本書は、主にドイツ・スイスでの「構成的な傾向を持つポスター」にフォーカスした資料本である。だが、これは一般的によく見られるようなデザイン史や美術史、あるいはポスターの歴史、巨匠となったデザイナーの作品紹介ではない。
そのポスターの持つ美的・意味的状態を生む出すデザインの構成要素、そしてその背景となる造形思考を研究している。非常に面白い。
研究対象時期は、1920年代のドイツを現代デザインの起点とし、スイス派と呼ばれるグリッドシステムなどが確立し、構成的・合理的な造形の傾向として素直な印象を持つ作品が支配的であった1970年ごろまで。
一気に読み込むのは難しいと思うが、手元において少しづつ読み進めてほしい。構成的とは何かが、少しだけ理解できるかもしれない。