アイデア No.366 ポスト・インターネット時代のヴィジュアル・コミュニケーション
デザイン誌『アイデア』第366号(2014年9月号)。巻頭特集「ポスト・インターネット時代のヴィジュアル・コミュニケーション」では、2000年代後半から2010年代にかけて、インターネット上で生まれた新たな視覚体験を多面的に検証している。Photobucket、Flickr、Vimeo、YouTube、Instagram、SoundCloud、Bandcamp、Facebook、Twitterなど、多様なプラットフォームから派生した世界的潮流を分析し、画像や音声、テキストが横断的に結びつくコミュニケーションの構造を探る。オンライン文化がもたらした表現の拡散と共有の仕組みを通して、デザインの社会的機能と視覚表現の変容を理論的に解き明かしている。
アイデア No.357 紙上の建築 日本における建築メディアの現在とその変遷
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.357(2013年2月号)は、「紙上の建築──日本における建築メディアの現在とその変遷」を特集。『建築雑誌』『都市住宅』『TAU』など、建築をめぐる紙媒体のデザインをデザイナー別に編纂し、杉浦康平、中野豪雄、秋山伸らの仕事を紹介している。建築思想を伝える手段としての誌面デザインの変遷をたどり、60〜70年代の革新的なレイアウトから現代のインディペンデント出版までを俯瞰。建築とグラフィックの関係を多角的に検証している。
アイデア No.311 音のコスモグラフィ
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.311(2005年7月号)は、「音のコスモグラフィ」と題し、音とデザインの関係に迫る特集号。ドイツの音楽レーベルECMの美学を紐解く「静寂の反響」では、そのカバーデザインを通して“音の余白”を可視化する試みを紹介。さらに、杉浦康平によるレコードジャケット特集「天円地方―響きのカタチ」では、音楽と造形をめぐる宇宙的な構想を展開する。このほか池田亮司、カールハインツ・シュトックハウゼン、美登英利の作品など、音と視覚が交差する領域を多角的に探る内容となっている。
アイデア No.242 勝井三雄
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.242(1994年1月号)は、グラフィックデザイナー・勝井三雄を特集。光と色彩を駆使した象徴的なポスター作品から、万国博覧会など大規模プロジェクトにおけるアートディレクションまで、幅広い創作活動を多角的に紹介する。そのほか、ビル・ソーバーン、エティエンヌ・デレセール、横尾忠則&マーク・コスタビのコラボレーション展、ロドチェンコの写真特集などを掲載。表紙デザインも勝井自身が手がけている。
アイデア No.238 横尾忠則の新作ポスター
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.238(1993年5月号)。巻頭特集は横尾忠則の新作ポスター。鮮烈な色彩と大胆な構成で独自の世界観を展開する作品群を、個展、美術展、映画、広告など多岐にわたるジャンルから豊富なビジュアルで収録する。そのほか、「中村誠の最新作」永井一正、「パーキングエリア施設の立体オブジェ・サイン」などを掲載。表紙デザインは横尾忠則。
アイデア No.234 創刊40年記念号
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.234(1992年9月号)。創刊40年記念号として「アイデア40年記念座談会 日本のグラフィックデザインの歩み」出席者:亀倉雄策、永井一正 司会:青葉益輝による日本のグラフィックデザインの黎明期の話から、東京オリンピックのポスターについてなど、デザインの歩みを貴重な証言とともに辿る。そのほか、「Ape Call from Tokyo」東京展 勝井三雄、Rio 92 地球サミット「環境と開発」ポスター展 福田繁雄、などを掲載。
Galerie Half: Selected Works/Spaces
世界的に高い評価を得るロサンゼルスのアンティーク・ヴィンテージ家具店「Galerie Half」の美学を記録した作品集。ローマ彫像やアフリカの仮面、北欧の家具、モダンデザインの椅子など、異なる時代と文化を横断する品々を独自の感性で組み合わせ、色・質感・形の呼応によって調和を生み出す空間を豊富な写真で紹介する。豪奢と素朴、匿名性と作家性といった対比が織りなす絶妙なバランスは、インテリアを超えてキュレーションの芸術とも呼べるもの。時を経た素材の表情と現代的な洗練が響き合う、静謐で詩的な世界観を映し出している。
Projects 2009–2017 | Valerio Olgiati
スイスの建築家ヴァレリオ・オルジアティによる建築作品集。2009年から2017年までの主要プロジェクトをまとめたもので、スイスのプランタホフ農業学校講堂やチューリッヒのシャウエンベルク校舎、ポルトガルのヴィラ・アレム、バーレーンのパーリング・サイトなどを収録。建築史家ジャック・リュカンのテキストとともに、オルジアティ自身によるプロジェクト解説を掲載し、世界各地の文化的文脈のなかで展開される造形思想と空間構築の独自性を読み解く。
白井晟一の建築
「哲人建築家」「異端の作家」と称される建築家・白井晟一の限定版作品集。1935年から1974年までに手がけた代表的建築を、全図版貼込という丁寧な造本で収録。河村邸、原爆堂計画、親和銀行本店、虚白庵など主要18作品の写真(カラー/モノクロ)に加え、自筆テキスト「侍庵の二畳」「縄文的なるもの」など5篇を掲載。さらに小能林宏城、横山正、宮内康、長谷川堯による論考も収め、白井建築の思想と美学を多角的に読み解く内容となっている。限定750部発行。
Christ & Gantenbein: Projects I-III
スイスの建築事務所、クリスト&ガンテンバインの設立25周年を記念して刊行された、3巻構成のモノグラフ。1998年から2023年までに手がけた160以上のプロジェクトを網羅し、スイス国立博物館増築やバーゼル美術館をはじめとする代表作を収録。1,800点に及ぶ写真とスケッチ、700点の図面、45本のテキストを収め、「完成から原点へと遡る」構成で展開される。25年間にわたる創作の軌跡と建築哲学を、圧倒的なビジュアルとともに検証する内容となっている。
Cuban Mid-Century Design: A Modernist Regime | Abel González Fernandez ほか
2024年に米国クランブルック美術館で開催された展覧会「Cuban Mid-Century Design: A Modernist Regime」の公式カタログ。1950年代後半から1970年代にかけてのキューバを舞台に、革命の理想を掲げた時代に生まれた家具、グラフィックアート、建築模型、実験的プロトタイプなど約100点を紹介する。機能主義的なデザインが国家の理念を可視化し、やがて権威主義の影を帯びていく過程を、芸術家・デザイナー・建築家たちの創作を通して検証。政治とデザイン、ユートピアと現実の狭間に揺れる、キューバ・モダニズムの複雑な相貌を描き出している。
生野祥雲斎竹藝作品集
竹工芸として初めて重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された生野祥雲斎の作品集。伝統的な竹の編組技法を継承しつつ、素材の可能性を拡張する造形的・芸術的アプローチを追求した作品を収録。盛籃などの端正な工芸品から、炎の揺らめきを思わせるモビール状の代表作《炎》まで、繊細な編みの美と構築的な造形力が融合した、生野の創作世界を体系的に紹介している。
The Art of Bamboo 餘香 挿花芸術 | 王伝峰、隈研吾、篠山紀信
中国出身の画家・王伝峰による挿花芸術を収めた作品集。建築家・隈研吾が設計した25を超える建築空間を舞台に、写真家・篠山紀信が撮影を担当。世界各地で収集された竹籠に花を挿し、空間と自然が響き合う瞬間をとらえている。王伝峰、隈研吾、篠山紀信による鼎談も収録し、建築・写真・花芸が交差する表現の可能性を探る一冊。
Luis Barragan | Rene burri ルネ・ブリ
スイスの写真家ルネ・ブリが、メキシコを代表する建築家ルイス・バラガンの作品を撮影した写真集。大胆な構図と繊細な色彩感覚をもって、光と影の戯れ、空間の静けさ、そして壁面の質感までも写し取っている。ブリの視点を通して浮かび上がるのは、バラガン建築が持つ詩的で精神性の高い美しさ。図版を中心に構成されており、建築写真としてだけでなく、アートとしても高く評価される一冊。英語表記。
もう一つの名作住宅 ハンドクラフテッド・モダン
イームズ夫妻、ジョージ・ナカシマ、ラッセル・ライト、ウォルター・グロピウスら、ミッドセンチュリー期に活躍した14人のデザイナーの自邸を紹介する写真集。ハンドメイドの家具や自作の彫刻、絵画の飾り方、本棚に並ぶ書籍や調度品に至るまで、住まいには作家の個性が色濃く反映されている。日常空間の細部に表れる独自の感性を通して、インテリアデザインの多様な可能性を浮かび上がらせている。
Vincent Van Duysen Works 2009-2018
ベルギー出身の建築家・デザイナー、ヴィンセント・ヴァン・ドゥイセンによる2009年から2018年までの仕事を収録した作品集。ニューヨーク、パリ、ハンプトンズの邸宅や、ロンドンのアレキサンダー・ワンの店舗をはじめ、住宅から公共施設、家具、ヨットのインテリアに至るまで、多様なプロジェクトを掲載。ミニマルでありながら豊かな質感をもつ空間構成や、自然素材と光の繊細な関係性をとらえた写真を通して、彼のデザイン哲学を浮かび上がらせる。序文はジュリアン・ムーア、建築家ニコラ・ディ・バッティスタによる解説を収録。
Vincent Van Duysen Works 1989-2009
ベルギー出身の建築家・デザイナー、ヴィンセント・ヴァン・ドゥイセンによる1989年から2009年までの仕事をまとめた作品集。ベルギーをはじめアメリカなど世界各地で手がけた住宅、オフィス、商業空間など30件を収録する。素材の質感や光の濃淡を生かし、ミニマルでありながら人間的な温もりを宿すデザインが特徴。石や木、布といった自然素材の静謐な調和が生み出す空間の詩情を、美しい写真とともに辿る一冊。ヴァン・ドゥイセン建築の原点を包括的に示している。
NIWA HOUSE 横内敏人の住宅 2014-2019
建築家・横内敏人による2014年から2019年までの住宅26作品を収録した作品集。邸宅や別荘、郊外住宅、公共施設など、多様な建築を対象に、庭と建築を一体として設計する“庭屋一如”の思想を軸に構成されている。自ら植栽図を描き、樹種を選定し、施工にも立ち会う横内の設計姿勢を、150点におよぶ図面と写真によって詳細に記録。現代的な和の空間や木造建築の美学を通して、自然と共生する建築の可能性を探る内容となっている。
岸和郎 TIME WILL TELL | nemofactory
2021年に京都工芸繊維大学美術工芸資料館で開催された展覧会にあわせて刊行された、建築家・岸和郎の40年にわたる活動を総覧する作品集。初期の〈KIT HOUSE〉から〈紫野和久傳〉〈日本化学産業総合研究所〉など代表的プロジェクトまで、建築写真や図面、スケッチ、テキストを通して紹介する。建築を「時間」「場所」「生活」「風景」といったテーマから読み解き、思考と実践、そして教育のあいだを往還する岸の建築哲学を多角的に捉える構成。モノクロを基調とした図版が、移ろいゆく自然や人の営みと建築の関係を静かに映し出している。
手漉和紙
毎日新聞社による、日本各地の手漉き和紙を体系的にまとめた資料集。和綴じ装の解説書1冊と、標本紙を収めた上下巻の全3冊で構成される。全国各地の和紙を実物標本として貼り込み、その産地・技法・原料・歴史的背景を詳細に記録。加えて、国の無形文化財に選定された6種の和紙も付録として収録する。伝統工芸としての和紙の美と多様性を視覚的・触覚的に伝える、資料的価値の高い一冊。限定3000部。
BORO つぎ、はぎ、いかす。青森のぼろ布文化
民俗学者・田中忠三郎が長年にわたり青森各地で収集した「ぼろ」のコレクションを紹介する一冊。編集は小出由紀子と都築響一、写真も都築による撮り下ろし。厳しい寒さと貧しさの中で、人々が布をつぎはぎし、重ね、受け継いできた衣や寝具には、暮らしの知恵と祈りのような美しさが宿る。木綿や麻など素材の背景にも触れながら、ぼろがもつ造形的魅力と、再生の精神を掘り下げる。
Wabi Inspirations | Axel Vervoordt
ベルギーのインテリアデザイナーであり、美術品収集家としても知られるアクセル・ヴェルヴォールトによる写真集。日本建築家・三木達郎との共著。東洋思想、なかでも「侘び」の理念に深く共鳴したヴェルヴォールトが、日本、韓国、ベルギー、スイスなど世界各地で撮影したプライベート空間を通して、その精神のかたちを探る。時の流れを刻む素材、簡素の美をたたえる調度、余白のある空気感──自然との調和と静寂を重んじた空間づくりの本質を、美しいカラー写真とともに示している。
Architecture Relations | Marianne Jorgensen
スイス、イングランド、デンマークの建築事務所によるプロジェクトを紹介する建築資料集。マイケル・マイヤー&マリウス・ハグ、6aアーキテクツ、デヴィッド・コーン、ルチェンス&パドマナバンなど、各国の建築家が手がけた実作を通して、周囲の環境や土地の歴史、文化的文脈との関係性を重視した建築の姿勢を探る。スペクタクルやコンセプト主義に依らず、場所性と素材の価値を丁寧に掘り下げながら、現代的かつ詩的な空間を構築する手法を紹介。豊富なカラー図版とテキストによって、地域と建築の関係を再考させる一冊となっている。
This is Home: The Art of Simple Living | Natalie Walton
インテリアスタイリストのナタリー・ウォルトンによる、シンプルで心地よい暮らしを提案する住まいのケーススタディ集。オーストラリア、アメリカ、ヨーロッパの16軒を訪ね、200点近い写真とともに、それぞれの住まいがもつ個性と調和のあり方を紹介する。大きな予算をかけずとも、自然素材や光、家具の配置、色使いの工夫によって、自分らしい空間をつくるためのヒントを収録。時を経ても変わらない美しさと、住む人の価値観が息づく“本当の家”の姿を探る一冊。
蔵 会津喜多方 | 金田実
写真家・金田実による写真集。福島県喜多方に現存する蔵を記録し、時代とともに失われつつある地域の建築文化を伝えている。米蔵、味噌蔵、座敷蔵、煉瓦蔵など、用途や構造の異なる蔵を、モノクロおよび一部カラーの写真で紹介。雪国特有の気候や生活に根ざした蔵のかたちを丹念に追い、蔵づくりに宿る職人の技と美意識を捉えている。地方の風土と建築の関係を見つめ直す貴重な資料ともいえる一冊。
The Colours of Light | Tadao Ando、Richard Pare
日本を代表する建築家・安藤忠雄と、英国の写真家リチャード・ペアによる10年にわたる協働の成果をまとめた写真集のミニチュア版。直島コンテンポラリーアートミュージアム、光の教会、兵庫県立こどもの館など27の建築を収録し、自然光がつくり出す陰影と構造の関係を繊細にとらえている。トム・へネガンによる論考や安藤自身のスケッチ、プロジェクト解説も併載され、建築と光の詩的な対話を体感できる内容。リチャード・ペアのレンズを通して、安藤建築の本質にある静謐と緊張の美を鮮やかに浮かび上がらせている。
茶美会・然 新しい茶のかたち
1992年に裏千家の伊住政和が主宰した「茶美会(さびえ)・然」を記録した写真資料集。グラフィックデザイナーの田中一光をはじめ、三宅一生、コシノジュンコ、横尾忠則など多彩なアーティストや建築家が参加し、それぞれの感性で新たな茶の表現を提示している。茶の湯の伝統を現代的なデザインやアートと結びつけ、その精神を再解釈する試みを紹介。参加作家によるテキストや対談も収録し、「新しい茶のかたち」を探る貴重な記録を提示している。
甲木恵都子の仕事
草木染作家、甲木恵都子の作品集。30年に及ぶ創作活動を一冊にまとめたもので、自然を材料にした美しい伝統染色による着物染のほか、行灯、衝立などの作品の数々をカラー図版で多数収録。
Naturalite | Alain Ducasse
フランスを代表するシェフ、アラン・デュカスの料理哲学〈ナチュラリテ(Naturalité)〉を紹介するビジュアルブック。魚・野菜・穀物を柱に据え、自然の摂理に寄り添った健康的で持続可能な食のあり方を探求する。生産者や職人、漁師など、旬の食材を支える人々の姿を美しい写真とともに紹介し、自然との共生をテーマにした約30のレシピを収録。気候や風土、技術、そして食材への敬意を通して、デュカスが提唱する「美しく、そして善きもの」としての料理の本質を伝えている。
縄文 1万年の美の鼓動
2018年に東京国立博物館で開催された特別展「縄文 1万年の美の鼓動」の公式図録。縄文時代草創期から晩期まで、日本列島各地から出土した土器や土偶、装身具などを通して、縄文人の造形感覚と精神性に迫る。火焔型土器や「縄文のビーナス」など、縄文期の国宝6点が一堂に会した史上初の展示を完全収録。豊富な図版と学術的解説を交えながら、日本の美意識の原点ともいえる「縄文の美」の全貌を多角的に伝える資料性の高い一冊。
日本の民具 第4巻 周囲民族 | 薗部澄、遠藤武ほか
日本の生活道具を体系的にまとめた『日本の民具』シリーズ第4巻「周囲民族」篇。樺太や台湾をはじめとする周辺地域の民具を対象に、蕃刀、籠、釜などの生活道具をモノクロ図版で紹介する。写真を薗部澄、解説を宮本馨太郎・八幡一郎が担当し、装丁は多川精一。民俗学者であり大蔵大臣も務めた渋沢敬三の追悼記念として刊行された本書は、日本と周辺民族の生活文化の交差を示す貴重な民俗資料となっている。
日本の凧 | 俵有作
日本で手掛けられた様々な凧を集めた資料集。カラーとモノクロの図版を多数収録するほか、凧の構造、道具、そして日本各地の凧の特徴などをまとめた解説付き。人々の飛躍を夢見る願いとともに誕生した凧の姿からは、民衆のエネルギーや、伝統的な日本の形、色が浮かび上がる。
唐桟 | 浦野理一
日本の染織研究家・浦野理一による「唐桟(とうざん)」の資料集。インドのサントメ地方から渡来し、日本各地で独自に発展した綿織物「唐桟」を、天保・慶応期の古布をもとに再現。特殊染色糸を用いた現代唐桟の実物見本3点を収め、あわせて図版105点と解説を掲載する。織柄の構成や色彩の妙、縞のリズムに宿る日本的な感性を通して、伝統織物の美と技術の継承を示す貴重な資料となっている。限定1500部発行。
Anni Albers ペーパーバック版
ミッドセンチュリー期を代表するテキスタイルデザイナー、アニ・アルバースの作品集。バウハウス時代からブラック・マウンテン・カレッジ期までの活動を網羅し、壁掛け作品や商業デザイン、ドローイング、ジュエリー、版画など多彩な表現を収録。夫ヨゼフ・アルバースとともに20世紀モダニズムを牽引した彼女の歩みを再評価し、織り手としての高い技術、素材への洞察、そして芸術とデザインを横断する思考を明らかにする。
ZOMO | ヨーガン・レール
テキスタイルデザイナー、ファッションデザイナーとして知られるヨーガン・レールが、インドやパキスタンを旅する中で撮影した風景をまとめた写真集。インダス川流域からカラコラム山脈へと続く旅のあいだに出会った、砂地の模様、岩肌の陰影、水辺のゆらぎ、植物のかたちなど、自然がつくりだす抽象的な造形を静かに見つめる。色彩や質感、リズムの中に宿る生命の美をとらえた写真群から、素材と自然を敬うレールのまなざしが浮かび上がる。
ころも ヨーガンレールの布 | 高木由利子
ドイツ出身のデザイナー、ヨーガン・レールの布を、写真家・高木由利子が撮り下ろした写真集。シルク、コットン、ウールなどの天然素材を用い、手仕事で織り上げられた布の質感やゆらぎを、カラーとモノクロの写真でとらえている。機械生産にはない多様さと偶然性を宿す布の美を、光と影の抽象的な構図で写し出し、布そのものがもつ生命力を静かに伝える一冊。
建築巨人 伊東忠太
明治から昭和にかけて活躍した建築家であり、日本初の建築史家・伊東忠太の業績を多角的に検証する資料集。築地本願寺や湯島聖堂などの代表作の解説に加え、学生時代の記録や日記『浮世の旅』、シルクロード調査でのフィールドノートなどを収録。西洋建築の理論を学びながらも、日本建築の本質を見直し、独自の建築思想を築いた伊東の歩みを、論考や写真資料とともに振り返る。近代日本建築の礎を築いた巨人の全貌を明らかにする一冊。
建築家 坂倉準三 モダニズムを生きる 人間、都市、空間
2009年に神奈川県立近代美術館で開催された展覧会にあわせて刊行された図録。20世紀を代表する建築家ル・コルビュジエに師事し、戦後日本のモダニズム建築に大きな影響を与えた坂倉準三の活動を紹介している。戦前から戦後にかけての激動期に、自らの思想を基盤に快適で明快な建築空間を追求し続けた姿を、多様な作品や資料を通してたどる構成。人間、都市、空間の関係を問い直しながら、日本の近代建築史に刻まれた坂倉の仕事を浮かび上がらせている。
建築と都市 a+u 2025年3月 臨時増刊 カルロ・スカルパ
建築専門誌『a+u』の1985年10月臨時増刊号として刊行された『カルロ・スカルパ作品集』を、新装表紙で復刊した一冊。建築史家フランチェスコ・ダル・コォ監修のもと、写真家アントニオ・マルティネリによる9作品の撮影と、スカルパ自筆ドローイングによる6作品を収録する。さらに同時代の建築家・研究者による随想や年譜を加え、素材の操作、幾何学的構成、空間の詩的感性といったスカルパ建築の本質を多面的に捉える構成となっている。建築・デザイン・工芸の境界を超えたスカルパの創造精神を伝える、40年ぶりの再版。
SIRAI、いま 白井晟一の造形
2010年に東京造形大学附属横山記念マンズー美術館で開催された展覧会の図録。建築家・白井晟一の造形思想に焦点を当て、未公開資料を含む建築計画案、スケッチ、模型、平面図、書、装丁など105点を収録。建築・美術・書・哲学を横断する白井の創作を多角的に検証し、その独自の空間観と精神性を改めて照らし出している。
洸庭 | 名和晃平、SANDWICH
現代アーティスト・名和晃平とクリエイティブプラットフォームSANDWICHによるアートパビリオン〈洸庭(こうてい)〉のプロジェクトを記録した写真集。広島・福山の「神勝寺 禅と庭のミュージアム」内に建てられた舟型の建築は、伝統的なこけら葺きを現代的に応用し、木材で包まれた内部空間で波の反射光を体験できる構造となっている。本書では、建築写真家・表恒匡とGottinghamによる撮影を中心に、建築史家・五十嵐太郎の論考、名和によるコンセプトテキスト、制作に携わった職人や設計チームの図面資料などを収録。光・水・素材が織りなす静謐な空間体験を多角的に伝えている。
Chairman Rolf Fehlbaum
スイスの家具メーカー、ヴィトラ社のオーナー、ロルフ・フェールバウムに捧げられた椅子のビジュアルブック。編集とアートディレクションはティボール・カルマン。人と椅子の関係をテーマに、古今東西の多様な写真やイメージ、ヴィトラ社が生み出した名作椅子の数々を597ページにわたり収録。企業の歩みとともに、椅子という存在がもつ文化的・哲学的意義を問いかける内容となっている。
杉本貴志のデザイン 発想 | 発酵
バー「ラジオ」や「無印良品」、「ハイアットホテル」などを手がけてきたインテリアデザイナー、杉本貴志が2年以上を費やして制作した旅とデザインのドキュメンタリー。バリ、上海、インド、ソウルの4都市を訪ね、ライター・中野照子とともに歩きながら語られた発想の源泉を、300枚を超える写真とともに綴る。屋台や市場、職人の暮らしなど、日常の風景に宿る造形的な発見を通して、杉本のデザイン思考の核心を探る内容となっている。さらに原研哉、深澤直人、竹山聖、吉岡徳仁、佐藤卓、藤本壮介らとの対談を収録し、「デザインの未来」への視座を多角的に提示する。
偶然は用意のあるところに | 西澤徹夫
建築家・西澤徹夫の初となる作品集。2023年にTOTOギャラリーで開催された展覧会にあわせて刊行されたもので、美術館、住宅、展覧会会場構成を含む30のプロジェクトを収録。写真群では、美術と建築のあいだに生まれる空間的思考の連なりを示し、続く詳細な図面群では、設計における微細な操作や思考の構造を読み取ることができる。巻末には会場構成と建築設計の関係性、共同設計の背景を論じたテキストも掲載。素材、光、空間の対話を通じて建築の本質を探る、西澤の思想を明快に伝える一冊。