横尾忠則の顔の広さはすごい。それはこの作品集の目次をみればわかるのですが、寄稿文をよせた面々の豪華なこと。
亀倉雄策、田中一光、永井一正、ミルトン・グレーザー、「スタジオ・イルフイル」をともに立ち上げた宇野亜喜良、東京イラストレーターズ・クラブを結成した仲間、灘本唯人や和田誠。もちろんデザイナーだけにとどまらず、三島由紀夫、寺山修司、三宅一生、松岡正剛、荒俣宏、北山耕平や瀬戸内寂聴まで…。
なぜこんなにも幅広いジャンルの人物と関わりがあるかというと、氏がデザインやアート、文学などジャンルの垣根を縦横無尽に飛び越えたデザインを数多くてがけているから。
入荷するたびにボリューム感に圧倒される『横尾忠則グラフィック大全』には、1953年から1988年までにてがけたグラフィック作品が一挙に紹介されています。
1953年というと、横尾忠則氏は高校生。幼少期から絵本を模写したり漫画を描いていた氏は、通信教育で挿絵を学び、学祭のためにポスターを制作するなど早くからデザイナーへの道を歩んでいました。
そこから日本デザインセンター時代を経て、天井桟敷館をはじめとする様々な舞台ポスターデザイン、週刊アンポ、大阪万博のパビリオン、多くの書籍や雑誌の装幀など、35年でなんと2000点以上のデザインをてがけています。
収録されたデザインを見ながら、氏の作品に関わった人々が語るエピソードを読み進めると、「横尾忠則」という人物の凄さ、奥深さに、改めて魅了されていくのです。