突然ですが、私は「好きなことってなんですか?」という質問に答えるのが苦手です。なぜなら、「これだけは負けない」ってくらい好きなものが思いつかなかったり、あったとしてもうまく説明できなかったりすると、自分がつまらない人間のように感じて落ち込んでしまいそうだから。でもそんな風に感じたことのある人って、少なくないんじゃないかな?って思うんです。
今日はそんな言葉にできない気持ちに優しく寄り添ってくれるようなコミックZINE、「All That is Beautiful」をご紹介します。
2人の世界が優しく溶け合う:須山奈津希さん、安永哲郎さんについて
2016年にKnot Galleryで開催された同名展に併せて制作された本書は、イラストレーターの須山奈津希さんと、編集や執筆、講演、DJ活動など幅広く活動する安永哲郎さんによる共著。須山さんが描く漫画のストーリーと安永さんの綴るテキストは直接は繋がっていないものの、2人の世界観が優しく溶け合い、それぞれの魅力を引き立てながらひとつの作品を形作っています。その関係性はまるで、この作品の中にも描かれている人間関係のよう。全く異なる人間同士が出会い、繋がり、そして時にはすれ違いながらも、それぞれが影響しあって世界がなりたっているんです。
出会いと別れを繰り返しながら。人との関わり合いの中で見つける自分の気持ち
須山さんによって描かれた11人が抱く、様々な感情。それらの中には、一度は自分の頭の中によぎったことがある想いや、人には言いづらくて隠しておきたいような気持ちが時折登場します。なんだか心の中を覗かれたようでドキッとさせられてしまうんですよね。たとえばこんな風に。
まさに、先程冒頭で書いたのはこんな気持ち。自分の好きなものがうまく説明できないと、「じゃあ自分を作り上げているものは一体何なの?」と心細くなる感覚、分かるなぁ。でもそんな不安からふっと開放されるきっかけは、誰かの何気ないひとことや、新しいものに触れた瞬間、はたまた遠い旅先の地かもしれません。「あ、これが私の"好き"かも。」と思えることに出会えたとき、“わたし”という輪郭が少し濃くなったように思える。
自分がいま見ている世界は、自分が見たいと思っている都合のいい世界なのかもしれない。こんな風に誰かに指摘されたら落ち込んでしまいそうだけど、きっと、その人の見ている世界もその人だけの世界で。
「もうどうにでもなれ!」って腐りそうになったとき、あの子だったらどうするだろう?と頭に浮かべる人を誰しも持っているのではないでしょうか。その人はいつも、凝り固まった思考に縛られて視野が狭くなっている自分を開放してくれるんですよね。そしてみんな、いつかは誰かにそう思ってもらえるような自分になりたいと、こっそり願ってる。
身近な人、そうでもない人、ただ見かけただけの人、もうここにはいない人。そんな沢山の人を見ながら、ふと悟ったように気づきを得ることがある。「あぁみんな、ひとりぼっちなのかもしれないな」って。
イラストの途中に登場する安永さんのテキストは、諭すでもなく、また突き放すでもなく、読者の心にそっと語りかけてきます。本書の中ほどには、異国の地で少年と馬が言葉を交わす小さな物語も。その光景はまるで幼いころに見た夢のように、静かにまぶたの裏に広がります。
忙しなく過ぎる日々のなかで、どうにも気持ちが追いつかない。そんなときは、モヤがかった想いをことばにしてくれた11人の登場人物たちの声に耳を傾けてみるのはいかがでしょう。「あ、こんな風に感じているのは、わたしだけじゃないんだ。」って励まされている自分に気づくかも。
続編の「monochrome」もぜひ併せてご覧ください。
まさに、先程冒頭で書いたのはこんな気持ち。自分の好きなものがうまく説明できないと、「じゃあ自分を作り上げているものは一体何なの?」と心細くなる感覚、分かるなぁ。でもそんな不安からふっと開放されるきっかけは、誰かの何気ないひとことや、新しいものに触れた瞬間、はたまた遠い旅先の地かもしれません。「あ、これが私の"好き"かも。」と思えることに出会えたとき、“わたし”という輪郭が少し濃くなったように思える。
自分がいま見ている世界は、自分が見たいと思っている都合のいい世界なのかもしれない。こんな風に誰かに指摘されたら落ち込んでしまいそうだけど、きっと、その人の見ている世界もその人だけの世界で。
「もうどうにでもなれ!」って腐りそうになったとき、あの子だったらどうするだろう?と頭に浮かべる人を誰しも持っているのではないでしょうか。その人はいつも、凝り固まった思考に縛られて視野が狭くなっている自分を開放してくれるんですよね。そしてみんな、いつかは誰かにそう思ってもらえるような自分になりたいと、こっそり願ってる。
身近な人、そうでもない人、ただ見かけただけの人、もうここにはいない人。そんな沢山の人を見ながら、ふと悟ったように気づきを得ることがある。「あぁみんな、ひとりぼっちなのかもしれないな」って。
イラストの途中に登場する安永さんのテキストは、諭すでもなく、また突き放すでもなく、読者の心にそっと語りかけてきます。本書の中ほどには、異国の地で少年と馬が言葉を交わす小さな物語も。その光景はまるで幼いころに見た夢のように、静かにまぶたの裏に広がります。
忙しなく過ぎる日々のなかで、どうにも気持ちが追いつかない。そんなときは、モヤがかった想いをことばにしてくれた11人の登場人物たちの声に耳を傾けてみるのはいかがでしょう。「あ、こんな風に感じているのは、わたしだけじゃないんだ。」って励まされている自分に気づくかも。
続編の「monochrome」もぜひ併せてご覧ください。