Jean-Michel Wilmotte
フランスを代表する建築家、ジャン=ミシェル・ヴィルモットの建築作品を紹介する写真資料集。美術館、オフィスビル、ホテル、公共建築から、日本の代表作〈Bunkamura〉に至るまで、都市空間における彼の多彩なアプローチを豊富な写真と図面で収録。建築・インテリア・都市デザインを横断しながら、素材や光の扱い、空間構成に通底するデザイン哲学を探る内容となっている。
The Natural Home | Hans Blomquist
アートディレクターでありインテリアデザイナーのハンス・ブロムクイストが提案する、自然の美に寄り添う暮らしのかたちを紹介する一冊。木や石、リネン、古布、植物など、素材がもつ質感や経年の表情を活かした空間づくりを、豊富な実例とともに解説する。章ごとに「テクスチャー」「スティルライフ」「植物と花」「色」などのテーマを設け、自然素材のもつ力とその調和のあり方を探る構成。落ち着きと詩情に満ちた写真を通して、ありのままの素材がつくる穏やかなインテリアの魅力を伝えている。
建築と触覚 空間と五感をめぐる哲学 | ユハニ・パッラスマー
フィンランドの建築家ユハニ・パッラスマーによる建築哲学書。視覚偏重に傾いた現代建築への批判を出発点に、触覚・聴覚・嗅覚・味覚を含む多感覚的な空間体験の意義を論じる。メルロ=ポンティやバシュラールの現象学的思想を参照しながら、身体と知覚を通じて建築を再定義する試みを展開。建築を「見る」ものから「感じる」ものへと取り戻す視点を提示し、ラスムッセンやノルベルグ=シュルツの系譜を継ぐ現代の名著として高く評価されている。
裸形のデザイン 新装版 | 大友洋祐、大西静二
インダストリアルデザイナー・大西静二が日本各地で蒐集したアルミニウム製品を紹介した『裸形のデザイン』に新作を加えた新装版。急須や弁当箱、譜面台、鯛焼き機など、終戦直後の物資不足の時代に生まれた多彩な日用品を、素材の素地を生かした写真とともに掲載する。塗装やアルマイト加工を剥ぎ取り、アルミニウムの「裸形」に立ち返らせることで、素材がもつ光沢と造形美を再発見させる構成となっている。工業製品のデザインと民藝的な美意識が交差する、静謐で現代的なコレクション。
Handmade in Germany: Maufactory 4.0
ドイツのものづくりにおける伝統と革新を紹介する資料集。磁器、時計、筆記具、パイプオルガンなど、各分野を代表するメーカーや職人の手仕事を通して、“Made in Germany”の真価を検証する。さらに、デジタル技術や自動化が進む現代において、クラフトマンシップと最先端テクノロジーがいかに共存し、新たな生産のあり方を生み出しているかを考察。251点におよぶ豊富なカラー図版で、ドイツの製造文化の過去・現在・未来を立体的に描き出している。
喜多俊之のデザイン Movement as Concept
日本を代表するプロダクトデザイナー、喜多俊之の仕事を総覧する作品集。ソファや椅子、テーブル、照明器具、テーブルウェア、工業製品、スペースデザインなど、多岐にわたる作品をカテゴリー別に紹介する。スケッチや図面、写真を通して、造形の背後にある「動き」をコンセプトとした独自のデザイン哲学を浮かび上がらせる。喜多の思考と創造の軌跡を豊富な図版でたどる一冊。
SILK ME BACK | Isabelle Moulin
2011年の東日本大震災を発端に立ち上げられた文化連携プロジェクト「SILK ME BACK」。このプロジェクトはフランスの代表的な絹織物の産地であるリヨンに視点を置き、日仏のシルクを介して様々な表現を絹のように結びつけるアートの試みであるとともに、被災者の支援につながるのかを追求するもの。本書ではシルクによって制作された、クリエイターや織物ネットワークの関係者による連携で生み出されたさまざまなデザインの着物のコレクションを収録。フランス語、一部日本語表記。
ブルーノ・タウト 1880-1938 Nature and Fantasy
1994年に開催された「ブルーノ・タウト 1880–1938」展の公式図録。建築家・思想家としてヨーロッパと日本を往還したブルーノ・タウトの創作と理念を、「画家としてのタウト」「結晶の成り立ち:〈グラスハウス〉」「色彩空間と日本でのデザイン」などの章立てで多角的に検証する。スケッチ、建築図面、写真、資料を通して、近代建築と芸術の融合を志したタウトの造形思想を読み解く一冊。
村田森展
2012年に鎌倉芸術館で開催された「村田森展」の公式図録。京都を拠点に活動する陶芸家・村田森が手がけた出展作品の中から、薪窯焼成による器を中心に、白磁、染付、粉引、刷毛目、黒高麗、井戸、彫三島など多彩な作陶を収録。展示された9基の大壺や制作風景の記録とともに、作家の歩みをたどる内容となっている。直筆題字をあしらった装丁も印象的で、村田の陶芸世界を余すことなく伝える一冊。
粟辻博展 色彩と空間のテキスタイル | 京都国立近代美術館 ほか
2000年に開催された回顧展の図録。大胆な絵柄や鮮やかな色彩を用いたデザインで、昭和期の日本のテキスタイルデザインに大きな変革をもたらしたテキスタイルデザイナー、粟辻博の30年にわたる活動を辿る。テキスタイルデザインを中心に建築やプロダクトデザインに至る作品まで、図版とともに解説を収録。デザイン監修は田中一光。
香りの器 高砂コレクション
2021年にパナソニック汐留美術館で開催された展覧会「香りの器―高砂コレクション」の公式図録。古代オリエントの香油壺から、アール・デコ期の香水瓶、香道に用いられる香炉や香合、漆工芸品に至るまで、香りにまつわる多彩な造形を紹介する。高砂香料工業株式会社が長年にわたり収集してきた質の高いコレクションから約240点を精選し、古今東西の香りの文化と美意識をたどる構成。さらに東京会場では、国内美術館の協力により、香りを想起させる貴婦人の肖像画やアール・デコ様式の作品も特別展示。香りの器が、生活文化やデザイン史といかに深く結びついてきたかを多角的に示している。
マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン展 | 三菱一号館美術館
2019年に三菱一号館美術館で開催された展覧会の図録。繊細なプリーツを付けた絹のドレス「デルフォス」をデザインしたことで世界的に知られるファッションデザイナー、マリアノ・フォルチュニ。本書はファッションのみならず、画家、版画家、舞台の仕事、テキスタイルデザイナー、写真家など、総合芸術家としての仕事にも焦点を当て、日本の関連書籍や染め型紙といった蒐集品なども併せて紹介する一冊。
西武のクリエイティブワーク 感度いかが?ピッ。ピッ。→不思議、大好き。
西武百貨店の広告表現を総覧する作品集。田中一光、永井一正、杉浦康平、石岡瑛子、木下勝弘、横尾忠則、糸井重里など、日本のデザイン界を代表する豪華な制作陣が手がけたポスターやキャンペーンビジュアルを収録する。洗練されたビジュアルと斬新なコンセプトで知られる西武の広告史を辿り、そのクリエイティブワークの魅力と時代性を浮き彫りにする。監修・構成は田中一光と浅葉克己が務め、資料としても貴重な一冊。
Brasil Design Visual | Alex Wollner
ウルム造形大学で学び、帰国後ブラジル・デザインの礎を築いたグラフィックデザイナー、アレックス・ウォルナーの作品集。ポスター、ロゴタイプ、企業の制服、パッケージなど多岐にわたる仕事を収録し、ウルムで培った機能主義的思考が南米の文化と融合する様を示している。ブラジル初のデザインコンサルタント会社〈Form-Inform〉を創設するなど、戦後ブラジルの視覚文化の発展に大きな影響を与えたウォルナーの軌跡を通して、モダンデザインの国際的展開を照らし出している。
Josef Muller-Brockmann
スイスを代表するグラフィックデザイナー、ヨゼフ・ミュラー=ブロックマン(1914–1996)の包括的なモノグラフ。ポスター、広告、ブックデザインからIBMなどの企業案件まで、20世紀を代表する作品を450点の図版とともに紹介する。客観性と機能性を重視したグリッドシステムの提唱者として知られ、理性と秩序に基づくタイポグラフィの体系を確立したブロックマン。本書では、そのデザイン哲学と造形原理、そして個人史にまで踏み込み、国際的モダンデザインの礎を築いた軌跡を明らかにしている。
スタインバーグ 新しい世界
アメリカを代表するイラストレーター、ソウル・スタインバーグの日本語版作品集。雑誌『ニューヨーカー』の表紙や挿絵で知られるユーモラスで風刺的なドローイングを多数収録する。線と構成の軽やかな筆致によって、日常と想像のあいだを自在に往来するスタインバーグの世界を紹介。装丁は詩人で美術評論家の瀧口修造が手がけ、袖には彼によるスタインバーグ論を掲載。
田中一光デザインの世界
昭和を代表するグラフィックデザイナー田中一光の仕事を網羅的に収めた作品集。1975年以降の近作を中心に、シンボルやロゴタイプ、西武セゾングループ関連のデザイン、さらにはグラフィックアート作品まで多彩に収録している。視覚的に洗練された造形は、戦後日本のデザイン史における重要な一章を示すもの。巻末には作品リストや経歴資料を掲載し、弟子の木下勝弘が編集に携わることで、創作の全体像を体系的に提示している。
田中一光展 伝統と今日のデザイン ハードカバー版
日本のグラフィックデザイン史を代表する田中一光の仕事を総覧する作品集。ハードカバー版。ポスター、ロゴ、パッケージデザインなど、明快で洗練された造形感覚による代表作を豊富な図版で収録する。あわせて、高階秀爾「田中一光と日本文化の最良の部分」、ジャン・カルロ・カルツァ「田中一光―きらめく閃光」、片岸昭二「田中一光の明快なデザイン」などの論考を収録し、デザイン史の中における田中の位置づけと、その思想の核心に迫っている。
新版 タイポグラフィ・トゥデイ
15か国88人のデザイナーによるタイポグラフィ作品を収めた国際的アンソロジー。ヤン・チヒョルト、エル・リシツキー、ハーブ・ルバリン、杉浦康平、ウォルフガング・ワインガルト、ウィム・クロウェルらを網羅し、20世紀のタイポグラフィの展開を総覧できる構成となっている。デザインはヘルムート・シュミットが担当し、2003年に増補改訂された新版として刊行された。国際的な潮流と個々の表現の広がりを照らし出している。
Rudolph de Harak Graphic Designer: Rational Simplicity
20世紀中葉のアメリカ・グラフィックデザインを代表するデザイナー、ルドルフ・デ・ハラックの初のモノグラフ。レコードジャケット、書籍装幀、家具、展示デザインなど、幅広い分野にわたる作品を約6章構成で紹介している。ウィル・バーチン、アルヴィン・ラスタグ、マックス・ビルらモダニズムの巨匠に影響を受けつつ、理知的で簡潔な造形を追求したデ・ハラックのデザイン哲学を明快に示す。アメリカ戦後デザイン史における理性と秩序の美学を体現している。
Hans Schleger: Zero
ドイツ出身でイギリスを拠点に活動したグラフィックデザイナー、ハンス・シュレーガーの仕事を総覧する作品集。バウハウスの理念を受け継ぎ、造形を本質へと還元するデザイン哲学のもと、企業アイデンティティの概念を先駆的に打ち立てた。1920年代のニューヨークでモダニズム広告を牽引し、戦後イギリスではポスター、広告、シンボル、パッケージデザインなど多彩な分野で活躍。ドローイング、絵画、写真も併せて収録し、その創造の全貌を明らかにする。序文はポール・ランド。
円と四角 | 向井周太郎
円と四角という二つの形態に焦点を当て、宇宙図、カリグラフィ、護符、サイン、コンクリート・ポエトリーなど、形の持つ象徴性と造形美を探るビジュアルブック。西洋の錬金術的宇宙観から東洋の護符、そして20世紀中葉に展開したコンクリート・ポエトリー運動まで、時代と地域を越えて集められた520点の図像を章ごとに紹介する。意味よりもかたちに宿る力を見つめ直す構成に加え、デザイン史家・向井周太郎による解説が、図像の背後にある思想的背景を明快に読み解く。装丁は松田行正。
Enghelab Street: A Revolution through Books: Iran 1979-1983 | Hannah Darabi
パリを拠点に活動するアーティスト、ハンナ・ダラビによるビジュアルブック。イランの首都テヘランの中心に位置し、本屋街として知られる「エンゲラーブ通り」を舞台に、1979年から1983年にかけて発行された写真集やプロパガンダ本を中心に構成している。パフラヴィー朝の崩壊とイスラム政権の成立という激動の時代に、一時的に花開いた表現の自由と出版文化を記録した貴重な資料群を収録。チョウラ・マカレミによる批評的エッセイとともに、イラン現代史における文化的記憶を再構築している。
恩地孝四郎 装本の業 | 恩地邦郎
日本の近代装丁史を語るうえで欠かせない版画家・恩地孝四郎の装本・装幀作品を網羅した集大成。息子の恩地邦郎が編集を手がけ、初期から晩年に至るまでの手法と造形的展開を貴重な資料とともに紹介している。カラー・モノクロの図版を数多く収録し、書誌情報も詳細に掲載。畦地梅太郎、瀬木慎一、外山滋比古らによる論考を通して、恩地の装本思想とその革新性を多角的に検証している。
本の美術 | 恩地孝四郎
装幀家・版画家・詩人として多面的に活動した恩地孝四郎による装本美術論集。自らの装幀観を語る論考に加え、手がけた書籍の装幀図版を多数掲載する。別冊には植村鷹千代による解説、「恩地孝四郎装本拾遺」や年譜を収録し、詩的感性と造形理論の双方から恩地の創作を読み解く構成となっている。
津田青楓 図案と、時代と、
2022年に渋谷区立松濤美術館で開催された展覧会「津田青楓 図案と、時代と、」の公式図録。日本画、洋画、書、装幀と幅広い分野で活躍した津田青楓(1880–1978)の多彩な図案作品を、豊富なカラー図版で紹介している。明治から大正期にかけて、職人の実用的な下絵から美術家による創造的表現へと変化した「図案」という概念を検証し、青楓が独自の美意識で切り拓いたデザイン史上の革新を辿る。伝統と近代が交錯する時代における図案の芸術化の歩みを明らかにしている。
ブラック・ベア ディック・ブルーナ 装丁の仕事 ソフトカバー版
グラフィックデザイナーとしてのディック・ブルーナに焦点を当てた作品集。オランダの出版社アウェルス社によるペーパーバックシリーズ「ブラック・ベア・ブックス」で、1950年代から手がけたカバーデザインを中心に紹介する。シンプルな構図と大胆な色面、そしてタイポグラフィの洗練が融合した装丁の数々は、絵本作家として知られるブルーナのもう一つの創作世界を示している。明快なデザイン言語の魅力を再発見させる一冊。
Andreas Uebele: Material
ドイツを代表するグラフィックデザイナー、アンドレアス・ウエベレの創作の軌跡をたどる作品集。建築を学んだ経歴を背景に、空間とタイポグラフィを往還するウエベレが手がけた85のプロジェクトを紹介している。リヒャルト・ライヒスタークのサイン計画からヴィトラ・キャンパスのグラフィックまで、素材への探究心と構築的な思考が貫かれる。マシュー・カーター、エイドリアン・フルティガー、マッシモ・ヴィネッリ、ヘルマン・ツァップら協働者たちとの関係にも焦点を当て、現代ドイツ・デザインの理念と造形感覚を浮かび上がらせている。
大橋歩 わたしの時代 1962-2009
2009年に三重県立美術館で開催された展覧会「大橋歩展 平凡パンチからアルネまで アート・ファッション・ライフスタイル 1964年〜2009年」の公式図録。雑誌『平凡パンチ』の表紙イラストをはじめ、西武百貨店のポスター、長田弘の著作装画、立体作品などを収録し、イラストレーターとして、そして生活文化の表現者としての軌跡を辿る。時代の変化に寄り添いながら、アート、デザイン、ファッションを横断して活動した大橋歩の表現の広がりを示している。
地にはピース | 和田誠
イラストレーター・和田誠による「ピース」たばこの広告作品を集成した一冊。1960年代、日本専売公社の依頼により制作された雑誌広告を中心に、2010年「たばこと塩の博物館」で公開されたカラーバージョンも併載。ユーモアと知性に満ちたモノクロのイラストレーションと、コピーライター・土屋耕一による詩的なコピーが響き合い、当時の広告文化の豊かさを伝える。
Buro Destruct II
スイス・ベルンを拠点に活動するグラフィックデザインチーム、ビュロ・デストラクトによる作品集第2弾。ポスター、ロゴ、イラストレーション、広告など、クライアントワークから自主制作まで幅広いプロジェクトを収録。デジタルとクラフトの感性を融合させたユーモアと知性あふれる造形は、スイス・デザインの新たな地平を切り拓いている。制作プロセスや試行の過程を丁寧にたどりながら、独自のスタイルを進化させてきた彼らの思考と実践を読み解く一冊。
BOOKS 水戸部功 ✕ 名久井直子
2024年に竹尾見本帖本店で開催された展示「BOOKS 水戸部功✕名久井直子」にあわせて発行された図録。ブックデザイナーの水戸部功と名久井直子が、それぞれ自らの仕事から選んだ30冊を取り上げ、装丁という行為を「紙」「素材」「造本」「デザイン」の観点から見つめ直す内容となっている。水戸部による研ぎ澄まされたミニマルな造形と、名久井による素材と加工の豊かな表現。対照的なアプローチを通して、本というメディアの奥深さを浮かび上がらせる。
The IBM Poster Program: Visual Memoranda
アメリカのコンピュータ企業・IBMが1960年代後半に開始した社内ポスタープログラムを紹介する資料集。ポール・ランドやエリオット・ノイエスらの指導のもと、社内デザインチームが制作したポスターは、ミッドセンチュリーの企業デザイン史の中でも特筆すべき成果として知られる。平等推進やセキュリティ啓発、社内イベント告知など、日常的なテーマを題材に、ユーモアやタイポグラフィの実験精神を凝縮。IBMのコーポレートデザインがどのように社内文化へ浸透していったかを視覚的に示す、企業デザイン史の貴重なドキュメント。
All Over Coffee | Paul Madonna
アメリカのアーティスト、ポール・マドンナによる作品集。2004年より『サンフランシスコ・クロニクル』紙で連載され、詩的で独創的な世界観が話題を呼んだシリーズ〈All Over Coffee〉をまとめた一冊。人影のない住宅街や路地、カフェの片隅など、日常の風景を淡いインクウォッシュで描き出し、そこに哲学的な言葉を添えることで、都市の時間と記憶を静かに浮かび上がらせる。ユーモアと孤独、現実と夢想が交錯する詩的なまなざしが魅力の作品集。
Everything Is Its Own Reward: An All Over Coffee Collection | Paul Madonna
アメリカのアーティスト、ポール・マドンナによる〈All Over Coffee〉シリーズ第2作。サンフランシスコをはじめ、パリ、ローマ、ブエノスアイレス、東京など世界各地を旅しながら、都市の風景を緻密な線描と詩的な言葉で描き出す。建物の佇まい、街角の光、部屋の片隅といった何気ない瞬間を繊細にとらえ、短い物語や会話を添えることで、記憶と時間が交錯する独自の世界を構築。観察者としての眼差しと詩人の感性が融合した、静謐で美しい作品集。
The Graphic Language of Neville Brody 2 ハードカバー版
英国のグラフィックデザイナー、ネヴィル・ブロディによる代表的作品集の第2巻。『THE FACE』『Arena』などの誌面を通じて80〜90年代のビジュアルカルチャーを牽引したブロディが手がけた、実験的で力強いタイポグラフィを多数収録。独自の文字造形と構成によって雑誌デザインの概念を刷新し、以後のグラフィック表現に大きな影響を与えたブロディの創作言語の核心を伝える一冊。
Typography Now: The Next Wave ハードカバー版
イギリスのグラフィックデザイン界におけるタイポグラフィの動向を記録した作品集。ネヴィル・ブロディ、デヴィッド・カーソン、ジョナサン・バーンブルック、フィル・ベインズら、当時の注目デザイナーによる革新的な作例を多数収録し、文字が視覚表現にもたらす役割や可能性を探る。デザインはWhy Not Associates、評論は雑誌『Eye』編集長リック・ポイナーが担当。90年代初頭の新しいタイポグラフィを牽引した潮流を鮮やかに伝える記録となっている。英語表記。
八木保の選択眼 The Graphic Eye of Tamotsu Yagi | ADP
グラフィックデザイナー/アートディレクターとして国際的に活躍する八木保の27年間にわたる活動を総覧する作品集。アップル、インテル、パームなどの米国企業のプロジェクトから、日本のアパレルブランド〈ワールド〉のブランディング、さらに家具や日用品のデザインまでを網羅。グラフィックからプロダクトへと領域を横断しながら、視覚表現と生活の結びつきを探った軌跡をたどる。
パサージュ | 矢萩喜従郎
デザイン、アート、建築など多分野にわたって活動を続ける矢萩喜従郎の仕事を総覧する作品集。グラフィックデザインやエディトリアルワークをはじめ、写真、建築的空間の演出、サイン計画、展示ディレクションなど、領域を越えて展開される造形の実践を豊富な図版で紹介する。寄稿には伊藤俊治と吉田直哉が名を連ね、矢萩の思考と表現の根幹にあるデザイン観を多角的に読み解いている。
For Calendar ’96
紙の専門商社、平和紙業株式会社が手がけたカレンダー用紙集。カレンダーの成り立ちや由来を辿りながら、素材となる紙を「ファンシーな印刷用紙」「プレーンな風合いの印刷用紙」「環境対応・エコロジーペーパー」の3つのカテゴリーに分類。1種類につき1シートを収録し、質感・色味・風合いの違いを実際に手に取って感じられる構成になっている。新草木染のシート欠け。
昭和のモダニズム 今竹七郎の世界 | 株式会社今竹
日本のモダニズムの父と称されるグラフィックデザイナー、今竹七郎の幅広い創作活動を網羅した作品集。高島屋の広告ポスターをはじめ、雑誌『アイデア』の表紙デザイン、抽象絵画、フロッタージュ技法を用いた作品など、多彩なジャンルで展開された独自の美学と表現をカラー図版で豊富に紹介。彼の革新的なデザインが昭和期の日本の美術と広告に与えた影響を読み解く上で重要な資料となっている。
杉浦非水 時代をひらくデザイン
2021年から2023年にかけて開催された巡回展の公式図録。近代日本におけるグラフィックデザインの先駆者として知られる杉浦非水の活動を幅広く紹介している。ポスター、装丁、雑誌、パッケージ、図案など多岐にわたる仕事を収録し、生涯を通じて展開したデザインの軌跡を体系的にたどる構成。観察力と写生精神を基盤に築かれた造形は、商業デザインの枠を越えて文化的な価値を持つことを示している。日本近代デザイン史の展開を照らし出している。
イリヤ・カバコフ 世界図鑑 絵本と原画
2007年から2008年にかけて開催された展覧会「イリヤ・カバコフ 世界図鑑 絵本と原画」の公式図録。鋭い時代感覚とユーモアをもって社会を捉え、大規模なインスタレーションで知られるカバコフの、創作の原点ともいえる挿絵画家としての活動に焦点を当てる。絵本のために描かれた原画を厳選収録し、後年の表現へとつながる初期の仕事を紹介する一冊。
SKETCH FROM THE ZOO | タケウマ
京都を拠点に活動するイラストレーター・タケウマによる、初の画集。動物園での観察をもとに描かれた約70点のスケッチを収録し、軽やかな筆致とユーモラスな表情で動物たちの生命感を生き生きと伝えている。実際に使用したモレスキンのスケッチブックと同じ判型で構成され、ページをめくるたびに描くことの喜びやまなざしの自由さが感じられる一冊。