「コム デ ギャルソン」。誰もがその名を耳にしたことがあるだけでなく、自然と服のデザインやブランドイメージを思い浮かべることができる。
そんな世界のギャルソンのすべてを知ることができる一冊『川久保玲とコムデギャルソン その創造と精神』。
本書のはじまりは、1989年におこなわれた、パリ・コレクションの描写。ショーがはじまる前後の、川久保玲やスタッフ、モデルの様子、緊張感に包まれた現場の空気感がありありと描かれ、まるでその場にいるような臨場感が伝わってきます。
数多く出版されているコム デ ギャルソン関連書籍と本書の違いは、著者であるイギリスの建築評論家の第一人者、ディヤン・スジックの視点。
洋服のみならず、コム デ ギャルソンが1988年から1991年にかけて発行した雑誌『Six(Sixth Sense)』やショップのデザイン、今はなき「家具シリーズ」についてなど、多面的な魅力を丁寧に紐解く。まるでドキュメンタリーを見ているかのように、川久保とコム デ ギャルソンの歴史を知ることができます。
82年秋冬のパリ・コレクションで「黒の衝撃」を巻き起こしてから、美しさやファッションの価値観を覆しつづけるコム デ ギャルソン。ファンの方はもちろん、ファッションに関わるすべての人におすすめしたい一冊です。