In Perfect Shape: Republic of Fritz Hansen
1872年創業のデンマークの家具メーカー、フリッツ・ハンセンの作品資料集。アルネ・ヤコブセン、ポール・ケアホルム、ピエロ・リッソーニといった著名なデザイナーと度々コラボレーションし、エッグチェアやスワンチェアなど数々の名作を世に生み出したフリッツ・ハンセン。本書はブランドの歴史、代表的なプロジェクトからその名を世に知らしめた家具の数々、インテリア空間における事例など、豊富な写真資料とともにフリッツ・ハンセンの創造の軌跡を辿る一冊。英語表記。
のしめ 熨斗目 江戸期の縞、段、格子、絣
江戸時代の武家装束「熨斗目(のしめ)」の文様を集成した資料集。胸から腰にかけての段替り部分に施された縞、格子、絣など、幾何学的文様を中心に約1200図を収録。裂貼り込み図2枚、カラー図207枚、12ページの解説冊子をクロス装の帙に収めた豪華構成となっている。熨斗目は武家の礼装として発展し、粋で洒脱な感覚とともに、江戸時代の色彩美と織の技術を極めた装束として知られる。本書はその造形的魅力を体系的に示すとともに、絣の絹織物が到達した美の精華を伝える貴重な配色資料となっている。
アイヌの民具 | 萱野茂
アイヌ民族が日常や儀式で用いた民具を体系的にまとめた資料集。木工や染織、狩猟・漁撈にまつわる道具から、祭礼や葬送に用いられる儀式具まで幅広く取り上げている。写真や図面を添えた解説は、実用的な機能とともに意匠や文様の意味にまで迫り、生活文化と精神文化の双方を映し出す。素朴な造形の中に、自然との共生や祖先への敬意が込められており、工芸史や民族学の資料としても価値が高い。アイヌの暮らしを支えた多様な道具を通じ、その世界観と美意識を浮かび上がらせる一冊。
Casa Wabi | Bosco Sodi ほか
建築家・安藤忠雄が設計したメキシコのアートセンター兼レジデンス〈Casa Wabi〉を紹介する建築資料集。太平洋を望む地に建てられた本建築は、安藤の象徴的な打放しコンクリートと、ヤシの葉を編んだ伝統的な屋根〈パラパ〉、木材や土壁といった地域の素材を融合させた構成が特徴。光と風、自然との調和を重視した空間設計を豊富な写真や図面とともに収録している。
Ehrlich Yanai Outside-In: New California Modernism
建築設計事務所〈EYRC Architects〉による住宅建築を紹介する作品集。スティーブン・アーリックとタカシ・ヤナイの設計による、南カリフォルニアを中心にサンフランシスコやヒューストン近郊に建てられた16の住宅プロジェクトを収録している。海や山、豊かな自然環境と調和しながら、開放的でシンプルな造形に地域の気候や文化的要素を融合させた建築を多数掲載。モダニズムの理念を継承しつつ、現代の生活様式に寄り添う新しいカリフォルニア建築の姿を提示している。
日本の紙 全2冊揃
毎日新聞社が刊行した和紙の資料集、全2冊組。厳選された生漉紙64点と加工和紙86点、計150点の標本紙を実物として貼り込んだ「標本紙編」と、和紙の歴史や製法、用途について詳細に解説した「解説編」とで構成されている。日本の生活文化を長く支えてきた和紙の多様な表情を伝えるとともに、資料としての価値も高い内容で、和紙研究やデザイン分野においても重要な参照となる一冊。
カイ・フランク展 Geometry
「日本・フィンランド国交樹立100年記念 没後30年 カイ・フランク」展の公式図録。バウハウスなどの近代デザイン運動の影響を受け、戦後フィンランドで機能的かつ手に届くテーブルウェアを数多く生み出したデザイナー、カイ・フランクの仕事を紹介している。多数の作品図版を通じて、合理性と美を両立させたデザイン哲学を検証するとともに、日本文化から受けた影響や造形感覚の共鳴にも焦点を当てている。
マルセル・ブロイヤーの家具 Improvement for Good
2017年に開催された展覧会「マルセル・ブロイヤーの家具:Improvement for Good」の公式図録。バウハウスで学び、ユネスコ本部や旧ホイットニー美術館などを設計した建築家マルセル・ブロイヤーの家具デザインに焦点を当てている。スチールパイプ椅子をはじめとする代表作を多数収録し、素材と機能の革新を通して建築へと創造の領域を拡張していった軌跡を紹介。モダンデザインの精神を体現したブロイヤーの思考と造形の展開を明らかにしている。
Frank Lloyd Wright Drawings
近代建築の巨匠・フランク・ロイド・ライトによるドローイングを集成した作品集。住居建築、宗教建築、高層建築、商業建築など幅広い分野にわたる代表的プロジェクトを網羅し、日本における帝国ホテルの図面も含まれている。収録されるのはカラーおよびモノクロによる309点のドローイングで、設計思想の展開や造形的特徴を視覚的にたどることができる構成。建築家としての幅広い活動を資料的に確認できるとともに、20世紀建築史におけるライトの意義を明らかにしている。
黄八丈 | 浦野理一
染織研究家・浦野理一による、八丈島に伝わる絹織物〈黄八丈〉の研究と美を記録した一冊。天保から明治期にかけて制作された黄八丈の貴重な図版を収録し、その文様や織技、染色法などを詳細な解説とともに紹介している。伝統の技を継承しつつ、素材と色彩の調和に宿る美意識を明らかにする内容で、日本の染織文化史における黄八丈の意義を改めて照らし出している。
ポスト・モダンのデザイン | マイケル・コリンズ
ポスト・モダニズムの潮流を多角的に紹介するデザイン資料集。家具、陶芸、照明、宝飾品、カーペットなどの分野において活動した50人以上の建築家・デザイナーの作品を豊富なカラー図版で掲載している。モダニズムの機能主義に対する批評として生まれたポスト・モダンの多様な表現を、造形・素材・思想の観点から体系的に整理。20世紀後半のデザイン史を俯瞰する上で貴重な一冊となっている。
松井源吾作品集 1995-1998
構造設計者・松井源吾による1995年から1998年までの仕事をまとめた作品集。学舎、個人住宅、ホテル、公共施設など多岐にわたる建築を対象に、構造図面とともに内外観の写真を掲載している。建築家との協働を通して構造体そのものの造形的可能性を追求し、機能と美を両立させた構造設計の思想と実践を記録した内容となっている。
裏千家今日庵 重要文化財
重要文化財に指定された裏千家今日庵の茶室群を網羅的に紹介する一冊。茶室内部や廊下、坪庭、檜の間などを詳細な図版とともに収録し、建築空間の構成や意匠を丁寧に伝えている。光と影が織りなす静けさや、四季の移ろいに重ねられた日本文化の美意識が写し出され、茶の湯の精神を支える空間の特質を理解する手がかりとなる。豊富なカラー・モノクロ図版と解説を通じて、その美学を照らし出している。
ルイス・カーンの全住宅 1940‐1974
アメリカの建築家ルイス・カーンによる住宅作品を網羅した初の資料集。キンベル美術館やソーク生物学研究所など、記念碑的建築で知られるカーンだが、その原点には生涯を通じて取り組んだ住宅設計がある。本書では1940年の処女作から最晩年までの約50件の住宅プロジェクトを図面と写真で紹介。光や素材、構造を探る設計思想の軌跡をたどり、カーン建築の核心にある空間へのまなざしを明らかにしている。
写真集 屋根・棟飾 | 増田正
グラフィックデザイナー・増田正による、日本各地の屋根意匠を記録した写真集。20年をかけて北海道から沖縄まで全国200か所以上を巡り、鰊番屋の木っぱ葺きから琉球瓦に至るまで、多様な屋根と棟飾の姿を撮影している。風土や気候、生活様式に根ざした屋根のかたちを、カラー図版とともに丁寧に紹介。解説では各地の建築文化や歴史的背景にも触れ、日本建築に息づく造形美と地域性を照らし出している。
Macguffin No.3 The Rope
オランダ発のデザイン&クラフトマガジン『MacGuffin』第3号のテーマは「ロープ」。家具の結束から登山、輸送、料理、宇宙探査機まで、あらゆる場面で人とモノを結びつけてきた“縄”の文化と機能を探る。亜麻の糸を紡ぐ職人から、ビエンナーレのキュレーター、ボンデージ愛好家、セーリングの愛好家に至るまで、ロープをめぐる多様なコミュニティを紹介。デザイナーのベルチャン・ポットやブリンヤル・シグルザルソン、作家アルノン・フルンベルク、アーティストのフランソワーズ・グロッセンらが寄稿し、私たちの生活に密接に編み込まれたこの素材の文化的・造形的魅力を多角的に照らし出している。
MacGuffin No.9 The Rug
オランダ発のデザイン&クラフトマガジン『MacGuffin』第9号のテーマは「ラグ(敷物)」。ロックダウンによって家で過ごす時間が増え、人々が足元の風景=ラグに新たな関心を寄せるようになった状況を出発点に、世界各地の敷物文化を多角的に探る。空港カーペットの社会的象徴を論じたジョージ・ペンドル、パレスチナの織物文化を分析するレイチェル・デドマン、カーペット商の物語を描くキティ・ドレイク、織りとジェンダーの関係を考察するアリス・トウェムロウらによる寄稿を収録。畳、祈祷用ラグ、タペストリーから動物の生態に至るまで、ラグのもつ機能・意味・可能性を多層的に提示している。
Modern Natural/Natural Modern Houses | Ron Broadhurst
自然との共生をテーマに、環境に配慮した革新的な建築デザインを紹介する資料集。隈研吾、藤本壮介、アライド・ワークス・アーキテクチャー、ショーン・ゴドセルなど、世界各地で活躍する建築家たちの住宅作品を収録している。素材や光、風、地形といった自然の要素を建築に取り込み、人と環境が調和する新しい住まいのかたちを提示。豊富なカラー図版と図面資料を通して、現代建築における“ナチュラル”の再定義を探っている。
Shaker Style: The Gift of Simplicity
アメリカのシェーカー教徒が生み出した日用品や家具、建築物を紹介する資料集。テーブルや椅子、収納家具、手仕事の道具など、生活の中から生まれた造形の数々を豊富な図版で掲載している。実用性と美しさを兼ね備えたデザインに貫かれるのは、信仰に根ざした「簡素の美」の精神。本書ではさらに、シェーカーの食文化にも触れ、当時の食事を再現したレシピも収録。暮らしと信仰、デザインが一体となったシェーカーの思想を多面的に伝えている。
Japanese Design 日本の四季とデザイン
モスクワで開催された展覧会「日本のデザイン 伝統と現代」をもとに再構成された写真資料集。田中一光と小池一子の構成により、伝統と現代を横断する日本のデザインを包括的に紹介している。しだれ桜、能衣装、和菓子、のれん、からくり人形といった伝統文化から、エレクトーン、プラモデル、スノーモービル、コンピュータなどの現代産業製品までを網羅。四季の移ろいに寄り添う日本的感性と、技術革新に支えられたデザイン精神の連続性を明らかにしている。
Timeless Landscapes 1 国宝・閑谷学校 | 小川重雄
岡山県備前市に現存する日本最古の学校建築〈閑谷学校〉を記録した写真集。建築写真家・小川重雄が撮影した国宝・講堂をはじめ、石塀や瓦屋根、周囲の自然と調和する建築空間を精緻に捉えている。江戸初期に建てられた学び舎の佇まいを、建築と風景の双方から照射する構成。新たにデジタル化された図面資料も併載し、歴史的建築の保存と美的価値を再考する資料としても重要な一冊となっている。
Masters of Light: Designing the Luminous House
建築における「光」の役割に焦点を当て、世界各地の住宅プロジェクトを紹介する建築資料集。チリ、日本、ニュージーランド、アメリカなど、異なる気候と風土のもとで設計された50以上の住宅を収録している。外観と内部空間の光の関係、自然環境との調和、時間によって変化する明暗の表情を豊富な写真と図面で解説。建築を“光の芸術”として捉え直し、空間の感性と構築の思想を探る内容となっている。
GAアーキテクト 11 スティーヴン・ホール
20世紀を代表する世界中の建築作品を紹介する『GA グローバル・アーキテクチュア』第11号スティーブン・ホール特集。アメリカの建築家、スティーブン・ホールが1976年から1992年までに手がけた作品を紹介。アメリカ記念図書館、MoMAタワー・アパートメントほか、カラー・モノクロによる大判の図版とともに解説を収録。写真は二川幸夫、装丁は細谷巖。日本語、英語表記。
バーナード・リーチ展 Bernard Leach: Potter and Artist
1997年に日本各地で開催された展覧会「バーナード・リーチ展」の公式図録。日本の民藝運動に深く関わりながら、母国イギリスにおける近代陶芸の礎を築いた陶芸家バーナード・リーチの歩みを紹介している。デッサン、エッチング、陶器など多彩な作品を豊富な図版と丁寧な解説で掲載し、東西の美意識を融合させた独自の造形哲学を明らかにする。日英陶芸交流の象徴としてリーチが果たした文化的役割を包括的に伝えている。
四季浴 | 田端志音
陶芸家・田端志音による作品集。茶道具商・谷松屋戸田商店での修業を経て1991年に作陶の道へ入った田端が手がけた、茶碗、皿、鉢など約100点を収録している。四季の移ろいを映すような釉薬の表情や造形の美しさが特徴で、それぞれの器には料理を盛り付けた写真も添えられ、器と食の関係を豊かに伝える構成。日常に息づく美と用の調和を探る、静謐で洗練された一冊となっている。
民芸回向 | 富山民芸協会
木工作家であり富山民芸館館長を務めた安川慶一の仕事を紹介する作品集。富山民芸館の内観をはじめ、椅子や棚など自ら設計・制作した木工プロダクト、さらに蒐集した民芸品のコレクションを多数掲載している。安川の民藝思想に根ざした手仕事の精神と、生活に寄り添う美の実践を伝える内容。巻末には柳宗理や外村吉之介ら親交の深い人物による寄稿を収録し、民藝運動の継承者としての姿を多面的に浮かび上がらせている。
宮城壮太郎展 使えるもの、美しいもの
2022年に世田谷美術館で開催された展覧会の公式図録。プロダクトデザイナー・宮城壮太郎の幅広い仕事を紹介している。アッシュコンセプト、三洋電機、アスクルなどとの協働を通じて生まれた日用品、文房具、家電製品から、ホテルのサイン計画に至るまで多岐にわたるデザインを収録。機能性と美しさの両立を追求する宮城の思想と造形感覚を、豊富な作品図版と解説を通して明らかにしている。
Chair 椅子 | 遠山孝之
写真家・遠山孝之による、“椅子のある風景”をテーマとした写真集。街角、公園、カフェテラス、水辺、庭、ストリートの6章構成で、コペンハーゲン、パリ、サン=トロペ、箱根など世界各地で撮影されたカラー写真を収録している。人の不在を通して浮かび上がる空間の気配や時間の流れ、椅子がもつ佇まいの美しさを静謐に描写。日常の風景に潜む詩的な瞬間を捉え、見る者に“座ること”の意味を静かに問いかけている。
カリフォルニア・デザイン 1930-1965 モダン・リヴィングの起源
1940年代から1960年代にかけて展開したカリフォルニアのモダン・デザインを総覧する研究書。家具、陶芸、グラフィック、テキスタイルなど多様な分野にわたり、明るく開放的なライフスタイルを象徴するデザインを豊富なカラー図版で紹介。ミッド・センチュリーと呼ばれる時代の創造的精神を背景に、素材の革新や機能美、クラフトと産業の融合を検証。アメリカ西海岸発のモダン・リヴィングの源流を明らかにしている。
隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則
2020年から高知県立美術館や東京国立近代美術館を巡回した隈研吾展の図録。隈建築の中から公共性の高いものを中心に68件を選び、全点に隈自身による作品解説をつけて収録。それらを「孔」「粒子」「ななめ」「やわらかい」「時間」という隈が考える5原則によって分類し、模型や写真やモックアップとともに紹介している。
森正洋 陶磁器デザインの革新
2002年に東京国立近代美術館で開催された展覧会の公式図録。日本の陶磁器デザインに革新をもたらしたデザイナー・森正洋の代表的な仕事を紹介している。シンプルで機能的な造形に美意識を宿した醤油さしをはじめ、コーヒーセットやパーティトレイなど、約90点の主要な食器デザインをカラー図版で収録。量産と手仕事の両立を追求した森のデザイン哲学を通じて、日常の器に潜む普遍的な美と合理性を明らかにしている。
日本のガラス2000年 弥生から現代まで
サントリー創業100周年を記念して開催された展覧会「日本のガラス2000年 弥生から現代まで」の公式図録。弥生時代前期に始まる日本のガラス文化の歩みをたどり、技術と表現の発展を通してその美と機能の変遷を紹介している。古代の装飾品から近代の工芸品、現代のアートガラスやデザインプロダクトに至るまで、多彩な作品を収録。ガラスという素材を通して、日本人の創意と美意識の連続性を探る一冊となっている。
モース・コレクション
1990年に開催された展覧会「モース・コレクション」の公式図録。アメリカの動物学者エドワード・S・モースが明治期の日本滞在中に収集した食器、家具、玩具、模型など、多岐にわたる民具を紹介している。西洋人の視点で記録された日本の生活文化の貴重な資料として、当時の風俗や手仕事のあり方を伝える内容。民藝の源流をたどるうえでも重要なコレクションの全貌を明らかにしている。
INAX Booklet 万国博の日本館
INAXギャラリーでの展覧会にあわせて刊行されたブックレット。1867年のパリ万国博覧会から1967年のモントリオール万博まで、近代以降の万国博における〈日本館〉の歴史をたどっている。各時代の建築デザインや展示構成、思想的背景を分析し、日本が国際舞台でどのように自己を表現してきたかを検証。国家イメージの形成と建築・デザインの関係を多角的に読み解きながら、「日本」という概念がいかに構築・変容してきたかを明らかにしている。
INAX Booklet レヒネル・エデンの建築 1900年・ハンガリーの光と影
INAXギャラリーでの展覧会にあわせて刊行されたブックレット。ハンガリー近代建築の父と称される建築家レヒネル・エデンの作品を通して、20世紀初頭のハンガリー建築とその文化的背景を探る。民族的意匠とアール・ヌーヴォーが融合した独自の様式、美しいセラミック装飾、光を巧みに取り入れた構成など、レヒネル建築の特質を建築史・都市史の視点から紹介。さらに当時の社会思想や他国との交流にも言及し、世紀転換期の中東欧に花開いた建築文化の豊かさを照らし出している。
INAX Booklet 錺師の技 日本のデザイン
INAXギャラリーでの展覧会にあわせて刊行されたブックレット。日本建築や家具に華を添える装飾金具の造形と、その背後にある「錺(かざり)」の技に焦点を当てている。寺社の金具や指物の飾りなど、繊細な細工と象徴的な意匠を支える伝統技術を、多角的な視点から検証。名匠・森本安之助による制作風景や作品を通して、手仕事の精緻さと金属工芸の美意識を紹介する。建築史・民俗学・デザイン論の観点を交差させ、日本の装飾文化の深層を探る内容となっている。
INAX Booklet 生きものたちも建築家 巣のデザイン
INAXギャラリーでの展覧会にあわせて刊行されたブックレット。鳥が枝を編み、昆虫が土や唾液を固め、魚が砂で幾何学模様を描くように、自然界には多様で機能的な「建築」が存在する。本書では、こうした生きものたちの巣を建築やデザインの視点から読み解き、それぞれの環境や生態に適応した形や素材、構造の工夫を探る。研究者による解説と豊富な写真を通して、自然が生み出す造形の合理性と美を紹介し、人間の建築にも通じる創造の知恵を浮かび上がらせている。
INAX Booklet 耳の建築 都市のささやき
INAXギャラリーでの展覧会にあわせて刊行されたブックレット。都市空間にあふれる多様な音と、それを受け止める建築環境との関係を探る内容。建物や街並みが生み出す響き、反響、遮音や拡散の仕組みを通じて、私たちが日常の中で耳にする都市の「ささやき」に焦点を当てる。騒音として片づけられがちな音環境を建築的視点から再考し、微かな自然音や静寂の質にも目を向けることで、音のある都市の豊かさを提示している。音響と建築の交差点から、都市を“聴く”という新たな感覚を喚起する一冊。
饅頭博物誌 | 松崎寛雄
食文化研究家・松崎寛雄による、饅頭を通して日本文化を読み解く博物誌。「饅頭 このありふれた菓子」「日本の風土と饅頭」「饅頭と俳句」などの章で構成され、日常の菓子として親しまれてきた饅頭の起源、地域性、文学や風習との関わりを考察している。素材や形状の多様性を紹介しながら、日本人の暮らしや感性に根ざした菓子文化の奥行きを明らかにする一冊。限定1000部発行。
茶の博物誌 | 松下智
茶文化研究家・松下智による、アジアにおける茶の歴史と風俗を探る評論集。「お茶ものがたり」「茶壺道中記と茶の発展」「茶碗由来紀」「喫茶店由来」の4章で構成され、茶の誕生から流通、器の変遷、喫茶文化の広がりまでを多角的に考察している。民俗的な視点と豊富な史料をもとに、日常と儀礼の両面において育まれた茶文化の歩みを丹念に紐解き、人と茶との深い関わりを浮かび上がらせている。限定1000部発行。
畦地梅太郎全版画集
日本の版画家・畦地梅太郎の創作活動を総覧する作品集。1920年代から1970年代にかけて制作された版画を中心に、街角の情景や山岳の風景、素朴に生きる人々の姿など、300点を超える作品をカラーおよびモノクロで収録している。力強くも温かみのある線と独特の造形感覚によって、自然と人間の営みを豊かに描き出す。戦前から戦後にかけての日本の版画史をたどるうえでも貴重な資料となっている。
The Sound of My Left Hand | Ronan Bouroullec
フランスのデザイナー、アーティストであるロナン・ブルレックによる作品集。イタリア・Casa Mutina Milanoでの展覧会にあわせて刊行されたもので、幾何学的な線やフォルム、重なり合う色彩が織りなす作品群を収録している。展示空間の記録写真をはじめ、ドローイングやセラミックのレリーフ、ディテールのクローズアップなどを掲載。ブルレック自身とキュレーターによるテキストを通じて、素材、形態、空間の関係性を探る創作の思考を明らかにしている。
Points of View 視線の変遷 | 野又穫
画家・野又穫による、1986年から2004年までのペインティング作品をまとめた画集。現実には存在しない建造物を主題に、時間や場所の概念を超越した空想的な建築風景を描き出している。古代遺跡のようでありながら未来建築をも想起させる構造物は、静謐な色彩と緻密な構成によって、記憶と想像のあいだに広がる風景を形成する。現実と非現実の境界を問う野又の独自の視覚世界を鮮明に提示している。
小村雪岱画集
画家・版画家として知られる小村雪岱の作品を集成した復刻版画集。1942年に高見澤木版社から刊行された原本をもとに、繊細な線と抒情的な情景描写で知られる雪岱の代表作を再録している。日本の女性像、観音像、四季の風景のほか、「たけくらべ」「西遊記」「忠臣蔵」など文芸作品の挿画をカラーおよびモノクロで多数掲載。大正・昭和初期の挿絵芸術を象徴する雪岱の美意識と装幀感覚を再評価する内容となっている。解説は渡辺圭二。