1960〜1970年代にかけてのグラフィックデザイン界は、まさに群雄割拠。高度経済成長期を経て、情報化社会への一歩を踏み出した同時代において、印刷メディアは大きな発展を遂げました。
そんな時代を一望できる1冊が、本書「氾濫するイメージ 反芸術以後の印刷メディアと美術 1960's-70's」です。紹介されているのは8人の作家。赤瀬川原平、木村恒久、中村宏、つげ義春、タイガー立石、宇野亜喜良、粟津潔、横尾忠則。非常に濃厚な面々です。
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繰り広げられるイメージ群は、千姿万態。ポスター、フォト・モンタージュ、漫画、装丁。同時期に台頭したコンセプチュアル・アートとは異なり、印刷され、流通し、消費され、氾濫するイメージたち。
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だけどそんなことはお構いなしに大胆に冒険し、ときに引用とパロディを駆使しながら突き進むその姿は、アスリートのような疾走感をもっています。
知性と野性が同居するビジュアル表現をぜひご堪能ください。