いつもお世話になっている人のことを思って、本を選ぶのはなかなか良いものです。
ノストス店長なつきの誕生日には毎年お花とケーキを贈っていたのですが、今年はスタッフ4人それぞれが本を贈ることに決めました。
喜んでくれる姿が本当に愉快だったので記録。(マスクは外してもらいました、あしからず)
贈るにあたっての選書のポイントと共に、贈られた人の反応も一緒にお楽しみください。
まずは、オーナー中野からの一冊。
中野セレクト『バーナードリーチ』
中野から贈ったのは、日本の民藝運動にも多大な影響をあたえた英国の陶芸家、バーナード・リーチの大判作品集。陶芸作品、エッチング、素描などをカラーとモノクロで紹介されています。柳宗悦、志賀直哉、濱田庄司らがリーチに寄せたテキストも収録。装幀・レイアウトは原弘が担当。
中野『原田マハの「リーチ先生」を貸したら、なっちゃんが「バーナード・リーチと日本の民藝運動とのつながりがわかって面白い!」と言っていたのでこの本を贈りました。』
原田マハによる「リーチ先生」は、 イギリス人陶芸家バーナード・リーチに纏わる長編小説。幼少期を日本で過ごし、1909年、22歳のとき、再来日を果たしたリーチ。当時の日本は、柳宗悦をはじめとする白樺派が「民藝運動」を推し進めていた時代。彼らとの交流を通じて、リーチは新しい陶芸の世界を切り拓いていきます。民藝運動にまつわる勉強をする中で、飲み込むようにスタッフみんな一瞬で読み終わった一冊。
ノストスでの民藝の特集の際に誰よりもリサーチをしていたというなっちゃん、リーチ先生への思入れがひとしおだったようで、喜び100%
『バーナードリーチ』(1972) 朝日新聞社
次は、ノストスブックスの選書を担う、石井からの一冊。
石井セレクト『生きるよろこび』熊谷守一
石井『引っ越しを控え、絶賛物件探し中のなつき。こんな場所、あんな家がいいよね、という会話から、映画「モリのいる場所」で描かれていた熊谷守一の暮らしを思い出しまして。植物やいきものに囲まれ、夫婦でマイペースに日々をおくる熊谷家のように良き場所に出会えますように、との願いを込めてセレクトしました。』
晩年20年間は、森のように緑が鬱蒼とした自宅の庭のなかで自然観察を楽しむ日々を送った、熊谷守一。変わらぬ毎日のように見えても新鮮な発見をし創造を続けた生き様にはいつまでもお手本にしたいことが詰まっています。
終の住処のような、居心地の良いお家が見つかるようにとの願掛けを込めてと贈られた、この一冊への想いを受けて…のこの表情。
『こんな願いがこもっているなんて…大切にします!』と感極まっておりました。
まさかここまで喜んでくれるとは、本を贈るってなんて楽しいことなのだろうと、こっちはこっちでもう胸熱。
「贈る相手の近況や好きなものなど、連想ゲームのように会話と記憶をたぐって1冊の本に辿りつくので、自分のための買い物とはまた違った楽しさがあります。」と石井さん。
『生きるよろこび』熊谷守一(2017)日本経済新聞社
ちなみに、リニューアルしたプレゼントパッケージのシールの後ろに、日付を書き込む場所があります。
ご希望がありましたら、書き込む日付の指定とを備考欄にお書き添えください。
今回は4人からのプレゼントなので、それぞれ名前を書き込みました。
お次は私からの贈る本。
チェルシーセレクト『Close Your Ears/耳をとじて』杉本さなえ
杉本さなえによる墨色と朱色の2色で描かれた静かで優しい、作品集。 2016年、尾道の「本と音楽 紙片」で開催された個展「耳をとじて」をきっかけに制作されたもので、表紙の箔押しや、漉き紙の耳のような加工(耳綴じ)が施された小口など、ひとつひとつ手作業で丁寧に仕立てられた造本も美しい1冊。装丁はサイトヲヒデユキ、製本は美篶堂が手がけています。
ずっとずっと手元に置いておきたい作品集です。
ノストスで「最近欲しいと思った本はどれ?」という会話を日常的にしているため、最近話題に上がっていた『イヌイットの壁掛け』と実は直前まで迷っていました。なっちゃんが、この本を発行している高円寺の「えほんやるすばんばんするかいしゃ」さんに行っていたのを思い出してこちらをにしました。迷うのもまた、楽し。
『Close Your Ears/耳をとじて』杉本さなえ(2019)えほんやるすばんばんするかいしゃ
最後は小見ちゃんからなっちゃんへ、プレゼント授与。
小見セレクト『高山なおみの料理の本』 × POSTALCO notebook
小見の選書ポイント『なつきさんがよく自分だけのオリジナルレシピノートをつくりたいと言っていたので、ポスタルコのノートをプレゼントしました。カラーは、明るくて優しいなつきさんにぴったりのLight Blueに。 そして、晩ごはんのメニューに迷ったら「高山なおみの料理の本」を見てテンション上げてね、という気持ちで料理本をセットにしました。』
素材の味をいかした高山さんの本は肩肘をはること無く作り続けられるレシピでいっぱい。毎日のごはんが本当に楽しみになること、うけあい。
『高山なおみの料理の本』(2003)メディアファクトリー × POSTALCO notebook
以上、4人からの贈り物でした。 まさかこんなにも喜んでもらえるとは選んだスタッフみんなも予想しておらず、ここ数ヶ月の中で1番笑った幸福な時間でした。毎年、誕生日の日にはお花と一緒に撮影する場所で、今年は本を片手に記念撮影。あんまりの喜びっぷりに、ついうっかり毎月でもあげたいと思ってしまいました。
自分のために選ぶのとはまた違った、本を探す体験。包みを開けた時の顔を思い浮かべながら、本を探すのは、いつもとは全然違った景色で良いものでした。
いつもの感謝を伝えるために、本を贈ってみませんか。
誰かを思って選ぶ時間はきっと、あたたかく届くと思います。
ノストスがその気持ちを伝えるお手伝いができたら幸いです。お気軽にご相談ください。