アイデア No.212 AGI ’88 TOKYO
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.212(1989年1月号)。巻頭特集「AGI ’88 TOKYO」では日本で初めて開催されたAGI(世界グラフィック連盟)コングレスの模様を紹介するとともに、国内外のデザイナーたちによる"TOKYO"をテーマにしたグラフィックスなどを掲載。そのほか「第30回イラストレーターズ展」「ニューヨークのアメリカン・タイポグラフィ」「葛西薫の仕事」どを収録。
アイデア No.211 第2回世界ポスター・トリエンナーレ・トヤマ 1988
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.211(1988年11月号)。巻頭特集「第2回世界ポスター・トリエンナーレ・トヤマ1988」では審査講評をアラン・フレッチャーや田中一光らが務め、応募作品数2,400点の中から選びぬかれたポスター群を紹介。そのほか「ニューヨーク・タイプディレクターズ・クラブ東京展1988」「The広告写真,広告写真の推移とその時代背景」などを収録。
アイデア No.210 ミシェル・ブーヴェ
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.210(1988年9月号)。 巻頭特集「ミシェル・ブーヴェ ドミニク・ジュベールー」では、フランスのグラフィックデザイナー、ミシェル・ブーヴェの映画やバレエ、演劇のポスター作品を図版とともに紹介し、そのデザイン哲学を紐解く。さらに「植松國臣ポスター展」「第55回毎日広告デザイン賞」などの記事も収録。
アイデア No.194 JAGDAショーのヤン・レニツァのポスター
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.194(1986年1月号)。巻頭特集「JAGDAショーの,ヤン・レニツァのポスター」では、ポーランド出身のグラフィックデザイナー、ヤン・レニツァによる映画や美術館のポスターをカラー・モノクロで紹介し、その独自の造形感覚と社会性を探る。さらに「マイケル・シュワブ、カリフォルニアの光と影」「イコグラーダ・ニース’85国際会議」、坂根進、麹谷宏、勝井三雄などの記事も収録。
Photo Album | Chino Otsuka
写真家、大塚千野による作品集。10歳で日本から英国へ移住した彼女が、自身の経験をもとに制作した1998年から2012年までの7つのシリーズを収録。記憶、帰属意識、アイデンティティといったテーマのもと、セルフポートレートや旧居の再訪、写真アルバムの欠けたページなど、時間の経過や記憶の不確かさを視覚化した作品を通して、東西の文化にまたがる自身のルーツと向き合っている。過去と現在、実在と想像が静かに交錯する構成は、私的な記憶の断片が、やがて普遍的な問いへと開かれていく過程を映し出している。
American Silence: The Photographs of Robert Adams
アメリカの写真家、ロバート・アダムズの半世紀にわたる活動を総覧する作品集。大草原や森、海辺といった自然の静謐な光景を写し出す一方で、郊外の住宅地、ハイウェイ、商業施設など、開発と消費の痕跡にも目を向けている。彼が「光の沈黙」と呼ぶアメリカ西部の風景には、自然の美しさがもたらす安らぎと、それを損なう人間の営為への道徳的葛藤が共存する。およそ175点におよぶ写真を通じて、アダムズは進歩の名のもとに変貌する風景を静かに見つめ、失われゆく自然とそこに残る記憶を静かに封じ込めている。
WERK Magazine No.23 Masako Anotani
シンガポール発のヴィジュアルマガジン『Werk Magazine』第23号。テセウス・チャン率いる『Werk』誌とSteidlによる共同企画として、アーティスト・安野谷昌穂を特集。「COMME des GARÇONS」や「ZUCCa」とのコラボレーションでも知られる彼女のドローイング、コラージュ、ミクストメディアによる作品を多数収録。誌面全体がひとつのアート作品のように構成されており、印刷・造本の実験性も高い、視覚的にも触覚的にも刺激に満ちた一冊。
Jean-Michel Basquiat
アメリカの画家、ジャン=ミシェル・バスキアの作品を収録した2冊組作品集。パリのエンリコ・ナヴァッラ・ギャラリーより刊行されたもので、わずか10年ほどの短い活動期間に制作された膨大な作品群を、大判カラー図版で網羅して掲載している。巻頭には論考やエッセイなどのテキストを収録し、年代ごとの作品リストも付す。ストリートカルチャーと美術史の文脈を自在に行き来したバスキアの創作の全貌を明らかにしている。
Charles Ross: The Substance of Light
アメリカの現代アーティスト、チャールズ・ロスの創作を総覧する作品集。ニューメキシコの砂漠に建設された巨大な地形彫刻〈スター・アクシス〉や、木のパネルに太陽光を焼き付けた〈ソーラー・バーンズ〉シリーズなど、光と時間、宇宙の運行を素材とする壮大な作品群を紹介している。40年以上にわたる制作の軌跡を、初期の構成的作品から代表作に至るまで豊富な図版とテキストで構成。自然現象を芸術の言語へと変換し、光の持つ物質的かつ精神的な力を多角的に検証している。
Labyrinth of UNDERCOVER: 25 Year Retrospective
2015年に東京オペラシティアートギャラリーで開催された展覧会の図録。デザイナー・高橋盾によるファッションブランド〈UNDERCOVER〉の設立25周年を記念して刊行された。ストリートカルチャーとハイファッションを融合させ、音楽やアートと密接に関わりながら独自の世界観を築いてきたアンダーカバーの初期から2015年までの歩みを紹介。約100点の図版を収録し、高橋盾の創作思想とブランドの進化を追っている。
Sculputures on the Page | Tony Cragg
イギリスの彫刻家、トニー・クラッグによる作品集。1997年にロンドンのホワイトチャペル・アート・ギャラリーで開催された展覧会にあわせて刊行され、1996年にヘンリー・ムーア・スタジオで制作された作品を中心に構成されている。彫刻の表面にドローイングやスケッチが重ねられ、立体と平面、形と物質の境界に生まれる思考の軌跡を視覚的に捉えている。素材の変化や構成の過程を通して、クラッグが追求してきた形態と概念の関係を明快に示し、彫刻という行為の根源にある創造のプロセスを探る視点となっている。
ミヒャエル・ボレマンス アドバンテージ
ベルギーの現代美術家、ミヒャエル・ボレマンスの個展「アドバンテージ」にあわせて刊行された公式図録。2014年に原美術館で開催された本展では、2001年から2013年にかけて制作された絵画作品およそ40点を紹介。静謐な構図の中に潜む不安や緊張、演劇的な空気感が特徴で、ボレマンスが描く人物たちは物語の一場面のように時間を止められた存在として現れる。現実と虚構の境界を曖昧にしながら、人間の内面にひそむ静かな狂気を映し出している。
Nomata Paintings | 野又穫
実在しない建造物を独自の視点で描き続ける画家、野又穫の画集。1991年以降に発表された巨大な架空建築物のペインティング作品をカラー図版で多数収録する。緻密な描写と幻想的な構図によって構築された建造物は、現実と空想の境界を揺さぶり、見る者を異世界へと誘う。寄稿は建築家・磯崎新が担当し、作品の背景や創作の意図に迫る論考を通して、野又の世界観を多角的に読み解く内容となっている。
Gerhard Richter: Paintings 1996-2001
ドイツを代表する現代アーティスト、ゲルハルト・リヒターによる作品集。2001年にニューヨークのマリアン・グッドマン・ギャラリーで開催された展覧会にあわせて刊行されたもので、1996年から2001年に制作された抽象画および具象画の新作約57点をカラーで収録している。絵画の表層を削り取るようにして生まれる色の層や偶然の痕跡が、リヒターの探求する「見ること」と「描くこと」の関係を鮮やかに示す。美術史家ベンジャミン・ブクローによる論考も収録され、リヒターの芸術的到達点を明らかにしている。
Ben Shahn: His Graphic Art
20世紀アメリカを代表する画家、ベン・シャーンのグラフィック作品をまとめた作品集。ペン画、デッサン、書籍の挿絵など、絵画と印刷の領域を往還しながら生み出された作品をカラーおよびモノクロ図版で多数収録している。社会的主題への鋭い眼差しと、人間への共感に満ちた詩的な線描が交錯し、シャーン独自の造形言語の展開を浮かび上がらせている。
Paul Klee: Life and Work
20世紀を代表するスイスの画家、パウル・クレーの創作と生涯を包括的にまとめた作品集。幼少期からアヴァンギャルド期、バウハウス・ヴァイマール校での活動、そして晩年に至るまでの歩みを、約500点におよぶドローイング、絵画、水彩、彫刻、写真資料などとともに時系列で構成している。クレー家の未公開資料やアーカイブも多数収録し、彼の芸術的探求の全貌を新たな視点から明らかにしている。
Igarashi Sculptures | 五十嵐威暢
彫刻家・デザイナー、五十嵐威暢の作品集。サントリー、明治乳業、カルピス、パルコなど数多くの企業ロゴを手がけ、日本のグラフィックデザイン史に重要な足跡を残した五十嵐が、立体的なアルファベット彫刻を通して探求してきた造形の軌跡を紹介する。文字という記号を素材としながら、形態の均衡と空間の緊張を探る独自の造形思考が随所に表れている。本人によるテキストも収録され、デザインから彫刻へと展開した五十嵐威暢の思想と実践の関係を明快に伝えている。
The Flock | Marianne Mueller
スイスの女性写真家マリアンヌ・ミュラーの作品集。ブルックリンの屋上でハトを育てる老人の姿を、数か月にわたり観察し撮影したシリーズを収録。平凡で日常的な光景の中に潜む詩的な美と、都市と自然、人と群れの関係を見つめている。ドキュメンタリー的な視点と抽象的な構図が交錯し、飛び立つ鳥たちの軌跡がまるで空に描かれた筆致のように映し出される。自由と束縛、個と集団、天と地のはざまを象徴的に描き出し、現代社会における「自然」のあり方を静かに問いかける。巻末には「バードマン」と呼ばれる老人へのインタビューも収録し、写真とは異なるもうひとつのまなざしを添えている。
As the Call, So the Echo | 奥山由之
写真家・映像監督、奥山由之による作品集。友人家族とその周囲の人々と過ごした2年以上の時間をもとに構成され、当初は作品化を目的とせず、ただ目の前の光に反応するように撮影された写真が並ぶ。色彩と構成の美しさを際立たせる4章構成で、家族や友人との関係、命のつながり、そして日常に潜むかけがえのない気配が、具象と抽象を行き来しながら静かに浮かび上がる。
中華幻紀 | 島尾伸三
写真家・島尾伸三による中国紀行の集大成。1981年からおよそ30年にわたり、北京、上海、マカオ、広州、香港など各地を旅しながら撮影した写真を収録している。市場や路地、子どもたちの姿、夜の街に灯るネオンなど、日常の風景に潜む幻のような気配を繊細にとらえた作品群。豊富な図版に加え、中国語と日本語による言葉が添えられ、時間と記憶が交錯するアジアの情景を映し出している。
Eating With The Eyes | Harry Pearce
グラフィックデザイナーであり〈ペンタグラム〉のパートナーとしても知られるハリー・ピアースによる写真集。幼少期に父から贈られたペンタックスを手にして以来、偶然の瞬間や人為的な痕跡、風景の中の小さな違和感を丹念に記録してきたピアースが、世界各地で10年以上にわたり撮りためた写真をまとめている。悲哀やユーモア、詩情が交錯するイメージの連なりは、日常に潜むリズムと人間の営みを静かに映し出す。彼が語る「偶然は存在せず、アイデアのほうからこちらを見つけにくる」という信念が、デザインの根源にある直感と観察の力を鮮やかに提示している。
ニュー・ドキュメンタリー | ホンマタカシ
写真家・ホンマタカシの初個展「ニュー・ドキュメンタリー」にあわせて刊行された展覧会図録。2011年から2012年にかけて金沢21世紀美術館、東京オペラシティアートギャラリー、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館を巡回し、木村伊兵衛写真賞受賞後の活動を中心に構成されている。〈Tokyo and My Daughter〉〈M〉〈Trails〉などの代表的シリーズを収録し、デザインは服部一成が手がけた。都市の光景や個人的記憶を行き来しながら、写真のリアリティと虚構の境界を探るホンマタカシの思考を多面的に示している。
Lunar Landscapes: Maasvlakte 2 | Marie-Jose Jongerius
オランダの写真家、マリー=ジョゼ・ヨンゲリウスによる写真集。ロッテルダム港の大規模拡張計画「第2マースフラクト」を舞台に、夜間のみ撮影された作品群を収録している。人工光に照らされた造成地は、産業インフラの現場でありながら、どこか未知の惑星を思わせる静謐な風景として立ち現れる。ヨンゲリウスの観察的まなざしと詩的感性が交錯し、工業と自然、現実と想像のあわいを映し出している。2012年、オランダ写真美術館での展覧会にあわせて刊行されたもの。
杉本博司 ロスト・ヒューマン展
2016年に東京都写真美術館で開催された「杉本博司 ロスト・ヒューマン」展の公式図録。代表作〈廃墟劇場〉〈仏の海〉シリーズに加え、インスタレーション〈今日 世界は死んだ もしかすると昨日かもしれない(Lost Human Genetic Archive)〉を収録している。人類滅亡後の世界を想定し、科学・宗教・芸術の記憶をテーマに構成された本展は、写真と空間を通して文明の終焉と再生を静かに問い直す試みとなった。
Isamu Noguchi
20世紀を代表する彫刻家・デザイナー、イサム・ノグチの創作活動を総覧する決定版作品集。彫刻をはじめ、陶芸、建築、家具、照明、舞台美術、庭園設計など、領域を超えて展開された多面的な実践を豊富な図版と資料で紹介している。制作スタジオの記録写真や国際的な論考を通じて、素材への探求や実験的姿勢、そして日米の文化を往還した思想的背景に光を当てる。さらに、マーサ・グラハム、バックミンスター・フラー、ルイス・カーンらとの協働を通して築かれた創造のネットワークも検証。
ジョルジョ・モランディ展 花と風景
1998年に東京都庭園美術館で開催された「ジョルジョ・モランディ展 花と風景」の公式図録。イタリア・ボローニャで生涯を過ごした画家ジョルジョ・モランディの作品から、「花」と「風景」をテーマにした油彩、水彩、素描、エッチングなどを収録している。限られたモチーフの中に無限の変化と光の揺らぎを見出し、静けさのなかに詩情をたたえたモランディ芸術の核心を丁寧に示している。
Small Town America | David Plowden
アメリカの写真家、デイヴィッド・プラウデンの作品集。アメリカの風景を主題とした通算19冊目の著作であり、かつては日常的だったものの今や失われつつある、あるいは姿を変えつつあるアメリカ文化の一断面に光を当てている。プラウデンは「スモールタウン・アメリカ(小さな町のアメリカ)」の鮮やかな肖像を描き出し、多くの人にとって記憶に残ると同時に、惜しまれる風景を記録する。デュオトーンによる111点の写真には、時の流れに埋もれつつある風景を見つめる静かなまなざしが息づいている。
Emmett | Ron Jude
アメリカの写真家、ロン・ジュードによる作品集。1980年代初頭、故郷アイダホ州中央部で撮影された初期作品を約30年の時を経て再編集したもので、彼の写真表現の原点をたどる内容となっている。夏のドラッグレース、移ろう森の風景、深夜映画のような断片的イメージなど、現実と夢のはざまを漂う幻想的な光景が展開される。ノスタルジーとユーモア、静けさと不穏さが共存するその世界は、個人の記憶や成長の曖昧な輪郭を映し出し、時間の層を感じさせる。『Alpine Star』『Other Nature』と連なるテーマの中で、ロン・ジュードのまなざしがとらえた世界の断片を描き出している。
Marianne Faithfull: A Life on Record | Rizzoli
英国の歌手で女優、マリアンヌ・フェイスフルのモノグラフ。1964年の鮮烈なデビュー・シングル「As Tears Go By」の発売50周年に合わせて出版された本書は、半世紀以上に渡る歌手としての活動、舞台や映画の仕事、そしてスタイル・アイコンとしてのフェイスフルに関する決定的な一冊。未公開のスナップ写真からパリの自宅の写真、そしてスティーヴン・マイゼル、デヴィッド・ベイリーなど、世界的な写真家たちによるポートレートも収録。英語表記。
IMPACT | 今道子
写真家・今道子による作品集。魚や野菜、衣類など、身近な素材を組み合わせて制作したオブジェを撮影し、現実と幻想の境界を揺るがす独自の世界を構築してきた。1979年から2010年までの代表作から厳選された35点を大判図版で収録し、細部まで精緻に再現している。素材の生々しさと造形の美しさがせめぎ合う画面には、生と死、聖と俗といった相反する要素が共存し、見る者に強い印象を残す。今道子のまなざしがとらえた世界の断片を描き出している。装丁は町口景。500部限定刊行。
UNION magazine 08
スタイリストの百々千晴とHIROYUKI KUBOによって2012年に創刊されたファッションマガジン『UNION』第8号。国内外のフォトグラファーが参加し、詩的なトーンと独自の審美眼に貫かれた誌面構成で知られる。今号では白川青史、マーク・スタインメッツ、マーク・ボスウィック、荒木経惟らが撮り下ろした写真を掲載。それぞれのまなざしが交錯し、被写体の存在とファッションの関係を多層的にとらえている。
UNION magazine 15
スタイリスト・百々千晴とHIROYUKI KUBOによって2012年に創刊されたファッションマガジン『UNION』の第15号。スーザン・マイゼラス、オリヴィエ・ケルヴェン、トム・ウッド、ホンマタカシ、ヴィンセント・フェラネら国内外の写真家が参加し、ファッションを軸にしながらも、アートやカルチャー、ライフスタイルへと視野を広げた構成。被写体の存在や日常の美しさを静かにとらえ、視覚表現の現在を多角的に提示している。
A Magazine #21 Curated by Lucie and Luke Meier
ファッションブランド〈ジル・サンダー〉のクリエイティブディレクター、ルーシー・メイヤーとルーク・メイヤーがキュレーションを手がけた『A Magazine』第21号。ふたりの創作に通底するテーマ「ヒューマン・ネイチャー/マザー・ネイチャー」を軸に、写真、絵画、イラストレーション、インタビュー、音楽、詩など多様な表現を収録。壮大な自然の風景と人間の内面を往還する視点が誌面を貫き、繊細で儚い美の瞬間を浮かび上がらせている。能登半島の手漉き和紙を3Dスキャンで再現した日本の花模様の表紙が印象的な一冊。
A Magazine #6 Curated by Veronique Branquinhoo
ベルギーのファッションデザイナー、ヴェロニク・ブランキーノがキュレーションを手がけた『A Magazine』第6号。アントワープ王立芸術アカデミー卒業後、自身の名を冠したブランドで発表を続けるブランキーノは、女性らしさと知的なエレガンスを融合させたデザインで知られる。本号では、彼女の創作を支える映画、音楽、美術への関心を背景に、「女性的な二面性」や「露わにすることと隠すこと」の間にある緊張感をテーマに構成。コレクション、ファッションフォト、イメージグラフィックなどを通じて、ブランキーノの繊細で個人的な美意識を映し出している。
A Magazine #5 Curated by Martine Sitbon
フランスのファッションデザイナー、マルティーヌ・シットボンがキュレーションを手がけた『A Magazine』第5号。毎号ひとりのデザイナーをゲストキュレーターに迎え、その創造的世界を誌面で探るシリーズの一冊。本号では、アナ・スイ、ジム・ダイン、ソフィア・コッポラら多彩なアーティストが参加し、シットボンの持つ幻想性とユーモアが織り交ぜられた独自の世界を構築。ファッションとアート、文学的想像力が交錯する誌面が、女性的感性の力強さとしなやかさを照らし出している。
Avedon at Work
アメリカの写真家、ローラ・ウィルソンが、ファッションやアートフォトなど幅広い分野で活躍したアメリカの写真家、リチャード・アヴェドンの仕事を記録した1冊。アヴェドンの作品『In the American West』の制作のため、彼と仕事をともにした6年間をまとめたもの。撮影中の様子や日記、作品の創作過程など、豊富な図版とともに解説を収録。アヴェドンの創作の裏側を収めた貴重なドキュメント資料。英語表記。
Restricted Images | Patrick Waterhouse
イギリスの写真家アーティストであるパトリック・ウォーターハウスが、オーストラリアのワルピリ族のアーティストたちと制作した作品集。数年にわたりワルピリ族の人々を撮影し、その写真にワルピリ族のアーティストが伝統的なドット・ペインティングを施す。植民地主義の歴史を背景に、「何を見せ、何を隠すか」を誰が決めるのかという表現と記録のあり方に新たな視点から取り組む。英語表記。
流れのなかにひかりのかたまり | 青木野枝
彫刻家・版画家、青木野枝の創作を総覧する作品集。2019年から2020年にかけて府中市美術館と霧島アートの森で開催された展覧会の公式図録として刊行された。鉄という硬質な素材を扱いながらも、光や空気、流れといった無形の要素を繊細に取り込み、空間そのものを変容させる彫刻表現の軌跡をたどっている。1980年代から現在に至る主要作品に加え、制作現場の写真やスケッチ、設営中の記録も収録し、造形が生まれる過程を丁寧に追う。「流れのなかにひかりのかたまり」という詩的なタイトルが示すように、線と形、重さと軽さの共鳴が、青木野枝の創作世界を多角的に検証している。
R.B.Kitaj
アメリカ出身で「ロンドン・スクール」と呼ばれる英国の画家たちとも深く関わったロナルド・ブルックス・キタイの作品集。人物を主題としたペインティング、ドローイング、パステル画を中心に構成され、文学や思想に着想を得た複雑で知的な作品世界を紹介する。著者マルコ・リヴィングストンはキタイと親交を重ねた研究者であり、対話やインタビューを通じて制作の背景に迫る豊富なテキストを収録。
Anni Novanta
1991年にイタリアのボローニャ市立近代美術館などで開催された展覧会の図録。1990年代初頭のイタリアおよび国際的なアートシーンを網羅的に紹介しており、マイク・ケリー、ジェフ・クーンズ、トーマス・ルフら当時注目を集めていたアーティストたちの作品をカラー、モノクロで収録。Renato BarilliやDede Auregliら著名な批評家による深い洞察を通じて、90年代の芸術的潮流や文化的背景が解説され、当時の現代アートを理解するための貴重な資料となっている。
Avant Garde in the 80’s
1987年にロサンゼルス・カウンティ美術館で開催された展覧会の図録。1980年代の前衛芸術の多彩な表現を網羅的に紹介し、ジャン=ミシェル・バスキア、シンディ・シャーマン、ジェフ・クーンズ、バーバラ・クルーガーら国際的な1 […]
Geraldo de Barros: Sobras
ブラジルの画家・写真家、ジェラルド・デ・バロスの晩年の写真シリーズ〈Sobras〉を収録した作品集。絵画、彫刻、グラフィックアート、工業デザインなど幅広い分野で実験的な創作を行い、サンパウロの具象芸術運動を牽引したデ・バロスは、脳卒中を患った1990年代末に写真へと回帰した。アシスタントの協力のもと、過去の家族写真を素材に切断やコラージュを施し、雪山の情景など記憶の断片を再構成している。
Carre Jaune: Un Livre POP-UP
イラストレーター、デイヴィッド・A・カーターによるポップアップブック。カラフルで立体的な仕掛けが飛び出すページをめくりながら、隠された「黄色い四角」を探す視覚的な遊びが展開される。色と形の世界を探検しながら楽しめる、子どもから大人まで幅広い世代に親しまれ、驚きと発見に満ちた魅力的な仕掛け絵本シリーズの一冊。
pretending. | Ahraun
京都を拠点に活動する写真家、Ahraunによる作品集。タイトル〈pretending.〉が示すように、「ふりをする」「演じる」という行為を軸に、思春期から大人へと移ろう時期の感情の揺らぎを写し出している。家庭や職場、友人や恋人との関係のなかで、誰もが抱える内面と現実のずれを穏やかな視線で見つめ、日常の中に潜む不確かさを丁寧にすくい取る。被写体との距離ににじむ静けさと共感が、現代に生きる個のあり方を静かに問いかけている。