羽良多平吉デザインの書籍を収集していた頃に出会った不思議なタイトルの同人誌「ドノゴトンカ Donogo-o-Tonka」。
このドノゴトンカという不思議な言葉は、昭和初期に存在した同名雑誌にちなんでいる。旧来の文学、思想、時代に抗して「未だ知られざる世界」を建設しようとする大望を持って命名された。
元ネタをさらに遡ると地理学者イイヴ・ル・トルアディック著「南米地誌」第三巻中に幻の都市Donogo-o-Tonkaが記され、それは「未だ甞て世界の何処にも存在した事はない理想郷」を示す。
内容はというと、日本におけるモダニストたちの作品や思想を、批評の眼差しを持って紹介し、そこから現代性を浮かびあがらせようと試みている。わずか30p前後の薄い冊子だが、羽良多デザインと相まって、時代を超えた不思議な魅力を醸し出している。
創刊準備号と創刊前夜号ときて、その後出るはずの創刊号は未だ見たことがない。出ているのだろうか?