【ノストス奮闘記】2019年2月:コンセプトって何だ?
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【ノストス奮闘記】2019年2月:コンセプトって何だ?

代表の中野です。

ご無沙汰しすぎの振り返り記事。
ノストス奮闘記第30回目。

過去の記事はこちら:
【ノストス奮闘記一覧】

結論からお伝えすると、先日コンセプトを新しくしました。 以前のコンセプトと比較して、より言語化できたという手応えがあったので、今回はそのお話を書いてみます。

2017年4月の記事でコンセプトを変えた話しを書きました。
https://nostos.jp/archives/158111

改めて記事を読んでみて「あの頃の君はきっとこれで良かったんだろうね…」と出来の悪い我が子を見るような気持ちになりました。そう感じると言うことは、きっと自分が進化したからだ。きっとそうだ。

旧バージョンコンセプト

ニッポン芸術をぼくらに。

ノストスブックスは、世田谷区松陰神社前に店舗を構える古書店です。
「日本の芸術文化」をメインテーマにセレクトした 古本・新刊・雑貨などを取り扱っています。

日本の芸術文化は長い歴史のなかで、 東西のあらゆる文化と出会い、そして混ざり合いながら 独自のスタイルをもつようになりました。

たとえば、 インドから中国を経て伝わった禅宗はわび・さびの精神を生み、 浮世絵や琳派の日本画はヨーロッパの芸術家に影響を与え、 アーツ・アンド・クラフツ運動は柳宗悦の民芸運動へとつながり、 現代日本の音楽やアニメ、漫画は今や世界中で親しまれるカルチャーとなりました。

点在する「日本的なるもの」たちを線でつなぐと現れるネットワーク状の広がり。 それらを手繰る行為は旅にとても良く似ていて ぼくらに無限の驚きと楽しみを与えてくれるのです。

既存の教養主義や美術史にとらわれず 知ることそのものを愉しめば、新たな想像力が生まれるはず。 そんな刺激をもっと身近に感じたい、感じてほしい。

ノストスブックスは はてしなく奥行きがあるニッポンの芸術文化へ アクセスするための入り口です。


このコンセプトにした流れをざっくりまとめると、

「知ることは素晴らしい」+「日本の芸術文化って実はあまり知られてない」+「個人的にも興味がある」

→「日本の芸術文化を軸にすれば、知るという行為の楽しみをより伝えられるかもしれない」

ということでした。

反省点は、「日本の芸術文化」というジャンルとも取れる言葉を持ってきたことと、言いたいことを簡潔にまとめきれなかったこと。

マトリクス図にしてみると「具体的+客観」の左下に位置している。どの位置が正しいと言いたいわけじゃなく、あくまでノストスの場合、商品を変えたり広げたときに成立しなくなる可能性があります。しっくりこなくなってきた理由はここにあったんだな、と今書きながら改めて納得。

ノストスブックスで本当に伝えたいことは「本というものの捉え方」とか「本を読んでいるときの心の状態や変化」なので、やはりこの位置にあるコンセプトではあかん。



そして右上に移動させるべく悩みまくって新しくしたコンセプトがこちら。

新バージョンコンセプト

新しい過去の発見

私たちは3つの大切なことを見つけました。

知っているつもりでいた過去の新しい発見。
体験していない時代への純粋な好奇心。
そして、瞬時に過去になる現在。

そのどれもが「新しい過去」と呼べるかもしれない。
過去と違うものが新しいのではなく、過去の見方が変わることが新しい。

ノストスブックスへ行けば「新しい過去を発見できる」
そう感じていただけるお店を目指しています。


このコンセプトのポイントは「新しい過去」を1ワードとして扱う点。
過去の、新しい発見」ではなく、「新しい過去の、発見」。

「新しい過去」とはなんぞや?
→それはこういうものだ。
→そうするとどうなる?
→だからそういう店を目指すのだ。

骨組みだけで見ても強いものになっていると思います。
実際これを書いたときに、「あ、俺が言いたかったことはこれだった!」という感覚がありました。しつこく5年考え続けた甲斐があった。

念のため、機能するコンセプトか?という点もスタッフ全員でチェック。
・今実現できているかではなく、目指す未来の姿であること。
・イメージができること(解釈はそれぞれでOK)
・ワクワクする言葉であること
・コンセプトに沿ったアイデアが出ること

実はスタッフに最初に伝えるとき、内心ビクビクでした。
「意味がわかりません」とか「ピンとこない」とか言われたらどうしよう…旗印になるコンセプトを無理やりゴリ押ししても全く意味がないし、かといって折衷案にすると弱くなる。

と思いきや、これも問題なくクリア。 「あ、いいかもしれない!」 という反応だったので一安心。ふぅ。


コンセプトって何だ?というタイトルに自ら答えるならば、「機能するコンセプトでなければコンセプトではない。そのための表現ならば何度でも変えても構わない。」というわけで、これからのノストスブックスはさらに良くなりますよ間違いなく。

※写真は浮かれ気分のおじさん。手がパン。

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ノストスブックス店主。歴史と古いモノ大好き。パンク大好き。羽良多平吉と上村一夫と赤瀬川原平と小村雪岱に憧れている。バンドやりたい。