The Americans ハードカバー版 | Robert Frank
アメリカの写真家ロバート・フランクによる不朽の名作『The Americans』。1955年から56年にかけて全米を旅しながら撮影された83点の写真を収め、当時の社会や人々の姿を鋭い眼差しでとらえている。本書は刊行から40年を経てScalo社より再出版された版であり、写真史に残る重要な一冊として再評価された。モノクロームの画面に刻まれた視線は、アメリカの現実とその陰影を鮮烈に映し出している。
Let’s Get Lost Author | Bruce Weber
アメリカの写真家、ブルース・ウェーバーによる作品集。伝説的トランペット奏者チェット・ベイカーの生涯を追ったドキュメンタリー映画『Let’s Get Lost』の公開にあわせて制作された。スタジオでの録音風景、ツアーに同行した際のスナップ、家族や音楽仲間の証言を通じて、ベイカーの人物像を多角的に示している点が特徴。映画と写真集を併せて構成することで、ミュージシャンとしての活動と私生活の両面を記録し、20世紀ジャズ史におけるベイカーの存在を浮かび上がらせている。
JAZZ | Ed van der Elsken
オランダ出身の写真家・映画監督、エド・ファン・デア・エルスケンによる写真集。アムステルダムのジャズクラブでフラッシュを使わずに撮影された作品で、演奏中のステージやスポットライトを浴びるソリスト、観客の表情などを収録している。暗い空間に浮かび上がる演奏者の姿や観客の熱気をとらえた写真群は、当時のクラブシーンの空気を的確に記録するものとなっている。ジャズと写真の関係を探る視点となっている。
Calais Lace | Michael Kenna
イギリス出身の写真家マイケル・ケンナによる限定1000部の作品集。フランス北部の港町カレーに残る古いレース工場を題材に、無人の室内や静止した機械、使い込まれた道具をモノクロで撮影している。そこにかつての労働の気配や人々の営みが重なり、過ぎ去った時間の残響を感じさせる構成。風景写真の第一人者として知られるケンナが、都市や産業の記憶を詩的に映し出した一冊であり、産業遺産を写した写真資料としても貴重な内容となっている。限定1000部発行。
Evidence 1944-1994 | Richard Avedon
アメリカの写真家・リチャード・アヴェドンによる作品集。1944年から1994年までの活動を総覧する内容で、ニューヨークのホイットニー美術館で開催された大規模な回顧展にあわせて刊行されたもの。収録されるのは600点を超えるポートレートやファッション写真であり、著名人から市井の人々まで幅広い被写体が含まれている。豊富な図版に加えテキストも充実し、20世紀後半の写真史におけるアヴェドンの位置づけを明らかにしている。
Stephen Shore
アメリカの写真家、スティーブン・ショアによる作品集。Phaidon社の「Contemporary Artist」シリーズの一冊として刊行されたもので、カラー写真の代表作「American Surfaces」や「Uncommon Places」を収録している。日常的な風景を的確に切り取る視点と鮮やかな色彩は、カラー写真を芸術表現として確立させた重要な業績として位置づけられている。作品図版に加え、ショア自身へのインタビューも掲載され、創作の背景や写真史における意義を明らかにしている。
LA Flower Market | Mansur Gavriel
ニューヨークを拠点とするデザインスタジオ・マンサー・ガブリエルによる写真集。ブランドの象徴として用いられてきた花や植物を主題とし、鮮やかな色彩と明暗の対比によって構成されたイメージを収録している。LAフラワーマーケットを舞台に、日常的なモチーフをブランドの世界観に引き寄せる視覚的アプローチが特徴。ファッションと写真表現の境界を横断し、イメージ戦略の一端を提示している。
ミニマリズム ハードカバー版 | ジェイムズ・マイヤー
1950年代後半に新しい抽象芸術として展開したミニマル・アートを包括的に紹介する資料集、ハードカバー版。単純化された形態や繰り返しの構造を特徴とするミニマリズムの起源や歴史を紐解き、代表的なアーティストの作品や多様な試みを収録している。背景にある思想や表現上の革新性をわかりやすく解説し、20世紀美術の重要な潮流を体系的に理解できる構成。美術資料としての価値に加え、芸術の本質を考える視点を提示している。
Saturated Light | Wolfgang Tillmans
ドイツ出身の写真家・ヴォルフガング・ティルマンスによる作品集。約30年にわたり継続してきた抽象的写真表現「Silver Works」シリーズを初めて体系的にまとめたものである。現像過程で生じる偶然性を積極的に取り込み、硝酸銀を用いた構図など、写真メディアの物質性に焦点を当てている点が特徴。さらに展覧会におけるセッティングやインスタレーションの記録も掲載され、ティルマンスが実践する実験的アプローチの広がりを明らかにしている。
Social Documentaries Amid This Pist | Mark Borthwick
ロンドン出身の写真家・マーク・ボスウィックによる作品集。『Purple』や『i-D Magazine』などでの活動で知られる作家が、自身の私家版「Mark Borthwick Xerox: Amid this Pist」を再編集し、限定的に刊行したものである。『Purple』誌に掲載された図版やテキストを中心に構成され、1990年代以降のオルタナティブなファッション写真やアートワークの文脈を読み取ることができる。限定250部。
Tableaux & Esquisses | Jorg Sasse
ドイツの写真家・イェルク・ザッセによる作品集。2004年にフランスのグルノーブル美術館で開催された展覧会にあわせて刊行されたもの。匿名の写真資料を収集し、デジタル処理を施すことで新たな作品へと変換する手法が特徴。風景や人物といった一見日常的なモチーフが、加工によって曖昧さを帯び、記録でありながら記憶を揺さぶる視覚体験となる。既存の写真とデジタル技術の関係を提示し、現代におけるイメージの在り方を浮かび上がらせている。
My Grandfather Turned into a Tiger... and Other Illusions | Pao Houa Her
モン族出身のビジュアル・アーティスト、パオ・ホア・ハーによる作品集。自身の主要なシリーズ4作を収録し、故郷や帰属をめぐる探求を中心に構成されている。ラオスやタイ、ベトナム、中国南部に居住するモン族のディアスポラ・コミュニティに伝わる伝統や儀礼を参照しながら、現代社会における比喩的表現へと展開している点が特徴。写真とテキストを交差させ、移民やアイデンティティの複雑な状況を多層的に映し出している。文化的背景と個人的視点が重なり合う表現を提示している。
Almost Naked | Shen Wei
上海出身の写真家、シェン・ウェイによる作品集。アメリカ社会におけるアイデンティティとセクシュアリティを主題としたポートレートシリーズで、保守的な環境で育った作家が欲望や本能の複雑さに向き合う姿勢が示されている。寝室やバスルーム、水中といった親密な空間を舞台に、年齢や性別を超えた被写体をヌードで撮影。身体表現を通じて社会的規範と個人の欲望の関係を探り、セクシュアリティをめぐる視覚的対話を提示している。500部限定で発行。
Harry Callahan: New Color Photographs 1978-1987
アメリカの写真家、ハリー・キャラハンによる作品集。1978年から1987年にかけてエジプト、アイスランド、モロッコ、メキシコ、ニューヨークなど世界各地で撮影された作品を収録している。街並みや建築、人々の暮らしといった多様な被写体を、カラーとモノクロの双方で記録。実験的な構図や鮮明な色彩により、日常の風景を新しい視覚体験として提示している。図版に加えて解説テキストも収められ、キャラハンの活動後期における表現を明らかにしている。
New York: Just Open it | 郷津雅夫
現代アーティストであり写真家の郷津雅夫による作品集。長年にわたり取り組んできた「Windows」をはじめ、「Harry's Bar」「246」の三つのシリーズを収録している。被写体となるのはニューヨーク・ダウンタウンに暮らすマイノリティの人々であり、同じく異国の地でマイノリティとして生きる自身の経験を重ね合わせる視点が示されている。写真を通じて都市生活の現実と個人的なアイデンティティが交差し、社会と自己を見つめ直す表現を提示している。
フィリア 特装版 | 今道子
魚や野菜、衣類など身近な素材を組み合わせてオブジェを制作し、それらを撮影して幻想的な世界を生み出してきた今道子による作品集。初期の代表作「蛸+メロン」「キャベツ氏」をはじめ、近年に至るまでの作品を収録している。日常的な素材を異化し、寓話的な意味を与える表現は、写真を単なる記録ではなく造形的実験の場へと拡張している点が特徴。モノクロとカラーを織り交ぜた図版を通じて、半世紀近くにわたる独自の創作の軌跡を明らかにしている。
サン=テグジュペリ シネマの回想 | 小原由紀子
フランスの小説家・飛行士であるアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリに関連する映画資料を収めた一冊。『夜間飛行』『夜の空を行く』『南方飛行』といった作品にまつわる当時のビジュアル資料やテキストを26点収録している。映画公開時に日本独自の文化として制作された観客用プログラムも掲載され、文学作品とは異なる角度からサン=テグジュペリ像を探る手がかりを提供する。映画資料を通して作家の受容の一端を照らし出している。
Martin Kippenberger
ドイツのアーティスト、マーティン・キッペンバーガーの日本初回顧展にあわせて刊行されたカタログ。2015年にタカ・イシイギャラリーで開催された展示を記録したもので、会場入口から内部へと進む導線に沿って構成されている。全景をとらえた写真と作品の細部に迫る接写を交えながら、展示空間の雰囲気と作品の特性を多角的に提示。巻末には批評家・清水穣による論考を収録し、展示の意義を文献的にも補完している。
Helix | 大野純一
写真家・大野純一による作品集。静物写真をはじめ、女性のヌード、壁の質感、薔薇や百合といった花々をモチーフとした図版が収録されている。各写真は独立したイメージでありながら、螺旋を描くように関連し合い、ページを通して連続性を生み出している点が特徴。柔らかな光に包まれた被写体は質感を際立たせ、余白を活かした構成によって静謐な印象を与える。
Christo & Jeanne Claude | クリストとジャンヌ=クロード
アーティストデュオ・クリストとジャンヌ=クロードの活動を総覧する増補改訂版の作品集。初期のドローイングや家族写真から、過去に手がけた代表的なプロジェクト、進行中の計画に至るまで、多岐にわたる資料を収録している。数百点におよぶ写真や図版に加え、伝記的要素や批評的視点も盛り込まれており、作家の思想や制作のプロセスを理解する手がかりとなる構成。20世紀後半から21世紀初頭にかけてのランドアートの展開を照らし出している。
憂魂、高倉健 | 横尾忠則
横尾忠則が編集を手がけた俳優・高倉健の写真集。遠藤努撮影による映画スチールを中心に、プライベート写真やスナップも交えて構成されている。さらに細江英公、立木義浩、森山大道、石黒健治といった写真家による作品も収録され、多角的な視点から高倉健の姿を示している。巻末には横尾忠則によるインタビューと年譜が掲載され、映画俳優としての活動とその人物像を資料的にたどることができる。戦後日本の大衆文化における高倉健の存在を浮かび上がらせている。復刻版。
田名網敬一 版画の仕事 1967-1994
1960年代よりポップアートやサイケデリックな感覚を取り入れた表現で知られ、多岐にわたる分野で活動してきた日本の美術家・田名網敬一の展覧会図録。1994年に川崎市市民ミュージアムで開催された「田名網敬一 版画の仕事1967-1994」展にあわせて刊行されたもの。1967年から1994年にかけて制作された多数の版画に加え、組み上げ絵などの立体作品も収録。30年近い創作の軌跡を通じて、その独自の造形世界を浮かび上がらせている。
イヴ・クライン展
1985年から1986年にかけて全国各地で開催された「イヴ・クライン展」にあわせて刊行された図録。フランスの現代美術家イヴ・クラインが1962年に34歳で没するまでのわずか7年間に制作した絵画、立体、火を用いた絵画、空気の建築といった多様な作品を網羅している。代表的な青色絵画シリーズをはじめ、短い生涯に集中的に展開された実験的表現の数々を収録。図版と解説を通して、20世紀美術におけるクラインの独自の位置づけを浮かび上がらせている。
The Mountain Nomad | yuichi tanizawa
ロンドンに生まれ、現在は名古屋を拠点に活動する写真家・yuichi tanizawaによる作品集。山で暮らす人々の姿、厳しい環境に根づく暮らし、そして四季の移ろいが刻まれた風景を切り取る。雪に覆われた峠、朝霧に包まれる草原、焚火の傍らで過ごす静寂の時間。ページをめくるごとに現れるのは、自然と人間の関係性の再確認。300部限定刊行。
アンディ・ウォーホル 1956-86 時代の鏡
アンディ・ウォーホル美術館の協力により開催された展覧会「アンディ・ウォーホル 1956-86 時代の鏡」にあわせて刊行された公式図録。絵画やドローイングのみならず、映像作品やインスタレーションまで幅広い活動を網羅している。1956年から1986年までの30年間にわたる創作を通して、ポップアートの旗手として時代を映し出したウォーホルの軌跡をたどり、その多面的な表現と社会との関わりを包括的に提示している。
藤井豊写真集 僕、馬 I am a horse | 藤井豊
写真家・藤井豊による作品集。2011年4月から5月にかけて東日本大震災で津波の被害を受けた青森、岩手、宮城を撮影している。隆起した道路や大きな亀裂の上を歩く子ども、瓦礫の山、崩壊した校舎など、被災地の光景を自らの足で記録した写真を収録。一枚ごとの映像には、震災直後の現実を伝える証言的な性格が備わっている。地域に刻まれた被害の痕跡を視覚的に提示し、災害を記憶する手がかりを浮かび上がらせている。
Georgia O’Keeffe: The Artist’s Landscape | Todd Webb
アメリカの写真家トッド・ウェッブが、画家ジョージア・オキーフを撮影した写真集。70年にわたる長い画歴の中でオキーフが描き続けた骨や自然といったモチーフとともに、その姿をモノクロームでとらえている。ニューメキシコの雄大な風景の中で作品制作に向き合う様子や、日常の姿を記録した写真を多数収録。画家の創作の源泉と生活の環境を重ね合わせ、オキーフの芸術と人生を結びつけて提示している。
Christopher Wool
アメリカのアーティスト、クリストファー・ウールの作品集。1998年にロサンゼルス現代美術館をはじめ各地で開催された展覧会にあわせて刊行されたもの。言葉や文字を用いたペインティング、花や点といった装飾的モチーフ、さらにローラーやスプレーを駆使した実験的な表現まで、多様な作品を収録している。1980年代以降の活動を総覧する構成となっており、表現手法や技法の変遷、テーマの広がりを体系的に示している。
Ancient And Modern | William Eggleston
カラー写真の新たな可能性を切り拓いた「ニュー・カラー」の旗手、ウィリアム・エグルストンによる写真集。南アメリカで撮影された初期の作品から、イギリスでの比較的近年の作品までを編纂し収録している。日常の断片や風景を主題に縛られることなくとらえ、平凡な光景の中に鮮やかな色彩や独自の視点を見出す構成。ありふれた世界を新しい眼差しで提示し、写真表現の可能性を拡張したエグルストンの歩みを明らかにしている。
Paris | William Eggleston
アメリカの写真家ウィリアム・エグルストンによる作品集。パリのカルティエ現代美術財団で開催された展覧会にあわせて刊行されたもの。ショーウィンドウに飾られたクマのぬいぐるみや、壁や車に描かれたストリートアート、街角のスナップなど、日常の断片を独自の色彩感覚でとらえている。さらにインスピレーションの源となった写真とともに、ペインティング作品も掲載。写真と絵画を往還しながら、エグルストンの創造の広がりを提示している。
The Earth Is Only a Little Dust Under Our Feet | Bego Anton
スペインの写真家ベゴ・アントンによる作品集。アイスランドの人々が信じるエルフやトロール、妖精や怪物といった神秘的な存在に焦点を当て、人間と共に暮らし交流しているとされるその世界観を写し出している。幻想的な風景写真と鮮やかなポートレートを組み合わせ、信仰と日常が交差する姿を提示。写真に添えられた物語は、民間伝承が現代に息づくアイスランドの文化的背景を浮かび上がらせている。
ARP | Serge Fauchereau
彫刻家、画家、詩人として活動したドイツの芸術家ハンス・アルプを紹介する資料集。1900年代から1960年代にかけて制作された絵画、グラフィック、コラージュ、彫刻、レリーフなどを幅広く収録している。カラー・モノクロ合わせて184点の図版とテキストによって構成され、抽象表現の展開を多角的に示す内容。ダダからシュルレアリスムにいたる美術運動と交差しながら築かれた創作の軌跡を浮かび上がらせている。
日本典型 | 柴田敏雄
写真家・柴田敏雄の代表作『日本典型』をまとめた作品集。1983年から1991年にかけて日本各地で撮影されたシリーズで、第17回木村伊兵衛写真賞を受賞したことでも知られている。山道がコンクリートの道路や壁へと姿を変え、自然が巨大なダムや人工的な構造物へと転換していく過程を精緻に記録。風景の変貌は、日本の高度経済成長期以降の社会や環境のあり方を静かに映し出すものである。自然と人工が交錯する現代の風景を浮かび上がらせている。
Tarkovsky: Films, Stills, Polaroids & Writings
映画監督アンドレイ・タルコフスキーの作品世界を紹介する写真集。各映画のあらすじ、キャスト、スタッフリストとともに、幻想的で詩的な映像表現を伝えるスチールを収録している。さらに、私的に撮影されたポラロイド写真も掲載され、日常の断片からも彼の独自の視覚的感性をうかがうことができる構成となっている。54歳で早世したにもかかわらず、今日に至るまで芸術家や映画制作者に影響を与え続けるタルコフスキーの創造の核心を映し出している。
Red Green Blue | Ellsworth Kelly
アメリカを代表する画家エルズワース・ケリーの作品集。1958年から1965年にかけて制作された赤・緑・青を用いた代表作を中心に構成。21点の絵画と34点の習作を収録し、色彩の組み合わせや形態の探究がどのように展開されたかを示している。単純化された色面と構成の中に、見る者の知覚を揺さぶる独自の造形言語を確立していった過程を辿る内容。ケリーの芸術的探求が大きく花開いた転換期を明らかにしている。
Front Door Book | Clayton Patterson
カナダ出身の芸術家・写真家・映像作家クレイトン・パターソンによる作品集。1985年から2002年にかけて、自身の住居があったニューヨーク・エセックス通り161番地の玄関前で撮影した写真を収録している。通りを行き交うさまざまな人種、性別、世代の人々が見せるリアルな表情をとらえ、街に息づく多様な姿を写し出している。パターソン自身によるエッセイも掲載され、写真とテキストの両面からニューヨークの一時代を明らかにしている。
ア・サマーズ・デイ | ジョール・マイヤーウィッツ
ニューヨーク出身の写真家ジョエル・マイヤーウィッツによる作品集。1976年から1981年にかけて避暑地ケープコッドで撮影された写真を収録している。夏の日差しに照らされた海辺や草原、そこに集う観光客の姿が、淡く夢のような色彩の中に浮かび上がる構成。ストリートフォトの視点を持ち込みながら、日常と非日常が交錯する時間を切り取っている。アメリカ写真の一断面として、光と季節が織りなす情景を映し出している。
Autophoto: Cars & Photography, 1900 to Now | Xavier Barral
写真と自動車の関係を多角的に探る写真資料集。ロバート・フランク、石元泰博、森山大道、エド・ルシェ、スティーブン・ショア、ウィリアム・エグルストン、ウォーカー・エヴァンスら著名写真家が、自動車を独自の視点で切り取った作品を多数収録している。さらにフランス人アーティスト、アラン・ブブレックスがカルティエ財団の展覧会のために制作したカーモデルのシリーズを掲載。自動車と写真の比較史やエッセイ、参加アーティストの引用なども加わり、モビリティと表現の交差点を明らかにしている。
真昼 | 今井智己
写真家今井智己による初の作品集。夜のコンクリートの街路や住宅街、木々が生い茂る森など、都会のありふれた風景を独自の静謐な視点でとらえた作品を収録している。人の気配が薄れた場に差し込む光や、日常に潜む静けさを写し出し、都市と自然のあわいに広がる時間を感じさせる構成。巻末には彫刻家船越圭によるテキストを収録し、写真への解釈をさらに深めている。
Athene Galiciadis: An Acrylic Glass Pyramid and Three Pendulums Attached to a Triangle on a Table
スイスのアーティスト、アテネ・ガリシアディスによる作品集。方眼紙に印刷された人物像や螺旋、反復的なパターン、花瓶のカラー複製、自画像など多彩な要素を収録している。さらに20世紀初頭に活動したスイスの芸術家エマ・クンツから着想を得た写真資料も掲載。幾何学的な構成と装飾的なモチーフを往還しながら、個人的な視点と歴史的文脈を結びつける構成となっている。ガリシアディスの造形言語とその背景を探る視点となっている。
David Nash: Black and Light
イギリスの彫刻家デヴィッド・ナッシュによる作品集。自然素材、とりわけ木を用いた彫刻で知られる作家が、「黒」と「光」を主題に展開した作品群を収録している。炭や木材を素材とした造形と、それらを取り巻く光や風景をとらえた図版を掲載。自然と素材に向き合うナッシュの表現の一端を示す内容となっている。
Silicon Valley No_Code Life | Ramak Fazel
イタリアのブランド、トッズが企画したプロジェクトをまとめた写真集。地名としては存在しない「シリコンバレー」の実像を探る試みとして制作され、写真家ラマク・ファゼルが現地の人々の暮らしを撮影している。ニューヨークとクレモントを拠点に活動するファゼルが切り取ったのは、テクノロジーの象徴として語られるイメージとは異なる日常の光景。無機質に描かれがちなシリコンバレーの裏側にある、生活感あふれる姿を映し出している。
Weighing the Planets | Olivia Parker
アメリカの写真家オリヴィア・パーカーによる静物写真集。果物や花、動物の骨、古い人形、オブジェなど多様なモチーフを用い、光や影を組み合わせて緻密に構成された作品を収録している。静謐さの中に幻想的な雰囲気を漂わせ、日常の物が新たな意味を帯びて立ち現れる構成。被写体の配置や質感の対比を通して、写真というメディアの表現領域を拡張する試みでもある。詩的な感性に満ちたパーカーの世界を提示している。
Five Photographers | Zhang Zhizhou
北京出身の写真家チャン・ズーヂョウによる作品集。『Q、M、K、T、S』という5人の架空の写真家を設定し、それぞれの視点から物語を紡ぐ構成となっている。ズーヂョウ自身が彼らのキャラクターになりきり、アルバム写真や過去の作品を再構成することで、多層的な写真世界を立ち上げている。実在と虚構が交錯し、作家自身の記憶やイメージが別の人物の作品として提示される仕組みは、写真表現の枠組みを問い直す試みを示している。