今日は本にまつわる本をご紹介したいと思います。読書を楽しむことはもちろん、本という物質的な存在自体を愛する人々、すなわちビブロフィリア。愛書狂、書物崇拝狂などとも称されます。そんな彼らによる読書論や集書論、書評などの「本の本」または「書物の楽園」へのガイドブックを、リスペクトを込めてまとめてみました。
それではまいりましょう。
愛書狂 | 生田耕作編
本書はフランス文学者・生田耕作が、愛書狂という不治の奇病におかされた人々を描いた短編作品を編纂。ギュスターヴ・フローベール「愛書狂」、アレクサンドル・デュマ「稀覯本余話」、シャルル・ノディエ「ビブリオマニア」、フランソワ・アスリノー「愛書家地獄」、アンドルー・ラング「愛書家煉獄」の5篇が収録されています。本の魅力にとり憑かれてしまった書物狂いの顛末やいかに。
書斎 | アンドルー・ラング
詩人として活躍しながら、愛書家としても多大な功績を残したアンドルー・ラングの評論集。「猟書家の弁」「書斎」「珍しい本・美しい本」の3篇で構成され、禁欲と潔癖を貫く書籍論が綴られた古典的名著です。巻末の「若き愛書家への手紙」もこれまた面白い。先輩蒐書家の弁によると、専門分野をつくりコレクションせよ/特装本は投資である/不完全本は買うべからず、だそうですよ。愛書狂の世界は深い...。
愛書六十五年 | 庄司浅水
「書痴・書狂」の異名をとる書物研究家・庄司浅水が、「本は読むべし、また愛すべし」という座右の銘のもと、読書生活65年、集書歴50余年にわたる書物とのつながりを集大成。読書論や集書論を軸に、初版本・限定本・豪華本・奇本・珍本・禁止本など多種多様な諸本について、想いを込め楽しげに語りつくす1冊。
書物の楽園 紙魚のたわごと | 庄司浅水
続いてこちらも書誌学研究家の庄司浅水による著作。蔵書印と蔵書票、蒐書の心理、聖書から人皮装丁本まで、ありとあらゆる書物のはなしが語られています。まさに書物の楽園。天金、重厚な総革装本は100部限定、シリアルナンバーは8。
本の美しさを求めて | 関川左木夫
書物の美しさにとりつかれた著者が、師友との邂逅を交えながら装本・読書・書物の美学について綴る書物随想。モダンデザインの父ウィリアム・モリスが設立した印刷工房ケルムスコット・プレスの書物や、世紀末美術の画家/オーブリー・ビアズリーの装丁などを、著者の鋭い鑑識眼と美学で魅力的に洗い出しています。印刷手法、紙やインクの種類など、古書の装本にまつわるあらゆる情報が記載されていますので、貴重な資料にも。
定本蒐書散書 | 坂本一敏
蒐書家、愛書家、そして書物狂の著者が綴った書物にまつわるエッセイ集。本との出会いから武井武雄が手がけた豆本への想い、蔵書票に関する論考など、愛書家ならではの読み応えある1冊。武井武雄の刊本作品、集めたい...!!!
ブックライフ自由自在 | 荒俣宏
日本が誇るブックモンスター・荒俣宏が奇書、珍書、怪書を求めて世界中を駆け巡ったブックライフ回想録。古今東西のレア本を手に入れるため肉体も生活も書物に捧げた激烈な書物人生を、荒俣宏が初めて語ったエッセイ集。
書物漫遊記 | 種村季弘
博覧強記の独文学者、種村季弘が綴る「書物」にまつわるエッセイ集。色川武大「怪しい来客簿」、古今亭志ん生「二階ぞめき」、内田百閒「遊就館」、武田百合子「富士日記」など様々な名著、奇書、珍本をテーマに綴られた異色の読書案内となっております。
書国探検記 | 種村季弘
上記「書物漫遊記」に続く、種村季弘の読書エッセイ集。冒険小説、SF、日記、ポルノから宇宙論まで、あらゆるジャンルの書物を渉猟し評しているところは流石のひとこと。あらたな読書の分野を広げたいかたはぜひ。
幻想図書館 | 寺山修司
随筆家、劇作家など幅広い分野で活動し、「言葉の錬金術師」と評された寺山修司による一風変わったブックガイド。「髪に関する面白大全」「娼婦に関する暗黒画報」「オズの魔法使いのスクラップブック」「眠られぬ夜の拷問博物誌」など19のエッセイを収録しています。
不思議図書館 | 寺山修司
上記「幻想図書館」の姉妹編。寺山修司自らが見つけた世界各国の奇書・珍書と、読書の新たな楽しみ方について語り尽くします。「ドラゴンの謎をとく画報」「吸血鬼に関する文献資料」など、ヨーロッパの古本屋に埋もれてそうな、不思議でなにやら怪しげな書誌を紹介。