【ECサイトにかかせない商品撮影の基本】撮影スタジオDIY編
【ECサイトにかかせない商品撮影の基本】物撮り編
さて、今回は最大の難関「イメージカット」。家具を買うには置かれている空間の雰囲気を含めて確認したり、洋服ならモデルさんの着用してる姿を見ることで、より具体的な購入後のイメージを知ることができますよね。本だって同じです。
お店という場所を有効活用するにはまず己を知れ、ということで今回も引き続き、カメラマンの鈴木公平氏を召喚。自然光を使った基本的な写真の違いをレクチャーしていただきます。
撮影環境について
まず環境について。ノストスブックスは商店街に面しており、大きなガラス窓から自然光が差し込みます。ただし、日当たりが良いのは午前中のみ。なので、自然光を活かすイメージカットを撮りたいのならば、撮影は限られた時間に行う必要があります。光を使いわける
光の種類は、被写体に対して差し込む方向によって大きく分けて3つ。順光 、逆光 、そして斜光 です。1、順光で撮る場合
順光 とは撮影者が太陽に背を向け、被写体に正面から光があたっている状態。まんべんなく光が行き届くため、被写体の色やかたちを実物に近い状態で映し出せます。リアルではありますが、すこし平面的な印象。イメージカットなので雰囲気を重視したいところ。2、逆光の場合
逆光 は撮影者が太陽に向かい、被写体の背後から光があたっている状態。おっと、1枚目は商品が影になってしまい、失敗。
露出を上げることで透明感が出て柔らかい雰囲気が出ました。ただし、その分背景も明るくなってしまうので調整が必要ですね。
3,斜光の場合
そして、斜光 とは被写体に対して光が斜めにあたっている状態。陰影がはっきりするので、立体感と重厚な雰囲気が出ます。光のさす方向を意識しながら店舗の中をほんの1、2メートル移動するだけで、こんなにバリエーションが生まれるとは。ふんわり柔らかい雰囲気を出したい、印象深い重厚な雰囲気を出したいなどの撮影の目的に合わせて、まずは光の取り入れ方を覚えるところからですね。
影を使いわける
前述の斜光の応用ともいえますが、今度は影を活かした撮影にトライ。直射日光よりも影の中で撮影したほうが、ふんわりと趣きのある写真に。被写体を引き立てるためには、レフ板で光を起こしてあげれば、さらに柔らかい雰囲気を出すことができます。
こちらは光と影のコントラストを活かしたもの。公平氏のアドバイスに従い、ドアの隙間から差す強い光と濃い影をつかって撮影。なんだかドラマチックな空気が生まれた!
ピント位置を使いわける
雑貨や書籍のイメージカットを撮るにあたり、見せたい被写体にピントを合わせ、背景をフワっとぼかしたい。そんな時はF値(絞り値)を調整します。周囲をぼかしたいのであればF値の数値を小さく、ぼかさず全体をシャープに撮りたいのであればF値の数値を大きく設定します。このボケをコントロールするために、今回は撮影モードを絞り優先(Av)にしています。絞り優先に設定することで、明るさに応じてシャッター速度をカメラがオートで決めてくれるので、あら便利。シャッターボタンを半押しにし、画面中央の被写体にピントを合わせます。ボケ具合を調整するにはF値を変更。
被写体を中央に置きたくない場合もあります。そんな時はシャッターボタンを半押し状態にしたままにすれば、被写体へのピントはズレないまま、構図を変更する設定もあります。あえてボケを手前に加えても面白いですね。
今回は店舗という、限られた空間の限られた時間をつかって、本や雑貨のイメージカットを撮るための基本を教えていただきました。イメージカットは、どういう写真を撮りたいか、シチュエーションも含めて頭のなかでラフを描くところからはじまります。もっとたくさんの良い写真を見て眼を鍛えつつ、練習を続けたいと思います。いずれ、人物も含めたイメージカットに挑戦できたらいいな。
最後に、今後の参考も兼ねて、光の使い方が印象的な3冊の写真集をご紹介します。
シェーカークッキング
- 著者
- 宇土巻子
- 出版社
- 柴田書店
- 発行年
- 1994年
シンプルでありながら実用的な家具を生み出すシェーカー教徒らの、田園暮らしの中で育まれたレシピを掲載。
料理や暮らしの道具の写真集。こういう写真が撮りたいのです。
Life goes on
- 著者
- 高橋恭司
- 出版社
- 光琳社出版
- 発行年
- 1997年
90年代前半からファッションや広告の分野で著しい活躍を見せていた写真家/高橋恭司の写真集。
こちらは人物写真がメインですが、カーテン越しに差し込む柔らかい光の取り入れ方など、参考になります。
講習会の先生、鈴木公平氏の写真集。光と影の対比から、ストーリー性を感じます。かっこいい。
これからの写真クオリティ向上にご期待ください。がんばります。