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原点復帰―横浜 | 中平卓馬
2025年10月7日
横浜美術館で開催された、戦後日本を代表する写真家・中平卓馬の個展にあわせて刊行された写真集。自己の表現と記憶をめぐり、図鑑のように透明で客観的な写真を追求した中平の創作の軌跡をたどっている。神話的存在として語られるその人生と思想に光を当てる貴重な記録であり、戦後写真史における中平の位置を再考する内容となっている。森山大道、ホンマタカシ、八角聡仁らによる論考・寄稿も収録し、多面的な視点からその表現を明らかにしている。
東京窓景 | 中野正貴
2025年10月7日
写真家・中野正貴による、木村伊兵衛写真賞受賞作。浅草のアサヒビールの金色のオブジェや歌舞伎座、屋形船からの夜景、高層ビルの窓を清掃する人々など、東京の風景を「窓」という視点から再構築している。ひとつの窓越しに切り取られた情景は、光と影、内と外のあわいを際立たせ、都市の喧騒の中に潜む静けさと詩情を浮かび上がらせる。日常を異化するまなざしが、東京という都市のもうひとつの表情を映し出している。
Max Papart | Roger Green
2025年10月7日
フランス出身の芸術家、マックス・パパートの作品集。キュビズムの構成原理を基調にしながらも、軽やかなリズムと明るい色彩、詩的なユーモアをもって独自の世界を築いたパパート。版画、コラージュ、彫刻など多様な技法による作品を、約40年にわたる活動の中からカラーおよびモノクロ図版で紹介している。幾何学的構成と自由な造形感覚が交差する、20世紀後半のモダンアートの豊かな表現を見せている。
パンドラ | 合田佐和子
2025年10月7日
画家・合田佐和子による20年にわたる創作の軌跡をまとめた作品集。ドローイング、油彩、オブジェ、写真など多彩な表現媒体を通して、幻想と現実のあわいにある独自のイメージ世界を展開している。文学や舞台芸術との親和性を感じさせる構成で、時代とともに変化しながらも一貫して内面的な詩情を湛える作品群を収録。豊富な図版とともに、合田芸術の核心に迫る総集編となっている。
マン・レイと友人たち展
2025年10月7日
1991年に全国各地で開催された展覧会「マン・レイと友人たち展」の公式図録。絵画、オブジェ、版画、写真など多彩な分野で活動し、ダダやシュルレアリスムの旗手として知られるマン・レイの創作を紹介している。彼が撮影したピカソ、エルンスト、デュシャンら同時代の芸術家たちのポートレートに加え、彼ら自身の作品も併載。マン・レイを中心に、20世紀前衛芸術の豊かな交流と創造のネットワークを浮かび上がらせている。
国境 Staatsgrenze シュターツグレンツェ 1981-1983 | 古屋誠一
2025年10月7日
写真家、古屋誠一による作品集。2014年にドイツ・ハイデルベルガー・クンストフェラインで開催された個展にあわせて刊行されたもの。1981年から1983年にかけてオーストリアの国境地帯で撮影された23点のシリーズ〈国境 1981–1983〉に、新たに6点を加えた全29点を収録。旧東側諸国に面するハンガリー、ユーゴスラヴィア、チェコスロヴァキアとの国境地帯を歩き、ベルリンや東西ドイツの分断が大きく報じられていた当時とは対照的に、穏やかでどこか
TILE | 山下ともこ
2025年10月7日
グラフィックデザイナー、山下ともこによる作品集。さまざまな模様を施した1枚のタイルを、多様な形に組み合わせて構成したオブジェ作品を収録している。幾何学的な秩序と偶然のリズムが交差する構成は、デザインとアートのあわいにある創造性を感じさせる。ミニマルな造形の中に、色彩とパターンの遊びを見せる一冊。
Iron Beauties | Michelle Keim
2025年10月7日
アメリカ・シカゴ出身の写真家、ミシェル・ケームによる作品集。製鉄所や発電所といった巨大な工業建築を夜間に撮影したシリーズを収録している。暗闇の中、照明に照らされて浮かび上がる鉄骨や配管の構造体は、機能性を超えて彫刻的な美を帯び、近代産業が生み出した力と詩情の共存を映し出している。写真を通して、普段は人目に触れない産業建築の造形的側面と、その内に潜むエネルギーの存在を静かに示している。
GENKYO 横尾忠則 I A Visual Story 原郷から幻境へ、そして現況は?
2025年10月7日
2021年に全国各地を巡回した大規模回顧展にあわせて刊行された図録。日本を代表する美術家・横尾忠則の約80年にわたる創作の軌跡をたどる一冊。劇団「状況劇場」との協働、絵画シリーズ〈Y字路〉、著名人の肖像画など、時代ごとの主要作品を豊富なカラー図版とともに紹介する。自身の芸術観や精神的原点を語るインタビュー、解説も収録し、横尾の変遷と現在地を多面的に提示している。
Ghost Photography: L’illusione del Visibile
2025年10月7日
「見えるもの」と「見えないもの」、「幽霊」や「幻影」を主題に据えた写真資料集。ポール・ヒル、ジョエル=ピーター・ウィトキン、ブライアン・グリフィンら、幻想性や超現実的イメージを探求してきた写真家たちの作品を収録している。光と影、現実と想像のはざまに生まれる「幽霊的」な瞬間を通して、写真というメディアがもつ知覚と存在の曖昧さを浮かび上がらせている。
Kippenberger
2025年10月7日
ドイツのアーティスト、マーティン・キッペンバーガーの活動を総覧するモノグラフ。1976年から1991年にかけて制作されたペインティングや立体造形を中心に構成され、ユーモアと社会批評を融合させた独自の表現世界を記録している。巻末には図版索引、年表形式の略歴、参考文献、展覧会歴を収録し、キッペンバーガーの多面的な創作活動を体系的にたどることができる内容となっている。
VALLOTTON フェリックス・ヴァロットン版画集
2025年10月7日
2010年に三菱一号館美術館で開催された展覧会にあわせて刊行された、スイス出身でパリを拠点に活動したナビ派の画家、フェリックス・ヴァロットンの版画集。1887年から1916年にかけて制作された木版画180点を収録し、代表作のほか、第一次世界大戦下に制作された連作〈これが戦争だ!〉も掲載。冷徹な観察眼と大胆な構図によって社会や人間の内面を鋭く描き出したヴァロットンの版画表現を読み解いている。
Comme un Parfum d’Aventure
2025年10月7日
2020年から2021年にかけてフランス・リヨン現代美術館で開催された展覧会の延長として刊行されたカタログ。リヨン美術館およびリヨン現代美術館のコレクションをもとに、「移動」をテーマに据えた作品群を紹介。人類の進歩やグローバル化によって流動化する世界のあり方を多角的に捉え、絵画、写真、インスタレーションなど多様な表現を通じて展覧会の構成を再現。現代社会における移動とアイデンティティの関係を提示している。
ArT RANDAM 18 Sam Doyle
2025年10月7日
京都書院が刊行し、都築響一が編集を手がけたアートブックシリーズ「ArT RANDOM」の第18巻。アメリカ・サウスカロライナ州セント・ヘレナ島出身のアーティスト、サム・ドイルの作品を収録している。地元で手に入るトタン板や木片などの廃材をキャンバスに、鮮やかな色彩で地域の人々の暮らしや信仰、コミュニティの歴史を描く。アフリカ系アメリカ人文化に根ざしたフォークアートとして再評価されるその表現を紹介している。
ArT RANDOM 73 Ian Walton, Russell Mills
2025年10月7日
京都書院が刊行し、都築響一が編集を手がけたアートブックシリーズ「ArT RANDOM」の第73巻。イギリス出身のアーティスト、イアン・ウォルトンとラッセル・ミルズの作品を収録している。花や昆虫、鳥の羽、廃材といった身近な素材を組み合わせ、風化や記憶といった時間の痕跡を視覚化。静謐でありながら幻想的な世界観を構築している。物質と感情のあわいに潜む詩的な表現を提示している。
You’re Not from Around Here: Photographs of East Tennessee | Mike Smith
2025年10月3日
アメリカの写真家、マイク・スミスによる作品集。23年にわたり南部アパラチアの風景と人々の暮らしを撮影し続けたもの。「あなたはこのあたりの人ではない」と告げられる外来者として出会いを重ねながら、次第に地域の奥深くへと入り込み、生活の本質に触れている。広大な自然や動物、古い家屋や納屋、熊の剥製、墓地などを写し出し、土地と人に刻まれた記憶を静かに伝えている。消えゆくアメリカの文化の断片を照らし出している。
Rachel Whiteread Drawings
2025年10月3日
イギリスの造形作家、レイチェル・ホワイトリードによるドローイング作品集。1980年代後半から近年にかけて制作された作品を通じて、創造の過程をたどることができる。色とりどりのグラフ用紙に描かれた線や形、コラージュによって重ねられた断片的なイメージなど、繊細な表現が多く収録されている。立体作品で知られるホワイトリードの思考の軌跡が紙面に残され、造形に向かうまなざしの深まりを明らかにしている。
Die Wandlungen | David Weiss
2025年10月3日
スイス出身のアーティスト、ダヴィッド・ヴァイスによるドローイング作品集。1975年から1979年にかけて制作された全82シリーズを収録している。恋人との別れを機に各国を旅するなかで描かれたもので、マッチ棒が人影に、三角形が島に変化するなど、連続的なイメージが幻想的な物語へと展開していく。ヴァイスの初期活動を示す重要資料であり、後年のコラボレーションへとつながる創造的思考の源泉を映し出している。
A Field Guide to Snow and Ice | Paula McCartney
2025年10月3日
アメリカの写真家、パウラ・マッカートニーによる作品集。氷や氷柱、降雪、凍った滝や鍾乳石、雪の結晶といった冬の造形を抽象的に捉え、独自の視覚世界へと導いている。自然がつくり出す多様な形態を再構成することで、想像上の冬景を体感させる構成。異なるサイズの図版を配した蛇腹綴じの美しい造本となっており、背表紙を外すと全長約10メートルのインスタレーションとして展開できる。
Genazzi: Oggetti in Argento, 1930-1960 | Luigi Genazzi、Eros Genazzi
2025年10月3日
イタリアの銀細工師、ルイジ・ジェナッツィとその息子エロス・ジェナッツィによる作品集。1930年代から1960年代にかけて制作された銀工芸品を中心に、厳格なラインと繊細な装飾を持つルイジの職人技と、デザイナーとして参画したエロスの感性が交わることで生み出された前衛的な造形を紹介している。イタリア装飾芸術とインダストリアル・デザインの交差点に位置づけられる作品群が、時代の美意識と技術を浮かび上がらせている。300部限定発行。
Measure of Emptiness: Grain Elevators in the American Landscape | Frank Gohlke
2025年10月3日
アメリカの写真家、フランク・ゴールケによるモノクロ作品集。20年以上にわたり撮影されたアメリカ中西部の穀物エレベーターを中心に、農地や市街地、自然環境とともに記録。巨大な産業建築物の存在感と、それを取り巻く空間の静けさを静謐な眼差しで捉え、人の営みと風景との関わりを浮かび上がらせている。構造物と大地が織りなす時間の厚みを示し、アメリカのランドスケープを深く考察する視点となっている。
The Heart of the Matter | Carrie Mae Weems
2025年10月3日
アメリカのアーティスト、キャリー・メイ・ウィームズによる包括的なモノグラフ。歴史、アイデンティティ、権力といった主題に一貫して取り組んできた活動を、初期作「Family Pictures and Stories」(1981–82)から近年のブラック・チャーチを題材としたシリーズまで豊富な図版で収録している。ウィームズ自身による精神的・哲学的な考察に加え、多世代の批評家や研究者による論考を併載。時代や地域を超えて展開される作品世界を通して、社会の複雑さと不正義に向き合うその視線を明らかにしている。
空気遠近法 写真と詩によるヴェネツィア | 奈良原一高
2025年10月3日
写真家・奈良原一高によるヴェネツィアを題材とした写真集。モノクロームで切り取られた水都の光景に、詩人・田村隆一の言葉が重なり、デザイナー・勝井三雄による構成でまとめられている。都市の歴史と記憶を映し出す写真と、詩的な響きをもつ言葉の交錯が、ヴェネツィアという都市の多層的なイメージを立ち上げている。芸術分野を横断した協働によって生まれた、重厚な一冊となっている。
Mirror | Camilla Holmgren
2025年10月3日
デンマーク出身の写真家、カミラ・ホルムグレンによる作品集。女性の身体と空間の関わりをテーマに、セルフポートレートを中心とした写真を収録している。しなやかなフォルムや透ける血管の描写から、都市の夜景や集合住宅、畳の部屋に敷かれた布団、さらには対照的に現れる男性の姿まで、親密で内省的な視線が貫かれている。詩的で感情に訴えるイメージを通じて、静謐な世界の広がりを映し出している。
Smoke Line | 津田直
2025年10月3日
写真家・津田直による作品集。中国、モンゴル、モロッコの辺境を巡り、自然と対峙するなかで捉えた風景を収録している。広大な大地に吹き抜ける風や空気の気配は、離れた世界を見えない透明な帯=「風の河」として結びつけている。地理的に隔絶された土地同士を呼応させる視線は、自然と人間の根源的な関わりをあらためて浮かび上がらせている。
Bas Princen - Wiel Arets
2025年10月3日
オランダの建築家ウィール・アレツによる12の建築を、同じくオランダの写真家バス・プリンセンが撮影した作品集。柱を樹木のように見立てたり、フリット加工が施されたガラス面を抽象画のように写し出すなど、アレツの建築を独自の視点で捉えている。写真を通じて建築の物質性と空間性を再考させ、造形がもつ多層的な意味を探る手がかりを提示している。
A Game of Photos | Cai Dongdong
2025年10月3日
中国出身のアーティストで写真家、蔡東東(カイ・ドンドン)による作品集。2014年から2021年にかけて制作されたもので、前半には収集した写真を用いた構成、後半には自身が撮影した写真を組み合わせたコラージュやインスタレーションを収録している。既存のイメージと新たに撮られた写真が交差することで、鑑賞者の知覚に揺さぶりを与え、写真表現の可能性を拡張している。視覚と言葉を超える関係性を提示している。
Portraits | Hellen van Meene
2025年10月3日
オランダの写真家ヘレン・ファン・ミーネによる作品集。少女や少年をはじめ、さまざまな人物を被写体としたポートレートを収録。日常の一場面のようでありながら、どこか不穏さや奇妙さを漂わせる構図が特徴で、同時に静謐で美しい世界観を築き上げている。光の扱いや被写体の表情がもたらす緊張感は、ポートレート写真の既成概念を揺さぶり、人物像を新たな視点から描き出している。
Bacon Ice Cream 台湾版 | 奥山由之
2025年10月3日
2011年に第34回写真新世紀優秀賞を受賞し、大学在学中に鮮烈なデビューを果たした奥山由之による作品集。2015年に刊行された『BACON ICE CREAM』(パルコ出版)に未収録の作品を30点以上追加し、再構成した台湾限定版。自由で挑戦的な表現方法で独自の世界観を展開し、近年の写真界を牽引する存在として注目を集めてきた。デビューから現在に至るまでの活動を振り返り、作品からクライアントワークまでジャンルを横断して構成。瑞々しい感性と実験的なアプローチが織りなす軌跡を一望できる内容となっている。
American Mood | Robert Farber
2025年10月3日
ニューヨークを拠点に活動する写真家ロバート・ファーバーの作品集。輪郭を淡くぼかし、やわらかなタッチで被写体をとらえる独自のスタイルで知られ、人々を魅了してきた。カラーとモノクロで構成された写真には、都市の空気感や人物の表情が繊細に刻まれている。ファーバーが探求してきたアメリカ的な情緒と感覚を視覚化し、写真表現の幅広さを示している。
Luigi Ghirri: Thought Landscapes
2025年10月3日
イタリアの写真家ルイジ・ギッリによる作品集。2016年に開催された展覧会にあわせて刊行された1冊。日常の一場面や風景を被写体としながら、一見するとありふれた情景に独自の視点を重ねることで、新たな意味を見出させる写真を収録。静けさを帯びた構図や色彩の選択には、被写体の存在を改めて考察させる力が宿っている。見慣れた風景に潜む詩情を探り出し、写真が持つ思考の可能性を提示している。
A House is not a Home | Bruce Weber
2025年10月3日
米国の写真家ブルース・ウェーバーによる作品集。世界各地のアーティストやデザイナーを訪ね、住まいやアトリエのインテリアとエクステリアを撮影し、それらがいかに持ち主の個性を映し出しているかを探る。サイ・トゥオンブリー、ジョージア・オキーフ、ルイス・バラガンらが登場し、それぞれの空間に息づく美意識と生活の気配を豊富な写真で伝えている。
Bleu, Blanc, Goude | Jean Paul Goude
2025年10月3日
フランスのグラフィックデザイナー、イラストレーター、写真家として活動し、広告ディレクターとしても知られるジャン・ポール・グードの作品集。グードの創作の核となるショーや広告の構想図・デッサンを収録し、鮮烈なビジュアルイメージの生成過程を示している。ジャーナリストのマリー・コルマンと映画評論家ジェラール・ルフォールによるテキスト「Goude Vibration」も併録し、彼の多面的な活動を照らし出している。
One Hundred Models and Endless Rejects | Marlene Dumas
2025年10月3日
南アフリカ出身の画家、マルレーネ・デュマスによる作品集。1980年代から「人間のイメージ」を軸に具象絵画を探求し続けてきたデュマスは、モデルを用いず新聞やテレビ、自身の写真を素材に制作を行ってきた。本書では「Models and Rejects」シリーズを含む過去10年の作品を収録し、ジェンダー、抑圧、性的・民族的暴力といった社会問題に向けられた視線を解説とともに提示している。挑発ではなく切実なリアリズムと精神性を浮かび上がらせている。
Cerith Wyn Evans: The Illuminating Gas
2025年10月3日
ウェールズ出身のアーティスト、ケリス・ウィン・エヴァンスによる作品集。2019年から2020年にかけてミラノのアートセンター、ピレリ・ハンガービコッカで開催された展覧会にあわせて刊行されたもの。初期の彫刻から、光や音を用いた複雑で壮大なインスタレーションに至るまで、多様な表現を紹介している。コンセプチュアルアートの先駆者としての活動の軌跡がまとめられ、エヴァンスの創作の広がりを浮かび上がらせている。
マイケル・ケンナ写真集 Michael Kenna: A Twenty Year Retrospective
2025年10月3日
世界的に評価を受ける風景写真家マイケル・ケンナの20年にわたる活動をまとめた回顧的写真集。建造物や自然、庭園などを静謐なモノクロームでとらえ、時間と光の移ろいを繊細に描き出している。厳密に計算された構図と広がりを持たせた余白が特徴で、現実の風景が幻想的な空間へと変容する瞬間をとらえる表現。代表作を通して、写真における静けさと精神性を形づくっている。
Blind Spot | Teju Cole
2025年10月3日
アメリカのフォトグラファーであり作家、美術史家でもあるテジュ・コールによる作品集。サンパウロ、シカゴ、ラゴスなど世界各地で撮影されたイメージに短いテキストを添えて構成。詰め込まれたペットボトルの山や路上に置かれたブランドバッグといった光景は、都市の日常に潜む断片を鋭く切り取るものとなっている。写真と言葉が響き合い、グローバルな視点から現代社会の姿を照らし出している。
エリザベス ペイトン Still life 静/生
2025年10月3日
アメリカの画家、エリザベス・ペイトンによる展覧会「Still life 静/生」にあわせて2017年に原美術館で刊行された図録。ミュージシャンや歴史上の人物、恋人や愛犬といった憧れや身近な存在を描いた肖像画を中心に構成されている。繊細な筆致と親密な眼差しによって新たな肖像表現を切り拓き、現代絵画に新たな流れをもたらしたペイトンの25年にわたる画業を、42点の作品を通して概観できる内容となっている。
Le Nom qui Efface la Couleur | Israel Arino
2025年10月3日
スペインの写真家、イスラエル・アリノによる作品集。フランス中部のサントル地方でアーティスト・イン・レジデンスに参加した際に撮影されたもので、ポートレートや風景をモノクロで収録。どこか退廃的でありながらも、光と影の対比の中に詩的な静けさを漂わせる点が特徴的。日常と非日常の境界を探るように、被写体は寓話的な物語性を帯びて表現されている。写真を通じて記憶と幻想が交錯する世界を映し出している。
SYNTAX | Ralph Gibson
2025年10月3日
アメリカの写真家、ラルフ・ギブソンによる作品集。黒と白のコントラストを強調した構図や、断片的に配されたモチーフの連なりによって、視覚的リズムと意味生成の構造を探っている。初期三部作を経て到達した本作ではより抽象性と形式性が強まり、写真表現における「構文(syntax)」の可能性が示され、ギブソンが築いた独自の視覚言語の深化を浮かび上がらせている。
Brazil: As Origins Visuais da Cultura | Ralph Gibson
2025年10月3日
アメリカの写真家、ラルフ・ギブソンによる作品集。ブラジルの芸術、音楽、文化を題材に、その多様な魅力を視覚的に探っている。熱帯の自然と人工物が織りなす色彩、太陽の光が降り注ぐビーチの風景、リズムに満ちた音楽の気配、そして女性のポートレートなどを収録。鮮烈なイメージの数々は、ギブソン特有の親密で詩的な眼差しとともに、ブラジルという土地の活力と感性を映し出している。
Ex Libris | Ralph Gibson
2025年10月3日
アメリカの写真家、ラルフ・ギブソンによる作品集。古代ローマの石彫やグーテンベルク聖書に象徴される印刷技術の革新など、文字と書物への憧憬を背景に構成。モノクロームで収められた断片的なイメージが連なり、知と視覚の関係性を多角的に示している。写真表現を通して、文字文化が築いてきた記憶と想像力の広がりを照らし出している。
KYKLADES | Ali Bosworth
2025年10月3日
カナダのアーティスト、アリ・ボズワースによる作品集。ギリシャのキクラデス諸島を旅する中で撮影された写真を収め、風景と記憶の断片を記録している。裸で海を泳ぐ女性や広大な自然、積み上げられたプラスチックケース、錆びつき放置された車など、日常と非日常が交差する光景が並ぶ。穏やかな光に包まれたイメージは、時間の流れと土地に刻まれた記憶を静かに浮かび上がらせている。限定300部発行。
CHANEL: The Making of a Collection | Laetitia Cenac
2025年10月3日
世界的ブランド、シャネルのコレクション制作の舞台裏を紹介する一冊。ファッションジャーナリストのラエティシア・セナックが密着取材し、スタジオでの構想からショーに至るまでの流れを記録している。カール・ラガーフェルドのデザイン哲学に加え、刺繍や花飾り、靴や帽子などを手がける職人たちの高度な技術を紹介。ジャン=フィリップ・デロームのファッション画を多数収録し、シャネルの創造性と文化的遺産を映し出している。
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