Hockney’s Alphabet
画家デイヴィッド・ホックニーがアルファベットを描き、詩人スティーブン・スペンダーが編集を手がけた作品集。エイズ患者支援のためのチャリティ出版として企画され、ホックニーによる26のアルファベットのドローイングに、アーサー・ミラー、カズオ・イシグロ、スーザン・ソンタグら20世紀を代表する作家たちのエッセイや詩が添えられている。文字の形や響きから広がる想像力を、多様な芸術家の視点で紡いだ一冊。アートと文学が交差する創作の場を見せている。
David Hockney: A Retrospective | デイヴィッド・ホックニー
イギリスを代表する現代アーティスト、デイヴィッド・ホックニーの回顧作品集。ロンドンとカリフォルニアを拠点に活動し、ポップ・アート以降の美術史に大きな足跡を残してきたホックニーの仕事を、ドローイング、ペインティング、版画、写真、舞台美術など多彩な表現を通して紹介。各時代の主要な作品を網羅し、スタイルの変遷や創作への姿勢をたどる構成となっている。序文はホックニーの友人でもある画家、R・B・キタイが担当。英語表記。
AIZ-VI 1930-38 | John Heartfield
ドイツ・ベルリンのダダイスト、ジョン・ハートフィールドが編集に携わったプロパガンダ雑誌『AIZ(Arbeiter-Illustrierte-Zeitung)』を包括的に紹介する作品集。1930年から1938年にかけて発表されたナチス批判のフォトモンタージュを中心に、誌面構成や政治的背景を詳細な解説とともに収録している。社会的メッセージと美術的実験を融合させたハートフィールドの活動を通して、グラフィックが時代の言論空間に果たした役割を明らかにしている。
Aleksandr Rodchenko: Painting, Drawing, Collage, Design, Photography
ロシア構成主義を代表する芸術家、アレクサンドル・ロトチェンコの作品集。絵画、ドローイング、コラージュ、フォト・モンタージュ、写真といった多岐にわたる表現を収録し、その実験精神と造形理念を総合的に示している。芸術とデザイン、芸術家と社会の関係をめぐる思索を体現する作品群は、20世紀初頭のアヴァンギャルド運動における革新の精神を伝えている。構成主義の理想とロトチェンコの創造的軌跡を照らし出している。
吉田博 全木版画集 増補新版
明治から昭和にかけて活躍した木版画家、吉田博の代表作を網羅した決定版作品集。1987年刊行の初版を全面的に改訂し、掲載作品を原寸に近いサイズで再現。初摺に基づく色彩調整に加え、新たに発見された版画や資料を収録し、60ページ以上の増補を施している。日本各地のみならず欧米やアジアを旅し、風景を緻密かつ力強い構図へと昇華させた吉田博の芸術性と国際性を多角的に紹介。新版画運動を牽引したその創作の到達点を明らかにしている。
Mind over Matter: Concept and Object | Richard Armstrong
1990年から1991年にかけてニューヨークのホイットニー美術館で開催された展覧会「Mind over Matter: Concept and Object」の図録。アシュリー・ビッカートン、ナイランド・ブレイク、ティシャン・スーら6名の作家に焦点を当て、1960〜70年代に登場した第三世代のコンセプチュアル・アートの潮流を紹介。形式主義的な美術から離れ、社会的・美的課題に取り組む彼らの作品は、素材や空間の枠を超え、思考と概念を中心に展開される新たな表現を提示している。キュレーター、リチャード・アームストロングによる論考が現代美術の転換期を明らかにしている。
植田正治のつくりかた
20世紀の日本写真を代表し、世界的にも高く評価される写真家・植田正治の作品集。2013年から2014年にかけて東京ステーションギャラリーと岩手県立美術館で開催された、生誕100年記念展にあわせて刊行されたもの。初期から晩年に至る代表作を網羅しつつ、新たに発見された資料に基づく全20篇の解説コラムを収録。構図や演出に独自の美学を貫いた植田作品の魅力と、その創作の背景に深く迫っている。
十七歳の地図 | 橋口譲二
写真家、橋口譲二による写真集。1987年から1988年にかけて、北海道・礼文島から沖縄・与那国島まで日本各地を巡り、出会った「17歳」の若者たちを撮影したポートレートを収録する。学生、労働者、主婦など、異なる環境や背景をもつ彼らの表情を通じて、青春期特有の不安や希望、社会との距離感が浮かび上がる。モノクロームの静謐なトーンと、被写体の言葉を添えた構成により、1980年代の日本に生きる若者像を明らかにしている。
静岡詩 | 佐内正史
写真家、佐内正史による作品集。自身が主宰する写真集レーベル「対照」から刊行された第16弾で、静岡市美術館での展覧会にあわせて制作された。地元・静岡で過去に撮影した写真と新たに撮り下ろした作品を織り交ぜ、日常の中にある光や風景を淡々と写し取っている。特別な出来事ではなく、何気ない景色に漂う記憶の手触りを呼び覚ますような構成が印象的。時間の流れとともに変わりゆく土地と心の距離を見つめ、写真と言葉で“ふるさと”の情景を照らし出している。
Between the Modern and the Popular | Alfredo Volpi
20世紀ブラジルのモダニズムを代表する画家、アルフレード・ヴォルピの作品集。職人としての出自をもつヴォルピは、日常的な風景や祭礼の旗、宗教画から着想を得たモチーフを、独自の構成と色彩で再構築した。ブラジルの植民地時代の記憶や民衆文化、宗教的世界観を背景に、具象と抽象のあいだを行き来する絵画表現を展開している。本書では、幾何学的な構図と繊細な筆致が融合する代表作を中心に、アメリカとブラジルの研究者7名による論考と、ヴォルピ本人へのインタビューを収録。ブラジル近代絵画の展開と、その大衆的感性との関係を照らし出している。
El Artista, Su Obra, Sus Tiempos | Manuel Alvarez Bravo
20世紀メキシコを代表する写真家、マヌエル・アルバレス・ブラボの作品集。1920年代から1990年代にかけての代表作を中心に、長年にわたる創作の軌跡をたどる。日常の情景に人間の内面や社会の詩情を重ね合わせ、写真を通じて新たな現実のかたちを提示したブラボの独自の視覚世界を示している。メキシコの歴史や文化を背景に、静謐な構図と象徴的なモチーフが織りなす詩的な時間を映し出している。
Nina Fischer & Maroan el Sani | ニナ・フィッシャー&マロアン・エル・ザニ
ドイツのアーティスト・デュオ、ニナ・フィッシャー&マロアン・エル・ザニによる作品集。都市に刻まれた記憶や忘れられた歴史を掘り起こし、映像、インスタレーション、空間表現によって再構築する手法で知られる。本書では、彼らの代表的な9つのプロジェクトを紹介。いずれもモダニズム建築の解体と再解釈に焦点を当てており、時間の蓄積と空間の変容に対する一貫した視点を浮かび上がらせる。ドイツ語、英語表記。
De Nieuwe Fotografie in Nederland
1920〜1930年代にオランダで展開された「ニュー・フォトグラフィ(Nieuwe Fotografie)」の動向を紹介する写真集。フォトモンタージュや大胆な構図、斬新なアングルなどを用い、日常の中に新たな美を見出そうとした写真家たちの実験を辿る。写真が“新しい視覚言語”として模索され、芸術的探究から社会的・報道的な表現へと発展していく過程を、豊富な図版とテキストによって紹介。オランダ近代写真の形成期における創造的精神を照らし出している。
PRESENT | Marc Nagtzaam
オランダのアーティスト、マーク・ナグザームによる作品集。サルデーニャ島でのアーティスト・イン・レジデンス滞在中に収集した雑誌や書籍から図版や記号をスキャンし、それらを抽出・再構成する独自の手法を紹介する。モノクロームの線と反復によって構築される作品は、記号や言語、イメージの構造そのものへの問いを投げかけるものとなっている。豊富な図版とテキストを通して、ナグザームの思考と造形のプロセスを提示している。
Bacon’s Eye: Works on Paper Attributed to Francis Bacon from the Barry Joule Archive
20世紀を代表する英国の画家、フランシス・ベーコンの未発表資料をまとめた作品集。生前に親友バリー・ジュールへ託されたとされる70点の油彩スケッチと、900点を超える“作業資料”を収録する。破り取られた雑誌や新聞の断片に描き込みを施した紙片の数々は、ベーコンが日常のイメージから着想を得ていたことを示している。創作過程を支える構想や、人物像への執着、見ることと描くことのあいだに潜む暴力性が垣間見える内容となっている。真贋の議論が続くなか、2001年にロンドンのバービカン・ギャラリーで展示され、本書を通じてその存在が広く知られることとなった。ベーコンの制作の裏側に迫る貴重な記録を提示している。
我旅我行 | 桑島智輝、安達祐実
写真家、桑島智輝が当時の妻である俳優・安達祐実を被写体に撮り続けてきたシリーズの続編となる写真集。フランス、ポーランド、ドイツ、沖縄、スペインを巡った2014年から2018年までの四度の旅、そして2020年以降の“旅のような”日常を記録している。異国の街角やレストランでの食事、部屋でくつろぐ穏やかな時間など、親密さと自然体が同居する瞬間が収められている。変化する時間の流れと、撮る人・撮られる人の関係が重なり合う情景を映し出している。
我我 | 桑島智輝、安達祐実
写真家、桑島智輝が当時の妻である俳優・安達祐実を撮影した写真集。家庭や妊娠、出産、子育てといった日常の時間を通じて、俳優としての姿とは異なる安達祐実の素顔を捉えている。約3年間にわたり撮影されたアルバム70冊分、18,500枚を超える写真の中から135枚を厳選して構成。被写体と撮影者という関係を超え、夫婦としての視線が交差する「我と我」の関係性を探る内容となっている。安達祐実本人によるテキストも収録し、生活と写真が響き合う新たな家族像を提示している。装丁は町口景によるもの。
06 Alpes-Maritimes | Raymond Depardon
フランスの写真家、レイモン・ドゥパルドンによる作品集。ドゥパルドンが長年惹かれてきた南仏ニースとその周辺、アルプ=マリティーム県を舞台に撮影されたシリーズを収録する。地中海沿いの港や海辺の館、柔らかな陽光に包まれた街並み、谷を歩き、山を登りながら記録された風景が静謐なトーンで展開。ドキュメンタリーと詩的視線のあいだを往還しながら、作家が祖国フランスの風土と人間の気配を見つめた一冊。時間の流れとともに変わりゆく土地の表情を映し出している。
Tete a Tete: Portraits by Henri Cartier-Bresson
1998年にロンドンのナショナル・ポートレート・ギャラリーで開催された展覧会にあわせて刊行された作品集。20世紀を代表する写真家、アンリ・カルティエ=ブレッソンが撮影したポートレートに焦点を当てている。ピカソ、マティス、サルトルをはじめとする芸術家や思想家、歴史の瞬間に立ち会う無名の人々まで、幅広い被写体を収録。決定的瞬間をとらえる鋭い観察眼と、人物の内面を静かに映すまなざしが交錯する。カルティエ=ブレッソンの人間観と写真表現の本質を照らし出している。
絹の夢 | 石内都
写真家、石内都による作品集。代表作「ひろしま」で被写体となった絹織物との出会いをきっかけに、新たなテーマとして「絹」を見つめたシリーズを収録する。大正から昭和にかけて女性たちが身にまとった「銘仙」に焦点を当て、工房や繭、生糸の姿、そして色鮮やかな布地の模様を撮影。時代を超えて受け継がれてきた素材の手触りや、そこに宿る記憶を静かに捉えている。女性の生と衣服の関わりを通して、記憶と物質、個人と歴史のあいだを照らし出している。装丁は中島英樹によるもの。
ワタシの迷宮劇場 | 森村泰昌
2022年、京都市京セラ美術館の開館1周年を記念して開催された展覧会「森村泰昌:ワタシの迷宮劇場」にあわせて刊行された図録。セルフポートレートという表現手法を通じて、個人のアイデンティティや歴史との関係性を探り続けてきた森村泰昌が、1986年以降に撮影した約800枚のインスタント写真を収録。35年以上にわたる私的な創作の軌跡が丁寧に編まれており、作家の創造の源泉に迫る構成となっている。
ベン・シャーン 人びとへ、20世紀から
2000年に多摩美術大学美術館で開催された展覧会「ベン・シャーン 人びとへ、20世紀から」の図録。ペインティング、ドローイング、版画など多彩な作品を通じて、20世紀アメリカの社会問題に向き合い続けたベン・シャーンの歩みをたどる。社会的不正や人間の尊厳を主題に、芸術による告発と希望の表現を試みたシャーンの活動を、多面的に紹介している。巻末には略歴や年譜を収録し、その思想と表現の変遷を明らかにしている。
瑛九 1935-1937 闇の中でレアルをさがす
2016年に東京国立近代美術館で開催された展覧会「瑛九 1935-1937 闇の中でレアルをさがす」の図録。昭和初期から戦後にかけて版画や油彩、フォトデッサンなど多様な表現を試みた芸術家、瑛九。本書ではその創作の原点ともいえる1935〜1937年に焦点を当て、デビュー前後に制作されたフォトデッサン、コラージュ、油彩、デッサンを収録する。前衛美術が台頭する時代の中で、瑛九が現実(レアル)を探求しながら模索した実験的表現の軌跡を明らかにしている。
ArT RANDOM 15 Domenico Bianchi, Gianni Dessi, Giuseppe Gallo
京都書院が刊行し、都築響一が編集を手がけたアートブックシリーズ「ArT RANDOM」の第15巻。イタリアのアーティスト、ドメニコ・ビアンキ、ジャンニ・デッシ、ジュゼッペ・ガッロの作品を収録する。素材や空間、幾何学的構成への独自のアプローチを通じて、抽象と具象、詩と造形のあいだを行き来する表現を探る。絵画を中心に、静謐で瞑想的な構成が展開され、1980年代以降のイタリア現代美術における新たな感性と精神性を浮かび上がらせている。
ArT RANDOM 43 David Austen
京都書院が刊行し、都築響一が編集を手がけたアートブックシリーズ「ArT RANDOM」の第43巻。イギリスの画家、デヴィッド・オースティンの作品を収録する。感情や思考の微細な動きを象徴的に描き出す静謐で詩的な作風が特徴で、限られた色調や静かな線の中に、内面的な揺らぎと余韻が漂う。抽象と具象のあわいに生まれる形象は、見る者の感覚と記憶を静かに呼び起こす。ミニマルでありながらも深い精神性をたたえたオースティンの絵画世界を映し出している。
ArT RANDOM 79 Arman
京都書院が刊行し、都築響一が編集を手がけたアートブックシリーズ「ArT RANDOM」の第79巻。フランス出身でアメリカを拠点に活動した現代美術家、アルマンの作品を収録する。1960年代から1980年代にかけて制作されたヴァイオリンを主題とする作品群を中心に、焼かれた楽器をアクリル板に封じ込めた作品や、ヴァイオリンを積層させたブロンズ彫刻などを紹介。破壊、収集、封印といった手法を通じて、音楽という象徴的なモチーフを分解し、再構築するアルマンの実験的な造形思想を浮かび上がらせている。
意匠文字 全2巻揃 | 呂勝中
現代中国を代表する作家、呂勝中による意匠文字集。〈龍の巻〉〈鳳の巻〉の2巻構成で、民間美術に受け継がれてきた象形文字や花鳥字、鬼画符、竹板書など、装飾的な文字表現を多彩に紹介する。文字に込められた信仰や祈りのかたちを、カラー・モノクロの豊富な図版で展開。民間芸術と文字文化の結びつきを視覚的に浮かび上がらせている。
三宅一生 Issey Miyake | アーヴィング・ペン
写真家アーヴィング・ペンがファッションデザイナー三宅一生の作品を撮影した写真集。1988年にパリの装飾美術館で開催された展覧会「Issei Miyake a Un」にあわせて刊行された。布の構造や身体の動きと響き合う造形を、ペンの精緻なまなざしがとらえ、衣服がもつ彫刻的・建築的な側面を浮かび上がらせる。序文は彫刻家イサム・ノグチが寄せており、二人の芸術家による言葉と視覚表現を通じて三宅デザインの本質を探る内容となっている。
Typographie | Otl Aicher
ドイツのグラフィックデザイナー、タイポグラファーであり、ウルム造形大学の創設者として知られるオトル・アイヒャーによる著作。タイポグラフィの構造や機能に対する思索を中心に、造形と言語、秩序と自由の関係を探求している。豊富な図版を通して、アイヒャーのデザイン哲学と教育理念がいかに体系化され、実践へと結びついていったかを明らかにしている。
ルウ・ドーフスマン デザインワーク
アメリカのグラフィックデザイナー、ルウ・ドーフスマンのデザインワークをまとめた作品集。米国最大のテレビ・ラジオ放送局CBSで副社長兼クリエイティブディレクターを務めたドーフスマンによる、新聞広告、宣伝ポスター、番組セット、CM映像、グッズなどを網羅。40年にわたる膨大な制作物を日本語解説とともに収録し、放送メディアにおけるデザインの可能性と表現の多様性を浮かび上がらせている。
U&lc : Influencing Design & Typography
アメリカのフォントメーカー、ITC(International Typeface Corporation)が発行したタブロイド誌『U&lc(Upper and lower case)』を再編集したデザイン資料集。創刊当初から雑誌を支えたハーブ・ルバリンやペンタグラムをはじめとする著名デザイナーによるカバー、記事、イラストレーションを精選。1970〜80年代を中心に、グラフィックデザインとタイポグラフィの黄金期を象徴する作品群を提示している。
Max Bill: Maler, Bildhauer, Architekt, Designer
バウハウス最後の巨匠としても名高いマックス・ビルの作品集。建築家、グラフィックデザイナー、工業デザイナー、彫刻家など、幅広い分野で活躍した氏の作品を多数収めた一冊。ドイツ語表記。
Saul Bass: A Life in Film and Design
20世紀アメリカを代表するデザイナー、ソール・バスの創作活動を体系的に紹介する初の本格的作品集。企業ロゴやグラフィックワークに加え、『めまい』『黄金の腕』『裁かるるジャンヌ』など映画タイトルの革新的デザインで知られ、戦後アメリカの視覚文化を象徴する数々のイメージを生み出した。AT&T、ユナイテッド航空、クエーカーオーツ、ミノルタなどの企業アイデンティティを手がけたほか、妻であり共同制作者のイレイン・バスとともに、アカデミー賞受賞作『Why Man Creates』を含む短編映画やタイトルデザインも制作。デザイン史家パット・カーカムの執筆と、娘ジェニファー・バスの編集により構成され、未発表を含む1400点以上の図版を通して、その革新性と創造の全貌を明らかにしている。
Archeology of Consequent Forms | Orlando Brunner
スイスの独立系タイプファウンドリー Maxitype による書体プロジェクト。本書は、人工知能がパターンや傾向を学習する能力に着目し、それをフォントの創作過程にどのように応用できるかを探った試みをまとめたもの。プロセスの中で生じたノイズや未完成の断片、完成に至った書体までを網羅的に収録し、書体デザインの新たな可能性を提示する。英語表記。
田中一光展 伝統と今日のデザイン ソフトカバー版
昭和期を代表するグラフィックデザイナー、田中一光の作品を紹介する展覧会図録。ポスター、ロゴ、パッケージなど多彩なデザインワークを収録し、伝統と現代性を融合させた田中の造形世界を総覧している。高階秀爾「田中一光と日本文化の最良の部分」、ジャン・カルロ・カルツァ「田中一光―きらめく閃光」、片岸昭二「田中一光の明快なデザイン」などの論考を併載し、日本のデザイン史における田中一光の独自性と美意識を浮かび上がらせている。
Posters Can Help | Julia Kahl、Lars Harmsen
世界中のクリエイティブコミュニティをつなぎ、社会が直面する深刻な課題に対して小さくとも確かな一歩を踏み出すことを目的としたプロジェクト「Posters Can Help」。2022年のウクライナ侵攻をきっかけにその意義はさらに強まり、デザインを通じた支援と連帯の呼びかけに、世界各国のデザイナー434名が応えた。集まった約700点のポスターは、希望や団結を力強く訴えかける。巻末には、現在ウクライナで直面している状況について、同国のデザイナー3名が語るインタビューも収録。
Basic Typography: Design With Letters
スイス出身のデザイナー、ルーディ・リュエッグによるタイポグラフィの基礎をまとめた資料集。活字制作のプロセスや組版の原理、書体の特徴と効果的な組み合わせを、明快な構成と図版を通して解説している。さらに各国の代表的なデザイン事例を紹介し、理論と実践の両面からタイポグラフィの多様な表現を視覚的に紐解いている。
Baumann & Baumann: Spiel Raume / Room to Move | バウマン&バウマン
ドイツのデザインデュオ、ゲルト・バウマンとバーバラ・バウマンによるデザイン会社バウマン&バウマンの活動を紹介する作品集。グラフィックから空間デザインにいたるまで、多岐にわたるプロジェクトを収録している。流行に左右されない独自の造形感覚と明快な視覚言語を貫き、公共性の高い案件や文化的プロジェクトを通して培われた実践を豊富な図版で提示。時代を超えて評価される彼らのデザインアプローチを浮かび上がらせている。
Munari’s Books
イタリアの美術家、デザイナー、絵本作家として知られるブルーノ・ムナーリが手がけた書籍を網羅的に紹介する作品集。1929年から1966年までに刊行された著作を年代順に収録し、〈nella notte buia〉〈Bruno Munari’s ABC〉〈Bruno Munari’s ZOO〉など代表的な作品を掲載。さらにデザイナーとして関わった雑誌の仕事も併せて紹介し、ムナーリの創作における「本」というメディアの実験性と独自の発想を明らかにしている。
Helvetica Forever ヘルベチカ フォーエバー | ヴィクトール・マルシー、ラース・ミューラー
世界中で広く使用され、日本でも高い人気を誇る書体「Helvetica(ヘルベチカ)」を多角的に掘り下げた一冊。タイプフェイスデザイナー、マックス・ミーディンガーとエドアード・ホフマンの往復書簡や日誌ファイルをはじめ、ポスター、プロダクトデザインなど多彩な図版を収録し、その誕生から世界的成功に至るまでの歩みを紹介する。デザイン史、タイポグラフィ史の両面からヘルベチカの魅力と影響力を検証する資料性の高い内容となっている。
Books on Japan 1931-1972 日本の対外宣伝グラフ誌 | 森岡督行
森岡書店店主・森岡督行が、1931年から約40年にわたって発行された日本の対外宣伝グラフ誌を編纂。日本工房の『NIPPON』や東方社の『FRONT』など、全106点のグラフ誌から選りすぐった表紙と本文をカラーで紹介している。日本の文化や風景をテーマとしたものに加え、戦時下には富国強兵を前面に押し出した号も含まれており、グラフィックの魅力とともに、当時の時代背景や思想の変遷を読み取ることができる。
Nicolaus Ott+Bernard Stein: Vom Wort zum Bild und Zurueck / From Word to Image and Back Again
ドイツ出身のグラフィックデザイナー、ニコラウス・オットとベルナルト・シュタインによる作品集。1978年に設立された共同アトリエで制作された数多くのポスターに焦点を当て、約150点の図版と解説を収録している。文字と形の関係性を徹底的に追求し、タイポグラフィを基盤にしながらも芸術性を兼ね備えた造形を展開した点が大きな特徴。社会的なメッセージや文化的文脈を背景に制作されたポスターは、グラフィックデザインの枠を越え、視覚文化に新たな表現の可能性をもたらした。彼らの活動を多角的に検証することで、20世紀後半のデザイン史における重要な潮流を浮かび上がらせている。
Typographie: A Manual of Design 旧版 | Emil Ruder
スイスのタイポグラファーであり、バーゼル造形学校の教育者として知られるエミール・ルーダーによるタイポグラフィの基礎書。文字のサイズやフォントデザインを生かした組版、レイアウト例を2色刷りで掲載し、構成原理と造形的美意識を体系的に示している。さらに古代の壁画や写本に見られる文字表現も収録し、タイポグラフィの起源からモダンデザインへの流れを照らし出している。
書字法・装飾法・文字造形 | エドワード・ジョンストン
イギリスの工芸家・タイポグラファー・カリグラファーであるエドワード・ジョンストンによる技術書。アーツ・アンド・クラフツ運動の精神を背景に、文字造形の原理と実践的技法を体系的に示した名著として知られている。「書字法と装飾法」「文字造形」の2部構成で、書字の基本から装飾的な応用、さらには文字の形態に至るまでを多くの図版とともに解説。文字を芸術として捉える姿勢と、実践的手引きを兼ね備え、カリグラフィの発展に大きな影響を与えた一冊であり、今日に至るまで広く参照されている。