Giorgio Morandi | Maria Cristina Bandera Viani ほか
イタリアの画家ジョルジョ・モランディの作品集。2012年にスイスで開催された展覧会に合わせて刊行されたもので、油彩、水彩、ドローイング、版画など多彩な作品を収録している。瓶や箱といった最小限のモチーフを組み合わせ、静物画というジャンルの中に独自の静けさと緊張感を生み出したモランディ。その柔らかな色調と簡素な構図は、日常の物のかたちから空間の奥行きや“見ること”の本質を探るものでもある。本書では静物のほか、風景や花の作品、初期の自画像も紹介し、シンプルな題材から豊かな世界を引き出した画家の表現を様々な角度から辿っている。
Paul Klee: The Angels
20世紀を代表する画家パウル・クレーが1910年から1940年にかけて描いた「天使」シリーズに焦点を当てた作品集。2012〜2013年の巡回展にあわせて刊行されたもの。忘れっぽく、泣き、悩み、時にユーモラスでもある天使たちは超越的存在でありながら、人間的な弱さや揺らぎを抱えた姿で描かれている。晩年の約80点を中心に収録し、死への恐れや病による身体の脆さとともに、クレー特有のユーモアや軽やかさがにじむ。
花椿ト仲條 | 仲條正義
アートディレクター・仲條正義が40年にわたり手がけてきた資生堂の企業文化誌『花椿』を総覧する資料集。1950年代から2000年代初頭まで、12カ月刊480冊に及ぶ膨大な誌面を編纂し、その造本・タイポグラフィ・レイアウトから仲條のデザイン哲学を読み解くことができる。広告やグラフィックの枠を超えて、企業文化としての美意識やセンスを社会へ浸透させた『花椿』の軌跡は、日本の編集デザイン史における重要な到達点を示している。
Ink Music: The Lyrics of Chris Mosdell
Y.M.O.やエリック・クラプトン、サラ・ブライトマンなど、国内外数多くのアーティストの楽曲の作詞を手がけてきたイギリス出身の作詞家、クリス・モズデルの歌詞集。 Y.M.O.の『ソリッド・ステート・サバイバー』『ビハインド・ザ・マスク』『ナイス・エイジ』、シーナ&ザ・ロケッツの『スティフ・リップス』『ラジオ・ジャンク』、イミテーションの『ドゥ・ザ・ウルフ』『マッスル・アンド・ヒート』など、モズデルが手がけた歌詞の数々を収録。
Photographic Objects
写真家、トーマス・ルフの作品と彼に続く若い世代のアーティストたちの作品との重要な概念的つながりを体系的にたどる作品集。「写真の本質」をめぐる議論を背景に、写真が他のすべてのメディアと何によって異なるのかを明らかにする新たな視点を提示する。トーマス・ルフをはじめ、ウェイド・ガイトン、セス・プライス、ケリー・ウォーカー、スピロス・ハジジャンノスの作品を豊富な図版で紹介し、現代写真の実践と理論を結びつける概念的枠組みを提供。写真表現の可能性と現代美術の最前線を理解する上で不可欠な資料となっている。
Herman Miller: A Way of Living | Amy Auscherman、Sam Grawe、Leon Ransmeier
アメリカン・モダンデザインを代表する家具メーカー、ハーマン・ミラー社の軌跡をたどる大判資料集。旧装版。社内アーカイブから選ばれた2000点以上の写真を収録し、革新的な歴史を10のチャプターに分けて包括的に紹介している。イームズ夫妻やジョージ・ネルソンらデザイナーの仕事をはじめ、オフィス家具の進化や企業理念の展開まで、20世紀デザイン史に刻まれた同社の存在を多角的に捉える構成となっている。英語表記。
Knoll Design | Eric Larrabee, Massimo Vignelli
アメリカのインテリアデザインカンパニー「Knoll(ノル)」の製品をまとめた作品集。ミース・ファン・デル・ローエ、エーロ・サーリネン、ハリー・ベルトイアら著名デザイナーと共同開発した家具をはじめ、広告デザインや企業のビジュアル展開を多数のカラー図版で紹介する。モダンデザイン史におけるKnollの役割と美学を辿ることができる内容。英語表記。
6:30 am | Robert Weingarten
ニューヨーク出身の写真家ロバート・ワインガーテンが、マリブの自宅からサンタモニカ湾を毎朝同じ時刻「6時30分」に撮影したシリーズ。1年以上にわたり、同一の視点と構図で捉え続けることで、空や海の色、光の濃淡、対岸の景観が刻々と変わる様子を丁寧に記録したもの。水彩画のように淡くにじむ色調は、自然の表情と時間の移ろいを静かに写し出し、固定された視点から見える世界がいかに豊かで多様かを雄弁に語っている。
Ballet | George Platt Lynes
アメリカの写真家、ジョージ・プラット・ラインスの大判写真集。1930〜50年代のニューヨーク・シティ・バレエをはじめとするバレエ団やダンサーたちを被写体に、繊細かつ躍動感あふれるモノクロ写真を収録。光と影のコントラスト、身体のラインや衣装の質感、舞台の空気感までが精巧に捉えられ、単なる記録にとどまらず、写真芸術としても豊かな表現世界を味わうことができる。
Freedom From The Known | Wolfgang Tillmans
2006年にニューヨークのP.S.1コンテンポラリー・アート・センターでの大規模個展に合わせて刊行された、ヴォルフガング・ティルマンスの抽象写真に焦点を当てた初の作品集。ティルマンスの具象的・表象的作品の奥に潜んでいた抽象性に光を当て、その独自の視覚言語を新たな視点から捉え直す試みとなっている。収録された25点のうち24点は本プロジェクトのために新たに制作されたもので、多くはネガを用いず、光を直接印画紙に作用させて生み出された「カメラレス」写真によって構成されている。
フランス国立ケ・ブランリ美術館所蔵 マスク展
2015年に東京都庭園美術館で開催された展覧会の図録。フランス国立ケ・ブランリ美術館が所蔵するアフリカ、アジア、オセアニア、アメリカのマスクを紹介したもので、それぞれの地域の文化や信仰、自然観と結びついた多彩な仮面表現を伝えている。儀礼や祭祀、物語の演者としての役割を担うマスクの造形性と精神性を豊富な図版とともに示し、文化の多様性を読み解く。
Honey Hunters of Nepal | Eric Valli
フランスの写真家・映画監督エリック・ヴァリによる写真集。ヒマラヤの断崖をよじ登り、巨大なヒマラヤオオミツバチから蜜を採取する「ハニーハンター」たちの姿を記録したドキュメンタリー。命綱ひとつで崖に挑む採蜜の儀礼や、山岳民族の暮らしを迫力ある写真で捉え、過酷で神秘的な営みに迫っている。
Wespi de Meuron Romeo | Deutscher Architektur Verlag
スイスの建築家マルクス・ヴェスピ、ジェローム・ド・メウロン、ルカ・ロメオの3名による建築作品をまとめた資料集。拠点とするスイス・ティチーノ州カヴィアーノの伝統建築から着想を得ながら、土地の文脈に寄り添う住空間・仕事空間を生み出してきた彼らのプロジェクトとコンペ案を紹介する。カラー・モノクロ写真、図面、解説を通して、素材へのこだわりや時代に左右されない造形感覚を読み解くことができる一冊。
氷河日記、グレイシャーベイ | 石塚元太良
写真家・石塚元太良がアラスカの氷河地帯を旅しながら撮影したフォトエッセイ。氷河や氷山、海との境界域が見せる静謐で力強い風景を写し取り、そこに至る過程の思索や記録を織り交ぜている。単なる風景の記録ではなく、流動し続ける自然の生成と消失、人間の身体感覚や環境との関係性が浮かび上がる構成。極地の非日常的な光景を通して、自然と向き合う視点を深く考えさせる一冊。
ル・コルビュジエ展 | セゾン美術館 ほか
1996年から1997年にかけて開催された「ル・コルビュジエ展」の公式図録。建築のデッサンや写真に加え、家具のプロダクトデザイン、画家としてのペインティング作品まで、多彩な創作活動を網羅的に紹介。近代建築の巨匠としての姿だけでなく、多分野にわたる表現者としての側面も伝える内容となっている。
The Art of Getting Over: Graffiti at the Millennium | Stephen Powers
グラフィティの黎明期から現在の圧倒的な広がりに至るまでの影響を検証する。アメリカ出身のグラフィティ・アーティストであり、「Go Magazine」の編集長など多岐にわたる分野で活躍するスティーブン・パワーズによって執筆されており、グラフィティの一般的な歴史に加え、草創期のアーティストや現在活躍する作家たちへの詳細なインタビュー、過去30年間の最重要作品のフルカラー図版を収録。英語表記。
Ed Fella and Geoff McFetridge: Two Lines Align
アメリカのアーティスト/デザイナー、エド・フェラとジェフ・マクフェトリッジの展覧会に合わせて刊行されたカタログ。手描きの図案やタイポグラフィ、広告と個人制作のあいだを自在に行き来する2人の仕事を豊富な図版で紹介する。プレ・コンピューター時代の表現を貫くフェラと、パーソナルなイメージを起点に独自のスタイルを築いたマクフェトリッジの軌跡を、両者をめぐる論考とともに読み解く。
Abstract Reality | デニス・ホッパー
俳優・映画監督として知られるデニス・ホッパーの、もう一つの顔である写真表現に焦点を当てた作品集。京都や大阪、ヴェニス、ロンドンなど、世界各地の街角で37年にわたり撮影した落書きや張り紙、ペイント跡、オブジェなどを収録している。観光名所ではなく路上の断片に目を向け、それらを抽象画のように捉える視点が特徴。俳優となる以前から写真を自身の表現手段と考えていたホッパーの、直感的で鋭いまなざしを感じ取ることができる。
Paul Klee: Painting Music
スイスの画家パウル・クレーが、バウハウス期に育んだ「音楽と絵画」の関係に迫る作品集。優れたヴァイオリニストでもあった彼は、リズムや構造といった音楽的思考を抽象絵画へと応用し、独自の記号やシンボルを組み合わせながらイメージを“作曲”するように発展させていった。本書は、多数のカラー図版と日記の抜粋を通して、その方法論と創作の核心を読み解くもの。クレーが抽象表現へと向かう過程を多角的に示す、バウハウス期を理解する上でも重要な資料となっている。
HOUSE | 尾形一郎、尾形優
写真家・尾形一郎と建築家・尾形優が、20年かけて世界6か所の「家」を撮影した作品集。ナミビアの砂に飲み込まれつつある元鉱山町の住宅や、ギリシャの島に残る白い鳩小屋など、建築の造形とそこに刻まれた人の痕跡を静かに捉えている。砂漠、島、日本の遊郭跡など、異なる土地に残る家々を通して、住む者の記憶や欲望、時間の流れまでも浮かび上がらせる一冊。
10 Years of Dolce & Gabbana
イタリアを代表するブランド、ドルチェ&ガッバーナの創業10周年を記念して刊行された写真集。アーヴィング・ペン、ブルース・ウェーバー、スティーブン・マイゼルら一流フォトグラファーによる159点の写真を収録し、ブランド初期の世界観と美学を鮮やかに映し出す。デザイナーの友人や関係者によるコメントも添えられ、10年間の歩みを伝える一冊。
The Art of Vogue Photographic Covers | Harmony Books
1932年から1985年にかけて刊行された各国版『VOGUE』の表紙を収録した資料集。フランス、アメリカ、イギリスなど、国や時代による編集方針や美意識の違いが色濃く反映され、ファッション写真の変遷を俯瞰できる内容となっている。華やかなヴィジュアルは単なる雑誌の装いを超えて、アートとしての雑誌カバーの魅力を提示し、モード史やデザイン史を読み解く上でも重要な資料となっている。英語表記。
MACHOS | 吉田カツ
昭和から平成にかけて活躍したイラストレーター、吉田カツの作品集。1990年から1991年に制作された絵画を中心に収録しており、ポートレート、植物、滝、静物など、多彩なモチーフが登場する。力強い筆致と大胆な構図、そして吉田カツ独自の色彩感覚が際立つ作品が多数掲載されており、創作の厚みと幅を感じられる貴重な作品集。アートディレクターは浅葉克己。見開きに署名あり。
Where is Silas?
イギリスのファッションブランド「SILAS」の名の由来となった架空の人物、Silas Holms をめぐる世界観をまとめたアートブック。ファーガス・パーセル、ジェームズ・ジャーヴィス、ウィル・スウィーニーらロンドンのクリエイターが、写真、イラスト、3D作品、テキストなど多様な表現で参加している。ブランドの広告物やドール制作にも通じる、遊び心とストリート感覚に満ちたビジュアルを楽しめる一冊。解説冊子付属。
川島小鳥写真集 明星
写真家・川島小鳥が30回以上にわたり訪れた台湾を舞台に撮影した作品集。南国の果物や街を行き交う人々、風景など、あらゆる被写体が鮮やかな輝きを放つように切り取られている。縦写真は縦に、横写真は横にそのまま綴じるというユニークな造本を採用し、リズム感のあるページ構成が特徴。旅の記憶と台湾の空気感が重なり合い、明るく瑞々しい世界を存分に伝える内容となっている。
菅井汲展
2000年に東京都現代美術館と兵庫県立近代美術館で開催された展覧会の図録。1952年に渡仏し、常に新たな絵画世界を展開し続けたことで国際的に高く評価された画家、菅井汲(すがい くみ)。本書では渡仏以前の作品から晩年にいたるまで、代表的な作品を中心に、油彩、立体、版画、資料を通して菅井の創造の全貌をたどる一冊。
原田裕規 ホーム・ポート | 広島市現代美術館
2024年から2025年にかけて広島市現代美術館で開催された特別展の図録。多様なメディアを用いて、社会の中で広く認知されている視覚文化を題材にしたプロジェクトで知られるアーティスト、原田裕規。本書は代表的な映像、インスタレーション、パフォーマンス作品から新展開の平面作品、初期の絵画などを展示風景とともに紹介。原田へのインタビューの記事のほか、論考のテキストも併せて収録。
ラルティーグ写真集 時のまなざし
20世紀初頭のフランスの写真家、ジャック=アンリ・ラルティーグの作品集。1995年から1996年にかけてBunkamura ザ・ミュージアム等で開催された生誕100周年記念展に際して発行されたもの。黎明期の飛行機や自動車レース、海水浴場でくつろぐ人々、流行のドレスをまとった貴婦人など、日常のひとコマを切り取った作品群を収録。
Comme des Garcons Six no.3
1988年から1991年にかけてコム・デ・ギャルソンが関係者向けに制作したビジュアルブック『Six』第3号。川久保玲のファッション哲学を、さまざまなアーティストの作品を通して視覚的に提示している。特集ではピエール・ブーシェによる作品のほか、アズディン・アライア、フランチェスコ・クレメンテ、ピーター・リンドバーグらが参加し、アートとファッションが交
Comme des Garcons Six no.6
1988年から1991年にかけてコム・デ・ギャルソンが関係者向けに制作したビジュアルブック『Six』第6号。川久保玲のファッション哲学を、さまざまなアーティストの作品を通じて視覚的に提示している。特集ではニコ・ピロスマニの作品に加え、サルバドール・ダリ、ブライアン・グリフィン、ディーノ・ブッツァーティ、ピーター・リンドバーグ、篠山紀信、ジョン・マーフィーらによる写真やアートを収録し、アートとファッションが交錯する時代を記録した貴重な誌面構成。アートディレクションは井上嗣也が手がけている。
Comme des Garcons Six no.8
1988年から1991年にかけてコム・デ・ギャルソンが関係者向けに制作したビジュアルブック『Six』第8号。川久保玲のファッション哲学を、さまざまなアーティストの作品を通して視覚的に提示している。デニス・ホッパーによるアンディ・ウォーホルのポートレートのほか、ピーター・リンドバーグ、ユルゲン・テラーらによるコム・デ・ギャルソンのルックを掲載。ファッションフォトと美術表現が交錯する誌面構成。アートディレクションは井上嗣也が手がけている。
北村道子作品集 Tribe
スタイリスト・衣裳デザイナーとして活動する北村道子の約20年の仕事をまとめた作品集。藤井保による写真とともに、衣裳やファッションの枠を超えた表現を紹介。民族性、共同体、歴史、日本人のアイデンティティといったテーマを背景に、生々しくも力強い造形が展開され、単なるスタイリングを超えた文化的・身体的な問いを投げかけている。時空を超えて響くようなイメージの連なりは、衣裳表現の可能性を再考させる貴重なドキュメントとなっている。装丁は葛西薫。
Wolfgang Tillmans | Julie Ault ほか
ドイツ出身の写真家ヴォルフガング・ティルマンスのアメリカ初回顧展にあわせて刊行された作品集。90年代のカルチャー誌での活動から、日常の細部をすくい取るスナップ、抽象的な光のイメージ、構造物をとらえたシリーズまで、長いキャリアの中から選ばれた代表的な図版を収めている。さらに、ポートレートの方法論、雑誌メディアとの関わり、展示におけるインスタレーションの工夫などを研究者が解説し、その思考と実践の広がりを読み解いている。
POOL 増補改訂版 | 平野太呂
写真家・平野太呂による作品集『POOL』増補改訂版。舞台はアメリカ西海岸、使われなくなりスケーターたちの遊び場となったプールである。優美なカーブを見せるもの、草木に覆われ荒廃したもの、グラフィティに彩られたものなど、多様 […]
イヌイットの壁かけ | 岩崎昌子
岩崎昌子による、北極圏の先住民族イヌイットの壁掛けを紹介する一冊。厳しい自然の中で、イヌイットの女性たちが防寒着の端布を生かして手作りした作品を多数収録。動物や自然、日々の暮らしが色とりどりに表現され、素朴であたたかな造形の魅力が伝わってくる。針仕事を通して受け継がれてきた感性や、暮らしの記録としての側面も感じられる内容となっており、生活と表現が重なり合う豊かな世界を見せている。
David Casavant Archive
ニューヨークのスタイリスト、デイビッド・カサヴァントが10代から集めてきた服を軸に構成された写真集。ヘルムート・ラングやラフ・シモンズなど、1990〜2000年代の希少なコンセプチュアルなメンズウェアが中心で、コレクションの厚みと時代性が伝わる内容。このアーカイブは単なる収集ではなく、若い世代のカルチャーや姿勢へのカサヴァント独自の視点を写す場でもある。ザヴィエル・チャやライアン・トレカーティンら多様なアーティストとのコラボレーションも収録され、服を通して時代の空気や創造性を読み解くことができる一冊。
Marchenstuberl | Juergen Teller
ドイツ出身の写真家、ユルゲン・テラーによる作品集。テラーが自身と家族のルーツを見つめ直したシリーズ「メルヒェンシュテューバール」を中心に構成されている。テラーは両親の家の地下室にある、家族内で“おとぎ話の小部屋”として親しまれてきたウェットバーを撮影し、個人的な記憶や感情が交錯する空間を独自の視点で写し出した。そのほか、テラー自身やイヴ・サン=ローラン、ケイト・モスらのポートレイトなど、これまでの多彩な作品群からもセレクションが加えられており、テラーの表現の幅と軌跡を総覧できる内容となっている。
Wilder Mann 欧州の獣人 仮装する原始の名残 | シャルル・フレジェ
人類学的な視点から撮影するポートレートで知られるフランスの写真家、シャルル・フレジェの作品集。ヨーロッパ各地に古くから伝わる祭礼を取材し、仮面や角を付けたり、獣毛を着込んだり、鳴り物を提げたりと、奇妙かつ独創的な生き物に扮する人々のポートレートを撮影している。地域ごとに異なる形態を持ちながらも、自然信仰や共同体の記憶と深く結びついた儀礼的な姿は、現代の写真表現を通して新たな意味を帯びて立ち現れる。
Empire | Charles Freger
フランスの写真家、シャルル・フレジェによるポートレートシリーズ「Empire」をまとめた作品集。2004〜2008年にかけてヨーロッパ各地を巡り、共和国軍や王室警備隊など各国のエリート部隊に所属する人々を撮影したもの。行進や儀礼を担う彼らは、歴史を背負う華やかで厳格なユニフォームをまとい、その服飾文化は国家や地域のアイデンティティを象徴している。フレジェはこれらの隊員たちを現代的なポートレートとして撮影し、儀礼や権威の在り方を可視化している。
Campo di Marte | Nathalie du Pasquier
イタリアのポストモダンを代表するデザイン集団メンフィスのメンバーとして知られるナタリー・デュ・パスキエの作品集。1980年代から2020年までに制作した絵画を撮影し、切り抜いて再構築する手法によって生まれた作品群を収録。具象と抽象、平面と立体の境界を揺さぶる視覚的実験が展開され、40年にわたる創作の変遷と探求を映し出している。
高松次郎ミステリーズ
2014〜2015年に東京国立近代美術館で開催された展覧会の公式図録。コンセプチュアル・アートの先駆として知られる高松次郎の制作を、約50点のオブジェ、彫刻、絵画と、150点に及ぶドローイングによって多角的に検証する。高松が1960年代から90年代に展開した多様な表現を時期ごとに整理し、その背後に潜む思考の連続性を読み解く構成。見かけも素材も大きく異なる作品群を横断しながら、形の反復や知覚の揺らぎといった、高松が一貫して探究したテーマを浮かび上がらせる内容であり、国際的に再評価が進む制作の全体像に迫る一冊。
川勝正幸の本棚
編集者・ライターとして知られる故川勝正幸の膨大な書籍コレクションを記録した一冊。彼が生前に蒐集した約1200冊の本や雑誌を一覧形式で収めている。単なる書誌リストにとどまらず、川勝のカルチャーに対する鋭いアンテナや独自の趣味嗜好が浮かび上がり、当時の音楽、映画、アートなどサブカルチャーシーンの息づかいを伝えるアーカイブとしても価値が高い。本棚という形で彼の世界観を再現することで、ポップ文化への愛と知的好奇心、そして編集者としての感性を追体験できる構成となっている。コレクターやサブカルチャー愛好者にとって、時代の気分を体感できる貴重な資料である。