ー着る、という意味では、地球上に存在するあらゆるものを着こなす自信があるー
自身を「ウェアリスト(着る人)」と名乗り、日本人であることを強みに活躍したモデル・山口小夜子。
そんな彼女の世界観を支え続けたのが、1973年に資生堂の専属モデルとなった際に出会った、写真家の横須賀功光でした。
ストレートの黒髪、切れ長の眼、この世のものではないような神秘的で妖艶な美しさ。本書では、横須賀功光だからこそとらえられた、小夜子の魅力を存分に堪能することができます。
さらに興味深いのは、巻末にマックス・エルンストの「百頭女」の絵とともに掲載されたテキスト。小夜子を「小夜子」たらしめた幼少期のエピソードや、美しさについての感じ方。
「日本人女性の美しさを捨ててまでもモデルになりたくない」と西洋的なメイクや髪色を変えることを拒んだことにより、東洋の美という圧倒的な個性を確立した小夜子。
写真とテキストを通じて、彼女の謎に包まれたベールを、そっと覗きみることができる一冊です。