Two Garlands | Francesco Clemente
イタリア出身の画家フランチェスコ・クレメンテによるドローイング作品集。1986年にニューヨークで開催された展示に際して発行されたもの。同一の人物像を繰り返し描きながら、色彩や円環的なモチーフ、配置の変化によってイメージは少しずつ姿を変え、見る者の意識を内省的な領域へと導く。トランスアヴァンギャルド以降のクレメンテの表現を凝縮した、詩的な一冊。
ULRICH MEISTER
スイスのアーティスト、ウルリッヒ・マイスターによる作品集。1997年にバルセロナのミース・ファン・デル・ローエ記念館で開催された展示に際して発行されたもの。線描、絵画、写真、広告の切り抜きなど多様なメディアを横断し、日常にあるささやかな物を題材にした作品を収録している。
内藤礼 信の感情
2014年に東京都庭園美術館で開催された、現代美術家・内藤礼の展覧会図録。木彫による「ひと」や、白い画面に色彩と光が生まれる絵画シリーズ「color beginning」をはじめ、当時の新作を中心に収録。時間の積層や人の気配を宿す旧朝香宮邸と、ホワイトキューブの展示空間に作品が配置され、空間そのものが鑑賞体験の一部として静かに立ち現れる。内藤の思考が、作品と場の関係を通して丁寧に示され、鑑賞者と作品とのあいだに生まれる、目には見えない往復の感覚をそっと掬い上げている。
other mementos | 幸本紗奈
東京を拠点に活動する写真家・幸本紗奈による初の作品集。瓶の上の青りんご、和室にぼんやりと映る鏡の像など、23点のフィルム写真を収録し、個人的な記憶の断片にそっと触れるような感覚を呼び起こす。曖昧で名づけがたい美しさをたたえた写真は、鑑賞者それぞれの記憶や感覚を静かに引き寄せている。装丁はコラージュ・アーティスト、村橋貴博によるもの。
Weavings of Nomads in Iran: Warp-faced Bands and Related Textiles
イランの遊牧民が受け継いできた手織り帯に焦点を当てた本格的な研究書。荷物を家畜に固定するための帯は、遊牧生活に欠かせない実用品であると同時に、部族の記憶や装飾感覚を宿す重要な造形でもあった。特にカシュガイ族の織物を中心に、構造や技法、バックルや留め具の種類、年代判定の手法、19〜20世紀におけるデザインと構成の変化を詳細に検証している。帯に刻まれたモチーフを通して、遊牧民社会のつながりと造形思想を読み解いている。
マッキントッシュとグラスゴー・スタイル
2000年にサントリーミュージアムほかで開催された展覧会「マッキントッシュとグラスゴー・スタイル」展の図録。20世紀モダニズムの先駆者、建築家のチャールズ・レニー・マッキントッシュと、スコットランドのグラスゴー美術学校出身の仲間たち、ザ・フォーなどのデザイナーたちによる作品を多数収録。多岐にわたる才能で活躍したマッキントッシュとともにグラスゴー・スタイルを確立したデザイナーたちの業績をたどる一冊。
MVRDV式 まつだい雪国農耕文化村センター
彰国社から創刊された雑誌『建築文化』の別冊。オランダのロッテルダムを拠点とする建築事務所「MVRDV」が手がけた代表作「まつだい雪国農耕文化村センター」を多角的に紹介する。空間が生まれるまでのプロセス、スケッチや模型資料など豊富な図版を解説とともに収録。
黒い直方体と交錯するパッサージュ | 遠藤克彦
2022年に大阪・中之島に開館した「大阪中之島美術館」。設計者の選定をプロポーザルではなくコンペで開催し、選ばれたのが当時スタッフ5名という遠藤克彦建築研究所だった。本書は学芸員、行政担当、コンペ審査員、構造家、建築家ら異なる立場である9名の証言をまとめたドキュメントであり、公共建築、そして建築家の新しいあり方を問い直す一冊となっている。
Ed Aninnk: Designer
オランダ出身のデザイナー、エド・アニックの作品集。空間設計、インスタレーション、プロダクトデザイン、展示の様子ほか、作品図版とともに解説。多岐にわたる分野で活躍する、その仕事を探る。 英語表記。
Pia Ferm: Bread and Butter
スウェーデンのアーティスト、ピア・フェルムによる作品集。大理石彫刻とタペストリーという異なるメディウムを横断しながら、彫刻と絵画の境界を探る実践を包括的に紹介。スケッチや水彩画を起点に制作されるタペストリーは、手織りのウールによって描線の痕跡を残しつつ、抽象的な図像として展開され、絵画的な広がりを感じさせる。一方、大理石作品には素材の重さと静けさが宿り、柔らかな感覚との緊張関係を生み出している。
西村陽平展 彫刻を聞き、土を語らせる
2012年に愛知県陶磁資料館で開催された「西村陽平展 彫刻を聞き、土を語らせる」のカタログ。造形作家・西村陽平が、土、石、アルミ、本など多様な素材を焼成することで、物質の変容とその視覚的な再構成に取り組んだ作品を紹介する。豊富なカラー図版に加え、作家の制作姿勢やテーマに迫る解説も収録されている。
ロニ・ホーン 水の中にあなたを見るとき、あなたの中に水を感じる?
2021年から2022年にかけてポーラ美術館で開催された展覧会の図録。アメリカのアーティスト、ロニ・ホーンの近年の代表作であるガラスの彫刻作品を中心に、約40年にわたる創作活動を網羅している。透明な物質に光や空間を取り込み、見る者の感覚や知覚を揺さぶる作品は、自然やアイデンティティとの関わりを探求。豊富な図版とテキストを通じて、ホーンの芸術世界の広がりを紹介している。
Photographs from the Collection of Georgia O’Keefe
“近代写真の父”と称されるアメリカの写真家、アルフレッド・スティーグリッツによる作品集。1993年に開催された展覧会にあわせて刊行された一冊で、彼のパートナーでもある画家ジョージア・オキーフを被写体としたシリーズを中心に構成されている。ヌードや黒衣をまとった姿、薄雲にかすむ月など、静謐で詩的なモノクローム写真が収められており、二人の芸術的関係性が繊細に浮かび上がる。
魅惑のコスチューム バレエ・リュス展
2014年に国立新美術館で開催された展示の図録。1909年にパリで鮮烈なデビューを果たし、20世紀初頭の芸術界に大きな衝撃を与えた伝説のバレエ団、バレエ・リュスの衣装と舞台美術に焦点を当てている。主宰セルゲイ・ディアギレフのもと、ニジンスキーやストラヴィンスキーをはじめ、ピカソ、マティス、シャネルら前衛芸術家が参加し、バレエを越えた総合芸術として展開した軌跡を紹介。
舞台芸術の世界 ディアギレフのロシアバレエと舞台デザイン
2007年に開催された展示の図録。1909年にパリで旗揚げされた伝説のロシアバレエ団、バレエ・リュスが、欧米の舞台芸術やその後のロシア・アヴァンギャルドやアール・デコに与えた影響、総合芸術としての活動を紹介。舞台衣装のための素描約140点、サンクトペテルブルクに保存されている舞台衣装10点、舞台の再演フィルムなどを収録。
実存 1968-69 状況劇場 | 西村多美子
写真家・西村多美子が、1968〜69年にかけて唐十郎率いるアングラ劇団「状況劇場」を撮影した作品集。唐十郎、麿赤児、四谷シモンらが舞台上で見せた、肉体をむき出しにした表現の瞬間を、モノクロ写真とテキストで記録。高度成長の陰で社会が揺れ動いていた60年代末、変革への衝動を孕んだ舞台の熱気や緊張感が、ざらついた銀粒子の質感とともに生々しく伝わってくる。
Sarah Moon: Now and Then
フランスの写真家、サラ・ムーンによる回顧的作品集。ドイツ・ハンブルク現代美術館で開催された展覧会にあわせて刊行されたもので、ディオールやシャネル、コム デ ギャルソンなどを撮影したファッションフォトから、ポラロイドによる詩的な写真、短編映画の静止画まで、多彩な作品を収録している。柔らかな光と淡い色彩、ぼかしを活かした独特の表現によって、夢や神話、記憶の奥に潜むイメージを可視化。時間や現実の境界を曖昧にしながら、女性像と幻想世界を描き出している。
WALD | Michael Lange
ドイツの写真家、ミヒャエル・ランゲが、3年間にわたり広大な落葉樹林や針葉樹林を歩き続けて撮影した作品をまとめた写真集。人の手が入らない藪や茂み、夕暮れや薄明の時間帯に立ち現れる森の姿をとらえ、子ども時代の記憶と自然の冷静な観察が交差する瞬間を写し出している。ランゲが追いかけたのは、森の静寂をどのようにイメージとして表現できるかという問い。細やかな光の変化、影の揺らぎ、色のグラデーションが重なり、濃密な空気感と集中した静けさが画面に宿る。
Perfect Day | Txema Salvans
スペインの写真家チェマ・サルバンスが、休暇を楽しむ人々をあえて工業地帯や駐車場など“思いがけない場所”で撮影したシリーズ。クレーンや工場が迫る風景の中で、日光浴をしたりプールでくつろぐ人々の姿は、どこかユーモラスでありながら、都市環境の圧力に抗い、ささやかな休暇を求める人間のしたたかな適応力を映し出している。周到に構成された光景の奥には、階級や国のアイデンティティ、公共空間のあり方といった問いが潜み、日常の小さな自由を肯定している。
Haunts | JH Engstrom
スウェーデンのフォトグラファー、JH・エングストロームの作品集。アーティストブックプロジェクト『Trying to Dance』に続く三部作の第二作で、彼が抱き続ける「存在」への疑念や問いが、前作よりもいっそう深く追究されている。視線は公共空間やストリートへと向かい、終わりなく続く“いま”の時間の中に身を置く感覚が、全体のイメージを貫いている。「今」と記憶がぶつかる瞬間をとらえようとする姿勢は、感情と客観性を切り離すことなく受け止めようとするもので、その重なりが写真に独特の緊張と親密さを与えている。
Gerhard Richter: Large Abstracts
ドイツを代表する現代美術家、ゲルハルト・リヒターによる抽象絵画に焦点を当てた作品集。1986年から2006年に制作された大判の抽象作品を中心に、リヒターの絵画を貫く「原理・境界・可能性」というテーマに迫る。初期より多様な様式を行き来してきた彼の制作姿勢を踏まえつつ、ここでは形式的な発展史をたどるのではなく、一定の絵画的プロセスによって生み出された均質な作品群として抽象絵画を捉えている。豊富なカラー図版を収録し、重層的で密度の高いリヒターの抽象絵画の魅力を深く味わうことができる一冊。
Tomas Schmit: Making Things
1960年代のフルクサス運動でパフォーマーとして活動したアーティスト、トーマス・シュミットの約40年にわたる仕事を紹介する作品集。フルクサス解散後の1966年以降、彼はパフォーマンスから距離を置き、文章とドローイングに活動の中心を移していった。本書では、その言語的な思考と視覚表現がどのように結びつき、独自の制作スタイルへと発展したかを、多数の作品資料を通して辿ることができる。
The Potemkin Village | Gregor Sailer
オーストリア出身の写真家、グレガー・ザイラーによる作品集。18世紀ロシア帝国の逸話「ポチョムキン村」に着想を得て、現代に存在する“偽の都市”をタイポロジー的視点で記録する。軍の戦闘訓練用に設計された都市空間や、極限環境での車両テストのために建てられた街など、意図的に構築された非現実的空間を撮影。現代社会に潜む虚構の風景とその政治性・象徴性に迫る。
世界の仮面と神像 | 岡本太郎、泉靖一、梅棹忠夫
1970年の大阪万博でテーマ展示プロデューサーを務めた岡本太郎が、文化人類学者・泉靖一、民族学者・梅棹忠夫らとともに組織した「世界民族資料調査団」による資料集。オセアニア、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカなど、世界各地で収集された民俗資料の中から「仮面」と「神像」に焦点を当てている。造形の背後にある各民族の自然観や信仰、素朴な様式と豊かな表現力を記録し、人間の創造力と祈りの原点を探る。
Mbuti Design: Paintings by Pygmy Women of the Ituri Forest | Georges Meurant、Robert Farris Thompson
中央アフリカ・コンゴ民主共和国のイトゥリ熱帯雨林に暮らすムブティ族の造形表現に焦点を当てた一冊。樹皮布(タパクロス)やフェイスペイント、ボディペイントなど、自然と密接に結びついた幾何学的模様の美を紹介する。資料写真や精緻なドローイングを豊富に収録し、その文化的背景や芸術性を様々な角度から解説している。
A Day in February with Light | 黒田泰蔵
陶芸家、黒田泰蔵の作品集。黒田泰蔵が最期まで制作を続けていた『円筒』『梅瓶』を、映像作家・写真家である山根晋が日の出から日没までの光の遷移を観測記録する方法で撮影する。それぞれの作品がぼんやりと浮かび上がり美しいフォルムとして輪郭を形成し、また闇に消えていく、その様子が収められている。
Johanna Diehl: Borgo Romanita Alleanza & Ufficio
ドイツの写真家ヨハンナ・ディールが、ムッソリーニ期のイタリアを軸に建築と歴史の痕跡を読み解いた三部作を収録する作品集。〈Borgo〉では全国に建設されたモデル集落を、〈Romanità〉では当時の公共建築に残された大理石や装飾意匠を、〈Alleanza〉では教会と国家の結びつきを示す空間的証拠を丹念に写し取っている。無人のまま残された室内やフレスコ画、教会建築が静謐な佇まいで現れ、政治的イデオロギーが建築に刻んだ影響と、その後に漂う空白の時間が対照的に示される構成。
Max Ernst: Dream and Revolution
シュルレアリスムの主要作家マックス・エルンストのモノグラフ。コラージュ、フロッタージュ、グラッタージュ、デカルコマニーなど独自技法を用い、夜の森や洞窟、幻想的な人物像といったロマン主義的イメージを超現実的に展開したエルンストの世界を紹介。近年では若い画家たちの再評価が進み、音楽家や作家にも影響を与えるなど、その表現は新たな広がりを見せている。
Sachlich | Christian Boltanski
フランスのアーティスト、クリスチャン・ボルタンスキーによる作品集。ナチスによる押収品や戦争の遺留物、匿名性を帯びた日用品といった被写体を通して、記憶や不在、喪失をめぐるテーマを静かに掘り下げた一冊。薄いトレーシングペーパー越しに見える写真は、記憶の曖昧さや儚さを象徴するように像をにじませる。戦争の痕跡や名もなき所有物へのまなざしは、個人史と集団の記憶が交差する領域を浮かび上がらせ、ボルタンスキーが一貫して問いかけてきた「生と死」「痕跡としての存在」を伝えている。
Visionaire 36: Power
毎号世界中のアーティストやファッションデザイナー、写真家などとコラボレーションする、アートとファッションを融合したニューヨーク発のアートマガジン「VISIONAIRE(ヴィジョネア)」、資生堂とのコラボレーション号。イネス・ヴァン・ラムズウィールド、畠山直哉、ヴォルフガング・ティルマンス、カール・ラガーフェルド、マリオ・テスティーノ、リチャード・ミズラックをはじめとするフォトグラファーの作品を収録。限定5000部発行。
Dreaming in Print: A Decade of Visionaire
ファッションとアートを融合させる実験的マガジン『Visionaire』の10年を振り返る作品集。ルイ・ヴィトンのクラッチ型、電池式のライト号、特製ケース入りのバイブル号など、毎号異なる形態で印刷物の可能性を拡張してきた独創的な制作の舞台裏を紹介する。1991年、ニューヨークのアパートで手作業から始まった小さな試みが、世界的アーティストを巻き込むプロジェクトへと発展した過程を、豊富な図版とともにたどる。ナン・ゴールディン、ニック・ナイト、ブルース・ウェーバーら写真家、トム・フォードや川久保玲といったデザイナーの寄稿も収録。
Visionaire’s Fashion 2001
ファッション&アート誌『Visionaire』による、次世代のデザイナーたちを紹介するビジュアルブック。マリオ・テスティーノ、イネズ・ヴァン・ラムスヴェルデ、ヴィヌード・マタディンら著名フォトグラファーによる印象的な写真を収録。ラフ・シモンズ、ヴェロニク・ブランキーノ、オリヴィエ・セイスケンス、ニコラ・ジェスキエール、ジェレミー・スコット、ジョセフ・ティメスター、A.F.ヴァンダーヴォルストなど、世界中の約60名の注目デザイナーを紹介し、コレクションや印象的なショーの様子を伝える。
Santiago Calatrava: Bahnhof Stadelhofen, Zurich
スペインの建築家・サンティアゴ・カラトラヴァの代表作、チューリッヒ・シュタデルホーフェン駅を中心に、その建築と都市デザインを詳細に紹介する作品集。駅舎拡張プロジェクトを通じ、歴史的都市空間に新しい都市解釈を提示し、構造と建築理念を統合した革新的なデザインを明らかにする。豊富な写真と図版で、ペデストリアン動線やガラスキャノピー、地下通路などの複合的要素を解説。建築や都市計画の視点から同駅の魅力と革新性を余すところなく伝えている。
オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリーの素晴らしき世界
フランスの老舗美容ブランド、オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリーの世界を余すところなく紹介するビジュアルブック。1803年の創業以来、香水やスキンケア、調香の技術と洗練されたデザインで人々を魅了してきたブランドの歴史を、写真やパッケージ、店舗デザイン、広告などのヴィジュアル資料とともに収録。伝統と現代感覚を融合させた独自の美意識が、香水や化粧品だけでなく、タイポグラフィーや空間デザインに至るまで立体的に表現されている。ブランドの哲学と時代を超えた美の物語を体感できる内容。
Cool: Style, Sound, and Subversion
世界の若者サブカルチャーとストリートスタイルを網羅したビジュアルブック。フラッパーやスウィング・キッズ、ゴスから現代のノームコアまで、反体制の精神から生まれたファッションムーブメントを紹介。若者たちは音楽やアートへの渇望と反抗心を原動力に独自のスタイルを創出し、やがて主流文化に影響を与えていく。著者は100年以上にわたるサブカルチャーを歴史的背景や音楽、映画、アートなどとともに詳細に解説し、オリジナルイラストやタイムライン、ジンやプレイリストも豊富に収録。各ムーブメントの魅力と文化的意義を鮮やかに伝える、ファッションやポップカルチャー愛好者必見のガイドブック。
Self Service No.52
パリを拠点に年2回発行されるファッション&カルチャーマガジン『Self Service』vol.52(2020年 Spring/Summer号)。クリエイティブ・ディレクターのエズラ・ペトロニオとファッション・ディレクターのスザンヌ・コラーによって創刊され、世界的フォトグラファーによる斬新かつスタイリッシュなビジュアルを多数掲載する。本号では、エズラ・ペトロニオが表紙を担当、モデルはローラ・ニコン。バイレード(BYREDO)創設者、ディレクターのベン・ゴーラムやクリエイティブディレクター、ルバ・アブ=ニマらの対談記事を収録。
KURA | 蔵真墨
写真家・蔵真墨による、2000年代の日本の日常風景をモノクロで捉えた作品集。都市や郊外の街角、人々の何気ない姿をストリートスナップの手法でありながら独自の視点で切り取り、日常の中に漂う微妙な空気感や時代の匂いを浮かび上がらせる。特別な瞬間ではなく、ありふれた日常の一瞬を通して現代日本の社会や人間性の断面を描き、鑑賞者に問いかけるような余白を残している。
映画館 | 山田秀樹
写真家・山田秀樹による、かつて全国に存在したものの次第に姿を消しつつあるピンク映画館をテーマにした作品集。都市の片隅にひそかに息づくこれらの空間と、そこに集う人々の営みをやさしく、しかし確かな視点で切り取ることで、日常の中の非日常、社会の周縁に潜む空気感を映し出す。失われつつある場所と時間、人々の記憶を丁寧に記録し、日本の都市風景と文化の断面を浮かび上がらせる。写真77点を通じ、鑑賞者に都市の変化や記憶の価値を問いかける、現代社会を映すドキュメンタリー的写真集。
Tord Boontje | Martina Margetts
オランダのデザイナー、トード・ボーンチェの創作をまとめた作品集。ロマンティックな感性と手工芸的な細やかさを、現代の工業デザインへと融合させてきた彼の代表作を、300点以上のスケッチや写真で紹介する。スワロフスキーやアルテミデ、モローゾのために制作したランプ、家具、テキスタイル、紙のオブジェなど、繊細な装飾性と軽やかな構造を兼ね備えた作品が多数収録。ステンシルやダイカットを用いた特別仕様の造本も特徴で、ボーンチェ特有のパターンづくりと創造性を視覚的に展開している。
KOSMOS | 森田城士
写真家、森田城士の作品集。ニューヨーク、東京、ソウル、台北、メキシコシティー、バルセロナを巡りながら撮影したパノラマ作品をまとめたもの。高所から街を見下ろす視点が特徴で、建物が等間隔に並ぶ均質なパターンや、結晶のように広がる構造がとらえられている。
デイヴィッド・ホックニー 僕の視点 芸術そして人生
現代美術を代表するアーティスト、デイヴィッド・ホックニーが、この20年間の出来事や制作の試みを振り返りながら、自身の生き方と創作について語った自叙伝。ロサンゼルスでの活動、写真やデジタル技術への関心、家族や友人とのつながりなど、日々の経験がどのように作品へと結びついたのかが、率直であたたかな語り口でつづられている。収録された365点の図版は、ホックニーの表現がどのように変化し、発展してきたのかを視覚的に示し、読み手の理解を深めてくれる。
Edward Hopper: Portraits of America
20世紀アメリカを代表する画家、エドワード・ホッパーの作品集。戦後のアメリカ社会の多様な気分や風景を描き出したホッパーのまなざしに迫る一冊であり、荒涼とした小さな町、静まり返ったオフィスに佇む人物、穏やかなニューイングランドの風景など、彼の代表作を豊富に収録。孤独や静寂、そしてどこか謎めいた不確かさが漂うホッパーのイメージは、人々の心の奥底に触れ、アメリカという国の本質を映し出すものとして長く愛されてきた。観察者としての彼の鋭さと、日常に潜む感情を掬い取る力を堪能できる、ホッパーの魅力を凝縮した作品集。
木村伊兵衛写真集 パリ | のら社
日本を代表する写真家・木村伊兵衛が、パリの街角を歩きながら撮り続けた写真をまとめた一冊。シャンゼリゼ通りやオペラ通りといった華やかな名所ではなく、日常の気配が漂う裏通りや市場、路地を中心に、市井の人々の素朴な表情や暮らしの風景をとらえている。無邪気に遊ぶ子どもたち、風船売り、釣りを楽しむ人々など、木村が好んだ市民の姿が軽やかなリズムで連なり、パリの印象をより親密な距離から伝えてくれる。
Autopsies | Pierre Filliquet
フランスの写真家ピエール・フィリケによる作品集。ストラスブール大学医学部の旧解剖室を題材に、改装前の空間から取り壊しの過程、改装後の姿までを撮影している。タイトルが意味する「検死」「解剖」という言葉を重ね合わせ、建築そのものの変容を検証する視点が貫かれている点が特徴。写真は時間の層を示す記録として、空間が持つ歴史や記憶を可視化し、建築と人間の営為の関わりを浮かび上がらせている。巻末にはフィリケへのインタビューも収録。