柳宗悦没後60年記念展 民芸の100年
2021年に東京国立近代美術館で開催された展覧会にあわせて刊行された図録。民藝運動を牽引した柳宗悦の没後60年を契機に、陶磁器、染織、木工、民具、民画、出版物や写真資料など、全国各地から集められた450点を超える作品と資料を通して、その100年の歩みを検証している。美術館・出版・流通という三つの軸を中心に展開された民藝の実践に着目し、蒐集や鑑賞にとどまらない社会的活動や地域とのネットワークを丁寧に辿る。
イサム・ノグチと長谷川三郎 変わるものと変わらざるもの
2019年から横浜美術館やノグチ美術館などを巡回した展覧会の図録。彫刻家のイサム・ノグチと画家の長谷川三郎の交流に焦点を当て、作品、記録写真、書簡や資料を通して両者の思考と実践をたどっている。戦後の日本で再会した二人は、東洋と西洋、伝統とモダニズムの緊張関係を見据えながら、芸術と社会の新たな関係を模索した同時代の探究者だった。風景、人体表現、抽象、素材への関心といった共通の主題を軸に、分野を越えて交わされた対話と、その後の創作への影響を丁寧に伝えている。
Isamu Noguchi: Sculptural Design
20世紀を代表する芸術家イサム・ノグチの創作活動を紹介する作品集。彫刻を軸に、舞台装置、照明器具、インテリア、公共空間のデザインなど多岐にわたる分野での仕事を収録している。制作風景を捉えた貴重な写真や、師コンスタンティン・ブランクーシとの関係をめぐる記事も掲載し、素材と空間の関係を探求したノグチの造形思想を多角的に検証している。
Volunteer | Paul Seawright
イギリスの写真家、ポール・シーライトによる作品集。アメリカ各地に設けられた軍のリクルート(志願兵募集)拠点とその周辺の風景を撮影したシリーズを収録している。郊外のショッピングセンターや仮設オフィスなど、一見どこにでもありそうな場所に目を向け、戦争が社会や風景に残した影を静かに映し出す。華やかな「アメリカン・ドリーム」の周縁で、軍が若者たちを募る現実。シーライトはその無名性の高い風景を通して、遠い戦地での戦争が国内の暮らしや土地に与える影響を淡々と捉えている。
Birds of a Feather | Luc Tuymans
ベルギーを代表する画家、リュック・タイマンスの近年の作品に焦点を当てた作品集。2015年に開催された同名展にあわせて刊行され、スコットランド啓蒙思想への関心を起点とする絵画群を収録している。18世紀の肖像画家ヘンリー・レイバーンによる哲学者像を参照した小品や、ゴヤの「黒い絵」を想起させる重苦しい画面、さらには実在の事件を題材にした肖像など、理性と不穏さが交錯する主題が展開される。
Loewe: Womenswear Spring Summer 2016
ラグジュアリーブランド、ロエベの2016年春夏ウィメンズコレクションをドキュメントした オフィシャル・カタログ。コレクションは、クリエイティブ・ディレクターのジョナサン・アンダーソンによるウィメンズウェアで構成。カラーとモノクロのヴィジュアルを組み合わせ、アートディレクションを手がけた M/M (Paris) による独自の表現でコレクションの魅力を伝える。写真は ジェイミー・ホークスワース、スタイリングは ベンジャミン・ブルーノが担当。Spring/Summer 2016のランウェイのルックを収録した冊子付属。限定1000部。
SUNSET | Jens Klein
ドイツの写真家、イェンス・クラインによる、東西ドイツの国内国境を越えようとした人々の脱出ルートを描いた写真集。収められた写真は、シュタージ記録局のアーカイブから選ばれ、1961年から1989年に秘密警察、警察、国民人民軍の国境警備隊によって撮影されたもの。監視や国境施設のチェック、脱出の試みの記録を通じて、逃亡者の運命ではなく彼らが選んだルートに焦点を当てている。ページをめくるとトンネルや水路、列車や街の風景をたどる迷路のような旅が展開し、歴史的証言と個人の想像が交錯する。
Books on Japan 1931-1972 日本の対外宣伝グラフ誌 | 森岡督行
森岡書店店主・森岡督行が、1931年から約40年にわたって発行された日本の対外宣伝グラフ誌を編纂。日本工房の『NIPPON』や東方社の『FRONT』など、全106点のグラフ誌から選りすぐった表紙と本文をカラーで紹介している。日本の文化や風景をテーマとしたものに加え、戦時下には富国強兵を前面に押し出した号も含まれており、グラフィックの魅力とともに、当時の時代背景や思想の変遷を読み取ることができる。
Arte Povera 1966-1980 Books and Documents | Giorgio Maffei
1960〜70年代イタリアを代表する美術運動「アルテ・ポーヴェラ」に関わった作家たちが、1966年から1980年にかけて制作・刊行した書籍や資料をまとめた一冊。ジョバンニ・アンセルモ、アリギエロ・ボエッティ、ルチアーノ・ファブロ、ミケランジェロ・ピストレットほか、主要作家によるアーティストブックや展覧会資料をカラー図版で多数収録。彫刻やインスタレーションといった「作品」ではなく、出版物という視点からアルテ・ポーヴェラを捉え直す。
Nick Waplington: Truth or Consequences
イギリスの写真家、ニック・ワプリントンによる作品集。ニューメキシコ州の小さな町、トゥルース・オア・コンシクエンシズで約10年にわたり撮影された写真をまとめている。1950年にラジオ番組の名前を町名として採用したこの場所で、ワプリントンは特異な名前の背後にある人々の暮らしや風景を淡々と記録。同時に、エドワード・ウェストンやウォーカー・エヴァンスといったアメリカ写真の先駆者たちへの敬意も織り込みながら、土地と写真史の関係を静かに問いかけている。
Tokyo Up Close | 山内道雄
写真家、山内道雄による作品集。2005年から2006年にかけて東京で撮影されたストリート・スナップを収録している。路上に散らばる大量の煙草の吸殻、野良猫、ディスプレイされたサングラス、子どもたちと対照的に写る大人の姿など日常の断片を、独特の視点と大胆な構図で鋭く切り取る。
街 Tokyo 1976-2001 | 内堀晶夫
写真家、内堀晶夫による作品集。1976年から2001年にかけて撮影された写真から、変わりゆく東京の街の姿をたどっている。木造住宅が残る下町の風景、人であふれる交差点、夜の繁華街、半纏姿の女の子、都心に立ち並ぶビルや団地など、高度成長の余韻とともにやがて失われていった日常の光景が静かに写し取られる。特別な出来事ではなく、当時そこに確かにあった街の時間と空気を伝える一冊。
new message | ミヤギフトシ
沖縄出身のアーティスト、ミヤギフトシによるアーティストブック。自身のアイデンティティを紐解きながら、日常のささやかな出来事を写真や切り絵、インスタレーションなど多様な手法で表現する。沖縄のガム、完成することはない赤い手袋、紅茶が染み出す数分間、誰かの財布にしまわれた写真、震災で割れたカップなど、日常の細やかな「気づき」を作品と言葉で紡ぎ出す。
bauhaus: form und reform
1919年の創設から100年を迎えたバウハウスの思想と造形を、家具や日用品を通してたどる展覧会図録。バウハウスを創設したヴァルター・グロピウスの理念を起点に、家具、陶磁器、ガラス、金属作品などを紹介し、機能と造形を結びつけたデザインの広がりを紹介。ヴィルヘルム・ヴァーゲンフェルトやマリアンネ・ブラントの作品をはじめ、前史から後世への影響までを視野に収め、日常の「もの」からバウハウスの社会的・芸術的意義を読み解いている。
LINE STYLE | 三嶋典東
イラストレーター、グラフィックアーティストとして活動する三嶋典東による作品集。25年にわたり探求してきた「線」の表現をテーマに、構想10年を経て完成した本書には、500点におよぶ線画作品を収録。緻密で繊細な描線が生み出す独自の造形世界を展開している。また、当時の制作ノートや「描線論」と題されたテキストも併せて掲載し、作家の思考と創作のプロセスを多角的に読み解くことができる一冊。
Stenberg Brothers: Constructing a Revolution in Soviet Design
ロシア・アヴァンギャルドを代表するグラフィックデザイナー、ステンベルク兄弟の仕事を紹介する、ニューヨーク近代美術館の展覧会図録。ソビエト時代の無声映画ポスターやプロパガンダポスターを中心に、鮮烈な色彩と大胆な構図の作品を多数カラーで収録している。彫刻や建築、舞台美術にも関わった兄弟ならではの多彩な感覚と、構成主義の手法を生かした動きのあるデザインが際立つ一冊。
Lechts Rinks: Orientierung Zwischen Architektur und Parlament | Baumann&Baumann
ドイツのデザインオフィス、バウマン&バウマンによる作品集。ドイツ連邦議会の新庁舎のために設計されたコミュニケーション・システムを記録している。約4年にわたる設計プロセスを豊富な資料とともに収録し、建築空間と議会運営を結びつける情報デザインのあり方を具体的に示している。建築とグラフィック、政治と公共性が交差するデザインの実践を明らかにしている。
Moderne Mode 2003 | Bernhard Willhelm
ドイツ出身のデザイナー、ベルンハルト・ウィルヘルムに焦点をあてた展覧会「Moderne Mode」にあわせて刊行された書籍。アントワープ王立芸術アカデミーで学び、現在はパリを拠点に活動するウィルヘルムは、伝統的衣装や編み物の装飾を引用・分解しながら、既存の衣服の機能や役割を解体し、新たな身体像を提案してきた。本書では、彼の代表的なコレクションをはじめ、ファッション写真、雑誌記事、ランウェイの記録、さらには彼を取り巻く芸術的環境を紹介。アートとファッションの交錯から生まれる独創的なデザインの軌跡を明らかにしている。
Punk’s Dead | Simon Barker
セックス・ピストルズの親衛隊として活動したサイモン・バーカーによる写真集。ポケットカメラで撮影されたポートレートには、後にパンクスとして名を馳せるジョーダン、ニコ、スージー・スー、マルコム・マクラーレンらの姿が収められている。ステージ上のイメージとは異なる日常の表情や、個性豊かなファッションが親密な距離感で記録されており、当時の空気を鮮やかに伝える内容となっている。
Interaction of Color | Josef Albers
20世紀を代表する美術家・教育者、ジョセフ・アルバースによる色彩理論の名著。色は固定されたものではなく、隣り合う色との関係によって見え方が変わるという考え方を、豊富な色見本と簡潔なテキストで示している。1963年の初版以来、教育現場で読み継がれてきた本書は、色の相対性や強度、温度、透明感の錯視などを体験的に理解させる構成が特徴。理論と実践を結びつける視点から、色彩への感覚をあらためて鍛え直すための基礎資料として位置づけられている。
All Day Every Day | David Armstrong
アメリカの写真家デヴィッド・アームストロングによる作品集。都市のロマンスと田園の静寂という二つの世界を見つめ続けてきたアームストロングが、街角や高層ビルの外壁、緑豊かな樹々、午後の光に浮かび上がる椅子などを撮影している。日常にふと現れる幸福の予感を、詩的で繊細なまなざしでとらえた構成。都市と自然、光と影が交差する瞬間を収め、静かな時間の流れを映し出している。
Bacon Ice Cream 台湾版 | 奥山由之
2011年に第34回写真新世紀優秀賞を受賞し、大学在学中に鮮烈なデビューを果たした奥山由之による作品集。2015年に刊行された『BACON ICE CREAM』(パルコ出版)に未収録の作品を30点以上追加し、再構成した台湾限定版。自由で挑戦的な表現方法で独自の世界観を展開し、近年の写真界を牽引する存在として注目を集めてきた。デビューから現在に至るまでの活動を振り返り、作品からクライアントワークまでジャンルを横断して構成。瑞々しい感性と実験的なアプローチが織りなす軌跡を一望できる内容となっている。
ビジュアルデザイン1. 戸田ツトムのエディトリアルデザイン
神戸芸術工科大学が発信する研究誌『ビジュアルデザイン』の創刊号。特集はグラフィックデザイナー・戸田ツトムのエディトリアルデザインを一望できる『Tztom Toda Editorial Design 2001-』。さらに松岡正剛による「鉄斎と山水」、杉浦康平+宇野亞喜良の対談、「横尾忠則と西脇幻想」、そして「ヘルムート・シュミットとその教育精神:バーゼル・アジア・神戸」など、多角的なデザイン論も収録。文字や写真、絵を通して、ビジュアルやデザインが身体や記憶に響く新たな表現の可能性を誌面上に展開する。
決定的瞬間・その後 アンリ・カルティエ=ブレッソン近作集
フランスの写真家、アンリ・カルティエ=ブレッソンの作品集。1946年から1966年にかけて撮影された、「決定的瞬間・その後 」としてまとめられた作品群を紹介。アルベルト・ジャコメッティの朝食へ向かう姿、京都の子どもたち、團十郎の葬儀、ベルリンの壁、ニューヨーク・パリでのデモなど、日常の瞬間から、社会の動きや人々の営みを鋭く捉える。
ヤン・チヒョルト アシンメトリック・タイポグラフィ
20世紀を代表するタイポグラファー、ヤン・チヒョルトのによるブックデザインの世界的古典の邦訳版。活字の選択や組版の理論、色や紙、空間の効果的な使い方、装飾的・機能的タイポグラフィの意義まで、書物形成の基本原理と実用的なタイポグラフィを図版とともに解説する。モダンタイポグラフィの礎を築いたヤン・チヒョルトによる、書籍デザインや印刷文化にも深く影響を与えた一冊。
Mars | 濱村健誉
写真家・濱村健誉による作品集。地球の風景でありながら、どこか火星を思わせる荒涼とした光景を撮影し、砂丘や岩肌に刻まれた模様を通じて、未知の惑星を探査するかのような視覚体験を提示している。自然がつくり出した抽象的なフォルムと光の陰影は、科学的観察と幻想的想像力の両面を呼び起こし、見る者を異世界へと誘う構成となっている。写真を通じて、風景のリアリティとイマジネーションの境界を探る視点となっている。
Elizabeth Peyton | Zdenek Felix
アメリカの画家、エリザベス・ペイトンによる作品集。肖像画を主題とする作品で広く知られ、親しい友人からダイアナ妃、アンディ・ウォーホル、レオナルド・ディカプリオといった著名人まで幅広い人物を描いてきた。雑誌や新聞などの「公的」な写真と、自身が撮影した「私的」な写真をもとにした作品は、繊細な筆致と構成により、被写体との親密な関係性を想起させている。19世紀末の耽美的感性を想わせつつ、現代におけるイメージや肖像の意味を静かに問いかける作品群ー絵画、ドローイング、写真、版画など約70点を収録し、ペイトンの多面的な実践を紹介する。
メモランダム 古橋悌二
世界で活躍するマルチメディア・パフォーマンス・アーティスト集団、ダムタイプの中心メンバーであった古橋悌二の晩年までの記録をまとめた一冊。遺稿や書簡、インタビュー、ダムタイプの作品資料などを通して、35歳で亡くなるまでの思考と言葉を辿る。HIV/エイズと向き合いながら生き、制作を続けた古橋の姿が、静かに浮かび上がってくる。
アイデア No.136 ミリアム・ウォスク その豊かな官能的な色彩とおだやかな形態
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.136(1976年5月号)。巻頭では、アメリカのイラストレーターミリアム・ウォスクの鮮やかで官能的な色彩の作品世界をグラフィックデザイナーであるミルトン・グレイサーが紹介する。そのほか、五十嵐威暢による「アート・アタックと新鮮なデザイン・ワーク」、小塚昌彦による「タイポグラフィの新しい芽”新書体+タイポグラフィ展”」などを収録。
アイデア No.137 スプリンゲット・ビュック社
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.137(1976年7月号)。巻頭では、ロンドンで設立されたデザイングループ、スプリンゲット・ビュック社の仕事を体系的に紹介する。そのほか、桑山弥三郎による「タイプフェイス・ガイド1:サンセリフ」、日向あき子による「20世紀アメリカのフォーク・アート」などを収録し、国際的なデザインの潮流を俯瞰できる内容となっている。
テラダヒデジ「てらだひで字」
2026年1月17日(土)〜2月2日(月)の期間、民俗を意識して絵と文字を描くテラダヒデジ(@hideji_t)による「てらだひで字」を開催します。 今年で3回目となる恒例の描き文字のおみくじ「文字見籤(もじみくじ)」を […]
日本文様類集 全8冊揃
日本の風土や文化を題材にした文様集全8巻を揃えたセット。『雲霞集編』『むすび雛形・しきし編』『幾何学文様編』『蒔絵大全編(一)』『蒔絵大全編(二)』『美術海編』『花の丸文様編』『光琳道しるべ編』を収録している。各巻に収められた図版と解説を通じて、多彩な意匠表現や装飾の広がりを映し出している。
Cy Twombly
1988年から1989年にかけてテキサス州ヒューストンのメニル・コレクションで開催された展覧会に際して刊行された図録。アメリカ現代美術を代表する画家サイ・トゥオンブリーの絵画、ドローイング、彫刻を網羅し、観音開きページを含む構成によって、線や筆致、詩的な画面構成をダイナミックに伝える。カタリーナ・シュミットによる論考や出品リスト、文献も収録され、トゥオンブリーの表現世界を包括的に理解できる貴重な内容となっている。
ヴォルス 路上から宇宙へ
2017年にDIC川村記念美術館で開催された展覧会の図録。水彩、油彩、銅版画、彫刻、写真など多岐にわたる分野で活動したドイツの芸術家、ヴォルス(本名はアルフレート=オットー=ヴォルフガング・シュルツ)。38年という短い生涯でありながら、芸術運動「アンフォルメル」動向の先駆者として評価されるヴォルスによる写真作品と水彩、油彩、銅版画などを多数収録。
Alexey Brodovitch
1867年創刊の女性ファッション誌 ハーパーズ・バザー で20年以上にわたりアートディレクターを務め、誌面デザインの革新を牽引した存在として知られるアートディレクター、アレクセイ・ブロドヴィッチの仕事を紹介する作品集。完成された誌面だけでなく、レイアウトカンプや制作過程の資料も収録。リチャード・アヴェドンやアンリ・カルティエ=ブレッソン、マン・レイら写真家を起用し、誌面に新しい視覚表現をもたらしたブロドヴィッチの編集眼とデザイン思想を伝えている。
Tom Hunter
ロンドンを拠点に活動する写真家、トム・ハンターの代表作をまとめた作品集。名画の構図や光の使い方を参照しながら、現代を生きる人々の日常を写し出している。立ち退き通知を読む若い女性を描いた作品をはじめ、空き家に暮らす人々や、移動しながら生活する家族など、社会のなかで見過ごされがちな存在にカメラを向けてきた。「Persons Unknown」「Travellers」「Life and Death in Hackney」の3シリーズを通して、美術史へのまなざしと身近な生活の物語が重なり合う、トム・ハンターならではの写真表現が伝えられている。
LightSeed: Cy Twombly, Wolfgang Laib, Michel Verjux
1990年から1991年にかけてワタリウム美術館で開催された展覧会の公式図録。光や自然の内なる力を通じて、物質や経済に偏りがちな現代社会に新たな対話の場を提示することを目的としたもので、米国の抽象画家サイ・トゥオンブリー、自然素材を用いた静謐な作品で知られるドイツの芸術家ヴォルフガング・ライプ、フランスの繊細な造形を探求するミシェル・ヴェルジュの3人のアーティストが参加。各作家の代表作やインスタレーションを図版とともに掲載し、作品解説や略年譜も収録。
Mark Dion: Concerning Hunting
アメリカのコンセプチュアル・アーティスト、マーク・ディオンの作品集。剥製や自然素材、廃棄物、道具などを集めて構成したインスタレーションを通して、近年のプロジェクト「Concerning Hunting」を紹介している。博物館や学術展示を思わせる見せ方を用いながら、人と自然がどのような関係を結んできたのかに目を向けている点が特徴。本書ではとくに「狩猟」をテーマに、自然を大切にする意識と命を奪う行為が併存する矛盾を問いかけている。
Karl Blossfeldt: Die Arbeitscollagen
ドイツの植物学者で写真家、カール・ブロスフェルトによるコラージュ作品集。植物を至近距離で撮影した写真を、形や種類ごとにまとめて台紙に貼り合わせた「作業用コラージュ」61点を収録している。植物が持つ形の共通点や違いがひと目で伝わり、自然が生み出す造形の面白さに気づかされる構成。研究資料として作られたものながら、写真作品としての魅力も強く、ブロスフェルトの独自の視点を気軽に味わえる一冊。
Genazzi: Oggetti in Argento, 1930-1960 | Luigi Genazzi、Eros Genazzi
イタリアの銀細工師、ルイジ・ジェナッツィとその息子エロス・ジェナッツィによる作品集。1930年代から1960年代にかけて制作された銀工芸品を中心に、厳格なラインと繊細な装飾を持つルイジの職人技と、デザイナーとして参画したエロスの感性が交わることで生み出された前衛的な造形を紹介している。イタリア装飾芸術とインダストリアル・デザインの交差点に位置づけられる作品群が、時代の美意識と技術を浮かび上がらせている。300部限定発行。
谷口吉生のミュージアム
世界的建築家・谷口吉生が手がけたミュージアム建築を体系的に紹介する作品集。2004年から2005年にかけてニューヨーク近代美術館で開催された展覧会に際して刊行されたもの。土門拳記念館や豊田市美術館、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、東京都葛西臨海水族園、そしてニューヨーク近代美術館(MoMA)の増改築まで、国内外の代表作を豊富な写真・図面とともに収録。静謐で透明感のある空間構成、作品と建築の関係性への徹底した配慮など、谷口建築の本質が浮かび上がる。
Self Portrait | Lee Friedlander
アメリカの写真家リー・フリードランダーによるセルフポートレート作品集。1970年に刊行された写真集の復刻版であり、芝生に落ちる影や室内の鏡、街角のショーウィンドウなど、日常の中に映り込む自身の姿をとらえている。モノクロームによる800点以上の図版と論考を収録し、写真というメディアの自己言及性や視覚の複層性を浮かび上がらせている。
Karl Gerstner’s Avant Garde Kuche
スイスのデザイナー、カール・ゲルストナーによる食の評論集。科学的知見を踏まえながら、「健康であること」と「おいしさ」の両立をテーマに、料理や食文化について独自の視点で語っている。美食でも健康食でもない、その中間にある“現代的な食”を提案する内容で、図版を交えつつ知的でユーモアのある語り口が特徴。食を通してライフスタイルを考えたい人に向けた一冊。
成田亨作品集
デザイナー・彫刻家の成田亨による決定版作品集。特撮美術の革新者として知られ、ウルトラマンをはじめとする数々の番組で独創的な造形を生み出した成田の仕事を網羅的に収録している。「マイティジャック」「ヒューマン」「バンキッド」といった特撮関連作品から、モンスター大図鑑、特撮美術の資料、さらには後年に制作された絵画・彫刻までを幅広く掲載。未発表作品や実現に至らなかった幻の企画案も含め、全515点を収めた内容は、成田亨の造形思想と表現の全貌を伝えている。