nostos booksがオープンして以来ずっと人気のロングセラー「イメージの翼2」を再入荷しました。本書はアートディレクター・細谷巖が手がけた広告作品集。1960年代後期から1980年代までの代表的な仕事を紹介しています。
細谷氏とコピーライター・秋山晶氏との名コンビが放った代表的な広告といえば、キューピーマヨネーズ。料理やマヨネーズそのものはあえて登場させず、素材や風景写真とキャッチコピーを組み合わせた巧みな表現が印象的です。
たとえば「中国野菜シリーズ」。国際的に注目されはじめていた中国がテーマ。中国各地の畑をめぐって出会った珍しい野菜を主役にし、そのバックには鮮やかな色彩の伝統的な手漉き紙が。大陸の文化に触れたカルチャーショックがデザインにも反映されています。
ダイナー(簡易食堂)シリーズではアメリカの東海岸を中心に撮影された旧き良き雰囲気を醸し出すダイナーの写真と、短編小説風の小粋なテキストが添えられています。ちなみにこの人気シリーズは「アメリカン マヨネーズ ストーリーズ」として出版もされています。欲しい。
都市とマヨネーズシリーズ。ストレスの象徴としてのビル群、自然の象徴としての野菜。この2つを対比させることで、ちょっとシュールで意外性のあるビジョンを打ち出した広告。ロケハンはマンハッタン。中心に置かれた野菜は、静かながらも力強い印象。
ちなみにシリーズを通して使用された書体は石井中明朝。氏いわく「このシリーズ広告では、特に明朝体がぴったりだと思った。ゴシック体では、やはり気分がでない」とのこと。
さらに本書最大のみどころは、提案時のラフスケッチやエピソードなどが随所に散りばめられているところ。アイデアが形を成していく過程を、ベテランADの視点で追体験できる貴重な資料です。