KAWS C10: The Kimpsons
アメリカのアーティスト、KAWS(カウズ)が手がけたシリーズ『The Kimpsons』を収録した作品集。人気アニメ『ザ・シンプソンズ』のキャラクターをモチーフに、頭部をスカルマークに置き換えるなど独自の手法で再構築したペインティング作品を多数掲載する。『ミシュラン』『ミッフィー』『アストロボーイ』など既存の大衆的イメージを再解釈してきたKAWSによる、ポップカルチャーとアートの境界を問い直す実験的な試み。ユーモアと風刺に満ちた図像が、現代社会におけるアイコンの消費と記憶のあり方を浮かび上がらせている。限定3,000部刊行。
JR: Can Art Change the World?
フランス出身の写真家でストリートアーティスト、JRの活動を網羅的に紹介する作品集。初期の「Expo2Rue」から、『TIME』誌に掲載された「The Gun Chronicles: A Story of America」まで、世界各地で展開されたプロジェクトを豊富な写真で辿る。社会とアートの関係を問うJRの創作を、アーティスト本人の協力のもとに構成。キュレーターのネイト・トンプソンによるエッセイと、コミックアーティストのジョセフ・レムナントが描くグラフィックノベルを収録し、アートを通して世界に働きかけるJRの思想と軌跡を立体的に伝えている。
Places, Strange and Quiet | Wim Wenders
ドイツの映画監督、ヴィム・ヴェンダースによる写真集。1983年から2011年にかけて世界各地で撮影された建物や街並み、風景を収録している。人影の消えた街角や朽ちた遊具、時を止めたような空間など、「奇妙に静かな場所」へのまなざしが貫かれており、映像作家としての詩的感性と構図への確かな眼差しが融合している。旅の途中で偶然出会った光景を通して、記憶と時間の層を静かに描き出す一冊。
百石譜 One Hundred Stonewares | 上田義彦、西野嘉章
東京大学総合研究博物館が所蔵する膨大な石器コレクションの中から、石斧・石剣・石鍬など100余点を精選して収録した写真集。写真家・上田義彦、デザイナー・原研哉、美術史家・西野嘉章によるコラボレーションによって制作された「マニエリスム博物誌」シリーズの第3作にあたる。黒を背景に独自のライティングで撮影された石器は、先史の造形物でありながら彫刻のような美を放ち、人類の知覚と創造の原点を静かに映し出す。学術と美の交差点に立つ、知的かつ詩的な記録集。
鳥のビオソフィア Biosophia of Birds | 上田義彦、西野嘉章
写真家・上田義彦が、山階鳥類研究所に所蔵される貴重な鳥類標本を撮影した作品集。東京大学創立130周年記念特別展示「鳥のビオソフィア――山階コレクションへの誘い」にあわせて制作されたもので、模式標本28点を含む108点の標本を収録する。翼を閉じ、静かに横たわる鳥たちの姿は、黒一色の背景の中でまるで再び命を得たかのような存在感を放ち、科学と芸術のあわいに立ち現れる美を映し出す。西野嘉章による構成、原研哉によるデザイン。
Roger Caillois: La Lecture des Pierres
フランスの文芸批評家・社会学者ロジェ・カイヨワが生涯をかけて蒐集した鉱物コレクションを紹介する作品集。パリ国立自然史博物館に遺贈された石の中から、とりわけ造形と色彩が美しい150点を厳選して掲載。アゲート、ジャスパー、方解石など、自然が生み出した偶然の文様を通して、見る者に想像的な連想と詩的感興を喚起する。あわせて、カイヨワの代表的著作「石」「石の文字」「逆説の瑪瑙」からの評論を収録し、自然の造形と人間の想像力の交錯を多角的に読み解く構成となっている。
Shizuko Yoshikawa
ウルム造形学校で学び、スイスを拠点に活動した抽象画家・吉川静子の初の本格的作品集。戦後のモダニズムを牽引した「構成的・具体派」の第二世代として活躍し、スイス・デザインの巨匠ヨゼフ・ミューラー=ブロックマンとともに理知と詩情のあいだに独自の表現を築いた。ヨーロッパ近代美術の合理性と、禅の精神に通じる静謐な感性を融合させた絵画作品を豊富な図版で紹介。美術史家ガブリエレ・シャード、ヨシモト・ミドリによる論考を収録し、東西の美意識を往還したその創作の軌跡を丁寧に辿っている。
ギイ・ブルダン | アリソン・M. ジンジャラス
挑発的な構図と物語性でファッション写真の概念を刷新した写真家、ギイ・ブルダンの作品集。シャネルやヴォーグなどの雑誌を舞台に、洗練と危うさ、エロティシズムとユーモアが共存する独自のビジュアル世界を展開したブルダン。その革新的な演出と色彩感覚は、後のファッションフォトグラファーに計り知れない影響を与えた。本書では、広告写真や未公開作品を含む多彩な図版を通して、彼の創作哲学と美意識の核心に迫っている。
OPERA de PARIS パリ・オペラ座 4冊揃 | 田原桂一
写真家、田原桂一がフランス政府の依頼を受け、8年の歳月をかけてパリのオペラ座を撮影した大判写真集『OPÉRA de PARIS(パリ・オペラ座)』。約550点におよぶ作品を、ARCHITECTURE(建築)、COSTUMES(衣装)、BIJOUX(宝飾)、MAQUETTES(舞台美術)の4つのテーマで構成した全4巻から成る。自然光を操り、建築の荘厳さから舞台裏の繊細なディテールまでをとらえた写真は、パリ・オペラ座の全貌を光の造形として描き出す。田原の代表作にして写真芸術の金字塔とも評される本作は、限定版として刊行された希少な一冊。光と時間、そして創造の場としてのオペラ座の魅力を永遠にとどめている。2000部限定刊行。
Sugimoto: Conceptual Forms
現代美術家、杉本博司による作品集。2004年から2005年にかけてカルティエ現代美術財団で開催された展覧会にあわせて刊行されたもの。〈ジオラマ〉〈海景〉〈劇場〉などの写真シリーズで、時間や歴史、形而上学的問いを探求してきた杉本が、新たに数学的構造と造形美の関係に挑んだ〈コンセプチュアル・フォーム〉シリーズを収録。未発表作品を含む52点を掲載し、科学、哲学、美術史を横断する杉本の思考を立体的に示している。
Cloud Studies | Marcel Beyer
ドイツのアーティスト、ヘルムート・フェルターによる作品集。19世紀末から20世紀半ばにかけて行われた「雲の研究」を、科学と写真の交差点から読み解く。気象学者アルベルト・リッゲンバッハや、第一次世界大戦時のパイロット、そして“雲の伯爵”として知られる日本の気象学者・阿部正直らによる貴重な写真を収録。1880年代の実験的撮影から1960年代の気象衛星による観測まで、6つの視点で構成され、雲という儚い存在を記録しようとした人間の知的探究と、写真技術の発展を対比的に描き出している。
カワタレ | 泊昭雄
写真家・泊昭雄による初の作品集。雑誌『Seven Seas』での連載作に新たな撮り下ろしを加え、静謐な光と影の世界を丁寧に綴っている。花や瓶、インテリアなど、身近な対象がやわらかなトーンと独特の光に包まれ、時の流れが止まったかのような静けさを湛える。日常の中に潜む美をすくい上げる泊のまなざしが、見る者に深い余韻を残す。アートディレクションは副田高行が担当し、詩的な写真世界にふさわしい上品な装丁に仕上げられている。
Lee Ufan: Painting, Sculptures
2007年のヴェネチア・ビエンナーレ出展にあわせて刊行された、李禹煥(リー・ウーファン)の作品カタログ。1969年以降に制作された絵画と彫刻を中心に構成され、「もの派」を代表する作家としての歩みと思想を多角的に辿る。最小限の行為と素材の対話を通して、空間や存在の関係性を問い続けてきた李の芸術を、図版とテキストで包括的に紹介。自身による論考やインタビューも収録し、哲学と造形が交差するその創作の核心に迫っている。
Lee Ufan: Open Dimension
「もの派」を代表する美術家、李禹煥(リ・ウーファン)の作品集。2019年秋、ワシントンD.C.のハーシュホーン美術館で発表された屋外彫刻インスタレーション〈Relatum〉シリーズを中心に紹介する。美術館の建築空間に呼応するよう設計された10点の新作は、ステンレスと巨石といった異質な素材を対話させることで、観る者と空間、時間との関係を浮かび上がらせる。制作過程のスケッチや設営風景、展示全景など100点を超える図版と、論考、インタビューを収録し、李の思索と造形の本質に迫る。
Kan Yasuda | 安田侃
イタリアを拠点に活動する彫刻家・安田侃の初期作品集。1991年にミラノで開催された野外展「彫刻の道」における大規模な展示風景を中心に、白大理石やブロンズを素材とした代表作をモノクロ図版で多数収録する。滑らかな曲線と静謐な造形に宿る精神性を、イサム・ノグチやブルーノ・ムナーリのテキスト、大岡信の詩とともに読み解く一冊。
PERSONAL WORK | 保井崇志
写真家、保井崇志による作品集。写真の選定からデザイン、印刷、製本、販売Webサイトの制作など、全ての工程で著者本人が携わった、こだわりの一冊。東京を中心に撮影された都市の風景や人々の暮らしを、独自の視点で切り取っている。2013年から2023年までの約10年間にわたって撮りためた作品群を収録。
Shoot: Photography of the Moment
「瞬間」をテーマに、時代を超えて共鳴する写真表現を紹介する作品集。スティーブン・ショアやナン・ゴールディン、ヴォルフガング・ティルマンスらに影響を受けた26名の写真家が参加し、自然光と一眼レフカメラのみで撮影された生の瞬間を収録している。ティム・バーバー、J.H.エングストローム、長島有里枝ら次世代の作家たちは、演出を排し、被写体との関係性や偶然性の中に「いま」を見出していく。イメージがあふれる現代において、写真が持つ感情的な力と、見ることそのものの意味を問い直す試みとして位置づけられる一冊。
ジョセフ・アルバースの授業 色と素材の実験室
2023年にDIC川村記念美術館で開催された展覧会「ジョセフ・アルバースの授業 色と素材の実験室」の図録。ドイツ出身の画家・デザイナーであり教育者でもあったジョセフ・アルバースの創作と教育の両面に焦点を当て、その思想と実践を多角的に紹介する。アルバース自身の作品やデザイン、習作に加え、バウハウス、ブラックマウンテン・カレッジ、イェール大学での教育活動を豊富な写真資料とともに掲載。色と形、素材の探究を通して「見ることを教える」アルバースの教育理念を可視化し、彼の思想が現代のデザインとアート教育に与えた影響を明らかにしている。
サラ・ムーン展 幻惑する巴里の女流写真家
1984年に東京・プランタン銀座と大阪・プランタンなんばで開催された「サラ・ムーン展 幻惑する巴里の女流写真家」の図録。フランスを代表する写真家サラ・ムーンが手がけたファッションフォトを中心に、VOGUE、コム・デ・ギャルソン、キャシャレルなどとの仕事を含む36点の作品をカラーおよびモノクロで収録している。柔らかな光と淡い色彩、幻想的な構図が織りなす独自の映像世界を通して、ムーンの詩的な感性と被写体への深いまなざしを伝える。巻末には友人との対話やインタビューも収録し、彼女の創作哲学に触れられる構成となっている。
Sarah Moon: Improbable Memories
ロンドンやパリでモデルとして活動した後、1970年より写真家へ転向したサラ・ムーンによる作品集。日本語版。優美な女性像や静物を、絵画のように構築された構図と繊細な色彩でとらえ、詩情あふれる世界を描き出す。柔らかな光と独特のぼかしが生み出す幻想的な空気感が特徴で、見る者を物語の中へと誘う。94点の図版に加え、作家の創作背景や作品解釈を深める解説も収録している。
Flowers | David Hamilton
フランスの写真家・デイヴィッド・ハミルトンによる花の作品集。柔らかなフォーカスで捉えられた多彩な花や花のアレンジメントは、彼が若い女性を幻想的に撮影してきた作風と同じく、官能的でロマンティックな雰囲気を漂わせる。各図版には、シェイクスピアやシェリー、エミリー・ディキンソン、ウィリアム・ブレイクら古典作家の詩の一節が添えられている。英語表記。
Arnold Newman: The Early Work
アメリカの写真家、アーノルド・ニューマンによる初期作品集。1938年から1942年にかけて、フィラデルフィア、ボルチモア、ウェストパームビーチなどで撮影された人々と街の風景を収録する。大恐慌後のアメリカ社会を背景に、抽象性とドキュメンタリー性をあわせもつモノクロ写真が並ぶ。後に「環境肖像」と呼ばれる独自のスタイルを確立する以前の、ニューマンの原点を示す貴重な記録であり、芸術家としての形成期におけるまなざしと構図感覚の萌芽を伝えている。
操上和美写真集 陽と骨
写真家・操上和美による写真集『陽と骨』。フルカラーのハードカバー版には女性の身体や植物、動物など、生命の艶やかさを湛えたイメージを、モノクロのソフトカバー版には日常の断片や人々の姿を収録している。色彩と光、陰影と質感の対比を通じて、人間と自然、生命と時間の関係を探るように構成された一冊。操上の直感的なまなざしが映し出す世界は、見る者に身体的な感覚と深い余韻を呼び覚ます。
ZEEN | Scheltens & Abbenes
オランダを拠点に活動するアーティストデュオ、シュルテンス&アベネス(Scheltens & Abbenes)の作品集。2019年にアムステルダムのFOAM写真美術館で開催された回顧展にあわせて刊行されたもの。エルメスの箱やハイブランドのハンガー、色鮮やかな木箱など、日常的な物を精緻に構成して撮影した静物作品を収録。イメージの反復や対置によって、新たな文脈や視覚的リズムを生み出し、写真表現の枠を拡張する彼らの独自の方法論を体感できる内容となっている。
ミニマル/コンセプチュアル ドロテ&コンラート・フィッシャーと1960-70年代美術
2021年から2022年にかけてDIC川村記念美術館などで開催された展覧会「ミニマル/コンセプチュアル ドロテ&コンラート・フィッシャーと1960-70年代美術」の公式図録。ミニマル・アートとコンセプチュアル・アートという20世紀後半の美術史を大きく転換させた潮流を、ドロテ&コンラート・フィッシャー夫妻のコレクションを中心に検証する。ドナルド・ジャッド、ダン・フレイヴィン、リチャード・ロングら18名の作家による約150点の作品とともに、貴重なアーカイブ資料、論考、解説を多数掲載。欧米および日本の動向を多角的に読み解く一冊。
Luciano Fabro
1991年にスイスのルツェルン美術館で開催された展覧会「Luciano Fabro・Die Zeit・Werke 1963-1991」展に際して刊行されたカタログ。イタリアで1960年代後半から70年代初頭にかけて展開された芸術運動「アルテ・ポーヴェラ(貧しい芸術)」の代表的な作家の一人である彫刻家、ルチアーノ・ファブロの作品群をモノクロ図版中心に掲載。ドイツ語表記。
Matthias Hoch: Fotografien/Photographs | マティアス・ホッホ
ドイツの写真家・ヴィジュアルアーティスト、マティアス・ホッホによる写真集。急速に変化する都市景観や、ヨーロッパの近代的な建築構造物を、静謐で構築的な視点から捉えている。駐車場やスタジアムの屋根、建物の外壁といった日常的な風景が、極限まで純化された構図と色彩によって抽象的な美へと昇華される。無機質な都市の表層に潜む秩序と感覚的なリズムを探る、ホッホの代表的作品群を収録。
MARZAHN | Gerrit Engel
ドイツの写真家、ゲリット・エンゲルの作品集。旧東ドイツの最大の建設プロジェクトの一環によりベルリン東部のはずれに建設され、今でもドイツで最も大きな住宅団地が連なるマルツァーン地区。本書はマルツァーン地区における建物やそこで住む人々のポートレートを通し、この街がどのように変化し、どのように生まれ変わってきたのか、ベルリンの壁崩壊から10年の東ドイツの姿を写しだしている。ドイツ語表記。
The Third Day | Henrik Spohler
ドイツの写真家、ヘンリック・スポーラーによる写真集。スペイン、オランダ、ドイツ、アメリカで撮影された、工業化された現代農業の現場を記録する。ガラス温室や巨大な農場、無機質な設備が連なる風景を通して、人間と自然の関係が変化した「生産の風景」を静かに見つめる。食の裏側にある構造とその美学を提示するドキュメンタリー的作品。
パリ・ニューヨーク・東京
1985年に開催された展覧会「パリ・ニューヨーク・東京」の図録。奈良原一高、荒木経惟、細江英公、アンリ=カルティエ・ブレッソン、リチャード・アヴェドン、マン・レイ、リー・フリードランダーなど、フランス・アメリカ・日本を代表する総勢170名の写真家による作品を収録している。3都市を舞台に、20世紀の写真表現が交錯し発展していく過程を多角的に示す構成。伊藤俊治、金子隆一、飯沢耕太郎らによる批評テキストも掲載し、写真史の国際的な文脈を読み解く重要な資料となっている。
Christian Boltanski | クリスチャン・ボルタンスキー
フランスの現代美術家、クリスチャン・ボルタンスキーの初期から中期にかけての代表作を網羅したモノグラフ。新聞の切り抜き、古着、スナップ写真、揺らめく影といった素材を用い、記憶や不在、生と死といった普遍的な主題を探求する。電球に照らされたポートレートや人形の影が壁を囲むインスタレーションなど、個人史と集合的記憶が交錯する独自の世界を構築。美術史家リン・ガンパートによる論考が、ボルタンスキーの創作の背景と思想を明快に読み解いている。
Andy Warhol: The Late Work
アンディ・ウォーホルの晩年期に焦点を当てた作品集。1972年から1987年までの約15年間に制作された絵画、写真、映像、出版など多様なメディアの作品を包括的に紹介する。2004年にドイツ・クンストパラスト美術館での展覧会にあわせて刊行され、〈シャドウズ〉〈スカル〉〈ドラッグ・シリーズ〉など後期を代表するシリーズを網羅。アーティスト本人へのインタビューや批評的論考も収録し、ポップアートの旗手が死の直前まで模索し続けた創造の軌跡と、その内面に潜む実験精神を浮かび上がらせている。
The Young Ones | Simon Johansson サイモン・ヨハンソン
スウェーデンの写真家、サイモン・ヨハンソンによる作品集。2002年から2019年までの17年間にわたり撮影された〈子ども〉をめぐるシリーズを収録する。犬と遊ぶ姿や友人とのごっこ遊び、泡まみれの入浴シーンなど、日常の何気ない瞬間をモノクロームで丁寧に写し取り、無垢でありながらもどこか切なさを帯びた子どもたちの世界を描き出す。写真家自身の幼少期の記憶を重ね合わせるようにして編まれた本作は、誰もが心に持つ遠い日の記憶を静かに呼び覚ます。
手のなかの空 奈良原一高 1954-2004
戦後日本を代表する写真家、奈良原一高の50年にわたる活動を総覧する展覧会「手のなかの空」(島根県立美術館ほか開催)の図録。初期の〈人間の大地〉〈王国〉に始まり、〈ヨーロッパ・静止した時間〉〈スペイン・偉大なる午後〉〈ジャパネスク〉〈消滅した時間〉、晩年の〈ヴェネツィア〉〈空/天/円〉まで、主要シリーズを網羅。外界から隔絶された場所や極限状況に生きる人々を通して、「人間の存在」を問い続けた奈良原のまなざしを辿る。写真家本人によるアルバムや関係者の論考も収録し、詩情と哲学に貫かれた奈良原の軌跡を多角的に示している。
魅惑のヴェネツィア | 奈良原一高
1987年から1988年にかけてプランタン銀座と大阪・大丸ミュージアムで開催された「魅惑のヴェネツィア」展の図録。戦後日本を代表する写真家・奈良原一高が長年にわたり撮影したヴェネツィアの風景を、カラーとモノクロ合わせて44点収録している。光と水が織りなす都市の幻想的な表情をとらえた作品群は、写真詩のような静謐さと深い叙情に満ちている。池田満寿夫、亀倉雄策、小澤征爾、横尾忠則、森英恵ら各界の人物が寄せたテキストも収録し、奈良原の芸術世界の広がりを示している。
ソール・ライターのすべて
写真家ソール・ライターの創作を網羅した作品集。1950年代ニューヨークのストリートフォトを中心に、色彩豊かなカラー作品、静かなモノクロ写真、ファッションフォトやペインティングまで約200点超を収録している。アトリエの記録写真や愛用品、本人の言葉も交えながら、写真とともに歩んだライターの人生観や美意識を多角的に紹介。浮世絵にも通じる構図や色彩感覚など、日本人の感性を惹きつけてきたその魅力を丁寧に伝えている。
レアンドロ・エルリッヒ展 見ることのリアル
アルゼンチン出身の現代アーティスト、レアンドロ・エルリッヒの活動を総覧する展覧会図録。2017年から2018年にかけて森美術館で開催された同名展にあわせて刊行されたもので、代表作《スイミング・プール》をはじめ、映像やインスタレーションなど新作を含む44点を収録。その多くが日本初公開となった。錯覚や反転を用いた空間構成によって、私たちが「見る」という行為に潜む習慣や思い込みを浮かび上がらせ、現実と虚構の境界を問い直す。
東京 TOKEI | 中里和人
写真家・中里和人が、東京の下町・向島の風景を記録した作品集。東京の北東、川に囲まれた三角地帯に広がるこの町の、古びた工場や夜の路地裏、すりガラス越しの灯り、静まり返った商店街などをモノクロームでとらえる。都市の記憶と時間の層を織り込みながら、消えゆく「東京(とうけい)」の原風景を静かに見つめた写真集。
Paris 巴里 松岡茂樹写真集
写真家・松岡茂樹による作品集。やわらかな光と繊細な色調で、パリの街並みや風景、静物を淡く幻想的にとらえている。雨に濡れた石畳、ショーウィンドウの反射、静まり返ったカフェの一角など、何気ない情景の中に詩情を見出す構成となっている。一部の写真には詩が添えられ、色とかたち、言葉が響き合いながら、パリという都市の記憶と気配を静かに描き出している。
アンドレ・ケルテス展
1985年に東京・プランタン銀座および大阪・プランタンなんばで開催された「アンドレ・ケルテス展」の図録。ハンガリー出身の写真家アンドレ・ケルテスの初期から晩年に至る活動を網羅的に紹介する。第一次世界大戦中のハンガリー時代、芸術家たちと交流したパリ時代、そしてニューヨークでの成熟期まで、70年以上におよぶ創作の軌跡を辿る構成。代表作36点の図版に加え、詳細な年譜と173点の出品リストを収録し、ケルテスの写真表現の全貌を明らかにしている。
エドワード・ウエストン展
1987年から1988年にかけて新宿・小田急グランドギャラリーほか全国で開催された「エドワード・ウエストン展」の図録。アメリカ写真史を代表する写真家、エドワード・ウエストンの作品36点を収録する。風景やヌード、ポートレート、建築など多様な被写体を通して、形態の純粋さと精神性を追求したウエストンの美学を静謐に映し出している。巻末には出品作品リストを掲載。
エリオット・アーウィット集成展
1989年に松屋銀座ほか全国各地で開催された「エリオット・アーウィット集成展」の図録。マグナム・フォトを代表する写真家のひとり、エリオット・アーウィットによるユーモアとアイロニーに満ちたモノクロ作品36点を掲載する。犬や人々の仕草、偶然の構図など、日常の中に潜む可笑しみと詩情をとらえた視線が際立つ。巻末には展示作品リスト198点と詳細な年譜を収録。
Simryn Gill: Power Station シムリン・ギル 発電所と家
マレーシア出身のアーティスト、シムリン・ギルによる写真作品を収録した展覧会図録。生まれ故郷ポート・ディクソンの古い発電所と、自身の生家という二つの空間を対照的に撮影し、記憶と場所の関係を静かに探る。荒廃した産業遺構と、個人的な時間の痕跡が残る室内が呼応し合いながら、過去と現在、公共と私的の境界を揺るがせる。2004年に資生堂ギャラリーで開催された展覧会にあわせて刊行された一冊。
A KA RI | 藤井保写真集
写真家・藤井保による作品集。広告写真の分野で広く知られる藤井が、ハワイ諸島やカリフォルニア、フロリダ、メキシコなど各地を巡り撮影したランドスケープを収録。地球上の風景とは思えないほど鮮烈な色彩がフレームに広がり、自然が織りなす光と大気の変化をとらえた構成となっている。商業写真で培われた視覚的感覚と、写真家としての純粋な眼差しが交差し、藤井の独自の表現領域を映し出している。