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パンクムーブメントとファッション。写真集で振り返る反体制の証。
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パンクムーブメントとファッション。写真集で振り返る反体制の証。

こんにちは。わたし中野です。
ノストスブックスにはパンク関連の本が意外と多いのをご存知でしょうか? 僕の中でパンクと言えばUK。USパンクも好きですが、なんといってもUKパンク周辺に多大な影響を受けています。

10代に口ずさんだ歌を、人は一生、口ずさむ 」というSONYのCMコピーは本当ですね。 10代〜20代前半でどっぷりとUKパンクにハマりまくっていたので、こうしておじさんになった今でも、当時聞いていた音楽に触れると心躍ります。みなさんにもきっとありますよね?

「本と音楽」シリーズ第5弾はパンク好きが送るパンク好きのための本5選。今や動画を見つけるのも簡単な時代ですから、動画を見つつ、バンドやファッション、ジャケットアートワークを楽しんでください。



反体制の証としてのファッション

City Indians

City Indians

著者
Chris Wroblewski
出版社
Eichborn Verlag Ag
発行年
1983年
スキンヘッド、モヒカン、ピアッシング、タトゥーなど、自らを過激に装飾する若者たちの姿をとらえた写真集。
もはやなかなか手に入らないレア本と言える一冊。パンクスだけでなく、スキンズ、サイコビリー、テッズと当時のあらゆるファッションを見ることができます。写真も一級ですがMartin Knoxによるデザインも非常に見応えがあります。カバーの2人の見事なトロージャン。立たせないとカッコ悪いんですよねこの髪型の難点は。毎日ビシッと立てるのは意外と大変。※モヒカンは短いやつ。こちらはトロージャン。

City Indians どちらも完璧なスタイル。こなれた感が雰囲気出してます。日本だと豊橋辺りに多くいるスタイルかな。もういないのかな?

CHAOS UKの名曲「No Security」。疾走感がたまりません。そして曲もさることながらサイモンのトロージャンが最高にカッコいい!ベストオブトロージャンです。

自分のスタイルに対する誇り

Skinhead

Skinhead

著者
Nick Knight
出版社
Omnibus Press
発行年
1982年
60年代〜70年代にロンドンにたむろしていた不良少年集団「Skinhead」の姿を追った記録集。
1980〜81年、イギリス・イーストエンド地区のスキンズを密着した写真集。いわゆる下町育ち、労働者階級の子どもだった彼らが自分たちだけのスタイルを生み出し、それを頑なに守ることが仲間意識を強めると信じていたのではないかと思います。時に排他的な行動も伴ってしまったため、スキンズ=フーリガンというようなマイナスイメージがつきまとうこともありますが、個人的にはファッションとして一番影響を受けたかもしれません。ゲッタクリップの方がマーチンよりゴツくて好きでした。どこいった。

イーストエンド出身のOiパンクバンド。大好きな彼らが動いているのを初めてみた時の感動を忘れません。フライングVのギターってところがニクいです。非常にポップで軽快な曲が多いのが特徴です。

このバンドも外せないOiパンクの名曲タイトルそのまま「East End Kids」。格好が死ぬほどダサいけどそれもまた良し。

何かが変わろうとするワクワク感

PUNK+ a document of punk from 1976-1980

PUNK+ a document of punk from 1976-1980

著者
Sheila Rock
出版社
First Third Books
発行年
2013年
1976年から1980年にかけて広がりを見せた、パンクカルチャーのドキュメントフォトブック。
当時不況の真っ只中だったロンドンを中心に広がったパンクムーブメントをシーラロックが撮影した一冊。ファッション、人々、シーン、音楽と4つに大別された数々の写真は、何かが変わろうとする高揚感に満ちています。若者たちの鬱屈した気持ちを代弁したバンドたちも熱狂的に支持されました。

PUNK+ a document of punk from 1976-1980 マルコム・マクラーレンとヴィヴィアン・ウエストウッドのブティック「Let It Rock」も「SEX」と名前を変え、パンクファッションの発信地として人気に火がつきました。当時の彼女にセディショナリーズのガーゼシャツをプレゼントされたほろ苦い思い出。

PUNK+ a document of punk from 1976-1980 まだ試行錯誤が見られますが、自分なりの表現が良いですね。アイメイクもこの時期の特徴かもしれないです。SEXが作った流行りなのかもしれませんね。

わずか16歳でパンクムーブメントに突っ込んでいったEater。何かやらねば!オレたちも何かやりたい!という感じだったんじゃないかな?と想像してます。曲は荒々しい初期パンクならではの雰囲気。サビが「誘ってんのに〜」に聞こえるのが16歳っぽいと思わせる偶然。

レコード探しのお供に

Punk on 45: Revolutions on Vinyl 1976-79

Punk on 45: Revolutions on Vinyl 1976-79

著者
高橋淳一、有賀幹夫
出版社
ジャグラー
発行年
1991年
洋楽パンクバンドのレコードジャケットデザイン集。パンクの流れをUK/USそして時期に分け、それぞれにアートワークをカラーで掲載。
1976年から1979年にリリースされたパンクのシングル盤をオールカラーで紹介。レア盤を見つけるのに最適な資料本ですね。朝から西新宿→中野→高円寺→渋谷を1日かけてレコードを買い漁るお決まりのルートが懐かしいです。金が無さ過ぎて、ある時全部売ってしまったことを激しく後悔しながら読みました。

MENACEのこのシングルがどうしても欲しくて探し回った記憶があります。キャッチーなシンガロングを基本にしたクラシックパンクの名曲。これも売っちゃったんだよなぁ。。

これはある日知らないパンクのお兄ちゃん2人組が突然ウチにやってきて、「USERS売ってくれ」って言われた思い出の一枚。B級パンクを掘ってた時代。というかYOU TUBEなんでもあるな。

ピストルズからディスチャージまで

パンクライナーノート

パンクライナーノート

著者
森脇美貴夫
出版社
JICC出版局
発行年
1984年
評論家、プロデューサーとしても活躍する雑誌「DOLL」編集長・森脇美貴夫によるライナーノート。
DOLL愛読者だったものとしては読まなければいけない一冊。リアルタイムでパンクを体験してきたからこそ完全なる主観主義を貫ぬいているレビューが気持ちよいです。「もしディスチャージにまったく触れていないパンク・ロック以降のロック史があるとしたら、そいつは話にならないほどデタラメなロック史だ。」名言。

というわけで、最後は森脇氏の名言にしたがってこちらの曲でお別れです。
パンクに影響を受けたこと、それは「自分なりの理論を自分のスタイルで表現する」ということなのかもしれません。時にそれが的外れであったとしても、誰かに嫌われたとしても、「オレはこれが好きだ!」と言える強さを学べたことは、こうしてお店を経営していく中でも少なからず生かされてる気がします。

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ノストスブックス店主。歴史と古いモノ大好き。パンク大好き。羽良多平吉と上村一夫と赤瀬川原平と小村雪岱に憧れている。バンドやりたい。