漕 Kogi | 津田直
写真家・津田直による作品集で、琵琶湖を舞台に撮影した〈漕 Kogi〉シリーズをまとめている。波立つ水面や湖上の月、日本家屋や雨の気配といった風景を写し取り、写真と散文を織り交ぜながら構成されている。かつて江戸時代に琵琶湖を往来した丸小船の存在を重ね合わせることで、現在と過去が交錯する時間の流れを示し、水に宿る記憶を探る内容となっている。静謐で詩的な視点から、水と人との関係を浮かび上がらせている。
Woosters | Ted Stamm
アメリカのアーティスト、テッド・スタムの活動を初めて本格的に紹介するモノグラフ。1970年代のニューヨークを拠点に、黒という色彩に徹底して向き合い、ミニマルな絵画から街頭での介入的な表現までを展開した。本書では、晩年まで制作と生活の場としたウースター・ストリートに着想を得た「ウースター・シリーズ」を中心に、絵画、紙作品、ステンシル、写真を収録。都市空間と絵画表現の関係を探ったスタムの実践と、その独自の造形感覚を紹介している。<
Novo Typo Color Book | Mark van Wageningen
オランダ・アムステルダムを拠点とする独立系のタイポグラフィ、グラフィックデザインスタジオNovo Typoによるビジュアルブック。色とタイポグラフィの新たな関係性を探求する実験的プロジェクトをまとめた1冊。多色で組むためにデザインされた書体「Ziza(ジザ)」を用いて使用例を紹介。限定750部。英語表記。
Ehrlich Yanai Outside-In: New California Modernism
建築設計事務所・EYRC Architectsによる住宅建築集。スティーブン・アーリックとタカシ・ヤナイの設計による、南カリフォルニアを中心にサンフランシスコやヒューストン近郊に建てられた16の住宅プロジェクトを収録している。海や山、豊かな自然環境と調和しながら、開放的でシンプルな造形に地域の気候や文化的要素を融合させた建築を多数掲載。モダニズムの理念を継承しつつ、現代の生活様式に寄り添う新しいカリフォルニア建築の姿を紹介している。
Mies Van Der Rohe
20世紀モダニズムを代表する建築家、ミース・ファン・デル・ローエの仕事を写真と図版でたどるモノグラフ。1929年のバルセロナ万国博覧会ドイツ館(バルセロナ・パヴィリオン)や、アメリカ移住後に手がけたニューヨークのシーグラム・ビルなど、建築史に残る代表作を中心に、家具デザインもあわせて紹介している。「Less is more(より少ないことはより豊かである)」という思想のもと、鋼とガラスによって切り拓かれた簡潔で力強い空間構成を、視覚的に理解できる一冊。
Naoto Fukasawa
プロダクトデザイナー・深澤直人の英語版として初めて刊行された作品集。自身の監修のもと、携帯電話「INFOBAR」や電卓など代表作を含む100点以上を豊富な図版とともに解説している。寄稿者には同じくプロダクトデザイナーのジャスパー・モリソンや原研哉、彫刻家アントニー・ゴームリーらが名を連ね、国際的な視点から深澤直人の活動を論じている。装丁は原研哉が手がけている。
The Dymaxion World of Buckminster Fuller
デザイナーや建築家、詩人などとして活動したバックミンスター・フラーの代表的コンセプト「ダイマクション(Dymaxion)」について紹介した一冊。「最小のエネルギーで最大の成果を生む」という思想のもと誕生した、ダイマクション・カー、ジオデシックドーム、ユニット型バスルームなど革新的デザインを写真や図解とともに解説する。かつて夢想家と見なされながらも、のちに時代に先駆けていたことが証明された思索の軌跡を描き出す。
Eames Design イームズ・デザイン展(表紙オレンジ)
2001〜2002年に東京都美術館などで開催された展覧会の図録。ミッドセンチュリーを象徴するデザイナー、チャールズ&レイ・イームズ夫妻の仕事を総覧する一冊。成形合板の技術で革新をもたらした椅子をはじめ、家具、建築、映像、玩具、テキスタイルなど、夫妻が生涯にわたり手がけた多様なデザインワークを豊富な写真と資料で紹介する。優れた機能性と美しい造形を兼ね備えたイームズ作品の広がりと、20世紀アメリカのモダンデザインへの大きな影響を伝えている。
粟津潔の仕事 1949-1989
日本を代表するグラフィックデザイナー、粟津潔の40年にわたる創作活動を総覧する作品集。初期のスケッチからポスター、ブックデザイン、舞台美術に至るまで、多岐にわたる仕事を豊富な図版で紹介している。戦後日本のデザイン史を牽引した粟津の実験精神と社会へのまなざしを通して、グラフィックデザインの可能性を再考させる一冊。
The Glove: More than Fashion
手袋という身近なアクセサリーを、ファッションにとどまらない文化史の視点から読み解く一冊。イヌイットの防寒用ミトンやボクシンググローブ、ゴム手袋、教皇の手袋から、マーク・ジェイコブスやドリス・ヴァン・ノッテンによるデザインまで、多様な実例を通して手袋の広がりを紹介している。実用品としての防寒や保護の機能にとどまらず、決闘に用いられる象徴的な道具や、愛の証としての意味を担った歴史的背景にも光を当てる内容。文化や宗教、スポーツの領域を横断しながら、手袋の魅力をあらためて提示している。
石上純也 ちいさな図版のまとまりから建築について考えたこと
INAX出版による『現代建築家コンセプト・シリーズ2』として刊行された、建築家・石上純也の思考と表現を探る一冊。スケッチ、図面、イラスト、絵画、コラージュ、写真といった多様な図版とテキストを通じて、建築をめぐる思考のプロセスを可視化する。モダニズムやポストモダニズムとは異なる次元で、建築の存在や空間の在り方を問い直すその試みは、石上の建築そのもののように繊細で精緻な関係性に貫かれている。
谷口吉郎・谷口吉生の建築 金沢が育んだ二人の建築家
2014年に金沢市民芸術村で開催された展示の図録。金沢が育んだ二人の建築家、谷口吉郎と谷口吉生の作品を紹介。藤村記念堂、帝国劇場、豊田市美術館、ニューヨーク近代美術館ほか、金沢を起点に日本各地から世界へと広がる建築の軌跡を、豊富な図版と解説で収録。建築の世界を通して、建築が果たす役割とは何か、都市のあり方とは何かを問い直す。
Chocolate チョコレート
2007年に21_21 DESIGN SIGHTで開催された展示の図録。企画は三宅一生、佐藤卓、深澤直人。国内外のアーティストやデザイナーが、誰もが知る普遍的な食べ物であるチョコレートを題材に制作した、映像、立体、インスタレーションなど約70点の作品を収録している。ワークショップを重ねながら生まれた多様な視点は、デザインの楽しさだけでなく、嗜好品としてのチョコレートが持つ社会性や文化的背景にも光を当てている。
Water 水
2007年に21_21 DESIGN SIGHTで開催された展示の図録。ディレクションは佐藤卓。日常にあまりに身近な存在である水をあらためて見つめ直し、展示に沿った5つの構成で、写真、映像、テキスト、インスタレーションなど多様な表現を収録している。コンセプト・スーパーバイザーに文化人類学者の竹村真一を迎え、一杯の牛丼に約2000リットルの水が必要とされる事実や雨水利用の仕組みを可視化する展示、超撥水素材による体験型作品、水の美しい表情をとらえた写真などを通して、無形でつかみどころのない水の多面性を紐解いている。
XXIst Century Man 21世紀人
2008年に21_21 DESIGN SIGHTで開催された展覧会の図録。企画・ディレクションは三宅一生。21世紀という転換点に立つ人間のあり方を見つめ、「人の身体」と「ものづくり」の関係を軸に、現代のアーティストたちの作品を紹介している。日用品や家電の部品、廃材など身近な素材を用いたオブジェやインスタレーション、身体性や手仕事に着目した表現を通して、現代社会に潜む危うさを問いかけると同時に、21世紀を生きる人間の可能性や希望も提示する構成となっている。特別出展作家として、イサム・ノグチ、ロン・アラッド、ティム・ホーキンソンが参加。
Stockholm Design Lab 1998-2019
1998年にストックホルムで設立されたデザインスタジオ、Stockholm Design Labの作品集。ノーベル賞やアディダス、イケアなどのブランディングをはじめ、約20年にわたる仕事を業界・テーマ別に整理して紹介している。ビジュアルアイデンティティの制作過程や初期案、未公開資料も収録し、シンプルで力強い発想がどのように形になってきたのかが伝わる一冊。
ヤン・チヒョルト 書物と活字
20世紀モダン・タイポグラフィを代表するタイポグラファー、ヤン・チヒョルトによる欧文書体の名著『Meisterbuch der Schrift』(1952年)の日本語版。書体の良し悪しの見極め方や適切な選定、レイアウトの考え方を、豊富な図版とともに平易に解説している。古典から近代まで200点以上の活字やレタリングを紹介し、文字の使い方を体系的に整理。ペンギン・ブックスのアート・ディレクターとしても知られるチヒョルトの実践と思想が凝縮された、タイポグラフィの基礎を学ぶための定本として位置づけられている。
構成的ポスターの研究 バウハウスからスイス派の巨匠へ
多摩美術大学ポスター共同研究会による、構成的ポスターをテーマとした研究書。バウハウスからスイス派に至る合理的デザインの系譜を軸に、ポスターがどのような造形要素と思考によって美と意味を成立させているのかを整理している。さらに竹尾のポスターコレクションから多数の図版を収録し、マックス・ビルやヨーゼフ・ミュラー=ブロックマンらの代表作を紹介。理論と実作を往復しながら、構成的ポスターの全体像を示している。
青木淳 Jun Aoki Complete Works 2
建築家、青木淳による「青森県立美術館」を主題にした作品集。冬の雪原に静かに佇み、やがて埋もれていく建築の姿を、見る者に追体験させる。写真家・鈴木理策が撮り下ろした全119点の写真に加え、設計図面や関連資料、自身による論考と詳細な解説も収録。「土の展示室」の施工過程を記録した「土のレポート」も付され、建築・写真・思考が交差する。
In Between Places | Uta Barth
写真家、ウタ・バースの作品をまとめた初の本格的な作品集。日常的な室内や光の移ろいを題材に、ピントのずれや明暗、構図の変化を通して「見ること」そのものに目を向けた写真が収録されている。はっきりと対象を示さないイメージは、身近でありながらどこか掴みきれない感覚を呼び起こし、視覚の曖昧さや時間の流れを静かに感じさせる。代表作を丁寧に選び抜いた構成により、バースの一貫した関心と写真表現の特徴がわかりやすく伝わってくる内容となっている。
Approaching Nowhere | Jeff Brouws
アメリカの写真家、ジェフ・ブラウズによる作品集。車で移動するアメリカの風景を背景に、郊外の街並みや建物、衰退した中心市街地などを静かに見つめている。宅地開発やショッピングモール、高速道路が広がる一方で、かつての面影を残す場所や、空洞化した都市の姿にもレンズを向け、アメリカ社会が抱える理想と現実のずれを浮かび上がらせる。郊外が自然を侵食していく光景や、荒廃した都市内部の記録も収録。
All American Twelve | Bruce Weber
アメリカの写真家ブルース・ウェーバーが10年以上にわたり続けてきた、写真集であり文学誌でもある独自の出版プロジェクト『All-American』シリーズ第12号。本号のテーマは、自由と信念を体現する人物たちの人生から「学び」を引き出す。俳優であり活動家のダニー・トレホダニー・トレホの異色の成功物語、ファッションエディターのポリー・メレンは、輝かしいキャリアを通じて好奇心の重要性を説く。写真・詩・エッセイが混在する構成で、リアルな言葉と姿を通じ、自由に生きることの意味を描き出す。
Branded Youth and Other Stories | Bruce Weber
アメリカの写真家、ブルース・ウェーバーによる作品集。ロンドンのナショナル・ポートレート・ギャラリーでの展覧会にあわせて刊行されたもの。ボーイスカウトや若者、家族、著名人など多様な被写体を通して、若さや友情、自由といったテーマを写し出している。ファッション写真で知られるウェーバーだが、本書ではポートレートや日常の情景を中心に、人間のもつ素朴な魅力や感情に目を向けている。
柳宗悦没後60年記念展 民芸の100年
2021年に東京国立近代美術館で開催された展覧会にあわせて刊行された図録。民藝運動を牽引した柳宗悦の没後60年を契機に、陶磁器、染織、木工、民具、民画、出版物や写真資料など、全国各地から集められた450点を超える作品と資料を通して、その100年の歩みを検証している。美術館・出版・流通という三つの軸を中心に展開された民藝の実践に着目し、蒐集や鑑賞にとどまらない社会的活動や地域とのネットワークを丁寧に辿る。
Somewhere Sideways Down at an Angle but Very Close
ドイツ出身のアーティスト、フロリアン・マイゼンバーグによる展示図録。写真やメッセージといったデジタルデータをプリントアウトし、スキャンや再デジタル化を重ねることで、デジタルと物質のあいだを往復する作品を紹介している。本書は、その膨大なアウトプットから抜粋して再構成したもので、単なる記録にとどまらず、印刷物として新たなかたちを与えられている。拡張現実(AR)アプリにも対応し、視覚体験を別の感覚へと広げる試みも盛り込まれている。
イサム・ノグチと長谷川三郎 変わるものと変わらざるもの
2019年から横浜美術館やノグチ美術館などを巡回した展覧会の図録。彫刻家のイサム・ノグチと画家の長谷川三郎の交流に焦点を当て、作品、記録写真、書簡や資料を通して両者の思考と実践をたどっている。戦後の日本で再会した二人は、東洋と西洋、伝統とモダニズムの緊張関係を見据えながら、芸術と社会の新たな関係を模索した同時代の探究者だった。風景、人体表現、抽象、素材への関心といった共通の主題を軸に、分野を越えて交わされた対話と、その後の創作への影響を丁寧に伝えている。
Isamu Noguchi: Sculptural Design
20世紀を代表する芸術家イサム・ノグチの創作活動を紹介する作品集。彫刻を軸に、舞台装置、照明器具、インテリア、公共空間のデザインなど多岐にわたる分野での仕事を収録している。制作風景を捉えた貴重な写真や、師コンスタンティン・ブランクーシとの関係をめぐる記事も掲載し、素材と空間の関係を探求したノグチの造形思想を多角的に検証している。
Volunteer | Paul Seawright
イギリスの写真家、ポール・シーライトによる作品集。アメリカ各地に設けられた軍のリクルート(志願兵募集)拠点とその周辺の風景を撮影したシリーズを収録している。郊外のショッピングセンターや仮設オフィスなど、一見どこにでもありそうな場所に目を向け、戦争が社会や風景に残した影を静かに映し出す。華やかな「アメリカン・ドリーム」の周縁で、軍が若者たちを募る現実。シーライトはその無名性の高い風景を通して、遠い戦地での戦争が国内の暮らしや土地に与える影響を淡々と捉えている。
Birds of a Feather | Luc Tuymans
ベルギーを代表する画家、リュック・タイマンスの近年の作品に焦点を当てた作品集。2015年に開催された同名展にあわせて刊行され、スコットランド啓蒙思想への関心を起点とする絵画群を収録している。18世紀の肖像画家ヘンリー・レイバーンによる哲学者像を参照した小品や、ゴヤの「黒い絵」を想起させる重苦しい画面、さらには実在の事件を題材にした肖像など、理性と不穏さが交錯する主題が展開される。
Loewe: Womenswear Spring Summer 2016
ラグジュアリーブランド、ロエベの2016年春夏ウィメンズコレクションをドキュメントした オフィシャル・カタログ。コレクションは、クリエイティブ・ディレクターのジョナサン・アンダーソンによるウィメンズウェアで構成。カラーとモノクロのヴィジュアルを組み合わせ、アートディレクションを手がけた M/M (Paris) による独自の表現でコレクションの魅力を伝える。写真は ジェイミー・ホークスワース、スタイリングは ベンジャミン・ブルーノが担当。Spring/Summer 2016のランウェイのルックを収録した冊子付属。限定1000部。
SUNSET | Jens Klein
ドイツの写真家、イェンス・クラインによる、東西ドイツの国内国境を越えようとした人々の脱出ルートを描いた写真集。収められた写真は、シュタージ記録局のアーカイブから選ばれ、1961年から1989年に秘密警察、警察、国民人民軍の国境警備隊によって撮影されたもの。監視や国境施設のチェック、脱出の試みの記録を通じて、逃亡者の運命ではなく彼らが選んだルートに焦点を当てている。ページをめくるとトンネルや水路、列車や街の風景をたどる迷路のような旅が展開し、歴史的証言と個人の想像が交錯する。
Books on Japan 1931-1972 日本の対外宣伝グラフ誌 | 森岡督行
森岡書店店主・森岡督行が、1931年から約40年にわたって発行された日本の対外宣伝グラフ誌を編纂。日本工房の『NIPPON』や東方社の『FRONT』など、全106点のグラフ誌から選りすぐった表紙と本文をカラーで紹介している。日本の文化や風景をテーマとしたものに加え、戦時下には富国強兵を前面に押し出した号も含まれており、グラフィックの魅力とともに、当時の時代背景や思想の変遷を読み取ることができる。
Arte Povera 1966-1980 Books and Documents | Giorgio Maffei
1960〜70年代イタリアを代表する美術運動「アルテ・ポーヴェラ」に関わった作家たちが、1966年から1980年にかけて制作・刊行した書籍や資料をまとめた一冊。ジョバンニ・アンセルモ、アリギエロ・ボエッティ、ルチアーノ・ファブロ、ミケランジェロ・ピストレットほか、主要作家によるアーティストブックや展覧会資料をカラー図版で多数収録。彫刻やインスタレーションといった「作品」ではなく、出版物という視点からアルテ・ポーヴェラを捉え直す。
Nick Waplington: Truth or Consequences
イギリスの写真家、ニック・ワプリントンによる作品集。ニューメキシコ州の小さな町、トゥルース・オア・コンシクエンシズで約10年にわたり撮影された写真をまとめている。1950年にラジオ番組の名前を町名として採用したこの場所で、ワプリントンは特異な名前の背後にある人々の暮らしや風景を淡々と記録。同時に、エドワード・ウェストンやウォーカー・エヴァンスといったアメリカ写真の先駆者たちへの敬意も織り込みながら、土地と写真史の関係を静かに問いかけている。
Tokyo Up Close | 山内道雄
写真家、山内道雄による作品集。2005年から2006年にかけて東京で撮影されたストリート・スナップを収録している。路上に散らばる大量の煙草の吸殻、野良猫、ディスプレイされたサングラス、子どもたちと対照的に写る大人の姿など日常の断片を、独特の視点と大胆な構図で鋭く切り取る。
街 Tokyo 1976-2001 | 内堀晶夫
写真家、内堀晶夫による作品集。1976年から2001年にかけて撮影された写真から、変わりゆく東京の街の姿をたどっている。木造住宅が残る下町の風景、人であふれる交差点、夜の繁華街、半纏姿の女の子、都心に立ち並ぶビルや団地など、高度成長の余韻とともにやがて失われていった日常の光景が静かに写し取られる。特別な出来事ではなく、当時そこに確かにあった街の時間と空気を伝える一冊。
new message | ミヤギフトシ
沖縄出身のアーティスト、ミヤギフトシによるアーティストブック。自身のアイデンティティを紐解きながら、日常のささやかな出来事を写真や切り絵、インスタレーションなど多様な手法で表現する。沖縄のガム、完成することはない赤い手袋、紅茶が染み出す数分間、誰かの財布にしまわれた写真、震災で割れたカップなど、日常の細やかな「気づき」を作品と言葉で紡ぎ出す。
bauhaus: form und reform
1919年の創設から100年を迎えたバウハウスの思想と造形を、家具や日用品を通してたどる展覧会図録。バウハウスを創設したヴァルター・グロピウスの理念を起点に、家具、陶磁器、ガラス、金属作品などを紹介し、機能と造形を結びつけたデザインの広がりを紹介。ヴィルヘルム・ヴァーゲンフェルトやマリアンネ・ブラントの作品をはじめ、前史から後世への影響までを視野に収め、日常の「もの」からバウハウスの社会的・芸術的意義を読み解いている。
LINE STYLE | 三嶋典東
イラストレーター、グラフィックアーティストとして活動する三嶋典東による作品集。25年にわたり探求してきた「線」の表現をテーマに、構想10年を経て完成した本書には、500点におよぶ線画作品を収録。緻密で繊細な描線が生み出す独自の造形世界を展開している。また、当時の制作ノートや「描線論」と題されたテキストも併せて掲載し、作家の思考と創作のプロセスを多角的に読み解くことができる一冊。
Stenberg Brothers: Constructing a Revolution in Soviet Design
ロシア・アヴァンギャルドを代表するグラフィックデザイナー、ステンベルク兄弟の仕事を紹介する、ニューヨーク近代美術館の展覧会図録。ソビエト時代の無声映画ポスターやプロパガンダポスターを中心に、鮮烈な色彩と大胆な構図の作品を多数カラーで収録している。彫刻や建築、舞台美術にも関わった兄弟ならではの多彩な感覚と、構成主義の手法を生かした動きのあるデザインが際立つ一冊。
Lechts Rinks: Orientierung Zwischen Architektur und Parlament | Baumann&Baumann
ドイツのデザインオフィス、バウマン&バウマンによる作品集。ドイツ連邦議会の新庁舎のために設計されたコミュニケーション・システムを記録している。約4年にわたる設計プロセスを豊富な資料とともに収録し、建築空間と議会運営を結びつける情報デザインのあり方を具体的に示している。建築とグラフィック、政治と公共性が交差するデザインの実践を明らかにしている。
Moderne Mode 2003 | Bernhard Willhelm
ドイツ出身のデザイナー、ベルンハルト・ウィルヘルムに焦点をあてた展覧会「Moderne Mode」にあわせて刊行された書籍。アントワープ王立芸術アカデミーで学び、現在はパリを拠点に活動するウィルヘルムは、伝統的衣装や編み物の装飾を引用・分解しながら、既存の衣服の機能や役割を解体し、新たな身体像を提案してきた。本書では、彼の代表的なコレクションをはじめ、ファッション写真、雑誌記事、ランウェイの記録、さらには彼を取り巻く芸術的環境を紹介。アートとファッションの交錯から生まれる独創的なデザインの軌跡を明らかにしている。
Punk’s Dead | Simon Barker
セックス・ピストルズの親衛隊として活動したサイモン・バーカーによる写真集。ポケットカメラで撮影されたポートレートには、後にパンクスとして名を馳せるジョーダン、ニコ、スージー・スー、マルコム・マクラーレンらの姿が収められている。ステージ上のイメージとは異なる日常の表情や、個性豊かなファッションが親密な距離感で記録されており、当時の空気を鮮やかに伝える内容となっている。
Interaction of Color | Josef Albers
20世紀を代表する美術家・教育者、ジョセフ・アルバースによる色彩理論の名著。色は固定されたものではなく、隣り合う色との関係によって見え方が変わるという考え方を、豊富な色見本と簡潔なテキストで示している。1963年の初版以来、教育現場で読み継がれてきた本書は、色の相対性や強度、温度、透明感の錯視などを体験的に理解させる構成が特徴。理論と実践を結びつける視点から、色彩への感覚をあらためて鍛え直すための基礎資料として位置づけられている。