手仕事の道具百科
ロンドンを拠点に活動する芸術家集団・ダイアグラム・グループが編纂した道具事典。製本、書道、版画、コラージュ、陶芸、家具づくりなど、多様な手仕事に関わる道具を網羅的に収録している。2,000点以上の道具を精緻なイラストと簡潔な解説で紹介し、その用途や特徴をわかりやすく示している点が特徴。伝統的な技法から現代的な実践まで幅広くカバーし、ものづくりの背景にある文化的文脈を照らし出している。
Fifties Furniture | Leslie Piña
1950年代のミッドセンチュリー期に生み出された家具を網羅的に紹介するデザイン資料集。チャールズ&レイ・イームズ、ジョージ・ネルソン、イサム・ノグチらをはじめ、数多くのデザイナーによる作品450点を図版で収録している。さらに、各デザイナーの略歴や関連企業の歴史、製造過程に関する解説を加え、当時のデザインの背景を立体的に示す構成となっている。機能性と美しさを兼ね備えた家具の黄金期を伝達している。
Powers of Ten: A Flipbook
建築家チャールズ&レイ・イームズによる映像作品『Powers of Ten』を基にしたフリップブック版。ページをめくるごとに視点が10倍ずつ拡大・縮小し、宇宙の彼方から人間の身体内部、細胞、DNA、さらには素粒子の世界へと降りていく構成となっている。1億光年のスケールからミクロの領域に至るまでを視覚的に体験でき、宇宙と人間の位置づけを直感的に理解させる仕掛けが魅力。科学的知見とデザイン的発想を融合させた、教育的かつ視覚的な旅を提示している。
Braun: 50 Jahre Produktinnovationen
ドイツの小型電気器具メーカー、ブラウン社による50年間の歩みを紹介するビジュアル資料集。オーディオ機器、時計、電卓、キッチン用品、シェーバーなど、1955年から2005年までに生み出された製品群を網羅している。ディーター・ラムスをはじめとするデザイナーが手がけた造形は、シンプルで合理的な機能美を体現し、インダストリアルデザイン史に大きな足跡を残した。約500点に及ぶ図版と解説を通して、ブラウンの革新性と美学を伝達している。
The Gift to be Simple: Life In Amish Country | Bill Coleman
写真家ビル・コールマンが25年にわたり記録した、アーミッシュ共同体の暮らしをまとめた写真集。近代社会と距離を置き、自給自足の生活を続ける人々が暮らすペンシルベニア州南部の村を舞台に、昔ながらの営みを鮮やかに写し出している。農作業や家族の団らん、四季の移ろいとともに映される日常は、素朴さと信仰に支えられた共同体の姿を伝えている。限られた外部者しか立ち入ることのできない空間で撮影された貴重な記録は、現代に残る伝統的生活文化を映し出している。
Shaker Design | June Sprigg
1986年から1987年にかけて開催された展覧会の図録。シェーカー教徒が生活の中で生み出した家具や籠、編み機などの道具類を紹介している。装飾を排し、機能性と実用性を重視したデザインは、同時に高い美的価値を備え、後世のモダンデザインにも大きな影響を与えた。豊富な図版を通じて、シンプルさの中に宿る造形美や、信仰と労働が結びついた生活文化の一端を明らかにしている。
フランク・ゲーリー 建築の話をしよう
建築家フランク・ゲーリーへのインタビューを収録した書籍。聞き手を務めるのはジャーナリストのバーバラ・アイゼンバーグで、幼少期の体験から日常の習慣、建築家として抱いた理想や成し遂げてきた成果に至るまで、多岐にわたるテーマが語られている。ビルバオ・グッゲンハイム美術館をはじめとする代表作に触れつつ、建築に向き合う姿勢や創作の背景を明らかにし、人物像を浮かび上がらせる構成となっている。
ロジック/ヴィジュエル ルイ・ヴィトンの建築
2003年にルイ・ヴィトン表参道ビルと東京国際フォーラムで開催された展覧会「MATHEMATIQUE DES OBJETS SENSIBLESールイ・ヴィトンの建築」展に際して刊行された図録/「ロジック編」と「ヴィジュエル編」の2冊揃え。「ロジック編」ではルイ・ヴィトン建築についてモーセン・モスタファヴィ、青木淳、隈研吾、乾久美子らがテキストを寄せている。「ヴィジュエル編」ではルイ・ヴィトン建築の構造や表皮、ロゴサインなど、ビジュアルをメインに収録。
KUNSTMUSEUM LIECHTENSTEIN
中欧における優れた美術館建築のひとつとして高く評価されている、リヒテンシュタイン美術館の写真資料集。設計はバーゼルを拠点とするモルガー&デゲロ建築事務所とクリスチャン・ケレツによる共同チームで行われた。建築批評家ハンス・フライが「ブラックボックス―ホワイトキューブ」と評したように、鋭く切り取られたモノリシックな外観が街並みに強い印象を与えている。内部には明快で軽やかな展示空間が広がり、光と空間の構成によって作品を際立たせている。現代美術館の建築的特質を映し出している。
Institut du Monde ARABE | Hubert Tonka
建築家ジャン・ヌーヴェルが中心になって設計したパリのアラブ世界研究所を紹介する建築資料集。1987年に完成した同館は、アラブ文化圏の幾何学的パターンを応用した可動式スクリーンをファサードに採用し、光の調節と装飾性を融合させた革新的な建築として知られる。本書は写真家ジョルジュ・フェッシーによる図版とともに、ヌーヴェル本人や批評家ユベール・トンカのテキストを収録。建築の造形美と設計思想を多角的に提示している。
藤本壮介 武蔵野美術大学 美術館・図書館
建築家・藤本壮介が設計した武蔵野美術大学美術館・図書館を記録した写真集。国内外で注目を集める藤本壮介の代表的建築を、阿野太一、笹岡啓子、石川直樹の3名の写真家がそれぞれの視点から捉えている。光や素材の表情を強調する写真、空間の広がりを描き出す写真、利用者の気配を写し込む写真など、多様なアプローチを通して建築の新たな魅力を提示している。
Wabi-Sabi Welcome | Julie Pointer-Adams、Julie Pointer Adams
日本独自の美意識である「侘び」と「寂び」をテーマに、現代の暮らしにどう取り入れるかを探ったビジュアルブック。静けさや不完全さに宿る美を背景に、インテリアや食卓の設え、人を迎える場の工夫を紹介している。日本、デンマーク、アメリカ、フランス、イタリアの5地域を舞台に、それぞれの文化に根ざした実例を豊富な写真で収録。素材感を活かした住空間や、素朴さを尊ぶライフスタイルを通して、国境を越えて共有される美の価値観を描き出している。
建築と都市 a+u #590 スリランカの現在 ジェフリー・バワ 100周年
建築専門誌『建築と都市 a+u』2019年11月号は、スリランカの現代建築をジェフリー・バワの生誕100周年にあわせて特集。バワの遺産を踏まえつつ、次世代の建築家による19のプロジェクトを「物質性とプロセス」「批評的保存と再利用」「環境の倫理」という三つの章に分けて紹介している。経済や文化、社会の変化と向き合う建築の姿を通して、スリランカの現在と未来を見据える構成となっている。
建築と都市 a+u #403 オランダの若手建築家
建築専門誌『建築と都市 a+u』の2004年4月号は、オランダの若手建築家を特集。OMAやMVRDVといった先行世代の潮流を踏まえつつ、独自の建築的アイデンティティと信念を持って活動する26組に焦点を当てている。住宅や公共建築から都市的スケールの計画まで、幅広いプロジェクトを写真や図面で紹介し、当時のオランダ建築界の新たな動向を示す内容となっている。
建築と都市 a+u #398 OMA/Experience
建築専門誌『建築と都市 a+u』2003年11月の臨時増刊号は、OMA(Office for Metropolitan Architecture)を特集。レム・コールハース率いるOMAのプロジェクトを取り上げ、ホイットニー美術館拡張計画、ロサンゼルス・カウンティ美術館、ハーグのコーニンギン・ユリアナ広場複合施設などを収録している。既成の枠組みに挑むOMA独自のアプローチを、写真や図面など豊富なビジュアルで紹介。
建築と都市 a+u 臨時増刊 MVRDV files : projects 002-209
2002年11月に刊行された建築専門誌『建築と都市 a+u』の臨時増刊号。オランダを拠点に活動する建築家集団MVRDVを特集し、初期作の〈ベルリン・ヴォイド〉から当時最新の〈WHO増築とUNAIDS新本部〉まで、約60のプロジェクトを収録している。実験的でスケールを超えた都市的提案から実際の建築に至るまで、多様な活動を網羅。さらにヴィニー・マースと青木淳の対談も収められ、都市と建築を横断するMVRDVの思想を明らかにしている。
ブルーノ・タウトの緑の椅子
1935年に建築家ブルーノ・タウトが群馬県高崎市の少林寺達磨寺滞在中にデザインした「緑色の椅子」を復刻・量産化した過程をまとめた研究書。現存する試作品を3次元スキャンで計測し、天童木工の技術によって再現するまでの詳細なプロセスを紹介している。タウトの思想を反映した独自のフォルムと色彩に焦点を当て、デザイン史における位置づけを明らかにする内容となっている。復刻の試みを通して、近代デザインと現代技術の結びつきを提示している。
西沢立衛 西沢立衛建築設計事務所スタディ集
現代建築家コンセプトシリーズ第4弾、特集は建築家、西沢立衛。手書きのスケッチ、図面、走り書きのメモ、フォトコラージュなど、アイデアと創造の過程が織り込まれた西沢事務所のスタディ集。ニューヨークのヴィラ、ガーデンアンドハウス、森山邸、HOUSE A、エモナホテルなどの11のプロジェクトを巡り、困難な課題に苦戦しながらも挑み続ける姿勢をありのまま浮き彫りにしている。
知られざる萬古焼の世界 | 内田鋼一
陶芸家・内田鋼一が設立した「BANKO archive design museum」による公式書籍。三重県四日市市に伝わる伝統的な焼き物・萬古焼の魅力を多角的に紹介している。江戸時代に始まった歴史から器の種類、現代の生活における活用シーンまでを網羅し、豊富なカラー図版と丁寧な解説を収録。耐久性や実用性に優れながらも独自の美意識を備えた萬古焼の特色をひも解き、地域文化と工芸のつながりを照らし出している。
Kengo Kuma: Selected Works
建築家・隈研吾の作品を集成した作品集。繊細でミニマルな美しさを特徴とする隈の建築は、金属や木、竹、石などのルーバーに加え、紙、プラスチック、ガラスといった膜素材を巧みに使い分けることで独特の透明感と軽やかさを生み出している。本書では安藤広重美術館、那須石の美術館、熱海の蓬莱温泉旅館、ルイ・ヴィトン東京本社、長崎県美術館など近年の代表的プロジェクトを収録。写真や図面を通して、隈研吾の建築哲学と素材への深い探求を映し出している。
CEREAL Magazine vol.14
イギリス発のライフスタイル誌『CEREAL』第14号。世界各地の旅行先や食、ライフスタイルを紹介する本誌では、今号でアメリカ・シカゴ、スコットランドの首都エディンバラ、シェットランド諸島を特集している。都市や自然の風景を美しい写真で収めるとともに、アーティストやデザイナー、建築家、シェフらへのインタビューを通じて多様な視点を提示。シンプルで洗練された誌面構成が特徴で、旅と暮らしをめぐる豊かな価値観を映し出している。
HAPTIC 五感の覚醒
2004年に開催された竹尾ペーパーショウ「HAPTIC 五感の覚醒」展をまとめた書籍。テーマである「ハプティック=触覚」を軸に、紙という素材の可能性を拡張しながら、感覚に訴えるプロダクトデザインを紹介している。グラフィックやインテリア、プロダクトなど多様な分野で活躍するデザイナーが参加し、視覚と触覚の関係を再考させる実験的な作品群を展開。図版とテキストを通じて、素材と感覚の新たな関わりを浮かび上がらせている。
Tokyo Fiber’07 Senseware
2007年に東京とパリで開催された展覧会の記録集。展覧会ディレクターを務めた原研哉が、日本の先端繊維技術を国際的に紹介する試みとして企画された。参加者には祖父江慎、深澤直人、佐藤卓、隈研吾ら多分野のクリエイターが名を連ね、繊維を素材として捉えるだけでなく、新たな感性やデザインの可能性を探求している。展示風景や作品図版を豊富に収録し、技術革新と表現の交差点を提示している。
Luc Tuymans
ベルギー出身のアーティスト、リュック・タイマンスによる作品集。2009年にアメリカで開催された展覧会にあわせて刊行されたもので、1985年から2008年に制作された約75点の作品図版に加え、新たな視点からタイマンスの作品や背景を論じたエッセイを収録している。ホロコーストや第二次世界大戦、植民地主義といった歴史の暗部に向き合い、独自のくすんだ色調とスタイルで「表現しえないもの」を描き出している。
Mamma Andersson, Tal R: Svanesang
スウェーデンのギャラリー「Galleri Magnus Karlsson」で2016年に開催された展覧会にあわせて刊行された作品集。画家マンマ・アンダーソンとタル・アールが1年間にわたり手紙や写真を交わしながら制作したコラボレーションを収録している。眠る女性や骸骨といった共通のモチーフを二人それぞれの表現で描き、異なる個性が交差する創作の対話を映し出している。
VERVE: The Ultimate Review of Art and Literature
世界で最も美しい雑誌と称される『VERVE』を総覧する資料集。1937年にエフェリーヌ・テリアードが創刊し、ピカソ、マティス、シャガールらの作品や、サルトル、ジョイス、カミュらによる文学作品を掲載した全号を対象として網羅している。誌面に掲載された図版やテキストを抜粋・再構成し、解説とともに紹介。芸術と文学を融合させた誌面の革新性を振り返ると同時に、モダンアートとグラフィックデザインの歩みを照らし出している。
Branded Youth and Other Stories | Bruce Weber
アメリカの写真家、ブルース・ウェーバーによる作品集。ファッション写真の世界で大きな影響を与えたウェーバーが、ボーイスカウトやハリウッドセレブ、レスラー、農場主など多様な被写体を撮影している。若さや青春の輝きをとらえたポートレートを多数収録し、その人間的な魅力を鮮やかに描き出している。
Omnipresent | Beyond Borders | Birgitta De Vos
オランダ在住のアーティスト、ブージタ・デ・ヴォスによる3作目の作品集。国境や文化の境界を越え、マクロレンズとドローンを駆使して世界各地の風景を撮影している。岩石や鉱物、砂などの自然の断片を組み合わせ、地球規模の生成や変化を思わせる光景を構成。写真は抽象絵画のような表情を見せ、自然がつくり出す秩序と偶然の美を探る視点となっている。
Luc Tuymans
ベルギーの画家、リュック・タイマンスの作品集。フランドルやスペイン絵画の伝統的技法に現代的な視点を重ね、オブジェや風景、人物の肖像などを描いた作品を収録している。抑圧や暴力の歴史を背景に、失われた命の記憶を呼び覚ますような強い表現力を備え、タイマンス独自の絵画世界を提示している。
Shinro Ohtake: Notes 1985-1987 | 大竹伸朗
現代美術家・大竹伸朗による作品集。1985年から1988年1月までの3年間の制作ノート「Production Note No.1 1985」と「Production Note No.2 1986」の内容を1冊にまとめたもの。付属のDVDには、1985年から1990年にかけて8ミリカラーフィルムで撮影された約160分の映像を収録している。創作の原点や思考のプロセスを、制作ノートと映像を通じて明らかにしている。DVD、カード、解説冊子付き。
大竹伸朗 全景 1955-2006
東京都現代美術館で開催された企画展「大竹伸朗 全景 1955-2006」にあわせて刊行された図録。約2000点に及ぶ作品を収録し、会場風景の記録や会期中に行われたライブ音源を収めたCDも付属している。1152頁、約6kgという圧倒的な分量で構成され、書物の枠を超える存在感を放つ一冊。現代美術における大竹伸朗の活動の全貌を提示している。
Roy Lichtenstein: The Black-and-White-Drawings 1961-1968
ポップアートを代表する画家ロイ・リキテンスタインの作品集。ニューヨークとウィーンで開催された展覧会にあわせて刊行されたもので、1961年から1968年に制作されたポップアートの重要なドローイング作品約50点を収め、解説を加えている。広告やコミック、パッケージといった当時の消費社会のイメージを題材に、あえて粗雑な商業アート風のスタイルで描き出している。
Ops Opis | Ron Van Dongen
花や植物の写真で知られるフォトグラファー、ロン・ヴァン・ドンゲンの作品集。花や果物、野菜をモノクロでとらえ、光と影が生み出す陰影を強調している。被写体との距離の近さからにじみ出る親密さや静謐な美しさが収録され、植物写真の新たな表現領域を描き出している。
BABY GENERATION | ホンマタカシ
写真家・ホンマタカシによる作品集。1996年に開催された展示にあわせて刊行されたもので、キム・ゴードン、ソフィア・コッポラら90年代を象徴する女性アーティスト5人のアトリエや部屋の風景を撮影している。壁に飾られた絵画や写真、散らばった画材、ドラムセット、化粧品が置かれた洗面所、ぬいぐるみなどが写され、ミュージシャン、映画監督、俳優、画家たちのプライベートな創作空間と当時の空気感を映し出している。アートディレクションはマイク・ミルズが担当。
Donald Baechler
アメリカ出身のアーティスト、ドナルド・バチュラーによる作品集。イタリアのトリノ市立近現代美術館で開催された展覧会にあわせて刊行された。1980年代から1990年代にかけて制作された、素朴な線と形を特徴とする絵画やコラージュ作品を収め、図版とともに解説を提示している。
OBEY: Supply and Demand | Shepard Fairey
アメリカのグラフィックデザイナーで、OBEY Clothing創設者のシェパード・フェアリーによる作品集。20年間にわたりストリートアート、政治、ポップカルチャーが交差する膨大な作品群を紹介している。絵画、ポスター、ステッカー、壁画など多様な表現を収め、豊富な図版とともにフェアリーの活動を提示している。
Vincent Van Gogh: The Drawings
ポスト印象派を代表する画家ヴィンセント・ヴァン・ゴッホの作品集。「すべての芸術の根源はドローイングにある」と考えたゴッホの、オランダ時代からフランス時代にかけてのドローイングを中心に構成されている。木炭、インク、鉛筆、水彩、希釈した油彩などによる約120点の作品図版に加え、解説も収録。ドローイングの意義やその芸術がどのように形作られたかを新たな視点で照らし出している。
Robert Frank: Hold Still, Keep Going
アメリカを代表する写真家ロバート・フランクの作品集。2001年の展覧会にあわせて刊行されたもので、60年を超えるキャリアから選ばれたプリント、映画のスチール、コラージュ、映像的に構成された写真群が収められている。さらに手書きの言葉や映画のセリフも取り入れられ、写真と映像、言葉が交錯するフランクの表現世界を浮かび上がらせている。
独楽 熊谷守一の世界 | 藤森武
写真家・藤森武が画家・熊谷守一の生活を撮影した写真集。土門拳に師事した藤森が約3年間にわたり熊谷邸に通い、庭で虫を観察する姿や家族との食事、昼間に油絵を描く貴重な場面を記録している。写真には熊谷自身の言葉が添えられ、藤森によるエッセイも収録。日常と制作の両面を伝える構成で、熊谷の人物像を浮かび上がらせている。
Art in Transit | Keith Haring
1980年代のアートシーンを牽引したストリートアートの旗手、キース・ヘリングによる作品集。ニューヨークの地下鉄に点在する空き広告スペースに描かれたチョークドローイングを収録している。やがて広告に覆われ消えてしまう作品を、写真家ツェン・クワン・チーが記録。「Radiant Baby(光輝く赤ん坊)」「Barking Dog(吠える犬)」など115点のカラー写真を掲載し、ニューヨークで多様な人々が交差する中で生まれた、誰もが触れられるアートの力を浮かび上がらせている。
Tapies | Roland Penrose
スペインの現代芸術家アントニ・タピエスの作品集。絵画や版画、立体、壁画といった幅広いジャンルに及ぶ創作の軌跡をたどり、戦後ヨーロッパ美術における独自の位置を提示している。荒々しいマチエールや記号的なモチーフを特徴とする抽象表現は、物質性と精神性を往還しながら強い存在感を放つ。ピカソやジョアン・ミロらとの交流や影響にも触れつつ、展覧会の記録や制作風景の写真を収録。豊富な図版を通じて、タピエス芸術の核心に迫る構成となっている。
タピエスとカタルニア | ペレ・ジムフェレル
スペインの現代芸術家、アントニ・タピエスの作品集。戦争体験や独裁政権への抵抗を背景に生み出された強靭な表現で知られるタピエスが、カタルニアという土地から受けた影響を4章構成でたどっている。カラーとモノクロの図版を通じて、多様な技法と素材による作品群を紹介し、風土と創造の結びつきを明らかにしている。
Road Movie | 高橋恭司
写真家・高橋恭司による作品集。旧ソ連時代のウラジオストクとアメリカ・メンフィスを舞台に、ロードムービーのような構成で綴る旅の記録。ビーチサイドやテント、紙コップに注がれたドリンク、人気のない街角、夜のドライブインといった光景を収めている。どこかノスタルジックな風景と記憶の断片のような日常が映し出される。吉本ばななとの対談を収めた別紙付き。
Rodeo Girl | Lisa Eisner
ファッションフォトグラファー、リサ・アイズナーの作品集。幼少期にパレードで見たきらびやかなロデオクイーンに心を奪われた記憶を原点に、ロデオ・ガールたちの鮮やかなラインストーンやスパンコールの衣装と、生き生きとした表情を捉えている。カラーとモノクロを織り交ぜた約140点の作品を掲載し、ファッションとカルチャーを通じてアメリカのロデオ文化の魅力を映し出している。