ブックレビューBOOK REVIEW

アジアの文字を言祝ぐ。杉浦康平と写研の集大成
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アジアの文字を言祝ぐ。杉浦康平と写研の集大成

文字の祝祭

写研、杉浦康平

文字ってすごい。

文字とは、思いや情報を伝達するための記号であるわけで、わたしたちは日々意識することなく使用しています。ですが、その成り立ちやひと文字ひと文字に与えられた意味を探ると、それもう果てしのない旅に出ることができます。

本書「文字の祝祭」は、アジアの伝統文化における文字の役割についてまとめたタイポグラフィ研究書。日本の文字文化を中心に、中国の漢字、韓国の符籍文字、さらにはチベットやブータンなどの特異な文字を紹介しながら、その由来や込められた祈りなどを紐解きます。

ずっしりとした大判の本書。ページを開くとその情報量に圧倒されます。文字のフォルムのうつくしさや不思議さに引き込まれながら、ああなるほど、この姿・この読み方すべてに意味があるのだ!と一種の悟りにいたれそうな心地。もう、お供え物をささげたい。

まさに文字を言祝ぐ大著です。

本書の前身である「文字の宇宙」もあわせてぜひ。

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ブックディレクター。古本の仕入れ、選書、デザイン、コーディング、コラージュ、裏側でいろいろやるひと。体力がない。最近はキュー◯ーコーワゴールドによって生かされている。ヒップホップ、電子音楽、SF映画、杉浦康平のデザイン、モダニズム建築、歌川国芳の絵など、古さと新しさが混ざりあったものが好き。