料理をするとき、ぼくらは世界を使用し、同時に世界をつくり出す。そして食べることを通じて、ぼくらは世界を取り込む
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あら、オラファー・エリアソンといえば、世界的に活躍する現代美術家なのでは?そう、そのオラファー・エリアソンです。
オラファー・エリアソンのスタジオでは様々な人々が働き、人数は多いときで100人を超えることも。建築家にデザイナー、出版・広報担当、職人たち、総務に経理。ランチタイムになると彼らは一緒に大きな食卓を囲むそう。同じものを食べながら、アイデアを交換したり、打合せをしたり、おしゃべりを楽しんだり。そうして、互いを支え合う。つまり、食べるという行為を通して、スタジオ全体に栄養をめぐらせるのですね。なんて健やか!
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本書「ザ・キッチン」はスタジオ・オラファー・エリアソンで日々繰り広げられている食事の記録集。スタジオ風景や、アリス・ウォーターズらが寄せるテキスト、そして100点におよぶレシピが掲載されています。食材はすべて有機栽培の野菜を使用した菜食料理。ふむふむ、このスープは家で試してみよう。
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味覚や視覚だけでなく、すべての知覚を動員するという点でアートと食はとても親しい存在。今年の春先には東京都現代美術館で大規模個展が開催(日本での展示は10年ぶり!)されるそうですので、正座待機しつつ、料理とアートのハッピーな関係に踏み込もうではありませんか。