Waterlife | Rambharos Jha
南インドの小出版社タラブックスから刊行された絵本。インド東部ビハール州に伝わるミティラーアートの技法を用い、ワニや水鳥、魚、タコといった水辺の生き物を鮮やかな色彩で緻密に描き出している。手漉きの紙にシルクスクリーンで一枚ずつ刷られ、職人の手によって仕上げられた工芸的な装丁も特徴。地域の伝統美術と現代的なブックデザインが融合し、絵本のかたちを通じて民俗文化の息づかいを提示している。
Le Forchette di Munari
アート、デザイン、絵本など多方面で活動したブルーノ・ムナーリによるフォークの絵本。1958年に刊行された作品の復刻版である。フォークが手のように変形し、多彩なジェスチャーやハンドサインを繰り広げる様子がユーモラスに描かれている。日用品を遊び心あふれる発想で再解釈し、造形的な実験へと昇華させた構成。シンプルな題材を通じて、ムナーリが探求した日常と創造の関係を映し出している。
江口寿史の世界 2冊セット
漫画家でありイラストレーターとしても活躍する江口寿史によるイラスト作品集2冊セット。1980年代篇では、漫画の表紙絵や挿絵、装丁画を中心に、イラストレーションを意識的に追求し始めた時期の作品を収録。1990年代篇では、広告やポスター、キャラクターデザイン、CDジャケットなど幅広い媒体で展開されたイラストを紹介している。それぞれに本人によるエッセイが添えられ、作品と同時代の背景を重ね合わせながら、江口寿史の創作の変遷を明らかにしている。
Intanto... Il Libro Piu Corto Del Mondo | Paul Cox
画家ポール・コックスによる文字のない絵本。アートや絵本、デザインの分野で幅広く活動する作家が手がけ、一瞬のあいだに世界各地で同時に起きている出来事を描いている。ストーリーテリングの統一性を意図的に排し、断片的に積み重なるイメージから読み手の想像力を喚起する構成。絵の流れを追うことで、偶然と必然が交差する世界の多様性を感じ取ることができる。
Dieter Roth: Balle Balle Knalle
スイスを拠点に活動したグラフィックデザイナーでありアーティスト、ディーター・ロスの仕事を紹介する作品集。シュトゥットガルト美術館での展覧会にあわせて刊行されたもの。テキストとイメージが密接に結びついた表現に焦点を当て、文学的な活動と美術的な実践がどのように相互作用していたかを示す構成。言葉と造形の往還から生み出される独自の創作過程をたどり、作家の多面的な活動の本質を浮かび上がらせている。
ブルーノ・ムナーリ回顧展
2018年に開催された日本最大規模の回顧展「ブルーノ・ムナーリ」展の公式図録。グラフィックデザイン、モビール、絵本など幅広い領域にわたる活動を豊富な図版で紹介している。造形と言語、遊びと教育を自在に横断しながら創作を展開したムナーリの姿勢に光を当て、彼が子どもたちにも伝えようとした造形の言葉を再検証する内容。芸術と教育、日常を結びつけた多面的な実践を通じて、ムナーリの創造の核心を浮かび上がらせている。
Visuelle Kommunikation: Ein Design-Handbuch | Anton Stankowski、Karl Duschek
ドイツのグラフィックデザイナー、アントン・スタンコウスキーとカール・ドゥーシェクによるデザイン資料集。フォントとタイポグラフィ、色彩と造形、イラストレーションなどのテーマごとに章を設け、図版と解説を組み合わせて構成している。理論と実践を往還しながら、視覚表現の基本原理を体系的に整理した内容。序文を寄せるのはオトル・アイヒャーであり、戦後ドイツのデザイン教育や実務の流れを理解する上でも重要な手がかりを提示している。
Photo-Montage in Print | Jindrich Toman
1910年代から1940年代にかけてのチェコスロバキアにおけるフォトモンタージュを紹介するビジュアル資料集。カレル・テイジ、ジンドリヒ・スティルスキー、トーイェン、ラディスラフ・スットナー、フランチシェク・ムジカら、チェコ・アバンギャルドを代表する作家たちの作品を収録している。書籍のカバーや雑誌の挿絵を通じてフォトモンタージュが広く普及していった過程を示す構成。戦間期の芸術と出版文化の結びつきを浮かび上がらせている。
HEADS | Yuichiro Okamura
1920年代から1980年代にかけてのヘアカルチャーを扱った一冊。フランス、イギリス、アメリカを中心に、ファッションや音楽の流行とともに変化していく髪型のスタイルを紹介している。オードリー・ヘップバーンやブリジット・バルドー、カート・コバーンといった象徴的な人物の写真を収録し、文化的背景とあわせて解説。ヘアスタイルを通じて社会や時代の空気をとらえ、流行と自己表現の関係を浮かび上がらせている。
A die with Twenty-Six Faces | Louis Luthi
オランダを拠点に活動するデザイナー、ルイス・リュティによるアートブック。アンディ・ウォーホル、ルイス・ズコフスキー、ジョン・ケージらの作品からアルファベットのレタリングを引用し、実在と虚構を織り交ぜながら構成されている。著名作家から無名のものまで幅広い出典を扱い、文字そのものの形態や意味を再編成する試み。レタリングを通じて視覚芸術と文学、音楽の領域を横断し、アルファベットの魅力を多角的に映し出している。
Jan Tschichold and the New Typography
現代グラフィックデザイン史における重要人物ヤン・チヒョルトを紹介するビジュアル資料集。本人が収集した豊富なデザイン資料を掲載し、影響を受けたアーティストやアイデア、バウハウスのテキストなどを通じて活動の背景を示している。1920年代の「新しいタイポグラフィ」を提唱した革新的な実践から、後年のクラシカルな書体・組版への回帰に至るまでを視覚的にたどる構成。20世紀デザイン史におけるチヒョルトの位置づけを明らかにしている。
ムサビのデザイン コレクションと教育でたどるデザイン史
2011年に武蔵野美術大学で開催された展覧会の公式図録。半世紀にわたり収集されたモダンデザインのコレクションを通して、教育とデザイン史の関わりを紹介している。稀覯本やポスターといったグラフィック作品から、名作椅子をはじめとするプロダクトデザインまで幅広く収録。大学が蓄積してきた資料を軸に、デザイン教育の歩みとその成果を体系的にたどる構成。収集と教育を結びつけながら、日本におけるデザイン史の展開を提示している。
Get Impressed!: The Revival of Letterpress and Handmade Type | Shaoqiang Wang
現代における活版印刷の復興を紹介するビジュアルブック。世界各地のデザイナーやアーティスト、活字鋳造所を取り上げ、作品図版に加えて経歴やインタビューを収録している。さらに活版印刷の歴史や制作工程を概説し、古典的な活字をスタイル別に整理したリストも掲載。伝統的な印刷技術が手仕事の魅力とともに現代的に再評価される姿を伝え、タイポグラフィの可能性を多角的に提示している。
20世紀エディトリアル・オデッセイ 時代を作った雑誌たち | 赤田祐一、ばるぼら
赤田祐一とばるぼらによる、20世紀の雑誌文化を総覧する百科事典的な一冊。「ホール・アース・カタログ」「ガロ」「HEAVEN」など伝説的な雑誌をはじめ、カルチャー誌やタウン誌、マンガ雑誌にいたるまで幅広く取り上げている。廃刊となった雑誌のエピソードや編集者たちの証言を交え、雑誌がいかに時代を映し出し、読者に影響を与えてきたかをたどる構成。1970年代の同人誌ブームにも光を当て、日本における雑誌文化の豊かさを明らかにしている。
ある編集者のユートピア 小野二郎:ウィリアム・モリス、晶文社、高山建築学校
2019年に世田谷美術館で開催された展覧会の公式図録。19世紀後半のイギリスで活動したウィリアム・モリスの思想や実践を、日本に紹介し広めた編集者小野二郎の活動に焦点を当てている。晶文社での出版活動や高山建築学校との関わりを通じて展開されたユートピア的な理想を、多彩な資料とともに紹介する構成。モリスの芸術思想を現代日本に引き寄せた翻案の歩みをたどり、編集と社会活動の交差を明らかにしている。
アイデア No.365 現代におけるエイティーズ新解釈
グラフィックデザイン誌『アイデア』第365号(2014年6月号)は「現代におけるエイティーズ新解釈」を特集。2000年代後半からのイラストレーション界における80年代リヴァイヴァルの潮流を取り上げ、当時の様式を参照しつつ新たな視覚世界を構築する作家たちを紹介している。山根慶丈(MEMO)、せきやゆりえ、REO*spikee、菱沼彩子ら8名の作品を掲載し、世代や背景の異なる表現が交差する様相を提示。80年代の影響が現代にどのように受容され再解釈されているのかを明らかにしている。
片岡敏郎スモカ広告全集
戦前に活躍したコピーライター片岡敏郎の仕事をまとめた広告作品集。1925年から1941年にかけて新聞に掲載された「スモカ歯磨」の広告1155点を収録している。キャッチコピーと図像が織りなす軽妙な表現は、当時の生活感覚や時代精神を反映するもの。大量に掲載された図版を通じて、日本の広告史における創意と工夫の軌跡を体系的にたどることができる。装丁は『広告批評』の主宰者である天野祐吉が手がけており、資料的価値とデザイン性をあわせ持つ構成となっている。
井上嘉瑞と活版印刷 著述編/作品編 2冊セット
嘉瑞工房の創立者である井上嘉瑞の仕事をまとめた復刻版2冊セット。著述編では「田舎臭い日本の欧文印刷」をはじめ、戦前から戦後にかけて日本の印刷業界に大きな影響を与えたタイポグラフィ論や活版印刷に関する考察を収録している。作品編では欧文組版の習作や組版見本を中心に掲載し、実践的な資料としての側面も備える構成。理論と作品を往還する内容を通じて、日本における欧文印刷文化の基盤を照らし出している。
ブルーノ・ムナーリ展 しごとに関係ある人 出入りおことわり
ブルーノ・ムナーリ生誕100周年を記念して開催された展覧会の公式図録。デザイナー、教育者、芸術家として多方面で活動したムナーリの仕事を「枠を越える」「日常を詩的にする」「時による完成」といったテーマごとに紹介している。プロダクトから絵本、教育的ワークショップまで幅広い活動を網羅し、創造性を育むことに生涯を捧げた姿勢を伝える内容。芸術と生活をつなぐ実践を通して、ムナーリの多面的な魅力を浮かび上がらせている。
OBJECTS | John Gruen
アメリカの写真家ジョン・グルーエンによる写真集。モノクロ印刷による37点の静物写真を収録している。空瓶や水差し、カップ、スプーンといった日用品から、蚤の市で見つけた古道具や石ころまで、多くの人が見過ごす物を被写体とした作品群。錆びや傷の刻まれた質感が強調され、役割を終えた品々が新たな存在感を帯びる構成となっている。無名のオブジェに潜む美を写真として浮かび上がらせている。
四季の花 覆刻版 | 酒井抱一、鈴木其一、中野其明
江戸琳派を代表する絵師、酒井抱一、鈴木其一、中野其明による草木図をまとめた画帳。文化文政期から明治初期にかけて描かれた椿、沈丁花、蓮花、栗など四季折々の草花を、季節ごとに分類して収録している。全10冊にわたる図版と別冊の解説から構成され、琳派特有の装飾性と写実が交差する表現を伝えている。自然の移ろいを芸術的にとらえた作品群は、日本美術における植物表現の豊かさを照らし出している。
Paradise Now | Peter Bialobrzeski
ドイツの写真家ペーター・ビアロブルゼスキによる作品集。2007年から2008年にかけてハノイ、ジャカルタ、シンガポール、バンコク、クアラルンプールで撮影された写真を収録している。都市空間に茂る木々や草花が人工の光に照らされ、もうひとつの自然として幻想的に浮かび上がる構成。木々の隙間から高層建築や集合住宅がのぞく光景は、都市と自然の共存や対立を映し出すもの。鮮やかな色彩の中に、未来への問いを投げかける視覚的実践を提示している。
WE ARE THE LOVE | レスリー・キー
アートやファッション、広告、映像など幅広い分野で活躍する写真家レスリー・キーによる作品集。オノ・ヨーコ、北野武、カール・ラガーフェルド、山本耀司、ビリー・アイリッシュら世界各国の著名人に加え、世代や文化を越えた人々を被写体としたポートレートを多数収録している。写真家としての20年にわたる活動を振り返りながら、出会いと交流を通じて紡がれてきた多様な個性を讃える内容。人々への感謝と愛を写真に託した表現を示している。
ARP | Serge Fauchereau
彫刻家、画家、詩人として活動したドイツの芸術家ハンス・アルプを紹介する資料集。1900年代から1960年代にかけて制作された絵画、グラフィック、コラージュ、彫刻、レリーフなどを幅広く収録している。カラー・モノクロ合わせて184点の図版とテキストによって構成され、抽象表現の展開を多角的に示す内容。ダダからシュルレアリスムにいたる美術運動と交差しながら築かれた創作の軌跡を浮かび上がらせている。
Walking the High Line | Joel Sternfeld
アメリカの写真家ジョエル・スタンフェルドによる作品集。廃線となったニューヨーク・マンハッタン西側の高架鉄道跡「ハイライン」を四季折々に撮影している。都会の真ん中に突如現れた草花に覆われた風景は、田園のような趣をもちながら都市との対比を鮮やかに示すもの。やがて都市公園として再生するハイラインの姿を先取りするかのように、その保存運動を後押しした点でも大きな意味を持つ。都市再生と風景写真の交点を浮かび上がらせている。
Absorb | Heringa / Van Kalsbeek
オランダを拠点に活動するアーティストユニット、へリンハ/ヴァン・カルスベークの作品を紹介する一冊。クレラー・ミュラー美術館での展覧会にあわせて刊行されたもの。セラミックやブロンズといった素材に加え、蝶や血といった異質な要素を組み合わせることで、彫刻の領域を拡張する独自の表現を展開。流動的でありながら強い物質感を帯びた造形は、生命と無機質のあわいを探る試みでもある。多様な要素が交錯する作品世界を提示している。
Tim Walker: Shoot for the Moon | ティム・ウォーカー
世界的に活躍するファッションフォトグラファー、ティム・ウォーカーの作品を収めた一冊。幻想的で華麗さと不穏さをあわせ持つ写真を多数掲載し、その創造の源泉を本人によるテキストからも垣間見ることができる。ケイト・ブランシェット、ビョーク、ケイト・モスら名だたる俳優やモデルが登場し、独自の物語性を帯びた舞台空間を構築。夢と現実のはざまを漂うような視覚世界を通じて、ファッション写真の表現領域を拡張する姿勢を示している。
マイケル・ケンナ写真集 レトロスペクティヴ2 | エディシオン・トレヴィル
世界的に評価される風景写真家、マイケル・ケンナによる写真集『レトロスペクティヴ2』。北海道をはじめ、ヨーロッパやアジア、アメリカなど各地で撮影されたモノクロームのランドスケープを130点収録している。長時間露光によって描き出される静謐な光景は、現実と幻想の境界を揺さぶるような印象を与える。霧や雪、樹木や建築物といった自然と人工のモチーフを組み合わせながら、時間の流れや空間の余白を可視化する構成。写真表現の可能性を探る視点となっている。
夏秋冬秋 | 佐内正史
写真家・佐内正史による大判作品集。事務所から見える6つの風景を繰り返し撮影し、生い茂る木々や住宅街、雪に覆われた街路、廊下の先に灯る非常灯といったモチーフを収めている。限られた視点から季節の変化をとらえることで、日常の空間に潜む時間の積層が浮かび上がる構成。静けさの中に微細な揺らぎを宿したイメージは、都市と自然が織りなす風景の親密な断面を提示している。
Hiroshi Sugimoto: Portraits | 杉本博司
東京とニューヨークを拠点に活動するアーティスト、杉本博司の作品集。歴史上の人物を模した蝋人形を撮影した〈ポートレート〉シリーズを中心に、実在の人物のポートレート作品も収録している。〈ジオラマ〉〈海景〉〈劇場〉などの代表作と同様に、時間や歴史の流れをテーマとする一連の試みの延長に位置づけられ、カメラが捉える「現実」のあり方、イメージと実在とのあわいを探る視点となっている。
Wilderness | Misha de Ridder
オランダの写真家ミーシャ・デ・リッダーによる作品集。人の手が加わっていない自然を撮影した風景と、その部分を拡大して四色分解の印刷手法を強調したディテールが交互に展開されている。木肌の隆起や枝に咲く花の重なりが有機的なパターンとなり、静謐な風景の中にグラフィック的要素を見出す構成。ページはミシン目で切り離し可能となっており、付属の図版を組み合わせることで大判のインスタレーションを二種類制作できる仕組み。
Gerhard Richter: 100 Abstract Pictures | ゲルハルト・リヒター
ドイツを代表する現代美術家ゲルハルト・リヒターによる近作を収めた作品集。2023年にニューヨークのデイヴィッド・ツヴィルナー・ギャラリーで開催された展覧会にあわせて刊行されたもの。2016年から2022年に制作された50×50cmの抽象画100点を収録し、ガラス板に注がれたエナメル塗料が偶然のプロセスによって形を生む様子を提示している。生成されたテキストと絵画を並置する構成により、言語と視覚の関係を探る試み。晩年における実験的な表現を映し出している。
Supervisions | Andreas Gefeller
ドイツ出身の現代アーティスト、アンドレアス・ゲフェラーによる作品集。数百枚の写真を組み合わせて都市の断片を俯瞰的に再構築するシリーズ「Supervisions」を収録している。煙草の吸殻や散乱するゴミ、芝生、ゴルフボール、ひよこなど、日常に潜む細部を精緻に写し取り、デジタル合成によって巨大な平面へと変換。複雑な撮影技術と加工を通じて、現実と虚構の境界をずらしながら、都市と自然の関係性を新たに映し出している。
Confabulations | Torbjorn Rodland トールビョルン・ロドランド
ノルウェー出身の写真家トールビョルン・ロドランドによる作品集。被写体に寓話性や違和感をまとわせ、現実と虚構の境界を探るような独自の視覚言語を展開している。タイトルに掲げられた「コンファビュレーション(作話)」は、記憶障害の一種であり、無意識のうちに歪められた記憶を生み出す現象を意味する。写真を通して壊れかけた記憶や子供時代の幻想を呼び起こし、事実と虚構が交錯する瞬間をとらえる構成。現代写真における記憶と物語性の関係を照らし出している。
Gute und Dumme Wunder | Gerda Steiner、Jorg Lenzlinger
スイスの現代アーティスト、ゲルダ・シュタイナー&ヨルク・レンツリンガーによる作品集。動物、花や植物といった自然のモチーフから、宗教画や祭礼、日常の断片まで、多様なイメージを交錯させながら構成している。「地上の楽園」を探し求める旅の過程で撮影された写真群は、現実と幻想が溶け合うような視覚体験をもたらすもの。異なる要素を自在に組み合わせる手法を通して、境界の揺らぎと新たな世界観を映し出している。
DUBUFFET | Michel Thévoz
フランスの画家ジャン・デュビュッフェの作品集。絵画や彫刻にとどまらず、建築、音楽、文学へと広がる自由で挑戦的な表現を多角的に収録している。「ウルループ」シリーズをはじめとする代表作を含む図版を豊富に掲載し、批評的な解説をあわせることで、その創作の幅と背景を明らかにしている。ジャンルを越境する実践を通じて、20世紀美術における独自の位置づけを照らし出している。
Lucio Fontana: Retrospektive | ルーチョ・フォンタナ
イタリアの美術家で彫刻家、ルーチョ・フォンタナの作品を網羅した回顧的作品集。代表作〈空間概念〉シリーズをはじめ、初期の具象作品から成熟期の抽象表現まで幅広く収録している。切り裂かれたキャンバスや穿たれた表面に示されるのは、絵画と彫刻の境界を越えようとする実験の軌跡。さらに、1990年代以降の現代アートにおいて再評価されるその影響力をも示している。フォンタナ芸術の全体像とその意義を明らかにしている。
Light of | 蜷川実花
写真家・蜷川実花による作品集。宇宙空間のようにきらめく花火、熱気を帯びた人々の手、降り注ぐ紙吹雪やレーザーライトなど、光と色彩に満ちた瞬間を鮮烈にとらえている。きらびやかな色調と大胆な構図が画面を覆い、祝祭的なエネルギーと生命の躍動を可視化。ファッションや映画など多方面で活動する蜷川の感覚が、写真表現においても遺憾なく発揮されている。圧倒的な光景を通して、人間の感情と集団の熱狂を映し出している。
LANDSCAPES | Michael Craig-Martin
アイルランド出身の現代アーティスト、マイケル・クレイグ=マーティンの活動を紹介する作品集。アイルランド西部コネマラ地方をとらえた初期の映像作品と、近年のウォール・ペインティングを結びつけて展示した様子を収録している。風景の観察から始まり、抽象化された色彩と形態へと展開していく表現は、個人史と美術史の双方に根ざした実践。映像と壁画という異なる媒体を架橋しながら、作家の探求の連続性を示している。
Kozo Miyoshi | 三好耕三
大判カメラによる緻密なモノクローム作品で知られる日本の写真家、三好耕三の作品集。1972年から1983年にかけてアメリカで撮影されたシリーズ「See Saw」「Conservatory 温室」から、近年に至るまでの写真を収録している。写真家・上田義彦がセレクトを手がけ、作家の視線の変遷と一貫性を浮かび上がらせる構成。装丁はデザイナー中島英樹が担当し、静謐でありながら強い存在感をもつ写真世界を引き立てている。
Thomas Schuette
ドイツのアーティスト、トーマス・シュッテの活動を紹介する作品集。1998年にロンドンのホワイトチャペル・ギャラリーでの展覧会にあわせて刊行された。初期を代表する絵画や彫刻作品を中心に、多様な図版を収録している。さらに批評家やキュレーターによる論考、作家自身が綴った寓話的なテキストを加え、作品世界を多角的に解釈する構成。イメージと言葉の往復によって浮かび上がる思索の軌跡を提示している。
ラファエル・ローゼンタール ジェネロシティ 寛容さの美学 | 十和田市現代美術館
2018年に十和田市現代美術館で開催された展覧会「ラファエル・ローゼンダール ジェネロシティ 寛容さの美学」の公式カタログ。オランダ出身のアーティスト、ラファエル・ローゼンダールによる映像インスタレーションやタペストリー、英語俳句など、多様な表現を図版とともに収録している。ウェブ上のドメインを作品化するなど、インターネット時代における芸術のあり方を探求してきたローゼンダールの活動を紹介。展示風景の記録や解説を通して、デジタルと物質、言語表現が交錯する独自の実践を映し出している。
平成美術 うたかたと瓦礫(デブリ) | 京都市京セラ美術館
2021年に京都市京セラ美術館で開催された展覧会「平成美術 うたかたと瓦礫(デブリ)」の公式図録。バブル崩壊以降の社会的変動やカルチャーシーンとともに展開した平成の現代美術を振り返る内容となっている。絵画やインスタレーション、パフォーマンスから共同体的な実践にいたるまで、平成期を象徴する多様な表現を紹介。加えて、同時代の社会動向を整理した美術史年表を収録し、時代背景と作品群を重ね合わせて提示している。社会と芸術の交錯を浮かび上がらせている。
Nara Yoshitomo Hirosaki 奈良美智展覧会記録写真集
2002年に青森県弘前市の吉井酒造煉瓦倉庫で開催された奈良美智の展覧会を記録した写真集。会場のリノベーションに携わったボランティアスタッフの作業過程や、会場に設置されたインスタレーションの様子を収めている。撮影は写真家・瀧本幹也が担当し、作品だけでなく空間の変容や人々の営みを丁寧に写し取っている。地域とアーティスト、支える人々が交錯する現場を可視化し、展覧会が生み出した共同性と時間の積層を浮かび上がらせている。