アイデア No.179 1982ロサンゼルスADC展
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.179(1983年7月号)。特集「1982ロサンゼルス・アートディレクターズ・クラブ展」では、第36回展におけるデザイン部門と広告部門の受賞作をカラーとモノクロで紹介し、アメリカ西海岸のデザイン動向を総覧する。特集2「ニューヨークのデザイナー、マーチン・ペダーソン」、特集3「グラフィック・デザイン ’83卒業制作誌上展」なども併載し、国際的なデザイン潮流と日本の若手表現の双方を視野に収めている。
アイデア No.178 ジェイムス・マクマラン芸術の解明をする"リビーリング・イラストレーション"展
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.178(1983年5月号)。巻頭特集は「ジェイムス・マクマラン芸術の解明をする“リビーリング・イラストレーション”展」。ニューヨーク誌をはじめとする雑誌の表紙イラストやポスターなど、アメリカを代表するイラストレーター、マクマランがこれまで手がけてきた作品の数々を制作の過程とともに収録。そのほか「カナダのポスター」「1982年度アートディレクターズ・クラブ“名誉の殿堂”賞」「第4回放送デザイナーズ協会年次展」といった記事も収録。
Mapplethorpe: The Complete Flowers
ポートレートやヌード、静物を通じて、美と欲望、秩序と官能の境界を探求したアメリカの写真家、ロバート・メイプルソープによる「花」を主題とした作品集。1980年代初頭から亡くなる直前までの間に撮影されたシリーズを網羅的に収録している。カラーとモノクロームによって描き出される花々は、細部にまで張りつめた緊張感と構成の完璧さを湛え、彫刻的な美を放つ。メイプルソープの美学と形式への探究心を象徴する一冊。
Escape | Danila Tkachenko
ロシア出身の写真家、ダニラ・トカチェンコによる作品集。社会との関わりを断ち、深い森や雪原の中で独り生きることを選んだ人々を記録している。木や岩、枝で作られた小屋、動物の皮、木彫りの装飾など、自然とともに生きるための工夫や痕跡を静謐な視線で捉える。都市や制度に依存する現代社会に対し、「生きること」と「自由であること」の本質を静かに問い直している。
The Little Black Jacket: Chanel’s Classic Revisited | Karl Lagerfeld
シャネルのアートディレクターにして写真家でもあるカール・ラガーフェルドの写真集。ミラ・ジョヴォヴィッチ、サラ・ジェシカ・パーカー、オノ・ヨーコなどのアーティストたちが、シャネルのリトル・ブラック・ジャケットをそれぞれに着こなしたファッションポートレートをモノクロで多数掲載。日本からは椎名林檎、蒼井優、菊地凛子らが参加。
Vincenzo Castella: Photo Works
イタリアの写真家ヴィンチェンツォ・カステッラによる作品集。1970年代から2000年代にかけて撮影された145点の写真を収録。テネシーやミシシッピ、ブラジル、オーストリア、ミラノなど、さまざまな土地の風景を通して、自然から都市、そして工業地帯へと移り変わる社会の姿を捉えている。時代とともに変化する人間と環境の関係を静かなまなざしで映し出している。
Wayne Thiebaud: Sketchbook
ケーキやパイ、アイスクリームといった日常的なモチーフを明快な色彩と構成で描き、ポップアート以降の絵画表現に独自の位置を築いたアメリカの画家、ウェイン・ティーボー作品集。彼のスケッチやドローイングをまとめた作品集で、人物、都市の風景、デザートなど、代表的な主題を軽やかな筆致で描いている。ティーボーの創作のプロセスや造形感覚の源泉をたどることができる一冊となっている。
文字をめぐる愛とよろこび | ベン・シャーン
20世紀アメリカを代表する画家ベン・シャーンによる、文字への愛着をテーマとした作品集の日本語版。自らの体験や思想を綴った自叙的テキストに加え、豊富なレタリングやドローイング作品を収録している。絵画やグラフィックを横断した活動で知られるシャーンが、文字を媒介に芸術と生活を結びつけた姿勢を示しており、作家の人間的な側面や創作の根底にある思想を読み取ることができる一冊となっている。
Ben Shahn Paintings 1972
アメリカを代表する画家・社会派芸術家、ベン・シャーンの大判作品集。テンペラ画、ドローイング、ポスター、カリグラフィー、壁画など、多様な技法による345点の作品を収録している。社会的不公正や人間の尊厳を主題としながらも、詩的で親密な表現を特徴とするシャーンの創作を包括的に紹介。編集と解説は妻であり芸術家のベルナルダ・ブライソン・シャーンが手がけている。
Haggadah for Passover | Ben Shahn
20世紀アメリカを代表する画家・ベン・シャーンによる『ハガダー』の挿絵作品集。中世ヘブライ語写本の彩色に着想を得て、1930年頃に6か月をかけて12点中11点を制作し、その後中断を経て最終作を完成させた。全12ページのイラストに加え、口絵やタイトルページも自身の手によるデザインで構成されている。当時「アメリカの芸術家が手がけた最も美しい本」と称され、シャーンの代表作のひとつとして高く評価された。宗教的伝統とモダンアートの融合を示している。
Neither Here Nor There: The Art of Oliver Jeffers | Oliver Jeffers
アーティスト、イラストレーター、絵本作家として活躍するオリバー・ジェファーズによる作品集。これまであまり公開されてこなかったイラストレーション、絵画、写真、コラージュなど、多岐にわたる創作活動を包括的に紹介している。ユーモアと詩情を併せもち、軽やかな筆致の中に深い物語性を秘めた作品の数々を収録。豊富なカラー図版と解説を通して、ジェファーズの創造の源泉を探る視点を提示している。
Vogels Huilen Niet: Klein Vogelleed in de Grote Stad | Anjes Gesink
写真家アンイェス・ヘシンクによる、都市に生きる鳥たちを捉えた写真集。カラス、ハト、フクロウ、タカなど、大都市の中で保護された鳥類を撮影対象とし、都市環境が彼らにとってどのような生息空間となっているのかを見つめ直す視点を提示している。タイトル『Vogels Huilen Niet(鳥は泣かない)』が示すように、人間社会のなかで声なき存在として共存する鳥たちの姿を通じて、都市と自然の関係に静かに問いを投げかける内容となっている。オランダ語表記。
小村雪岱とその時代 粋でモダンで繊細で
2009年に開催された企画展「小村雪岱とその時代 粋でモダンで繊細で」の公式図録。大正後期から昭和戦前期にかけて、装幀や挿絵、舞台美術など多岐にわたる分野で活躍した小村雪岱の仕事を紹介している。独自の洗練された線描と装飾性を備えた版画作品やブックデザインを中心に、多数のカラー図版を収録。江戸情緒とモダニズムが交錯する雪岱の美の世界を浮かび上がらせている。
On the Necessity of Gardening: An ABC of Art, Botany and Cultivation
オランダ・ユトレヒトで開催された展覧会にあわせて刊行されたビジュアルブック。庭という存在を文化的・哲学的・社会的なメタファーとして捉え、その意義と変遷を多角的に探る。ボタノマニア(植物愛好)、キャピタロセン(資本世紀)、ゲリラ・ガーデニング、クィア・エコロジー、禅の庭など多様な視点から、芸術と自然、人間と環境の関係性を再考する。図版とエッセイを通じて、庭の思想的豊かさを提示している。
Mothering Myths: An ABC of Art, Birth and Care
「母性」をめぐる固定観念をアートの視点から問い直し、再構築するヴィジュアルブック。〈アーティストである母〉〈子を持たない選択〉〈非女性的な母性〉〈冷たい母〉といった多様なテーマを通して、創造性とケア、身体と政治、生殖と選択の関係を横断的に探る。アートと社会の接点から、母という存在をめぐる神話を更新し、新たな想像力の地平を提示している。
Richard Deacon: Phaidon Contemporary Artist Series
イギリスを代表する彫刻家、リチャード・ディーコンの創作を包括的に紹介する作品集。代表作に加え、初期のパフォーマンス、ドローイング、舞台美術など多様な活動を収録している。木材や金属といった異素材を自在に組み合わせ、構造的でありながらも有機的なフォルムを生み出す造形表現を展開。ディーコンの思想と制作過程を通じて、彫刻における形と空間の新たな関係性を提示している。
Mexico Masks Rituals | Phyllis Galembo
ニューヨークを拠点に活動する写真家フィリス・ガレンボによる、メキシコの仮面文化を記録した作品集。地域ごとに受け継がれる祭礼や儀式に焦点を当て、人々が身近な素材を用いて神話的・幻想的な存在へと変身する様子をポートレートとして撮影している。伝統衣装や手仕事による装飾、宗教的象徴を鮮やかに写し取り、個人と共同体のアイデンティティを映し出している。
マティスデッサン1936 | アンリ・マティス
20世紀を代表するフランスの画家、アンリ・マティスによるデッサン集。1936年に刊行されたオリジナル版をもとに復刻されたもので、マティス自身が企画と装幀を手がけた39点のデッサンを収録している。簡潔な線と構成によって人物や静物の本質をとらえるマティスの造形感覚を明らかにし、クリスティアン・ゼルヴォスによる解説と、トリスタン・ツァラの詩の日本語訳別冊も付属する。
Matisse Picasso
20世紀美術を代表するアンリ・マティスとパブロ・ピカソの関係性と創作上の影響を探る作品集。2002年から2003年にかけてニューヨーク近代美術館やロンドンのテート美術館などで開催された展覧会にあわせて刊行されたもの。お互いに影響を与え続けた2人の芸術家による34点の作品を比較・検証し、その造形的な共鳴を読み解く構成となっている。6人のキュレーターによる論考を併載し、20世紀美術における両者の創造的対話を明らかにしている。
Alan Uglow | Bob Nickas
2013年にニューヨークのデイヴィッド・ツヴィルナー・ギャラリーで開催された展覧会にあわせて刊行されたカタログ。アメリカの芸術家アラン・ユグローによる1991年から2010年までの作品を紹介。絵具を幾層にも重ねて構築された画面は、静謐でありながらも内に潜む緊張感と空虚を湛え、ミニマルな構成の中に独自の詩情を漂わせる。抽象絵画の新たな可能性を探るユグローの表現を明らかにしている。
Sister Gertrude Morgan: The Tools of Her Ministry
アフリカ系アメリカ人のアーティスト、シスター・ガートルード・モーガンの作品集。ニューオーリンズを拠点に、伝道師、音楽家、詩人としても活動したモーガンが、“神の言葉を伝える道具”として描いた絵画を中心に紹介している。20年以上にわたる創作の軌跡を、信仰と芸術が交錯する独自の表現世界として辿る。鮮やかな色彩とリズミカルな構成によって、祈りと創造の融合を見せている。
Eirini Vourloumis: In Waiting | Panos Kokkinias、James Estrin
アテネを拠点に活動するドキュメンタリー写真家エイリーニ・ヴールルーミスによる写真集。経済危機後のギリシャ社会を背景に、サンタの靴下が吊るされた外務省のカフェテリア、本が一冊も残っていない科学技術図書館、税理士の磨かれた靴など、象徴的な情景を通して人々の静かな日常を捉える。不確実な時代における文化的アイデンティティの在り方を探る視点となっている。
Nuits le Pouvoir de L’obscur | Patrick Hourcade
ファッション、写真、インスタレーション、そして『Vogue Paris』のアートディレクターとしても知られるアーティスト、パトリック・ウールカドによる作品集。夜のプール、海と空のあわいに浮かぶ廃墟、霧に包まれた海と舟など、「夜」と「闇」のもつ静かな力を探るイメージを収録している。可視と不可視の境界をたゆたうような構成は、沈黙の中に潜む詩情と感覚の深まりを映し出している。
Tiago Casanova: Pearl
ポルトガルのアーティスト、ティアゴ・カサノバによる写真作品集。「大西洋の真珠」と呼ばれるマデイラ島を舞台に、豊かな自然と人の営為による建設物、そのあいだに生じる微妙な対比と変容を見つめている。ラウリシルヴァの森をはじめとする風景や建築の断片を、カラーとモノクロの写真で静かに提示し、観光地としての表層の輝きと、その奥に潜む時間の堆積を浮かび上がらせている。
Keith Haring Editions on Paper, 1982-1990
1993年に世界各地で開催された展覧会にあわせて刊行されたカタログ。アメリカのアーティストであり、ストリートアートの先駆者として知られるキース・ヘリングが1982年から1990年にかけて制作した版画作品を網羅的に収録している。詩人ウィリアム・バロウズとの共作による〈アポカリプス〉シリーズをはじめ、象徴的なモチーフや鮮やかな色彩を特徴とする作品を多数掲載。ヘリングの版画表現における多様な実験とその到達点を明らかにしている。邦訳版の解説冊子付き。
The Code | John Gossage
アメリカの写真家、ジョン・ゴセージによる作品集。ニューヨーク州イーストハンプトンのハーパーズ・ブックスで開催された展覧会に際して刊行されたもの。東京を中心に、車のティッシュボックス、路地裏、電車の乗降口、新宿ゴールデン街など、都市の日常に潜む断片的な風景をモノクロで撮影している。無造作なようでいて、都市のリズムや時間の層を静かに映し出し、異国の視線を通じて日本の都市像を再構成している。
Bauhaus Photography
バウハウスにおける写真表現を集成・再考した資料集。教育課程や建築、プロダクトデザイン、実験的なフォトグラムなど、約500点におよぶ写真作品とともに、モホリ=ナジ・ラースローらによる重要なテキストも収録している。光と構成、運動と時間をめぐる実験を通して、写真を造形教育の中心的手段として位置づけたバウハウスの理念を明らかにする一冊。
Thomas Struth: Works 2007-2010
ドイツの写真家、トーマス・シュトゥルートによる作品集。ゲルハルト・リヒターに絵画を、ベルント・ベッヒャーに写真を学んだ彼が、2007年から2010年にかけて撮影したシリーズを収録している。物理学研究所、製薬工場、宇宙ステーション、造船所、原子力施設など、最先端の科学技術と人間の営みが交錯する場を精緻に記録。巨大なスケールと人間の存在との対比を通じて、現代文明の構造とその美学を浮かび上がらせている。
ロバート・メイプルソープ展
1992年から1993年にかけて東京都庭園美術館をはじめ全国各地で開催された展覧会の公式図録。アメリカの写真家、ロバート・メイプルソープの日本初の本格的回顧展として企画されたもので、代表的なポートレートやヌード、花や彫刻などの静物作品など、およそ170点をカラーおよびモノクロ図版で収録。形式の厳格さと官能性が共存するその作風を通じて、メイプルソープの美学と写真表現の到達点を示している。
原点復帰―横浜 | 中平卓馬
横浜美術館で開催された、戦後日本を代表する写真家・中平卓馬の個展にあわせて刊行された写真集。自己の表現と記憶をめぐり、図鑑のように透明で客観的な写真を追求した中平の創作の軌跡をたどっている。神話的存在として語られるその人生と思想に光を当てる貴重な記録であり、戦後写真史における中平の位置を再考する内容となっている。森山大道、ホンマタカシ、八角聡仁らによる論考・寄稿も収録し、多面的な視点からその表現を明らかにしている。
東京窓景 | 中野正貴
写真家・中野正貴による、木村伊兵衛写真賞受賞作。浅草のアサヒビールの金色のオブジェや歌舞伎座、屋形船からの夜景、高層ビルの窓を清掃する人々など、東京の風景を「窓」という視点から再構築している。ひとつの窓越しに切り取られた情景は、光と影、内と外のあわいを際立たせ、都市の喧騒の中に潜む静けさと詩情を浮かび上がらせる。日常を異化するまなざしが、東京という都市のもうひとつの表情を映し出している。
Max Papart | Roger Green
フランス出身の芸術家、マックス・パパートの作品集。キュビズムの構成原理を基調にしながらも、軽やかなリズムと明るい色彩、詩的なユーモアをもって独自の世界を築いたパパート。版画、コラージュ、彫刻など多様な技法による作品を、約40年にわたる活動の中からカラーおよびモノクロ図版で紹介している。幾何学的構成と自由な造形感覚が交差する、20世紀後半のモダンアートの豊かな表現を見せている。
パンドラ | 合田佐和子
画家・合田佐和子による20年にわたる創作の軌跡をまとめた作品集。ドローイング、油彩、オブジェ、写真など多彩な表現媒体を通して、幻想と現実のあわいにある独自のイメージ世界を展開している。文学や舞台芸術との親和性を感じさせる構成で、時代とともに変化しながらも一貫して内面的な詩情を湛える作品群を収録。豊富な図版とともに、合田芸術の核心に迫る総集編となっている。
マン・レイと友人たち展
1991年に全国各地で開催された展覧会「マン・レイと友人たち展」の公式図録。絵画、オブジェ、版画、写真など多彩な分野で活動し、ダダやシュルレアリスムの旗手として知られるマン・レイの創作を紹介している。彼が撮影したピカソ、エルンスト、デュシャンら同時代の芸術家たちのポートレートに加え、彼ら自身の作品も併載。マン・レイを中心に、20世紀前衛芸術の豊かな交流と創造のネットワークを浮かび上がらせている。
国境 Staatsgrenze シュターツグレンツェ 1981-1983 | 古屋誠一
写真家、古屋誠一による作品集。2014年にドイツ・ハイデルベルガー・クンストフェラインで開催された個展にあわせて刊行されたもの。1981年から1983年にかけてオーストリアの国境地帯で撮影された23点のシリーズ〈国境 1981–1983〉に、新たに6点を加えた全29点を収録。旧東側諸国に面するハンガリー、ユーゴスラヴィア、チェコスロヴァキアとの国境地帯を歩き、ベルリンや東西ドイツの分断が大きく報じられていた当時とは対照的に、穏やかでどこか
TILE | 山下ともこ
グラフィックデザイナー、山下ともこによる作品集。さまざまな模様を施した1枚のタイルを、多様な形に組み合わせて構成したオブジェ作品を収録している。幾何学的な秩序と偶然のリズムが交差する構成は、デザインとアートのあわいにある創造性を感じさせる。ミニマルな造形の中に、色彩とパターンの遊びを見せる一冊。
Iron Beauties | Michelle Keim
アメリカ・シカゴ出身の写真家、ミシェル・ケームによる作品集。製鉄所や発電所といった巨大な工業建築を夜間に撮影したシリーズを収録している。暗闇の中、照明に照らされて浮かび上がる鉄骨や配管の構造体は、機能性を超えて彫刻的な美を帯び、近代産業が生み出した力と詩情の共存を映し出している。写真を通して、普段は人目に触れない産業建築の造形的側面と、その内に潜むエネルギーの存在を静かに示している。
GENKYO 横尾忠則 I A Visual Story 原郷から幻境へ、そして現況は?
2021年に全国各地を巡回した大規模回顧展にあわせて刊行された図録。日本を代表する美術家・横尾忠則の約80年にわたる創作の軌跡をたどる一冊。劇団「状況劇場」との協働、絵画シリーズ〈Y字路〉、著名人の肖像画など、時代ごとの主要作品を豊富なカラー図版とともに紹介する。自身の芸術観や精神的原点を語るインタビュー、解説も収録し、横尾の変遷と現在地を多面的に提示している。
Ghost Photography: L’illusione del Visibile
「見えるもの」と「見えないもの」、「幽霊」や「幻影」を主題に据えた写真資料集。ポール・ヒル、ジョエル=ピーター・ウィトキン、ブライアン・グリフィンら、幻想性や超現実的イメージを探求してきた写真家たちの作品を収録している。光と影、現実と想像のはざまに生まれる「幽霊的」な瞬間を通して、写真というメディアがもつ知覚と存在の曖昧さを浮かび上がらせている。
Kippenberger
ドイツのアーティスト、マーティン・キッペンバーガーの活動を総覧するモノグラフ。1976年から1991年にかけて制作されたペインティングや立体造形を中心に構成され、ユーモアと社会批評を融合させた独自の表現世界を記録している。巻末には図版索引、年表形式の略歴、参考文献、展覧会歴を収録し、キッペンバーガーの多面的な創作活動を体系的にたどることができる内容となっている。
VALLOTTON フェリックス・ヴァロットン版画集
2010年に三菱一号館美術館で開催された展覧会にあわせて刊行された、スイス出身でパリを拠点に活動したナビ派の画家、フェリックス・ヴァロットンの版画集。1887年から1916年にかけて制作された木版画180点を収録し、代表作のほか、第一次世界大戦下に制作された連作〈これが戦争だ!〉も掲載。冷徹な観察眼と大胆な構図によって社会や人間の内面を鋭く描き出したヴァロットンの版画表現を読み解いている。
Comme un Parfum d’Aventure
2020年から2021年にかけてフランス・リヨン現代美術館で開催された展覧会の延長として刊行されたカタログ。リヨン美術館およびリヨン現代美術館のコレクションをもとに、「移動」をテーマに据えた作品群を紹介。人類の進歩やグローバル化によって流動化する世界のあり方を多角的に捉え、絵画、写真、インスタレーションなど多様な表現を通じて展覧会の構成を再現。現代社会における移動とアイデンティティの関係を提示している。
ArT RANDAM 18 Sam Doyle
京都書院が刊行し、都築響一が編集を手がけたアートブックシリーズ「ArT RANDOM」の第18巻。アメリカ・サウスカロライナ州セント・ヘレナ島出身のアーティスト、サム・ドイルの作品を収録している。地元で手に入るトタン板や木片などの廃材をキャンバスに、鮮やかな色彩で地域の人々の暮らしや信仰、コミュニティの歴史を描く。アフリカ系アメリカ人文化に根ざしたフォークアートとして再評価されるその表現を紹介している。
ArT RANDOM 73 Ian Walton, Russell Mills
京都書院が刊行し、都築響一が編集を手がけたアートブックシリーズ「ArT RANDOM」の第73巻。イギリス出身のアーティスト、イアン・ウォルトンとラッセル・ミルズの作品を収録している。花や昆虫、鳥の羽、廃材といった身近な素材を組み合わせ、風化や記憶といった時間の痕跡を視覚化。静謐でありながら幻想的な世界観を構築している。物質と感情のあわいに潜む詩的な表現を提示している。