Collection No5: A High Jewellery Collection Dedicated to the Chanel No5 Perfume
フランスを代表するラグジュアリーブランド、シャネルがブランドを象徴する香水「CHANEL N°5」の誕生100周年を記念して発表されたハイジュエリーコレクション「Collection N°5」のカタログ。ボトルストッパーやボトルデザイン、ナンバー、花のモチーフ、シヤージュ(残り香)といった5つの要素に着想を得た82点を収録。香水とジュエリーという異なる領域を融合させ、ココ・シャネルのクリエイティビティを新たに解釈している。
私という衣装 | ワダエミ
世界的な衣装デザイナー、ワダエミの作品集。米アカデミー賞衣装デザイン賞を受賞した黒澤明監督作『乱』をはじめ、『竹取物語』『夢の祭り』など代表的な映画の衣装を鮮明な写真で収録。華麗で緻密な造形に込められた思いや仕事への姿勢について、ワダ本人のコメントも併載。衣装を通じて映像表現の一端を担ったワダの創作の歩みを示し、映画とデザインの関係性を具体的に浮かび上がらせている。
Mies Van Der Rohe at Work
近代建築の三大巨匠のひとりとされるルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエの作品を紹介する一冊。バルセロナ・パビリオンやファンズワース邸をはじめとする代表作を、豊富なモノクロ写真とともに収録している。明快な構造と合理性を追求しながら、普遍的な美を備えた建築の数々を通して、20世紀建築史におけるミースの革新性を示している。
Modern House | John Welsh
リチャード・マイヤーやジョン・ポーソンをはじめとする現代建築家が設計した私邸を紹介する建築資料集。世界各地に建てられた約30の住宅を取り上げ、写真や平面図を交えて各プロジェクトごとに解説。20世紀初頭の建築家たちの思想や造形から影響を受けつつも、現代の住空間に応答する設計が随所に表れている。住宅建築の現在を示す資料として、建築家の思考と実作の関係を浮かび上がらせている。
20 Houses by Twenty Architects | Mercedes Daguerre
世界的に活躍する建築家20人が手がけた住宅を紹介する建築資料集。現代社会における住空間のあり方や新しい生活様式をテーマに、多彩なアプローチで設計された住宅を収録している。安藤忠雄、グレン・マーカット、スティーブン・ホール、リチャード・マイヤーらによる住宅を、豊富なカラー図版と解説とともに掲載。建築家それぞれの理念や美学がどのように住まいの形に結実しているかを明らかにしている。
フィリップ・ジョンソン著作集
アメリカのモダニズム建築を代表する建築家フィリップ・ジョンソンによる著作を集成した一冊。講演の速記録や未公開の草稿、既発表の論文をもとに編集されており、建築芸術に関する思索をはじめ、自身の建築作品や同時代の建築家たちについての論述を収録。図版や資料も併せて掲載され、ジョンソンの理論的背景や批評的視点を多角的に理解することができる構成となっている。装丁は田中一光によるもの。
TOO MUCH Magazine Issue 2
空間や風景、建築を通して人間が物理的世界をいかに経験するかを探るリサーチを続ける『TOO MUCH Magazine』の第2号。2011年の東日本大震災を受け、本号のテーマは「再建」に焦点を当てている。理想都市の構築や住居の意義、田舎やジャングル、砂漠への移住実験といった試みを扱う記事、エッセイ、インタビューを収録し、多様な暮らし方の可能性を論じている。特別付録として、写真家ホンマタカシによる40ページの写真集『London 1991-1992』が付属。
TOO MUCH Magazine Issue 8
東京発のインディペンデント・マガジン『TOO MUCH Magazine』第8号は、建築や都市をテーマに特集を展開。本号のテーマは「シェルター」で、アーティストのアン・ハーディによる作品群、ノースフェイス開発チームによるジオデシックドームの再現、坂茂の紙の家など、多彩な事例を独自の視点で紹介する。洗練されたヴィジュアルとともに、多様なシェルターのあり方を探る内容。英語表記。日本語訳冊子付属。
現代デザインの水脈 ウルム造形大学展
バウハウスの理念を継承し、20世紀デザイン教育に大きな影響を与えたドイツのウルム造形大学を紹介する展覧会の公式図録。大学の教育理念やカリキュラムの詳細、学生の作品、開校から閉校までの歩みを豊富な図版とともに収録している。さらに杉浦康平と向井周太郎による対談「デザインの展望」も掲載し、デザイン教育の歴史とその思想的遺産を明らかにしている。
ミナ ペルホネン / 皆川明 つづく
2019年から2022年にかけて国内外を巡回した展覧会「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」にあわせて刊行されたカタログ。ファッションデザイナー皆川明が設立したブランドの歩みを、展覧会の展示風景や多彩なテキスタイル、原画、スケッチ、さらにはアトリエでの制作過程とともに収録。デザインが生まれる背景や思考のプロセスを示し、ブランドが築いてきた独自の世界観と継続する創造の姿勢を浮かび上がらせている。アートディレクションは葛西薫によるもの。
Quatre Contes de Grimm | Van Cleef & Arpels
ハイジュエリーブランド、ヴァン クリーフ&アーペルによる2019年のコレクションを紹介するカタログ。グリム童話『12人の踊る王女』『黄金の鳥』『三枚の羽根』『ブレーメンの音楽隊』の4篇に着想を得て、卓越した技術と稀少な宝石によって物語世界を紹介。ジュエリーの精緻なイラストレーションとともに、童話と挿絵を収録している。 日本語表記。
Swimwear in Vogue Since 1910
ファッション誌『Vogue』に掲載された1910年代以降の水着ファッションを紹介する写真集。時代ごとに変遷した水着のデザインを、世界のトップフォトグラファーによる写真とともに辿っている。エレガンスをまとったモデルたちの姿を通じて、『Vogue』がいかに水着スタイルの潮流をリードしてきたかを示す構成。約70年にわたる誌面のアーカイブに加え、当時の逸話も交えて、国際的なファッションシーンの歴史を映し出している。
郷土玩具 紙、木、土 3冊揃 | 牧野玩太郎、稲田年行
日本各地で受け継がれてきた郷土玩具を素材ごとに紹介する写真資料集。紙・木・土をテーマに、ねぶた、赤べこ、こけし、大津絵絵馬など多様な玩具を収録している。各地の風土や信仰と結びついた造形や意匠を、写真とテキストで丁寧に解説。生活文化や民俗の中で育まれた遊びの造形美を浮かび上がらせている。
ちゃわんたのし | 野村泰三
国焼茶碗や唐物茶碗を中心に、多彩な茶碗を収めた写真資料集。縄文椀、古瀬戸茶碗、砧青磁茶碗、古染付茶碗などを取り上げ、カラー・モノクロを交えた図版と解説を掲載している。さらに古今東西の詩人による詩を添えることで、茶碗をめぐる美意識や精神性を広い視野から照らし出している。造形の魅力と文化的背景を併せて伝える構成。限定1500部発行。
表現者 河井寛次郎展
2004年に渋谷区立松濤美術館ほか全国を巡回した展覧会の公式図録。陶芸家・河井寛次郎の晩年における自由な創作を示す陶芸作品を中心に、初期や民藝運動に関わった時期の代表作、さらに木彫や家具デザインまで幅広く収録している。多彩な活動を示すカラー図版と解説を通して、生活と芸術を結びつけようとした河井の創造精神を見せている。
エレンの日記 | エレン・フライス
フランスの雑誌『Purple』創刊編集長として知られるエレン・フライスによる初の単著。2001年から2005年にかけて『流行通信』に連載された「Elein’s Diary」をまとめたもので、ファッション、映画、文学への関心や、世界各地での旅、アーティストや作家との交流、そして新しい個人誌『Hélène』や『The Purple Journal』の立ち上げに至るまでが綴られている。商業主義的な流行に抗い、自らの感受性と「美しさ」を信じ続けた編集者の姿を38篇の日記と150点の写真で描き出している。訳者・林央子によるイントロダクションも収録。
Painted With Thread: The Art of American Embroidery
アメリカ・マサチューセッツ州のピーボディ・エセックス博物館で開催された展覧会にあわせて刊行されたカタログ。絵画のように精緻な刺繍作品をはじめ、ウールとコットンで仕立てられたセーラーパンツや、女学生によって制作されたサンプラー(刺繍見本)などを紹介している。美術工芸と日常のあわいに生まれた多様な作品群を通して、手仕事の美と文化的背景を照らし出している。
村野藤吾の住宅デザイン 図面資料に見るその世界
日本を代表する建築家・村野藤吾の住宅作品に焦点をあてた資料集。特にデザインや設計過程に特徴が見られる戦前期の住宅を取り上げ、中山悦治邸、親栄会住宅、湯浅邸計画案などを多数の図面とともに紹介している。初公開となる資料を収録し、これまで十分に検証されてこなかった住宅設計の側面を掘り下げる構成。村野の初期の活動を新たな視点から検討し、その創作世界の広がりを明らかにしている。
INAX Booklet すき・くわ・かま 土に生きるかたち
INAXギャラリーで開催された展覧会にあわせて刊行されたブックレット。犂(すき)、鍬(くわ)、鎌(かま)といった農具を通して、日本における土との関わりと農耕文化のあり方を再考。農具の形態は、機能性を基盤に、地域の風土や土質、身体性に応じて多様に変化しており、その変遷を丁寧に辿る。単なる道具ではなく、生活文化や技術、身体感覚と密接に結びついた文化的な媒介項として捉えられ、民具の造形性や地域性への洞察を促す内容となっている。
INAX Booklet まわる、まわれ水ぐるま
INAXギャラリーで開催された展覧会にあわせて刊行されたブックレット。「水ぐるま(水車)」を多角的に捉え、その構造、技術、地域文化に至るまでを幅広く紹介。 全国各地に残る水車を実例とともに取り上げ、農業・工業・製糸業など、さまざまな産業において果たしてきた役割に着目。単なる動力装置としてではなく、地域の自然環境や生活文化と結びついた技術遺産として、水車の意義を再考する内容となっている。
INAX Booklet 瓦 日本の町並みをつくるもの
INAXギャラリーで開催された展覧会にあわせて刊行されたブックレット。「瓦」という屋根材を通して、日本の町並みや建築文化の成り立ちを多角的に考察する。近世以降の瓦の発展や、地域ごとに異なる形状・材質・葺き方に注目し、淡路・石州などの産地を取り上げながら、瓦と風土・職人技・生活文化との関係を掘り下げる。工事店への聞き取りや産地訪問を通じて、瓦を機能材としてだけでなく、景観や建築意匠を形づくる文化的要素として捉え直し、伝統建築の保存と地域文化の継承に資する視点を提示している。
INAX Booklet わが町のモダン建築
INAXギャラリーで開催された展覧会にあわせて刊行されたブックレット。明治から昭和初期にかけて各地で建てられた、無名の建築家や地元の大工・棟梁による近代建築を紹介。伝統的な技法と洋風デザインが交錯する中で、地域の風土に根ざしながらも「モダン」な表現を獲得した建築の魅力に迫る。建築を単なる歴史的遺構として記録するのではなく、地域の記憶や暮らしと深く結びついた存在として捉え、その時間の蓄積にも目を向けた一冊。
INAX Booklet 坪庭 隠された雪・月・花
INAXギャラリーで開催された展覧会にあわせて刊行されたブックレット。京都の町家に多く見られる「坪庭」を取り上げ、その特徴や魅力を紹介する一冊。俵屋、炭屋、伴邸など、京都にある具体的な町家の坪庭を事例に取り上げ、限られた空間を巧みに生かす日本的な住まいの知恵と感性を掘り下げる。坪庭は単なる小庭ではなく、採光・通風・借景・季節の表現といった多様な機能と象徴性を備えた装置であり、現代においても再評価される空間要素であることが、本書を通じて示されている。
壁・窓・格子 写真集 普及版 | 増田正
増田正による建築資料集・普及版。日本各地を巡り、自らの足で撮影した家屋の壁・窓・格子を収録し、地域ごとの風土と結びついた特徴を示している。伝統的な住宅意匠の細部を網羅的に記録することで、地域性や美意識の違いを明快に伝える構成。日常的な建築要素を通じて、日本の住文化の多様な表情を映し出している。
黒川勉のデザイン
1992年から2005年にかけて活躍し、急逝するまで日本のデザインシーンを牽引したデザイナー、黒川勉の仕事をまとめた作品集。空間デザインからプロダクトに至るまで幅広い領域で展開された代表的な82点をカラー写真で収録している。加えて、グラフィックデザイナー秋田寛やインテリアデザイナー杉本貴志らによるテキストも収録し、多角的な視点から黒川の創造力を検証。彼の短い活動期間に凝縮された豊かな成果を照らし出している。
日本の木の椅子 明治から近代・現代までの108脚
戦後の日本デザイン界を牽引した渡辺力が監修した、日本の椅子文化を総覧する資料集。皇室で用いられた椅子から柳チェアー、安楽椅子に至るまで、明治から現代までの108脚を収録している。モノクロの図版と解説に加え、柳宗理、磯崎新、黒川紀章、岩倉榮利ら28名のデザイナーによるインタビューや寄稿を掲載。多様な視点を通して、日本の木製椅子の系譜とその造形的探究を浮かび上がらせている。
草木の聲 | 志村ふくみ、志村昌司、田口葉子
京都新聞デジタルメディア「THE KYOTO」での連載を再構成した一冊。紬織の人間国宝・志村ふくみの詞を起点に、アトリエシムラ代表の志村昌司が染織や自然への思いを綴っている。写真家・田口葉子による撮影で、草木から生まれる染料や制作風景、自然素材の持つ豊かな色彩を捉え、文章とともに収録。言葉と写真を通じて、草木と人との関わりに潜む美意識を映し出している。
石本藤雄の布と陶 | 石本藤雄
日本出身でフィンランドを拠点に活動するデザイナー、石本藤雄の作品を紹介する作品集。1974年からマリメッコのテキスタイルデザイナーとして活躍したのち、老舗陶器メーカー「アラビア」のアート部門に所属し、布と陶という異なる領域で独自の表現を築いてきた。初期の鮮やかなテキスタイルから、自然の色や形を映した最新の陶芸作品に至るまで幅広く収録。北欧と日本の感性が交差する石本の創作の軌跡を浮かび上がらせている。
Architecture of Time | Hiroshi Sugimoto
現代美術家・杉本博司が2002年にクンストハウス・ブレゲンツでの個展にあわせて刊行した作品集。建築の外観を長時間露光で撮影する「建築」シリーズと、水平線を一貫した構図でとらえた「海景」シリーズを収録している。建築の輪郭をわずかに揺らがせることで、写真というメディアに潜む不確かさや抽象性を浮かび上がらせ、視覚と記憶、そして時間そのものへの問いを提示している。
Atelier of Cezanne | 鈴木理策
写真家鈴木理策が、フランス南部エクス=アン=プロヴァンスに残るポール・セザンヌのアトリエを訪れた記録。8×10インチの大判カメラで、室内に残された静物や家具、壁の質感、差し込む自然光を繊細に捉え、空間に宿る時間や記憶を映し出している。さらにセザンヌが描き続けたサン・ヴィクトワール山や、アトリエへ至る道など周辺風景も収録。画家と自然の関係に思考を広げつつ、「見ること」への根源的な問いを提示している。500部限定発行。
Karl Blossfeldt: 1865-1932
ドイツの植物学者であり写真家、カール・ブロスフェルトの作品を収めた写真集。30年以上にわたり数千種の植物を撮影し、その造形を克明に記録している。ブロスフェルトが捉えた植物は、自然が生み出す形態や構造の美を際立たせ、装飾やデザインにも通じる普遍的な秩序を示している点が特徴。本書は厳密な観察と写真表現が融合した独自の世界を通じて、自然の造形美の本質を浮かび上がらせている。
mono | 松原博子
写真家・松原博子による作品集。アーティスト、ソフィア・ファネゴの身体を通じて造形的身体表現の可能性を探求している。“mono”というタイトルはギリシャ語に由来し、「唯一」「孤高」「独創性」といった意味を含んでいる。被写体は裸体としてではなく、骨格や皺などの微細なディテールに焦点を当て、岩や丘といった自然物を想起させる彫刻的イメージへと再構成されている。身体そのものを素材とする美的対象として捉え直すことで、原始的かつ象徴的な「かたち」を示し、視覚芸術における身体表象の新たな位相を提示している。限定600部発行。
mono II | 松原博子
写真家・松原博子による『mono』に続く写真集。アーティスト・大脇千加子が沖縄のクバ(ビロウ樹の葉)を素材に制作したオブジェを、モデルのソフィア・ファネゴの裸体と組み合わせて撮影した作品群を収録。クバは扇や笠、敷物などに用いられてきた伝統的素材であり、その存在感が作品に土地の記憶を重ね合わせている。身体とオブジェが交差する瞬間をとらえ、造形的融合の強度を示すとともに、リソグラフ印刷特有の質感が身体表現と素材性の関係を照らし出している。
Fase Catarse | Pedro David
ブラジルのフォトグラファーでビジュアルアーティストのペドロ・ダヴィッドによる作品集。2008年から2011年にかけて制作されたもので、作家自身が新居を探している際に賃貸アパートを撮影したシリーズ『Aluga-se』、そのアパートで撮影した写真を集めた『Coisas Caem do Céu』、母親の死後に彼女が住んでいたアパートの部屋を写真に収めた『Última Morada』の三部作で構成されている。写真には、短い詩のようなテキストが添えられており、内省的な深い空気に包まれた一冊。 英語、ポルトガル語表記。
The Never Known into the Forgotten | Marcel Dzama
ニューヨークを拠点に活動するアーティスト、マルセル・ザマの作品集。2011年にドイツのクンストフェライン・ブラウンシュヴァイクでの展覧会にあわせて刊行されたもの。映像作品『A Game of Chess』『Death Disco Dance』を中心に、コラージュ、ドローイング、人形、彫刻などを収録している。仮面や制服をまとった人物像が夢幻的な空間で踊り、苦悶する姿は、ゴヤやダダ、オスカー・シュレンマーらの影響を踏まえつつ、文学や心理学、映画史、現代政治を交錯させている。繊細さと暴力性が共存するザマの世界観を照らし出している。
Mars | 濱村健誉
写真家・濱村健誉による作品集。地球の風景でありながら、どこか火星を思わせる荒涼とした光景を撮影し、砂丘や岩肌に刻まれた模様を通じて、未知の惑星を探査するかのような視覚体験を提示している。自然がつくり出した抽象的なフォルムと光の陰影は、科学的観察と幻想的想像力の両面を呼び起こし、見る者を異世界へと誘う構成となっている。写真を通じて、風景のリアリティとイマジネーションの境界を探る視点となっている。
Giorgio Morandi 1890-1964 ハードカバー版
イタリアの画家ジョルジョ・モランディの画業を総覧する作品集。1890年から1964年にかけて描かれた静物画を中心に、風景画や肖像画などを多数収録している。限られたモチーフを繰り返し描きながら、光と影の繊細な変化をとらえ、静謐で深みのある世界を構築したモランディの表現を示す内容。カラー図版を通じて、その一貫した制作姿勢と近代絵画史における独自の位置を明らかにしている。
Georges Braque: His Graphic Work
フランスの画家・ジョルジュ・ブラックによる作品集。ピカソと並んでキュビズムを創始した画家として知られるブラックの、1908年から1958年にかけての作品を収録している。初期における形態の探究から、戦後に展開した静物表現に至るまで、半世紀にわたる創作の変遷をたどる構成。版画やリトグラフを含む多様な図版を掲載し、近代美術史におけるブラックの役割とその造形思考の展開を明らかにしている。
Couleurs de Braque, Calder, Miro | Jacques Prevert
映画「天井桟敷の人々」の脚本で知られるフランスの詩人ジャック・プレヴェールによる作品集。親交のあったジョルジュ・ブラック、アレクサンダー・カルダー、ジョアン・ミロにまつわるテキストや詩を収録し、それぞれの作家による絵画や彫刻作品、関連写真と組み合わせて紹介。文学と美術が交差する構成によって、プレヴェールの言葉が芸術家たちの表現と響き合う関係性を提示している。
Midnight Call | 高橋恭司
写真家・高橋恭司による作品集。2019年に初めて訪れたパリを中心に、フランス各地で撮影された写真を収録している。オルガン奏者や教会のステンドグラス、街に残るストリートアート、自然の風景など、多様なモチーフをハッセルブラッド1000Fでとらえている点が特徴的。パンデミック直前の時期に記録されたイメージは、都市に刻まれた歴史や記憶を静謐にとらえ、写真表現を通じてパリという街の表情を伝達している。
DEKOTORA: Spaceships on the Road in Japan | 秦淳司
写真家・秦淳司が15年にわたり記録したデコレーショントラック、通称「デコトラ」を紹介する写真集。1970年代の映画『トラック野郎』シリーズを契機に一大ブームを巻き起こしたデコトラは、今では台数が減少し絶滅の危機とも言われる存在となっている。本書は特に夜間の撮影を通じ、闇に浮かび上がる車体の装飾性や光のコントラストを強調し、単なる記録にとどまらない表現を追求。デコトラをポップアート的かつ視覚文化的な対象として捉え直し、ストリートカルチャーや装飾美の文脈に位置づけている。都築響一、鈴木正文、安藤夏樹によるテキストを収録し、国際的な再評価に資する資料となっている。
Hot Dog 新宿 1999-2000 | 渡辺克巳
写真家・渡辺克巳による作品集。新宿を舞台に、1999年から2000年にかけて撮影された都市の姿を収録している。客引きやホスト、コマ劇場前に集う人々、路上に座り込む若者や生活者、裏路地に潜む猫など、雑多で猥雑な光景を写し出している。煌びやかな表層の背後に潜む都市の真実をとらえ、新宿という街のリアルな息遣いを見せている。
Jorg Sasse
ベッヒャー派に連なるドイツの写真家イェルク・ザッセの作品集。クンストラーコロニー美術館での展覧会にあわせて刊行されたもので、キッチンの静物、ラジオと時計、室内の配線といった日常的な断片を芸術的に切り取って収録している。平凡なモチーフを新たな視点で提示することで、写真表現の枠組みを問い直す内容。現代ドイツ写真の流れの中でザッセが果たした役割を映し出している。
The Heart Land | マーク・ボスウィック
ニューヨークを拠点に活動する写真家マーク・ボスウィックの作品集。アート、写真、ファッションと多岐にわたる活動を背景に、幻想的で自由な表現を展開している。本書には写真だけでなく、自身による詩も収められており、ヴィジュアルと言葉が響き合う独自の世界が広がる。境界を軽やかに越えるボスウィックの感性を通じて、日常と非日常のあわいにある詩的な風景を描き出している。