Red Noise | Marco Zanta
イタリアの写真家マルコ・ザンタが、1980年代から継続して撮影してきた工業地帯の風景をまとめた作品集。巨大な工場建築や作業レーン、複雑な回路や足場、廃材の堆積など、現代の産業空間を象徴するディテールを丹念に捉えている。記録性と抽象性のあいだを行き来する構成によって、変わりゆく労働環境と、その背景にある社会の緊張や時間の痕跡を静かに描写。産業と人間の関係性を問いかけている。
New Monuments | Shane Lavalette
アメリカの写真家シェーン・ラヴァレットによる作品集。スウェーデンの出版社 Libraryman が手がける季刊プロジェクト〈Seasons Series〉第7弾として刊行され、500部限定で制作された希少本。収録されているのは、ラヴァレットが2015年にローマのアメリカン・アカデミーに滞在した際に撮影した作品群。季節の移ろいとともに変化する光や空気感が、静かな佇まいの風景や被写体に沁み込み、時間の層を穏やかに映し出している。
Wet Dreams: Watercolors | Marlene Dumas
南アフリカ出身でアムステルダムを拠点に活動する画家マルレーネ・デュマスによる水彩作品集。雑誌写真などをもとにイメージを切り取り、ぼかしや歪みを加えることで独自の造形を展開している。女性像のステレオタイプ、セクシュアリティやポルノグラフィー、罪と暴力、生と死といった主題に迫り、作品に通底するテーマを浮かび上がらせる構成。娘ヘレナや画家ベルト・ブーガールトと共作した作品も多数収録している。
Tantra Song: Tantric Painting from Rajasthan | Franck Andre Jamme
フランスの詩人フランク・アンドレ・ジャムが収集した、インド・ラージャスターン州のタントラ絵画を紹介する作品集。寺院で匿名の修行者たちが描いた幾何学的で鮮やかな抽象画を多数収録し、渦や矢印、逆三角形といった象徴的なモチーフが精神性を帯びた独自の世界を形づくっている。一般的に知られる具象的なタントラ美術とは異なり、意識を高めるための視覚言語として発展した稀少な表現に触れられる一冊。
歩 芹沢銈介の創作と蒐集
型絵染の人間国宝として知られる芹沢銈介の創作と蒐集活動を紹介する作品集。前半には掛軸や屏風、着物、さらにペインティング作品まで幅広く収録し、多様な造形世界を展望できる構成となっている。後半では芹沢が世界各国から蒐集した民芸品コレクションを掲載。日常生活に息づく道具や装飾品が並び、芹沢の審美眼と蒐集の軌跡を伝える。創作と蒐集、二つの営みを通して浮かび上がるのは、生活と美を結びつける思想であり、民藝運動との共鳴を照らし出している。
TONERICO:INC. 作品集 1巻
2002年に米谷ひろし、君塚賢、増子由美の3人によって設立されたデザイン事務所トネリコの作品集。建築、インテリア、家具、プロダクトまで幅広い分野で活動し、コンセプチュアルな作品を発表してきた同事務所の2002年から2012年までの仕事を収録している。巻末に平面図や解説テキストをまとめ、それ以外は写真のみで構成されたシンプルな編集で、ミニマルな造本デザインが特徴。
CHANEL Presents la Galerie du 19M Tokyo シャネル 未知なるクリエイション その先へ
2025年に東京シティビュー&森アーツセンターギャラリーで開催された展覧会の公式図録。パリの職人集団拠点「le19M」を軸に、日本とフランスのクリエイションが交差する内容を3部構成でまとめている。「le Festival」では田根剛率いるATTAが手がけたインスタレーションを通して le19M の卓越した職人技を紹介。「Beyond Our Horizons」では両国の作家約30名の作品が並び、文化交流から生まれる新たな視点を示す。「Lesage 刺繍とテキスタイル、100年の物語」では、刺繍とツイードの名門ルサージュの歴史的な作品を公開。伝統と革新が交わるシャネルの創造の広がりを凝縮した一冊。
世界の絣 その技術の起源と伝播
インドネシアを中心に東南アジアや南アジアなどで伝統的に織られてきた絣(イカット)の技術を体系的に紹介する資料集。世界の絣を7つの地域に分類し、それぞれの歴史的背景や文化的文脈を解説している。伝承技術としての織りの方法、模様に込められた象徴性、地域ごとに異なる美意識。現代アートとの接点にも触れ、絣の可能性を広く示している。460点を超える豊富な図版を収録。
Two Mountains: Ashio, Kumano | Julien Guinand
フランスの写真家ジュリアン・ギナンが日本の二つの山岳地帯、紀伊山地と足尾山地を撮影した作品集。気候変動によって変容する地形や、環境破壊の痕跡、過去の災害の記憶を静かに映し出している。風景の細部を丁寧に追いながら、いま起きている変化と未来への警鐘を写真を通して投げかける。
ポール・ランド デザイナーの芸術
アメリカを代表するグラフィックデザイナー、ポール・ランドによる名著『Paul Rand: A Designer’s Art』の復刻日本語版。1930年代から1980年代にかけての代表的なグラフィックデザインを幅広く収録し、ロゴ、広告、出版物など多様な仕事を網羅している。ランドの著作から引用されたテキストとともに構成され、理論と実践の両面からデザイン観を伝えている。
Things as They Are: Photojournalism in Context Since 1955 | Mary Panzer ほか
1955年から現在までの報道写真の歴史をたどる資料集。『LIFE』『TIME』『Stern』『Paris Match』など世界の主要誌に掲載された120本のフォトエッセイを、当時の紙面レイアウトそのままに再録している。紛争、社会運動、災害、スポーツといった歴史の瞬間が、400ページ超の図版とともに体系的に紹介され、写真表現・メディア技術・視覚文化の変遷を読み解く。
Estudio Elemental Del Levante | リカルド・カセス
スペインの写真家リカルド・カセスによる実験的な作品集。各ページでは写真の一部が切り抜かれ、その隙間から別のイメージが立ち現れる仕掛けが施されている。ページをめくるごとに重なり合う像は、単一の視覚体験を超えて複雑なリズムを生み出し、表紙に象徴される錯乱した楽譜のような混沌の構造をあらわにする。写真表現と製本技法の交差から、新たな知覚の可能性を探る一冊。
部屋のみる夢 ボナールからティルマンス、現代の作家まで
2023年にポーラ美術館で開催された展示の公式カタログ。19世紀から現代まで「部屋」を主題にした表現に焦点を当て、ハマスホイ、ボナール、マティス、草間彌生、ティルマンスほかの作品を収録。パンデミック以降の生活で改めて意識された室内空間を、絵画・写真・インスタレーションなど多彩な表現から読み解く構成。歴史的名作と現代作家の新作が響き合う一冊。
真鍋博回顧展 イマジネーションの散歩道
2001年に愛媛県美術館で開催された回顧展の公式図録。SF的な空想世界から身近な風景まで、独自の視点で描き出したイラストレーター・真鍋博の多彩な創作活動を総覧する。絵画、イラストレーション、立体、映像など4つの媒体ごとに紹介。ユーモラスで詩的な発想に満ちた作品の数々を豊富な図版と解説とともに収録し、その独創的な世界観と多彩な表現力を味わえる一冊。
【新刊書籍】言葉が立ち上がるまえに | 小林一毅
グラフィックデザイナー・小林一毅が、日常で目に留まった「形」をポストカードサイズに描き続けた591点をまとめた作品集。子どもと過ごす時間から生まれた「言葉になる前の感覚」への関心を手がかりに、視界に現れた瞬間の印象を手でなぞるように描きとめた線は、それぞれの形が持つ微細な揺らぎや質感を伝え、私たちが無意識に行っている“見る”という行為の奥にある感覚を静かに照らし出す。原寸に近いレイアウトで並ぶ形の連なりから、無意識の“見る”という行為に潜む感覚の揺らぎがそっと浮かび上がる。
【新刊書籍・先行販売】 小さなウインドウで見る | 小林一毅
グラフィックデザイナー、小林一毅の作品集。グラフィックデザイナー小林一毅が、日常の風景を「等幅の線」で描き続けた453枚のドローイングをまとめた作品集。紙芝居に触れたことをきっかけに始まった“線の採集”は、自身の子どもと過ごすなかで育まれたもの。何気ない景色の中から形の関係性を見つけ、夢中で描き続けた時間が静かに刻まれている。制作が自然に終わっていく過程も含め、日常から生まれる小さな発見のよろこびを伝えている。
Peter Saville Estate 1-127
ジョイ・ディビジョン『Unknown Pleasures』やニュー・オーダー「Blue Monday」など、音楽史に残るアートワークで知られるグラフィックデザイナー、ピーター・サヴィルの作品集。ポスター、レコードジャケット、写真作品、立体造形、ラベルの試作まで、多岐にわたる活動をアーカイブとして収録している。ファクトリー・レコードの共同創設者として築いた独自のヴィジュアル言語を軸に、ファッション、建築、インテリアなどの仕事も紹介。
Designed by Peter Saville
イギリスのグラフィックデザイナー、ピーター・サヴィルの作品集。ジョイ・ディヴィジョンやニュー・オーダーのレコードジャケットをはじめ、ファッションやアート、広告の分野にまで広がるサヴィルのデザインを豊富な図版とともに紹介している。音楽レーベル〈ファクトリー・レコード〉の共同設立者として知られ、時代の少し先を読む鋭い審美眼と独自のスタイルで、カルチャーの潮流を先導してきたサヴィル。批評家リック・ポイナーらによる論考やロングインタビューも収録し、その創作哲学とビジュアル表現の軌跡を明らかにしている。
メンフィス ミラノ・ニューデザインのすべて
1981年に結成されたデザイン集団メンフィスの活動を総覧する作品集。バルバラ・ラディーチェが、エットレ・ソットサスを中心に、ミケーレ・デ・ルッキ、アンドレア・ブランジらメンバーのプロダクト、家具、照明、テキスタイルなど多彩な成果をまとめた一冊。大胆な色彩とパターン、反規範的な造形を特徴とするメンフィスの思想と実践を、豊富な図版とテキストで紹介する。表紙はナタリー・ドゥ・パスキエが手がけている。
Memphis: Research, Experiences, Failures and Successes of New Design
1981年、エットレ・ソットサスを中心にイタリアで結成された国際的デザイングループ、メンフィスの写真資料集。家具、照明、オブジェ、インテリアにいたるまで、色彩や装飾、素材の組み合わせが極端に誇張されたプロトタイプやプロダクトが豊富な図版で紹介されている。近代デザインの合理性を笑い飛ばしながら、大胆な実験と失敗を重ねたその軌跡は、ポストモダンの象徴として伝説化された。グループ内部からの記録としても貴重な一冊。英語表記。
Do You Know What I Mean | Juergen Teller
ドイツの写真家ユルゲン・テラーの作品集。2006年にパリのカルティエ現代美術財団での展覧会にあわせて刊行されたもの。ポートレート、風景、ファッション写真など幅広いジャンルを横断し、私的な領域と公共性のあいだを行き来する独特のスタイルを紹介している。「Ed in Japan」シリーズでは、荒木経惟を撮影したカットをはじめ、旅館でくつろぐ家族や雪国の風景など、親密で柔らかな瞬間が登場。スーパーモデルや著名人を写すときも、自身や家族を撮るときも、日常に潜む詩情やユーモアをすくい上げる視線が一貫しており、テラーの多面的な表現を読み解く手がかりとなる一冊。
小さきもの、沈黙の中で 新装版 | 山本昌男
写真家・山本昌男の代表作を収めた『小さきもの、沈黙の中で』の新装版。2015年刊行の内容をもとに一部を改訂し、欧米でも高い評価を受けてきた作品群をあらためてまとめている。水面に揺れる光、草木のかすかな影、生の気配が潜む静かな風景など、身近なモチーフを通して、目に見えない時間や循環を手繰り寄せるような世界が広がる構成。ゼラチンシルバープリントならではの豊かな階調が丁寧に再現され、伝統的な暗室技法と精緻な印刷が作品の深い静けさを際立たせている。自然へのまなざしと精神性を重ね合わせながら、写真表現の可能性を探究してきた山本の姿勢が一貫して感じられる一冊。
Arita / Table of Contents: Studies in Japanese Porcelain | Anniina Koivu
1616年に有田で始まった日本の磁器製造技術。現代のデザイナー16名と日本の伝統的な10の窯元が、21世紀の日常生活に根ざした陶磁器コレクションを生み出すために、ユニークなコラボレーションを展開している様子が描かれている。500点以上の図版で工芸と地域を紹介し、古き良き時代と現代の巨匠を結びつける創造の可能性を明らかにしていく。
Anni Albers
20世紀を代表するテキスタイルデザイナー、アニ・アルバースの資料集。1999年に開催された生誕100年記念展にあわせて刊行されたもので、代表的な織物作品をはじめ、リトグラフやアクセサリーなど多様な制作物を収録している。豊富な図版とともに解説を掲載し、アルバースの活動を造形的・思想的の両面から振り返る構成。バウハウスからアメリカに至る彼女の歩みを通じて、モダンデザインにおけるテキスタイルの意義を明らかにしている。
London/Wales | Robert Frank
ロバート・フランクが1951〜53年にイギリスで撮影したストリートフォトを収めた一冊。ロンドンでは霧の光に満ちた街路を歩き、金融街のシルクハットの男たちや市井の人々の姿を追いかけた。続くウェールズでは炭鉱町に足を運び、煤にまみれて働く鉱夫たちの日常をカメラに収めている。富裕層と労働者階級という対照的な現実が並置されることで、格差や労働環境といった社会のひずみが静かに浮上する構成となっている。のちに『アメリカ人』へ到達する以前の、ロマン主義からより切実なリアリズムへと向かう転換期のまなざしが刻まれた作品集。
Walker Evans
アメリカの写真家ウォーカー・エヴァンスの作品集。2017年にポンピドゥー・センターで開催された展覧会にあわせて刊行されたもの。大恐慌時代の農村生活や人々のポートレートをはじめ、アフリカの伝統美術など多岐にわたる題材を収録している。420点に及ぶ図版と解説を通じて、記録性と芸術性を併せ持つエヴァンスの表現を再検証。20世紀写真史における重要な位置づけと、その独自の視覚的アプローチを浮かび上がらせている。
Listen to this Picture | Pierre Bailly
写真家、ピエール・バイィによる作品集。1990年代に活躍したスーパーモデルや俳優、ミュージシャンら12名が、お気に入りの音楽を聴く姿を捉えたポートレートを収録。カースティン・オーウェン、キム・ゴードン、ソフィア・コッポラ、ケイト・モスらが登場し、音楽を聴く瞬間の心の動きや新たな発見を映し出す。キム・ゴードンによる序文、彼女たちが聴いていた12曲を収録したCDも付属され、写真と音楽の両面から楽しめる内容となっている。
Life of a Photograph | Sam Abell
アメリカの写真家サム・エイベルが、40年以上にわたる撮影活動を振り返りながら選んだ作品を収めた一冊。ナショナル・ジオグラフィックでの撮影を中心に、未公開のプライベートワークまで幅広く紹介している。北極からアマゾン、日本、オーストラリアまで、多様な土地で切り取られた風景や人物は、ドキュメンタリーの精度と詩的な構成力が共存し、静けさの中に豊かな奥行きを感じさせるものばかり。ポートレート、海や空の情景、野生動物、車窓からのスナップ、都市の構造物など、テーマごとの編集によって、エイベルが世界をどのように観察し、写真へと結びつけてきたかが丁寧に示されている。
Earth, Wind and Fire | Piotr Uklanski
ポーランド系アメリカ人アーティスト、ピョートル・ウクランスキの幅広い制作を紹介する写真集。ポップカルチャーから美術史まで多層的な参照を交差させながら、挑発性と詩的な感覚を共存させる独自の表現を展開してきたウクランスキ。本書では、膨大なイメージアーカイブや写真シリーズ「Joy of Photography」、行為の記録、屋外彫刻のドキュメンテーションなど、多彩なプロジェクトを一望できる。時に社会的なテーマへ踏み込み、時に視覚の遊びを通してイメージの力を問いかけるそのアプローチは、一貫して図像の読み替えと再構成を試みるもの。アーティスト自身のデザインによる構成も含め、イメージとコンセプトの往還からウクランスキの思考を読み取る視点を与えている。
No Wave: Post-Punk, Underground, New York 1976-1980
1976年から1980年のニューヨーク・アンダーグラウンドにおけるアートとパンクの衝突を視覚的に記録したもの。ジェームス・チャンスやリディア・ランチ、グレン・ブランカらNo Waveの立役者に加え、デヴィッド・バーンやデビー・ハリー、ブライアン・イーノなどシーンに関わった著名人も掲載。当時ほとんど記録されなかったシーンを、未発表を含む150点の写真と数百時間におよぶ個人インタビューとともに収録。パンク・ロック、ニュー・ウェイヴ、実験音楽、70年代から80年代のアヴァンギャルド美術運動を詳細に紹介する。日本語解説冊子付属。
Wild Dayz: Photos by Beezer
1980年代半ばのブリストルで生まれた音楽集団「ザ・ワイルド・バンチ」の活動を記録した写真集。彼らは後にマッシヴ・アタックへと発展し、クラブ・ミュージックの歴史に大きな影響を与えた存在である。パンクやニューウェーブ、レゲエ、さらに新たに台頭したヒップホップが混じり合うシーンの熱気を、同時代を共有した地元出身の写真家Beezerが撮影。
ART VIVANT 5号 特集 アイリーン・グレイ
西武美術館(現セゾン現代美術館)が発行していた美術雑誌『アール・ヴィヴァン』第5号の限定カバー版。アイルランド出身の建築家・デザイナー、アイリーン・グレイ特集。「アイリーン・グレイへの手紙」、グレイとジャン・バドヴィッチによる対談「折衷主義から懐疑」、「海岸の家 1926-1929」などを収録。コルビュジエやバウハウスの強い影響から距離を取りつつ、形式主義へ傾きがちな現代建築とは異なる繊細な作法を提示した、その静かで稀有な建築観を紐解く。表紙デザインは田中一光・広村正章、本文構成は、戸田ツトム・松田行正によるもの。
Silex: MY WAY | Michael Mischler, Robert Klanten
スイスのデザイナー集団「silex」による作品集。週末ワークショップから生まれた、ユーモラスで少しダークな創造性を、「詩」から「悪夢」まで12のテーマで自由に表現する。多様な表現方法で描かれた作品群は。即興性を引き出し独自の表現へと昇華。予測不可能なアイデアが連なり、ページをめくるごとに新しい発見に満ちた一冊となっている
Gerhard Richter: Drawings 1999–2021
ドイツを代表する現代美術家ゲルハルト・リヒターの作品集。2021年にロンドンのヘイワード・ギャラリーで開催された展覧会にあわせて刊行されたもので、1999年から2021年に制作されたドローイングと水彩画を収録している。グラファイトによる繊細な線描から、鮮やかな色彩をまとった水彩、森を題材にした写真への加筆作品まで、近年の創作活動を網羅する全80点を紹介。多様な技法を横断するリヒターの探究を明らかにしている。
ゲルハルト・リヒター 2005 | WAKO WORKS OF ART
2005年に東京にあるWAKO WORKS OF ARTで開催された展覧会に際して刊行されたカタログ。ドイツを代表する現代アーティスト、ゲルハルト・リヒターによる1999年から2005年にかけて制作された抽象絵画を中心に掲載。
Dominique Perrault Architect
フランスを代表する建築家ドミニク・ペローの仕事を総覧する作品集。国立図書館(BnF)をはじめとする30の建築・プロジェクトを、スケッチ、設計図、模型写真、竣工写真など多様な図版とともに収録している。装飾を抑えた透明性のある造形と、空間を大きく扱うスケール感が特徴で、建築と自然、都市環境との調和を重視する姿勢が随所に見ることができる。素材や光の扱い方、敷地との関係性を読み解くことで、ペローが追求してきた建築理念の核に触れられる構成となっている。
江戸庶民の染織 | 浦野理一
染織家・浦野理一による江戸の染織資料集。庶民がどのように布をつくり、日常に取り入れていたのかを、豊富な図版と解説を通して紹介している。前半は更紗、友禅、唐草、縞・格子、絣といった意匠ごとに分類したカラー図版を収録し、後半では染織の背景や技法について丁寧に解説。本体表紙には、天保10年の縞見本を基に当時の色と布味を再現した布を使用し、資料としての精緻さと装幀の魅力を兼ね備えている。
ディック・ブルーナの世界展
1998年に開催された「ディック・ブルーナの世界展」の図録。オランダを代表する画家・ディック・ブルーナによる鉛筆画を多数紹介。ミッフィーやボリスなど、氏が生み出した人気キャラクターたちを通して、繊細で心のこめられた線の世界が間近に感じられる。
コップとて | 大沼ショージ
写真家・大沼ショージが、ガラス作家・石川昌浩の手がけるコップを撮影した作品集。透明な器に差し込む光や、わずかなゆらぎを含んだ表情を丁寧にとらえ、写真を介して工芸の魅力が静かに伝わる内容となっている。装丁にはロウ引きの紙を使った和綴じを採用し、袋綴じの部分に付属の広告シートを差し込むことで、印刷物としての仕掛けを楽しめる構成が特徴。器そのものの存在感と、写真・印刷・製本の工夫が重なり合い、日常的なコップに対するまなざしを少し変えてくれるような本となっている。
Weegee
アメリカの写真家ウィージーが1936〜1956年のニューヨークで撮影した作品を収めたモノグラフ。夜の街に潜み、事件や事故の現場へ誰よりも早く駆けつけたウィージーは、強烈なフラッシュを用いて都市の闇と熱気を即座に写し取り、タブロイド紙を通じて当時の人々へ生々しい光景を届けた。猟奇的な事件から日常の混乱まで、その写真は衝撃と魅惑の両方を帯び、娯楽性と記録性が交錯する独特の表現を築き上げている。本書では、その代表作を中心に、犯罪写真の枠を超えて評価されてきたウィージーの視点と時代背景が読み取れ、フォトジャーナリズムの歴史に刻まれた重要な仕事を包括的に収録。
日本の写真家 28 長野重一
写真家、長野重一による写真集。1949年から1998年にかけて、東京や長崎など日本各地、ドイツ、香港などで撮影された作品を収録。難民住宅の子どもたち、原爆ドームの街、紙芝居屋と子ども、アメリカ兵やディスコ、住宅街など、戦後から平成にかけての人々と時代の空気、近代化していく社会の様子をフォトジャーナリズムとして捉えた貴重な記録。
画家 西田俊英 写真家 荒木則行 気配の風景
2021年に今井美術館で開催される予定であった展示の際に準備された図録。2009年に東京で出会い、西国山地をはじめ西日本の風景を幾度も共に取材してきた日本画家・西田俊英と写真家・荒木則行による作品集。「気配」をテーマに選ばれた70点を年代順に掲載。竜神が駆け巡る湖や幻想的な夏の夕暮れの池など、日本画の繊細な筆致と写真の光と影が響き合い、互いに呼応する世界を堪能できる一冊。
Frederick Hammersley: To Paint Without Thinking
幾何学的な抽象絵画で知られるアメリカの画家フレデリック・ハマーズリーの制作過程に光を当てた作品集。端正なフォルムと色彩で構成された作品群は直感的に生み出されたようにも見えるが、実際には綿密な検討と段階的な手順を経て構築されていた。本書ではスケッチブックやノート、色見本などの資料を豊富に掲載し、ハマーズリーがどのように構図や配色を導き出していったのか、その思考のプロセスを多角的に示している。制作メモの几帳面さや、反復によって形を探る姿勢からは、知的な探求心と規則性への強い関心が読み取れる構成。
In the Road | 三好耕三
日本の写真家三好耕三による作品集。大判カメラを用いた精緻なモノクロ表現で知られる作家が、1993年から1996年にかけてアメリカの伝説的な道「ルート66」を旅しながら撮影した写真を収録している。モーテルやガソリンスタンド、廃れゆく看板や道端の風景など、ハイウェイに沿って展開する日常の断片を静謐な視線でとらえている点が特徴。ロードトリップの記録であると同時に、アメリカの文化や風景に刻まれた時間の層を浮かび上がらせ、写真による旅のドキュメントと風景史の一端を示す内容となっている。