Matisse: The Graphic Work
アンリ・マティスの版画やドローイングなど、グラフィック作品に焦点を当てた作品集。絵画に比べて注目される機会の少なかった仕事を、創作初期から晩年までの全期間と、用いられたあらゆる技法を視野に入れながら、代表的な約100点によって体系的に紹介している。リトグラフやエッチング、書籍の挿絵など多様な表現を通して、簡潔な線、余白の緊張感、感情と造形の関係が鮮明に浮かび上がり、マティスの表現の核心に迫る内容となっている。
Fashion Magazine: Austin, Texas | Lise Sarfati
マグナム・フォトのメンバーでもある写真家、リゼ・サルファティによる作品集。テキサス州オースティンを舞台に、街で出会った若者たちを被写体とし、ファッションとポートレートのあいだを行き来する独自の表現を展開している。流行を身にまといながらも不安定さや官能性を漂わせる思春期の若者たち。その一瞬の佇まいを静かに切り取ることで、被写体の内面に潜む感情を浮かび上がらせている。ファッション写真の洗練と、肖像写真の緊張感が交差するサルファティの視線を凝縮した一冊。
Andreas Uebele: Material ドイツ語版
ドイツのグラフィックデザイナー、アンドレアス・ウーベレの作品集。建築を学んだ経歴を背景に、ライヒスタークのグラフィックやヴィトラ・キャンパスのサイン計画など、構造的で明快なデザインを数多く手がけてきた。本書では、ウーベレによる85のプロジェクトを、制作の出発点となった「素材」という視点から紹介。書体やサイン、印刷物に加え、マシュー・カーター、エイドリアン・フルティガー、マッシモ・ヴィニェッリ、ヘルマン・ツァップら協働者の仕事も交えながら、軽やかさと明瞭さを併せ持つウーベレのデザイン思考を伝えている。
Alexander Girard Designs for Herman Miller 2nd Edithon
1950〜60年代を代表するデザイナーのひとり、アレキサンダー・ジラードの作品集。1952年にハーマンミラー社のテキスタイル部門責任者となったジラードは、イームズやネルソンの家具に鮮やかで革新的なテキスタイルを与え、当時のモダンデザインに色彩と遊び心をもたらした。本書では、テキスタイルや壁紙、オフィスのための環境エンリッチメント・パネル、家具シリーズなどを中心に、400点以上の図版でその仕事を収録。フォークアート・コレクター、建築家、インテリアデザイナーとしての側面も含め、20世紀デザイン史におけるジラードの独自性と影響力を包括的に紹介している。
Taking a Line for a Walk: Assignments in Design Education
デザイン教育における「課題(アサインメント)」に注目した一冊。指示やルール、問い、ゲームなど、課題がどのように学びを導くのかを紹介している。本書には、歴史的なものから現代の実践まで224の課題を収録。教育者や学生にとって、発想や授業づくりのヒントとなる内容がまとめられている。2014年に開催されたInternational Biennial of Graphic Design Brnoでの同名展覧会をもとに制作された。
バウハウス 1919-1933
芸術と技術、そして芸術と産業の統一を掲げ、世界的に影響を与えたバウハウスの全貌を紹介する「バウハウス 1919-1933」展の図録。モダンデザインの規範となった同校の基礎教育や授業内容、各工房での制作活動を豊富な図版とともに解説する。さらに日本への影響や当時の評論なども収録し、その歴史的意義と国際的広がりを多角的に伝えている。
痕跡 戦後美術における身体と思考
2005年に京都国立近代美術館と東京国立近代美術館で開催された展覧会の図録。戦後美術における表現の変化を「痕跡」という視点から捉え、身体行為と思考がいかに作品として定着したかを検証する。絵画、彫刻、パフォーマンス、インスタレーションなど多様な作品を通じ、制作行為そのものがもたらす物質性や時間性に焦点を当てる。具体美術協会をはじめとする日本美術と欧米の戦後表現を横断的に紹介し、論考と豊富な図版によって美術史的意義を明らかにしている。
Le Pigment De La Lumiere | Olaf Nicolai、 Heidi Specker
再建されたデッサウのマイスター邸のために制作された、オラフ・ニコライの壁面作品「Le pigment de la lumière」を記録した作品集。大理石の粉末を粒度の異なる状態で塗布することで、幾何学的なパターンと微細な起伏を生み出し、光の変化に応答する表面をつくり出している。ほとんど意識されないほど控えめな造形は、ニコライが継続して探ってきた「カモフラージュ」という概念とも重なるもの。写真家ハイディ・シュペッカーは、その壁面を撮影することで、輪郭や表面と空間の関係を際立たせ、光によって立ち現れる知覚の揺らぎを丁寧に捉えている。
宇宙中的長城 万里の長城を1万メートル延長するプロジェクト | 蔡國強
中国出身の現代美術家、蔡國強による作品資料集。「万里の長城に1万メートル加えるプロジェクト」として、万里の長城の終点・嘉峪関から1993年2月27日夕刻、1万メートルの炎と硝煙の長城を出現させたプロジェクトの記録をまとめたもの。プロジェクトの写真、制作過程など図版とともに解説を収録。
Olafur Eliason: Open House
デンマーク出身の現代アーティスト、オラファー・エリアソンのスタジオが手がける〈Take Your Time〉シリーズ第7巻。スタジオ内部で行われる制作のプロセスや実験的リサーチ、作品が形になるまでの過程を豊富な写真資料とともに紹介している。スタッフや研究者との協働を通じて生まれる創造の現場を記録し、エリアソンの思考と実践の全貌を明らかにしている。
八木良太 サイエンス フィクション
2014年に神奈川県民ホールで開催された展示の図録。若手作家に焦点を当てた現代美術シリーズ第5弾として、現代美術作家・八木良太の表現世界を紹介する。日常にありふれた事物を独自の視点でとらえ直し、モノの機能や性質を解体・再構成する。立体、映像、インスタレーションなど多彩な作品図版とともに、その発想や空間構成を丁寧に解説。
Borderlands | Helene Schmitz
スウェーデンの写真家、ヘレーネ・シュミッツによる作品集。砂に覆われた室内や荒廃した建築、家具が取り残された空間、あるいは熱帯の植物が生い茂る風景などを撮影している。人為的に築かれた環境と自然が入り混じる場面は、破壊と再生の両義性を示している。写真は単なる記録にとどまらず、私たちが自然をどのように捉えてきたかという視点を呼び起こす。儚さと美しさを併せ持つ情景を通じて、自然観の多層性を浮かび上がらせている。
漕 Kogi | 津田直
写真家・津田直による作品集で、琵琶湖を舞台に撮影した〈漕 Kogi〉シリーズをまとめている。波立つ水面や湖上の月、日本家屋や雨の気配といった風景を写し取り、写真と散文を織り交ぜながら構成されている。かつて江戸時代に琵琶湖を往来した丸小船の存在を重ね合わせることで、現在と過去が交錯する時間の流れを示し、水に宿る記憶を探る内容となっている。静謐で詩的な視点から、水と人との関係を浮かび上がらせている。
Woosters | Ted Stamm
アメリカのアーティスト、テッド・スタムの活動を初めて本格的に紹介するモノグラフ。1970年代のニューヨークを拠点に、黒という色彩に徹底して向き合い、ミニマルな絵画から街頭での介入的な表現までを展開した。本書では、晩年まで制作と生活の場としたウースター・ストリートに着想を得た「ウースター・シリーズ」を中心に、絵画、紙作品、ステンシル、写真を収録。都市空間と絵画表現の関係を探ったスタムの実践と、その独自の造形感覚を紹介している。<
Novo Typo Color Book | Mark van Wageningen
オランダ・アムステルダムを拠点とする独立系のタイポグラフィ、グラフィックデザインスタジオNovo Typoによるビジュアルブック。色とタイポグラフィの新たな関係性を探求する実験的プロジェクトをまとめた1冊。多色で組むためにデザインされた書体「Ziza(ジザ)」を用いて使用例を紹介。限定750部。英語表記。
Ehrlich Yanai Outside-In: New California Modernism
建築設計事務所・EYRC Architectsによる住宅建築集。スティーブン・アーリックとタカシ・ヤナイの設計による、南カリフォルニアを中心にサンフランシスコやヒューストン近郊に建てられた16の住宅プロジェクトを収録している。海や山、豊かな自然環境と調和しながら、開放的でシンプルな造形に地域の気候や文化的要素を融合させた建築を多数掲載。モダニズムの理念を継承しつつ、現代の生活様式に寄り添う新しいカリフォルニア建築の姿を紹介している。
Mies Van Der Rohe
20世紀モダニズムを代表する建築家、ミース・ファン・デル・ローエの仕事を写真と図版でたどるモノグラフ。1929年のバルセロナ万国博覧会ドイツ館(バルセロナ・パヴィリオン)や、アメリカ移住後に手がけたニューヨークのシーグラム・ビルなど、建築史に残る代表作を中心に、家具デザインもあわせて紹介している。「Less is more(より少ないことはより豊かである)」という思想のもと、鋼とガラスによって切り拓かれた簡潔で力強い空間構成を、視覚的に理解できる一冊。
Naoto Fukasawa
プロダクトデザイナー・深澤直人の英語版として初めて刊行された作品集。自身の監修のもと、携帯電話「INFOBAR」や電卓など代表作を含む100点以上を豊富な図版とともに解説している。寄稿者には同じくプロダクトデザイナーのジャスパー・モリソンや原研哉、彫刻家アントニー・ゴームリーらが名を連ね、国際的な視点から深澤直人の活動を論じている。装丁は原研哉が手がけている。
The Dymaxion World of Buckminster Fuller
デザイナーや建築家、詩人などとして活動したバックミンスター・フラーの代表的コンセプト「ダイマクション(Dymaxion)」について紹介した一冊。「最小のエネルギーで最大の成果を生む」という思想のもと誕生した、ダイマクション・カー、ジオデシックドーム、ユニット型バスルームなど革新的デザインを写真や図解とともに解説する。かつて夢想家と見なされながらも、のちに時代に先駆けていたことが証明された思索の軌跡を描き出す。
Eames Design イームズ・デザイン展(表紙オレンジ)
2001〜2002年に東京都美術館などで開催された展覧会の図録。ミッドセンチュリーを象徴するデザイナー、チャールズ&レイ・イームズ夫妻の仕事を総覧する一冊。成形合板の技術で革新をもたらした椅子をはじめ、家具、建築、映像、玩具、テキスタイルなど、夫妻が生涯にわたり手がけた多様なデザインワークを豊富な写真と資料で紹介する。優れた機能性と美しい造形を兼ね備えたイームズ作品の広がりと、20世紀アメリカのモダンデザインへの大きな影響を伝えている。
粟津潔の仕事 1949-1989
日本を代表するグラフィックデザイナー、粟津潔の40年にわたる創作活動を総覧する作品集。初期のスケッチからポスター、ブックデザイン、舞台美術に至るまで、多岐にわたる仕事を豊富な図版で紹介している。戦後日本のデザイン史を牽引した粟津の実験精神と社会へのまなざしを通して、グラフィックデザインの可能性を再考させる一冊。
The Glove: More than Fashion
手袋という身近なアクセサリーを、ファッションにとどまらない文化史の視点から読み解く一冊。イヌイットの防寒用ミトンやボクシンググローブ、ゴム手袋、教皇の手袋から、マーク・ジェイコブスやドリス・ヴァン・ノッテンによるデザインまで、多様な実例を通して手袋の広がりを紹介している。実用品としての防寒や保護の機能にとどまらず、決闘に用いられる象徴的な道具や、愛の証としての意味を担った歴史的背景にも光を当てる内容。文化や宗教、スポーツの領域を横断しながら、手袋の魅力をあらためて提示している。
石上純也 ちいさな図版のまとまりから建築について考えたこと
INAX出版による『現代建築家コンセプト・シリーズ2』として刊行された、建築家・石上純也の思考と表現を探る一冊。スケッチ、図面、イラスト、絵画、コラージュ、写真といった多様な図版とテキストを通じて、建築をめぐる思考のプロセスを可視化する。モダニズムやポストモダニズムとは異なる次元で、建築の存在や空間の在り方を問い直すその試みは、石上の建築そのもののように繊細で精緻な関係性に貫かれている。
谷口吉郎・谷口吉生の建築 金沢が育んだ二人の建築家
2014年に金沢市民芸術村で開催された展示の図録。金沢が育んだ二人の建築家、谷口吉郎と谷口吉生の作品を紹介。藤村記念堂、帝国劇場、豊田市美術館、ニューヨーク近代美術館ほか、金沢を起点に日本各地から世界へと広がる建築の軌跡を、豊富な図版と解説で収録。建築の世界を通して、建築が果たす役割とは何か、都市のあり方とは何かを問い直す。
Chocolate チョコレート
2007年に21_21 DESIGN SIGHTで開催された展示の図録。企画は三宅一生、佐藤卓、深澤直人。国内外のアーティストやデザイナーが、誰もが知る普遍的な食べ物であるチョコレートを題材に制作した、映像、立体、インスタレーションなど約70点の作品を収録している。ワークショップを重ねながら生まれた多様な視点は、デザインの楽しさだけでなく、嗜好品としてのチョコレートが持つ社会性や文化的背景にも光を当てている。
Water 水
2007年に21_21 DESIGN SIGHTで開催された展示の図録。ディレクションは佐藤卓。日常にあまりに身近な存在である水をあらためて見つめ直し、展示に沿った5つの構成で、写真、映像、テキスト、インスタレーションなど多様な表現を収録している。コンセプト・スーパーバイザーに文化人類学者の竹村真一を迎え、一杯の牛丼に約2000リットルの水が必要とされる事実や雨水利用の仕組みを可視化する展示、超撥水素材による体験型作品、水の美しい表情をとらえた写真などを通して、無形でつかみどころのない水の多面性を紐解いている。
XXIst Century Man 21世紀人
2008年に21_21 DESIGN SIGHTで開催された展覧会の図録。企画・ディレクションは三宅一生。21世紀という転換点に立つ人間のあり方を見つめ、「人の身体」と「ものづくり」の関係を軸に、現代のアーティストたちの作品を紹介している。日用品や家電の部品、廃材など身近な素材を用いたオブジェやインスタレーション、身体性や手仕事に着目した表現を通して、現代社会に潜む危うさを問いかけると同時に、21世紀を生きる人間の可能性や希望も提示する構成となっている。特別出展作家として、イサム・ノグチ、ロン・アラッド、ティム・ホーキンソンが参加。
Stockholm Design Lab 1998-2019
1998年にストックホルムで設立されたデザインスタジオ、Stockholm Design Labの作品集。ノーベル賞やアディダス、イケアなどのブランディングをはじめ、約20年にわたる仕事を業界・テーマ別に整理して紹介している。ビジュアルアイデンティティの制作過程や初期案、未公開資料も収録し、シンプルで力強い発想がどのように形になってきたのかが伝わる一冊。
ヤン・チヒョルト 書物と活字
20世紀モダン・タイポグラフィを代表するタイポグラファー、ヤン・チヒョルトによる欧文書体の名著『Meisterbuch der Schrift』(1952年)の日本語版。書体の良し悪しの見極め方や適切な選定、レイアウトの考え方を、豊富な図版とともに平易に解説している。古典から近代まで200点以上の活字やレタリングを紹介し、文字の使い方を体系的に整理。ペンギン・ブックスのアート・ディレクターとしても知られるチヒョルトの実践と思想が凝縮された、タイポグラフィの基礎を学ぶための定本として位置づけられている。
青木淳 Jun Aoki Complete Works 2
建築家、青木淳による「青森県立美術館」を主題にした作品集。冬の雪原に静かに佇み、やがて埋もれていく建築の姿を、見る者に追体験させる。写真家・鈴木理策が撮り下ろした全119点の写真に加え、設計図面や関連資料、自身による論考と詳細な解説も収録。「土の展示室」の施工過程を記録した「土のレポート」も付され、建築・写真・思考が交差する。
In Between Places | Uta Barth
写真家、ウタ・バースの作品をまとめた初の本格的な作品集。日常的な室内や光の移ろいを題材に、ピントのずれや明暗、構図の変化を通して「見ること」そのものに目を向けた写真が収録されている。はっきりと対象を示さないイメージは、身近でありながらどこか掴みきれない感覚を呼び起こし、視覚の曖昧さや時間の流れを静かに感じさせる。代表作を丁寧に選び抜いた構成により、バースの一貫した関心と写真表現の特徴がわかりやすく伝わってくる内容となっている。
Approaching Nowhere | Jeff Brouws
アメリカの写真家、ジェフ・ブラウズによる作品集。車で移動するアメリカの風景を背景に、郊外の街並みや建物、衰退した中心市街地などを静かに見つめている。宅地開発やショッピングモール、高速道路が広がる一方で、かつての面影を残す場所や、空洞化した都市の姿にもレンズを向け、アメリカ社会が抱える理想と現実のずれを浮かび上がらせる。郊外が自然を侵食していく光景や、荒廃した都市内部の記録も収録。
All American Twelve | Bruce Weber
アメリカの写真家ブルース・ウェーバーが10年以上にわたり続けてきた、写真集であり文学誌でもある独自の出版プロジェクト『All-American』シリーズ第12号。本号のテーマは、自由と信念を体現する人物たちの人生から「学び」を引き出す。俳優であり活動家のダニー・トレホダニー・トレホの異色の成功物語、ファッションエディターのポリー・メレンは、輝かしいキャリアを通じて好奇心の重要性を説く。写真・詩・エッセイが混在する構成で、リアルな言葉と姿を通じ、自由に生きることの意味を描き出す。
Branded Youth and Other Stories | Bruce Weber
アメリカの写真家、ブルース・ウェーバーによる作品集。ロンドンのナショナル・ポートレート・ギャラリーでの展覧会にあわせて刊行されたもの。ボーイスカウトや若者、家族、著名人など多様な被写体を通して、若さや友情、自由といったテーマを写し出している。ファッション写真で知られるウェーバーだが、本書ではポートレートや日常の情景を中心に、人間のもつ素朴な魅力や感情に目を向けている。
柳宗悦没後60年記念展 民芸の100年
2021年に東京国立近代美術館で開催された展覧会にあわせて刊行された図録。民藝運動を牽引した柳宗悦の没後60年を契機に、陶磁器、染織、木工、民具、民画、出版物や写真資料など、全国各地から集められた450点を超える作品と資料を通して、その100年の歩みを検証している。美術館・出版・流通という三つの軸を中心に展開された民藝の実践に着目し、蒐集や鑑賞にとどまらない社会的活動や地域とのネットワークを丁寧に辿る。
Somewhere Sideways Down at an Angle but Very Close
ドイツ出身のアーティスト、フロリアン・マイゼンバーグによる展示図録。写真やメッセージといったデジタルデータをプリントアウトし、スキャンや再デジタル化を重ねることで、デジタルと物質のあいだを往復する作品を紹介している。本書は、その膨大なアウトプットから抜粋して再構成したもので、単なる記録にとどまらず、印刷物として新たなかたちを与えられている。拡張現実(AR)アプリにも対応し、視覚体験を別の感覚へと広げる試みも盛り込まれている。
イサム・ノグチと長谷川三郎 変わるものと変わらざるもの
2019年から横浜美術館やノグチ美術館などを巡回した展覧会の図録。彫刻家のイサム・ノグチと画家の長谷川三郎の交流に焦点を当て、作品、記録写真、書簡や資料を通して両者の思考と実践をたどっている。戦後の日本で再会した二人は、東洋と西洋、伝統とモダニズムの緊張関係を見据えながら、芸術と社会の新たな関係を模索した同時代の探究者だった。風景、人体表現、抽象、素材への関心といった共通の主題を軸に、分野を越えて交わされた対話と、その後の創作への影響を丁寧に伝えている。
Isamu Noguchi: Sculptural Design
20世紀を代表する芸術家イサム・ノグチの創作活動を紹介する作品集。彫刻を軸に、舞台装置、照明器具、インテリア、公共空間のデザインなど多岐にわたる分野での仕事を収録している。制作風景を捉えた貴重な写真や、師コンスタンティン・ブランクーシとの関係をめぐる記事も掲載し、素材と空間の関係を探求したノグチの造形思想を多角的に検証している。
Volunteer | Paul Seawright
イギリスの写真家、ポール・シーライトによる作品集。アメリカ各地に設けられた軍のリクルート(志願兵募集)拠点とその周辺の風景を撮影したシリーズを収録している。郊外のショッピングセンターや仮設オフィスなど、一見どこにでもありそうな場所に目を向け、戦争が社会や風景に残した影を静かに映し出す。華やかな「アメリカン・ドリーム」の周縁で、軍が若者たちを募る現実。シーライトはその無名性の高い風景を通して、遠い戦地での戦争が国内の暮らしや土地に与える影響を淡々と捉えている。
Birds of a Feather | Luc Tuymans
ベルギーを代表する画家、リュック・タイマンスの近年の作品に焦点を当てた作品集。2015年に開催された同名展にあわせて刊行され、スコットランド啓蒙思想への関心を起点とする絵画群を収録している。18世紀の肖像画家ヘンリー・レイバーンによる哲学者像を参照した小品や、ゴヤの「黒い絵」を想起させる重苦しい画面、さらには実在の事件を題材にした肖像など、理性と不穏さが交錯する主題が展開される。
Loewe: Womenswear Spring Summer 2016
ラグジュアリーブランド、ロエベの2016年春夏ウィメンズコレクションをドキュメントした オフィシャル・カタログ。コレクションは、クリエイティブ・ディレクターのジョナサン・アンダーソンによるウィメンズウェアで構成。カラーとモノクロのヴィジュアルを組み合わせ、アートディレクションを手がけた M/M (Paris) による独自の表現でコレクションの魅力を伝える。写真は ジェイミー・ホークスワース、スタイリングは ベンジャミン・ブルーノが担当。Spring/Summer 2016のランウェイのルックを収録した冊子付属。限定1000部。
SUNSET | Jens Klein
ドイツの写真家、イェンス・クラインによる、東西ドイツの国内国境を越えようとした人々の脱出ルートを描いた写真集。収められた写真は、シュタージ記録局のアーカイブから選ばれ、1961年から1989年に秘密警察、警察、国民人民軍の国境警備隊によって撮影されたもの。監視や国境施設のチェック、脱出の試みの記録を通じて、逃亡者の運命ではなく彼らが選んだルートに焦点を当てている。ページをめくるとトンネルや水路、列車や街の風景をたどる迷路のような旅が展開し、歴史的証言と個人の想像が交錯する。
Books on Japan 1931-1972 日本の対外宣伝グラフ誌 | 森岡督行
森岡書店店主・森岡督行が、1931年から約40年にわたって発行された日本の対外宣伝グラフ誌を編纂。日本工房の『NIPPON』や東方社の『FRONT』など、全106点のグラフ誌から選りすぐった表紙と本文をカラーで紹介している。日本の文化や風景をテーマとしたものに加え、戦時下には富国強兵を前面に押し出した号も含まれており、グラフィックの魅力とともに、当時の時代背景や思想の変遷を読み取ることができる。
Arte Povera 1966-1980 Books and Documents | Giorgio Maffei
1960〜70年代イタリアを代表する美術運動「アルテ・ポーヴェラ」に関わった作家たちが、1966年から1980年にかけて制作・刊行した書籍や資料をまとめた一冊。ジョバンニ・アンセルモ、アリギエロ・ボエッティ、ルチアーノ・ファブロ、ミケランジェロ・ピストレットほか、主要作家によるアーティストブックや展覧会資料をカラー図版で多数収録。彫刻やインスタレーションといった「作品」ではなく、出版物という視点からアルテ・ポーヴェラを捉え直す。