米谷ひろし、君塚賢、増子由美の3人によって設立されたデザイン事務所トネリコの作品集。建築、インテリア、家具、プロダクトまで幅広い分野で活動し、コンセプチュアルな作品を発表してきた同事務所の2002年から2012年までの仕事を収録している。巻末に平面図や解説テキストをまとめ、それ以外は写真のみで構成されたシンプルな編集で、ミニマルな造本デザインが特徴。
CHANEL Presents la Galerie du 19M Tokyo シャネル 未知なるクリエイション その先へ
2025年に東京シティビュー&森アーツセンターギャラリーで開催された展覧会の公式図録。パリの職人集団拠点「le19M」を軸に、日本とフランスのクリエイションが交差する内容を3部構成でまとめている。「le Festival」では田根剛率いるATTAが手がけたインスタレーションを通して le19M の卓越した職人技を紹介。「Beyond Our Horizons」では両国の作家約30名の作品が並び、文化交流から生まれる新たな視点を示す。「Lesage 刺繍とテキスタイル、100年の物語」では、刺繍とツイードの名門ルサージュの歴史的な作品を公開。伝統と革新が交わるシャネルの創造の広がりを凝縮した一冊。
Betty Catroux, Yves Saint Laurent: Feminine Singular
イヴ・サンローランのファッションアイコンであり、サンローランの「片割れ」とも称されたベティ・カトルーのモノグラフ。2020年にパリのイヴ・サンローラン美術館で開催され、2022年に日本にも巡回した展覧会に際して刊行されたもの。イヴ・サンローランの象徴とも言える魅惑的なミステリアスさと、時代を超えて称賛される長く洗練されたシルエットを誰よりも兼ね揃えていたカトルー。本書は美術館の所蔵品およびカトルーのプライベートコレクションから、アーティスティック・ディレクターのアンソニー・ヴァカレロが選定した写真を多数掲載した一冊。英語、フランス語表記。
うつわ U-Tsu-Wa
2009年に21_21 DESIGN SIGHTで開催された展覧会にあわせて刊行された作品集。日常の器という役割を超えて、造形美と存在感を追求する3人の作家、ルーシー・リー、ジェニファー・リー、エルンスト・ガンペールの代表作を収録している。陶芸と木工を横断するそれぞれのアプローチを、独創的な撮影とレイアウトで紹介し、素材に宿る力や作家固有の世界観を静かに映し出している。
世界の絣 その技術の起源と伝播
インドネシアを中心に東南アジアや南アジアなどで伝統的に織られてきた絣(イカット)の技術を体系的に紹介する資料集。世界の絣を7つの地域に分類し、それぞれの歴史的背景や文化的文脈を解説している。伝承技術としての織りの方法、模様に込められた象徴性、地域ごとに異なる美意識。現代アートとの接点にも触れ、絣の可能性を広く示している。460点を超える豊富な図版を収録。
Two Mountains: Ashio, Kumano | Julien Guinand
フランスの写真家ジュリアン・ギナンが日本の二つの山岳地帯、紀伊山地と足尾山地を撮影した作品集。気候変動によって変容する地形や、環境破壊の痕跡、過去の災害の記憶を静かに映し出している。風景の細部を丁寧に追いながら、いま起きている変化と未来への警鐘を写真を通して投げかける。
ポール・ランド デザイナーの芸術
アメリカを代表するグラフィックデザイナー、ポール・ランドによる名著『Paul Rand: A Designer’s Art』の復刻日本語版。1930年代から1980年代にかけての代表的なグラフィックデザインを幅広く収録し、ロゴ、広告、出版物など多様な仕事を網羅している。ランドの著作から引用されたテキストとともに構成され、理論と実践の両面からデザイン観を伝えている。
アイデア typography-ex. pt.01
デザイン誌『アイデア』No.274として刊行された「タイポグラフィ-ex」特集の第1弾を、新装版としてまとめたスペシャルエディション。ダダやバウハウスに源流を持つ前衛的なデザインから、マックス・フーバー、ミルトン・グレイサー、仲條正義らが手がけたタイポグラフィ主体のグラフィックワークまで、多彩な資料を収録。20世紀初頭の未来派から1980〜90年代のデジタル・タイポグラフィ黎明期までを取り上げ、その発展の道筋を立体的にたどっている。タイポグラフィ史の流れを視覚的に学べる一冊。
Things as They Are: Photojournalism in Context Since 1955 | Mary Panzer ほか
1955年から現在までの報道写真の歴史をたどる資料集。『LIFE』『TIME』『Stern』『Paris Match』など世界の主要誌に掲載された120本のフォトエッセイを、当時の紙面レイアウトそのままに再録している。紛争、社会運動、災害、スポーツといった歴史の瞬間が、400ページ超の図版とともに体系的に紹介され、写真表現・メディア技術・視覚文化の変遷を読み解く。
Estudio Elemental Del Levante | リカルド・カセス
スペインの写真家リカルド・カセスによる実験的な作品集。各ページでは写真の一部が切り抜かれ、その隙間から別のイメージが立ち現れる仕掛けが施されている。ページをめくるごとに重なり合う像は、単一の視覚体験を超えて複雑なリズムを生み出し、表紙に象徴される錯乱した楽譜のような混沌の構造をあらわにする。写真表現と製本技法の交差から、新たな知覚の可能性を探る一冊。
部屋のみる夢 ボナールからティルマンス、現代の作家まで
2023年にポーラ美術館で開催された展示の公式カタログ。19世紀から現代まで「部屋」を主題にした表現に焦点を当て、ハマスホイ、ボナール、マティス、草間彌生、ティルマンスほかの作品を収録。パンデミック以降の生活で改めて意識された室内空間を、絵画・写真・インスタレーションなど多彩な表現から読み解く構成。歴史的名作と現代作家の新作が響き合う一冊。
ヨーロッパの出版文化史 | 戸叶勝也
戸叶勝也による『ヨーロッパの出版文化史』は、中世の写本文化からヨハネス・グーテンベルクの活版印刷発明に至るまでの流れをたどり、出版文化の発展を多角的に描き出す。全6章で構成され、グーテンベルクの生涯を軸に、印刷技術がヨーロッパ諸国へどのように伝播したかを丁寧に解説している。さらに、宗教改革や信仰と結びついた印刷物の普及、知の共有と拡散に果たした役割についても言及。
真鍋博回顧展 イマジネーションの散歩道
2001年に愛媛県美術館で開催された回顧展の公式図録。SF的な空想世界から身近な風景まで、独自の視点で描き出したイラストレーター・真鍋博の多彩な創作活動を総覧する。絵画、イラストレーション、立体、映像など4つの媒体ごとに紹介。ユーモラスで詩的な発想に満ちた作品の数々を豊富な図版と解説とともに収録し、その独創的な世界観と多彩な表現力を味わえる一冊。
【新刊書籍】言葉が立ち上がるまえに | 小林一毅
グラフィックデザイナー・小林一毅が、日常で目に留まった「形」をポストカードサイズに描き続けた591点をまとめた作品集。子どもと過ごす時間から生まれた「言葉になる前の感覚」への関心を手がかりに、視界に現れた瞬間の印象を手でなぞるように描きとめた線は、それぞれの形が持つ微細な揺らぎや質感を伝え、私たちが無意識に行っている“見る”という行為の奥にある感覚を静かに照らし出す。原寸に近いレイアウトで並ぶ形の連なりから、無意識の“見る”という行為に潜む感覚の揺らぎがそっと浮かび上がる。
【新刊書籍・先行販売】 小さなウインドウで見る | 小林一毅
グラフィックデザイナー、小林一毅の作品集。グラフィックデザイナー小林一毅が、日常の風景を「等幅の線」で描き続けた453枚のドローイングをまとめた作品集。紙芝居に触れたことをきっかけに始まった“線の採集”は、自身の子どもと過ごすなかで育まれたもの。何気ない景色の中から形の関係性を見つけ、夢中で描き続けた時間が静かに刻まれている。制作が自然に終わっていく過程も含め、日常から生まれる小さな発見のよろこびを伝えている。
Peter Saville Estate 1-127
ジョイ・ディビジョン『Unknown Pleasures』やニュー・オーダー「Blue Monday」など、音楽史に残るアートワークで知られるグラフィックデザイナー、ピーター・サヴィルの作品集。ポスター、レコードジャケット、写真作品、立体造形、ラベルの試作まで、多岐にわたる活動をアーカイブとして収録している。ファクトリー・レコードの共同創設者として築いた独自のヴィジュアル言語を軸に、ファッション、建築、インテリアなどの仕事も紹介。