アイノとアルヴァ 二人のアアルト | 国書刊行会
2021年に開催された巡回展にあわせて刊行された図録。フィンランドを代表する建築家・デザイナー、アルヴァ・アアルトとアイノ・アアルトの軌跡を、互いに与え合った影響とともにたどる。Artek(アルテック)製品のアーカイブをはじめ、建築、ガラス製品、インテリアなど多彩な作品を紹介。カラー・モノクロを含む豊富な図版と解説で、その創作の広がりを伝えている。
SANAA/Sejima and Nishizawa: Novartis Campus Fabrikstrasse 4
妹島和世と西沢立衛による建築ユニット・SANAAが2006年に設計した、スイス・バーゼルのノバルティス・キャンパス内の施設「Fabrikstrasse 4」を詳細に紹介する資料集。コンクリートとガラスという2つの素材のみで構成されたこの建築は、階層性を排し、架構がそのまま空間を形づくるという設計思想のもとに生まれた。ウォルター・ニーダーマイヤーによる写真、アーロン・ベッツキーとヴァレリオ・オルジアーティによる論考、さらに詳細な図面資料も収録し、この建築の魅力を多角的に読み解く構成となっている。ドイツ語、英語表記。
黄金の鳥 | 荒俣宏
作家・博物学研究家の荒俣宏が、フランス博物学の黄金期を象徴する二つの鳥類図鑑「黄金の鳥あるいは金属の光沢」と「北米鳥類図譜」を細密に覆刻した作品集。両書から美術的価値の高い56葉を精選し、さらに参考図版5葉と付録図版2葉を加えた全61葉を収録。直接製版によって原図の色彩や質感を忠実に再現し、19世紀の博物画がもつ華麗さと科学的精緻さを現代に甦らせた。造本は鈴木一誌によるもので、装丁の美しさにも高い完成度を示している。
天文学と印刷 新たな世界像を求めて
2018年に開催された企画展「天文学と印刷―新たな世界像を求めて」の図録。15〜16世紀ヨーロッパ、ルネサンス期において発展した天文学と印刷術という二つの営みを軸に、知の転換がもたらした世界像の変化を探る。コペルニクス『天球の回転について』をはじめとする貴重な書物や図版資料を通じ、学者と印刷者の協働がいかに科学思想の普及と進化を支えたかを明らかにする。知の歴史と技術革新が交錯する時代の息吹を伝える内容となっている。
縄文の夜神楽 | 滋澤雅人
写真家・滋澤雅人による写真集『縄文の夜神楽』。全国の博物館・考古館を巡り、12年の歳月をかけて撮影された縄文土器・土偶27点を収録する。暗室で一点ずつ光を調整しながら長時間露光で写し出されたモノクロームの像は、縄文造形の緻密な文様と造形美を鮮やかに浮かび上がらせる。原始の祈りと美が宿る器に、写真家の静謐な眼差しが交錯し、時を超えた生命の気配を伝えている。
イメージの力 国立民族学博物館コレクションにさぐる
2014年に国立新美術館と国立民族学博物館で開催された展覧会「イメージの力 国立民族学博物館コレクションにさぐる」の図録。世界各地の伝統的な民芸品や造形物を通して、人・神・時間といった根源的テーマに対するイメージの普遍性を探る内容となっている。博物館と美術館という異なる視点から、造形と信仰、記憶と象徴の関係を多角的に提示。人類の創造行為に内在する「イメージの力」を改めて問う構成となっている。
Freunde von Freunden: Berlin
ベルリンで活躍する28人のクリエイターたちの仕事場や住まいを紹介するビジュアルブック。2009年にデザインスタジオ、NoMoreSleepによって設立されたwebマガジン「Freunde von Freunden」を書籍化したもので、ギャラリスト、アーティスト、写真家、イラストレーター、建築家、起業家など、ベルリンのトレンドセッターたちの暮らしをユニークかつ独自の視点で紹介する一冊。ドイツ語、英語表記。
野口里佳展 予感 Mimoca’s Eye Vol.1 | 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
2001年に丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で開催された展覧会「MIMOCA'S EYE Vol.1:野口里佳展 予感」の公式図録。若手アーティストに焦点をあてるシリーズの第1回として写真家・野口里佳を特集し、「ドリーミング・オブ・バビロン」「ロケットの丘」「創造の記録」「果たして月へ行けたか?」の4シリーズを収録。種子島宇宙センターで撮影された〈ロケットの丘〉をはじめ、何かが起こる前の静かな時間をとらえた作品群が、見る者に「予感」としての世界の広がりを感じさせる。装丁は中島英樹。
倉俣史朗とエットレ・ソットサス
2010年に21_21 DESIGN SIGHTで開催された展覧会「倉俣史朗とエットレ・ソットサス」の公式図録。日本のデザイナー・倉俣史朗とイタリアの巨匠エットレ・ソットサス、20世紀デザインを象徴する二人の交流と創作の軌跡を豊富な図版とテキストでたどる。安藤忠雄、伊東豊雄らによる論考をはじめ、倉俣の素材への探究や空間設計、ソットサスの思想を対比的に紹介。デザインとは何かを根源から問い直す、二人の精神を伝える一冊。
C International Photo Magazine 創刊号
スペイン・マドリードを拠点とするIvory Pressが創刊した国際写真誌の第1号。世界各国の現代写真家による作品を豊富な図版とともに特集し、写真表現の多様性と現在性を多角的に紹介している。未公開資料として、彫刻家イサム・ノグチが第二次世界大戦後に撮影・収集した写真アーカイブを初掲載。さらに、ウィリアム・エグルストン、トマス・ストルート、森山大道、オラファー・エリアソンら著名作家の作品を収録し、写真の芸術的地位とその社会的影響を検証する内容となっている。
PETER DOIG ピーター・ドイグ展
2020年に東京国立近代美術館で開催された展覧会にあわせて刊行された公式図録。現代を代表する画家のひとりピーター・ドイグの初期作から最新作までを網羅的に収録している。写真や記憶、映画や美術史など多様なイメージを重ね合わせて描き出された作品は、懐かしさと新鮮さが共存する独自の世界観を形づくっている。豊富な図版とテキストを通じて、ドイグ絵画の多面的な魅力を提示している。
石内都 マザーズ 2000-2005 未来の刻印
写真家・石内都による作品集で、第51回ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館(2005)での展示にあわせて刊行されたもの。母の遺品を撮影したシリーズ〈マザーズ 2000-2005 未来の刻印〉を中心に構成され、衣服や化粧品、皮膚のような質感をもつ日用品のクローズアップを通して、母の不在と記憶の痕跡を静かに見つめている。確執と愛情のあわいにある「母」という存在を、身体とモノの関係から描き出したプライベート・ドキュメンタリー。併せて初期三部作〈絶唱・横須賀ストーリー〉〈アパート〉〈連夜の街〉も収録し、石内の表現の原点と到達点を往還する構成となっている。
小さな画面に無限の世界 熊谷守一展
2011年から2012年にかけて開催された巡回展「小さな画面に無限の世界 熊谷守一展」の図録。油彩画約160点、日本画や書33点を収録し、代表作から新たに発見された作品までを網羅する。草花や虫、猫、鳥といった身近な生命を明快な線と色彩で描き出した独自の画風“モリカズ様式”を多面的に紹介。簡素で静謐な造形の奥に、自然と生命へのまなざし、そして人としての自由を貫いた熊谷の精神を伝える内容となっている。
藤田嗣治展 東と西を結ぶ絵画
2016年に開催された藤田嗣治の回顧展公式カタログ。1909年から1968年までの創作活動を網羅し、「模索の時代」「パリ画壇の寵児」「さまよう画家」「戦争と国家」「フランスとの再会」「平和への祈り」の6章で構成されている。白い下地と繊細な線描で知られる代表作をはじめ、戦争画や宗教画、晩年の作品までをカラー図版で収録。日本とフランス、東洋と西洋という二つの文化の間で揺れ動いた藤田の人生と芸術を多角的に検証し、画家が追い求めた「調和」と「祈り」のかたちを静かに照らし出している。
アイデア No.373 ポスト・インディペンデント・マガジン
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.373(2016年4月号)。特集「ポスト・インディペンデント・マガジン」では、国内外18の雑誌に依頼し、それぞれが自由に制作した4ページを合綴した実験的構成を試みる。『Agapornis Magazine』『BLINK』『疾駆/chic』など、多様な独立系媒体が参加。デジタル時代における「紙のメディア」を再考し、雑誌をつくる行為そのものの意義と表現の可能性を探る。インディペンデント出版の現在地を可視化した特集号。
アイデア No.240 世界のグラフィックデザイナー100
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.240(1993年9月号)。巻頭特集は世界のグラフィックデザイナー100人。ソール・バス、ミルトン・グレイザー、ヤン・レニツァ、ピエール・ベルナール、田中一光、永井一正など、世界を代表するデザイナーの作品と思想を紹介する。さらに、創刊40周年を記念して、亀倉雄策、福田繁雄が寄稿。1990年代初頭の国際的デザイン潮流を記録した、資料的価値の高い一冊。表紙デザインは亀倉雄策。
アイデア No.235 福田繁雄
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.235(1992年11月号)。巻頭特集は「福田繁雄」。ピエール・ベルナールによる論考とともに、ポスター、壁画、オブジェなど、多面的な活動を豊富な図版で紹介する。そのほか、「第38回ニューヨーク・タイプディレクターズクラブ展+日本タイポグラフィ年鑑1992」、「巻末特集:オランダのタイポグラフィック・デザイン」などを収録。
アイデア No.233 亀倉雄策
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.233(1992年7月号)。巻頭特集は日本を代表するグラフィックデザイナー、亀倉雄策。オリンピックポスターなどで知られる亀倉の造形思想と仕事の軌跡を多面的に紹介する。そのほか「ミサワホーム・バウハウスコレクション 芸術と技術―新しき統一」「風刺のきいたイラストレーター、ロブ・デイ」「世界エイズポスター展」など、デザインと社会の関わりを探る記事を収録。
Zufaellige Begegnungen. Photographien | Sarah Moon
ロンドンやパリでのモデル業のかたわら写真を撮り始め、1970年より写真家へとキャリアを転向したフランス出身の写真家、サラ・ムーンの作品集。1980年代から2000年代にかけて撮影された作品をまとめたもの。ランドスケープ、ポートレート、ファッションなど、様々なテーマで捉えられた作品図版とテキストを収録。現実と幻想の中を行き来する揺れ動く心情、その世界が映し出される。
Luc Tuymans: Graphic Works 1989-2012
ベルギーのアーティスト、リュック・タイマンスによる1989〜2012年のグラフィック作品を網羅した回顧的作品集。歴史や記憶、トラウマといった主題を再構成するタイマンスの表現を、未公開資料やプルーフ、ポラロイド、水彩画などの制作過程とともに紹介している。色分解や版作りなど印刷技法の実験を通して、イメージの生成と変換を探る思考のプロセスを詳細に検証。『The Spiritual Exercises』や『The Rumor』を含む全作品を図版付きで収録し、初期ドローイングから近年のモノタイプまで、タイマンスの造形思考の展開を多面的に読み解く内容となっている。
写真と絵画 セザンヌより 柴田敏雄と鈴木理策
2022年にアーティゾン美術館で開催された展覧会の公式カタログ。写真家・柴田敏雄と鈴木理策が、それぞれの創作において影響を受け続けてきたポール・セザンヌを起点に、写真と絵画の関係性を探る構成となっている。セザンヌや雪舟をはじめとする石橋財団コレクションの名品と、両作家による新作・未発表作を対話的に配置し、見ること・描くこと・写すことのあいだにある思考の共鳴を可視化。時代や技法を超えて、表現の根底にある「視覚の構築」を問い直す内容となっている。
What’s Wrong with Redistribution? | Wolfgang Tillmans
ドイツ出身の写真家ヴォルフガング・ティルマンスが、2015年のハッセルブラッド国際写真賞受賞を機に発表した作品集。2005年以降、彼の展覧会で中核をなすインスタレーション《Truth Study Centre》を中心に構成されている。英国製ドアパネルを用いた木製テーブル上に、写真、新聞記事、印刷物、メモなどを固定せずに並置し、現代社会の情報や視覚的断片を再構成する試みを高精細に再現。多様な視点や矛盾する主張が同一平面上で共存する構成は、写真を超えたコラージュとして、現代の複雑な現実を照射する。全320ページにわたって展開される図版と、トム・マクドノウによる論考が、ティルマンスの思索的かつ批評的な創作姿勢を浮かび上がらせている。
Yukimasa Ida Crystallization 井田幸昌作品集
現代アーティスト・井田幸昌の国内初作品集。20代から現在に至るまでの代表作約150点を収録し、人物・風景を厚塗りの絵具で描く力強い筆致と鮮烈な色彩による独自の絵画世界を包括的に紹介している。10メートルを超える大作《箱庭―創造的な寓意―》を折り込みで掲載し、画面全体から立ち上がるエネルギーと構築的な造形感覚を体感できる構成。国内外で注目を集める若き才能の軌跡と、その結晶としての現在を捉えた一冊。
Stieglitz, Steichen, Strand: Masterworks from The Metropolitan Museum of Art
アルフレッド・スティーグリッツ、エドワード・スタイケン、ポール・ストランドという20世紀写真史を代表する三人の作家を紹介する、メトロポリタン美術館のコレクションによる作品集。2010〜2011年に開催された同館での展覧会にあわせて刊行された。写真を芸術の領域へと押し上げたスティーグリッツ、フォト・セセッションを牽引したスタイケン、ピクトリアリズムからモダニズムへの転換を象徴したストランドという、写真史の異なる潮流を体現する三者の作品を一堂に収録。未発表作や貴重な大型プリントを含む構成で、肖像や都市景観、抽象表現など多様な主題を通して、写真が芸術として成熟していく過程を辿ることができる内容となっている。
沖潤子 さらけでるもの
2022年に神奈川県立近代美術館で開催された展覧会の図録。刺繡を軸に独自の表現を展開してきたアーティスト、沖潤子の創作の全貌をたどる内容。母が遺した布や糸を素材に、衣服やバッグなど身近なものへ針を刺すことから始まり、次第に平面や立体へと領域を広げていった作品群を豊富な図版で紹介。布地に刻まれる無数の縫い目は、個人的な記憶や感情を超えて、時間や存在の痕跡そのものを浮かび上がらせる。繊細でありながら圧倒的な力を放つ刺繡作品の記録として、貴重な資料となる図録。
画帖 桂離宮 | ブルーノ・タウト
ドイツの建築家ブルーノ・タウトが、桂離宮の美を描きとめた画帖。1930年代に来日したタウトは、日本建築の中に見出した機能美と精神性に深く感銘を受け、スケッチや文章によってその本質を記録した。本書はその記録をまとめたもので、離宮の構造や意匠、庭園の構成を繊細な筆致で描写している。西洋の建築理論と東洋の美意識が出会う貴重な記録として位置づけられる。タウト生誕100周年を記念して復刻された、建築史的にも重要な資料。限定800部。別冊解説付属。
アイデア No.321 ヤン・チヒョルトの仕事
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.321(2007年3月号)は、モダン・タイポグラフィの巨匠ヤン・チヒョルトを総特集。青年期の習作から「新しいタイポグラフィ」の時代、ペンギンブックスやロシュ製薬での仕事までを包括的に収録し、その変遷と思想を豊富な図版と資料で辿る。ロビン・キンロスやクリストファ・バークらによる最新研究の論考に加え、チヒョルト自身による「紙面と版面の明晰なプロポーション」も邦訳掲載。
アイデア No.344 カレル・マルテンスの教え
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.344(2011年1月号)。前半では、オランダを代表するデザイナー、カレル・マルテンスの仕事と思想を「日常のグラフィック工学」と題して特集。活版印刷や独自の構成法を通して、日常の中に潜む造形原理を探るマルテンスの実践を豊富な図版とともに紹介する。後半は松本弦人による特集「メディアの遠心力」。デジタル黎明期から「サルブルネイ」「BCCKS」まで、メディアとデザインの新たな可能性を切り拓いてきた活動を振り返る。
アイデア No.349 松田行正デザイン図鑑
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.349(2011年11月号)。特集は、エディトリアルデザインから建築グラフィック、ダイアグラムまで幅広く手がけるデザイナー・松田行正。「牛 若丸出版」を主宰し、企画・執筆・造本を自ら行う独自の出版活動でも知られる松田の仕事を、書物と図像を軸に多角的に検証する。書物や図が連鎖し、互いに呼応し合う思考の構造を豊富な図版で提示する内容となっている。ヨースト・グローテンス、今田欣一らによる寄稿も収録。
アイデア No.343 山口信博/タイポグラフィの書窓から
アイデアNo.343(2010年11月号)。巻頭特集は、折形デザイン研究所を主宰するグラフィックデザイナー・山口信博。「相即の形」と題し、ブックデザインを中心に、活版印刷、折形、俳句、古物蒐集など、多岐にわたる活動を通してその思想と創作の根幹を探る。第二特集「タイポグラフィの書窓から」では、『TM』誌のカバーデザインや『オクタヴォ』の軌跡をはじめ、杉浦康平、平野甲賀、原研哉ら34名によるタイポグラフィ関連書籍の紹介を収録。日本と世界のデザイン思考を架橋する内容となっている。
ABC: Beitrage Zum Bauen | Lars Muller
1920年代のヨーロッパ建築前衛を象徴する雑誌『ABC: Beiträge zum Bauen』の復刻版。スイス・バーゼルで1924〜1928年にかけて刊行され、マルト・スタム、ハンス・シュミット、エル・リシツキー、エミール・ロートらが編集を務めた。合理主義的な設計思想や新しい建築技術、都市計画、社会構想などを論じ、バウハウスやロシア構成主義と並ぶ重要な運動体として機能した。建築を科学・技術・社会の融合としてとらえるその誌面は、モダニズム建築史における貴重な記録となっている。
Win Wenders: Einmal
ドイツの映画監督、ヴィム・ヴェンダースによるフォト・エッセイ集。映画のロケ地や旅先など、世界各地で撮影した写真と、「かつて…」という書き出しで綴られる44のエッセイを収録する。風景と記憶、時間の断片を結び合わせた構成は、読む者にヴェンダースの旅に同行しているような感覚をもたらし、静かなロードムービーのような余韻を残す。
岡崎和郎 見立ての手法 Who’s Who
彫刻家・岡崎和郎の代表的シリーズ「Who’s Who(人名録)」に焦点をあてた展覧会図録。ヨーゼフ・ボイス、ブランクーシ、デュシャン、北斎、瀧口修造など、岡崎自身に影響を与えた実在の人物を題材に、敬意とユーモアを込めて制作されたオブジェ群を紹介する。身近な素材をもとに、形の内側や偶然の造形から新たなイメージを立ち上げる岡崎の創作を、多彩な図版とともに辿る。半世紀を超える造形思考の軌跡を検証する内容となっている。
The Coffee Table Coffee Table Book
日常的でありながら意外と注目されないコーヒーテーブルに焦点を当てた一冊で、タイトルも軽妙な言葉遊びとなっている作品集。19世紀フランスから現代のリビングルームにいたるまで、130点を超えるテーブルを充実したキャプションとテキストとともに紹介。イサム・ノグチ、チャールズ&レイ・イームズ、ヴェルナー・パントン、ロン・アラッド、アズミ夫妻らの作品を収録。モダンからコンテンポラリーまでの発展と流行を描き、デザインやインテリアに関心のある読者必携の内容となっている。
ex-dreams もうひとつのミッドセンチュリーアーキテクチャ | 福島加津也
アルミニウム素材に着目し、モダンからポストモダンへの変換期に作られた建築をリサーチした資料集的一冊。アメリカを中心にフェアフィールド・ゴールデンドーム、ダウニーのマクドナルド1号店など建築の発展とともに写真や図面、実際に訪れた際の体験談などを文章・漫画・イラストで収録。
純粋思考物体 | 河村悟
1989年に書き終えられながら長く未刊だった幻の著作、詩人・河村悟による『純粋思考物体』を、約30年を経て書籍化した一冊。1ページにわずか1行という詩や断章、舞踏論、寓話、ポラロイド写真など113の断片で構成され、言葉と沈黙、思考と存在のあわいを探るような内容となっている。直木賞作家・佐藤究が企画、プロデュースとして参加。アトリエ空中線による装丁が作品の持つ静謐な緊張感を際立たせている。詩と哲学、そして視覚芸術の交点に立つ、稀有な思索の書。
グッドバイ ピカソ
20世紀を代表する芸術家、パブロ・ピカソの創作と日常を記録した写真集。報道写真家デヴィッド・ダグラス・ダンカンが17年にわたり密着し、アトリエでの制作風景から家族や友人との親密な時間までをとらえる。絵画や彫刻などの作品図版に加え、ピカソの人間像を伝えるエッセイも収録。カメラを通して描かれたもう一つの「ピカソの自画像」ともいえる内容で、画家の創造の源泉とその生の息づかいを鮮やかに映し出している。
アフリカンデザイン クバ王国のアップリケと草ビロード | 渡辺公三、福田明男
アフリカ中部・コンゴ民主共和国のクバ王国に伝わるラフィアヤシの織物を紹介する資料集。草ビロードやアップリケによって構成された幾何学的な文様は、リズムと偶然が生み出す独自の造形美をたたえている。織りや刺繍の技法、図形構成の分析などを通して、クバの人々が継承してきた造形感覚と美意識を探る。渡辺公三と福田明男による解説を付し、アフリカン・デザインの根源的な魅力を明らかにしている。
Spoons in African Art
チューリッヒのリートベルク美術館で開催された展覧会にあわせて刊行された一冊。木、骨、象牙などで作られたスプーンに焦点を当て、アフリカ美術におけるその造形と象徴性を探る。食事や儀式といった日常と信仰のあわいに用いられたスプーンを通して、アフリカ彫刻に宿る精神性と造形美を紹介。表現主義やキュビスムにも影響を与えた独自の美意識を、繊細かつ力強い作品群から読み解く。豊富なカラー・モノクロ図版と解説を収録している。
The Complete Pirelli Calendar Book
イタリアのタイヤメーカー、ピレリ社が1964年から1974年にかけて制作したカレンダーの写真を収録した作品集。ノベルティとして配布されてきた同カレンダーは、商業写真とファッション写真の境界を越えたビジュアル表現として知られ、サラ・ムーンやアレン・ジョーンズら著名写真家が撮影を担当している。洗練された構図と官能的なイメージが融合し、時代の美意識とスタイルを映し出す。10年間にわたるピレリ・カレンダーの軌跡をまとめた、写真史的にも貴重な資料となっている。
想像力博物館 | 荒俣宏
博物学者・作家の荒俣宏が構想した「想像力のための博物館」を誌上に展開した一冊。深海生物を特集した「アクアリウム」や、「寓意名画展示ギャラリー」「想像力文学展示室」など、多彩な展示室によって自然科学と幻想世界を往還する。装丁・構成は鈴木一誌。博物学的知とデザインの力が融合し、荒俣宏の豊かな想像世界が紙上に立ち上がる。
アルケオメトリア 考古遺物と美術工芸品を科学の眼で透かし見る
2012年に東京大学総合研究博物館で開催された展覧会の公式図録。考古遺物や美術工芸品を科学的手法で分析し、その内側に潜む歴史的・文化的情報を読み解く試みを紹介している。放射性炭素年代測定、X線CTスキャン、元素分析など、急速に進化する分析技術の原理と応用を解説し、縄文土器や漆工芸、化石標本など多様な資料の調査事例を収録。人文学と自然科学の協働によって、遺物に新たな生命を吹き込む「見ること」の再構築を提示している。
Snow-White | Gerhard Richter
ドイツを代表する現代アーティスト、ゲルハルト・リヒターによる作品集。2005年11月に制作されたエディション作品「Snow-White」全100点を、カラー図版で収録する。抽象絵画と写真の間を行き来する独自の表現は、柔らかな色面や微細なぼかし、質感のレイヤーによって構成され、見る者に多様な解釈を促す。本作はリヒターの探求するイメージの曖昧さや記憶の不確かさを象徴するシリーズとして位置づけられている。
ゲルハルト・リヒター
2022年に東京国立近代美術館などで開催された巡回展の公式図録。ドイツを代表する現代美術家、ゲルハルト・リヒターの16年ぶりとなる大規模な個展を記録している。代表作《ビルケナウ》(2014)をはじめ、ペインティング、ドローイング、写真、ガラス、映像作品など、多岐にわたる表現を収録。60年に及ぶ創作活動を通して、見ることや描くことの根源を問い続けてきたリヒターの思索をたどる内容となっている。シリーズごとの作品解説や論考、寄稿エッセイも充実し、その芸術的到達点を多面的に検証している。