KAZARI 日本美の情熱
2008年にサントリー美術館ほか各地で開催された展覧会の図録。縄文から近代にいたるまで、日本文化の源流を形づくってきた「かざり」の特質を探っている。神仏への荘厳な奉納の飾り、武将の甲冑や装束、能・狂言や歌舞伎の華麗な舞台衣装など、絵画や工芸、芸能を横断する多彩な資料を収録。豊富な図版と解説を通して、日本美を支えてきた「かざり」の多面的な世界を示している。
花日記 | 白洲正子
随筆家・白洲正子によるフォトエッセイ集。春夏秋冬の四季に合わせた生け花と骨董の器を、美しい写真とともに紹介し、それらにまつわる随筆33篇を収録する。花の姿や器の趣を通じて、季節の移ろいと日本的な美意識を描き出す構成となっており、写真と文章が響き合いながら、白洲正子の感性と美学を鮮やかに伝えている。
Radios Redux: Listening in Style
独創性と革新性にあふれたプロダクトデザインの時代に生み出された、ヴィンテージ・ラジオのコレクションを紹介する一冊。アール・デコからモダニズムに至る多様な意匠を反映したラジオの数々を収録し、当時のライフスタイルやデザイン思想を伝えている。造形的な美しさと機能性が融合したプロダクトを通じて、20世紀デザイン史の豊かな一断面を示している。
Phono-Graphics: The Visual Paraphernalia of the Talking Machine
「トーキング・マシン」と呼ばれた蓄音機とその関連製品を紹介するビジュアル資料集。レコード針缶、ホーン型蓄音機、レコードジャケット、広告、ポストカードなど、多彩なアイテムを豊富な図版とともに収録している。蓄音機文化が最盛期を迎えた時代の華やかで多様なデザインを辿り、その背後に広がる視覚文化の魅力を伝えている。
図 3 建築の図形表現
図研究会による〈図〉シリーズの第3弾。前作『図―建築表現の手法』『図2―建築模型の表現』に続き、建築の「かたち」と「図学」をわかりやすいビジュアルで解説している。内容は「建築の2次元図形」「建築の3次元図形」「建築のアナログ図学」「建築のデジタル図学」の4章構成。建築設計の基礎を体系的に理解し、実務に応用するための資料として有用な内容となっている。
図・建築表現の手法
図研究会による〈図〉シリーズの第1弾。平面図、配置図、断面図といった建築設計の基礎となる図面表現を取り上げ、図や写真を用いた多様な事例とともに解説している。建築教育の初歩に位置づけられる内容を体系的に整理し、図面を通じて建築を理解するための方法を明快に示している。
芹沢銈介の作品 | 静岡市立芹沢銈介美術館 1985年
静岡市立芹沢銈介美術館が刊行した、型絵染の人間国宝・芹沢銈介の作品集。暖簾や屏風、着物など多彩な作品をカラー図版で多数収録している。力強くも温かみのある造形と鮮やかな色彩は、日本の伝統工芸と近代的感覚が融合した芹沢芸術の特徴を示しており、その創造の広がりを視覚的に伝えている。
The Tiffany Archives | Henry Leutwyler ヘンリー・ルートワイラー
写真家ヘンリー・ルートワイラーが、ティファニーのアーカイブに眠る数百点のジュエリーや宝石、オブジェ、エフェメラを撮影した作品集。アール・デコ様式のダイヤモンド・ブレスレットや自由の女神像除幕式の招待状、128.54カラットのティファニー・ダイヤモンドをセットしたネックレスなど、これまで非公開だった秘蔵の品々を収録。未撮影のまま残されてきたコレクションをヴィジュアルで紹介し、ティファニーの歴史と美学を鮮やかに浮かび上がらせている。
Georgia O’Keeffe: Living Modern
20世紀アメリカを代表する画家ジョージア・オキーフのライフスタイルを、ファッションを軸に紹介する資料集。実際に着用された衣服を当時の写真とともに収録し、その装いが彼女の美意識と芸術観にどのように結びついていたかを示している。さらに晩年を過ごしたニューメキシコの自宅インテリア、数々のポートレート写真、代表的なペインティング作品も掲載。アーティストの創作と生活が一体となった姿を多角的に伝えている。
Dior for Ever | Catherine Ormen
クリスチャン・ディオールの創造世界に迫るビジュアルブック。ディオール自身の手描きスケッチや香水瓶のデザイン画、コレクションカタログなど、300点に及ぶ貴重な資料を解説とともに収録している。さらに封筒に挟まれたスケッチや香水瓶を模した仕掛けなど、遊び心あふれるブックデザインも特徴的。ブランドの美学と創造性を資料性とともに体感できる内容となっている。
Carouschka’s Tickets | Carouschka Streijffert
スウェーデン出身の建築家・デザイナー、カロシュカ・ストレイフェルトが世界中から蒐集したチケットをまとめた作品集。30年にわたり収集した航空チケットや手荷物引換証、鉄道の切符など、多様な紙片を紹介している。大判で掲載された1600点以上のカラー図版からは、それぞれの国や時代を映す質感や色彩が伝わり、日常的なデザインに潜む魅力を可視化している。資料性と造形美を兼ね備えたユニークなアーカイブ。
Typography, Advertising, Book Design | Max Bill
スイスのデザイナー、マックス・ビルの代表的な仕事をまとめた作品集。「バウハウス最後の巨匠」とも称されるビルが手がけたタイポグラフィ、広告、ブックデザインを包括的に紹介している。幾何学的な構成と明快な造形理論に裏打ちされたデザインは、モダニズムの精神を体現し、20世紀のグラフィックデザイン史に大きな足跡を残した。豊富な図版とともに、デザイン思想の広がりと実践を示している。
Graphis Diagrams | Walter Herdeg
スイスのデザイン誌『Graphis』の別冊として刊行されたダイアグラム特集号。路線図や地図、医学書の図解から天体マップまで、多様なダイアグラムを約400点収録している。ミルトン・グレイサー、ソール・バス、勝井三雄、ヘルベルト・バイヤー、オトル・アイヒャー、長新太、ウィム・クロウエル、中垣信夫、アラン・フレッチャー、田中一光、カール・ゲルストナーら国内外の著名デザイナーが参加。機能性と造形性を兼ね備えたビジュアル表現を体系的に紹介している。
Graphis Ephemera | Walter Herdeg
スイスのデザイン誌『Graphis』に掲載されたパンフレットやダイレクトメールなどの“エフェメラ”を集めたデザイン資料集。ソール・スタインバーグ、トミ・ウンゲラー、福田繁雄、サヴィニャックら著名デザイナーによる展覧会招待状やグリーティングカード、広告媒体など622点を収録。日常の中で消費される印刷物に宿る造形性を可視化し、グラフィックデザイン史におけるもうひとつの側面を伝えている。
Mark Gowing: Inside The Oblong | マーク・ゴーイング
グラフィックデザイナー、マーク・ゴーイングの20年にわたる活動をまとめた作品集。ポスターを中心に、商業、展覧会、映画、音楽、実践の5つのカテゴリーに分類して収録している。シドニー・オペラハウスやヴェネチア・ビエンナーレ、オーストラリア戦争記念館のために制作されたポスターのほか、ワルシャワ国際ポスタービエンナーレで金賞を受賞した作品も掲載。豊富な図版を通して、ゴーイングの造形言語と視覚表現の広がりを示している。
Josef Muller-Brockmann: Pioneer of Swiss Graphic Design
スイスを代表するタイポグラファー/グラフィックデザイナー、ヨゼフ・ミューラー=ブロックマンの作品をまとめた書籍。1950年代から1980年代にかけて制作されたポスターを中心に、豊富なカラー図版で紹介している。緊張感ある構図と明快なタイポグラフィによって視覚コミュニケーションの原理を体現したブロックマンの仕事は、タイポグラフィ研究やグラフィックデザインの実践においても重要な手がかりを与えている。
Typiska Arbeten | Olle Eksell
スウェーデンのグラフィックデザイナー、オーレ・エクセルの代表的な仕事を幅広く収録した作品集。装丁やポスター、広告、パッケージ、展覧会デザイン、絵本まで、多彩な領域で手がけた仕事を網羅している。親しみやすいユーモアと明快な構成力を備えた表現は、北欧デザインならではの人間味と機能性をあわせ持つもの。豊富な図版を通して、エクセルの造形感覚とデザイン思想を紹介している。
PATTERN’S 不揃4冊セット | Hironori Yasuda
グラフィックデザイナー安田博典によるパターンデザイン資料集『Pattern’s』から、No.1、No.12、No.15、No.21の不揃い4冊セット。白と黒を基調に、ドットや幾何学模様、波形、波線などを用いた構成が中心で、視覚的錯視を誘うような実験的パターンが多数収録されている。素材としての応用はもちろん、デザインの発想を広げるリファレンスとしても活用できる内容で、資料性と造形性を兼ね備えている。
晃文堂タイプブック Kobundo Type Book
1967年に晃文堂から発行された活字見本帖。多様なサイズとウエイトの欧文書体を網羅し、組み合わせ例もあわせて掲載している。本文のレイアウトはグラフィックデザイナー片山利弘が手がけ、見本帖としての実用性に加えてデザイン資料としての価値も高い。60年代のタイポグラフィの感覚を伝える資料として、当時の書体運用やレイアウトの傾向を示している。
カウンターパンチ 16世紀の活字製作と現代の書体デザイン | フレット・スメイヤーズ
書体デザイナー、フレット・スメイヤーズが活字製作の道具「カウンターパンチ」に着目して考察した研究書。16世紀の父型彫刻における技術と彫刻師の役割を丁寧に解説し、歴史的な制作工程を明らかにしている。さらに図版を交えながら、その思想や手法がどのように現代のデジタル書体デザインへと受け継がれているかを示す。活字史と現代タイポグラフィをつなぐ資料として高い価値を備えている。
VNIITE: Discovering Utopia – Lost Archives of Soviet Design
モスクワ・デザイン・ミュージアムのアレクサンドラ・サンコヴァとオルガ・ドゥルジニナが、ソ連時代に存在した研究機関VNIITE(全ソ連技術美学科学研究所)の活動をひもとく。1962年にユーリ・ソロヴィヨフによって設立され、未来志向のデザイン理論と実践を担った組織の姿を、発掘されたスケッチや模型、プロトタイプから紹介。あわせて月刊誌『Technical Aesthetics』の表紙を収録し、1960年代から90年代初頭にかけてのソビエト・グラフィックの変化をたどっている。
夜の木 第9刷 | シャーム、バーイー、ウルヴェーティ
2008年「ボローニャ・ブックフェア」でラガッツィ賞を受賞し、世界的に注目を集めた『The Night Life of Trees』の日本語版第9刷。中央インドのゴンド民族を代表するアーティスト、シャーム、バーイー、ウルヴェーティの3人が、木をめぐる神話的世界を鮮やかに描き出す。インド・チェンナイ郊外の工房で、手漉き紙にシルクスクリーン印刷を施し、製本も職人が一冊ずつ手作業で仕上げた、絵本でありながら工芸品の趣を持つ作品。
Design by Numbers デジタル・メディアのデザイン技法 | 前田ジョン
デザインとテクノロジーの融合を探求してきたデザイナー、前田ジョンによる著作。プログラミングを用いたデザイン技法を解説し、有限の命令や離散的な世界からいかに新たな表現が生み出されるかを考察している。今日では「クリエイティブ・コーディング」と呼ばれる領域の黎明期を象徴する内容であり、デザイン教育やメディアアートの発展にも大きな影響を与えた重要な一冊となっている。
Deco Type: Stylish Alphabets of the ’20s & ’30s
1920〜30年代、アール・デコ黄金期に生まれた書体美を収録したタイポグラフィ資料集。各国の見本帳や商業印刷物から集められたフォントやアルファベットデザインを紹介している。幾何学的で装飾的な造形は、当時の芸術運動とタイポグラフィが融合した様式を物語っており、モダンデザイン史の一断面を伝える内容。豊富な図版と解説を通して、華やかな時代の造形感覚とデザイン性を明らかにしている。
時代を変えたミニの女王 マリー・クワント
2022年にBunkamura ザ・ミュージアムで開催された展覧会にあわせて刊行されたカタログ。ロンドンからファッションに革命を起こしたマリー・クワントの軌跡を辿っている。新規撮り下ろしによるファッションアイテムの写真に加え、初公開となるスナップやスケッチなど貴重な資料を多数収録。豊富な図版と解説を通して、ミニスカートの代名詞となったデザイナーの革新性と、その影響が現代まで続くことを示している。
Story of… カルティエ クリエイション めぐり逢う美の記憶
2009年に東京国立博物館で開催された展覧会にあわせて刊行されたカタログ。ジュエリーブランド、カルティエの創作の軌跡と美の歴史を辿っている。ジュエリーや時計をはじめとする宝飾品を豊富なカラー図版で紹介し、その変遷を支えたデザインの背景や物語を丁寧に解説。監修はデザイナー吉岡徳仁が務め、カルティエの創造性と美学を多角的に捉えた内容となっている。
CHANEL | Danièle Bott
「CHANEL」の世界観を伝統と現代の視点からひも解くビジュアルブック。1920年に誕生したモチーフや装飾を再解釈し、ファッション、ジュエリー、ビューティーといった領域に息づくシャネルの美学を紹介している。未公開のアーカイブ資料やカール・ラガーフェルドによる写真、デッサンも収録され、ブランドの創造性と歴史を立体的に浮かび上がらせている。シャネルを象徴する香水「N°5」に呼応するように、5つのテーマで構成され、ブランドの哲学と進化を視覚的に示している。
シャネルの生涯とその時代 普及版 | エドモンド シャルル・ルー
普及版として刊行された、ココ・シャネルの生涯とその時代を紹介する一冊。孤児院での幼少期から売り子時代、手作りの帽子や服の制作、ショートヘアの流行、コルセットからの解放といった出来事をたどりながら、彼女がどのように新しい女性像を体現し、時代の先端を切り開いていったかを示している。200点を超える写真を収録し、ファッションを超えて文化と社会に刻まれたシャネルの軌跡を鮮やかに伝えている。
タイポグラフィスケッチブック | スティーヴン・ヘラー、リタ・タラリコ
世界各地で活動するタイポグラファーやデザイナーたちの制作過程を紹介する一冊。100名を超える書体デザイナー、アートディレクター、アーティスト、イラストレーターが手がけたスケッチやドローイングを収録し、文字の組み立てや造形のアイデアがどのように生まれるかを示している。完成品だけでは見えにくい思考のプロセスを豊富な図版とともに伝え、タイポグラフィの創造性と多様なアプローチを明らかにしている。
たべるトンちゃん | 初山滋
童画作家・初山滋による異色の絵本『たべるトンちゃん』の復刻版。しゃぼんだまの水を飲み、ゴミをあさり、お団子を食べる――いつもお腹を空かせて食べものを探し回るブタのトンちゃんの日常を、ユーモラスでありながら詩情豊かに描き出している。女の子との対話やトンちゃん自身のモノローグによって物語が展開し、予想を超える結末へと導かれていく。戦前から戦後にかけて活躍した初山滋の独自の感性を今に伝える一冊。
松永真のデザイン展 | セゾン美術館
日本を代表するデザイナー、松永真が1997年にセゾン美術館で開催した展覧会の図録。装丁やパッケージ、ポスターなど多彩な仕事をカラー図版で多数紹介している。女性誌『non-no』『MORE』のロゴデザインを手がけたことでも知られ、広告から出版、プロダクトにまで及ぶ幅広い活動を通じて独自の造形感覚を築いてきた。図録はその歩みを辿るとともに、日本のグラフィックデザイン史における松永真の位置づけを示している。
燐寸図案 北原照久コレクション
昭和初期、広告媒体として広く普及したマッチラベルを収録したコレクション集。1933年から1935年にかけて制作された作品を中心に、小さなポスターとも呼べる精緻なデザインを紹介している。ホテルや百貨店、音楽喫茶、宝塚、戦時広告、ミッキー&ベティ、菓子、紳士用品など、当時の時代性や風俗を反映した多彩な図版を掲載。グラフィックデザイン史の一側面としての資料価値を備え、昭和モダン文化の広がりを伝えている。
空間のグラフィズム | 廣村正彰
グラフィックデザイナー廣村正彰が、空間とグラフィックデザインの関係を論じた指南書。グラフィック処理や色彩、照明といった視覚要素から、建築、サインシステム、展示会、さらには環境デザインにまで視野を広げて紹介している。豊富なカラー・モノクロ図版と解説を通して、情報伝達としてのデザインと空間表現がどのように結びつくかを示し、空間におけるグラフィズムの可能性を明らかにしている。
G1: Subj.; Contemp.Design, Graphic | ネヴィル・ブロディ
1990年代に世界的な影響を与えたデザイナーたちの仕事をまとめたデザイン資料集。パッケージデザイン、ポスター、レコードジャケット、ブックデザイン、タイポグラフィなど、多岐にわたる分野の作品を収録している。特徴的なのは、あえてデザイナー名を伏せて作品のみを紹介している点で、純粋に造形表現そのものに焦点を当てていることにある。460点に及ぶ図版と解説から、90年代デザインの多様な潮流が浮かび上がってくる。
Spitzmaus Mummy in a Coffin and Other Treasures | Wes Anderson & Juman Malouf
映画監督ウェス・アンダーソンと、作家・衣装デザイナーのジュマン・マルーフが、ウィーン美術史美術館の膨大なコレクションからキュレーションした展覧会カタログ。1891年に創設された同館に所蔵される約450万点の中から、初公開を含む430点を独自の基準で選び出している。色や大きさなど従来の美術史の枠を超えた分類によって展示された作品群は、5000年にわたる文化の広がりを新鮮な視点で示している。アンダーソンとマルーフ自身のエッセイに加え、展示風景の豊富な記録も収録されている。
The Badger’s Song: Series 2013–2020 | Michael Borremans
ベルギーの現代アーティスト、ミヒャエル・ボレマンスによる2013年以降のペインティングをまとめた作品集。18世紀の肖像画技法を思わせる緻密な筆致でありながら、黒衣の人物や切断された手足に触れる子どもたちなど、不条理で不穏な場面を描き出す。特定の時代や場所を示さない構図は現実のわずか手前に位置し、観る者に独特の不安と魅了を同時にもたらす。ユーモアと技巧が織り合わさった7つのシリーズから、これまで未発表だった作品も含めて収録している。
Still Life | Irving Penn
アメリカの写真家アーヴィング・ペンによる静物写真を集成した作品集。1930年代から2000年代にかけて撮影された図版を収録し、長いキャリアの軌跡をたどることができる。『VOGUE』のために撮影された花のシリーズをはじめ、リップスティックやハイヒール、食べ物など、身近な題材を精緻にとらえ、独自の美学によって構成している。ファッション写真やポートレートで知られるペンのもうひとつの重要な領域を示す内容となっている。
Henri Matisse Jazz
フランス近代美術を代表する画家アンリ・マティスが70歳を過ぎてから始めた切り紙絵を収めた版画集。1947年に270部のみ限定刊行され、その後1500部限定で復刻された。筆の代わりに鋏を用い、直感的に色紙を切り抜き、即興的に形を構成する手法は、リズムに導かれるジャズの演奏にたとえられている。鮮烈な色彩と軽やかなフォルムが舞うように展開し、動物や神話、舞踏など多彩なモチーフが表現されている。老境に至ってなお新たな表現を探り続けた姿勢は、絵画の枠を超えた造形実験として高く評価され、20世紀美術史における革新性を示す資料となっている。
Henri Matisse: The Cut-Outs ペーパーバック版
20世紀を代表する芸術家アンリ・マティスによる切り絵作品を収めたペーパーバック版作品集。1940年代初頭から晩年の1954年までに制作された大胆なフォルムと鮮烈な色彩による作品群を紹介している。豊富な図版に加え、アトリエでの制作風景をとらえた当時の写真も収録し、創作の過程やその革新性を示す構成となっている。マティスが晩年に到達した表現のひとつの頂点を描き出している。
Guy Bourdin: A Message for You | ギイ・ブルダン
1970年代に『ヴォーグ』やシャルル・ジョルダンのキャンペーンで活躍したファッション写真家ギイ・ブルダンによる2巻組の作品集。第1巻にはお気に入りのモデル、ニコル・メイヤーを撮影した作品を収録し、第2巻にはポラロイド、スケッチ、コンタクトシートなど未公開資料を多数掲載している。洗練されたファッション写真と制作過程を示すドキュメントを併せて構成し、ブルダンの創作の舞台裏と時代の感覚を浮かび上がらせている。
Between Maple and Chestnut | Terri Weifenbach テリ・ワイフェンバック
アメリカ出身の写真家テリ・ワイフェンバックによる作品集。2005年から2007年にかけて撮影された牧歌的なアメリカの風景を収録している。鮮やかな色彩や浅い被写界深度、選択的なフォーカスといった直感的な手法が特徴で、画面には草花や木々、庭先の情景が柔らかな光とともに浮かび上がる。現実の風景を写しながらも、写真が絵画のように幻想的な印象をまとい、日常の風景が夢幻的な世界へと変容する様子を示している。自然の中に潜む美しさと、見る者の感覚を揺さぶる表現が重なり合い、写真表現の新たな可能性を描き出している。
鹿渡り | 白石ちえこ
写真家・白石ちえこが冬の北海道・道東を舞台に撮影した写真集。夕暮れの凍った湖を一列に渡るエゾジカの群れをはじめ、森や空、動物たちが静かに連なる情景をとらえている。限られた光のなかで浮かび上がる風景は、自然と生命とのつながりを深く感じさせるもの。厳しい冬に潜む静謐さと温もりが交錯する瞬間を映し出している。
New York New York | Marie Tomanova
チェコ出身でニューヨークを拠点に活動する写真家マリー・トマノヴァが、2019年の『Young American』に続いて手がけたポートレート集。2000年代生まれの若者たちが街角でカメラを真っすぐに見つめ、多様なルーツやジェンダー・アイデンティティを背景に個の存在を鮮烈に示している。都市に生きる彼らの姿は、現代アメリカ社会の変容と時代の空気を象徴的に映し出す。親密なまなざしを通じて、新しい世代の肖像が浮かび上がる。序文はソニック・ユースのキム・ゴードン。