Superquadra | Eric Van Der Weijde
アムステルダムとブラジルを拠点に活動する写真家エリック・ヴァン・デル・ヴァイデによる作品集。ブラジルの首都ブラジリアに整然と配置された大規模住宅団地「スーパークワドラ」を、モノクロームで記録している。6階建てまでに制限された建物の高さ、反復される住棟のリズム、広大な余白をともなう都市構造がもつ独特の抽象性を淡々と捉え、計画都市が孕むユートピアの理想と、その内側に漂う静けさや空虚さを浮かび上がらせる。人の姿がほとんど現れないフレーミングは、ブラジリアという都市の時間と空間のあり方を静かに問い直す視覚的記録となっている。
Covering the ’60s: George Lois, the Esquire Era
アートディレクションの歴史に残るジョージ・ロイスによる『エスクァイヤ』誌のカバーデザインを集成した作品集。公民権運動、ベトナム戦争、ポップカルチャーの拡大など、価値観が大きく揺れ動いた1960年代の社会を背景に、挑発的で象徴性の高い表紙を次々と生み出したロイスの創造力を多角的に辿る内容となっている。マリリン・モンロー、モハメド・アリ、アンディ・ウォーホルら同時代の人物を大胆に扱った構図や、視覚的インパクトと批評性を兼ね備えたイメージの組み立て方が詳らかにされ、雑誌という媒体の可能性を押し広げたデザイン思考の核が浮かび上がる。各カバーにはロイス自身の解説が添えられ、制作意図や当時の政治・文化的状況が具体的に語られ、メディア史における独自の到達点を示している。
未来に挑戦したデザイナー ハーブ・ルバーリン
大胆なタイポグラフィと鋭い造形感覚で知られるデザイナー、ハーブ・ルバーリンの多面的な仕事を総覧する作品集。『Eros』『Fact』『Avant Garde』といった誌面で展開された実験的なレタリングをはじめ、ポスター、ロゴタイプ、装丁、エディトリアルデザインまで、多岐にわたる制作を豊富な図版とともに紹介している。文字の形態そのものに表現を宿らせる独創的なアプローチや、誌面全体を構築的に捉える編集デザインの手法が丹念に示され、ルバーリンが切り拓いたモダンタイポグラフィの核心に迫る内容。巻末には貴重なインタビューも収録され、彼の思考と実践を立体的に読み解くことができる。
Without Thought vol.10 BOX | 深澤直人
プロダクトデザイナー・深澤直人によるデザインワークショップ「WITHOUT THOUGHT」第10回の成果をまとめた作品集。今回のテーマは「箱」。ものを入れる、運ぶ、守るといった機能に加え、日常に寄り添う造形としての箱の在り方を多角的に探る。分野の異なる若手デザイナーたちが参加し、素材や形状、用途の異なるプロトタイプを通して「箱」に付着する記憶や感覚を可視化。中身との関係や使い手の行為にまで踏み込んだ思考の軌跡を収録している。
Without Thought vol.11 容器
プロダクトデザイナー深澤直人が主宰するデザインワークショップ「WITHOUT THOUGHT」第11回の成果をまとめた作品集。今回のテーマは、日常に溢れる“容器”という最も身近で根源的な対象。企業デザイナーを中心とした参加者たちが、入れ物という行為の起点に立ち返り、素材の質感、容量の概念、形態の必然性、重力や手触りといった身体的スケールまで、多角的な視点からデザインを再考している。直感を重視するワークショップの精神のもと、器や箱、袋、ケース、境界をつくる仕組みなど、用途や産業を越えて多様な提案が並び、機能から意味へと拡張する“容器”の捉え方が浮かび上がる。
オラファー・エリアソン ときに川は橋となる
デンマーク出身の現代アーティスト、オラファー・エリアソンの日本で10年ぶりとなる大規模個展にあわせて刊行された公式図録。光、水、霧といった自然現象を素材に、知覚と環境の関係を問い直す体験型インスタレーションで知られるエリアソン。本書では、新作《ときに川は橋となる》をはじめ、本展のために制作された数々の新作と、代表的な光学的作品を豊富な図版とともに紹介する。展覧会キュレーター長谷川祐子による論考、哲学者ティモシー・モートンとの対話、スタジオによるサステナビリティへの提言も収録し、エリアソンの創造的思考と実践を多角的に読み解く内容となっている。
驚異の三人!! 高松次郎・若林奮・李禹煥
2020年に世田谷美術館で開催された展覧会にあわせて刊行された公式カタログ。高松次郎、若林奮、李禹煥という、日本の戦後美術を語るうえで欠かせない3名の作家が手がけた“版”の表現に焦点を当て、その創造の背景と展開を紐解く。木版・リトグラフ・シルクスクリーンなど多様な技法による作品図版を豊富に収録し、立体や絵画と往還しながら探究を深めた彼らの思考の軌跡を可視化する構成となっている。素材への感受性、反復による形態の生成、媒介としての「版」がもたらす距離感など、三者それぞれの実践を比較しながら、現代美術における版表現の新たな位置づけを提示している。
板絵の控 | 芹沢銈介
型絵染の人間国宝・芹沢銈介による蛇腹製本の習作集。花や鳥、器物、人々の営みなど、日々の身近な景色を板絵に見立てて描いたペインティングを収めており、のびやかな線と自在な構図、手描きならではの温もりがページをめくるごとに立ち上がる。染色家として培った色彩感覚が随所に息づき、素朴さと装飾性が響き合う図像は、芹沢芸術の源泉ともいえる瑞々しい創造の瞬間を伝えている。
工芸批評 | 井出幸亮、鞍田崇、沢山遼、菅野康晴、高木崇雄、広瀬一郎、三谷龍二
2019年に松屋銀座デザインギャラリーで開催された「工芸批評」展にあわせて刊行された書籍。監修者、出展作家、美術批評家による現代工芸論を収録し、それぞれの思想や視点を通して「工芸とは何か」を多角的に探っている。あわせて、各人の工芸観を反映した25の作品を解説つきで紹介。後半には、工芸に関する25冊の書評と100冊のブックリストを掲載し、批評と実践、資料性を兼ね備えた内容となっている。
Things and Seen | 若木信吾
写真家・映画監督の若木信吾による作品集。理髪店の窓、ライフル、窓際に咲く花、収穫したトウモロコシ…2002年から2019年の間に世界各地で撮影された写真を収録した一冊。800部限定刊行。見開きに署名あり。
家族 2号 | HYOTA
家族と一年誌『家族』第2号では、千葉県大多喜町で薬草園兼ボタニカルブランド「mitosaya 薬草園蒸留所」を営む江口宏志・祐布子夫妻と娘の美糸(みと)ちゃん、紗也(さや)ちゃんの一家を3年間にわたって追う。ブックショップ「ユトレヒト」や「TOKYO ART BOOK FAIR」を手がけた江口宏志が、蒸留家として新たな道を歩み始めた日々を、奥山由之と吉楽洋平の写真で四季を通じて記録。植物とともに育つ家族の暮らしと、日々の発見、挑戦の過程を丁寧に描き出す。
Mの辞典 | 望月通陽
美術家・染織家として活動する望月通陽による詩画集。「MAGICIAN(魔法使い)」「MONOLOGUE(独白)」「MOVEMENT(発芽)」など、24の“M”で始まる言葉を主題に、版画と詩的なテキストによって構成されている。紙版画の手触りと静謐な言葉が響き合い、寓話のような世界観を織り上げる一冊。宗教的象徴や日常の断片、内的な思索が交錯し、望月の造形的想像力が詩として、また絵として展開される。装丁は望月克都葉によるもの。文字とかたちが共鳴する、詩と美術のあわいに立つ作品集。
カンディンスキー展
2002年に開催された「カンディンスキー展」の公式図録。ミュンヘンとモスクワを主な舞台とした1896年から1921年までの活動期に焦点を当て、具象から抽象へと向かうカンディンスキーの表現の転換をたどる内容となっている。初期の民俗的モチーフや神秘主義的傾向を持つ作品から、色彩と形態が解き放たれる《コンポジション》へ至る過程を豊富な図版で紹介し、当時の思想的背景や芸術運動との関係性も丁寧に整理。ロシア前衛芸術や青騎士との交流を視野に入れながら、内的必然性を追求したカンディンスキーの造形理念と、その変貌の核心を読み取ることができる構成になっている。
開校100年 きたれ、バウハウス展
2019年から2020年にかけて東京ステーションギャラリー等で開催された「開校100年 きたれ、バウハウス展」の公式図録。バウハウス創立100周年を記念し、その教育体系に焦点を当てながら、20世紀を代表する造形学校の全貌を多面的に紹介している。ワシリー・カンディンスキー、パウル・クレーら名だたる教師が担った基礎課程の授業内容を起点に、学生が進んだ家具・織物・金属・舞台など各工房での実習と成果物を豊富な図版で提示。バウハウスが現代の造形教育とデザインの基層をいかに形づくったかを読み解いている。また「総合の位相」や、日本人留学生4名の活動に光を当てた章も設けられ、国際的広がりの中で育まれた創造のダイナミズムを丁寧に示している。
D&D SCAN 葛西薫の仕事と周辺
日本を代表するアートディレクター、葛西薫の仕事を体系的にまとめた作品集。「サントリー烏龍茶」「西武百貨店」などの広告をはじめ、ブックデザインや展覧会ポスターなど、多岐にわたる仕事を7章構成で紹介する。絵コンテやスケッチ、制作過程の資料を通して、葛西の思考と造形感覚を探る内容。洗練されたタイポグラフィと静かなユーモアが共存する画面に、デザインの根源を問い続ける姿勢が映し出されている。
Magnificent Obsessions: The Artist as Collector | Lydia Yee
現代アーティストたちの個人的なコレクションを通して、創作の源泉と美学的・心理的側面を探る資料集。アンディ・ウォーホル、ダミアン・ハースト、杉本博司、マーティン・パー、ソル・ルウィットらの蒐集品を紹介し、量産された日用品から希少なアートピースまで、彼らが惹かれた「モノ」とその眼差しを可視化する。作品と併せて展示されるコレクションは、それぞれの作家の思想や衝動を映し出し、創造行為と蒐集行為の密接な関係を浮かび上がらせている。
Virgil Abloh. Nike. ICONS
2016年にナイキとファッションデザイナー、ヴァージル・アブローが協働し、スニーカーカルチャーに革新をもたらした伝説的コレクション〈The Ten〉の創作過程を記録した一冊。エア ジョーダン1、エア フォース1、エア マックス90など、10足の名作を再構築し、解体と再構成を通して新たな意味を与えたデザインの舞台裏を、プロトタイプの資料やナイキのデザイナーとのメッセージ、アーカイブ写真などとともに紹介する。構造をあらわにした装丁も含め、アブローの思考と制作の全貌を可視化する。序文は藤原ヒロシ。
The Sonneveld House: An Avant-Garde Home from 1933
オランダ・ロッテルダムに現存する機能主義建築の名作、ゾンネフェルト邸を紹介する建築資料集。1933年に建築事務所ブリンクマン&ファン・デル・フルフトが設計し、ギスペン社の家具や照明を採用することで、建築からインテリアまで統一されたモダンデザインを実現した住宅として知られる。本書では、設計思想や当時の生活様式、家具デザインの特徴に加え、保存修復の過程も豊富な図版で解説。20世紀初頭の「新建築」運動を象徴する邸宅として、モダニズム住宅の理念と美学を再検証する内容となっている。
Brazil’s Modern Architecture | Elisabetta Andreoli、Adrian Forty
ブラジルのモダン建築を体系的に紹介する写真資料集。オスカー・ニーマイヤーやルシオ・コスタをはじめ、アフォンソ・エドゥアルド・レイジ、ヴィラノヴァ・アルチガスら評価の高い建築家の仕事を幅広く収録。図面やスケッチ、カラー・モノクロ写真を通して、その造形や構造の多様性を伝える。ブラジリア建設以降に展開した建築の歩みを追うとともに、社会的課題に直面しながらも新しい可能性を模索する現代の動向までを視野に収めている。英語表記。
Horse | Jitka Hanzlova
チェコ出身の写真家、イトカ・ハンズロヴァによる作品集。人と環境の関係性を見つめてきたこれまでのシリーズに続き、本作では被写体を「馬」に定め、その身体性に迫る。毛並みやまつ毛、耳の産毛、尾に絡む草の一本に至るまで、細部を丁寧にとらえた親密なカラー写真からは、動物としての馬の存在感と気配が静かに立ち上がる。図版構成に加え、作家ジョン・バーガーによる序文を収録し、見る者の感覚を呼び覚ますような詩的な視覚体験を提示している。
An Incomplete Dictionary of Show Birds Vol.2 | Luke Stephenson
イギリスの写真家ルーク・スティーヴンソンが15年にわたり撮影を続ける「ショーバード」シリーズの第2巻。英国で行われる鳥の品評会に出品されるインコやフィンチ、カナリアなど、鮮やかな羽色をもつ小鳥たちを、単色の背景と緻密な構図で捉えている。セキセイインコから始まったこのプロジェクトは、愛玩と鑑賞、分類と審美の狭間にある人間と鳥の関係を静かに映し出すもの。華やかさとユーモアを併せもつポートレート群は、自然の造形と人工的な美意識の交錯を鮮やかに示している。
Art School | Paul Winstanley
英国のアーティスト、ポール・ウィンスタンリーが、全英50以上の美術大学の学部スタジオを撮影したシリーズを収録。学年の合間に訪れ、無人のまま記録されたスタジオは、白い仮設壁やペンキ跡、無機質な床が抽象的な空間性を生み出す。創造性を育む場でありながら、静かで中立的な室内が持つ二面性を浮かび上がらせる。200点以上のカラー写真に加え、美術批評家ジョン・トンプソンのテキストと、マリア・フスコによる作家インタビューを収録。英語表記。
AUGUST | Colllier Schorr
写真家コリー・ショアが1990年代初頭からドイツ南部で撮影を重ね、記録と虚構を織り交ぜた小さな町の肖像を描いた作品集。シュヴェービッシュ・グミュントで撮影されたポラロイドをもとに、記憶やナショナリズム、戦争、移住、家族といった主題を探る。ドキュメンタリーと演出のあいだを往復する構成で、歴史的権威への批評性や距離感を浮き彫りにする。「Forests and Fields」シリーズ第3作として刊行された。英語表記。
Tokyo Style ソフトカバー版 | 都築響一
写真家・編集者の都築響一による代表的写真集。東京で暮らす人々のリアルな生活空間を撮影し、整然とした理想の部屋ではなく、「好きなものに囲まれた」個性的な住まいのあり方を捉えている。六畳一間のワンルームからアトリエ兼自宅まで、ジャンルも世代も異なる住人たちが、自らの感性で作り上げた空間に息づく「生活の美学」を可視化。インテリアやデザインの文脈を超え、都市の片隅にある無数の“生の現場”を照射する。生活のリアリティと創造性を併せもつ、東京の暮らしの記録。
Scandinavian Style: Classic and Modern Scandinavian Design and Its Influence on the World
北欧デザインの精神とその世界的影響を多角的に紹介するビジュアルブック。アルヴァ・アアルト、エーロ・サーリネン、アルネ・ヤコブセンらの建築や家具デザインをはじめ、iittala、Volvo、Hackmanなどのプロダクトやブランドまで、機能性と美しさを両立させた造形理念を豊富な写真で解説している。木やガラス、金属など自然素材への敬意と、「形は機能に従う」というモダニズムの理想を背景に、北欧の暮らしに根づいたデザイン文化の系譜をたどる構成。シンプルで洗練された造形が、いかに日常生活と結びつき、世界のデザイン思想を変えてきたかを明らかにしている。
沖縄の陶器 | 濱田庄司
陶芸家・濱田庄司の監修により、沖縄の陶器を体系的に紹介する資料集。17世紀の古我知焼、18世紀の知花焼、19世紀の壺屋焼など、各時代を代表する皿や花器を中心に、多彩な陶器をカラー写真で収録している。地域の土や釉薬、文様に宿る独自の造形感覚を通して、沖縄の陶芸史と美意識を読み解く構成。装丁は染色家・芹沢銈介によるもので、民藝運動と深く結びついた美の系譜を視覚的に伝えている。
むかし渡更紗 全3冊揃 | 芸艸堂
インドを起源とする染織文化・更紗を収めた全3冊構成の木版画集。草花や樹木、鳥獣、人など、自然と人間の営みをモチーフに描いた彩色木版72点を収録している。木綿布に多彩な文様を染め上げた更紗の豊かな表現を通じて、異文化の交流と装飾美の歴史を伝える貴重な資料。伝統的な手法によって再現された図柄からは、東西の美意識が融合する染織デザインの源流を読み取ることができる。
Another America: A Testimonial to the Amish | Robert Weingarten
写真家ロバート・ワインガーテンが、アメリカ中西部を中心に暮らすアーミッシュの共同体を4年間にわたり撮影した作品集。インディアナ、アイオワ、オハイオ、ペンシルベニア、テネシー、ウィスコンシンに点在する彼らの生活を記録し、信仰とともに営まれる日常の美しさと静けさを捉えている。農作業に励む姿や霧に包まれた風景、子どもたちの遊び、家族の集いなどを通して、300年以上にわたり守られてきた質素で自立した生活の哲学を視覚化。近代化を拒みながら信仰に根ざした共同体を維持する人々の姿を、詩的な光の中に描き出している。
Bauhaus-Architecture 1919-1933 | Hans Engels、Ulf Meyer
1919年から1933年までのバウハウス期に建設された建築作品を体系的に記録した建築資料集。ヴァルター・グロピウス、マルセル・ブロイヤー、ミース・ファン・デル・ローエをはじめとする教師や卒業生による約70件の建築を、豊富な写真と図面、解説とともに収録している。ドイツを中心にウィーン、プラハ、バルセロナ、ブダペストなどヨーロッパ各地に残る建築群を通して、機能性と美学を融合させたバウハウスの理念を視覚的に辿る構成。芸術と産業の統合を目指したその精神が、いかに現代建築の礎となったかを示す重要な記録となっている。
赤瀬川原平の芸術原論展
2014年に千葉市美術館、大分市美術館、広島市現代美術館を巡回した「赤瀬川原平の芸術原論展」の図録。1960年代から現在に至るまでの赤瀬川原平の活動を総覧し、絵画、インスタレーション、彫刻、漫画、写真など多彩な表現を包括的に紹介。巻末には荒俣宏、南伸坊、藤森照信、山口晃ら17名による寄稿を収録し、幅広い視点から赤瀬川の創作を振り返る構成となっている。日本の前衛芸術における赤瀬川原平の軌跡を浮かび上がらせている。
ジョセフ・コーネル 箱の中のユートピア | デボラ ソロモン
アッサンブラージュの先駆者として知られるジョゼフ・コーネルの創作人生をたどる評伝。女優のブロマイドや天体図、貝殻、古い切り抜きなど、心を捉えた断片を木箱に収め、詩的な世界へと変換した独自の作品を生涯に800点以上制作した芸術家の歩みを、豊富な資料とともに読み解く。デュシャンからダリまで、多くの芸術家を魅了したその美学に迫り、映画制作や雑誌デザインなど幅広い活動も紹介。日常の欠片からユートピアを紡いだコーネルの創造の軌跡を掘り下げる一冊。
Phenomena | Sara Galbiati, Peter Helles Eriksen, Tobias Selnaes Markussen
コペンハーゲンを拠点とする3人の写真家、サラ・ガルビアーティ、ピーター・ヘレス・エリクセン、トビアス・セルナエス・マークセンによる共同作品集。UFOや宇宙人といった現代の神話に着目し、ネバダ、ニューメキシコ、アリゾナ各州を巡る調査旅行を通じて撮影された写真を収録している。研究者や信奉者たちのポートレート、収集された資料や記録を交えながら、人間が未知の存在に抱く信仰や想像力の在りかを探る一冊。英語表記。
長島有里枝 そしてひとつまみの皮肉と、愛を少々。
2017年に東京都写真美術館で開催された、写真家・長島有里枝の展示図録。初期の代表作〈self-portrait〉〈家族〉〈empty white room〉から、アメリカ留学期やスイス滞在制作の作品、さらに女性のライフコースをテーマとした新作まで、約25年にわたる表現の軌跡を豊富な図版とともに紹介している。自己と家族、ジェンダー、社会との関係を問い続ける長島の視線を通して、個人的な経験が社会的問題と交差する写真表現の可能性を探る内容。タイトルの通り、ユーモアと批評精神が織り交ざる彼女の創作世界を総覧する一冊。
Flora ドイツ語ペーパーバック版 | Nick Knight
ファッションフォトグラファー、ニック・ナイトによる植物写真集のドイツ語版。ロンドン自然史博物館に所蔵される約600万点の植物標本の中から、ナイトが3年半をかけて選び抜いた46種を撮影している。押し花となった植物を超高精細で写し取り、その繊細な構造や色彩、自然が生み出す形態の多様さを芸術的に再構成。キュレーターのサンドラ・ナップによる解説が添えられ、科学的記録と美術表現のあわいに立ち上がる生命の痕跡を浮かび上がらせている。写真とデザインの調和が際立つ、植物美の新たな視覚体験を提示する一冊。 ドイツ語表記。
かぜとつちと x elements | 紀成道
写真家・紀成道による作品集。島根・奥出雲を舞台に、千年以上続くタタラ製鉄を軸として、人と自然、風土と文化の関係を見つめ直す試みを収めている。変化し続ける空や大地の色、季節とともに営まれる祈りや行事、そこに生きる人々の表情を通して、土地に息づく時間の層を静かに映し出す。伝統と現代が交錯する風景の中に、継承の力と変化の兆しを見いだす視点が貫かれており、「風」と「土」が織りなす生命の循環を写真という記録のかたちで提示している。
VOU: Visual Poetry, Tokio, 1958-1978
写真家・詩人・デザイナーとして活動した北園克衛が主宰した前衛詩誌『VOU』に掲載されたビジュアル・ポエトリーを再構成した作品集。1958年から1978年にかけて展開された北園晩年の創作活動を中心に、9名の主要詩人による代表作を収録している。活字と図像、構成と余白を駆使して言葉の造形性を探求した実験的な詩表現を、当時の文化的・社会的背景とともに再考。モノクロ図版とともに詩人たちの軌跡をたどり、日本における視覚詩運動の到達点とその国際的意義を明らかにしている。
海市 もうひとつのユートピア
1997年にNTTインターコミュニケーション・センターで開催された、建築家・磯崎新監修による都市実験プロジェクトの公式ドキュメント。インターネットの黎明期に構想された「もうひとつのユートピア」として、現実の建築空間と仮想都市が交錯する新しい都市像を提示している。日本をはじめ世界各地の建築家・デザイナー・アーティストが参加し、デジタルネットワークを介した共同制作や通信環境を活用した都市モデルを展開。従来の都市計画や建築理論を超え、情報社会における「都市」と「身体」のあり方を問い直した、メディア・アーキテクチャの先駆的記録となっている。
Great British Editorial | Javier Fernandez
イギリスのエディトリアルデザインを総覧する資料集。ロンドンを拠点とする出版社・デザインスタジオ46社による、ブックデザイン、新聞、雑誌などの仕事を紹介。Alexander Boxill、David Pearson、Marcus Piper、Matt Willeyらによる作品を、オールカラー646ページにわたり収録している。分析や批評をあえて排し、英国デザインの多様なアプローチと洗練された表現をフラットに提示。90年代『Sleazenation』誌などの象徴的な誌面も含め、ブリティッシュ・デザインの創造力を視覚的に堪能できる一冊。
100+3 Swiss Posters: Selected by Siegfried Odermatt
スイスのグラフィックデザイナー、ジークフリート・オデルマッツが精選したポスターを紹介する作品集。マックス・ビル、カール・ゲルストナー、エミール・ルーダー、ヨゼフ・ミューラー=ブロックマンら、スイス・デザインを代表する巨匠たちによるポスターを多数収録。スイス・モダンデザインの精髄を示す貴重な記録。英語、ドイツ語、フランス語表記。
Paul Rand ペーパーバック版 | ポール・ランド
ABCやIBMをはじめとする数々の企業ロゴを手がけ、モダングラフィックデザインに大きな影響を与えたポール・ランド(1914–1996)の生涯と仕事を追った評伝。スイス・スタイルの導入者としても知られるランドが、どのように独自のデザイン哲学を築き、企業アイデンティティの確立に貢献したのかを探っている。スティーヴン・ヘラーによる分析と解説を通して、20世紀デザイン史におけるランドの位置づけを明確に示す内容となっている。
M.I.A. | Mathangi "Maya" Arulpragasam
イギリス出身のミュージシャン、M.I.A.のアートワーク集。アルバムやミックステープのジャケットから、ライブパフォーマンス、展覧会、インスタレーション、ミュージックビデオに至るまで、多彩なビジュアル表現を収録。独自のグラフィックセンスと政治的・社会的メッセージを融合させた彼女の活動を網羅的にたどることができる一冊。歌詞や独占インタビューの抜粋もあわせて掲載。
ヴィルヘルム・ハンマースホイ 静かなる詩情
2008年に国立西洋美術館で開催された展覧会の図録。デンマークの画家ヴィルヘルム・ハンマースホイの代表作をまとめたもので、静かな室内に人物を配した絵画や、独特のくぐもった光が生む詩情豊かな世界を多数のカラー図版で紹介。妻イーダの後ろ姿を繰り返し描いた室内画は、親密さとわずかな距離感が同時に漂う独自の空間をつくり出し、フェルメールを思わせる静謐さで観る者を引き込む。19〜20世紀転換期の北欧で、日常の光景に深い感性を宿した画家の魅力を丁寧に伝えている。
象形文字遊行 文字始源 | 粟津潔
グラフィックデザイナー・粟津潔が、古代文字の造形に潜む美と思想を探った書体研究書。文字の始源とされる甲骨文字や金文を中心に、「象形」「会意」によって生まれた約900字を収録し、それぞれの成り立ちと造形的意味を独自の観点から考察している。デザインや現代美術にも通じる象形のリズムと構成に注目し、人類の思考が形を獲得する瞬間を鮮やかに読み解く一冊となっている。
アルヴァー・アールト 1898-1975 20世紀モダニズム人間主義
1998年から1999年にかけてセゾン美術館で開催された、フィンランドの建築家アルヴァ・アアルトの回顧展公式図録。人間の感性と自然との調和を重視したアアルトの建築哲学を、住宅から公共建築、家具デザインに至る代表作を通して紹介している。平面図やスケッチ、写真資料に加え、建築史家や研究者による論考を多数収録し、モダニズムの中に息づくアアルトの人間主義的アプローチを多角的に検証。設計競技による実践的な創造の姿勢をもとに、20世紀建築におけるアアルトの思想的遺産を深く掘り下げている。