ジョセフ・アルバースの授業 色と素材の実験室
2023年にDIC川村記念美術館で開催された展覧会「ジョセフ・アルバースの授業 色と素材の実験室」の図録。ドイツ出身の画家・デザイナーであり教育者でもあったジョセフ・アルバースの創作と教育の両面に焦点を当て、その思想と実践を多角的に紹介する。アルバース自身の作品やデザイン、習作に加え、バウハウス、ブラックマウンテン・カレッジ、イェール大学での教育活動を豊富な写真資料とともに掲載。色と形、素材の探究を通して「見ることを教える」アルバースの教育理念を可視化し、彼の思想が現代のデザインとアート教育に与えた影響を明らかにしている。
サラ・ムーン展 幻惑する巴里の女流写真家
1984年に東京・プランタン銀座と大阪・プランタンなんばで開催された「サラ・ムーン展 幻惑する巴里の女流写真家」の図録。フランスを代表する写真家サラ・ムーンが手がけたファッションフォトを中心に、VOGUE、コム・デ・ギャルソン、キャシャレルなどとの仕事を含む36点の作品をカラーおよびモノクロで収録している。柔らかな光と淡い色彩、幻想的な構図が織りなす独自の映像世界を通して、ムーンの詩的な感性と被写体への深いまなざしを伝える。巻末には友人との対話やインタビューも収録し、彼女の創作哲学に触れられる構成となっている。
Sarah Moon: Improbable Memories
ロンドンやパリでモデルとして活動した後、1970年より写真家へ転向したサラ・ムーンによる作品集。日本語版。優美な女性像や静物を、絵画のように構築された構図と繊細な色彩でとらえ、詩情あふれる世界を描き出す。柔らかな光と独特のぼかしが生み出す幻想的な空気感が特徴で、見る者を物語の中へと誘う。94点の図版に加え、作家の創作背景や作品解釈を深める解説も収録している。
Flowers | David Hamilton
フランスの写真家・デイヴィッド・ハミルトンによる花の作品集。柔らかなフォーカスで捉えられた多彩な花や花のアレンジメントは、彼が若い女性を幻想的に撮影してきた作風と同じく、官能的でロマンティックな雰囲気を漂わせる。各図版には、シェイクスピアやシェリー、エミリー・ディキンソン、ウィリアム・ブレイクら古典作家の詩の一節が添えられている。英語表記。
Arnold Newman: The Early Work
アメリカの写真家、アーノルド・ニューマンによる初期作品集。1938年から1942年にかけて、フィラデルフィア、ボルチモア、ウェストパームビーチなどで撮影された人々と街の風景を収録する。大恐慌後のアメリカ社会を背景に、抽象性とドキュメンタリー性をあわせもつモノクロ写真が並ぶ。後に「環境肖像」と呼ばれる独自のスタイルを確立する以前の、ニューマンの原点を示す貴重な記録であり、芸術家としての形成期におけるまなざしと構図感覚の萌芽を伝えている。
操上和美写真集 陽と骨
写真家・操上和美による写真集『陽と骨』。フルカラーのハードカバー版には女性の身体や植物、動物など、生命の艶やかさを湛えたイメージを、モノクロのソフトカバー版には日常の断片や人々の姿を収録している。色彩と光、陰影と質感の対比を通じて、人間と自然、生命と時間の関係を探るように構成された一冊。操上の直感的なまなざしが映し出す世界は、見る者に身体的な感覚と深い余韻を呼び覚ます。
ヨハネス・イッテン 造形芸術への道
2003年に京都国立近代美術館で開催された「ヨハネス・イッテン 造形芸術への道」展にあわせて刊行された図録。バウハウスの初期に活躍した芸術家であり教育者でもあるヨハネス・イッテンの多彩な活動を紹介している。色彩理論や造形教育の実践に裏づけられた作品群を、カラーおよびモノクロ図版で多数収録。さらに詳細な解説テキストを加え、イッテンの芸術観と教育理念を体系的に示す構成。20世紀美術史におけるイッテンの意義を明らかにしている。
ZEEN | Scheltens & Abbenes
オランダを拠点に活動するアーティストデュオ、シュルテンス&アベネス(Scheltens & Abbenes)の作品集。2019年にアムステルダムのFOAM写真美術館で開催された回顧展にあわせて刊行されたもの。エルメスの箱やハイブランドのハンガー、色鮮やかな木箱など、日常的な物を精緻に構成して撮影した静物作品を収録。イメージの反復や対置によって、新たな文脈や視覚的リズムを生み出し、写真表現の枠を拡張する彼らの独自の方法論を体感できる内容となっている。
ミニマル/コンセプチュアル ドロテ&コンラート・フィッシャーと1960-70年代美術
2021年から2022年にかけてDIC川村記念美術館などで開催された展覧会「ミニマル/コンセプチュアル ドロテ&コンラート・フィッシャーと1960-70年代美術」の公式図録。ミニマル・アートとコンセプチュアル・アートという20世紀後半の美術史を大きく転換させた潮流を、ドロテ&コンラート・フィッシャー夫妻のコレクションを中心に検証する。ドナルド・ジャッド、ダン・フレイヴィン、リチャード・ロングら18名の作家による約150点の作品とともに、貴重なアーカイブ資料、論考、解説を多数掲載。欧米および日本の動向を多角的に読み解く一冊。
Luciano Fabro
1991年にスイスのルツェルン美術館で開催された展覧会「Luciano Fabro・Die Zeit・Werke 1963-1991」展に際して刊行されたカタログ。イタリアで1960年代後半から70年代初頭にかけて展開された芸術運動「アルテ・ポーヴェラ(貧しい芸術)」の代表的な作家の一人である彫刻家、ルチアーノ・ファブロの作品群をモノクロ図版中心に掲載。ドイツ語表記。
Matthias Hoch: Fotografien/Photographs | マティアス・ホッホ
ドイツの写真家・ヴィジュアルアーティスト、マティアス・ホッホによる写真集。急速に変化する都市景観や、ヨーロッパの近代的な建築構造物を、静謐で構築的な視点から捉えている。駐車場やスタジアムの屋根、建物の外壁といった日常的な風景が、極限まで純化された構図と色彩によって抽象的な美へと昇華される。無機質な都市の表層に潜む秩序と感覚的なリズムを探る、ホッホの代表的作品群を収録。
MARZAHN | Gerrit Engel
ドイツの写真家、ゲリット・エンゲルの作品集。旧東ドイツの最大の建設プロジェクトの一環によりベルリン東部のはずれに建設され、今でもドイツで最も大きな住宅団地が連なるマルツァーン地区。本書はマルツァーン地区における建物やそこで住む人々のポートレートを通し、この街がどのように変化し、どのように生まれ変わってきたのか、ベルリンの壁崩壊から10年の東ドイツの姿を写しだしている。ドイツ語表記。
The Third Day | Henrik Spohler
ドイツの写真家、ヘンリック・スポーラーによる写真集。スペイン、オランダ、ドイツ、アメリカで撮影された、工業化された現代農業の現場を記録する。ガラス温室や巨大な農場、無機質な設備が連なる風景を通して、人間と自然の関係が変化した「生産の風景」を静かに見つめる。食の裏側にある構造とその美学を提示するドキュメンタリー的作品。
田中恭吉展
2000年に開催された「田中恭吉展」の図録。版画誌『月映』を発行した作家として知られ、荻原朔太郎の詩集『月に吠える』の挿画を手がけた画家・田中恭吉の全貌を紹介する。中学時代のスケッチから、短い生涯の終盤に描かれたペン画まで、約400点の作品を収録。内面の孤独や死生観を象徴的に描き出した繊細な筆致を通して、大正期の芸術における象徴主義的感性の一端を伝えている。
パリ・ニューヨーク・東京
1985年に開催された展覧会「パリ・ニューヨーク・東京」の図録。奈良原一高、荒木経惟、細江英公、アンリ=カルティエ・ブレッソン、リチャード・アヴェドン、マン・レイ、リー・フリードランダーなど、フランス・アメリカ・日本を代表する総勢170名の写真家による作品を収録している。3都市を舞台に、20世紀の写真表現が交錯し発展していく過程を多角的に示す構成。伊藤俊治、金子隆一、飯沢耕太郎らによる批評テキストも掲載し、写真史の国際的な文脈を読み解く重要な資料となっている。
Christian Boltanski | クリスチャン・ボルタンスキー
フランスの現代美術家、クリスチャン・ボルタンスキーの初期から中期にかけての代表作を網羅したモノグラフ。新聞の切り抜き、古着、スナップ写真、揺らめく影といった素材を用い、記憶や不在、生と死といった普遍的な主題を探求する。電球に照らされたポートレートや人形の影が壁を囲むインスタレーションなど、個人史と集合的記憶が交錯する独自の世界を構築。美術史家リン・ガンパートによる論考が、ボルタンスキーの創作の背景と思想を明快に読み解いている。
Andy Warhol: The Late Work
アンディ・ウォーホルの晩年期に焦点を当てた作品集。1972年から1987年までの約15年間に制作された絵画、写真、映像、出版など多様なメディアの作品を包括的に紹介する。2004年にドイツ・クンストパラスト美術館での展覧会にあわせて刊行され、〈シャドウズ〉〈スカル〉〈ドラッグ・シリーズ〉など後期を代表するシリーズを網羅。アーティスト本人へのインタビューや批評的論考も収録し、ポップアートの旗手が死の直前まで模索し続けた創造の軌跡と、その内面に潜む実験精神を浮かび上がらせている。
The Young Ones | Simon Johansson サイモン・ヨハンソン
スウェーデンの写真家、サイモン・ヨハンソンによる作品集。2002年から2019年までの17年間にわたり撮影された〈子ども〉をめぐるシリーズを収録する。犬と遊ぶ姿や友人とのごっこ遊び、泡まみれの入浴シーンなど、日常の何気ない瞬間をモノクロームで丁寧に写し取り、無垢でありながらもどこか切なさを帯びた子どもたちの世界を描き出す。写真家自身の幼少期の記憶を重ね合わせるようにして編まれた本作は、誰もが心に持つ遠い日の記憶を静かに呼び覚ます。
手のなかの空 奈良原一高 1954-2004
戦後日本を代表する写真家、奈良原一高の50年にわたる活動を総覧する展覧会「手のなかの空」(島根県立美術館ほか開催)の図録。初期の〈人間の大地〉〈王国〉に始まり、〈ヨーロッパ・静止した時間〉〈スペイン・偉大なる午後〉〈ジャパネスク〉〈消滅した時間〉、晩年の〈ヴェネツィア〉〈空/天/円〉まで、主要シリーズを網羅。外界から隔絶された場所や極限状況に生きる人々を通して、「人間の存在」を問い続けた奈良原のまなざしを辿る。写真家本人によるアルバムや関係者の論考も収録し、詩情と哲学に貫かれた奈良原の軌跡を多角的に示している。
魅惑のヴェネツィア | 奈良原一高
1987年から1988年にかけてプランタン銀座と大阪・大丸ミュージアムで開催された「魅惑のヴェネツィア」展の図録。戦後日本を代表する写真家・奈良原一高が長年にわたり撮影したヴェネツィアの風景を、カラーとモノクロ合わせて44点収録している。光と水が織りなす都市の幻想的な表情をとらえた作品群は、写真詩のような静謐さと深い叙情に満ちている。池田満寿夫、亀倉雄策、小澤征爾、横尾忠則、森英恵ら各界の人物が寄せたテキストも収録し、奈良原の芸術世界の広がりを示している。
ソール・ライターのすべて
写真家ソール・ライターの創作の全貌をまとめた、日本初の包括的作品集。1950年代のニューヨークで撮影されたストリートフォトを中心に、鮮やかな色彩と大胆な構図によるカラー作品、静かな詩情を湛えたモノクロ写真、さらにはファッションフォトやペインティングまで、約230点を収録している。アトリエの記録写真や身の回りの品々、本人の言葉も交えながら、ライターの人生観と美意識を多面的に浮かび上がらせる構成。浮世絵の構図や日本的感性にも通じる独自の視覚世界を通して、写真という行為の内省的な深みを静かに伝えている。
レアンドロ・エルリッヒ展 見ることのリアル
アルゼンチン出身の現代アーティスト、レアンドロ・エルリッヒの活動を総覧する展覧会図録。2017年から2018年にかけて森美術館で開催された同名展にあわせて刊行されたもので、代表作《スイミング・プール》をはじめ、映像やインスタレーションなど新作を含む44点を収録。その多くが日本初公開となった。錯覚や反転を用いた空間構成によって、私たちが「見る」という行為に潜む習慣や思い込みを浮かび上がらせ、現実と虚構の境界を問い直す。
東京 TOKEI | 中里和人
写真家・中里和人が、東京の下町・向島の風景を記録した作品集。東京の北東、川に囲まれた三角地帯に広がるこの町の、古びた工場や夜の路地裏、すりガラス越しの灯り、静まり返った商店街などをモノクロームでとらえる。都市の記憶と時間の層を織り込みながら、消えゆく「東京(とうけい)」の原風景を静かに見つめた写真集。
Paris 巴里 松岡茂樹写真集
写真家・松岡茂樹による作品集。やわらかな光と繊細な色調で、パリの街並みや風景、静物を淡く幻想的にとらえている。雨に濡れた石畳、ショーウィンドウの反射、静まり返ったカフェの一角など、何気ない情景の中に詩情を見出す構成となっている。一部の写真には詩が添えられ、色とかたち、言葉が響き合いながら、パリという都市の記憶と気配を静かに描き出している。
アンドレ・ケルテス展
1985年に東京・プランタン銀座および大阪・プランタンなんばで開催された「アンドレ・ケルテス展」の図録。ハンガリー出身の写真家アンドレ・ケルテスの初期から晩年に至る活動を網羅的に紹介する。第一次世界大戦中のハンガリー時代、芸術家たちと交流したパリ時代、そしてニューヨークでの成熟期まで、70年以上におよぶ創作の軌跡を辿る構成。代表作36点の図版に加え、詳細な年譜と173点の出品リストを収録し、ケルテスの写真表現の全貌を明らかにしている。
エドワード・ウエストン展
1987年から1988年にかけて新宿・小田急グランドギャラリーほか全国で開催された「エドワード・ウエストン展」の図録。アメリカ写真史を代表する写真家、エドワード・ウエストンの作品36点を収録する。風景やヌード、ポートレート、建築など多様な被写体を通して、形態の純粋さと精神性を追求したウエストンの美学を静謐に映し出している。巻末には出品作品リストを掲載。
エリオット・アーウィット集成展
1989年に松屋銀座ほか全国各地で開催された「エリオット・アーウィット集成展」の図録。マグナム・フォトを代表する写真家のひとり、エリオット・アーウィットによるユーモアとアイロニーに満ちたモノクロ作品36点を掲載する。犬や人々の仕草、偶然の構図など、日常の中に潜む可笑しみと詩情をとらえた視線が際立つ。巻末には展示作品リスト198点と詳細な年譜を収録。
Simryn Gill: Power Station シムリン・ギル 発電所と家
マレーシア出身のアーティスト、シムリン・ギルによる写真作品を収録した展覧会図録。生まれ故郷ポート・ディクソンの古い発電所と、自身の生家という二つの空間を対照的に撮影し、記憶と場所の関係を静かに探る。荒廃した産業遺構と、個人的な時間の痕跡が残る室内が呼応し合いながら、過去と現在、公共と私的の境界を揺るがせる。2004年に資生堂ギャラリーで開催された展覧会にあわせて刊行された一冊。
A KA RI | 藤井保写真集
写真家・藤井保による作品集。広告写真の分野で広く知られる藤井が、ハワイ諸島やカリフォルニア、フロリダ、メキシコなど各地を巡り撮影したランドスケープを収録。地球上の風景とは思えないほど鮮烈な色彩がフレームに広がり、自然が織りなす光と大気の変化をとらえた構成となっている。商業写真で培われた視覚的感覚と、写真家としての純粋な眼差しが交差し、藤井の独自の表現領域を映し出している。
生誕100年記念 ジャン・コクトー展 1988/1989
詩人、作家、映画監督、画家として多才な活動を展開したフランスの芸術家、ジャン・コクトーの展覧会図録。1988年から1989年にかけて開催された同名展にあわせて刊行されたもので、ペインティングやドローイング、ステンドグラスの下絵などを多数収録。文学と造形のあいだを自在に往還したコクトーの創作の幅広さと、独自の象徴的な世界観を伝えている。
かたち 日本の伝承 I・II 2冊セット | 岩宮武二、高階秀爾
日本の伝統的な造形文化をテーマにした写真集2冊セット。第1巻では木・紙・土を、第2巻では石・金属・布・竹を取り上げ、素材ごとに異なる造形の美と手仕事の精神を探る。写真は岩宮武二、テキストは美術史家・高階秀爾、装丁は早川良雄が担当し、日本の美意識に根ざしたかたちの普遍性を伝える。
J.B. Blunk(4th Edition)
北カリフォルニアを拠点に活動したアーティスト、J.B.ブランクの作品集。陶芸家・濱田庄司や彫刻家イサム・ノグチとの出会いを経て、日本の伝統陶芸に学び、北大路魯山人のもとで修行した経験をもつブランクの創作を包括的に紹介している。木、石、粘土、ブロンズなど多様な素材を自在に扱い、自然との対話を通じて生まれた作品群を収録。制作風景や生活の記録もあわせて掲載し、アートとクラフトの境界を越えて生きたブランクの世界観を伝えている。
アルヴァロ・シザの建築
ポルトガルを代表する建築家、アルヴァロ・シザの主要15作品を収録した作品集。初期の代表作〈レサのスイミングプール〉から〈イベレ・カマルゴ美術館〉まで、半世紀にわたる活動の軌跡をたどる。現代的でありながら土地の記憶に寄り添う建築、静謐な白い壁と複雑な空間構成、光と影の繊細な調和──その独自の建築思想を、豊富な写真、図面、スケッチ、インタビューを通して明らかにする。風土とモダニズムが融け合う、シザ建築の本質に迫る一冊。
建築の詩人 カルロ・スカルパ | 齋藤裕
イタリア建築界の巨匠カルロ・スカルパの代表作を、建築家・齋藤裕が独自の視点から解読した作品資料集。ブリオン家の墓地、カステルヴェッキオ美術館、クェリーニ・スタンパーリア館など、スカルパ建築の精髄を示す8つの作品を収録。精緻なディテールをとらえた228点の写真に加え、構想の意図を読み解くドローイングや解説を掲載する。素材と光、空間の時間的体験を重層的に構築するスカルパの建築思想を、写真と言葉の両面から探求する一冊。スカルパの造形思想と創造のプロセスを鮮やかに浮かび上がらせている。構成・造本は田中一光。
ITAMI 伊丹潤 建築と絵画
現代建築の異才として知られる建築家・伊丹潤の創作活動を総覧する作品集。代表的建築をはじめ、素材ごとに構成された作品群、図面、絵画など多様な表現を通して「伊丹芸術」の全貌を紹介している。500点を超える図版を収録し、建築と絵画のあいだを往還する独自の美学と造形思想を浮かび上がらせる。朝鮮文化に根ざした建築観と、日本的空間への探求を通して形成された伊丹の世界を立体的に示している。
図説 日本の結び 新装版 | 藤原覚
日本に古くから伝わる「結び」の技法を体系的にまとめた資料集。原始から近代に至るまでの多様な結び方を収録し、機能面から「作業結び」と「装飾結び」に大別。さらに接合法、結着法、結束法、縮結法、結節法の5種に分類し、用途や形状を図版とともにわかりやすく解説している。実用と美を兼ね備えた日本の結び文化を、造形と構造の両面から明らかにしている。
江戸のデザイン | 草森紳一
評論家・草森紳一による江戸の造形文化を読み解くデザイン論集。浮世絵、工芸、衣服、意匠など多岐にわたる題材を通して、江戸の人々が持っていた遊び心と美意識を自在な視座から論じている。既存の美術史や民俗学の枠を超え、草森ならではの鋭い観察眼で「デザインとしての江戸」を再発見する内容。装丁は横尾忠則が手がけている。
粋のグラフィズム 千社札 | 松本八郎
江戸庶民の遊び心と粋を映した千社札の世界を紹介する一冊。神社仏閣への奉納札として発展し、やがて庶民文化の中に定着した千社札を、文字や歌舞伎、生活意匠などを題材に多数掲載。色彩と図案の妙が際立つ鮮明なカラー図版が、江戸のデザイン感覚をいまに伝える。解説は松本八郎、序文は草森紳一、装丁は菊地信義が担当。伝統の中に息づく美意識と遊びの造形感覚と精神性を伝えている。
江戸凧絵史 | 斎藤忠夫
遊具でありながら、庶民の美意識を映す美術品としても親しまれてきた江戸凧の歴史を紐解く一冊。著者・斎藤忠夫が、浮世絵や風俗資料をもとに江戸凧の成立と発展を考察し、意匠や題材の変遷を丁寧に追う。勇壮な武者絵や洒落た戯画など、多彩なデザインを豊富なカラー図版で紹介し、江戸の遊びと美の融合を示している。
Philip Johnson’s Glass House フィリップ・ジョンソン ガラスの家
アメリカのモダニズムを代表する建築家、フィリップ・ジョンソンが自邸として設計したグラスハウス(ガラスの家)の建築資料集。モダニズム建築の象徴として知られるこの住宅と、ジョンソンが40年にわたり「ゴースト・ハウス」や「ゲート・ハウス」などを加えながら建築実験を続けた敷地を、豊富な写真とテキストで紹介。赤外線やクロスプロセスによる撮影とともに、「テクスト」「批評」「方法」「ボリューム」「透明」「円環」の6つの視点から作品を多角的に読み解く。
Modern Originals: At Home with MidCentury European Designers
ヨーロッパのミッドセンチュリー期を代表するデザイナーの自邸を収録した写真集。機能主義の痕跡をとどめるアイノ&アルヴァ・アアルトのヘルシンキ邸、原色と温もりにあふれるフィン・ユールの北欧の住まい、カルロ・モリーノの実験的で奇抜な隠れ家などを紹介している。デザイナーたちが実際に暮らした空間を通じ、家具やインテリアと一体となったモダンデザインの精神を伝える内容。
黒田泰蔵 | 大阪市立東洋陶磁美術館
2020年に大阪市立東洋陶磁美術館で開催された展覧会「黒田泰蔵」の図録。白磁の表現を極限まで追求し続けた陶芸家・黒田泰蔵の作品約60点を収録。器のかたちや肌理のわずかな差異に宿る静謐な美を、モノクロを基調とした端正な構成で伝える。アトリエの庭を写した写真や本人へのインタビューも掲載し、黒田の創作思想と白磁の精神性に迫る内容となっている。
宋磁の美 The Beauty of Song Ceramics
2016年に大阪市立東洋陶磁美術館で開催された展覧会「宋磁の美 The Beauty of Song Ceramics」の図録。中国陶磁史の黄金期とされる北宋から南宋・金時代にかけての名品を紹介する。青磁・白磁を中心に、黒釉、緑釉など多彩な釉薬技法の陶磁器を豊富なカラー図版とともに収録。静謐で洗練された造形と、釉調の微妙な変化に宿る美意識を通して、宋代陶磁の到達点とその美の本質を探っている。
Knoll Furniture 1938-1960 | Steven Rouland、Linda Rouland
1938年から1960年にかけてニューヨークのKnoll Furniture Companyが製作した家具を網羅的に収録した資料集。エーロ・サーリネン、ハリー・ベルトイア、イサム・ノグチ、ジョージ・ナカシマ、イェンス・リソムら、20世紀を代表するデザイナーによる作品を270点以上の図版で紹介。制作年代やデザイナー名を明記した識別ガイドに加え、オリジナルカタログ写真や社史、デザイナーの略歴も掲載。モダンデザインの理念が結晶したKnollの創造的軌跡を通して、20世紀家具デザインの造形思想と創造のプロセスを鮮やかに浮かび上がらせている。