屋根 | 伊藤ていじ、高井潔
写真家・高井潔と建築史家・伊藤ていじによる建築写真資料集。合掌造りの集落をはじめ、出雲大社や西本願寺など、日本各地の屋根を対象に、その形態や構造、地域性、歴史的背景を豊富な写真とともに紹介。勾配や素材の違いが多様な意匠を生み出し、雨や風を防ぐ実用と、信仰や共同体を象徴する意味を兼ね備えている。屋根という切り口から日本建築の美しさと文化の奥深さを照らし出している。
蔵 | 高井潔
写真家・高井潔による建築写真資料集。日本各地に残る蔵を題材に、喫茶店として再生された質蔵、煉瓦造りの繭蔵、極彩色の鏝絵蔵などを豊富な図版と解説で紹介している。地域や時代によって異なる素材や用途が生み出す多様な形態は、町並みの景観を形づくる重要な要素となっている。防火や保管といった実用性を超え、暮らしや文化に根付いた建築としての蔵の姿を浮かび上がらせる構成。伝統建築の機能と美意識を結びつける視座を示している。
倉俣史朗読本
インテリアデザイナー・倉俣史朗の姿を多角的に描き出す読本。2011年に21_21 DESIGN SIGHTで開催された「倉俣史朗とエットレ・ソットサス」展の関連プログラムから、倉俣について語られたレクチャーやトークを再編集した内容である。磯崎新、三宅一生、横尾忠則ら、時代をともにしたクリエイターによる証言や対談を収録。作品やデザイン哲学だけでなく、交流や人柄に触れる言葉も交錯する。日本のデザイン史を支えた倉俣の存在と、その影響力の広がりを浮かび上がらせている。
Claesson Koivisto Rune
1993年にストックホルムで設立された建築・デザイン事務所、クラーソン・コイヴィスト・ルーネの初期活動をまとめた作品集。1994年から2001年にかけて手がけた建築や家具デザインを中心に収録している。Wabi HouseやSony Music本社、No Picnicなど、住宅からオフィス、インテリアまで幅広いプロジェクト。北欧のシンプルな美学と国際的なデザイン潮流が交差する造形。カラー・モノクロの図版に加え、各作品の背景や思想を解説し、事務所の軌跡を提示している。
Brutal London | Simon Phipps
戦後のモダニズム建築をテーマに活動する写真家、サイモン・フィップスによる写真集。ロンドンに点在するブルータリズム建築を取り上げ、コンクリートの素材感や構造の力強さを鮮明に写し出している。トレリック・タワーやアレクサンドラ・ロード・エステートといった著名な建築から、市営住宅や公共施設までを幅広く収録。モノクロームの写真は、機能主義と美学が交錯する建築の本質を浮き彫りにし、時代の社会的背景を映し出している。建築写真としてだけでなく、都市の記憶をたどる資料としても価値を持つ一冊となっている。
Etnomanie | Ellie Uyttenbroek
オランダのアーティスト、エリー・イッテンブロークによる写真集。19世紀後半から20世紀にかけて撮影された世界各地の人々のポートレイトを収集し、人類学的視点とファッション史の観点を交差させながら構成している。植民地主義の影響が色濃く反映された当時のイメージを再検討するとともに、衣服や装いの越境性に光を当てる試み。人物写真の一部には色が加えられ、白黒写真にとどまらない新たな解釈を与えている。
Lloyd Loom: Woven Fiber Furniture
紙とワイヤーを組み合わせた独自の製法で知られる家具ブランド、ロイドルームの歴史を紹介する資料集。20世紀初頭の誕生以来、100年以上にわたって家庭用家具から商業空間まで幅広く愛用されてきた椅子やテーブルの数々を、豊富なカラー・モノクロ図版で収録している。軽量で堅牢、かつ柔らかな質感を兼ね備えた素材の魅力。英国を中心に世界各地へ広がった普及の歩みと、デザインの変遷をたどることができる。工芸と産業の間に位置する家具史の一端を明らかにしている。
志村ふくみの紬織り 初期から現在まで
2004年に滋賀県立近代美術館で開催された展覧会の図録。紬織の重要無形文化財保持者である染織家・志村ふくみが手がけた作品を、初期から開催当時の新作まで約100点収録している。植物染料による豊かな色彩と、伝統的な織り文様が交錯する着物の数々。色と糸が織りなす調和、布地に刻まれた時間の層。志村ふくみが自然との対話を重ねて生み出した染織表現の軌跡をたどる内容となっている。
INAX Booklet 竹と建築
INAXギャラリーで開催された展覧会にあわせて刊行されたブックレット。竹と建築の関係に焦点を当て、箱木家住宅や桂離宮月波楼、有楽園如庵などを取り上げている。日本建築における竹の用いられ方や文化的背景を、カラー・モノクロの図版と解説で紹介。素材としてのしなやかさや強度、細工の精緻さ。装飾や構造を支える要素であると同時に、精神性を象徴する存在でもある。竹を通して見えてくる日本建築の美意識と思想を浮かび上がらせている。
INAX Booklet テレビ We are TV's Children
INAXギャラリー名古屋で開催された展覧会にあわせて刊行されたブックレット。戦後に普及し、暮らしの中で日常的な存在となったテレビのデザイン変遷を1927年から1988年までたどっている。家具調テレビをはじめ、各国で生み出された多様なデザインや機能を紹介。画面を通じて届けられる映像は、娯楽であると同時に社会を映す鏡。収録された対談記事では、当時のテレビ文化を振り返りつつ、その未来像についても語られている。メディアと生活の関係を探る視点となっている。
INAX Booklet ボール 球体的快楽
INAXギャラリー名古屋で開催された展覧会にあわせて刊行されたブックレット。テニスや卓球、サッカー、バスケットボール、野球など、多彩なスポーツや球戯に用いられるボールに焦点を当てている。世界各地から集められた約60種をほぼ原寸大で掲載し、その形態と存在感を伝える構成。素材や技術、製法の違いが生み出す多様な表情。遊戯具であると同時に文化の象徴でもあるボールを通じて、人類学的な視点からその普遍性と魅力を提示している。
INAX Booklet 携帯の形態 旅するかたち
INAXギャラリーで開催された展覧会にあわせて刊行されたブックレット。弁当箱や化粧箱、旅行鞄、救急箱、道具箱など、日本と世界の多様な携帯用具に焦点を当てている。江戸時代の旅道具から西部開拓時代の鞄に至るまで、移動の必需品として発展してきた道具の数々。持ち運びの利便性を高める工夫、用途に応じた造形や素材の選択。生活と移動の関係性を示し、日常と旅の交差点をかたちづくってきた歴史を探る視点となっている。
INAX Booklet ゲームのデザイン 盤上の魔力
INAXギャラリーで開催された展覧会にあわせて刊行されたブックレット。将棋や碁、チェス、モノポリー、盤双六など、時代や地域を超えて人々を魅了してきた盤上遊戯のデザインに焦点を当てている。同じルールの遊びであっても、国や文化ごとに異なる意匠や造形が施され、多様な美を生み出す盤面。装飾性と機能性を兼ね備えた造形は、娯楽を超えて文化史的な意味を持つものとなっている。遊戯具の造形美と人間の創意工夫の関係を照らし出している。
Comme des Garcons 1981-1986
川久保玲が設立したコム・デ・ギャルソンの初期活動を記録する写真集。1981年にパリ・コレクションへ初参加した際の衝撃から、1986年までの歩みを収録している。ピーター・リンドバーグ、スティーヴン・マイゼル、アーサー・エルゴート、ブルース・ウェーバー、パオロ・ロベルシら国際的に活躍する写真家が参加し、モードの新しい美意識を視覚化。従来の華やかさや装飾性に対して、未踏の表現を提示した姿勢は、1980年代のモード史における決定的な転換点を照らし出している。
川久保玲とコムデギャルソン その創造と精神
ファッションブランド「コム・デ・ギャルソン」を創設した日本のデザイナー、川久保玲を紹介する一冊。衣服にとどまらず、家具やグラフィックデザイン、空間演出にまで広がるブランドの独自のヴィジョンを、多数の写真資料とともに解説している。著者ディヤン・スジックの詳細なテキストにより、既存の価値観を刷新し続けてきた川久保玲の創造と精神を多角的に読み解く構成。ファッションを超えた総合的表現としてのコム・デ・ギャルソンの世界を提示している。
Rei Kawakubo and Comme des Garcons
日本のファッションデザイナー川久保玲と、彼女が創設したブランド「コム・デ・ギャルソン」を紹介する一冊。衣服の領域にとどまらず、家具、グラフィックデザイン、空間演出へと広がるブランドの独自のヴィジョンを豊富な写真資料とテキストで解説している。常に革新を志向し、既存の美意識を更新し続けてきた川久保の姿勢を浮き彫りにする構成。ファッションを超えた総合的な表現としてのコム・デ・ギャルソンの世界を提示している。
Comme des Garcons Six no.1
1988年から1991年にかけてコム・デ・ギャルソンが関係者向けに制作したビジュアルブック『Six』創刊号。川久保玲のファッション哲学を、さまざまなアーティストの作品を通して視覚的に提示している。特集ではアンドレ・ケルテスやアイリーン・グレイの作品に加え、コム・デ・ギャルソンのルックや山本耀司へのインタビューを収録。アートとファッションが交錯する時代を伝える貴重な誌面構成。アートディレクションは井上嗣也が手がけている。
Comme des Garcons Six no.2
1988年から1991年にかけてコム・デ・ギャルソンが関係者向けに制作したビジュアルブック『Six』第2号。川久保玲のファッション哲学を、さまざまなアーティストの作品を通して視覚的に提示している。「Parallels」をテーマに、写真やコラージュを収録し、特集ではギルバート&ジョージによる作品やコム・デ・ギャルソンのルックを掲載。アートとファッションが交錯する時代の記録として貴重な誌面構成。アートディレクションは井上嗣也が手がけている。
Comme des Garcons Six no.4
1988年から1991年にかけてコム・デ・ギャルソンが関係者向けに制作したビジュアルブック『Six』第4号。川久保玲のファッション哲学を、さまざまなアーティストの作品を通じて視覚的に提示している。特集ではロバート・フランク、アーサー・エルゴート、ジョセフ・クーデルカ、ソール・ライターといった著名写真家による、1947年から1989年までのファッションをめぐる作品を紹介。アートとファッションが交錯する時代を記録した貴重な誌面構成。アートディレクションは井上嗣也が手がけている。
Comme des Garcons Six no.5
1988年から1991年にかけてコム・デ・ギャルソンが関係者向けに制作したビジュアルブック『Six』第5号の3冊揃い。川久保玲のファッション哲学を、さまざまなアーティストの作品を通じて視覚的に提示している。特集では映画監督ティモシー・グリーンフィールド=サンダース、写真家ブライアン・グリフィン、ピーター・リンドバーグらによるルックを収録。別冊にはエンツォ・クッキの作品を井上嗣也が再構築したビジュアル集や、リーン・ヴォートランの作品をもとにしたコラージュを掲載。アートディレクションは井上嗣也が手がけている。
Comme des Garcons Six no.7
1988年から1991年にかけてコム・デ・ギャルソンが関係者向けに制作したビジュアルブック『Six』第7号。川久保玲のファッション哲学を、さまざまなアーティストの作品を通して視覚的に提示している。クリスティアン・モーザー、マダム・イヴォンド、ブライアン・グリフィンらによる写真やアートを収録し、ファッションフォトと美術表現が交錯する誌面構成。アートディレクションは井上嗣也が手がけ、80年代末から90年代初頭の文化的潮流を映し出している。
Eiko by Eiko: Japan’s Ultimate Designer
世界的に活躍したデザイナー石岡瑛子の活動をまとめた作品集。パルコの広告やマイルス・デイビス『TUTU』のジャケットデザイン、北京オリンピックの衣装、さらに数々の映画作品の衣装デザインまで幅広く収録している。衣装とグラフィックの双方にわたる代表作を豊富な図版で紹介し、黒澤明、イサム・ノグチ、三宅一生、松岡正剛、坂本龍一、田中一光、糸井重里、角川春樹らによる寄稿を併載。創作を取り巻く時代の広がりを照らし出している。
Waterlife | Rambharos Jha
南インドの小出版社タラブックスから刊行された絵本。インド東部ビハール州に伝わるミティラーアートの技法を用い、ワニや水鳥、魚、タコといった水辺の生き物を鮮やかな色彩で緻密に描き出している。手漉きの紙にシルクスクリーンで一枚ずつ刷られ、職人の手によって仕上げられた工芸的な装丁も特徴。地域の伝統美術と現代的なブックデザインが融合し、絵本のかたちを通じて民俗文化の息づかいを提示している。
Le Forchette di Munari
アート、デザイン、絵本など多方面で活動したブルーノ・ムナーリによるフォークの絵本。1958年に刊行された作品の復刻版である。フォークが手のように変形し、多彩なジェスチャーやハンドサインを繰り広げる様子がユーモラスに描かれている。日用品を遊び心あふれる発想で再解釈し、造形的な実験へと昇華させた構成。シンプルな題材を通じて、ムナーリが探求した日常と創造の関係を映し出している。
江口寿史の世界 2冊セット
漫画家でありイラストレーターとしても活躍する江口寿史によるイラスト作品集2冊セット。1980年代篇では、漫画の表紙絵や挿絵、装丁画を中心に、イラストレーションを意識的に追求し始めた時期の作品を収録。1990年代篇では、広告やポスター、キャラクターデザイン、CDジャケットなど幅広い媒体で展開されたイラストを紹介している。それぞれに本人によるエッセイが添えられ、作品と同時代の背景を重ね合わせながら、江口寿史の創作の変遷を明らかにしている。
Intanto... Il Libro Piu Corto Del Mondo | Paul Cox
画家ポール・コックスによる文字のない絵本。アートや絵本、デザインの分野で幅広く活動する作家が手がけ、一瞬のあいだに世界各地で同時に起きている出来事を描いている。ストーリーテリングの統一性を意図的に排し、断片的に積み重なるイメージから読み手の想像力を喚起する構成。絵の流れを追うことで、偶然と必然が交差する世界の多様性を感じ取ることができる。
Alexey Brodovitch ハードカバー版
ハーパース・バザー誌のアートディレクターとして、後世のファッション写真やエディトリアルデザインに大きな影響を与えたアレクセイ・ブロドヴィッチの仕事を網羅するハードカバー版作品集。代表作「Ballet」「Day of Paris」「Saloon Society」をはじめ、初期の希少なブックカバーやポスター、ハーパース・バザーのカバーなど300点以上を収録。さらに詳細なバイオグラフィーや作品解説も付され、20世紀視覚文化に刻まれたブロドヴィッチの業績を総合的に示している。
The Glove: More than Fashion
ドイツの革博物館で開催された展覧会にあわせて刊行された一冊。イヌイットのミトンからボクシンググローブ、さらには教皇の装飾的な手袋まで、多様な「グローブ」のかたちを紹介している。実用品としての防寒や保護の機能にとどまらず、決闘に用いられる象徴的な道具や、愛の証としての意味を担った歴史的背景にも光を当てる内容。文化や宗教、スポーツの領域を横断しながら、人類とグローブの関わりを多角的に浮かび上がらせている。
山名文夫のグラフィックデザイン 装丁・広告・プライベートな挨拶状まで
資生堂のデザインで広く知られるグラフィックデザイナー・山名文夫の仕事を紹介する作品集。パンフレットや装幀、挿画、広告に加え、個人的に制作された年賀状や礼状なども収録している。女性像を繊細かつ華麗に描き出す作風は、昭和期の日本におけるモダンデザインの象徴ともいえる存在。商業デザインとプライベートワークの双方を通じて築かれた活動を幅広くたどる構成。序文は水野卓史が寄せており、作家の魅力を多角的に照らし出している。
杉浦非水の眼と手 〈写生〉のイマジネーション
2009年に宇都宮美術館で開催された展覧会「〈写生〉のイマジネーション 杉浦非水の眼と手」の公式図録。図案家として活躍した杉浦非水の創作の根幹にある写生精神に焦点を当て、代表作に加え、工芸品や海外のポスターなどインスピレーションの源となった資料も紹介している。観察と描写を通じて培われたデザイン意識がどのように形成され、展開していったのかを探る構成。近代日本デザインの基盤を築いた杉浦非水の視点を浮かび上がらせている。
Dieter Roth: Balle Balle Knalle
スイスを拠点に活動したグラフィックデザイナーでありアーティスト、ディーター・ロスの仕事を紹介する作品集。シュトゥットガルト美術館での展覧会にあわせて刊行されたもの。テキストとイメージが密接に結びついた表現に焦点を当て、文学的な活動と美術的な実践がどのように相互作用していたかを示す構成。言葉と造形の往還から生み出される独自の創作過程をたどり、作家の多面的な活動の本質を浮かび上がらせている。
Skin | 高木由利子、ひびのこづえ
写真家・高木由利子が、コスチュームアーティストひびのこづえの作品を世界各地で撮影した写真集。ケニア、トルコ、インド、タイで現地の人々に衣装を纏わせ、その姿をモノクロームで記録している。CMや舞台のために一度だけ制作された衣装が、伝統とともに暮らす人々の生活と交差し、異なる文脈の中で新たな意味を帯びる構成。写真とコスチュームの出会いを通して、文化の境界を越える表現を映し出している。
生誕100周年記念 ブルーノ・ムナーリ展 あの手この手
美術家、デザイナー、絵本作家として幅広く活動したブルーノ・ムナーリの生誕100周年を記念して開催された展覧会の公式図録。代表作「ナンセンスの機械」や「読めない本」をはじめ、ペインティングや紙による立体造形など、多彩な表現をカラー図版で収録している。遊び心に満ちた発想と探究心が貫かれた作品群を総合的にたどる構成。芸術、デザイン、教育を横断するムナーリの創造の広がりを映し出している。
ブルーノ・ムナーリ回顧展
2018年に開催された日本最大規模の回顧展「ブルーノ・ムナーリ」展の公式図録。グラフィックデザイン、モビール、絵本など幅広い領域にわたる活動を豊富な図版で紹介している。造形と言語、遊びと教育を自在に横断しながら創作を展開したムナーリの姿勢に光を当て、彼が子どもたちにも伝えようとした造形の言葉を再検証する内容。芸術と教育、日常を結びつけた多面的な実践を通じて、ムナーリの創造の核心を浮かび上がらせている。
Visuelle Kommunikation: Ein Design-Handbuch | Anton Stankowski、Karl Duschek
ドイツのグラフィックデザイナー、アントン・スタンコウスキーとカール・ドゥーシェクによるデザイン資料集。フォントとタイポグラフィ、色彩と造形、イラストレーションなどのテーマごとに章を設け、図版と解説を組み合わせて構成している。理論と実践を往還しながら、視覚表現の基本原理を体系的に整理した内容。序文を寄せるのはオトル・アイヒャーであり、戦後ドイツのデザイン教育や実務の流れを理解する上でも重要な手がかりを提示している。
Photo-Montage in Print | Jindrich Toman
1910年代から1940年代にかけてのチェコスロバキアにおけるフォトモンタージュを紹介するビジュアル資料集。カレル・テイジ、ジンドリヒ・スティルスキー、トーイェン、ラディスラフ・スットナー、フランチシェク・ムジカら、チェコ・アバンギャルドを代表する作家たちの作品を収録している。書籍のカバーや雑誌の挿絵を通じてフォトモンタージュが広く普及していった過程を示す構成。戦間期の芸術と出版文化の結びつきを浮かび上がらせている。
Sleepwalk | Adrian Tomine
アメリカン・グラフィックノベル作家エイドリアン・トミネによる短編集。全16編を収録し、表面的には平穏に見える人々の生活の裏側に潜む不安や孤独を描いている。言葉を抑えた語り口と簡潔な線描によって、日常に潜む違和感や疎外感を静かに表現する構成。雑誌『ニューヨーカー』や『ローリング・ストーン』で知られるトミネが、都市に生きる個人の心理に焦点を当て、現代社会の感情の陰影を浮かび上がらせている。
HEADS | Yuichiro Okamura
1920年代から1980年代にかけてのヘアカルチャーを扱った一冊。フランス、イギリス、アメリカを中心に、ファッションや音楽の流行とともに変化していく髪型のスタイルを紹介している。オードリー・ヘップバーンやブリジット・バルドー、カート・コバーンといった象徴的な人物の写真を収録し、文化的背景とあわせて解説。ヘアスタイルを通じて社会や時代の空気をとらえ、流行と自己表現の関係を浮かび上がらせている。
A die with Twenty-Six Faces | Louis Luthi
オランダを拠点に活動するデザイナー、ルイス・リュティによるアートブック。アンディ・ウォーホル、ルイス・ズコフスキー、ジョン・ケージらの作品からアルファベットのレタリングを引用し、実在と虚構を織り交ぜながら構成されている。著名作家から無名のものまで幅広い出典を扱い、文字そのものの形態や意味を再編成する試み。レタリングを通じて視覚芸術と文学、音楽の領域を横断し、アルファベットの魅力を多角的に映し出している。
Jan Tschichold and the New Typography
現代グラフィックデザイン史における重要人物ヤン・チヒョルトを紹介するビジュアル資料集。本人が収集した豊富なデザイン資料を掲載し、影響を受けたアーティストやアイデア、バウハウスのテキストなどを通じて活動の背景を示している。1920年代の「新しいタイポグラフィ」を提唱した革新的な実践から、後年のクラシカルな書体・組版への回帰に至るまでを視覚的にたどる構成。20世紀デザイン史におけるチヒョルトの位置づけを明らかにしている。
ムサビのデザイン コレクションと教育でたどるデザイン史
2011年に武蔵野美術大学で開催された展覧会の公式図録。半世紀にわたり収集されたモダンデザインのコレクションを通して、教育とデザイン史の関わりを紹介している。稀覯本やポスターといったグラフィック作品から、名作椅子をはじめとするプロダクトデザインまで幅広く収録。大学が蓄積してきた資料を軸に、デザイン教育の歩みとその成果を体系的にたどる構成。収集と教育を結びつけながら、日本におけるデザイン史の展開を提示している。
Get Impressed!: The Revival of Letterpress and Handmade Type | Shaoqiang Wang
現代における活版印刷の復興を紹介するビジュアルブック。世界各地のデザイナーやアーティスト、活字鋳造所を取り上げ、作品図版に加えて経歴やインタビューを収録している。さらに活版印刷の歴史や制作工程を概説し、古典的な活字をスタイル別に整理したリストも掲載。伝統的な印刷技術が手仕事の魅力とともに現代的に再評価される姿を伝え、タイポグラフィの可能性を多角的に提示している。
20世紀エディトリアル・オデッセイ 時代を作った雑誌たち | 赤田祐一、ばるぼら
赤田祐一とばるぼらによる、20世紀の雑誌文化を総覧する百科事典的な一冊。「ホール・アース・カタログ」「ガロ」「HEAVEN」など伝説的な雑誌をはじめ、カルチャー誌やタウン誌、マンガ雑誌にいたるまで幅広く取り上げている。廃刊となった雑誌のエピソードや編集者たちの証言を交え、雑誌がいかに時代を映し出し、読者に影響を与えてきたかをたどる構成。1970年代の同人誌ブームにも光を当て、日本における雑誌文化の豊かさを明らかにしている。
ある編集者のユートピア 小野二郎:ウィリアム・モリス、晶文社、高山建築学校
2019年に世田谷美術館で開催された展覧会の公式図録。19世紀後半のイギリスで活動したウィリアム・モリスの思想や実践を、日本に紹介し広めた編集者小野二郎の活動に焦点を当てている。晶文社での出版活動や高山建築学校との関わりを通じて展開されたユートピア的な理想を、多彩な資料とともに紹介する構成。モリスの芸術思想を現代日本に引き寄せた翻案の歩みをたどり、編集と社会活動の交差を明らかにしている。