A Life in Typography | Jan Tschichold
20世紀を代表するタイポグラファー、ヤン・チヒョルトの活動を振り返る作品集。ルアリ・マクリーンによるバイオグラフィを収録し、チヒョルトがペンギン・ブックスのために制作したスタイルガイドをはじめ、多数の代表的な仕事を紹介している。新タイポグラフィ運動を牽引し、書体設計から装丁にいたるまで幅広い分野で活躍したチヒョルトの軌跡を通じて、20世紀のタイポグラフィの発展を照らし出している。
Glossary of Undisciplined Design
20人の国際的なデザイナー、教育者、理論家が参加し、グラフィックデザインの規則や差別的な構造をフェミニズムの視点から問い直すアート&デザイン書。アンヤ・カイザーとレベッカ・ステファニーによる共同プロジェクトとして編まれ、詩やビジュアルエッセイ、実験的プロジェクト、インタビューなど約55の寄稿を収録している。「愛されないツール」や「不安定なサイン」といったテーマを通じ、従来の教育や実践の枠組みにとらわれない新たな思考と表現の可能性を探る視点となっている。
Bonpoint Coloring Book | 田中健太郎
雑誌や広告のイラスト、企業やブランドとのコラボレーションなど、様々なプロジェクトで活動するイラストレーター、田中健太郎によるぬり絵の作品集。フランス・パリ発祥のクチュール子ども服ブランド、ボンポワンの銀座店オープンを記念して制作されたもの。田中健太郎による繊細で美しい独自の世界観が凝縮された、子どもも大人も楽しめる仕様となっている。第52回造本装幀コンクールで審査員奨励賞を、2019年に開催された世界で最も美しい本コンクールにて栄誉賞を獲得した一冊。
亀倉雄策のポスター 時代から時代へ 1953-1996年の軌跡
1996年に東京国立近代美術館で開催された「亀倉雄策のポスター 時代から時代へ 1953-1996年の軌跡」展の図録。東京オリンピック公式ポスターをはじめ、万座スキー場やニコンなど数々の代表作をオールカラーで90点以上収録している。戦後日本のグラフィックデザインを牽引した亀倉雄策の活動を振り返り、その造形感覚と時代を映す表現の広がりを提示している。
BOX-ER 木村勝のパッケージング
日本のパッケージデザインの先駆者として知られる木村勝の仕事を集成した作品集。菓子や飲料を中心としたパッケージに加え、自身が設立したゾナルト・アンド・カンパニーでの活動、マークやロゴタイプの仕事を幅広く収録している。戸田正寿、ペーター佐藤、松永真ら同時代のデザイナーによる寄稿も掲載され、木村勝のデザイン思想と影響の広がりを伝えている。装丁は仲條正義が手がけ、独自の造形世界を提示している。
かたちのみかた | 立花文穂
グラフィックデザイナーでありアーティストの立花文穂によるデザイン指南書。美術大学での授業を題材とし、「みる」「考える」「つくる」というデザイン以前の基本的な行為を出発点に据えている。単なる制作技法の解説ではなく、観察から思考、そして表現へと至るプロセスを立花独自の感性と視点で整理している点が特徴。豊富な図版や事例を交えながら、デザインを学ぶ者が自らの思考を形にしていく過程を導く構成となっており、創造の原点を探る視点となっている。
文字と絵の小宇宙 国立西洋美術館 内藤コレクション写本リーフ作品選
国立西洋美術館に所蔵される内藤コレクションの彩飾写本を紹介する作品集。印刷技術がまだ存在しなかった中世ヨーロッパにおいて、人々の信仰や知識の伝達を担った写本の中から、特に華麗な装飾が施された30点を精選して収録している。繊細な装飾文字や細密な挿絵が織りなす小宇宙を通じて、祈りと学びが結びついた当時の文化的背景をたどる構成。美術と書物の歴史が交差する中世写本の魅力を浮かび上がらせている。
ミヒャエル・ゾーヴァの仕事
ドイツの画家、ミヒャエル・ゾーヴァの作品集。代表作「ちいさなちいさな王様」をはじめ、ユーモラスでありながらも静謐な気配をたたえるイラストレーションを多数収録している。鮮やかな色彩と独特の寓意を宿す描線が、動物や人間を幻想的かつ親しみ深い存在として描き出すのが特徴。また、本書にはゾーヴァ自身によるエッセイも豊富に収められ、彼の人柄や創作への姿勢を窺い知ることができる。作品世界と作家の内面を重ね合わせながら、その歩みを提示している。
ミヒャエル・ゾーヴァの世界
ドイツの画家、ミヒャエル・ゾーヴァの作品集。出版、広告、舞台美術や映画など多様な領域で活動し、人物や動物をユーモラスかつ寓話的に描いたイラストレーションをカラーで多数収録している。緻密で鮮やかな筆致のなかに漂う静けさと皮肉が、ゾーヴァの作品世界を特徴づけている点も注目される。また、日本の読者に向けた語りおろしテキストが併載されており、創作の着想や思想が具体的に語られることで、作品と作家の思考の関係を明らかにしている。
文字の絵本 風の又三郎 | 宮澤賢治
宮沢賢治の名作『風の又三郎』をもとに、グラフィックデザイナー吉田佳広が制作した「文字の絵本」。文字の形や配置を自在に操り、タイポグラフィによって物語の情感や風景を視覚的に表現している。絵本のように展開されるページ構成を通じて、物語の新しい読み方を提示するとともに、文字とデザインの関係性を体感的に示している。
マップ紀行 おくのほそ道 | 吉田佳広
グラフィックデザイナーの吉田佳広がタイポグラフィを駆使し、松尾芭蕉「奥の細道」を綴る。高速道路、国道、新幹線、神社などの地図、路線図に芭蕉句碑、芭蕉が訪ねた名勝などを加え、俳句や紀行文を収録。アコーディオン折りの裏面には日本地図と、大垣から深川までの路線図、距離、時間を掲載。
ポール・ランドのデザイン思想
アメリカを代表するグラフィックデザイナー、ポール・ランドによる名著『Thoughts on Design』(1970年)の復刻版。広告や装丁、雑誌デザインなど幅広い実践を手がけたランドの仕事を豊富な図版とともに収録。自身の作品を参照しながら広告デザインの原理を論理的に解き明かし、その思想を体系化した内容は、半世紀を経てもなおデザイン教育や実務に示唆を与えるものとなっている。
ヴィジュアルメッセージ 特集 ヴィジュアル・スキャンダル
1978年に創刊された『Visual Message』第1号。特集テーマは「ヴィジュアル・スキャンダル」。写真家の浅井慎平、与田弘志や、グラフィックデザイナー仲條正義による作品をはじめ、亀倉雄策によるサヴィニャック論などを掲載。アートや広告を題材とした豊富な図版を収録し、編集協力スタッフとして田中一光、上條喬久、西村佳也らが参加し、当時の視覚文化の動向を映し出している。
ディック・ブルーナ展 ミッフィー、ブラック・ペア、そのシンプルな色と形
2003年から2004年にかけて開催された「ディック・ブルーナ展 ミッフィー、ブラック・ベア、そのシンプルな色と形」の図録。グラフィックデザイナーであり絵本作家としても知られるブルーナの初期ドローイングをはじめ、ポスターや書籍デザイン、絵本の原画を収録。さらにマティスやカルダーらへのオマージュ作品も掲載し、シンプルな形と色彩の中に込められたブルーナの創造性とデザインの源泉を映し出している。
佐藤可士和 Beyond
2004年に銀座グラフィック・ギャラリー(GGG)で開催された展覧会に伴い刊行されたカタログ。クリエイティブディレクター、アートディレクター、グラフィックデザイナーなど多彩な肩書きを持つ佐藤可士和。SMAP、Mr.Children、パルコ、楽天、月桂冠、THEドラえもん展など、ジャンルを超えたこれまでの主要プロジェクトを収録。単なる広告やグラフィック作品集にとどまらず、既存の枠組みを超え、表現と発想の新たな地平を切り拓く佐藤可士和の創造力を余すところなく伝えている。
ペンギンブックスのデザイン 1935-2005
イギリスの出版社ペンギンブックスの創刊から70年間にわたるデザインの歩みを紹介する資料集。1935年の創設当初の装丁から2005年までの表紙デザインを網羅し、その歴史的変遷をたどっている。読者に広く親しまれた名作の装丁を通じて、出版社としての理念や時代ごとのデザイン潮流を読み解くことができる1冊。
原弘と東京国立近代美術館 デザインワークを通して見えてくるもの
2012年に東京国立近代美術館で開催された企画展「原弘と東京国立近代美術館 デザインワークを通して見えてくるもの」の公式図録。戦中の対外宣伝グラフ誌『FRONT』や、同館で開催された展覧会のポスター・図録デザインなど、日本を代表するグラフィックデザイナー・原弘の幅広い仕事を紹介。多数の図版を通じて、美術館とともに歩んだ彼の活動の軌跡をたどることができる。
20世紀ポスターデザイン展
多摩美術大学と日本経済新聞社の主催による「20世紀ポスターデザイン展」にあわせて刊行された図録。エル・リシツキー、ヘルベルト・バイヤー、ミルトン・グレイザー、早川良雄、ヨゼフ・ミューラー=ブロックマン、横尾忠則など、20世紀を代表するデザイナーたちの作品をフルカラーで多数収録。社会や文化の変化を背景に生み出されたポスター表現を通じて、デザイン史に刻まれた多様な造形の展開を浮かび上がらせている。
D&D SCAN 松本弦人の仕事と周辺
広告やデザイン業界で活躍するデザイナーの仕事を多角的に紹介するシリーズの第1弾として刊行された一冊。アートディレクター、グラフィックデザイナー松本弦人を中心に据え、資生堂や富士通、マガジンハウスなどのオリジナル広告を収録している。さらに松本の発想の源泉となったサルブルネイの紹介や、関係者によるエッセイも掲載。作品と人柄、創造の背景をあわせて探る構成となっている。
アイデア No.177 ドン・ウェラーの世界
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.177(1983年3月号)。巻頭特集は「ドン・ウェラーの世界」。ロサンゼルスを拠点に活動するイラストレーターでグラフィックデザイナー、ドン・ウェラーがこれまで手がけた仕事の数々を紹介。そのほか「アメリカの古いパッケージ」「デェ・ステェイル」「20周年を迎えたブルノ・グラフィック・デザイン・ビエンナーレ」といった記事も収録。
アイデア No.176 第4回NAAC展
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.176(1983年1月号)。特集はNAAC(日本広告技術協議会)による第4回展覧会で、ポスター、広告、写真、パッケージデザインなど幅広い分野の作品を紹介している。そのほか「軽い重さ、ラニー・ソメスのイラスト」「やまもと寛斎が今、激しく燃えて、ジャパネスク・ロマンの系譜」「東京デザイナーズ・スペース『反核ポスター展』」といった記事も収録。
アイデア No.175 第28回ニューヨーク・タイプディレクター ズ・クラブ展
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.175(1982年11月号)。特集は「第28回ニューヨーク・タイプディレクターズ・クラブ(TDC)展」。ポスターや広告、ロゴなど幅広い分野の作品を紹介。そのほか「リチャードソン/スミス社のデザイン活動」「第2回モンス・トリエンナーレ・ポスター展」「深山重樹のアートディレクション」「横尾忠則のニュー・ペインティング」などを収録。
アイデア No.174 ソサエティ・オブ・イラストレイターズ24回展
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.174(1972年1月号)は、「ソサエティ・オブ・イラストレイターズ24回展」を特集。さらに永井一正による「ミキモト本店のディスプレイ」、今竹翠による「オズバルド・ミランダ ブラジル地方都市のデザイナー」など多彩な記事を収録している。当時の国際的なデザイン動向や、広告、展示、地域性に根ざした活動を紹介し、1970年代初頭のグラフィックデザインの広がりを映し出している。
アイデア No.173 ハワイのグラフィック・デザイン
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.173(1982年7月号)は、浦野亮やキャロル・グッドサンらによるハワイのグラフィックデザインを巻頭で特集している。あわせて「グラフィック・デザイン’82卒業制作誌上展」と題し、各地の芸術大学や専門学校の卒業制作を紹介。さらに「伊藤憲治の心象風景」「YAOデザイン研究所とその作品」「プロテストのポスター展」なども収録し、1980年代初頭の多様なデザインの潮流を提示している。
アイデア No.171 ボブ・エイブル・アンド・アソシエイツ 五十嵐威暢の最近作
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.171(1982年3月号)は、映画『トロン』の視覚効果やテレビ番組『世にも不思議なアメージング・ストーリー』のタイトル映像を手がけた映像作家ボブ・エイブルを特集している。さらに「五十嵐威暢の最近作」や「1981年度ニューヨークADC ホール・オブ・フェイム賞」などの記事を収録。
アイデア No.170 第27回ニューヨーク・タイプディレクターズ・クラブ展
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.170(1982年1月号)は、ブルガリアのデザイナー、ステファン・カンチェフを巻頭で特集している。あわせて世界各国から応募作品が集まる「ニューヨーク・タイプディレクターズ・クラブ」第27回展を紹介。さらに「書籍・雑誌専門のイラストレーター ジャック・ポワリエ」「山本洋司のアートディレクション」「ジャック・リシェは素描の陰に色彩をしかける」などを掲載し、国際的なタイポグラフィとイラストレーションの潮流を提示している。
アイデア No.169 アメリカの最新レコードジャケットデザイン
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.169(1981年11月号)は、アメリカのレコード業界で活躍する15名のアートディレクターが選んだ最新のレコードジャケットデザインを巻頭で特集している。さらに、ポーランド生まれのイラストレーター、ジャン・カフカを紹介する記事や、「なんとなくクリスタルなポルノ作家、アドリアン・ルーズ」「松永真のアートディレクション」なども掲載。1980年代初頭の音楽とデザインの接点を映し出している。
アイデア No.168 第23回ソサエティ・オブ・イラストレーターズ展
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.168(1981年9月号)は、「ソサエティ・オブ・イラストレーターズ」第23回展を特集。世界各国から寄せられた6100点の応募作の中から582点を厳選して紹介している。さらに「宮内ハルオの個展」「小さなスイスのデザイン・スタジオ、ジャン・ローベルト/ケティ・デュラー」「カリフォルニアで活躍する3人のイラストレーター:ジム・エバンス、トム・ニコシー、ルイズ・スコット」なども収録し、国際的なイラストレーションの広がりを見せている。
アイデア No.167 グラフィック・デザイン’81卒業制作誌上展
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.167(1981年7月号)は、グラフィックデザイナーのエイプリル・グレイマンとジェイム・オジャースを巻頭で特集している。さらに東京藝術大学、武蔵野美術大学、京都市立芸術大学など各地の芸術大学や専門学校の卒業制作を集めた「グラフィック・デザイン’81卒業制作誌上展」を掲載。加えて「アンドレ・トウット:オランダの若いデザイナーのダダイズムへの傾倒」なども収録し、1980年代初頭の教育と実践の現場を照らし出している。
ノルディックハイブリッド
-TAKTと北欧デザインの過去と未来-
10月11日(土)〜10月27日(月)の期間、「ノルディックハイブリッド -TAKTと北欧デザインの過去と未来-」を開催します。 「優れた機能性と美しさを兼ね備えた製品をすべての人々に」というコンセプトのもと、コペンハー […]
Alexander Calder
20世紀を代表する彫刻家アレクサンダー・カルダーの作品を紹介する作品集。1930年代から1970年代にかけて制作された作品を収録し、鮮やかな色彩をまとったモビールや、ワイヤーを用いたオブジェ、大規模な公共空間を彩るスタビルなど、多様な造形表現を図版とともに解説。動きと均衡を取り込んだ革新的な表現は彫刻の概念を刷新し、現代美術に新たな地平を開いたカルダーの生涯と独創的な軌跡を照らし出している。
American Origami | Andres Gonzalez
米国の写真家、アンドレス・ゴンザレスの写真集。アメリカにおける学校の銃乱射事件という社会問題をテーマに、オリジナル写真を中心に被害者や関係者の証言、法医学的記録、報道資料を織り交ぜて構成。喪失と償い、そして癒やしへ向かう共同体の営みを静かな視線でたどる視覚的な旅として読者を導いている。痛ましい出来事の中に見いだされる美の断片が浮かび上がり、倫理的、社会的な問いを静かに投げかける一冊。折り紙を思わせる独特な製本は、ページが折り重なり繰り返されることで、過去と現在、個と集団の記憶が複層的に浮かび上がり、静寂の風景や遺された手作りの記念品が佇む沈黙の中で秘められた声を可視化している。
Instant Stories ハードカバー版 | Wim Wenders
ドイツの映画監督ヴィム・ヴェンダースによる写真集。プライベートで撮影された友人や俳優のポートレートをはじめ、旅先の風景、テレビ画面に映る映像、1970年代の映画館など、多様なモチーフを収録している。詩的な記憶の旅をたどるかのように、イメージが緩やかに連なり、ロードムービーのような展開をみせる。写真を通して、ヴェンダース自身の物語や空想が映像的に形づくられている。
ZOE | 清家冨夫
写真家・清家冨夫によるポートレート作品集。ポーランド系アメリカ人女性ゾーイを被写体とし、1982年から1987年にかけて東京、パリ、ニューヨーク、ロンドンで撮影されたシリーズを収録している。20歳から25歳にかけての表情や姿の変化を、静謐なトーンでとらえている点が特徴。都市を背景にしながらも、時間の経過とともに移ろう個人の存在感を浮かび上がらせ、写真が持つ記録性と詩的な感性をあわせて提示している。
William Eggleston: For Now
アメリカの写真家ウィリアム・エグルストンの未公開作品を収めた作品集。映画監督マイケル・アルメレイダがアーカイブを1年かけて調査し、家族や友人を写した写真を中心に構成。日常の何気ない場面をとらえつつ、独特の色彩感覚と視点によって親密さを際立たせている。エグルストン作品の中でも珍しいテーマでありながら、その本質に通じる眼差しを伝え、写真表現の幅広さを映し出している。
Brian Eno: Ambient Kyoto ブライアン・イーノ・アンビエント・キョウト
2022年に京都中央信用金庫旧厚生センターで開催された展覧会「Brian Eno: Ambient Kyoto」にあわせて刊行された図録。アンビエント・ミュージックの創始者として知られ、ヴィジュアル・アートにも大きな影響を与えてきたブライアン・イーノによるインスタレーション作品を紹介している。音と光を媒介とした表現を豊富な図版と解説で収録し、イーノの芸術活動の広がりと実験性を多角的に提示している。
Cy Twombly: Die Skulptur the Sculpture
アメリカを代表する美術家サイ・トゥオンブリーの彫刻に焦点を当てた作品集。2000年にスイスのバーゼル美術館などで開催された展覧会にあわせて刊行されたもの。1950年代から制作された彫刻は、拾得物や日用品を素材に組み合わせ、白い塗料で覆うことで素材の意味を曖昧にし、記憶や時間の層を喚起している。シュヴィッタースやジャコメッティ、シュルレアリスムの影響を受けつつ、文学や音楽、神話の要素を内包し、独自の詩的世界を造形として体現している。
Brancusi: Masterpieces from Romanian Museums
20世紀を代表する彫刻家コンスタンティン・ブランクーシの作品集。1990年にニューヨークのガゴシアン・ギャラリーで開催された展覧会にあわせて刊行されたもの。ルーマニア国内の美術館に所蔵されている作品を収録し、ブランクーシの独創的な造形を伝えている。さらに代表作の図版シートに貼り込む装丁を採用し、資料的価値とともに視覚的にも楽しめる仕上がりとなっている。近代彫刻に新たな方向性を切り開いた芸術家の歩みを明らかにしている。
Umbra | Viviane Sassen
オランダの写真家、ヴィヴィアン・サッセンの作品集。「Umbra」=「影」をテーマに、光を巧みに操ったポートレートや静物写真を多数収録。サッセンは、影を不安や欲望のメタファーとして、または記憶や未来への希望の象徴として、そして想像力や幻想の喚起として捉えている。11枚のシートに印刷された作品、オランダの詩人、マリア・バルナスによる同じく「影」をテーマとした詩を収録した冊子を付属。
The Most Beautiful Flowers | Kenji Toma
ニューヨークを拠点に活動する写真家・Kenji Tomaによる作品集。19世紀フランスを代表する植物図譜「Choix des plus belles fleurs/美花選,ピエール=ジョセフ・ルドゥーテ著」に描かれた花たちへの、オマージュとして制作されたシリーズを収録。カラー写真が存在していなかった時代、リアリティを追求して緻密に描かれた植物図鑑を、現代の写真技術で再現するという逆のアプローチで表現した写真作品は、まるで植物図譜のような静物写真となっている。英語表記。
Arranging Flower Arranging | Andrea Salerno、Yeliz Secerli
イタリア人デザイナーのアンドレア・サレルノと、トルコ人デザイナーのイエリズ・シェケルリによる作品集。1966年に刊行された家庭用生花の参考資料『FLOWER ARRANGING』に着想を得て、その構成や図版を新たな視点から再編集している。サレルノが2018年にこの資料と出会い、シェケルリとともに再構築を試みたことで、当時のデザイン感覚と現代的な解釈が交差する内容となった。既存のマニュアルを再アレンジすることで、花をめぐる表現とその可能性を提示している。
Shadow 壜のなかの青い晩夏 | 浅井慎平
写真家・浅井慎平による作品集。1980年代のニューヨーク、パリ、ロンドン、サンフランシスコなどの都市風景に加え、自然の情景を捉えた写真を収録している。柔らかな光や陰影の表現を通じて、旅先で出会った瞬間の空気感を叙情的に映し出している点が特徴である。都市と自然、日常と非日常が交差するなかで、浅井の視線がとらえた時間の流れと詩情を静かに浮かび上がらせている。
日本 Japan | マイケル・ケンナ
イギリス出身のフォトフラファー、マイケル・ケンナによる日本の風景写真集。浜辺や寺院、雪に覆われた山々などを題材に、静謐で余白を生かした構図でとらえている。モノクロームで表現された光と影の階調は、まるで水墨画を思わせる趣をもち、自然と人の営みが織りなす時間の深さを伝えている。西洋の視点を通して描かれた風景には、日本の美意識と精神性が重なり合い、普遍的な自然観を具体的に映し出している。
100兆の詩篇 | レーモン・クノー
フランスの詩人・小説家レーモン・クノーによる1961年に発表された実験的文学作品。伝統的なソネット形式を用いながらも、各行が切り離され自由に組み替え可能な構造によって、理論上100兆通りもの異なるソネットがを生み出すことができる。ウリポ(潜在文学)運動の代表作の一つとして、文学と言語の形式的可能性を追求し、読者の参加を促すこの作品は、文学と数学的構造が交錯する新たな詩のあり方を示している。