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石に恋する5秒前
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石に恋する5秒前

人が石に惹かれるのは、そこに人類が生まれるもっと前の地球の歴史が刻み込まれているからでしょうか。 きっとあなたも恋をする、石、石、石づくしの3冊をご紹介します。

『石屋さん』は、アーティスト・桑原真理子と、8人の石屋さんとの対話を収めた一冊。1960年代から80年代にかけて、庭石として使われる「三波石」という青石を売っていた鬼石町の8人の石屋さん。青石の文化的価値を見出す彼らと桑原さんとの対話を収録することで、鬼石町で暮らす人々の生き様に触れることができます。デザインは若林亜希子によるもの。

『百石譜 One Hundred Stonewares』は、西野嘉章・原研哉・上田義彦コラボレーションのマニエリスム博物誌3作目。東京大学創立130周年記念事業出版物として企画された、総合研究博物館に蓄積された稀少な石器類コレクションの写真集です。先史人類学、考古学、考古美術の三部門から選び抜かれた石器、石斧、石剣、石鍬など100余点を収録しています。 人間の祖先が生み出し、長い時間を経て研究のために採掘され、そして上田義彦のフィルターを通して命を吹き返した石の道具。博物館の資料とはまた違った視点でご覧ください。

最後にご紹介するのは、アルネ・シュミットの写真集『Basalt/玄武岩』。火山性の岩石である玄武岩に注目した一冊です。その硬さと多孔質な構造から石臼の原料として理想的な素材とされ、19世紀半ば以降には建築物の材料として使用された玄武岩。採掘場の様子から、建物の外壁や柱、墓標やオブジェなどに使用されている様子などを撮影しています。

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故郷・広島県で雑貨のお店をしていた影響で、器に目がない。盛り付ける料理は修行中。ノストスブックスの雑貨担当として奮闘します。暮らしにまつわる本、民藝本、画集が好きです。