お香「テリムクリ」の出来るまで(2):パッケージを作る
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お香「テリムクリ」の出来るまで(2):パッケージを作る

と、ここから気がつけば早2年…

「何をそんなに時間かけとんねん」という声が聞こえてきそうだが、商品を開発して発売まで持っていくには途方もない道のりと決断が必要なのよ。



ネーミングを決める

まず商品のネーミングが決まらない。
イメージにピタッとハマるネーミング…ネーミング…ネーミング…と念仏のように唱え続けたそんなある日。

とある本の中に「てりむくり」なる言葉を見つける。ピカーン!!光ってみえる!これだ!

調べてみると、どうやら一般的に建築様式で使われることが多く、神社や日本家屋なんかにある屋根の両端が反り返っているアレのことを、てりむくり建築と呼ぶらしい。

さらに「てり(反り)」と「むくり(膨らみ)」という相反するものが滑らかに繋がるという意味もあり、異なるものと折り合いをつける共存のシステムの図式として、日本文化の深層を読み解くキーワードにもなっているとのこと。(by 松岡正剛

意識と無意識とか日常と非日常みたいな普通に生活している中でも、てりむくりのような移ろいがある、それを香りで体感してもらいたい、という今回のお香のテーマと繋がる。

さらに「てりむくり」を「テリムクリ」とカタカナにすることで大正時代あたりのモダニズムデザインのニュアンスが出ないだろうか。北園克衛とか杉浦非水のあの感じ。

うむ。やはりネーミングが決まるとイメージが一気に広がるな。

パッケージを考える

やっとイメージが固まったところで、マガジンバッグでもお世話になったNECKTIE designの千星さんにパッケージを依頼。

「本と香りを表現するには」と、2人で試行錯誤しまくった結果、バフン紙を使った文庫本サイズの箱型にした。

バフンは馬糞のバフン。よく考えたらすごい名前だが、古い和書の装丁で使われていることも多く、古書店であるノストスとしては親和性抜群。

大好きな喜国雅彦の「本棚探偵の冒険」でも、バフン紙の話しが掲載されているので興味のある方はぜひ。たしか装丁家はミルキィ・イソベだったはず。

背と表紙に活版で「テリムクリ」と入れる。 書体は5号明朝体をチョイス。インクはシルバー。良いね。

写真は冊子のサイズ感テスト。
この紙をこうしてああしてと、手を動かしながら思いつくことを試していくアナログ作業は、ほんとに楽しかった。

途中挫折したりしながら紆余曲折の結果、冊子も無事完成。何度もテストと話し合いを繰り返してくれた千星さんには頭が上がらない。

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◯制作ブログはこちら
お香「テリムクリ」の出来るまで(1):香りを作る
お香「テリムクリ」の出来るまで(2):パッケージを作る
お香「テリムクリ」の出来るまで(3):お香立てを作る

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ノストスブックス店主。歴史と古いモノ大好き。パンク大好き。羽良多平吉と上村一夫と赤瀬川原平と小村雪岱に憧れている。バンドやりたい。